【ウィーン会川晴之】パキスタンのムシャラフ大統領は25日発売された回顧録「イン・ザ・ライン・
オブ・ファイアー(攻撃にさらされて)」で、パキスタンの「核兵器の父」と呼ばれ、核の闇市場を主
宰したカーン博士が北朝鮮にウラン濃縮用の遠心分離機を供与していたことを明らかにした。
回顧録によると、カーン博士はイランにも供与したP−1型と、さらに高性能なP−2型遠心分離
機を少なくとも24基供与したほか、流量計や遠心分離機用の特殊オイルなども供与した。また大
統領は、北朝鮮の核専門家がミサイル技術者を装って博士の研究所を訪れ、核兵器開発に関す
る説明を受けた可能性を示唆する報告書を受け取ったことも明らかにした。
当時のケリー米国務次官補は02年10月に訪朝した際、北朝鮮に対し、94年の米朝合意で開
発中止に合意したプルトニウム型核兵器に代わり、ウラン型核兵器の開発を秘密裏に進めてい
る証拠があると提示した。これに反発した北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明、
核兵器保有を宣言するなど、核危機が深刻化している。
北朝鮮がウラン型核兵器の開発を進めているかどうかは現時点では確認が取れていない。米
情報当局などの調査結果によると、カーン博士は北朝鮮を13回訪問し、遠心分離機以外にも核
兵器を爆発させる爆縮技術や地下核実験のノウハウも伝授したとされる。
パキスタンは米国に対し、カーン博士が北朝鮮に協力していたことを認めてはいたが、その詳細
は不明だった。
毎日新聞 2006年9月26日 19時32分
ソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20060927k0000m030048000c.html