イラク駐留陸自 撤収「5月完了」断念へ 政府、10次群派遣を検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060311-00000004-san-pol イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊の撤収が大幅にずれ込む見通しであることが十
日、分かった。イラクの治安状況の悪化に伴って主権回復の政治プロセスが流動化し、米
政府が撤収を見合わせるよう求めているためだ。日本政府は陸自撤収の「五月完了」を断
念する方向で、派遣中の部隊の後続となる第十次イラク復興支援群の五月派遣について本
格検討に入った。
日米英豪の四カ国は先月二十四日、ロンドンで外交・防衛当局の実務者協議を開いた後、
部隊撤収の調整を断続的に続けている。イラクでは宗派対立による治安悪化に加え、本格
政府の首相候補でもあるジャアファリ現首相の指導力不足に批判が高まり、本格政府発足
に向けた政治プロセスは混迷を極めている。
こうした事情から米政府は日英両政府に当面、部隊の撤収を見合わせるよう重ねて要求
してきた。英政府はいったんサマワの英軍撤収を四月中旬をメドに開始する意向を固めた
が、その後、開始時期を遅らせる方針に転換した。
このため、日本政府も英軍と歩調を合わせ、陸自の撤収開始を遅らせざるを得ないと判
断。撤収スケジュールの目標にしてきた「五月完了」も断念する見通しで、「撤収時期の
検討も事実上中断している状態」(政府筋)だ。
サマワでは二月から五月までの予定で、陸自の東部方面隊(総監部・東京都練馬区)を
主力とする第九次復興支援群が活動している。日本政府はその期間中に撤収を決めれば九
次群の派遣期間を延長し、増派する百人規模の撤収支援部隊とともに、撤収作業にあたら
せる予定だった。
ただ、英政府はアフガニスタンの派遣部隊の増強などを控え、米政府の意向に反してで
も、四月中の撤収開始に固執しているとの見方もある。その際、日本政府はさらに難しい
判断を迫られることになる。