1 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :
待ってたーーー!!
4 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:04:55.53 ID:rsutVxFjP
国王「……お話しするとは言った物の、私もあまり詳しい事は知らないのですよ」
国王「お母様もお父様も……女剣士様も、あまり、お話はして下さらなかった」
国王「こうして……この本を読むと、納得は出来る……のですけど、ね」
僧侶「いえ……」
僧侶「あの……お父様の事は、何か……ありませんでしたか?」
国王「ああ……エルフの姫は、少年と出会った頃には既に」
国王「身籠もっていたようだ、とありましたね」
戦士「僧侶が回復魔法を使えると言う事は……」
国王「ええ。人であることに間違いは無いでしょうけれど」
国王「相手の事までは……」
僧侶「そうですか……」
国王「……エルフの妊娠期間は、とても長いとありました」
国王「勿論、少年の力の干渉等もあったのでしょうけど……」
僧侶「…… ……」
戦士「叔父上」
国王「はい?」
戦士「……この事は、金の髪の勇者様は……ご存じなかった、のですか?」
5 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:24:49.97 ID:rsutVxFjP
国王「……と、思いますよ」
国王「様子を見るに……ですが、しかし」
国王「…… ……」
戦士「叔父上?」
国王「先ほど、この事実を知っていた者は意外と多い、と」
国王「言いましたね」
戦士「え、ええ」
僧侶「盗賊様、鍛冶師様、女剣士様……」
僧侶「港街の神父様、娼婦様……あ、少女、さん」
戦士「それから……エルフの姫、か」
国王「…… ……」
僧侶「国王様?」
国王「……先ほどは言いそびれました」
国王「何時告げようかと迷っている内に……否、言い訳ですね」
戦士「叔父上?」
国王「一人は、船長と言う男の方です」
国王「まだ魔導の街の解放前に……力を貸してくれた、海賊船の船長」
僧侶「海賊……!?」
国王「海があれば船が居る。今も……どこかには……否」
国王「生きていれば、ですけど」
6 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:35:00.59 ID:rsutVxFjP
戦士「お祖母様と同世代であるなら……」
国王「……そうですね。こちらもそれ程記述が無いので」
国王「海賊そのものは今も、存在していると思います」
国王「所属不明の船も、目撃されて居ますしね」
国王「……少年の話が受け継がれているか、それは定かではありませんけど」
僧侶「その方が、どうか……?」
国王「いえ…… ……もう一人、が問題なのです」
戦士「まだ居るのか……」
国王「……私も、兄さんも知っているのですよ」
僧侶「それは……会ったことがある、と言う意味、ですか?」
国王「頻繁にはお会いしていません。ですけど……」
国王「……きっと、兄さんが勇者と魔法使いさんにお話していると思います」
国王「詳しくは後で、彼らに聞いて下さい」
戦士「…… ……誰なんです、それは」
国王「戦士」
戦士「?」
国王「女剣士様に思い人が居た事はご存じでしょうか」
戦士「……親父に聞いた事はあります。生涯独身であられたのは、その人の……」
戦士「所為、と言うか……」
国王「……ええ。私も詳しくは知らないのですけどね」
国王「側近様、と言う方がいらっしゃいました」
僧侶「その方が……もう一人、少年さんの事を知っていらしたと言う……?」
国王「……ええ。お母様とお父様を頼り、金の髪の勇者様を連れて来られたのが」
国王「その、側近様です」
国王「彼は盲目であられましたが、鉱石の洞窟への作戦にも」
国王「金の髪の勇者様と、兄さん、女剣士様と共に」
国王「参加されています」
7 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:45:32.87 ID:rsutVxFjP
僧侶「危険では……!?」
国王「……彼も回復魔法の使い手でした。後方支援で参加されたのですよ」
僧侶「で、でも……」
国王「…… ……」
僧侶「……?」
戦士「叔父上」
国王「……先に、結論から言ってしまいましょう」ハァ
国王「彼の事を正確に……どう説明したら良いのか……」
僧侶「国王様?」
国王「側近様は……『魔王の側近』だったそうなのです」
僧侶「!?」
戦士「金の髪の勇者様は、少年の事は知らなかったのでは無いのですか!?」
国王「どんな事情があったのか、詳しい事を知る事はできません……もう」
国王「ですが、側近様は金の髪の勇者様を連れて、この国に来られた」
国王「そして、『魔王を倒す勇者』として、育てていらした」
僧侶「…… ……ちょ、ちょっと……待って…… ……」
戦士「……僧侶?」
国王「そして、金の髪の勇者様が旅立たれた後。忽然と姿を消してしまわれた」
戦士「!?」
国王「……勇者の母君と同じなのですよ」
僧侶「失礼を承知で、申し上げます……!」
戦士「僧侶……?」
国王「…… ……」
僧侶「側近様が、『魔王の側近』だったなら」
僧侶「……そ、側近様は、人では無いのでは!?」
戦士「!」
国王「…… ……」
僧侶「なのに……なのに、回復魔法が使えた、って……!?」
僧侶「……お、おかしい、です……何故……!?」
8 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:55:46.97 ID:rsutVxFjP
戦士「! ……そうか、魔であるのなら……!!」
国王「……先ほど、貴女の半身が人であろう所以」
国王「本当にエルフなのか、と……問うた所以は、そこなのですよ」
戦士「叔父上!」
国王「……落ち着いて、戦士。もう疑っては居ませんよ」
僧侶「でも……でも……ッ では、魔と人の子であれば」
僧侶「……回復魔法が、使える、と言う事……ですか? ……で、でも……!」
国王「貴女も、落ち着いて下さい僧侶さん」
国王「……側近様は、紛う事無く魔族でいらっしゃった」
国王「ただし、『元人間』の……です」
戦士「元……人間?」
国王「……人、と言うのは、唯一……」
国王「魔へと変じる事のできる、生き物なのだそうですよ」
僧侶「…… ……え?」
戦士「魔へと……変じる?」
国王「はい。側近様は、魔王の力で人から魔へと変じた元人間の魔族」
僧侶「そんな……そんな事が……可能、なのですか……!?」
国王「……その目で確かに見た物を、否定する事は難しいでしょう」
戦士「何故……魔族等に……」
国王「私も、にわかに信じられる話では無いと思いました」
国王「…… ……ですが」
戦士「『世界の裏側を少しだけ』……」
国王「……何より、お母様のお言葉です。疑おうとしても……難しいのですよ」
国王「実際に、見てこられ……残して下さった『世界の裏側』」
国王「紐解く必要がなければ決して開くなと……」
国王「……痛い程、その気持ちが……解りますよ」
9 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 08:56:58.89 ID:rsutVxFjP
ちょっとお買い物にいってきます!
10 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 09:15:14.95 ID:HfAbg77a0
いってら
11 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 10:06:25.61 ID:RseGWigd0
少年よ、アナルを砕け!
>>11 アナル砕けたら人工肛門なってまうやろうが(`・ω・´)
13 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 10:35:07.58 ID:rsutVxFjP
戦士「……女剣士様の思い人が、その……」
戦士「側近様……だと、言うのか?」
国王「……側近様と金の髪の勇者様が居なくなってから」
国王「女剣士様は、あの……勇者と母君がいらっしゃった小屋に、住んでいらした」
戦士「…… ……」
国王「……貴方の名付け親は、女剣士様です」
戦士「聞いて、ます」
国王「目先の疑問に捕らわれすぎて、真実を見失わないで下さい、戦士」
戦士「え……」
僧侶「真実……」
国王「私にも兄さんにも……勿論、貴方達にも」
国王「知らない事が、まだまだあるのでしょう」
国王「……知らなければいけない事も」
僧侶「…… ……」
戦士「やはり……俺達は、魔導国に行かなくてはいけないだろうな」
国王「…… ……」
14 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 10:51:23.92 ID:rsutVxFjP
僧侶「……はい」
国王「決して、無茶はしないと誓って下さい」
戦士「はい、叔父上」
国王「ですが……確かに、貴方達に頼らざるを得ない」
国王「……勇者に言われて、気がつきましたよ」
戦士「え?」
国王「『魔王を倒す事だけが、世界を救う事じゃ無い』と、ね」
僧侶「…… ……」
国王「兄さん達が戻れば、食事にしましょう」
国王「……ああ、そうだ。その前に……見せておきたい物があります」
国王「戦士は見た事がありますね?」
戦士「え……」
僧侶「?」
国王「お母様が作られた魔石、ですよ」
国王「……『世界』から、忘れられて行く、技術です」
……
………
…………
王子「……これだな」
魔法使い「名前、剣士…… ……え!?」
勇者「剣を通して、魔法を使う!?」
王子「属性までは書いていないな……日付は……随分古い」ペラ
魔法使い「ええと…… ……うん、やっぱり……」
魔法使い「……私が、お爺様達に試された少し後、だわ」
15 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 10:57:28.66 ID:rsutVxFjP
勇者「……俺は、選ばなかったけど……」
勇者「魔法使い達に此処で会った時、彼も……確かに居ました」
魔法使い「……廻りを見ている余裕が私には無かったけど……」
勇者「驚いたんだ。俺に……似すぎてて。でも……」
勇者「……どこか懐かしい感じがしたけど、俺は……」
王子「勇者様が選ばなかった、と言う事は」
王子「……運命に選ばれなかった、と言う事です」
王子「何かを企んでいたのか……しかし……」
魔法使い「……でも、もし本当に……剣士が少年だとするなら」
魔法使い「こんな……堂々と…… ……」
王子「しかし……居たんだろう?」
魔法使い「え?」
王子「……『魔導将軍』だ」
勇者「はい……見た目は、人間そのものでした」
勇者「……僧侶も、気がつかなかったみたいだし」
魔法使い「自分と同じに考えちゃ駄目かもしれないけど」
魔法使い「……余裕が無かった、んだと思うわよ」
魔法使い「それに、剣士が魔族なら……魔導将軍も言ってたけど」
魔法使い「魔力を封印してた、とか……」
王子「……魔法使い、そうじゃない」
魔法使い「え?」
王子「……魔王に繋がるだろう者、が……二人同時に居たんだ」
勇者「!」
王子「結託しているとみても不思議じゃ無いだろう」
魔法使い「あ……!」
16 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 11:06:26.48 ID:rsutVxFjP
勇者「……で、でも、剣士の登録は……俺達が随分幼い頃ですよ?」
王子「……見た目は変わっていた、のか?」
魔法使い「! ……幼い頃の記憶は確かじゃ……無いですけど」
魔法使い「……でも、あの頃は『お兄さん』だと思ってた」
勇者「確かに……今は、俺と同じぐらいか……少し上、にしか……」
王子「……それに、俺は闘技大会で『紫の瞳の男』を見ている」
王子「あれは……俺が女剣士様と戦った時だ。忘れもしない」
王子「……金の髪の勇者だと思った。そっくりだったからな」
勇者「その時の、見た目は……」
王子「今の貴方と変わりませんよ、勇者様」
王子「……それに、これだ」パサ
魔法使い「依頼書……?」ペラ
王子「剣士は……ここから依頼を受けて」
王子「鍛冶師の村の傭兵の仕事に出向いている」
勇者「!」
王子「……その、インキュバスの魔石を魔導国へ持ち帰った時期が解らない以上」
王子「決めつける訳にはいかないが……」
魔法使い「剣士が、持ち帰った可能性もある……!」
王子「僧侶の言い分を信じると……随分と力の強い魔族だった様だし」
勇者「…… ……」
王子「……すみません。疑いたい訳では無いのですけど」
魔法使い「いえ……さっきの話、ですよね」
勇者「側近……か。『魔王の側近』だった、盲目の男……」
勇者「……父さんを育てた人で、女剣士様の思い人」
王子「…… ……」
魔法使い「…… ……」
17 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 11:29:51.59 ID:rsutVxFjP
勇者「そして……元人間」
王子「……剣士が、魔王であるとするなら」
王子「様々な属性の魔法が使えるとするなら」
王子「……この記述は、誤魔化し、か……」
魔法使い「……本当に、剣士は……魔王なのかしら」
勇者「それを確かめに行くんだ、魔法使い」
王子「……お母様の残された本を読んでも、解らない事が多すぎる」
王子「それに……魔導将軍が勇者様に残した言葉も」
魔法使い「二人が結託して、此処に居たとするのなら…… ……」
魔法使い「……あれ?」
勇者「どうした?」
魔法使い「剣士が……魔王だとするのなら」
魔法使い「……最果てにある、って言う……魔王の城には……」
魔法使い「魔王は、居ない……の……!?」
王子「その可能性は否定は出来ん。だからこそ」
王子「……魔導国に向かわざるを得ない、んだろう?」
勇者「……はい」
魔法使い「でも……矛盾だらけ、よね」
魔法使い「行動が無茶苦茶すぎて、どこかで行き詰まっちゃうわ」
勇者「本当に迷路に迷い込んだみたいだよな」フゥ
王子「……勇者様の母君も、同じ事仰っていた」
勇者「『世界の裏側を少しだけ知っている』ですか……」
王子「偶然で片付けるには、余りにも……」
魔法使い「……お母様は何処に……」
王子「…… ……」
魔法使い「あ! ……ご免なさい……ッ」
勇者「気にしないで下さい。 ……大丈夫です」
王子「……すみません」
勇者「確かに……心配です。でも……」
勇者「……側近、て人も……忽然と姿を消した、んですよね」
王子「見た訳では無いので……解らないです、けれど」
王子「『居なくなった』と言う点は、同じですね」
18 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 11:39:46.26 ID:rsutVxFjP
勇者(母さん……何処に?)
