銃による死者が年間約3万9000人に達する南米ブラジルで、今月23日に、「銃の販売禁止」
についての国民投票が実施される。約1億人以上のブラジル国民が投票の見込みで、政府は
「世界最大級の国民投票」になると主張している。
是非が問われるのは「銃と弾丸の販売禁止」について。日常生活を脅かす銃犯罪の抑制を目指し、
提案された。ブラジルでは16歳以上に国民投票権があり、18─70歳は投票が義務となっている。
ユネスコによると、ブラジルの銃関連の年間死者数は人口10万人当たり21.72人で、世界第2位
の水準。1位はベネズエラで同34.30人だが、人口が1億人を超えるブラジルと、2500万人ほどの
ベネズエラでは、死者の絶対数が違うとしている。
死者が年間3万9000人という数字は、約1時間に4人が死亡している計算。ある非公式な世論調査
では、銃規制を求める人々が多数を占めている。
大都市リオデジャネイロの調査団体によると、ブラジル国内に存在する銃の数は約1700万丁で、
人口約1億8300万人の同国において、国民11人に1人が銃を所持している割合。
銃対策を要求する人々は、銃を規制して5年後に死者数が半減したオーストラリアや、銃による
年間死者数が約30人と、サンパウロの1週間分にも満たない日本を例に出し、犯罪抑制に効果的だと
強調している。
一方、規制反対派は、警察がきちんと機能していない現状では、自分や家族を守るために銃が必要
だと主張。銃を規制したからといって、犯罪が低下することはないと応酬している。
銃を規制することにより、関連産業に従事する約9万人が職を失う恐れがあるとの声もある。このほか、
米国がより多くの銃器を売りつけるため、銃規制でブラジル国内の産業を衰退させることが目的だ、
と推測する団体もある。
ブラジルが2004年に実施した銃の買い戻し計画では、35万丁の拳銃やライフル、散弾銃が回収され、
保健省によれば、死者数は8%低下したという。
URL:
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200510120029.html