【ロサンゼルス=岡田敏一】百科事典で有名な米エンサイクロペ
ディア・ブリタニカと、英科学誌「ネーチャー」という英米の“名門”が
対立を深めている。ネーチャーが、ボランティアで作るインターネット
の百科事典、ウィキペディアとブリタニカの内容が「正確性で互角」
とする記事を掲載したためだ。ブリタニカは怒りの抗議を行ったが、
ネーチャーも真っ向から反論している。
ネーチャーは昨年十二月十五日号の記事で、両者が科学分野
四十二項目について記載した説明文を調べたところ、それぞれ重
大な誤りが四件、小さな誤りや誤解を招く表現はブリタニカが
百二十三件、ウィキペディアが百六十二件あったとして、「正確性
に大差はない」と断定した。
調査はブリタニカとウィキペディアの説明文を、それぞれ外部の
専門家に分析してもらう形で実施。ブリタニカ側は「ブリタニカの
説明文は一部を削って専門家に渡したり無関係の文章が紛れ込
んでいた」として調査結果に異議を唱えた。
これに対しネーチャーは「説明文の長さをそろえるため一部を
削ったが、条件はウィキペディアも同じ」と説明。無関係の文章が
紛れた事実はないと反論した。
ウィキペディアは二〇〇一年に登場。これまでに全世界の計
約一万三千人のボランティアが、政治、科学から芸能に至るまで
あらゆる分野の事柄計約百八十万項目について、計二百の言語
で執筆・投稿した。執筆者がボランティアとあって信頼性が問われ
ていたが、ウィキペディアのサイトを運営する「ウィキメディア財団」
(フロリダ州)では最近、執筆・投稿の規則を厳しくするなどして対
処する方針を決めている。
ソース:フジサンケイビジネスアイ
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200604080003a.nwc