魔法使い「勇者……」
勇者「……あ、御免」
王子「側近は……俺もよく知ってるんです」
王子「女剣士様が、独身を貫かれたのも……彼が、居たから」
王子「……女剣士様があの小屋で、少しの間住んでいらっしゃったのは」
王子「ご存じでした……か?」
勇者「え……いいえ……」
王子「……少し、血生臭い話になりますけど」
王子「あの場所にいらした時に……魔導国の手の者だと思われる輩に」
王子「襲われて……」
魔法使い「!」
勇者「……」ギュ
魔法使い「勇者……手……」
勇者「……握ってて良いよ。辛いだろ」ギュ
勇者「でも……御免。聞かない選択肢は、無い」
魔法使い「…… ……うん」ギュ
王子「……まだ、今の小屋までの道を作っている途中でした」
王子「昔は違う道があったのですが、そういう危険を回避する為の工事中」
王子「……そんな時に、タイミング良く、ね」
勇者「…… ……」
王子「そこへ……魔物が現れた様なのです」
魔法使い「え!?」
王子「結果として、女剣士様は左腕を失われたが、命は……助かりました」
王子「……同時期に貴方が、母君に連れられてやってきた、のです」
勇者「…… ……でも、俺が覚えて居るあの小屋は」
勇者「とても、綺麗でしたよ?」
魔法使い「そりゃ、掃除、ぐらいは……」
勇者「いや、そうじゃ無くて……なんて言うか」
勇者「凄く、暖かかったよ……なんだろうな」
勇者「…… ……幸せ、だった」
魔法使い「勇者……」
19 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 11:52:48.92 ID:rsutVxFjP
王子「…… ……母の愛、でしょうか」
勇者「そうかもしれません」
勇者「……後で、僧侶と戦士も一緒に、連れて行って下さい」
勇者「僧侶なら……何か解るかもしれない」
魔法使い「……そうね」
王子「…… ……仲間だから、ですか?」
勇者「え?」
王子「すみません。本当に……俺だって、疑いたくは無いんです、でも……!」
魔法使い「…… ……」
王子「エルフの姫、と言う人の特徴とも一致するし」
王子「……確かに、エルフの弓……お母様が差し上げただろう物と」
王子「同じなのだろうと、信じようとは……する、のです……けど」
勇者「……仲間だから、確かに信じています。でも」
勇者「騎士団長様は……側近さんの事も、信じられません……か?」
王子「…… ……信じたい、ですけど、ね」
勇者「俺は……信じます。盲目の身で、父さんを育てて下さった」
王子「…… ……」
勇者「……すみません。中々、そう……簡単には……いかないですよね」
王子「いえ……俺こそ、すみません」
王子「そんな事言い出せば……お母様も、お父様も」
王子「誰も……信じられなく、なってしまう……」
魔法使い「……『大いなる勘違い』」
勇者「魔法使い?」
魔法使い「この……『世界の裏側』を紐解けば」
魔法使い「真実にたどり着くなら……そうするしか無いわよ、勇者」
勇者「……うん」
王子「戻りましょうか。食事を済ませて、取りあえず今できる事の対策を練りましょう」
……
………
…………
20 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 12:21:55.91 ID:rsutVxFjP
剣士「『支配する為の世界』……だと?」
母親「そうよ。この石があれば、人間を従わせる事なんて簡単よ」
剣士「…… ……」
母親「鍛冶師の村で実践済みでしょ?」
剣士「そうして……脅して回るつもりか」
母親「まさか!そんな面倒な事しないわよ」
剣士「…… ……」
母親「……もうすぐ、勇者達が此処に来るはずよ」
剣士「? そんな保証は……」
母親「あると言った、でしょう?」
剣士「……魔石の話と、何の関係がある?」
母親「何の為にあの洞窟を手に入れたと思うの」
剣士「何……?」
母親「何の為に鍛冶師の村の奴らを従わせたと思っているの?」
母親「あの鉱石は、鍛冶師が金の髪の勇者の光の剣を修理するのに使ったのよ」
剣士「…… ……」
母親「光の剣が無いと、魔王は倒せない……のかどうか、知らないけれど」
母親「材料と職人はこの国の手の内にある」
剣士「それだけで……勇者が動くとでも思う、のか?」
母親「動かすのよ」
母親「この、魔寄せの石。街の中にばらまいたらどうなると思う?」
剣士「!」
母親「……貴方は魔法使いと子供を作る」
母親「勇者は、完璧な光の剣を手に入れる」
母親「……そして、勇者に着いていけば良い。魔王を倒せば良い」
剣士「そんなに……上手く行くと思うな」
21 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 12:27:14.38 ID:rsutVxFjP
おひるごはーん
22 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 12:36:14.52 ID:M0A4os9g0
んじゃ、おれもー
23 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 12:58:47.39 ID:HfAbg77a0
そうだな、腹減った
24 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 13:49:03.26 ID:rsutVxFjP
母親「……どうかしら、ね」フフ
剣士「…… ……」
母親「上手く行かないと思えば……行かない物よ」
母親「さっきも言ったでしょう。そうさせれば良い、のよ」
母親「……簡単な話」
コンコン
剣士「…… ……?」
母親「届いたのね」スタスタ
剣士「! ……此処に直接?」
母親「全部じゃ無いわよ……」カチャ
母親「……そこに居て頂戴」
パタン
剣士「…… ……」
剣士(簡単に言う……いくら俺が恩があると言え)
剣士(……従う理由など、無い。何より……)
剣士(俺は、勇者に『選ばれなかった』)
剣士(……だが)
剣士(『魔王を倒す』んだ……『倒さなければならない』んだ)
剣士(……その思いは……消えん)
剣士「…… ……」
剣士(何を……企んでいる……?)
剣士(……何を、隠している)
25 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:06:08.11 ID:rsutVxFjP
スタスタ
剣士(…… ……炎、か)ヒョイ
剣士(確かに……禍々しい、と言えばそうだが)コロコロ
剣士(…… ……)コン
剣士(魔族の物……だと言ったな)
剣士(この石を量産する? ……馬鹿な!)
剣士(…… 世界を作り替える、等と言っていた、が)
剣士(何を支配する気なんだ。何を……)
カチャ
母親「……やっぱり、それに触っても平気なのね」
剣士「どう言う意味だ」
母親「さっき話したでしょ。これは……弱い魔物を寄せ付ける」
母親「惹かれて、離れられなくなるのよ」
剣士「……それが、何だ」
母親「貴方、魔族でしょ?」
剣士「俺、は…… ……」
母親「肯定できないのは解ってるわ。だけど、否定も出来ないでしょう」
母親「見た目も変わらない。あり得ない紫の瞳」
剣士「…… ……」
母親「記憶は無くしているかもしれないけれど」
母親「……貴方は、少年よ」
剣士「違う……ッ」
母親「それも、否定も肯定も出来ない筈よ」
母親「それに触れても、動じない位の力を持つ魔族」
剣士「……黙れ!」
母親「お父様は思い出して貰っては困る、なんて言ってたけど」
剣士「…… ……」
母親「思い出して貰わないと、困るのよ」
剣士「……何故だ。お前達は……何を企んでいる!」
26 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:18:10.94 ID:rsutVxFjP
母親「さっきも言ったじゃ無いの。世界を……」
剣士「支配する者がいれば、支配される者も同時に存在するんだ」
剣士「……お前の言っている事は……」
母親「『私達が支配する世界』にするのよ!」
剣士「……何?」
母親「どうして、金の髪の勇者が魔王を倒したのに」
母親「『世界』から魔が失われなかったと思う?」
剣士「……?」
母親「どうして、魔王が居ない世界に、また勇者が生まれたと思う?」
剣士「……復活した、からだろう」
母親「信じてるの?」
剣士「……何?」
母親「答えは簡単じゃないの」
剣士「……知っている、と言うのか」
母親「教えて欲しい?」ニッ
剣士「…… ……」
母親「肯定は出来ないわよね……まあ、良いわ」
母親「答えは……もうすぐ、金の瞳の少年が持って来る」
剣士「!」
母親「必ず来る、と言ったでしょう」
剣士「……し、しかし」
母親「さっき知らせが届いたわ」
母親「勇者達が今朝、この国に向けて出発した、とね」
剣士「!」
母親「さあ、行くわよ?」
剣士「……何処に」
母親「決まってるでしょう……勇者様をお出迎えに、よ」
剣士「…… ……」
……
………
…………
27 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:33:58.61 ID:rsutVxFjP
勇者「……どう思う」
僧侶「どう考えても……繋がりません」
魔法使い「そうね、話を聞く限り……剣士が……少年が鍵を握ってる……けど」
戦士「……叔父上が見せて下さった魔石も、少年がお祖母様に作り方を」
戦士「教えたのだと……言っていた」
魔法使い「全てが少年に帰結するわ。でも……道筋は矛盾だらけ」
僧侶「……この目で確かめるのが最善には違い無いと思います」
僧侶「でも……」
戦士「とにかく、親父が戻ったら勇者の家へ行こう」
戦士「それから……」
魔法使い「……魔導国、ね」
勇者「ああ」
勇者「……どうにか、戦争にならない様にしないと」
魔法使い「でも……あの人達は、人の言う事なんて聞かないわ」
戦士「…… ……」
カチャ
王子「お待たせしました……準備は宜しいですか?」
勇者「あ……はい!」
王子「……では、行きましょう。ご案内致します」
王子「俺は……入口で待ってますから」
スタスタ
戦士「……親父」
王子「ん? ……なんだ」
戦士「昔、連れて行ってくれようとしていた勇者の家、て言うのが……」
王子「……ああ。今向かっている所、だ」
戦士「…… ……女剣士様が、襲われた場所」
王子「…… ……」
戦士「女剣士様は……お幸せで居られたのだろうか」
28 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:42:47.74 ID:rsutVxFjP
王子「……お前の名を授けてくれたのも、女剣士様だ」
戦士「ああ」
王子「孫の様だと……可愛がって下さって居たよ」
戦士「…… ……」
王子「抱いてやる事が出来ないのが残念だと……言っていたが、な」
戦士(女剣士様の思い人は……魔王の、側近)
戦士(その事実を……勿論、知っていらっしゃった、のだろう)
戦士(……信じて、いらっしゃった、のだろう)
戦士(だが……魔王は……少年。そして、剣士……!?)
