【医師:「タミフルは役に立たなかった」-- ベトナム、鳥インフルエンザ最前線からの報告】
(12月3日、ロンドン)--鳥インフルエンザ感染患者の治療経験を持つベトナム人医師によると、
一般に鳥インフルエンザN5H1型に効果があるとされ、各国で備蓄が進む抗ウイルス薬「タミフル」
は、その治療には全く効果が見られなかったという。
ハノイ熱帯病センターで、H5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスに感染した患者を治療した経験を持つ
医師、ニェン・タン・ヴァン氏によると、WHOガイドラインに沿ってタミフルを処方した患者41人のうち、実際に
症状の改善につながったケースは皆無であったと、ロンドン・サンデー・タイムズとのインタビューで答えた。
その中でヴァン医師は、「(鳥インフルエンザ感染)患者への(タミフル)投与の意義はほとんどなく、実際
は、タミフルはN5H1型治療用ではなく、A型インフルエンザ用の薬でしかない」と述べた。
サンデータイムズによると、こうした意見はイギリスのインフルエンザ汎流行準備政策にも疑問を投げかける
ものだという。イギリス政府から諮問を受けた専門家委員会の責任者である、リアム・ドナルドソン卿は、
現在まで約1500万服用分のタミフル備蓄を指示している。
さらに、ヴァン氏によるとN5H1型の感染者の存命を助ける唯一の手段は、人工呼吸器や人工透析機を
駆使した、肝臓や腎臓などの「主要な臓器の維持」に尽きるという。
WHOは「こうしたアジア各国で、より早期の投与があれば、多少の効果はあったはず」としながらも、「患者へ
の広範囲に渡る成功例ではない」と、タミフルの、この鳥インフルエンザへの効果への疑問を否定してはいない。
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