アラブ首長国連邦(UAE)の国営企業が米国内の主要港湾施設を管理する英国企業を買収する計画を
めぐり、米下院歳出委員会は8日、買収を阻止する修正条項を盛り込んだ補正予算案を賛成62、反対2
の圧倒的多数で可決した。議会の反発に配慮して買収の是非の再審査を決定したブッシュ政権の方針を
無視する形での採決に踏み切った。上院には早期採決に慎重論もあるが、両院で可決されればブッシュ
大統領が初の拒否権を発動する事態も予想される。
修正条項は英国企業と買収契約を交わしたドバイ・ポーツ・ワールドに対し、米国内での港湾施設での
管理を禁止する内容。イラク米軍駐留費やハリケーン復興費を柱とする補正予算案に盛り込むことで同予
算案を「人質」にとった格好だ。
ブッシュ政権は先月下旬、議会の強い反発を受け、いったんは了承した買収契約を再審査する方針を
決定。同社も45日間の再審査に合意し、上院では共和党も含めて再審査の間、買収阻止法案の提出を
控えるよう申し合わせてきた。
こうした中、下院委員会が買収阻止に急ぎ動いた背景には、世論の強い反発がある。11月の中間選挙
では依然、テロ対策など安全保障政策が争点になる可能性があり、「港湾の安全」問題が同政策への熱
意を図るバロメーターとなった。
米ABCテレビなどの世論調査では、70%が買収に反対と回答。待ちの姿勢では安全保障政策に不熱
心と映りかねないとの議員心理が働き、採決になだれ込んだのが実情だ。
マクレラン大統領報道官は8日「大統領の姿勢は変わっていない」と述べ、買収阻止の法案が可決され
れば拒否権を行使する姿勢を維持していることを強調、下院との全面対決の様相が浮き彫りとなった。た
だ、上院には再審査中の阻止条項採決は「時期尚早」との意見もあり、下院、上院、ホワイトハウスの綱
引きが激しさを増しそうだ。 毎日新聞 2006年3月9日 23時31分
ソース:毎日新聞
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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060310k0000m030143000c.html】