「お人柄にじむ53首 皇后さま和歌集、仏で近く初出版」
皇后さまの和歌集「瀬音」が、一月下旬にもフランスで翻訳出版される。歌会始や内外への
ご旅行など折々のお歌から、五十三首を選んでフランス語訳と原文を収録し、注釈も加えた
本格的な歌集で、仏語への翻訳は初めてだ。俳句に比べてフランス社会でなじみの薄い和歌の
調べとポエジー(詩情)を紹介するとともに、お歌を通じて日本の皇室への理解も促すものと
なりそうだ。
「皇后さまの作品は日本の精神性と深遠な個人的経験の出合い、つまり神聖と、自然と
言い換えてもよい創造の結合です」。お歌の魅力をこう語るのは、「瀬音」を出版する
シグナチュラ社のアニエス・タピエ・ドセレーラン社主だ。
皇后さまの作品の仏語訳は、ご講演録「橋をかける−子供時代の読書の思い出」が仏誌
「カイエ・デュ・ジャポン」の九九年春季号に掲載されただけで、単行本の出版はフランスで
初めてだ。社主の三十年来の友人で、アンドレ・マルローの研究で知られる竹本忠雄・
筑波大学名誉教授から皇后さまのお歌を紹介され、一年をかけて準備に奔走。翻訳を竹本氏、
仏語監修を「日本待望論」などの作品をもつ作家オリヴィエ・ジェルマントマ氏に依頼して
出版にこぎつけた。
「フランスでは俳句は知られており、作る人もいますが、和歌は少数の人にしか知られて
いません。皇后さまのお歌を通して、フランス人は和歌という日本の芸術を知るでしょう」と
ドセレーラン氏。とくに感動したのは、皇后さまの母としての思いや福祉へのご関心が
にじむお歌だという。
(※中略)
仏語監修のジェルマントマ氏は、「かねての日本文化への賛歌の念が一段と強くなった。
卑俗になり下がった世の中に対して、人間よ、もっと謙虚になれと教えていただいた」と語る。
翻訳で苦労したのは仏語の響きや微妙な感覚だという。一首だけ収録された長歌にある
「如月」も、古語の語感を伝えるため「二番目の月」と訳した。長歌は特別に詩人の
フランチェスカ・Y・カルーチ氏が、十二音節の韻文であるアレクサンドラン様式で翻訳した。
収録されたお歌は、「瀬音」の原書から選んだ四十七首に別の六首を加えて編集した。
五十三首としたのは、「フランスでは広重の東海道五十三次が有名で親しみやすいため」という。
仏語訳の「WAKA」がフランスにどんな社会的、文学的影響を与えるか。関係者は
楽しみにしている。
(※記事全文は引用元をご参照ください)
引用元:Yahoo!ニュース−産経新聞 (1月4日23時38分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060104-00000001-san-soci 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/ (平成18(2006)年1月4日[水]朝刊)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/04iti002.htm