僧侶「あ、あの。戦士さん?」
戦士「……あ、ああ……どうした」
僧侶「……信じて下さって、ありがとうございました」
戦士「え?」
僧侶「知らなかったとは言え、側近様の、その……」
僧侶「……そんな、例があると……あの……」
戦士「お前は、仲間だ、僧侶」
戦士「……それに、例を言うのは俺の方だ」
僧侶「え?」
戦士「さっき、叔父上が見せてくれたお祖母様の魔石……」
僧侶「…… ……」
戦士「『とても力強く、俺に似た感じがする』と……」
僧侶「……はい。騎士団長様を見ていても思います」
僧侶「解ります……戦士さんが、とても……その」
僧侶「……良く、似ていらっしゃいます」
戦士「ありがとう……嬉しかった」
僧侶(母を知っていた、盗賊様……)
僧侶(……全てを知って、伝える事は……悩まれたのだろう)
僧侶(だけど……残して下さってありがとうございます)
僧侶(魔王……貴方は、さらに……まだ、知っているのでしょうか?)
29 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:48:29.92 ID:rsutVxFjP
魔法使い「ねえ、僧侶」
僧侶「は、はい!?」
魔法使い「ぼーっとしてると転ぶわよ……いや、あのね」
僧侶「だ、大丈夫ですよ! ……はい?」
魔法使い「……魔導国に行くと、きっと厭な思いをすると思う」
僧侶「え?」
魔法使い「絶対に戦士の傍から離れちゃ駄目よ」
魔法使い「……勇者の事だから、長居はしないと思うけど……」
僧侶「…… ……」
魔法使い「絶対に一人にならないで。約束して」
僧侶「魔法使いさん……」
魔法使い「……お願いよ。大事な……仲間なんだから」
僧侶「……はい。ありがとうございます」
魔法使い(……覚悟を決めるのよ、魔法使い)
魔法使い(私には仲間が居る。勇者が居る……だから)
魔法使い(私は……一人じゃない!)
魔法使い(剣士……折角庇ってくれた、けど……貴方が、もし魔王なら……!)
勇者「魔法使い」
魔法使い「え? ……あ、何?」
勇者「……大丈夫か?」
魔法使い「……平気、って言いたい、けどね」
勇者「…… ……」
魔法使い「ねえ、勇者のお母さんって、どんな人だったの?」
勇者「え? ……なんだよ、こんな時に」
魔法使い「こんな時だから聞きたいのよ。私達だけで……これ以上」
魔法使い「考えられる事も……考えつく事も……」
勇者「……そうだな」
30 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 14:55:27.07 ID:rsutVxFjP
勇者「母さんは……優しい人だ。だけど、何時も寂しそうだったな」
勇者「柔らかく笑って……暖かく包んでくれるような人だった」
勇者「でも、その笑顔が……寂しそうに見える時があった……な」
魔法使い「…… ……」
勇者(母さん……何処に行ってしまったんだ?)
勇者(無事で居るなら、良い。良いんだけど……)
勇者(側近って人も、父さんを送り出して……居なくなった)
勇者(……母さんは、何を知ってたんだ?)
王子「……『世界の裏側を少しだけ』」
勇者「え?」
王子「これだけ様々な情報がありながら、どれも……不鮮明で」
王子「魔法使いも言っていましたが、矛盾だらけです」
王子「……見失わないで下さい」
勇者「…… ……はい」
王子「あれです……俺は、この辺で待ってますから」
勇者「…… ……変わって、ない、な」
スタスタ、カチャ
戦士「……埃は積もっているが……綺麗、だな」
魔法使い「確かに……荒らされたりはしてないみたいね」
僧侶「……不穏な気配は感じられません」
僧侶「寧ろ……優しく包まれるような……大きくて、暖かい……気配がします」
魔法使い「良い家で育ったのね、勇者」
僧侶「……母の愛、ですかね」
勇者「……ありがとう」
戦士「しかし……ならばやはり、自分の意思でどこかへ……?」
31 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:08:35.84 ID:rsutVxFjP
勇者「……母さん…… ……ッ」ズキンッ
戦士「勇者?」
勇者「……ッ」
魔法使い「……勇者!?」タタタ……ッ
勇者「何だ、胸が…… ……ッ」チカッ
僧侶「!? 胸の辺りが……光って…… ……!?」
チカッ ……チカ……ッ
『……う、しゃ……ゆう……しゃ ……』
魔法使い「何か、聞こえる……」
勇者「ペンダントから!? ……この声は、母さん!?」
『ゆ……うしゃ、聞こえる?』
勇者「母さん、母さんだね!?今、どこに……ッ」
『ああ、良かった。通じた……』
『時間が、無いの……だから、良く、 ……き ……て』
魔法使い「ど……どうなってるの!?」
勇者「母さん! 母さん!?」
『……最果て…… ……魔王、 し、ろ…… ……』
スゥ……
僧侶「光が……消えた」
戦士「……どう、言う事だ……!?」
戦士「……最果て……魔王の城……?」
僧侶「……今は、もう何も感じません……」
勇者「母さん……ッ どう言う事だ!?攫われたのか!?」
魔法使い「勇者様、落ち着いて! ……今は?」
僧侶「……お母様の気配だけ、感じます」
僧侶(おかしい……この家には、お母様の守りの力……)
僧侶(暖かい、愛情しか感じないのに……?)
戦士「……最果て、と言ってた……な」
32 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:22:34.60 ID:rsutVxFjP
勇者「…… ……ッ」グッ
魔法使い「勇者……?」
バタンッ
王子「勇者様!? ……戦士!」
戦士「親父!?」
王子「……今、小屋から光が……大丈夫か!?」
僧侶「あ……だ、大丈夫です。あの……」
魔法使い「光…… ……」
勇者「騎士団長様」
王子「は、はい?」
勇者「……すぐに、魔導国に向かう準備を整えて下さい」
王子「……何が、あったのです」
勇者「このペンダントから……母さんの声が聞こえたんだ」
王子「え!?」
勇者「……今どこに、って聞いたら…… ……ッ」
王子「ど、何処に居られるのです!?」
魔法使い「……最果てに。魔王の……城、に」
王子「!?」
僧侶「……でも、他の気配はしないんです!此処には……!」
僧侶「暖かい、大きな気、しか……多分、これはお母様の……」
僧侶「それと、同じ気配しかしないのに、何故……!」
戦士「お前も落ち着け、僧侶……!」
僧侶(何だろう……私、これ……ッ 知って、る!?)
僧侶(……悲しくて、苦しくて……寂しくて、嬉しい)
僧侶(どうして……こんな時に……!!)
王子「……だ、だが……それなら、尚更魔導国に行くのは……」
勇者「……あの国には、剣士が……少年かもしれない男が、いるんでしょう」
王子「…… ……」
勇者「魔王……ッ 許さない……ッ」
魔法使い「勇者……ッ」ギュッ
33 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:28:17.25 ID:rsutVxFjP
王子「……わかりました。急いで、準備させます」
勇者「…… ……すみません」
王子「ですが、早くて明日の朝になると思います」
王子「今日は城で……ゆっくり休んで下さい。良いですね?」
戦士「勇者」
勇者「……はい」
……
………
…………
后「……あら?」
コンコン
使用人「失礼します……后様?」
后「ああ、ありがとう……使用人。相変わらず良い香り」
使用人「……側近様と魔導将軍が頑張って居られるのに」
使用人「暢気にお茶を飲むと言うのも……気が引ける、んですけどね」
后「仕方無いよ、やる事ないもの」
使用人「……どうされたのです?天井……見つめて」
后「んー……私も、さ。お茶貰ったら、魔王の所に行くつもりだったの」
使用人「…… ……今は落ち着いていらっしゃるのでは?」
后「うん……でも、そろそろかなって」
后「此処にいても、肌がピリピリするしね」
使用人「……そう、ですね」
后「……で、勇者に連絡取ってみたの」
使用人「…… ……は?」
后「勇者ーって、話しかけてみたんだけど……切れちゃった」
使用人「…… ……」
后「口、開いてるよ?」
使用人「いや、あ、あの!そんな……あっさり……!」
后「あのペンダント、目印になるでしょ?」
使用人「……目印って。どうやったって見えませんけど」
34 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:33:43.29 ID:rsutVxFjP
后「丁度、始まりの国の、あの小屋に居るみたいだしね」
使用人「……それも普通は解りませんけど」フゥ
后「もう……」
使用人「膨れないで下さい……で、切れた、とは?」
后「急に……魔力が届かなくなっちゃった」
后「……時間、なさそうだしさ。もう、強引に四人とも」
后「呼び寄せちゃおうかなって思ったんだけど」
使用人「……はい?」
后「『まだ駄目』って事なのかなぁ……あ、いただきます」
使用人「…… ……本当に、規格外になってきましたね、后様」
后「『揃って』ないのかなぁ……」
使用人「……聞いてます?」
后「聞いてるよ」
使用人「……なら。いえ……良いです」ハァ
使用人「『揃って無い』……んですか?」
后「解らないけど……でも」
后「……揃って無かった、私達でも……倒せた、もんね」
使用人「…… ……」
后「倒すだけなら、倒せるんだろうな、勇者だもん」
使用人「……また、繰り返します」
后「うん……」
使用人「…… ……」
后「後で……もう一回、やってみる」
使用人「……ん?」
后「え?」
使用人「……北の街に向かってる、って魔導将軍様に」
使用人「仰ってませんでしたか」
后「うん。だから、随分遅いなぁと思ったら」
后「始まりの街に戻ってたんだね」
使用人「な、何故……!?」
35 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:38:45.16 ID:rsutVxFjP
后「そこまでは私にもわかんないわよ」
使用人「……そりゃ、そうですけど」
后「……必要なんでしょ、何かが」
使用人「『腐った世界の腐った不条理を断ち切る為』に、ですか」
后「…… ……多分、ね」
……
………
…………
剣士「……あれか」
母親「よく見えるわね」
剣士「…… ……」
剣士(船長の船に乗って居る時に……鍛えられた、な)
母親「……とうとう、よ」
剣士「……従う気等無いと言ったらどうする」
母親「…… ……」クッ
剣士「何がおかしい?」
母親「答えは勇者が持って来る、と言った筈よ」
剣士「……随分な自信だ」
勇者「! ……あれか……!」
王子「勇者様、あまり身を乗り出されては……!」
戦士「……着いてきて良かったのか、親父」
王子「……『国王の命令』さ」
魔法使い「国王様は……大丈夫なのですか」
僧侶「そうですよ……狙われている、と……」
王子「足が無いと戻れないでしょう?」
勇者「そうですが……」
王子「大丈夫です。騎士は無能ではありません」
36 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:43:56.49 ID:rsutVxFjP
勇者「…… ……」
王子「信じて下さい、勇者様」
王子「俺達も、『仲間』です」
勇者「……はい」
魔法使い「! ……お母様……と、あれは……!!」
戦士「剣士……!!」
僧侶(…… ……)ドキン、ドキン
僧侶(この……胸騒ぎは……何……!?)
僧侶(…… ……今なら、ハッキリ解る……あの人は……!!)
