708 :
1:2014/03/09(日) 19:53:30.08 ID:40pFm5L90
「おーい、厨房でいちゃついてんじゃないわよ。そういうのは外でやんなさい。ていうか出て行け」
そんな俺たちにいろっぽいお姉さんが呆れ顔で声をかけてきたので、すみませんと謝って移動した。
「……えーと、どうしようか」
「そ、そうですね……」
「んー、じゃあちょっとそこらへん見て回る?
こないだの時は近野に連れられてきただけだからよく見物しなかったし」
「じゃあ、案内しますね」
ということでデートすることになった。
まあ、しかし一言で言うと、現実で街を案内してもらうのとはやはり勝手が違っていた。
だってここは幽世。別名、鏡の世界であるアストラル領域。
物質世界ではないので、決まった細かい街並みと言うのが無い訳である。
行きたいところには行けるし、しかしいけない所にはいけない。といううまく説明できない変な法則がある。
まあ、なので言われるままに色々とついていったわけだが、イメージ的には京都っぽかった。
色んな店があり、お代はいらずに好きな物を買う事が出来た。といっても、それは当然現世には持ち込めない。
持っていきたければ、こちらで手に入れた者と同じものをあちらで探す、という前にもやった事を行う、とそんなかんじだろう。
しかしそれでも、無駄では決してない。
こっちで食べるお菓子とかも、とても美味しかったし、すごい変な味のも色々とあった。
現世では絶対に食べる勇気が起きないような爬虫類の串焼きとか。
あとお酒とか。現世では酒はあまり飲まないタイプだけど、こちらのはとても美味しかった。
あとは、服とか。
思うだけで色んな服装に変身できるのだが、実際にこれはうまくイメージ出来ないと中々に成功しないし、前にも書いたけど周囲のイメージに勝手に流されることがある。
だけど、服を「着る」というイメージ、行動を経てならそれは実に確固としたイメージを保つことが出来た。
そして、九栗にも服を買ってあげたりした。
狐っ娘といえばなぜか巫女服ってイメージが強いので、巫女服っぽい服を。
試着室で着替えのシーンを覗いたりするのは基本ですよね。基本です。
「……もう、覗きとか駄目ですよ」
「ごめん。でもやっぱりそういうのって見たくなるし……」
「あ、あとからいくらでも、その、見れるんですから自重してください」
「そうはいっても、シチュというものがね……いや、ごめんなさい俺が悪かったです」
賭場もあったので行ってみる。
「なんでラスベガスみたいな光景なの。ここ和風だよね。いやもうあいつの趣味に突っ込み入れるの無駄だと思うけど」
めっちゃ洋風だった。
709 :
1:2014/03/09(日) 19:54:29.52 ID:40pFm5L90
そんなこんなで色々とうろついた後で、俺はちょっと九栗に提案してみる。
「街の外に行ってみる?」
街も楽しいけど、幽世旅行ではアホみたいに壮大な風景を見るのも乙なのだ。
現世ではそこにいくには大金と時間と労力がかかるような場所。
たとえばグランドキャニオンとか、たとえばジャングルとか。
そういうところもいいよね、と思ったのだ。
しかし……
その俺の言葉に、九栗は黙って首を横に振る。
「私、ここを出ていくことは出来ないんです」
「……え?」
予想外の言葉だった。
織姫はよく外に出て行ったりしてるらしいし、現世にも行っていると聞く。
だから、てっきり九栗も自在に出歩けると思っていたのだが……
「ほら、近野様が言ってませんでした? 自分は女衒だと」
「確かに言ってたけど……」
そこまで言って思い出す。
女衒と言うのは、つまり……
女性を商品として扱い、客に出す。
それは女性を商品として管理する事。
女衒に管理されている女の子が、その縄張りから出られる……はずがない。
「……」
俺は黙り込んでしまう。その沈黙を、九栗は肯定する。
「私は近野左近児様の所有物。あの方が幽世での虚ろな生を彩り楽しむための玩具。
あの方が、貴方を面白いものとして意味と価値を見出しているから、だから……」
「こうやって……俺と?」
「……」
黙る九栗。それは無言の肯定だった。
710 :
1:2014/03/09(日) 19:55:30.69 ID:40pFm5L90
