【サンクトペテルブルク杉尾直哉】
主要国首脳会議(サミット)を初めて自国で開催したロシアは
北朝鮮のミサイル発射や中東情勢で主要8カ国(G8)の他首脳との共同歩調を打ち出した。
欧米では「ロシアは民主先進国クラブのG8にふさわしくない」との批判があったが、
プーチン大統領はG8議長として「西側との協調」を演出、指導力を誇示した。
全日程が終了した17日、プーチン大統領は議長として記者会見し、
「ロシアの考え方や提案がG8のパートナーたちに理解され、満足だ」と語った。
北朝鮮問題などへの対処で「一致した姿勢」を取れた成果を強調し、
「経済力を強化したロシアが(国際社会で)より重大な役割を果たすことが可能になった」と述べ、自信を示した。
サミット直前に起きたイスラエルのレバノン攻撃を受け、
当初予定されていなかった中東情勢に関する声明も採択された。
大統領は16日深夜の会見でロシアがイスラエル、パレスチナ、レバノンと良好な関係を築いてきた点を挙げ、
「我々の役割がなければ、バランスのとれた文書を採択できなかった」と豪語した。
00年の就任以来、「大国復興」を掲げてきた政権2期目のプーチン大統領は
サミットを成功させて外交上で大きな得点を稼いだ上、内政面にも追い風を得た形だ。
大統領は08年の任期満了で退任する考えだが、この勢いを後継者につなげたい意向とみられる。
プーチン大統領はサミット直前に開かれた米露首脳会談後の共同記者会見で
「我々はイラクのような民主主義は欲しくない」と語り、米国からの「民主主義の押し付け」を痛烈に批判した。
欧米との対決姿勢を国際舞台で見せ付けることが国内で支持されると承知した上での発言とみられる。
多くのロシア国民の反米感情を意識しながら、
大統領は今後も欧米批判を自らの支持基盤を固めるために利用するだろう。
■ソース
MSN毎日インタラクティブ-毎日新聞 2006年7月18日 0時04分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20060718k0000m030097000c.html