戦士「……僧侶?」
僧侶「あの人……やっぱり、人間じゃありません」
魔法使い「……魔族、なのね」
僧侶「はい…… ……以前会った時は、魔導将軍と同じように」
僧侶「……力を、封印されていたのかもしれません、ね」
王子「……着岸します。気をつけて下さい」
ザザァ…… ……
スタスタ、トン……トン
母親「ようこそいらっしゃいました、勇者様……あら」
母親「騎士団長様まで?」
王子「……王は?」
母親「……代理を仰せつかっています」
王子「…… ……」
剣士(これが、騎士団長……か)
剣士(……勇者。随分逞しくなった)
剣士(こうして間近で……改めてみると)
剣士(本当に……そっくりだ)
37 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 15:49:55.40 ID:rsutVxFjP
勇者(……剣士。俺にそっくりな男)
勇者(父さんにそっくりな男。そして……魔族の、男)
剣士「…… ……」
勇者「…… ……」
王子「では、勇者様方が戻る迄、私は船で待たせていただきます」
母親「あら、その必要はありませんよ。勇者様達はきちんと……」
王子「『王命』ですから。待たせて頂きます」
母親「……まだ、王を名乗られるおつもりですか」
王子「当然ですよ。理不尽な要求に従う義務はありません」
王子「では勇者様。失礼致します」
スタスタ
母親「…… ……」
勇者「用件が済み次第、俺達は魔王の城に向かいます」
勇者「ですから、手短にお願い致します」
母親「…… ……ひとまず、我が家へどうぞ」
剣士(随分とあっさりだな……警戒しておくに越した事はない)
魔法使い「お母様……」
母親「久しぶりね、魔法使い……立派になったわね」
母親「闘技大会から戻らなかった時は心配したけど……」
母親「見事に勇者様のお仲間になれたのね。流石私と父親の娘ね」ニコ
魔法使い「…… ……お爺様は?」
母親「立ち話も、ね。とにかく、案内するわ」
剣士「……勇者」
勇者「な……なんですか」
母親「貴方も行くわよ、剣士」
剣士「…… ……」スタスタ
勇者「…… ……?」
……
………
…………
38 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:12:30.05 ID:rsutVxFjP
父親「魔法使い! ……立派になったな」
魔法使い「……お父様!お爺様は……!」
父親「……まあ、待ちなさい」
父親「貴方が勇者様ですな……確かに、金の瞳をしておられる」
勇者「……初めまして」
母親「魔法使い……本当に良くやったわ」
魔法使い「……こっちは僧侶。それから、戦士よ」
父親「うん……そうか。それで、勇者様」
僧侶(こっちを見ようともしない……)
戦士(……話には聞いていたが、露骨にも程があるな)
勇者「それで……執拗に俺達をこの国へ来させる様に」
勇者「仕向けた理由を聞かせて頂けますか?」
母親「随分な言い様ね」
戦士「……そう言われても仕方無いだろう」
僧侶「どうして、鉱石の洞窟で……始まりの国の騎士団と抗戦までされたのです?」
僧侶「何故そこまでして、あの洞窟を手に入れたかったんですか」
父親「……どうですかな、お二人。あちらの部屋で……」
勇者「父親さん。この二人も俺の仲間です」
勇者「まずはその……邪魔者扱いの様な態度を改めて頂きましょう」
母親「……私達は魔法使いの親よ?」
魔法使い「……それが何だと言うの、お母様」
母親「……魔法使い」
魔法使い「……ッ ゆ、勇者も言ったでしょう!?」
魔法使い「私達は……ッ」
勇者「魔法使い」スッ
魔法使い「勇者……?」
勇者「確かに貴方達は魔法使いのご両親に間違いありません」
勇者「だけど……それが何なのです?」
父親「…… ……」
勇者「母親さんが言った『それが何だと言うのか』と言うお言葉を返したら」
勇者「何と答えられるのですか」
39 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:14:37.12 ID:rsutVxFjP
勇者「母親さんが言った『それが何だと言うのか』と言うお言葉を返したら」
↓
勇者「母親さんが言った様に『私達は勇者一行だぞ』と言うお言葉を返したら」
訂正orz
ゆっくりでいいんだぞ
41 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 16:26:21.30 ID:uV0puzLrP
楽しみにしてたシーンだ
ゆっくりでいいよー
42 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:28:26.97 ID:rsutVxFjP
母親「……わ、私達は王の血筋なのよ!?」
戦士「そんな事を言えば、俺だってそうだ」
母親「……ッ そ……ッ」
勇者「……『劣等種』の癖に、と言いたいのですか」
父親「……始まりの国の国王に、聞いたのですか」
魔法使い「お父様。何を考えていらっしゃるのかわからないけど、もうやめて!」
魔法使い「魔王を倒す為に、勇者が頑張っているのに」
魔法使い「『世界』は平和を望んでいるのに!」
魔法使い「どうして、戦争を起こそうとなんかするの!」
母親「黙りなさい!魔法使い!」
剣士「……だからうまく行く筈など無いと言っただろう」
僧侶「剣士……さん?」
剣士「……『答えは勇者が持って来る』と言っていたな、母親」
勇者「……俺?」
父親「ま、まあまあ……質問にはちゃんと答えよう」
父親「……何も、私達が争うために、勇者様達を呼んだ訳ではないのですよ」
勇者「俺が答えを……って、何です?」
父親「ある程度の情報は知っていらっしゃるとの前提でお話しましょう」
母親「父親……!」
父親「……お前は、あれほど言葉に気をつけろと言っただろう!」
父親「あれを持ってきなさい」
母親「…… ……」
父親「行くんだ、母親!」
母親「……ッ」クルッ スタスタ
戦士「解る様に話して欲しい物だな。俺達には時間が無いんだ」
剣士「…… ……」
父親「単刀直入に申しましょう……貴方達が魔王の城に向かう必要はありませんよ」
43 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:29:23.32 ID:rsutVxFjP
>>40.41
すまんのぅ……ちょっと焦っちゃった
44 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:39:56.46 ID:rsutVxFjP
勇者「は?」
戦士「……どう言う意味だ」
父親「『少年』をご存じでしょう」
魔法使い「……港街の、勇者様」
父親「そうだ……少年は魔族だった。この街に取り入った魔導将軍を殺し」
父親「……当時の領主、お爺様を殺した人物だ」
僧侶「紫の瞳に、闇色の髪を持つ……男性」チラ
剣士「…… ……」
父親「まあ、それは良い……確かに劣等種、等と言う物を」
父親「容認してた私達にも悪い部分はある」
勇者「……その、少年がどうしました」
父親「薄々気付いていらっしゃるでしょう。魔法使いからも聞いている筈だ」チラ
剣士「…… ……」
勇者「歳を取らない、から……魔族だと言いたいのですか」
父親「立派な証拠でしょう。それに……もう一つ」
父親「……紫の瞳、ですよ。こんな瞳は、他に見た事が無い!」
父親「彼は否定しますがね。剣士は……少年に間違い無いのだと」
父親「……私達は信じていますよ」
勇者「しかし……剣士……さん、本人が否定しているんでしょう?」
カチャ
母親「彼にはね、記憶が無いのよ」
僧侶「え!?」
魔法使い「記憶が、無い……?」
戦士「……そんな都合の良い話があるか!」
剣士「その言い分も尤もだろうが……そこは、本当だ」
魔法使い「…… ……何時、から?」
剣士「最初にこの街に来た時には既に……否、もう少し前から、だな」
45 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 16:55:39.99 ID:rsutVxFjP
母親「……これに見覚えはあって?」ゴトン
戦士「石……魔石!?」
僧侶「…… 違います、魔力は感じません」
母親「……? 貴女……?」
魔法使い「まさか、これ……あの洞窟の……!?」
母親「……ええ、そうよ。魔法の鉱石」
母親「騎士団長の息子なら、これを何の為に使うかは解ってるわよね?」
戦士「……光の剣の修理、か」
父親「そうだ。既に鍛冶師の村の職人も押さえてある」
父親「……私達なら、この剣を修理する事ができます。鍛冶師様の居ない今」
父親「これが無いと……お困りでしょう、勇者様?」
勇者「待って下さい。父親さんは、さっき魔王の城に行く必要は無いと言いましたよね?」
勇者「だったら……修理の必要など……」
母親「……続きを、父親」
父親「ああ、失礼。脱線しましたな」
父親「お父様から聞いた話ですが、魔導将軍と言うのはそれはそれは強い男でしてな」
父親「だが、少年は……様々な属性の魔法を用いて、その魔導将軍を」
父親「あっさりと倒してしまった」
父親「……何故そんな事ができたと思います?」
勇者「それほど……少年が強かった、と言いたいのですか」
勇者(……そりゃ、少年は魔王だったから……な)
勇者(しかし……それを、この人達が知っている筈が無い……!)
父親「まあ、そうですな。少年はとても強かった」
父親「それに、加護に捕らわれず魔法を使える等、聞いた事もありません」
戦士「……何が、言いたい?」
母親「……」フフッ
僧侶「な……何がおかしい、のですか」
魔法使い「お母様……?」
父親「……ご存じ無いのですかな?その様子では」
勇者「何が言いたいのですか!」
父親「……髪や肌の色を変える事はできても、瞳の色を変える事はできないのですよ」
46 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 17:04:23.96 ID:rsutVxFjP
勇者「そ……それが何だと言うのです!?」
母親「闘技大会に実際に出たのはね、『姫』と言う娘なのよ」
僧侶「!」
戦士「……何?」
母親「予選までは確かに、その娘は『蒼の瞳』をし、水を操っていたのよ」
母親「だけどね……魔導将軍と対峙した時には、紫の瞳に変わってた」
魔法使い「い、今……瞳の色は変えられないって言ったじゃ無いの!」
母親「そうよ。だから……変わったのは『外見』の方ね」
勇者「! ……姫、の姿に化けた、と言う……のか……」
父親「きちんと証人が居ますよ。紫の瞳の姫は、風の魔法で魔導将軍の手足を切り落とし」
父親「……その後、お爺様の首を切り落としている」
父親「お父様がまだ若かった頃の話だ……そして、紫の瞳の姫は」
父親「この街の全権を手に入れ、港街に支援する事と劣等種の解放を条件に」
父親「権利を、お父様へと返しているんだ」
母親「……実際に話をしたのは少年の方だったらしいけどね」
僧侶「え……」
母親「言ったそうよ? 『少年の言葉は私の言葉。私達は夫婦だから』とね」
僧侶「……夫婦!?」
父親「そう……様々な加護の魔法を操り、己の姿まで変えてしまう……」
父親「しかも、その時に観客席にはちゃんと、少年の姿をした何者か……」
父親「恐らく、少年の魔法により姿を変えられた姫だったのでしょうね」
父親「……それが、居たと言う」
母親「貴方のお祖母様ね。盗賊って人と、一緒に……ね」
戦士「!」
魔法使い「それは……お爺様が……仰っていた、の……」
母親「そうよ……剣士」
剣士「……なんだ」
母親「言ったでしょう?答えは金の瞳の少年が持って来る」
勇者「…… ……」
父親「私達は一つの結論にたどり着いた」
父親「そんな……人智を超えた存在は、一人しかあり得ない」
母親「……少年は、魔王。違うかしら?」
47 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 17:12:55.26 ID:rsutVxFjP
僧侶(姫……お母様!? お母様のお腹には……私が……否、でも!)
僧侶(……私には、間違い無く人間の血が……!)
勇者「……初耳ですね」
父親「嘘を吐かれるのは宜しくないですな」
勇者「では逆にお聞きします。少年が剣士であると言う証拠は?」
勇者「……記憶を無くしていらっしゃるのでしょう。確かめる術はありませんよ」
母親「証拠は揃っていると言った筈よ。それに……良いのかしら」チラ
戦士「……?」
母親「あの国の始まりの王が、魔王の力を借りた……なんて」
母親「醜聞も良いところよ?」ニッ
母親「……まあ、魔族だろう事は間違いは無い。それだけでも充分だけどね」
戦士「とんだ棚上げだな。魔導将軍の力を借り、私設軍隊まで持とうとしていた癖に……!」
父親「おや、よくご存じだ。やはりお祖母様から聞いたのですか」ニヤニヤ
戦士「!」
魔法使い「……そうやって……そうやって鍛冶師の村の人達も脅したのね!」
魔法使い「魔寄せの石まで持ち帰って……!!」
父親「何か勘違いしているね、魔法使い」
魔法使い「え……」
父親「……この鉱石を手に入れたのにも、理由がちゃんとあるんだ」
僧侶「光の剣の修理……ですか」
父親「最初の質問に答えましょう、お仲間さん」
父親「……鍛冶師の村はどうでした?平和だったでしょう?」
父親「あの石があるおかげで、魔物は村まで降りては来ない」
母親「私達はね、魔法の鉱石にあの魔力を移して量産するつもりなのよ」
剣士(手の内を明かす……のか!?)