俺の心に怒りの火が灯る。
つまり、あれか。
俺たちは、近野にとって映画かドラマか何かか。
俺たちを見て、ポップコーン片手に笑ったりしてるわけか。
俺にとって、お前たちは夢の登場人物かもしれない。しかしだからといって、玩弄したつもりはない。
ものすごいリアリティをもって接してくるみんなを、対等だと思ってきた。
だけどお前は、俺を、そして彼女を玩弄するのか。
そう思うと、なんというかいてもたってもいられなくなった。
「九栗ちゃん、ここから出たいの? それとも出たくないの?」
「え……?」
「正直な気持ちを聞かせてほしい。
このままでもいい、出て行きたくない、とかならこのまま俺も何もしない。
また会いにも来るし、仲良くしていきたいから。
だけど、もし……もし、ここから出たいと、いやだとちょっとでも思っているなら……」
これはただのおせっかいかもしれない。俺のエゴかもしれない。だけど……
はっきりと言った。
「俺が、お前をここから連れ出してやる」
「……」
その言葉に、九栗はうろたえる。
どう答えればいいのかわからないようで、いばしおろおろした後……
「……1さんの話、面白かったです」
この間、たしかに色々と話をした。
「……私……」
「……」
「……外が、見たいです。あなたと一緒に」
瞳を潤ませて言う。
その瞬間、俺の心は決まった。
711 :
1:2014/03/09(日) 19:56:16.08 ID:40pFm5L90
九栗を抱き寄せ、そして強くイメージする。
イメージの物質化。幽世から物を持ちだす方法。現世で探す。同じものを。
それは、決して「幽世のものを持ち出すことができない」ということではなくて。
強いイメージで探し求めれば、強いイメージで引き寄せれば、必ず手に入れる事が出来ると言う事だ。
ましてや、幽世と幽世。幽世と現世ほどに隔たりがあるわけではない。
強くイメージする。
瞬間移動じゃおそらく駄目だろう。
だから、扉でも駄目な気がする。
だったら、道だ。俺の世界へと続く、二人が行ける道をつよくイメージする。
動く歩道的な、自動で俺の世界へと導いてくれる道。
そしてそれをイメージしたら、九栗を連れて、その道に立つ。
しかし……
「……っ!」
道が途中で止まる。九栗が動けなくなる。
まるで透明な壁に捕まったかのように。
結界に阻まれる、そんなかんじだった。
「くそっ、どうすれば……」
必死に考える。そして思いつく。
結界なら……力技で切り裂けばいい!
イメージする。秋葉原の武器屋で手に入れた、草薙剣。あれを手元に呼び寄せる。
そして、一気に空間を切り裂く。
その瞬間、抵抗は嘘のようになくなり、そしてそのまま、俺たちは俺の世界、あの山へと向かった。
712 :
1:2014/03/09(日) 19:57:34.22 ID:40pFm5L90
「ここが……」
「ああ、俺の世界だよ」
「綺麗な所ですね」
茂る木々を見回して九栗が感嘆の声を上げる。なんか妙に恥ずかしい。
「そして、その……こりからは九栗ちゃんの世界にも、なるといいと思ってるんだが」
「えっ……」
「いく所、無いだろ。織姫も鈴姫もAIBOもいるし、さ」
「いいんですか……?」
「ああ。あいつらも、行く場所の無い奴を放り出すような奴らじゃないよ」
「……はい。その、お願いします」
「ああ。じゃ、部屋決めないといけないな。と言っても、決めるっていうか作るだけど」
そして屋敷に案内。
部屋を一つ増築して、九栗の部屋にする。
あとはもう、なんというか。
しっぽりといたしたわけです。
買ってあげた服を脱がして、舐めたり舐められたりして、じっくりたっぷりと。
三回ぐらいやりました。
正面から、後ろから、そして後ろから抱きかかえて、あと騎乗位で。
やり終わって服を着て、休憩していたら……
「何を連れてきたのかと思えば……」
織姫さん登場。
なんか仁王立ちしていた。
思わず正座する俺と九栗だった。
713 :
1:2014/03/09(日) 19:58:34.69 ID:40pFm5L90
「この女垂らしが。はあ、まあ別にそれについてとやかく言うつもりはないがな。
鈴姫の事でもう慣れたわ」
その言葉に鈴姫が言う。
「えっ、でも私してもらってないですよ?」
「されたいのか?」
