オランダ最高裁は11月25日、インターネット企業Lycosに対し、プライバシーを
めぐる判例となる判決の中で、顧客の身元を開示するよう言い渡した。
著作権団体は、この判決をインターネットでの音楽や映画の違法な交換を
追跡する方法として賞賛している。
これはオランダにおけるインターネットプライバシーに関するものとしては
最初の判決で、ほかのISPにも広く影響を及ぼすかもしれない。
オランダ最高裁は、Lycosがオンラインの切手商に対する中傷をメンバー
サイトに匿名で書き込んだユーザーの身元を不当に保護しているという
判決を下した。この切手商はeBayのオークションで切手を売買していたが、
買い手をだましたとして起訴されていた。
裁判所文書で「A.ペッサーズ」とのみ記されている原告は2003年、この
中傷により被ったとされる経済的損失を補うためにLycosの顧客の
個人情報を求めてLycosを訴えた。
最高裁の広報担当者、スティーブン・バッカー氏によると、違法行為は
行われていなかったにせよ、損害を被ったというペッサーズ氏の主張は、
Lycosに顧客の氏名と住所を明らかにするよう命ずるのに十分だと
裁判所は判断した。顧客の個人情報は、その顧客に犯罪の容疑が
掛けられていて、警察から要求された場合にのみ公開するべきだという
Lycosの主張は全面的に却下された。
「裁判所はWebサイトに書き込まれた情報は違法であり、ペッサーズ氏に
損害を与えたと認める。ペッサーズ氏は顧客情報の入手に純粋に関心があり、
ほかに情報を入手する方法はない」と判決文にある。
オランダで国際的なエンターテインメント業界を代表するBrain Instituteは
声明で、この判決は、著作権付きのソフトウェア、音楽、映画を
インターネット経由で不法に交換する人々から被った損害の賠償請求を
可能にするものだと述べている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0511/28/news010.html