【エルサレム樋口直樹】
中東でエジプトとともにパレスチナ自治政府の後見役を務めてきたヨルダンが、
自治政府を主導するイスラム原理主義組織ハマスとの関係を急速に冷却化させている。
背景には国内でのイスラム原理主義の伸長を懸念する思惑などがあるとみられている。
ヨルダン当局は先月18日、ハマスによる武器密輸や要人襲撃計画を「暴露」し、
数日後に予定されていたハマス最高幹部でパレスチナ自治政府のザッハール外相の訪問を拒否。
押収したミサイルや爆弾、自動小銃などをテレビで放映させ、
「ヨルダンとパレスチナの関係を根底から否定する行為だ」と厳しく非難する声明を発表した。
ハマスは嫌疑を否定しているが、ヨルダンは今月10日、
武器密輸容疑などでハマスのメンバーら20人を逮捕し、イラン製多連装ロケット砲を押収したと発表。
11日には、シリアのハマス指導部に雇われ、軍事訓練を受けたという容疑者らの「告白」をテレビ放映した。
外交筋の間では、民主的な選挙で勝利したハマスが政権運営に成功した場合、
ヨルダン王政の潜在的な脅威であるイスラム原理主義勢力が勢いを増すとみられている。
これを懸念する同国は世俗的な旧主流派ファタハ出身の穏健派アッバス自治政府議長を後押しし、
原理主義の波及を防ごうとしているという。
イスラム原理主義への懸念は、エジプトにもある。
パレスチナ自治政府のザッハール外相は先月エジプトを訪問したが、
同国のアブルゲイト外相は「多忙」を理由に会談しなかった。
ヨルダンはその直後に同外相の訪問拒否を発表した。
両国ともハマスの孤立化を図る米国から強い政治的圧力を受けていた。
一方、米国の事実上の経済制裁などでハマス政府が転覆した場合、
親米のヨルダンやエジプトはアラブ民衆から米国との「共犯関係」を指弾されることになる。
このため両国は、ハマスの勢力伸長を阻みつつ、アッバス議長経由でパレスチナ支援を図るという微妙なかじ取りを迫られている。
毎日新聞 2006年5月14日 19時24分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20060515k0000m030046000c.html 関連スレ(dat落ち)
【ヨルダン】ハマス政権・ザハル外相の訪問受け入れを急遽拒否[04/19]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1145455686/