>>510の続き
ティル少年を拉致した二名は、すぐさま逮捕されます。異常な事態がおきたのは裁判の過程でです。ミシシッピ州の
刑事裁判は陪審員制で行われます。この陪審員選定の過程で、黒人はすべて除外されました。黒人が陪審員になる
どころではなく、裁判所自体、劣悪で汚い「黒人席」ときれいな「白人席」がはっきりとわかれていたのです。
そして陪審員が討議に入る前、この事件を担当した判事は、何とこう言ったのでした。「誇りあるアングロ・サクソンに
属する陪審員の方々はティルが行ったことの重大さをよくご存じであろう」。つまり越えてはならない一線を越えたから
ティルの殺害は自業自得だ、むしろ被告の行為は尊き血を守ったとして讃えられるべきだ、と言ったのです。そうして
下された評決は被告無罪でした。
これに怒ったのはシカゴにいるティル少年の母親です。彼女は「ミシシッピの残虐さを全米の人びとに知ってもらるため」に、
棺を開け、叩きつぶされたティル少年の顔が見える形で葬儀を行います。さらには黒人向けの雑誌Jetにティル少年の
顔の写真の掲載を許可しました。(年配の黒人の方々の多くはこれを見たときの衝撃をいまでもわすれていらっしゃいません)。
汚い手口で殺された彼の墓はシカゴ近郊にあります。
(以下略)
http://www.fujinaga.org/r_and_b_politics/chapter04/vol_4_07/vol_4_7.htm