「警察密着」のテレビ番組が人気 イラク北部の地方局
2005.08.29
Web posted at: 20:26 JST
- AP
イラク・キルクーク(AP) 散乱する遺体とガラスの破片、血しぶきを浴びた車――悲惨なテロの痕跡が
画面に大きく映し出される。そこには、現場検証に駆け付けたイラク人警官らの姿がある。
イラク北部キルクークのテレビ局が毎週放送し、人気を集める「警察密着」ドキュメンタリーの一場面だ。
番組は、米FOXテレビのレギュラー番組「Cops」をモデルに、1年余り前から放送が始まった。
取材クルーが警官に同行し、事件現場の生の映像を収録する。当初は米軍が企画、
制作をすべて担当したが、今年1月の国民議会選挙後は、地元スタッフの手で作られている。
キルクーク・テレビの責任者、ナセル・ハッサン・モハメド氏によれば、
番組の狙いは「警察が市民の敵でなく、味方であることを理解してもらうこと」。
旧フセイン政権下の「腐敗した」「無能な」「近寄り難い」警察のイメージを一新しようと、
新生警察の活躍ぶりを伝えている。
特に人気が高いのは、視聴者からの電話を生放送で受け付けるコーナーだ。「犯罪行為を目撃した」
「パトロールが不十分だ」などの声が寄せられ、スタジオでは地元警察の幹部らが要望や質問に答える。
短時間の枠として始まったが、現在では毎週30件の電話を扱うまでに拡大。
「フセイン政権時代は、警察に質問したり批判的な発言をしたりすることなど考えられなかった。
それが今は、だれでも直接電話で尋ねることができる。これが自由というものだ」と、モハメド氏は胸を張る。
番組の人気ぶりは当然、武装勢力側の耳にも入る。社員への脅迫は後を絶たず、
モハメド氏自身も昨年、銃撃を受けた。スタジオ周辺には常に厳戒態勢が敷かれている。
だが、スタッフの熱意に揺らぎはない。「夢に描いた自由と民主主義がついに現実となった。
その自由を人々に伝えるのが、われわれの使命だ」――モハメド氏はそう言って、目を輝かせた。
CNN.co.jp:
http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200508290018.html