【パリ17日安倍雅信】フランス警察は17日、3週間に及びアラブ系移民らによる暴動
は終息し、通常状態に戻ったという見解を示した。16日夜から17日明け方にかけての
車への放火は98台で、この数字は、暴動が本格化する前の状態と変わらない数字と
して、フランス全土が元の状態に戻ったとしている。
10月27日にパリ郊外セーヌサンドニ県クリシースボアで、2人のアラブ系の若者が変
電所で感電死したことに端を発した暴動は、フランスでは40年来の規模の暴動となった
11月8日には非常事態令が出され、未成年者の夜間外出禁止令が各地で出され、16日
には、その3カ月延長法案が議会で可決され、現在もいくつかの町で施行されている。
当局の発表では、この3週間で9071台の車が放火などで破壊され、2921人が警察に
身柄を拘束された。ピーク時の11月6日には1408台の車が一晩で焼かれ、非常事態令
が出され、ようやく、沈静化に向かった。フランスでは1968年に左翼学生や労働者によっ
て引き起こされた暴動以来の規模だった。
今回の暴動を主導したアラブ系・アフリカ系移民の若者たちは、学校や町で日常的な
差別を受け、十分な教育もないままに路上で暴行や窃盗、麻薬の密売などを行なう社会
の脱落者たちだった。暴動は、人口の一割に達する600万人のアラブ移民たちが、いつ
までも社会の底辺にとどまることへの苛立ちの表現でもあった。
政府は公共、民間を問わず、移民への差別なく雇用促進を行なっていきたい構えだが、
教育もなく、社会常識もない彼らの雇用拡大は、実際には難しいとされている。今回の
暴動がフランスに突きつけたものは、移民を抱える欧州諸国全体の問題でもある。
2005/11/18 0:13
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/051118-001352.html