【ロンドン=森千春】英国議会の情報・安全保障委員会は11日、犠牲者52人を出した2005年7月7日のロンドン
同時爆破テロに関する報告書を発表した。
報告書は、事前に阻止できなかったことについて、英情報機関・警察の人員・予算の不足が一因だったと指摘。
今後の対策として、外国の情報機関との協力強化などを提言している。同テロに関する公的な報告書がまとめられたの
はこれが初めて。
同委員会は、国家保安部(MI5)、対外情報部(MI6)、警察などの関係者から事情聴取して報告をまとめた。
昨年7月7日の事件では、英国在住のイスラム教徒4人が、地下鉄とバスで自爆テロを実行した。
報告書は、犯人グループのリーダー格だったモハメド・サディック・カーン容疑者(当時30歳)とシェザード・タンウィア容疑者
(同22歳)が、04〜05年にパキスタンに滞在した間に、「(国際テロ組織)アル・カーイダのメンバーと接触したとみられる」と
して、テロ実行の指示を受けた可能性を指摘している。
情報機関は04年、国内過激派への監視で、両容疑者が過激派メンバーに接触したことを察知したが、捜査対象に含めなかった。
報告書は、「パキスタン関連情報の収集にもっと力を入れ、英国内でも捜査人員、予算がより多かったら、犯人グループの動きに
気づいたかもしれない」としている。
2週間後の7月21日にも、地下鉄やバスで爆発が起きたが、報告書は、両事件の犯人の間には直接的な関係はないと指摘した。
英内務省も11日、ロンドン同時爆破テロに関する報告書を発表した。手製爆弾の製造など、テロの準備・実行に使った費用は、
8000ポンド(約170万円)以下で、カーン容疑者が主に負担したと推測している。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060511it14.htm