◇米副大統領誤射 狩猟と政治…微妙な関係
【ニューヨーク=長戸雅子】チェイニー米副大統領が起こした狩猟中の誤射事故について、
米メディアは今のところ、事実関係を淡々と伝えるにとどまっている。今後、事故の公表が
丸一日も遅れたことへの批判が強まったり、チェイニー氏個人の全般的イメージが
損なわれたりすることはあっても、事故そのものが大きな政治問題に発展する可能性は
薄いようにみえる。銃所持自体が合衆国憲法で保障された「自衛の権利」であって、
狩猟が生活文化の一部となっている米社会の特質も垣間見える。
事故は、駐英大使などを輩出したテキサス州の名門、アームストロング家が所有する
狩猟場で起きている。同家は代々、共和党との深いつながりで知られ、昨年十月に
亡くなった当主のトビン・アームストロング氏の葬儀では、同党のチェイニー氏や
ベーカー元国務長官が弔辞を述べている。
大の狩猟好きで知られるチェイニー氏は年に一度は同狩猟場を訪れており、
二年前にもそこを舞台に物議を醸している。
チェイニー氏は自身が座長を務めたエネルギー特別作業班の議事録公開を拒んだことで、
米会計検査院から訴えられた。チェイニー氏は連邦地裁で敗訴して最高裁に上訴した直後、
保守派のスカリア最高裁判事を鴨猟に誘ったと判明し、判事に「圧力をかけたのでは」との
疑惑が持たれた。今回の事故とあわせ、米政治と狩猟の微妙な関係を浮き彫りにしている。
狩猟は米社会では「スポーツ」としても「男性らしさの象徴」としてもとらえられているほか、
個人の自衛権を、憲法がうたう建国以来の伝統とする考え方から銃を保持することを
肯定している、全米ライフル協会(NRA)などの保守層にアピールする手段としても
効果的とみられている。実際、二〇〇四年の大統領選では、銃規制に肯定的とみられた
民主党候補のケリー氏が激戦州での遊説の合間に狩猟を行う姿をメディアに披露したことがある。
これも保守票の取り込みのためと受け止められた。
米ギャラップ社の調査では、銃規制への賛成派は一九九〇年の78%から〇四年には54%に低下。
都市部以外では大半が個人の銃の所持そのものは肯定しているとの調査結果もあり、政治家には
態度を鮮明にしにくいテーマとなっている。
十三日付米紙、ワシントン・ポスト(電子版)によると、米国内での狩猟中の事故はここ十年で
30%減少している。それでも、統計がまとまっている最新の年の二〇〇二年一年間に、
死亡に至った事故が八十九件、負傷者が出た事故が七百六十一件も発生している。なお、
うち二十六件(死亡一件)がウズラ撃ちの際の事故だったという。
ソース(産経新聞)
http://www.sankei.co.jp/news/060214/kok030.htm 関連スレ
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http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1139787637/