母親「そうして、大地の要所要所に設置すれば……どう?」
母親「何処の街も、国も……魔物を恐れずに済む様になるのよ」
僧侶「……それは、違います!」
魔法使い「僧侶……?」
48 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 17:24:43.12 ID:rsutVxFjP
僧侶「確かに、暫くは良いでしょう。ですが、魔気を吸い上げた世界は、何れ……!」
僧侶「大地は腐り、花は咲かなくなります!そんな事になったら、大地は……」
僧侶「この『世界』は……!!」
母親「…… ……」
勇者「僧侶……」
父親「まあ、心配はご尤もですな。しかし、大丈夫ですよ」
父親「あれは、鍛冶師の村の聖職者……魔族の作った物ですが」
父親「我らはこの魔法の鉱石に力を移すのです。だから……心配はいりません」
僧侶「そんな筈ありません!その魔力は……!」
勇者「僧侶」
僧侶「……勇者様……」
母親「でも貴方達はその目で見たんでしょう」
母親「……魔寄せの石で、困っている村人は居たの?」
魔法使い「……そ、そんな事を、して……」
母親「今よりも平和になるのよ。魔法使い」
魔法使い「…… ……」
勇者「確かに、魔王を倒すだけが世界を守る事では無いだろう」
戦士「勇者!?」
勇者「……だが、まだ……『魔王の城に行かなくて良い』理由を」
勇者「聞いていませんよ……父親さん」
剣士「……俺にもきちんと、説明して貰おう」
魔法使い「……剣士、さん?」
剣士「お前の両親は、俺に……『魔王を倒さなければならない』と言う俺に」
勇者「!?」
戦士(魔王を……倒さなければならない? ……少年かもしれない)
戦士(魔王かもしれない……剣士が?)
父親「私達も聞かせて頂きたいですね。少年が……魔王なのかどうか、を」
49 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 17:36:51.62 ID:rsutVxFjP
剣士「父親!」
父親「……大きな声を出さないで頂きたいな」
剣士「ならば黙れ。 ……魔法使いの代わりに、勇者に着いていけば良いと」
剣士「……そう言っていたな」
母親「……後にしてちょうだ……」
剣士「答えろ! ……どう言う事だ!」
母親「……ッ」
剣士「話が違うだろう」
勇者「ま、魔法使いの代わりにって……どう言う事だ」
魔法使い「……お母様?お父様!?」
父親「……ッ」
剣士「俺と魔法使いの間に子を作れと言うんだ」
魔法使い「な…… ……ッ!?」
剣士「そうして、俺に勇者の共になれとな」
母親「…… ……」チッ
剣士「黙って居ると思っていたのか」
母親「貴方に悪い話では無かったでしょう!?」
剣士「……従うとは誰も、言っていないがな」
剣士「それに、俺を少年……魔王と言うのならば尚更だ」
剣士「そんな者との間に、我が娘に子を宿せと言うのか?」
父親「…… ……」
勇者「先に、答えて下さい。俺は言いましたよ」
勇者「『知りません』とね」
父親「……もう言っただろう。剣士が少年ならば、最果てに誰も居るはずが無い」
戦士「ならば金の髪の勇者は何を倒した?」
僧侶「そ、そうです! ……魔王は、一度確かに倒されています!」
僧侶「剣士さんが、少年さん……魔王の筈は無い!」
母親「……まるで、見てきたかの様に言うのね、貴女」
僧侶「え……」
50 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 17:48:51.95 ID:rsutVxFjP
勇者「……剣士さんが少年と、魔王と仮定しても、貴方達の行動には」
勇者「矛盾がありますよ」
戦士「……そうだ。光の剣を修理する目的は何だ?」
母親「……黙って!貴女……僧侶と言ったわね。どうして……」
魔法使い「黙るのは貴女よ!お母様!」
母親「……なんですって?」
魔法使い「私は物じゃ無いわ!これ以上、貴方達の言いなりになんて」
魔法使い「ならない!」
母親「……冷静になりなさい、魔法使い!」
母親「貴女には……私達一族の血が……」
魔法使い「血だの優れてるだの、どうでも良いのよ!」
魔法使い「私は私よ!」
勇者「魔法使い!」ギュ!
父親「! ……魔法使い、お前……まさか、勇者様と……?」
僧侶(…… ……ホッとしてはいけない、んでしょうけど)フゥ
僧侶(あの話が、本当ならば、嘘は……)
剣士「…… ……」
剣士(あの蒼い瞳の娘……人では無いな)
剣士(……しかし、流石にそろそろ潮時か……ッ)ズキンッ
剣士(……糞、何だ……こんな時に……ッ)
母親「……お兄様は否定したけど、私は信じてるわよ」
父親「母親!」
母親「魔法使い、良く聞きなさい。私達の祖先はね、最果ての街に住んでいたの」
魔法使い「……な、ん ……え?」
戦士「……最果ての地?」
父親「母親…… ……ッ」ハァ
母親「魔の地に住む事を許された、唯一の人間なのよ!」
母親「何故私達は必ず優れた加護を持って生まれてくると思うの!?」
母親「魔族の血が、どこかで混じっているからに決まっているわ!」
母親「……もっと自信を持ちなさいと、何時も言っていた筈よ、魔法使い!」
母親「私も、お兄様もお父様も貴女も……優れた血を持つ、選ばれし者なのよ!」
51 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 18:06:37.38 ID:rsutVxFjP
戦士(……お兄様?)
魔法使い「…… ……」
僧侶「……あ、あの、魔法使い、さん?」
勇者「魔法使い…… ……」
剣士(…… ……なん、だこれは……ッ)ズキンッ
剣士(何かの、力……?)
母親「勇者とは言え、ただの人間よ!」
母親「魔法使い、貴女は此処に残って、剣士の子を産むの!」
母親「……そして、この『世界』を作り替えるのよ!」
母親「『私達が支配する世界』にね……!」
父親「……母親、落ち着きなさい」ハァ
勇者「アンタ達の目的は……それか……!」ガタンッ
父親「仕方あるまい。私達は選ばれた者には違い無い」
父親「だが……これで計画はパァだ!」
父親「母親、お前の所為で……ッ」
魔法使い「あ……は、は……アハハハハ!」
勇者「ま、魔法使い!?」
母親「何がおかしいの!?」
魔法使い「残念ね、お母様!私にはね、優れた加護なんて無いのよ!」ポロポロ
父親「!?」
母親「な……何を言っているの!貴女は、確かに……!」
魔法使い「……炎よ……ッ ぐ、ぅ……ッ」ボォ、ジュウゥ……!
僧侶「魔法使いさん!」
父親「……な……ッ」
母親「馬鹿な……ッ」
魔法使い「ほら、見てご覧なさい!」
魔法使い「しっかりと火傷の跡がつくわ!」
父親「そんな馬鹿な!あの時、確かに……!」
魔法使い「あの時、震える私に声をかけてくれて、助けてくれたのは」
魔法使い「剣士よ! ……彼が、炎の魔法で相殺してくれただけよ!」
52 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 18:13:46.51 ID:rsutVxFjP
魔法使い「みんな騙されてただけよ!剣士が魔王!?あり得ないわ!」
魔法使い「……私達は選ばれた者なんかじゃ無いのよ!」
魔法使い「だとしたら、私の事はどう説明するの!?」
魔法使い「アンタ達が、『出来損ない』だの『劣等種』だのと」
魔法使い「蔑んだ人達の中に、この家の者だって居たじゃ無いの!」
勇者「魔法使い……!」ギュッ
勇者「……僧侶、回復を……」
僧侶「あ、は、はい……!」パァ
父親「な……な……ッ 剣士、知ってたのか……!?」
剣士「……答える、必要は……な、いだろう」
戦士「……どうした?」
剣士「構う……な。平気だ……ッ」ズキンッ
母親「そ……んな……ッ だ、だから、だから駄目なのよ、だから、炎なんて……!」
母親「……ッ 勇者!光の剣を寄越しなさい!さもなければ……!」
パアアアァァ!
父親「うお……ッ」
母親「きゃあ……ッ」
僧侶(な、に……ッ !? この感じ、この力……は!!)
魔法使い「光……!?」
戦士「僧侶……ッ」
勇者「な……ッ」
剣士「ぅ、う……ッ !?」
剣士(……こ、れは……ッ 魔の気……!?)
剣士(否、しかし……ッ)
シュゥウウウン…… ……
剣士(……ッ ……き、えた……?)
剣士(痛みも、収まった…… ……!?)キョロ
剣士(勇者達が、居ない!?)
53 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 18:17:04.01 ID:rsutVxFjP
父親「な……んだ、今の……は!?」
母親「く……ッ 目が……ッ」
剣士「…… ……?」
ガアアアアァ……ッ
剣士(咆哮……?)
ズシン!グラグラグラ……ッ
母親「きゃ……ッ!?」
父親「な…… !!ゆ、勇者達が居ない!?」
剣士「……上だ!」
母親「え…… ……」
バキバキバキ……ッ ガアアアアアアアアアアアア!
父親「な……ッ!?」
剣士「……!」
ドオオオオオォン!
母親「ひ、ぃっ ……て、天井、から……ッ!!」
剣士「獣……!? 魔物か!?」
剣士(何故……!!)
父親「か、雷よ!」
ピシャアアアアアン!
グルル……グル……!!
剣士(効いていない……!)
54 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 18:19:52.69 ID:rsutVxFjP
ガアアアアアアアアアアアア!!
父親「ぎ、ギヤアアアアアアアアアアアアアア!!」
バキバキ……ッグチャ……!!
母親「あ、あ……あ、ァ……!!」
剣士「逃げろ!」
母親「……こ、腰、腰が……ッ」
剣士「……!炎よ!」ボゥ……!
ギャアア、ギャア!
剣士「……!」タタ……ザシュ!
母親「……ひ、ィぃ……!!」
ギャアアアアアアアアアアアア!
ズゥ……ン…… ……
剣士「…… ……」ハァ
母親「あ…… ……ぁ……」ガタガタガタ
剣士(何処から……来た!? ……上……しかし、上には……)
剣士(! 領主……)タタタ
母親「あ、あ……お、置いて行かないで、よ……!」
剣士「動くな!」
タタタ……
55 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 18:20:54.07 ID:rsutVxFjP
お風呂とご飯!
おつー!
ちょっ、毎度毎度いいとこでwww
ぼちぼちなー
BBAまたいいところで…
剣士は連れていかれなかったなまだ終わらないのか
次世代に続いちゃうのか
58 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 20:09:45.32 ID:uV0puzLrP
ぬあああああまた良いところで笑
いてらー!
59 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:21:20.32 ID:rsutVxFjP
剣士(……領主の部屋……は、此処だったな)
バタン!
剣士「!」
剣士(……床に、穴)
剣士(……領主は……居ないな。食われたか…… ……?)
剣士(血痕が無い…… ……ッ)ハッ
タタ……バタン!
剣士「……!」
剣士(石が、無い!?)
剣士「…… ……」
剣士(さっきの頭痛の原因……そうか……)
スタスタ……
剣士(…… ……)キョロ
剣士(押しつぶされたように、壊れたベッド……)
剣士(…… ……引きちぎられた様な、布……これは)スッ
剣士(…… ……)ハァ
スタスタ、トントン……
母親「あ……ァ……キャアアアアアアア!」
剣士「……俺だ」
母親「あ…… ……」
剣士「メイド達は」
母親「……きょ、今日は……誰も……」
剣士(人払いをしていた、のか……)ハァ
60 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 20:25:16.97 ID:uV0puzLrP
なるほど、雷が効かなかった理由は…
61 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:27:29.11 ID:rsutVxFjP
剣士「……この布に見覚えは?」スッ
母親「え……ぇ……? ……ッ お父様の、夜着…… ……?」
剣士(やはり……か)ハァ
母親「お、お父様は……化け物に!?」
剣士「…… ……」
剣士(……真実を告げるべき、だろうな)
母親「……ッお、お父様……!」
剣士「違う」
母親「え…… ……」
剣士「……それが、領主だろう」スッ
母親「! ……ば、馬鹿な事言わないで!どうして……!!」
剣士「……魔寄せの石とやらは、無くなっていた」
母親「!?」
剣士「先ほどの光……多分……否」
剣士(あれは……随分と強い魔の気だった)
剣士(……あれの正体は分からん……が、恐らく)
剣士(触発されたな。随分……悪意の篭もった代物だった)
剣士「……近くに置きすぎたのだろうな」
母親「……え」
剣士「弱った身は喰らわれ、自我を失い……魔物に成り下がった」
剣士「……推測だがな」
母親「そ……ッ そんな……ッ!?」
剣士「自分の目で確かめてくるが良い」クルッ
母親「ま……待って!何処へ……!」
剣士「……身の丈以上を望んだ罪だ」
剣士「俺が此処に……留まる理由など、無い」
スタスタ
母親「待ちなさい!ま……剣士!」
母親「待って、置いて……置いて、いかないで……!!」
62 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:35:44.19 ID:rsutVxFjP
剣士(……情けをかけてはやれんな)ハァ
剣士(問題は…… ……)
スタスタ
剣士(……勇者達は、何処へ……消えた、か)
剣士(船は……居る。流石にこれだけ離れて居ると、騒ぎには気がついて居ない、か)
剣士「…… ……」ピタ
剣士(騎士団長……だったか?)
