「旅客機爆破テロ未遂でヒースロー空港着陸禁止」
民間航空機爆破テロ未遂事件を受け、英政府は10日、ヒースロー空港への着陸を禁止、
機内持ち込み手荷物の規制などを強化したため、英国の空は機能不全に陥った。航空会社が
相次いでフライトをキャンセルしたため各空港も大混乱。運航便数で最大のブリティッシュ・
エアウエイズ(BA)は乗客に2週間以上先に搭乗予約を変更するよう求めた。
ヨーロッパの航空会社の株価が全面安となるなど、事件の衝撃が広がった。
■厳戒態勢
英運輸相が出した通達によると、機内に持ち込むことができるのはパスポートや財布、航空券、
機内で必要になる可能性のある薬、メガネ、乳幼児の食事類、ハンカチといった身の回りの
必需品に限られる。それらも各空港で透明のバッグに入れて検査を受けるという厳戒ぶりだ。
全乗客が係員の手による身体検査を受け、靴や車イスもエックス線によるチェックが課された。
米国行きの航空機に搭乗する乗客はこれらの検査に加え、搭乗ゲート前で同様に身体と
手荷物の検査を受ける。検査を通過した乗客の中には持ち込みを認められた所持品を透明の
ビニール袋に詰め込んで搭乗に向かう姿も見られた。
■異例措置
航空会社の間では、すでに離陸した航空機は通常通り運航する方針を取っている。しかし、
異例の検査態勢を採用すると、とても予定通りの運航は不可能なため、10日は夕方までの
全フライトをキャンセルする航空会社が相次いだ。
各空港も一部の乗客を除いてターミナルへの立ち入りを制限した。BBCテレビは、英国の
空の玄関口、ヒースロー空港ではアイルランドなど近隣に向かうターミナル1ですら
10日朝から搭乗手続きに訪れる乗客の姿が消えたと伝えた。
ロンドン南郊のガトウィック空港では警戒強化に伴い、手荷物の機内持ち込み禁止の要領を
記した文書が乗客に配られ、異例の措置に理解を求めた。ロンドン北郊のスタンステッド
空港ではテロ捜査の一環で空港周辺への立ち入りが制限される事態になった。
英政府は状況に応じて措置を見直すとしているものの、平常に戻らない限り、検査に時間が
かかり過ぎてフライトの遅れが避けられない。各空港の混乱は数日続く見通しだ。
「すぐに平常に戻ることを望んでいる」とリード内相。夏季休暇で空港の利用客が最も
多い時期だけに影響は大きい。
■英国行き運休
ヒースロー空港では10日、すでに同空港に向け離陸したアジアやオセアニアからの
長距離便を除き、飛行時間が3時間前後と短い欧州各国の航空機の着陸を禁止した。
BAなど英航空会社の欧州からの同空港行きに加え、ドイツのルフトハンザ航空、スペインの
イベリア航空、イタリアのアリタリア航空、ギリシャのオリンピック航空、北欧のスカンジ
ナビア航空、アイルランドのエアリンガスが同空港行きや同空港経由の便をキャンセル。
エールフランスは同日午前の同空港行きを運休した。オーストリア航空は午前のヒースロー
経由ウィーン行をブリュッセル経由に変更し、午後の便は着陸許可が出るまで取りやめた。
ドイツのフランクフルト国際空港はヒースロー空港に着陸できない航空機のために臨時に
着陸を認める態勢を敷いたが、利用する便はなかった。
■全面安
「9・11」を彷彿とさせるテロ未遂事件の影響で、欧州の株価市場や英ポンドの為替相場は
10日、全面安となった。
英国ではBAが5.7%、イージージェットが2.8%、ライアンエアーが0.7%と軒並み
下げた。ヨーロッパの航空会社も影響は避けられず、独ルフトハンザ航空が4.4%、KLM
オランダ航空が3.4%下げた。ロンドン国際石油取引所の北海ブレンド原油先物9月渡しは
一時、前日終値比1.09ドル安の1バレル=76.19ドルまで下げた。
引用元:産経新聞
http://www.sankei.co.jp/ (08/11 02:24)
http://www.sankei.co.jp/news/060811/kok009.htm