ストレス解消やシェイプアップを目的に今、ダンスに夢中になる女性が増えている。
個性を求める風潮による趣味・興味の細分化の影響か、とりわけ諸外国の民族舞踊の
ダンススクールが盛況。中でも、表情の演技と迫力ある動きが独特の雰囲気を醸し出す
「インドの古典舞踊」の教室は、そのエキゾチックな雰囲気のとりことなった女性で
あふれている。(津川綾子)
≪地響きとともに≫
「ダン、ダダダダ…」。足裏で激しく床をたたく音が部屋に響き渡る。サリーをまとい、
にこやかな表情を浮かべて時折、目玉をギョロリ。すばやく身を翻したかと思いきや、
すっと動きを止め、繊細な手や表情の演技を織り交ぜる。数分の踊りが終わると、
皆が床にへたり込んだ。
東京・新宿にあるインド舞踊スクール「コンテンポラリーナティヤムカンパニー」では、
インド南部発祥の古典舞踊「バラタ・ナティヤム」(インドのダンス、の意味)のほか、
インド映画に出てくるダンスや、インド北部の民族舞踊から発展したディスコダンス
「バングラ」を教える。生徒数は主婦やOLから子供まで約120人。「楽しくてストレスも
発散できる。適度に難しいのでうまくいったときには達成感があります」と主婦の
石山知世さん(52)。中には男性の姿もあった。(中略)
決して知名度があるわけではないインド舞踊を教室の生徒たちはどうやって知ったのだろうか。
習い始めた動機を聞いてみると、「インド映画が好きだから」(31歳、営業)という
理由のほか、「ダンスの習い事を探していたが、人と同じものは嫌だった」(29歳、
歯科衛生士)、「ちょっと珍しかったので」(21歳、学生)という声が多数あった。
「目的(シェイプアップなど)は同じでも、人とは違うもので」−こんなニーズの広がりを
反映し、ダンス教室の種類は増えている。情報誌「ケイコとマナブ」(リクルート)に
掲載されているダンスの種類を数えると、バリ舞踊、ベリーダンス、サルサ…ざっと
20種ほど。同誌の古川智子編集長は「確かにダンス教室はどんどん多様化しているが、
おけいこ事の細分化傾向はダンスに限ったものではない」と話す。
その理由については、「英会話、フラワーアレンジメント、料理といった“御三家”を
経験した後、『次にやるなら個性的なものを』と考える女性が増えていることが一つ。
また、男性は一つの習い事を深めるが、女性は次々と興味の幅を広げてチャレンジする
傾向があり、そのニーズを受けて習い事のメニューも次々と広がっている」と説明する。
http://www.sankei.co.jp/news/051112/bun042.htm