剣士「……おい」
王子「! ……あ……ッ!!お前……!」
剣士「騎士団長、だな」
王子「何故、お前が……!?勇者様達は!?」
剣士「……光に飲まれて、消えてしまった」
王子「! ……何をふざけた事を……!」
剣士(まあ……信じられないのも無理は無いか)
剣士「なら、見に来るが良い」
王子「……何?」
剣士「……魔寄せの石をこの国の者が持ち帰った、と言う話は聞いているか」
王子「…… ……」
剣士「その光が発せられて、勇者達が消えた後」
剣士「……どうやら、石の魔力に取り入られたらしい領主が魔物になった」
王子「!?」
剣士「父親……魔法使いの親父は食われ、母親は無事だが……」
剣士「……屋敷は惨状を極める」
王子「……魔物、は?」
剣士「俺が倒した」
王子「…… ……な、何故その魔物が、領主だと解る!」
王子「魔寄せの石を補完していたんだろう!だとすれば……!」
剣士「……雷の魔法が効かなかった」
剣士「後は……見れば解る、だろう」
王子「…… ……何故、それを……俺に教えるんだ」
王子「お前は……少年じゃ無い、のか!?」
剣士「……覚えて居ない」
王子「……は!?」
剣士「望むならば……全て話そう」
63 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:41:49.54 ID:rsutVxFjP
王子「…… ……」
剣士「信じられないのも……無理は無い」
剣士「照明する手立ては何も無い。だが……」
剣士「信じて貰えるのならば、一つ教えて欲しい」
王子「……何を、だ」
剣士「……『世界』を」
王子「!」
剣士「魔寄せの石は無くなっていたが」
剣士「……随分と長く、この国にあったんだろう」
剣士「頭である領主と、その息子が居なくなった今……」
剣士「……この国は混乱に陥るぞ」
王子「……し、しかし……」
剣士「母親を放って置いて良いのか?」
王子「……助けてやる義理は無い」
剣士「捕らえる事はできる。あの女は……懲りん」
王子「! ……お、おい!着いて来い!」
騎士「は……如何なされました?」
王子「……領主の館へ行く…… ……」チラ
剣士「……案内は必要か?」
王子「…… ……」
剣士「…… ……」ハァ
剣士「事が済み次第、俺も拘束するが良い」
王子「!?」
剣士「……構わん。どうせ……何処へも行けん身だ」
王子「お前……」
剣士「剣士、だ……知っている、な」
……
………
…………
64 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:50:16.43 ID:rsutVxFjP
勇者「……う、ぅ……」
魔法使い「勇者!」
僧侶「気付きましたか……」ホッ
戦士「……」
勇者「!! ……みんな……ここ、は……」
后「ごめんね、無茶しちゃった」
勇者「……母さん!」
魔法使い「急に、眩い光に包まれて……気がついたらここにいたの」
僧侶「……そして、この方……貴方のお母様がいらっしゃいました」
僧侶「あの光は……お母様の魔法……だったのですね」
戦士「……転移魔法、と言うそうだ」
勇者「え……でも、それじゃ……ここは……」
后「ここは、最果ての地……魔王の城、だよ」
后「間に合って良かった。まさか魔導国に居るなんて思わなかったから」
后「吃驚したよ」
勇者「どう……いう、事だよ」
勇者「ああ、いや……そんな事より、母さん、無事だったんだね!?」
后「落ち着いて、勇者」クス
魔法使い「……全部、教えて下さる、んですって」
勇者「全部……?」
后「うん、全部。貴方が望む全て……まあ、厭でも知る事になると思うけど、ね」
勇者「! ……あ、剣士は……!?」
后「あの紫の瞳の男性だね……居ないよ。呼んだのは、勇者達だけだもん」
勇者「……ッ ど、どう言う事だ!? 何で、なんで母さんが転移魔法なんて……!」
后「もう、落ち着いてって言ったでしょ」クスクス
后「……無理、な事は解ってるんだけどね……御免ね、勇者」
勇者「な……んで、謝る……んだよ……」
后「んー、勝手に居なくなっちゃって、心配かけた、から?」
后「……それだけじゃ、無いけどね」
后「…… ……取りあえず、移動しながらでも良いかな」
后「時間が、ないの」
勇者「え…… ……」
65 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 20:55:51.16 ID:rsutVxFjP
后「歩きながら話すね……着いてきて」
スタスタ
勇者「…… ……」
僧侶「…… ……」
魔法使い「…… ……」
戦士「…… ……」
后「本当は……勇者には格好良く乗り込んで来て欲しかったんだけどね」
后「本当に……時間が無いんだ」
魔法使い「……時間が無いって、あの……どういう……?」
后「……魔王が、目を覚ます」
勇者「!?」
僧侶「……やはり……魔王は、此処に……居るのですか?」
后「え?」
魔法使い「……さっき、魔導国で……少年が魔王で、剣士が……少年で……」
魔法使い「ええっと…… ……ッ!?」
后「んー、剣士ってあの紫の瞳の人でしょ?」
后「で、少年ってのは……『港街の勇者様』だよね」
戦士「知っているのか……!?」
后「……勿論、知ってるよ……だって」
后「『金の髪の勇者』が倒したもん」
勇者「え!?」
后「……僧侶ちゃんは、気付いてるよね?」
僧侶「……はい」
勇者「何……?」
后「勇者、取り乱さないと約束して」
勇者「…… ……」
后「勇者?」
勇者「……ッ わ、わかった……よ」
66 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 21:09:17.03 ID:rsutVxFjP
后「……少年、は港街の勇者様で、魔王だった」
后「金の髪の勇者……貴方のお父さんは、その魔王……」
后「紫の瞳の魔王を、倒した」
勇者「…… ……じゃあ、なんで俺は……勇者なんだ!?」
勇者「どうして、魔王が……まだ、居るんだ!?」
后「…… ……」
后「それからね……私は、魔族だよ」
僧侶「…… ……」
魔法使い「え!? ……ちょ、ちょっと……僧侶、どういうこと!?」
僧侶「わ、わかりません、わかりません!」
僧侶「でも……でも、確かに、お母様の、気配は……魔族なんです……!!」
戦士「……そうで無ければ、転移魔法、等……だが……!」
戦士「貴女は、勇者の『母』なのだろう!?」
戦士「魔族から、どうして……人間が……『勇者』が……!!」
勇者「な……ん、で……母さん……が……」
勇者(母さんが……魔族!?)
后「一つだけ、確かな事が言える。それは……」
后「貴方が、『勇者』だから。『勇者』は……人間だから」
后「……さ、着いた……開けるよ?」
勇者「母さん!待って、母さん……!」
キィ……
后「紹介するね……側近と、魔導将軍……魔導将軍は、会った事あるよね」
側近「間に合ったか、后…… ……大きくなったな、勇者」
魔導将軍「ハァイ……って、間に合わせた、の間違いでしょ、后」
戦士「……『側近』!?」
僧侶「え……え……!?」
后「……皆、大事な仲間だよ」
魔法使い「……な、か……ま!?」
魔導将軍「忘れちゃったの? ……仲間、って教えてあげたのにぃ」
67 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 21:19:10.89 ID:rsutVxFjP
側近「しかしまぁ……まるっきり魔王にそっくりだな」
魔導将軍「仕方無いわよ、『勇者』だもん」
勇者「な……な……!?」
后「ね?剣士君は……魔王じゃ無かったでしょ」
后「……ほら、あれが……魔王。私の旦那様で……」
后「貴方の、お父さんだよ、勇者」
僧侶(これが……魔王……そして、元、ゆう…しゃ……?)
魔法使い(馬鹿な……ッなんなの、この魔力……ッこんなの、どうやったって……!)
戦士(どういう事だ……三人が……魔王を、押さえ込んでいる……!?)
勇者「う、ぅ………うわああああああああああああああああ!」
后「ああ、もう……取り乱さないでって言ったのに」
側近「いや、無茶だから!」
魔導将軍「后は昔から、さらっと酷いよね」
勇者「ど、どう言う事だよ!どうして……!?」
勇者「どうして、父さんが魔王……な、な……ッ!?」
魔王「……ゥ、ウ……アアアアアアアアアアアアア!!」
ビリビリビリ……ッ
僧侶「うぅ……ッ」
僧侶(これは……ッ 苦しみ……!?)
僧侶(魔王は……苦しんでいる……!?)
魔法使い「……ッ」
魔法使い(胸が痛い……何で……こんなに、切ないの……!)
魔法使い(……魔王、も……なの……?)
戦士「! ……ッ」
戦士(何だ……胸が、締め付けられる……ッ)
戦士(……何故、こんなにも……悲しい、んだ……?)
勇者「これ、が……魔王……この、死体みたいなのが!?」
勇者(これが……魔王。これが……父さん……! 何で、なんで……!)
勇者(何で、俺は……喜んで、居るんだ!?)
68 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 21:29:19.48 ID:rsutVxFjP
后「魔王! ……もうちょっと、もうチョットだけ……待って。ね?」
魔導将軍「后、早く!」
側近「……ッ 解ってても、辛いよなぁ……」
僧侶(どう、言う事……!?三人が……全力の、魔力で……)
魔法使い(魔王を、押さえ込んでる!?でも……ッ)
戦士(魔王は、世界を滅ぼす……こんなにも力があれば、確かに……だがッ)
勇者「お……お前が、『側近』ってどう言う事だ!?」
勇者「それに……お前は、魔王の仲間なんだろう、魔導将軍!」
勇者「か…… ……母さん!何やってんだよ!何で……!!」
魔導将軍「まあ、我慢してちょうだい……魔王様、押さえとかないとさ」
側近「全部吹き飛ばしちまうからなぁ……」
后「大丈夫……少し、話すぐらいは持つから」
后「後は……ちゃんと知って、ね?」
勇者「……ちゃんと……知る……?」
側近「結局使用人ちゃんに丸投げかよ……」
魔導将軍「仕方無いじゃない、ねぇ?」
后「……本当は、ちゃんと説明してあげたい、けどね」
后「…… ……できるだけ、になっちゃうけど」
后「聞いて、勇者」
69 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 21:39:31.65 ID:rsutVxFjP
……
………
…………
魔王「…… ……ん」パチ
魔王(又……此処か)
魔王(……あれ?)
魔王(あれは……勇者!?)
后『勇者!滅びを選ぶなら、それも構わない!それも……ッ』
魔導将軍『それでも、変わる! ……勇者、選ぶのよ!』
側近『……ッ この腐った世界に、光……ッ を!』
魔王『………お前が、勇者か』
バチバチバチッ
勇者『あ、 ……あ……』
バチバチバチッ
魔王『さあ、我が手を取れ』
バチバチバチッ
勇者『………ッ』
バチバチバチッ
魔王『光と闇は、表裏一体。どちらを欠いても存在できぬ』
バチバチバチッ
勇者『……拒否権はないんだな』
魔王『ああ……世界は美しい』
勇者『俺は……魔王を、倒す!』
魔王(違う……! ……ん、何が……違う……!?)
魔王(……でも、駄目だ!駄目なんだ……!)
魔王「そうじゃない……!后、やめろ!」
魔王「魔導将軍!側近……! やめ……!!」
シュゥウン……
紫魔「……む」
魔王「うわぁ!」
シュゥン……
紫魔の側近「……ぅえ」
魔王「おわぁああああ!」
紫魔の側近「お前、煩い」ゴン!
