イラク:化学兵器被害者協会が原爆展開く
イラン・イラク戦争末期の88年3月、イラクのフセイン政権の化学兵器による攻撃で、自国北部の街
ハラブジャの住民約5000人が犠牲となったハラブジャ虐殺。その被害者団体
「ハラブジャ化学兵器被害者協会」と、広島、長崎の原爆被爆者らでつくる
「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)が20日、イラク北部クルド地域のアルビルで、
原爆・被爆の実相を伝える「原爆と人間展」を開く。
クルド地域政府文化省の協力で実現する。イラクでの本格的な原爆展は初。被爆の惨状、
後遺症で苦しむ被爆者の姿を写真や絵、証言で伝えるパネル約60点のほか、焼け焦げた
「原爆瓦」などを展示。月末には、ハラブジャでも開催予定だ。
被爆2世のジャーナリスト、玉本英子さん(39)=アジアプレス・インターナショナル所属=が
2月に現地入りし、同虐殺の記念資料館「ハラブジャ・モニュメント」のイブラヒム・ヘウレマニ館長(43)
らのメッセージを日本被団協へとつなぎ、実現した。
虐殺で両親、兄弟3人を失った被害者協会のヒクメット・ファイードさん(35)は
「不安定な国情下、後遺症を抱える被害者支援が忘れ去られている。被爆者から学び、
事件の真相を歴史の中にしっかりと位置づけたい」と話す。また、田中煕巳・日本被団協事務局長(74)
は「大量殺りく兵器使用を根絶する世界を、国際規範の中でどう実現していけるかを共に考えたい」と言う。
イラクでは、被爆被害に対する関心は高く、クルド地域では、同虐殺は広島の悲劇に重ね
「ハラブシマ」とも呼ばれている。【高尾具成】
毎日新聞 2006年6月16日 3時00分 (最終更新時間 6月16日 3時48分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060616k0000m040173000c.html (画像の直リン)
現地で告知された、イラクで初開催となる「原爆と人間展」のポスター
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/images/20060616k0000m040192000p_size6.jpg