「いや、そういうわけでも……ありますけど」
「だそうだ。よかったなこの童女趣味淫乱野郎」
すごいじと目でこっちを見る織姫。めっちゃ怖いです。
いかなる反論も出来そうになかった。俺は別に童女趣味ではないのに。
「しかし」
織姫は腕を組みも頭を振る。
「厄介なことになったぞ……阿呆が」
「? 厄介って何の……」
その時、陽気な第三者の声が屋敷に響いた。
「おっじゃまっしま〜〜〜す♪」
「!?」
その声には、そして現れたその姿には覚えがあった。
今まで一度も、ここに来たことの無い男の姿。
714 :
1:2014/03/09(日) 19:59:32.74 ID:40pFm5L90
「近野……」
「いえーす。僕やで。お招きいただきありがとう、ってところやな」
「招いたつもりはない、この化け狐め。ここは私と1の世界だ。とっとと帰れ!」
織姫が睨みつける。しかし近野は涼しい顔だった。
「はあ、お熱い事で。僕ちん妬けてまうわ〜。
でもな、今ここに僕がいるってことはどういうことか、わかるやろ?」
「どういうことだ……?」
そこまで言って気づく。
そう、九栗の存在に。九栗を近野の世界から連れ出した、そしてここに連れてきた。
それはつまり……
「そう、その通り。
異物を連れ出して持ってくるっていうのはな、そういうことやねん。
服や道具ならまだしもなあ。いやそれだって厳密にはやっぱり縁が多少はつながるねんけど。
さて、僕の所有物を無断で自分の物にしたその所業の因果がどうなるか。
おめでとう、君と僕はつながった」
近野は笑いながら言った。
「別の言い方をしてみようか。
他人のモノを盗んじゃいけません、地獄に落ちますよ……
そう親に習わなかったか?
そう、君は地獄へと落ちた。盗人の末路ってそういうもんや」
その近野の言い分に、織姫が声を上げる。
「ふざけるな、ただの罠であろうがこの美人局が!
情を移させ、そうせざるを得ない状況にする。性根の腐ったにもほどがあるぞ!」
「はいはい、お嬢ちゃんは黙っといてや。ある意味同じ穴のムジナやろ、仲良くしたいもんやしな。
さて、君は、僕のもんや。
この色欲地獄にして修羅地獄――近野左近児の」
両手をあげ、高らかに言った。
「地獄にようこそ。さあ、踊ろうか、狂い果てるまで!」
715 :
1:2014/03/09(日) 20:00:14.01 ID:40pFm5L90
今回はここまで。もう少し続きます。
……あとから見直すと、当時の自分の言動恥ずかしすぎる。パーフェクトな中二患者だこれ。
夢の中ってこんなもんですよね。
夢日記を小説風に書くもんじゃないですね。恥ずかしい。いろんな意味で。
716 :
名も無き被検体774号+:2014/03/09(日) 22:02:11.67 ID:/RqbeIdaO
おおお、これで地獄にいくんですね…なんか近野さん怖いな。
草薙剣?だっけ?
結界引き裂くって強すぎwww
718 :
1:2014/03/10(月) 00:24:00.68 ID:UvNbQmmX0
>>716 はい、前に言った地獄落とされた話ですね。
彼は色んな意味で怖いでした。
>>717 なにせ自分の世界の結界、だからその気になれば容易に切り裂けるわけですね。
他人様の結界を裂けるかどうかはわかりません。
ていうか自分から無防備になるようなもんですねコレ。
>>718 結界をすり抜けるイメージすれば
切り裂かなくても通れたのでは?
720 :
1:2014/03/10(月) 00:48:16.74 ID:UvNbQmmX0
>>719 かっこよく盛り上がって頭に血が上ってる馬鹿に
そんな冷静で的確な判断が出来たらよかったんですけどね。
嗚呼恥ずかしい。
まさにご指摘通り。自分の所の結界なんだからねぇ……
ワクテカなフラグですねww
近野なかなかいいキャラしてます
けど織姫ちゃんがいながら
>>1は…
童女趣味淫乱野郎!
722 :
名も無き被検体774号+:2014/03/10(月) 05:58:45.88 ID:v6dV8dHv0
こ、この童女趣味淫乱野郎ぉおおお!!!
羨ましくなんかねーからな!!!!!
ロリコンの風上に置きたい
これがロリ魂か
>>1 明晰夢って起きようと思えば起きれるん?
それとも、体が起きるまで寝たまま?
