続報です。
ダルフール和平協議、交渉期限を再延長…米は圧力強化
アフリカ・スーダン西部のダルフール紛争の和平協議を仲介するアフリカ連合(AU)は2日深夜(日本時間3日朝)、
ナイジェリアの首都アブジャで開かれている協議の期限を再度48時間延長すると発表した。
協議の決裂は、「世界最悪の人道危機」(英下院報告書)とされる同紛争が際限なき流血へと陥ることを意味するだけに、
アフリカ諸国に米欧も加わり、妥結に向けた国際的圧力を一段と強化している。
【ヨハネスブルク支局】
スーダン政府と反政府武装勢力の和平協議は当初、4月30日に期限が設定されていたが2日間延長された。
今回の再延長で、交渉は一層緊迫した局面を迎えた。
AUの和平案は
〈1〉政府の支援を受けているとされるアラブ系民兵の武装解除
〈2〉反政府武装勢力の政府軍編入
〈3〉ダルフール地方への予算配分増加――など。
政府側は受け入れを表明したが、武装勢力の「スーダン解放軍」(SLA)と「正義と平等運動」(JEM)は、
ダルフール地方からの副大統領任命や自治権拡大など、権力と富の幅広い分有を要求し、歩み寄りの姿勢を示していない。
こうした事態を受け、AUと米英は3日、新たな和平案の作成に着手した。
AP通信によると、スーダン政府は米国の圧力を受け、アラブ系民兵の武装解除を迅速に進めるほか、
政府軍に編入される反政府武装勢力を増やすなどの妥協案の検討に入った。
AFP通信によると、JEMスポークスマンは同日、
「期限延長で我々の要求に対する政府側の譲歩が期待できる」と語っており、政治的影響力の拡大を目指し、政府側に一層の妥協を迫る方針だ。
◆ブッシュ大統領、国務副長官を派遣◆
【ワシントン=坂元隆】
ブッシュ米大統領はゼーリック国務副長官をアブジャに派遣し、スーダン政府への圧力を強化することで、和平成立を全面的に後押しする方針だ。
米政府は、ダルフールでスーダン政府の支援を受けたアラブ系民兵が
黒人系住民を大量殺害していることを「集団虐殺」と断定し、強い人道的懸念を抱いている。
米国民の間でも次第に、ブッシュ政権に積極的介入をとるよう促す声が高まっており、
4月30日にはワシントンで、ダルフールでの暴力阻止を求める大規模なデモ行進が行われた。
ゼーリック副長官は、現地入りを前にワシントンで演説し、
「(スーダン)政府の許可が得られるか、(スーダンに)進攻するかだ」と述べるなどスーダン政府に厳しい発言をしており、
新たな和平案作りでも、英国のヒラリー・ベン国際開発相と協力し、主導的役割を担っている模様だ。
(2006年5月4日1時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060503i315.htm?from=main3