★ニュータリバン復活だ!夢見る黒ターバン★G

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10黒ターバン
 和夫氏は,日帝時代によく見られた,慶尚道地方の日本人地主だった。地主とはいう
ものの,和夫の家族は日本政府の朝鮮移住政策にしたがって,乗り気ではなかった朝鮮
生活を始めたものだ。公務員だった和夫は,政府の命令にしたがって仕方なく朝鮮へ
赴任したのだ。そのころの日本は,一種の軍事独裁体制で,政府の命令に従わなけれ
ばすぐに売国奴として排斥されそうな雰囲気があったという。

 当時,朝鮮にいた日本人地主のなかには,朝鮮人の小作人たちから,法の規定以上の
小作料を取り立てる,怪しからぬ人々もいたが,ふだんから人情味の厚かった和夫は,
小作料を収穫全体の十分の一とし,村人たちを家族のようにみなして喜びも悲しみもとも
にした。自分たちの生活が困らなかったので,総督府の法令にしたがって,やむをえず
受け取らなければならない最小限の小作料だけをとったのだった。