【アルビル(イラク北部)28日共同】イラクからの独立志向を強めるクルド自治政府の憲法案の
全容が、28日までに共同通信が入手した文書で判明した。現在のクルド人自治区外にあり、北
部の大油田地帯を抱える要衝キルクークの帰属を主張している。
キルクークの油田開発の権利を握り、莫大な利権を確保することが狙い。帰属を争うイスラム
教スンニ派が強く反発し、イラク新憲法が規定する連邦制をめぐる議論が一層混迷するのは必
至だ。
自治政府憲法案は全7章、160条。自治政府に独自の憲法をつくることを容認した連邦憲法に
基づき、クルド自治議会の憲法起草委員会がまとめた。
憲法案は(1)2005年8月15日以前に採掘、掘削されなかった油田、ガス田の開発や、生産、
販売、輸出は自治政府が責任を持つ(2)連邦政府が、自治政府の利害に影響する可能性のあ
る取り決めを諸外国と結ぶ場合、自治政府に諮問する(3)天然資源、水、未開発の鉱物資源は
自治政府の資産−などと規定。資源について連邦に優先する強い権限を要求している。
連邦憲法は、各州が一定の条件の下で他の州とともに自治政府を構成することを認めており、
北部で自治政府を持つクルド人に加え、南部で多数を占めるイスラム教シーア派も自治政府樹
立の動きを強めている。一方、南北の油田地帯から取り残され、中西部で多数を占めるスンニ派
は、石油利権から遠ざけられることを強く警戒、連邦制そのものに反対している。
自治議会のアドナン・ムフティ議長によると、今後議会だけでなくクルド人自治区内で広範な議
論を行った後、議会は12月1日から修正などをめぐり集中的に審議。議会だけで承認するか、
住民投票に委ねるかを年末までに決定する。
(2006年09月28日 20時35分)
ソース
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006092801000821.html