ロサンゼルス(AP) 青果売り場に「ミッキーマウス」や「くまのプーさん」がやって来た――。
全米各地のスーパーマーケットで最近、シールや箱にアニメキャラクターを取り入れた野菜、果物が目立ち始めた。
子どもの肥満などに対する懸念を背景に、健康的なイメージ作りを図る娯楽業界と、市場拡大を目指す生産者らの思惑が一致した形だ。
青果流通業者のイマジネーション・ファームズ(本社・インディアナ州)は娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーからライセンスを取得し、
今年5月以来、全米15カ所の生産大手から届く野菜や果物を、「ディズニー・ガーデン」というブランド名で卸している。
すでに店頭に並んでいるのは、人気キャラクターのデイジーダックやグーフィーのシールが付いたモモ、ミッキーマウスの箱に入ったブドウなど30品目。
9月には、有機農産物のマスコット、くまのプーさんの印を付けたリンゴも発売予定だ。同社トップのマシュー・ケイトー氏は
「来年1月までに100品目、年末には200品目を目指したい。ディズニー・ガーデンの商品を青果売り場全体に広げるのが目標だ」と話す。
カリフォルニア州で2000ヘクタールの果樹園を経営するクレイグ・イトー氏は、同社との契約に応じた生産者の1人。
かねて「子どもたちをファストフードから呼び戻し、果物の消費を伸ばす方法はないものか」と考えていた。同氏の狙い通り、
キャラクター付きのモモやスモモ、ネクタリンは、キャラクターのなかった昨年を上回る売れ行きを示しているという。
店頭にはこのほか、映画大手ワーナー・ブラザーズと流通業者レディ・パック・プロデュースのライセンス契約による小鳥のトウィーティー印のブドウ、
子ども向けチャンネル「ニコロデオン」の人気キャラクター、スポンジ・ボブのホウレンソウなどが続々と登場している。
アニメなどのキャラクターはこれまで、ファストフードや清涼飲料水、菓子などの包装に登場することが多く、
「子どもたちに不健康な食生活を勧めている」といった批判を受けてきた。娯楽業界と青果業界とのタイアップは、
過去にも「ポパイのホウレンソウ」といった例があるが、ライセンス契約のコストなどが壁になり、普及しなかった。
ディズニーはイマジネーション・ファームとの契約内容を公表していないが、青果業界誌を編集する専門家、
ジム・プレボー氏は「娯楽業界の目的は家庭向けのイメージアップ。ライセンス料でもうけるつもりはないとみられ、
料金は低く設定している可能性が高い」と話している。
http://cnn.co.jp/business/CNN200609100002.html