【エルサレム=三井美奈】パレスチナ自治政府のアッバス議長は23日、イスラム原理主義組織
ハマスや議長が率いるファタハが交渉を続けている「挙国一致内閣」について、「(交渉は)振り出し
に戻った。諸課題を見直さなければならない」と述べ、交渉やり直しの可能性を示した。
訪米からの帰途に立ち寄ったカイロで、エジプトのムバラク大統領との会談後、記者団に話した。
議長は国連総会での演説で、新内閣は「イスラエル生存権の承認」に応じると公約した。だが、ハ
マスのハニヤ首相は「生存権を承認する内閣には参加しない」と反対していた。
双方は米欧の援助再開に向け、新内閣が生存権を極めてあいまいな形で認める施政方針を採択
することでほぼ合意していた。だが、米政府はより鮮明な形での「イスラエル生存権承認」を訪米中
の議長に強く求めた模様だ。
アッバス議長の発言は、米側の意向を受けたものと見られる。ただ、ハマスは直接的な形で「イス
ラエル承認」に動くとは見られず、議長は厳しい立場に追い込まれたと言える。
パレスチナ紙の報道によると、これまでに合意した方針案は、「(第3次中東戦争のあった)1967
年に占領された地域にパレスチナ国家の樹立を目指す」と明記することで、間接的に「2国家共存」
をうたっているが、イスラエルには全く言及していない。
(2006年9月24日1時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060923i315.htm