メキシコの連邦選挙裁判所は5日、大接戦となった大統領選挙について、小差で敗北した
中道左派候補から出ていた「選挙で不正があった」との申し立てを退け、中道右派の与党・
国民行動党(PAN)のカルデロン元エネルギー相(44)の当選を宣言した。
これによりカルデロン氏の大統領就任が確定。
7月2日の投票から2カ月余り続いた混迷は、手続き的にはようやく終止符を打った。
だが、敗れた野党・革命民主党(PRD)のロペスオブラドール前メキシコ市長(52)は「裁判所は
腐敗しており、結果は認めない」と公言。
支持者ら数千人は7月末から、メキシコ市中心部の広場や路上にテントを張って抗議活動を続けて
おり、混乱がすぐに収まる見通しは立っていない。
中央選管の集計では、「企業の競争力重視」を掲げるカルデロン氏の得票率は35.89%、
「貧困対策第一」のロペスオブラドール氏は35.31%で、得票率の差はわずか0.58ポイント、
票差は約24万票(総投票数4100万票)だった。
これに対し、ロペスオブラドール陣営は当初、全票の再集計を要求。だが、裁判所は「選挙法に規定
がない」などの理由で拒否し、全票の9%についてのみ再集計を指示した。
その結果、差は23万3831票(0.56ポイント)まで縮まったものの、「不正は見られたが結果を
大きく左右するものではなかった」(裁判所)として、カルデロン氏の当選を認めた。
ロペスオブラドール氏は当初から、「民主主義を守るため平和的な抵抗運動を始めよう」と支持者ら
に訴え、数十万人規模の集会を開いてきた。
カルデロン氏の当選確定の見通しが出てきた最近は「対抗政府をつくる」と明言しており、大衆動員
を通じて抵抗する姿勢を崩していない。
国論を二分した今回の選挙は「メキシコの方向性を決める選挙」と位置づけられてきた。
全票再集計が実施されなかったことで、国民の一部には新政権の正統性に疑問が残る結果となった。
AP通信によると、街頭ではデモ参加者の数が減るなどロペスオブラドール氏支持にかげりが見える
ものの、「武器を取ろう」などと過激な発言も出ているという。
カルデロン氏は12月1日に就任する。任期は6年。
ニュースソース
http://www.asahi.com/international/update/0906/004.html