726 :
1:2014/03/10(月) 22:12:54.74 ID:UvNbQmmX0
>>725 織姫と会う前に何度か明晰夢を見た時は
起きようと思えば起きる事が出来ました
まだ幼稚園か小学生のころだったか
あっ夢だ、と思ったらとりあえず階段から飛び降りてみましたね
それで目が覚める
今思うと怖いことしてたな・・・と
もし夢じゃない時に夢と勘違いしてたら
死んでた。
今は明晰夢見たらもったいなくて起きようとは思いませんですよ
保守
728 :
名も無き被検体774号+:2014/03/11(火) 19:13:46.78 ID:KKFXmPw20
また数珠のヒモが切れた。('A`)
オレは呪われているのかゥヮ──。゜(PД`q*)゜。──ン
729 :
名も無き被検体774号+:2014/03/11(火) 20:30:10.27 ID:YsoKKDtv0
>>728 物も考えようって言ってだな
数珠が護ってくれたって
考えたらいい事じゃん?
730 :
1:2014/03/11(火) 23:08:23.89 ID:4kSiQnbI0
>>728 >>729でも言われているようにまた守ってくれたんでしょう
というか二度も守ってくれるなんてよほど相性いいんでしょうね
ほ
732 :
名も無き被検体774号+:2014/03/12(水) 16:52:31.85 ID:PExUtBY+0
し
い
734 :
名も無き被検体774号+:2014/03/12(水) 20:14:04.15 ID:mKzgn/gs0
のか
736 :
忍法帖【Lv=7,xxxP】(1+0:8) :2014/03/12(水) 21:50:16.37 ID:WvtXrMMb0
わろたwwwww
ほ
し
739 :
名も無き被検体774号+:2014/03/13(木) 23:14:41.90 ID:oxz23d7G0
ゅ
>>1の書き込みが無いと心配になる
色情地獄に落とされたか?
741 :
名も無き被検体774号+:2014/03/14(金) 04:00:26.73 ID:hLHLEF7H0
>>1 今回の四国周辺の地震について
織姫何か言ってない?
742 :
名も無き被検体774号+:2014/03/15(土) 03:00:31.59 ID:6S5TJF3n0
ほ
743 :
名も無き被検体774号+:2014/03/15(土) 10:41:44.43 ID:W8MdDlXiO
ろ
よ
745 :
名も無き被検体774号+:2014/03/15(土) 15:52:31.76 ID:jL4dddnz0
い
織
747 :
名も無き被検体774号+:2014/03/15(土) 18:28:45.10 ID:fjniP/MO0
物
748 :
名も無き被検体774号+:2014/03/15(土) 22:30:09.03 ID:jL4dddnz0
出ちゃった
749 :
1:2014/03/15(土) 23:10:01.94 ID:ZG5riAnH0
ちょって忙しくなってなかなか来れなくてすんません
>>740 俺がそんな所に落ちるような人間に見えますか!?
>>741 特に何も
>>749 良かったら姫に南海トラフの事聞いといて
あと、保守
751 :
名も無き被検体774号+:2014/03/16(日) 01:08:32.81 ID:2Ow3yY1q0
みえなくも・・・ない・・だろ・じかく・・・
752 :
名も無き被検体774号+:2014/03/16(日) 08:56:27.08 ID:5ouxYyLp0
和歌山住まいだから地震はものすごく気になる!
こないだの地震もヤバイかと思ったしな。
753 :
名も無き被検体774号+:2014/03/16(日) 11:54:39.50 ID:113UzAg30
初カキコ宜しくお願いします。
>>1さんもしよろしければ、織姫さんに聞いてもらいことがあるのですが、古事記になどに記載されているのですが
天照大神様など初代天皇神武天皇などは存在したのですか?私的に夢があり信じています。
もうひとつあるのですが、私の実家には白龍神が祀られております、白龍神様の詳しい名前までは記載出来ませんが、もし名前が織姫さんや
>>1さんにわかった場合、龍神様を伝って私の世界に来ることとか可能なのですか?
突然、二つの質問申し訳ありませんがどうぞよろしくお願いしますm(__)m
>>754 全く無知で部外者だがレスすまん
天照は存在すると思う
龍神に関しては名前だけじゃなく
容姿とか階層?的なのが詳しく判らないとむりだと思う
人間だって名前だけじゃ相手の家には行けんだろ?
>>754 imimiのリトリーバル日記だとimimiさんはアマテラスと対話してて、
イエスを紹介して、イエスとも対話してたよ
アマテラスとイエスは同じキリスト存在だって言ってた
757 :
名も無き被検体774号+:
ほしゅ