【ガザ市(パレスチナ自治区)樋口直樹】
イスラム原理主義組織ハマスが率いるパレスチナ自治政府と穏健派のアッバス議長の間で、
治安権限をめぐる権力争いが表面化している。背後にはハマス主導政府に治安権限が渡るのを嫌う欧米の思惑がある。
さらに、米国と欧州連合(EU)が援助停止・凍結を正式決定したことで、ハマス政府は発足早々、内憂外患の難局に直面している。
アッバス議長は4月に入ってから、ガザ地区とエジプトを結ぶラファ国境検問所の治安権限を議長府の下に置き、
ハマス政府へ移管しないと決定した。さらに、自らの支持母体である旧主流派ファタハの幹部を保安機関の長官に任命し、
ハマス幹部であるシアム内相の警察指揮権を事実上、奪い取った。
ラファ検問所はEU監視団の常駐を条件に自治政府とイスラエルが共同管理してきたが、
ハマスを「テロ組織」に指定しているEUはハマス政府と接触できない。このため、
「アッバス議長は検問所の治安権限を自治政府から議長府へ移すことで既存合意の枠組みを守ろうとしている」(監視団報道官)という。
ルデイネ議長顧問は「保安機関を実質的に支配しているのはファタハだ。新長官の任命は組織の円滑な運営に欠かせない。
基本法(憲法)に基づく議長権限による任命であり、何ら問題はない」と説明している。
これに対し、「従来通り、政府がすべての治安権限を掌握すべきだ」(ハマド報道官)と主張するハマスは不満を募らせている。
だが、その矛先はアッバス議長やファタハにではなく、「治安権限を政府に渡さないよう議長に圧力をかけている」(同)欧米に向けられている。
緊張緩和に向け、ハマスの最高幹部であるハニヤ首相とアッバス議長は7日夜、ガザ市で会談した。
両者は議長府と政府の代表者による協議機関の設置で合意したが、治安権限を巡る溝を埋めるには至らなかった。
一方、援助停止・凍結の「兵糧攻め」でハマスにイスラエル承認などを迫る欧米の動きに対して、
ハニヤ首相は同日夜の記者会見で「民主主義のルールを踏みにじる不当な決定だ」と反発、
「我々の辞書に失敗という言葉はない。4年の任期を全うする」と強気の姿勢を崩さなかった。
ガザ地区南部ラファでは同日夜、イスラエル軍が武装組織幹部の車を空爆し、5歳の子どもや通行人を含む6人が死亡した。
国際社会から暴力停止要求を突き付けられているハマスの幹部は
「挑発行為だ。反撃すれば敵の術中にはまることになるが、手をこまねいていれば政府の地位は地に落ちる」と述べ、対応の難しさを認めた。
毎日新聞 2006年4月8日 21時05分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20060409k0000m030087000c.html 参考?
ガザとエジプト国境検問所ラファについて
ガザから完全に撤退したイスラエル国防軍は、ガザとエジプトとの国境を見張ることが出来なくなりました。
撤退する前は、エジプトから武器が密輸されるため、ガザとの国境にフィラデルフィ・ルートと名付けられたデッドラインを設けて、パトロールを行っていたのです。
パレスチナゲリラはこれに対抗して、フィラデルフィ・ルートに隣接する民家を取り上げて、家の中から穴を掘り、エジプトまでの密輸トンネルを作っていました。
このルートに隣接する家に住む住人は、ゲリラには脅される、その影響でイスラエル国防軍からも威嚇射撃を受けるので、多数が家を放棄して逃げ出しています。
そういう訳で、イスラエル国防軍としては撤退した後の事を考えて、エジプトにしっかりと取締りをしてくれと頼みに頼んでいました。
しかし、国境検問所は閉じたままでしたが、実際にはイスラエル国防軍が撤収すると、ガザとエジプト両方から勝手に越境する人々が絶えませんでした。
イスラエルは国境検問所ラファを国際管理する事を希望していましたが、結局、パレスチナ自治政府が管理し、国際的な監視も行うと発表されましたが、
それまでは、自治政府警察とエジプト国防軍が封鎖するということで、どうやら国境は封鎖されました。
しかし、なんと封鎖前に越境していた人々が帰れなくなると言う事が発生し、どうしようもないので彼らには特別に再度国境を越えさせました。
そして、やっと先週、関係国同士の合意が取れました。それによると、”ラファ国境検問所はパレスチナ自治政府が管理するが、EUが管理体制を監視する。”、
”イスラエルはラファの国境を通過する人々をカメラで監視する事のみ出来る。”、
”荷物の輸送は新たに設置された検問所でイスラエルがチェックを行う。”という事です。
ttp://blogs.yahoo.co.jp/paxjapanecana/rss2.xml