FBI発表 カネ目的/伊機関から米英へ
【ワシントン=樫山幸夫】米中央情報局(CIA)工作員氏名漏洩(ろうえい)
事件の遠因となった、イラクによるニジェールからのウラン購入という虚偽情報が
イタリア人実業家によって捏造(ねつぞう)され、イタリア情報機関を通じて米英
両国に伝えられていたことが分かった。米連邦捜査局(FBI)は四日、この実業
家が金銭目的でイタリア情報機関にニセ情報を提供したとの捜査結果を明ら
かにした。カネ目当ての一外国人の策謀が米政権を痛撃するスキャンダルに発
展した。
米、伊両国内報道などを通じて判明しているところでは、イタリアの情報機関、
SISMIの協力者である実業家、ロッコ・マルティーノ氏は二〇〇〇年、イラクに
ウランを売却していることを示すニジェール政府の文書をでっち上げ、ローマにある
CIA事務所などに売り込もうとした。
CIA事務所所長は信憑(しんぴょう)性に欠けるとして文書買い取りを拒否し
たものの、同氏はSISMIに持ち込み、SISMIはこれをCIAや英諜報機関の
MI6に伝えた。
文書の出所は明かされておらず、CIAはマルティーノ氏とは別の情報源からだと
解釈。米政府はこれを基に、二〇〇二年にジョセフ・ウィルソン元駐ガボン米大
使を現地に派遣、調査に当たらせ、ウィルソン氏は「信憑性に欠ける」との報告
書を政府に提出した。
だがマルティーノ情報を信用した英政府からもイラクとニジェールの関連を指摘
する情報がもたらされたため、米政府はそれを事実と判断。この疑惑はイラク開
戦直前の二〇〇三年二月のブッシュ米大統領の一般教書演説に盛り込まれ
た。 文書がニジェール政府のレターヘッドに印刷されていたこともSISMIを信用
させる効果を持った。レターヘッドは一九九一年にローマのニジェール大使館から
盗まれたとされる。窃盗にマルティーノ氏がかかわっていたかどうかは不明だ。
(後略)
ソース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051106-00000009-san-int