【ワシントン=気仙英郎】米国の原子力政策が大きく変わる可能性が出てきた。米下院が
今月九日、使用済み核燃料の再処理工場の建設予算を含む二〇〇六年度(〇五年十月
−〇六年九月)エネルギー歳出予算案を可決し、上院でも可決される見通しになったためだ。
米国では核拡散防止を理由にしてカーター政権以降、使用済み核燃料からプルトニウムを
抽出する再処理を行っていない。それだけに核燃再処理工場の建設は、米国が核廃棄物の永久
埋め立て処分という従来の姿勢を転換し、核燃サイクルの確立に向けた動きとして注目されている。
米下院が可決したエネルギー歳出予算案には、使用済み核燃料の再処理に関して五千万
ドルを計上している。上院の当初の歳出案には、核燃再処理工場建設に対する予算措置は
なかったが、両院協議会での協議の結果、ネバダ州ユッカマウンテンの使用済み高レベル
核燃料処分場向け予算を六億五千万ドルから四億五千万ドルに削減する一方、新たに
核燃サイクルに予算を付けることを決めた。
米国はこれまで、使用済み核燃料を高レベル固体廃棄物として地中に埋設処分する計画を進め、
二〇一〇年のネバダ州ユッカマウンテンの処分場操業を急いできた。
しかし、同処分場をめぐっては、州政府が慎重姿勢を示し、安全性をめぐる議論が訴訟に
持ち込まれているため、米エネルギー省の認可手続きが大幅に遅れている。核燃再処理推進に
向けた予算化は、米議員らのいらだちが反映された形だ。
(略)
http://www.sankei.co.jp/news/051113/morning/13kei002.htm