大震災100周年機に、教訓新た
世界有数の地震の巣であるサンアンドレアス断層に隣接し、大地震の危険性を抱える
サンフランシスコ市。近年では1989年に発生したロマプリータ地震が知られるが、
それ以上に大きな被害をもたらしたのが1906年の大地震だ。今年は地震から百周年にあたり、
市内各地で様々な追悼・記念イベントが開催されている。
観光客などに無料のウオーキングツアーを運営する非営利団体サンフランシスコ・シティー・
ガイドは、大地震に関連する場所の案内ツアーを始めた(期間今年末まで)。建物の崩壊や
火が燃え広がる様子、人々の避難生活などをボランティアのガイドが説明して歩く。
サンフランシスコ近代美術館では大地震の写真展を開催中(5月30日まで)
だ。地震前後のサンフランシスコや、ダウンタウンの火災、復興作業などを写した
約100点の白黒写真を展示する。
地震が発生した18日には市主催の追悼行事が中心市街地近くの「ロッタズ・ファウンテン
(ロッタの泉)」で催される。今年は2万5000人以上が訪れると見込まれる。
震災の教訓などを伝えるイベントだけでなく、当時の衣装を身につけて参加する
ダンスパーティーやパレードなども予定されており、市ではある種の「お祭りムード」
も高まっている。
1906年4月18日早朝にサンフランシスコを襲った地震の大きさはマグニチュード7・8
と推定される。揺れはロサンゼルスやオレゴン州、ネバダ州などでも感じられた。
地震後発生した火災は3日間燃え続け、2万8000件の建物が全半壊。3000人以上
が亡くなり、人口約45万のうち約半数が家を失った。
今後30年以内に周辺地域でマグニチュード6・7以上の地震が起こる確率は62%
との予測があるが、非常食など防災セットを用意している家庭は半数に満たないという。
サンフランシスコ市は「百周年イベントをきっかけに、住民の防災意識を高めたい」としている。
日本経済新聞コラム:世界街めぐり
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/column/20060421g194l002_21.html