★米下院慰安婦決議 批判を直視し誠実な対応を
第二次大戦時の従軍慰安婦問題をめぐり米下院外交委員会が、日本政府に公式謝罪などを
求める決議案を可決した。
決議は「慰安婦制度は日本政府による強制的な売春」「現在の日本には問題を軽視しよう
とする教科書や世論もある」と指摘したうえで「公式声明で首相が謝罪すれば今後、
問題が再燃するのを防げるだろう」などとしている。
当初の決議案と比べ謝罪要求の表現を和らげる修正が施されたが、基本は何ら変わらない。
人権問題に対する米議会のメッセージであり、従軍慰安婦問題への日本政府の対応を強く批判している。
同じような決議案が昨年九月に外交委員会で可決されたのに続いて二回目だ。前回はその後
廃案になった。今回は共同提案者が下院定数の3分の1を超えるまでに広がった。議決が39対2
という大差となったのは予想を超える事態だ。
決議に法的な拘束力があるわけではないが、日本政府の誠実な対応を正面から問いかけている。
米議会の意思として直視する必要がある。
そのうえで国際社会に向けて丁寧な説明を尽くすことが重要だ。合わせて歴史的検証について
追究することも欠かせない。
歴代内閣は慰安婦問題で「おわびと反省」を表明した1993年の河野官房長官談話を継承している。
アジア平和基金をつくり償いもしてきた。安倍晋三首相も河野談話の継承を明言している。
にもかかわらず、安倍首相の姿勢にはあいまいさがぬぐえない。
一貫性のある明解な説明がないため理解を十分得られていないのだ。
それが端的に表れたのが今年三月、慰安婦動員についての
「狭義の強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」などとする発言だ。
この発言にアジア各国などから反発と不信の声が上がったのは当然だ。
米国でも主要紙が首相発言を批判する社説を掲載した。
下院での決議案論議を刺激することになったのは否めない。 (続く)
愛媛新聞社
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200706280513.html