魔王「……いってぇ!」
70 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 21:49:08.55 ID:rsutVxFjP
魔王「側近!紫の瞳の……魔王……」
紫魔「……あれは『過去』だ」
紫魔の側近「しょうがねぇだろ。俺達には『過去』しか見る事はできねぇんだから」
魔王「…… ……いきなり出て来たら、吃驚するだろ」
紫魔「確かに、私達には『過去』しか見る事ができない。だが……」
紫魔の側近「んな事言われてもねぇ。こっちも予測できねぇしな」
紫魔「…… ……聞け、二人とも」
魔王「え……あ、御免」
紫魔「…… ……側近の所為だな」
紫魔の側近「俺!?何で!?」
紫魔「何でも糞も無い。お前が悪い」
紫魔の側近「…… ……理不尽」
魔王「あ、あの……で、何だって?」
紫魔「……私達には『過去』しか見る事ができん。だが……もうすぐ『現実』になる」
魔王「……『現実』……」
紫魔の側近「……宿題は終わったか?勇者」
魔王「……だから、俺は魔王だって……」
紫魔の側近「……俺にとっての魔王様は、こいつだけなんだよ」ポンポン
紫魔「……頭を撫でるな」
紫魔の側近「お前でっかいからねぇ……撫でるのも一苦労だよ」
紫魔「だからやめろと言ってるんだ。聞こえなかったか?」
紫魔の側近「はいはい。かがんでくれると嬉しいんだけどね。楽だし」
紫魔「…… ……人の話を聞け」
魔王「…… ……楽しそう、だよなぁ、何時も」
紫魔の側近「まあ、退屈はしねぇな」
紫魔「……私はお前の玩具では無いぞ」
紫魔の側近「俺は随分お前に色々されたけどね!」
紫魔「忘れたな」
紫魔の側近「しれっとにこっと言うなあああああああああああ!」
71 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:03:33.60 ID:rsutVxFjP
魔王「…… ……」クスクス
紫魔の側近「笑い事じゃねぇよ、全く……」フゥ
紫魔「仕方無い。側近だからな」
紫魔の側近「あーほーう!七割お前です!」
紫魔「そっくりそのまま返すわ!」
魔王「……お、お楽しみの所、申し訳無いんだけどな」クック……
紫魔の側近「……笑いすぎだよ、お前」
魔王「……『現実』になる、ってどう言う事だ?」
紫魔「…… ……聞かねば、解らんか?」
魔王「……勇者が、来た……のか」
紫魔の側近「ああ、そうだそうだ!だから!」
魔王「え!?」
紫魔の側近「……『宿題』だよ、勇者」
魔王「……『特異点』って何だと思う、か」
紫魔の側近「…… ……」
魔王「…… ……御免。俺には……解らない」
紫魔「…… ……」
魔王「でも……上手く言えないんだけど……」
魔王「……俺、『間違えないと思う』んだ」
紫魔の側近「…… ……」フッ
魔王「な、何だよ!?何笑ってんだよ!?」
紫魔の側近「否……お前らしい答えだなぁ、と思って」
魔王「え?」
紫魔「……『特異点』と言うのはな」
紫魔の側近「えぇえ……説明しちゃうの……」
紫魔「黙れ……『時間が無い』んだ」
魔王「……え?」
72 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:07:53.73 ID:rsutVxFjP
紫魔「……特異点、と言うのは」
紫魔「何かを基準と定め、それでは推し量れない事ができて初めて」
紫魔「……その事象、の事をさせる言葉だ」
魔王「…… ……??」
紫魔の側近「お馬鹿さんには解らないってよ」
魔王「う、煩いよ!」
紫魔「……お前は、『間違えて居ない』のだろう」
魔王「…… ……」
紫魔の側近「自信持ちなさい。お前は……『勇者』なんだから」
魔王「『だった』……だろ…… ……うん」
魔王「『大丈夫だ。間違えて居ない』」
紫魔の側近「……ああ。それで良い」
紫魔「…… ……」
魔王「……紫の瞳の魔王……?」
紫魔「…… ……『来た』な」
紫魔の側近「……だな」
魔王「え…… ……ッ」
パアアアア……ッ
魔王(……うぅ……ッ な、んだこれ……ッ)
魔王(光、に……吸い込まれ……ッ)
魔王「『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』」
……
………
…………
やっぱこの2人の絡み好きだ
ついにクライマックス
74 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:16:31.45 ID:rsutVxFjP
后「私達は……『勇者』と旅を共にする仲間だった」
魔導将軍「今でも仲間でしょ」
側近「ちゃちゃ入れんなよ、魔導将軍」
后「……ふふ、で……今の君たちみたいに、魔王の元までたどり着いた」
后「まあ、今回は……ちょーっと、強引な手段使っちゃったけど」
魔導将軍「……ちょっと?」
側近「だから、突っ込むなってば」
后「……特異点。最後まで、はっきりとは見極められなかったな」
魔導将軍「……そうなの?」
戦士「……特異点?」
側近「そうだ。『俺達』と違う所」
魔導将軍「『今まで』と違う所」
后「剣士か……貴女か。私達は、答えを出せなかったの。僧侶ちゃん」
僧侶「……私!?」
側近「そうだ。ハーフエルフの癒やしの娘」
魔導将軍「エルフの姫様の娘、でしょ」
僧侶「!」
后「……『私はお前』『お前は私』『勇者と魔王』『光と闇』は『表裏一体』」
魔法使い「……え?」
魔導将軍「『勇者は、魔王を倒す』」
戦士「!」
側近「『魔王は勇者の光を奪いさる』」
后「そして……『勇者は、魔王の闇を手に入れる』」
勇者「……な……ッ 何が言いたいんだよ!母さん!」
75 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:23:46.97 ID:rsutVxFjP
后「私達は、こうして、今の貴方達と同じように」
后「……良く解らない言葉の羅列を聞かされた」
后「私は……水の癒し手『僧侶』」
僧侶「!」
魔導将軍「炎の『魔法使い』……多分、どこかで血が繋がってるわね、魔法使いちゃん」
魔法使い「!」
側近「緑の『戦士』……次はお前だぜ、戦士」
戦士「!」
勇者「…… ……」
后「そして、魔王は……」
勇者「『勇者』…… ……俺の、父さん」
魔王「…… ……『間違えて居ない』」
勇者「……え…… ……」
ビリビリビリ……!
僧侶「!」
魔法使い「きゃ……ッ」
戦士「……ッ」
勇者「……! ……父さん!」
魔王「『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』」
う〜ん 正直この代で終わらせて欲しい
77 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 22:26:51.33 ID:uV0puzLrP
いつ終わってもいいよ
むしろ無理やり終わらせたりしないで欲しい
自然に、予定通り進めて欲しい
78 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:37:37.96 ID:rsutVxFjP
ビリビリビリ……!
魔王「ウゥ……ゥ、ァ、ア……ッ」
勇者「と……父……さ、ん……?」
后「……『勇者』は、世界に一人しか存在できない」
僧侶「『魔王』を倒せるのは、『勇者』だけ……」
魔導将軍「光の加護を受けられるのは、勇者だけ……光は勇者だけの物」
魔法使い「『闇』は……『魔王』だけのもの……」
側近「そして……『勇者は必ず、魔王を倒す』」
戦士「……『光と闇』は『表裏一体』」
魔王「……『魔王は勇者の光を奪い去り』」スッ
勇者「『勇者は魔王の闇を手に入れる』……」
魔法使い「あ……あ、ま……魔王が……ッ」
戦士「立ち上がった……ッ!?」
僧侶「……! あ、手……手、に……ッ」
魔王「…… ……」スッ
勇者「……勇者の、印」
勇者(でも……俺と、違う。真っ黒だ)
勇者(……あれが、魔王の……『闇』)
后「……さて、時間が無いね」
側近「泣くな、魔導将軍。喜べ……俺たちは喜ばなくちゃいけない」
魔導将軍「わ……ッ 分かってる、わよ……!」
勇者「……ふ、ふざけるな……!」
勇者「『俺に、魔王になれ……と言うのか!』」
79 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:42:18.60 ID:rsutVxFjP
魔王「……解って居るはずだ、勇者」
勇者「!」
魔王「『途切れる事無く回り続ける、運命の輪』」
勇者「…… ……」
魔王「……『この腐った世界の腐った不条理を断ち切れ』!」
勇者「…… ……ッ!?」
パア……ッ
僧侶「……ッ光の剣が……!!」
パリン!
魔法使い「割れた!?」
戦士「……ち、がう……見ろ……ッ」
僧侶「……勇者様の、光を……すい、とって……る!?」
勇者「…… ……ッ」 グッ
魔王「……『知る事を拒否するな』!」
勇者「『拒否権の無い選択などあるものか!』」
魔王「『真に美しい世界を望む為だ』」
勇者「『勇者は、必ず魔王を倒すんだ!』」
……
………
…………
80 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:50:33.06 ID:rsutVxFjP
紫魔「……む」サラサラサラ……
紫魔の側近「魔王様?」
紫魔「…… ……」サラサラ……
紫魔の側近「……おいおいおいおい。俺は置いてけぼりですか」
紫魔「お前の事だ。どうせすぐに追いかけて来るんだろう」サラサラサラ……
紫魔の側近「え、何それ」
紫魔「……主を放っておく側近が何処に居る」サラサラサラ……
紫魔の側近「はいはいはい。お前寂しがり屋だもんね」
紫魔「お前程便利な奴は居ないからな」サラサラサラ……
紫魔の側近「……ほんっとうに『最後』まで、素直じゃネェなぁ……」ハァ
紫魔「……すぐに、連れて来い…… ……命令 ……だ」サラ……サラ……
紫魔の側近「……解ってるよ」
紫魔「…… ……」サラ…… …… ……
紫魔の側近「…… ……」
シュゥン……
金の髪の魔王「……ぅ、ウ……ッ」
紫魔の側近「何時まで寝てんの。起きなさいって」ポン
金の髪の魔王「…… ……! ……ッ側近!?」ガバッ……ゴン!
紫魔の側近「ぐえッ!」
金の髪の魔王「いってぇ……ッ」
紫魔の側近「…… ……そりゃ、俺の台詞……」
金の髪の魔王「……ッ 紫の瞳の魔王は!?」
紫魔の側近「……『終わった』よ」
金の髪の魔王「……え…… ……」
紫魔の側近「『終わった』んだ……喜べ。喜んでやってくれ……勇者」
金の髪の魔王「……だから、俺は……」
紫魔の側近「もう、『魔王』でも無いけどな」
81 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 22:54:37.95 ID:rsutVxFjP
金の髪の魔王「え…… ……」
金の髪の魔王(……そうか。俺は……勇者に……あいつに……)
金の髪の魔王「……過去しか、見れない……んだよな?」
紫魔の側近「ああ……『俺達』はな」
金の髪の魔王「?」
紫魔の側近「……言っただろ。魔王様は『終わった』んだ」
紫魔の側近「……『断ち切った』んだよ。お前が。黒髪の勇者が」
金の髪の魔王「あ……で、でも……!!」
紫魔の側近「……喜んでくれよ、勇者。俺も……もう『終わる』」サラサラ……
金の髪の魔王「側近!?」
紫魔の側近「……やっと来た、か」フゥ
シュゥウン……
??「…… ……ん、ここ…… ……は……?」
金の髪の魔王「あ……!!」
紫魔の側近「待たせたなぁ、女剣士」
女剣士「……側近!?」タタタ……ッ
女剣士「お前、目は!?その姿は……!!」ペタペタ
紫魔の側近「……ちょ、セクハラ!」ハハッ
金の髪の魔王「…… ……」
紫魔の側近「ほら、勇者呆れてる」
女剣士「え……勇者!?」
シリアスなシーンだけどサラサラサラでワロタ
83 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 23:01:08.92 ID:rsutVxFjP
紫魔の側近「お前が育てた勇者だよ」
紫魔の側近「……ちょーっと、瞳の色は紫になっちゃった、けどな」
女剣士「……勇者……か……」
金の髪の魔王「女……剣士、様……!!」
女剣士「あれ!?私、腕がある……し……!?」
紫魔の側近「俺が見えてた時より、すこーし、大人になった、かな」サラサラ……
女剣士「……な、んだ……これ……夢、か!?」
女剣士「側近……霞んでる、ぞ」
紫魔の側近「んー……まあ……『終わった』からねぇ……」
女剣士「終わった……?」
紫魔の側近「ま、良いよ。どうせ難しい事はわかんねぇだろ」
紫魔の側近「……で、どうするんだ。一緒に来るか?」
女剣士「え…… ……?」サラサラ……
金の髪の魔王「!」
金の髪の魔王(女剣士様の身体が……!)
