伊テレコム社員盗聴で逮捕、「ベネトン」トップら被害
【ローマ=松浦一樹】
イタリア最大の電話会社テレコム(本社ミラノ)の社員らが大企業のトップやジャーナリストの
通話を盗聴していたことが明らかになり、同国検察当局が本格捜査に乗り出した。
25日までに、21人が違法盗聴などの疑いで逮捕され、その大半が元治安機関員や
元警察官だった。
逮捕されたのは、ジュリアーノ・タバロリ容疑者(46)ら。同容疑者は元軍警察対テロ特殊部隊員で、
2001年から昨年までテレコム警備部門の責任者を務めた。
在任中、社員約500人の担当部を設け、違法な盗聴行為に当たらせていた。
標的とされたのは、服飾メーカー「べネトン」や、サッカー・セリエA「フィオレンティーナ」の
オーナー企業である「デラ・バッレ」のトップのほか、銀行家やジャーナリストなどで、
盗聴被害は10万件にも及ぶ。
盗聴で得られた情報の使途や犯行動機は不明だが、タバロリ容疑者に協力していたとされる
フィレンツェの探偵事務所は、国外の銀行口座に約1300万ユーロ(約20億円相当)を隠匿、
資金洗浄などに携わっていた疑いもあり、検察当局で全容解明を急いでいる。
イタリアでは、組織犯罪捜査やテロ対策を理由に、裁判所が盗聴を許可する例が多い。
1997年に公社から民営化されたテレコムは、捜査当局からの要請で「合法的な盗聴活動」に
協力していることが知られ、タバロリ容疑者は当局とのパイプ役も務めていた。
合法活動で得られた情報も悪用された疑いが濃い。
(2006年9月25日22時59分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060925i415.htm