「W杯テレビ観戦、お国事情…労組許可申し入れ」
9日に開幕するサッカーW杯ドイツ大会のテレビ観戦をめぐり、出場各国の企業や学校が
頭を悩ませている。日本では深夜から早朝にかけての放送となり、支障はなさそうだが、
時差がない欧州では就業時間中に生放送が始まり、テレビ観戦を認める企業も。子供たちに
心おきなくテレビ観戦してもらおうと、中学と高校の期末テストを前倒しにする国も
出てきた。
開催国のドイツでは、労働組合が企業側に対し、就業時間中の試合観戦を従業員に
認めるよう求めている。
代表チームを含め、ほとんどの試合が夕方以降のキックオフということもあり、企業側は
「ふだんから柔軟な勤務態勢を取っているので、画一的な規制はしない。個々の裁量に
まかせるべき」としている。
ただ、大会のスポンサーであるアディダス社は、従業員に就業時間中の試合観戦を許可。
注目の試合に合わせてパーティーを催す計画までしている銀行もあるという。
W杯初出場のウクライナは、1次リーグ初戦となる14日午後4時からのスペイン戦を
全国民がテレビ応援できるよう、この日を休日とするなどの措置を取るように政府が
企業経営者らに勧告することを決めた。
イングランドが出場する英国は、前回の日韓大会では時差の関係から試合が日中に集中
したため、昼間からパブがにぎわい、仕事への影響が大きかったとされる。
だが、今回はほとんどの試合が夕方以降のキックオフ。このため、多くの企業が静観の
構えだ。中小企業約600社に対するアンケートでも、80%の会社が欠勤に厳しい
措置を取ると言明。二日酔いなどで会社を休もうとしても、「同僚らに様子を見に行かせる」
とする会社もある。
ただ、オランダでは、保険会社がW杯期間中の従業員の病欠急増対策として企業保険の
適用を決定した。
オランダでは、病欠した従業員に対し、企業側が賃金を支払う義務がある。支払いに備え、
企業側は保険に加入しているが、適用されるのは2週間以上の病欠。そこで保険会社は
W杯期間中はサービスとして2週間の規定を撤回、代表チームの試合当日と翌日の
病欠に対しても、保険金を支払うという。
2004年にポルトガルで行われた欧州選手権で、代表チームの試合当日の「病欠」は
通常に比べ20%も増えたといわれている。
一方、W杯は教育現場も動かしている。2大会ぶり3度目の出場を果たしたイランは、
中学と高校の期末テストを前倒しした。教育省の指導で通常5月末ごろから1カ月に
わたって行われるテストを、W杯開幕までに終わらせるか、終わらない場合でも、
大会期間中は難易度の低い試験だけを実施するという。同省は「一生懸命勉強したあとで、
心おきなくW杯を楽しんでもらいたい」としている。
日本では豪州、クロアチア戦が午後10時からのキックオフだが、それ以外は強豪国の
人気カードも含め、ほとんどが未明から早朝の試合だ。
大阪市教育委員会は「授業やテストなどへの影響はない時間帯なので、特別の対策を
予定していない。テレビ観戦するため、ふだんより早く起きるので、逆に生活のリズムが
よくなるのでは」と話している。
引用元:ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/ (2006/06/07)
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006060703.html