■ブルガリアとルーマニアの07年EU加盟、条件提案へ
ブルガリアとルーマニアの欧州連合(EU)加盟について、バローゾ欧州委員長は16日、
両国の07年1月の加盟を認める前提として、司法改革の進展などの条件を付けることを
加盟国に提案した。07年加盟容認を強くにじませつつ、最終決定を先送りすることで、両国に
いっそうの改革を促す狙いだ。背景には、急速なEU膨張で、欧州に「拡大疲れ」が広がっている
事情がある。
加盟の条件として、ブルガリアに対しては、組織犯罪や汚職、資金洗浄(マネーロンダリング)の
摘発強化といった司法改革や、EUからの補助金を管理する体制の確立、動物検疫の強化など
6項目を挙げた。ルーマニアには、徴税のための情報技術(IT)の確立や、動物検疫の強化など
4項目を指摘した。
欧州委は改革の進み具合を点検したうえで、10月までに結論を出す。最終的には07年
加盟が認められるとの見方が強い。
欧州委が結論を先送りしたのは、ぎりぎりまで両国に改革を促すねらいに加え、EU拡大で
雇用や安全が脅かされるとの警戒感が加盟国に広がっている事情がある。
EUは04年5月、中欧など10カ国を仲間に加え、一気に25カ国に拡大した。その結果、新規
加盟国から安い労働力が流入し、05年にフランスとオランダで行われたEU憲法条約をめぐる
国民投票では、仕事を脅かす象徴として「ポーランドの配管工」問題が挙げられ、両国の否決に
つながった。
欧州委が今月発表した世論調査では、「EU拡大は雇用に悪影響を与える」との答えがEU
全体の63%に達した。ドイツは80%、フランスは72%で、原加盟国の拒否反応が目立つ。
国境を越えて犯罪組織が入ってくることへの不安も強い。相対的に貧しいブルガリアと
ルーマニアに、EUの援助が注ぎ込まれることへの反発もある。
両国の後には、クロアチアとマケドニア、トルコが加盟候補国として控える。群を抜いて警戒
されている人口7千万人のイスラム教国トルコの加盟も、現実味を帯びてくる。
■ソース(Asahi com)
http://www.asahi.com/international/update/0516/012.html