イラク正式政府、新たなスタート 新指導部は宗派対立の緩和・治安回復・市民生活向上を 外国部隊の撤収もそろそろ…毎日社説 [060521]

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1国際+初の社説スレ 長い記事@高度5000mから目玉親父φ ★
社説:イラク正式政府 外国部隊の撤収につなげよ

 イラクの正式政府がようやく発足した。フセイン政権崩壊から3年余り。イラクの人々は
さまざまな苦難を乗り越えて、国連安保理決議に基づく一連の政治プロセスを実行した。
そして、ついに正式政府の樹立というゴールにたどり着いたのは、高く評価していいことである。

 だが、そのゴールが新たな試練へのスタート台であるのは言うまでもない。しかも治安対策の
中心となる内相と国防相が決まらず、マリキ首相らが兼任することになった点で、
新政府の結束と求心力に大きな不安を残した。マリキ首相は、政権協議の難航による
「権力の空白」を、これ以上長引かせまいと見切り発車した格好だ。

 「空白」を埋めるのは大事である。イラク情勢を見るにつけ、正式政府の発足が抗争と
流血の終結につながるよう願わずにはいられない。この国ではイスラム教シーア派と
スンニ派の抗争で、4月だけでも1000人以上が死んだとされる。2月のシーア派聖廟
(せいびょう)爆破事件以後、かつて両派が共存していた地域から逃げ出した避難民は
10万人を超えるという。

 想像を絶するような宗派対立の下で、あまりに多くの血が流され、あまりに強い相互不信が
醸されてきた。正式政府の治安対策の最重点は、いわゆる反米武装勢力の抑え込みだが、
一般国民の抗争と反目が続く限り、平和も安定も実現できない。新指導部は、
真の「挙国一致体制」に向けて、まずはシーア派とスンニ派の対立緩和に努めてほしい。

 閣僚信任のために開かれた連邦議会では、一部議員が「見切り発車」への怒りを
ぶちまける場面もあった。米英などが正式政府の樹立を「歴史的な出来事」と
歓迎するのに対し、イラクの一般市民は祝賀ムードとはほど遠い。イラク国民にも
「民主化の恩恵」を実感させるために、正式政府は治安回復と同時に市民生活の
レベル向上を急ぐ必要がある。

 無論、国民融和の見通しは甘くない。石油資源が豊富な北部キルクークの支配権を
めぐって、クルド人とスンニ派は険しく対立しているし、最大勢力のシーア派も決して
一枚岩ではなくなった。同派2大勢力のアッダワ党とイラク・イスラム革命最高評議会
(SCIRI)は、イラク戦争前はほとんど一体の組織と見えたが、今はイランとの関係
などをめぐって微妙な対立関係にある。

 中小組織の動向も含めて、イラクの対立の構図が、従来の「シーア派・スンニ派・クルド人」
という鼎立(ていりつ)状態から、より複雑な形態に移行している点が気になる。
正式政府の前途は、決して平たんではない。

 だが、安保理決議に伴う政治プロセスが一応完結した以上、国際社会のイラク支援は、
仕切り直しの時期である。今は、自衛隊も含めた外国の部隊撤収を具体的に論じる時だ。
米国も時期は明確にしないが、部隊撤収は織り込み済みだろう。実質的な占領状態の解消は、
真の「イラク民主化」のためにも必要だ。

毎日新聞 2006年5月22日 0時07分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060522k0000m070108000c.html

参考(日経の社説)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20060521MS3M2100221052006.html
2七つの海の名無しさん
死ぬほど読みにくいスレタイ