毎日新聞コラム:世界見てある記
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20051114dde007070001000c.html ローマを代表する観光名所の一つ「ナボーナ広場」は、似顔絵描きや露天商が集まる
所で知られる。ところがローマ市は、あまりの人込みが景観を損なっているとして、
画家らを11月いっぱいで立ち退かせることを決めた。この決定に画家グループや
識者は「ローマ名物が失われてしまう」と抗議運動を展開している。
広場は古代ローマ時代の競技場跡で、中央にある彫刻家ベルニーニの「四大河の噴水」
は有名。画家のほか大道芸人らが集い、観光客や市民で年中にぎわう。
しかし、ベルトローニ・ローマ市長は10月下旬、雑踏状態が進む現状に業を
煮やして「世界で最も美しい場所の一つという名声を取り戻したい」と宣言。
市議会は行商人たちをすべて立ち退かせることを決めた。
美術品でもある噴水や石畳を19世紀当時の姿に完全修復して整然とさせるのが
目的で、偽物ブランド品を売る外国人露天商を排除する狙いもあるといわれる。
似顔絵描きや画家は従来、市から正式な営業許可を受けてきた。そこで市は、
彼らには別の観光名所を代替地としてあっせんすることにしたが、「なぜ私たち
まで排除するのか」とブーイングが沸き起こった。
画家グループは28歳から74歳までの65人で、40年間にわたって広場で
絵を描いてきた人もいるという。夫が30年間、自分は15年間筆を執ってきた
オリビア・タデイさん(53)は「今さらここ以外ではやっていけない。私たちの
生活にかかわる」と怒りながら話した。
カンバスの立てられた石畳には「アーティストを助けて」という抗議文が張られ、
市への反対署名を募るテーブルも置かれた。わずか1週間で、同情する市民や観光客
計1万3000人の署名が集まったという。
地元紙によると、ローマの著名な美術評論家も「画家や行商人を排除することは
広場の生気を奪うことに等しい。広場を『博物館』にすべきではない」と側面支援する。
市は画家グループが穏便に立ち退くよう説得に努めている。画家たちは、12月
初めから来年1月6日にかけて開催される「クリスマスの市」の間は、例年通り広場
をいったん離れるが、その後は戻って来る決意だ。タデイさんは「私たちは絶対に
引かない。体に鎖を巻きつけてでも居座るつもり」と言った。
絵描きさん込みの景観だったのだがなあ。もう一度ナボーナ行きたいなあ。あそこで女房の奴、何回行っただろう。思い出すなあ、あの匂い。異国マンチョたっぷりだったなあ。