パレスチナ自治区ガザにあるユダヤ人入植地を二〇〇五年末までに全面撤去するとの
イスラエル政府の政策に入植者が強く反発、軍勤務や兵役を拒否する動きが強まっている。
ネタニヤフ財務相(元首相)も入植地からの撤退はアラファト・パレスチナ自治政府前議長が死去した後の
パレスチナ情勢を踏まえて実施されるべきだと強硬に主張しており、シャロン政権は苦しい状況に立たされている。
軍勤務などを拒否する活動を始めたのは、イスラエルがエジプトと平和条約を締結した一九七九年以降に、
シナイ半島からイスラエルに移民してきた入植者たち。イスラエル高級紙ハアレツによると、入植者たちは
「シナイ半島から避難してきたわれわれは、またしても別の土地に避難しなければならないのか。
われわれの子弟がイスラエル軍、とりわけエリート精鋭部隊に所属し、
生命を国家にささげている状況が軽んじられている」と反発し、
子、孫の代まで軍勤務や兵役を拒否する姿勢をみせている。ガザ地区には現在、千人前後の入植者たちが居住。
ガザ撤退政策に変更がない場合、こうした動きが本格化する可能性もある。イスラエルでは、
軍勤務や兵役義務(男性三年、女性二年)を拒否した場合、厳罰の対象となる。イスラエル軍が〇二年春、
ヨルダン川西岸に大規模侵攻した「防御の盾」作戦時には、多数のイスラエル市民が徴兵を拒否し、処罰された。
ガザ撤退政策をめぐっては、ネタニヤフ財務相が強硬に反発。
撤退政策が先月二十六日に国会(クネセト)で承認された後も「国民投票」の実施を訴え辞任を示唆したほか、
アラファト前議長が死去した十一日には、「“アラファトの死”は(ガザ地区で)新しい状況を作り出す。
われわれは撤退を急ぐべきではない」と主張し、シャロン首相に撤退政策の再考を迫っている。
一方、首相側は、ネタニヤフ財務相への名指しは避けながらも、
「ブッシュ米大統領との合意を葬ろうとする者は、対案を出すべきだ」と反論している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041115-00000007-san-int