タイのタクシン首相は21日、恒例の週末ラジオ演説で、
イスラム系住民によると見られる爆弾テロが相次ぐ同国南部のイスラム学校から、
国際テロ組織アル・カーイダの軍事訓練用CDが発見されたことを明らかにした。
CDの内容は不明だが、観光や経済活動などへの影響を懸念するタクシン政権は、
南部情勢に「国際テロ組織は関与していない」と繰り返しており、
CDがアル・カーイダから直接入手したものであれば、従来の主張を覆すことになる。
演説によると、CDは19日、治安当局が南部パッターニ県のイスラム学校を捜索した際、
武器・弾薬や、南部の分離独立を呼びかける書類などとともに押収された。軍関係者によると、
書類はアラビア語で書かれていた。また、学校内には軍事訓練用の場所が設けられており、
ココナツの木を標的に見立てた射撃訓練の跡が確認された。首相は、この学校の閉鎖を命じるとともに、
演説では「南部のイスラム教徒は、これが尋常なことではないことを理解して欲しい」と述べ、警告を発した。
学校の所有者は逃亡中という。タクシン首相は、タイ南部のイスラム系住民が、
隣国マレーシアの国境付近で軍事訓練を受けていると指摘。マレーシア政府との関係が悪化したことがあるが、
タイ国内でも訓練が行われていることは、以前から指摘されていた。
タイ南部3県では昨年1月以降、イスラム系住民と、軍や警察との衝突が激化。
南部の分離独立を目指すイスラム系住民によると見られる爆弾テロが頻発しており、600人以上が死亡している。
タクシン政権が、強権手法で鎮静化を試みたため、
多くのイスラム教徒を抱えるインドネシアやマレーシアから批判が続出。タクシン政権は今年3月末、
アナン元首相を委員長とする国民和解委員会を設置し、本格的な対策に乗り出したが、事態収拾には至っていない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050521-00000212-yom-int