政府と少数派タミル人の反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の
虎(LTTE)」が対立するスリランカの和平問題で、日本政府が東京
での対話開催を提案していることがわかった。ラジャパクサ大統領
が就任して約1カ月となるスリランカでは和平交渉をめぐる駆け引き
が活発化しており、日本の提案に対する双方の出方が注目される。
同大統領はLTTEに対して強硬派と言われ、ノルウェーが仲介する
現在の和平プロセスを批判してきたが、停戦崩壊で政権が発足直後
からつまずくのを嫌い、柔軟姿勢を見せ始めている。政府は、対話の
場所を「アジアの国」とし、スリランカ国内でしか対話に応じないとして
きたこれまでの立場を撤回した。
今月7日にコロンボを訪問した明石康・日本政府代表(スリランカ復
興支援担当)が日本開催を提案した。大統領はこれを受けて、「アジ
アでの対話」を決めた模様だ。
一方、LTTEのタミルチェルバン政治局長は17日、「最初の対話は
ノルウェーで行われるべきだ」との従来の立場を繰り返し、アジア開催
を拒んだ。ただ、対話の必要性は認め、「開催地の問題は双方の合
意に基づいて決めることだ」と含みをもたせている。
同国では12月初旬、北部ジャフナでLTTEによるとみられる地雷攻
撃で軍兵士14人が死亡する事件が起き、緊張が高まった。大統領
の対応を試す揺さぶりとみられ、停戦を崩壊させかねないとの懸念が
内外に広がっていた。
対話の第1関門である開催地を決めるには、まず互いの和平構想
を明確に示し合う必要がある。
明石氏は「和平は危機に瀕(ひん)し、正念場にある。ただ、大統領
は和平に強い関心を持ち、LTTE側も大統領を『現実主義者』だと称
している。来年1、2月にも日本を対話の場所として提供する用意が
ある。対話では停戦の順守を促したい」と話している。
ソース:朝日
http://www.asahi.com/international/update/1220/003.html