「ウズベキスタン:反政府運動止まず 住民の間に不安高まる」
中央アジア・ウズベキスタン東部で反政府運動の収束の見通しがなく、国民の間には
動揺の心情が広がり始めている。厳しい強権体制を敷くカリモフ政権は15日、
東部への治安部隊派遣を増強。報道規制で国の異変を正確に知り得ない首都タシケントの
住民たちは不安を募らせている。
タシケントからの情報によると、市中心部には制服・私服警察官が数多く配置され、
市民が東部アンディジャンの反政府暴動を語り合う光景は見られない。バザール(市場)
にいたアフメトさん(82)は「ここ2、3年、地方の生活は極端に苦しくなった。
首都への出稼ぎが殺到している」と話した。東部の平均月収は約30〜40ドルという。
東部の緊張激化の背景には、住民の生活低下に対する不満がある。
暴動が起きたアンディジャンのある東部フェルガナ渓谷地方を、カリモフ政権は
「イスラム過激派の温床」と指摘してきた。今回の反政府暴動もイスラム過激派の
策動説を理由にして、徹底的に弾圧する構えだ。
フェルガナ地方のナマンガン出身のイスラム神学校学生、ルスタムさん(20)は
アンディジャンの暴動について「皆、平穏に暮らしていた所だ。イスラム教の聖典
コーランは反戦を教えている。誰かが間違った」と語り、暗に政府当局の対応を批判した。
イスラム教への熱烈な信仰の伝統があるフェルガナ地方で起きている反政府運動は、
1898年のアンディジャン蜂起を思い起こさせる。ロシア人入植者に対する住民の
反発が一気に爆発した歴史的事件だ。同じアンディジャンを起点にした抗議運動が今、
東部で広がる気配がある。
衣服販売業のヒロジディンさん(50)は「国内が今後どうなるか、心配したくない。
少なくともこれまでの生活が続けられたらいい」と話した。しかし、アフメトさんは
はっきりと警告した。「あそこ(東部)で起きつつあるのは戦争だ」
引用元:毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/ (2005年5月15日 19時48分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20050516k0000m040068000c.html