◆World Cup relief for war-torn Iraq(US Y!ニュース/AFP)
http://news.yahoo.com/s/afp/20060606/wl_mideast_afp/fblwc2006irq ドイツ・サッカーW杯の熱が全世界的に高まる中、内戦に疲れ果てたイラク人は大会を観戦
できないのではないかと恐れている。
イラク国営放送でW杯の競技中継予定は無く、衛星テレビで観戦しようにも、受信料は一般
市民には手が出ないほど高価だ。
イラクでは、サッカーは最も人気の高いスポーツであった。1986年にはメキシコ大会にも参
加している。サッカーへの情熱は今も、爆弾攻撃、誘拐、撮陸、停電、エネルギー不足など
にもめげず、衰えていない。
「アラブ系衛星テレビで全試合を見れるのですが、デコーダーを買うことができないので
す」学生のムスタファ・アブデルさん(22)は、バグダッドの電気店で衛星デコーダーを物
色する人波のなかで嘆く。
衛星テレビARTチャンネルのW杯全試合の特別放送パッケージは175ドルだ。
店の販売員のアフメド・フセインさん(32)によると、衛星放送への需要が高く、281ドル
の年間受信契約や355ドルのARTチャンネルのスポーツプログラムも扱っているという。
「イラク人は全般的にサッカー基地外ですが、顧客には、相次ぐ暴力からの現実逃避をした
い若い人達が多いです」フセインさん。
石油に恵まれ、正式政府が発足するも苦しみ続けるこの国の国民2,650万人の多くにとっ
て、W杯は救済の光のようだ。
相次ぐ暴力がW杯の開催期間中が猶予される、もしかしたら停戦もありうるのではないか、
夜に営業する数少ないカフェや飲食店で人々が一緒に試合を観戦できるのではないかと期待
している人達も居る。
バグダッド市民に可能なのは、現実には家で試合観戦をする程度であろう。多くの人々は放
映権を保有するアラブ系衛星テレビと国営放送との取り引きのなかで11時間の猶予時間を望
んでいる。また、マリキ新首相が放映権の原資を見つけてくるだろうと期待する人々も多
い。貧しい多くの人々は、既にデコーダを持っている家のシステムから線を分岐させて視聴
しようと計画している。
W杯の熱はふつふつと高まってきている。賭けではブラジルが優勝するとされ、倍率は6倍
となっている。バグダッドのスポーツ店では出場チームのジャージが売れている。偽造の
チーム・シャツは3ドルだ。
「一番人気なのはブラジルのジャージです。続いて、アルゼンチン、ドイツ、イタリアです
ね。」スポーツ店経営者Jabbar Husseinさん(30)。
本大会参加を果たしたチュニジア、サウジアラビアといったアラブ・チームのジャージは店
頭に置かれていない。イラクといくつかのアラブ諸国との関係は緊張している。バグダッド
はそれらの国が宗派間対立を煽っていると疑っている。
「私はアルゼンチンのファンで、サヴィオラの背番号のジャージを探しに来ました」客の
Mortada Jassemさん。
バグダッドの埃っぽい運動場では、W杯出場国のチームジャージを来た若者たちが、イラク
がふたたび本大会出場の栄光に浴する日を夢見て渦巻いている。