14日(現地時間)、トルコとのプレーオフ第2戦を戦うスイス代表一行が、
決戦の地であるイスタンブールに到着した。だが、そこで待っていたのは航空機
整備員による「地獄へようこそ 5−0」とフランス語で書かれたボードと、
大きなトルコ国旗であった。いきなり手厳しい歓迎を受けたスイス代表だが、
その後もさらにエスカレートしたアウエーの洗礼を浴びることになった。
スイス代表の一行はまず、飛行機から降りた後、パスポートコントロールを過ぎる
までに“警備の問題”との理由から約2時間半もの間待たされることになった。そして、
やっとのことでロビーに出ると、多数のトルコサポーターとトルコ国旗にもみくちゃ
にされ、スイス代表のクーン監督に至ってはトルコ国旗を持った空港警備員に追われる
事態に。それまでの2時間半をかけた警備の準備など、見る影もない状況であった。
また、滞在先のホテルに向かう道中では、謀ったように渋滞に巻き込まれ、1時間半の
時間を費やされた。さらに道中とホテルで待ち構えていたトルコサポーターから、
バスに向けて大量の卵を投げつけられるという攻撃を受けた。
これに対し、スイスサッカー協会はトルコサッカー協会に激しい抗議を発した。
また、選手たちがホテルの外に出たくないとの理由から、スイス代表は予定されて
いた練習をキャンセルしたほど、ストレスを感じているようだ。
トルコではこれらの行き過ぎた行動に対し、「恥ずかしい行為」と非難の声も
挙がっている。だが、ここまでエスカレートしたのは、ワールドカップ(W杯)
に行くために相手にプレッシャーとストレスをかけるということもあるが、第1戦が
行われたベルンでの出来事が大きな影響を及ぼしていることも間違いない。
12日に行われたプレーオフ第1戦、試合前のトルコ国歌斉唱時にスイスサポーター
から激しいブーイングが起こった。これをトルコへの冒とくととらえたトルコ人は
多く、トルコ代表のテリム監督も試合後に怒りをあらわにし、メディアでも大きく
取り上げられた。トルコでは国旗、国歌は絶対であり、それに対する冒とくは絶対に
許されない。以前、ガラタサライとリーズがUEFAカップで戦った際、リーズ
サポーターのトルコ国旗を侮辱した行為が発端となり、殺人事件が起こったほどだ。
トルコサッカー協会会長は、W杯出場権の懸かった重要な試合を迎えるにあたり、
サポーターに紳士的な熱い応援を呼び掛けている。トルコサポーターには、自国の
国歌に対しての冒とくが許されないのなら、他国への国歌への冒とくも許されない
ことであり、敬意を払うことが期待されるだろう。また、こうしたピッチ外のこと
ではなく、選手たちがピッチで力を発揮できるよう、試合中90分間の声援が重要と
言える。それこそがトルコがW杯に行くためにサポーターがすべきこと。両国の
緊張感が高まる中、どのような試合が行われるか、観客を含めて注目される。
(スポーツナビ)
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