『中東研究 第513号』(財団法人中東調査会・2012)、pp.94-98 より
http://www.fujisan.co.jp/product/1281683849/ http://img.fujisan.co.jp/images/products/1281683849_l.jpg > オマーンは国王が首相、外相、国防相、財務相を兼任する絶対君主制であり、
> 2011年まで議会に立法権はなく、報道自由度は178ヶ国中124位と、メディアも
> 厳しく規制されている国である。しかしながら、オマーンで発生した抗議活動は
> 大きな盛り上がりを見せることなく沈静化していった。
> 抗議者の大半は国王に対する忠誠を表明し、問題があるのは閣僚であって
> 国王に対する批判はしていないことを抗議活動の中で繰り返し主張している。
> ……(中略)……一部の興奮した抗議者が「体制転覆」を唱える場面もあったが、
> 他の抗議者がすぐにそれを修正し、抗議活動の目的は「体制転覆」ではなく
> 「体制改革」にあることを強調していた。
> 抗議活動を受けて政府が実際に行った改革は、汚職閣僚として糾弾された
> 経済閣僚を含む多数の閣僚の更迭、諮問議会議員からの閣僚選出、議会
> への立法権・監査権の付与、検察機関の独立、国家行財政検査院の改組、
> 地方議会の設立といった政治改革から、求職者手当の支給、最低賃金の
> 引き上げ、年金等の社会保障手当の増額、5万人分の雇用創出(政府部門
> 3万5千人: 民間部門1万5千人)、消費者保護庁の設立、結婚基金の創設、
> 奨学金の増額、国立大学の新設、イスラム銀行の設立許可といった社会・
> 経済改革が主なものとして挙げられる。