■W杯開幕待てない!25万人集結
サッカー・ワールドカップ(W杯)ドイツ大会は世界三十二の国・地域が参加し、九日夕に開幕、
七月九日の決勝戦まで計六十四試合が行われる。これに先立って七日夜、ベルリンの
ブランデンブルク門前に、世界のサッカーファンが集う「ファン・マイル」がオープンし、
二十五万人が通りでパーティーを楽しんだ。
祭典ステージは、かつてベルリンの壁があった場所にあり、「ファン・マイル」は一九五三年に
東側による市民弾圧に抗議して西側が名付けた「六月十七日通り」を会場に二・五キロ続く。
ビール片手に跳びはねるドイツ人。サンバのリズムに踊るブラジル人。「NAKATA」の
ロゴ入り青シャツを着た日本びいきのイギリス人も。
ベルリンは戦火による徹底的な破壊、戦後の困窮の後、西と東とに分かれ、多くの人が
泣いた壁の街だった。
だが、今は違う。「壁が崩れたからみんな一緒にいるのよ」と呼びかける司会者。
ブランデンブルク門の前に設置された大スクリーンには、悲喜入り交じるW杯名場面が映し
出され、そこにメッセージが重なる。「悲しみも喜びも共にする。それ自体が信じられない」。
同門を虹に染める花火に、これだけの人が酔うのは、東西が統一した九〇年十月三日の夜
以来だ。
ステージの音が少し和らぐ公園の一角に、十三本の十字架が立つ。壁を越えようとして射殺
された犠牲者を悼むものだ。前には真新しい花が。手向けた人は心で語りかけたに違いない。
「W杯が始まりますよ」と。
■ソース(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060608/eve_____kok_____000.shtml ■画像
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20060608/060608evetop.jpg