紫魔の側近「……いや、答え無くて良いよ。ほんっとうにお前は、わかりやすいな」クス
女剣士「な、何だよ!どう言う意味だ!」
紫魔の側近「……いや、まあ、ほら。魔王様待ってるしな?」
紫魔の側近「お茶でもしようぜ、一緒に、さ……あいつに、フランボワーズ作らせよう」
女剣士「……お前は相変わらず、主人を使うんだな」クス…… ……サラサラサラ……
紫魔の側近「あいつにそれ以外に、何の特技があると!?」サラサラサラ……
金の髪の魔王「…… ……」
女剣士「私、一度……食べてみた…… ……か、った…… ……」サラ…… ……
紫魔の側近「……待ってるぜ、勇者」サラサラ…… ……
紫魔の側近「『また、後でな』」サラサラ……サラ …… ……
金の髪の魔王「……ああ」
金の髪の魔王「『また、後で』…… ……ありがとう、側近」
84 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/14(土) 23:01:58.61 ID:rsutVxFjP
キリも良いので今日はこの辺で
明日仕事なので寝るよ!お休み!
1おつー!
女剣士、会えてよかったなぁ
乙
87 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 23:18:27.63 ID:HfAbg77a0
おっつー
88 :
名も無き被検体774号+:2013/09/14(土) 23:33:01.81 ID:e9BFGR9n0
涙出てきた
あれ?目から鼻水が……
ゆっくり休めよ
魔王、側近、女剣士…
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
スコーン&幼女も今日はお休み〜
91 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 04:07:52.40 ID:g2dj99Wd0
女剣士ぅえ
92 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 04:44:57.96 ID:Cy13daATP
女剣士かわゆ
93 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 07:59:47.98 ID:k2y7wU/+0
あぁ…
終わってからはってほしかった…
ま、しょーがないよな…
94 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/15(日) 08:40:46.43 ID:anZzrWhIP
おはよう!
出勤するので電車で書けたら!
いてラー
96 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 09:19:53.53 ID:Cy13daATP
pixivでの探し方も教えてくれると助かる
いてらー!
むしろ今そのネタはやめて欲しかったな
98 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/15(日) 10:00:35.68 ID:anZzrWhIP
電車で寝てた( ゚д゚)
……働いてくる (´・ω・`)
99 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 10:06:49.32 ID:Cy13daATP
おつかれww
>>93 >>97 キャラとスレの世代交代くらいは待てば良かったかのぅ。
すまん。
>>96 タグに初代スレタイお借りして
ユーザー名「◆4IVIhA2Og9cW」にしてあります。
>>98 無理のないようになー
自分は最初こんなのだったなと和んだ
あまり気にしないで欲しい
102 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 11:15:19.27 ID:Cy13daATP
>>100 「拒否権はないんだな」で検索すると初代スレで画像を貼ってくれた人がヒットしてこの四コマさんはでてこなかった(´・ω・`)
一方、ユーザー名で検索したらでてきたぞ!
ありがとう!
魔王にいじられてハゲるとか!に笑った
103 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 15:17:17.48 ID:NAaZIQw50
>>100 かなり前にトリでもつけてって、いったやつなんだよ
>>100向けか、他の人に言ったか忘れたけどw
すまんな
単純に俺のミス
止めるつもりもないし、みたい人は見ればいいと思ってるよ
頑張ってくれ
終わったらまとめて見るよ
104 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 17:06:40.41 ID:EliT8MAu0
挿絵つーか挿四コマ歓迎
105 :
名も無き被検体774号+:2013/09/15(日) 17:32:12.54 ID:DAx1tFhNP
この人酉は自分で付けてたような
場面も相当前のものだし配慮ゼロではなさげ
むしろ他の絵師さんでも即挿絵とか見たいのだが
難しそうだし乞食しか出来ん
106 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/15(日) 21:20:16.03 ID:anZzrWhIP
仕事終わってご飯食べたら酔いました(`・ω・´)
……ごめんなさい、また明日( ゚д゚)
なんか落ちるのはやくなってね?
保守
108 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 01:36:25.33 ID:PBfH431K0
そうだ!保守だ!
ほ
ho
ほ
ほー
ほ
114 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 08:10:14.85 ID:Dir+IwKx0
ほ
115 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 08:18:20.70 ID:DujOohn2P
……
………
…………
使用人「………さま、 ……さま」
勇者「う……うん……?」
使用人「魔王様、お目覚めですか?」
勇者(……ッ)ガバッ
僧侶「勇者様!」
魔法使い「勇者……! あ、ア……ッ 良かった!」ギュウ!
戦士「大丈夫か」
勇者「え……俺? ……っく、苦しい、魔法使い……」トントン
魔法使い「あ……ご、ご免なさい!」
勇者(ここは……ベッドの上?)
使用人「お加減如何ですか、魔王様」
勇者(……魔王)
勇者「……ちょっと、待って……ええ、と……」
勇者(夢……で、ある筈無い、よな……)
勇者「……あの。貴女、は?」
使用人「……代々の魔王様にお仕えし、城を守っております」
使用人「使用人と申します」
勇者「……使用人」
使用人「はい」
僧侶「あ、あの……お怪我、とかは……その」
僧侶「気分とかは、如何です……?」
勇者「……随分、身体が軽いよ……あ!」
勇者「魔王は!? ……母さんは…… ……ッ」
116 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 08:34:09.80 ID:DujOohn2P
勇者「魔導将軍と、側近は……!!」
使用人「貴方は、金の髪の魔王様を倒されました」
戦士「……覚えているか?」
勇者「…… ……」
勇者(そうだ……俺は、魔王を倒して……)
勇者「魔王を倒して……世界を、守った……?」
使用人「……そして、貴方は魔王になられた」
勇者「!」
使用人「お疲れでしょう。どうぞ、暫くはごゆっくりなさって下さい……魔王様」
使用人「お食事の準備をしてまいります。一度失礼致します」
勇者「……あ、あのちょっと待って!」
使用人「はい?」
勇者「……貴女、は……その……」
使用人「私は使用人です」
勇者「い、いや。それはさっき聞きました。そうじゃ無くて……」
使用人「?」
勇者「……魔族、何ですか?」
使用人「はい」
勇者「…… ……」
魔法使い「勇者……?」
使用人「お話しは後に致しましょう?」
使用人「……時間は、まだたっぷりとありますから」
勇者「貴女が……知っている事を教えて貰う事はできる、んですか」
使用人「私が知っている限りでしたら、勿論です」
117 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 08:38:24.43 ID:DujOohn2P
しゅっきーん!
いてらー
台風だいじょうぶかー?
119 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 09:15:42.46 ID:DDfWN1XmO
出勤って、電車動いてるのか?避難韓国まで出てるぞ。
BBA大丈夫か?
120 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 09:19:31.81 ID:DujOohn2P
電車動いてるのよね、残念な事に(笑)
こっちは雨もやんだのよー
ありがとー!
121 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 09:30:21.23 ID:DujOohn2P
勇者「…… ……」
使用人「では、失礼致します」
スタスタ、パタン
魔法使い「何か……拍子抜けしちゃうわよね」
勇者「え?」
魔法使い「私達も気がついて……から、ずっとあんな調子よ、あの人」
勇者「……お前達は何時気がついたんだ?」
勇者「俺は……どの位……」
戦士「はっきりした時間はわからん」
戦士「……さっきも聞いた……が、覚えてるか?」
勇者「あ、ああ……母さんが居て、魔導将軍と側近が居て……魔王……」
勇者「……父さんが、いた」
僧侶「……魔王が立ち上がった後、対峙された勇者様の光の剣が……」
勇者「そうだ!剣……!」ハッ
122 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 09:38:59.31 ID:DujOohn2P
魔法使い「大丈夫。ここにあるわ」スッ
勇者「あ、ああ……」ホッ
勇者「……あれ?」
勇者(……何か、大きくなって無いか?)
戦士「……剣が、光だしたんだ」
僧侶「最初……割れた様に見えました、よね?」
魔法使い「……そうね。亀裂から光が溢れてる様に見えたわ」
魔法使い「でも……違った」
勇者「違った?」
戦士「……お前の身体から、光を吸いとってたみたいだった、な」
僧侶「……はい」
勇者(『魔王は、勇者の光を奪い去る』……)
勇者「……真っ黒だな」スッ
魔法使い「勇者の印……ね」
戦士「金の髪の魔王の手にも……その文様があったな」
勇者「……僧侶」
僧侶「はい……」
勇者「……僧侶、君は……何か、感じた?」
僧侶「……悲しくて、苦しくて、切なくて……嬉しかった、です」
勇者「…… ……」
勇者(手の平の、剣の文様……あんなに、綺麗に光ってた、のに)
勇者(『勇者は、魔王の闇を手に入れる』……か)
123 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 13:56:19.42 ID:9JEzc483i
ほっしゅ
ほし☆
125 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 17:07:01.26 ID:2KFkmJCp0
ほ
126 :
名も無き被検体774号+:2013/09/16(月) 21:13:40.00 ID:dG0PARk40
ほす
127 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/16(月) 21:48:05.55 ID:DujOohn2P
おわた!
帰る!けど、明日かなー (´・ω・`)
おつかれー
気をつけてお帰りください
保守しながらのんびり待ってるよ
だが保守
130 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 00:07:48.56 ID:EfzqzrNw0
びっぷら速くなってね?
保守
131 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 02:58:29.34 ID:AcSFnmwZ0
ほすぅ
いつも楽しみにしてますC
ほしゅ
134 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 09:48:35.20 ID:blUxq2UmP
おはよう!
のんびりー
135 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 10:24:41.54 ID:blUxq2UmP
僧侶「あの方達は……皆、魔王のお力で魔族へと変じられたのだそうです」
勇者「……母さんが言ってたな……ッ そうだよ!母さんは……!」
魔法使い「……力の源である、魔王が……倒されたから……」
勇者「! まさか……ッ」
僧侶「……魔王を含め、あの方々は……失われました」
魔王「う……し、なわれた?」
魔法使い「…… ……」
戦士「…… ……」
僧侶「悠久の空の彼方へ還り、この……世界へ孵るのだと」
魔法使い「……貴方のお母様が、貴方に……伝えて、と」
戦士「……ありがとう、と」
勇者「…… ……俺が……魔王を倒した、から」
僧侶「…… ……」
勇者「父さんを……殺した、から……」
魔法使い「…… ……」
勇者「……そう、か」ポロポロポロ
魔法使い「勇者……ッ」ギュッ
勇者「…… ……」
勇者(……暖かい。俺は……生きてる……)ギュウ
僧侶「……恐らく」
僧侶「あの方達も、こうして……同じ経験をなぞってこられたのでしょう」
僧侶「……『魔王』のお力でその身を闇に染め」
僧侶「来るべき、次代の勇者様に……真実をお伝えするために」
勇者「…… ……」
戦士「……特異点とは、何なんだ?」
勇者「特異点……?」
戦士「言っていただろう……『見極められなかった』と」
勇者「……僧侶か、剣士か……?」
僧侶「…… ……」
魔法使い「私達と……『今までと違う』点……」
勇者「この腐った世界の腐った不条理を断ち切れ……か」
136 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 10:55:37.23 ID:blUxq2UmP
魔法使い「…… ……」ポロポロ
勇者「……何でお前まで泣くんだよ、魔法使い」ナデナデ
魔法使い「だ……ッ だって……ッ」
コンコン
魔法使い「!」ゴシゴシ
僧侶「……はい」
使用人「開けても宜しいでしょうか」
戦士「ああ……」スタスタ、カチャ
使用人「ありがとうございます……どうぞ、お席にお着き下さい」
魔法使い「……貴女は、何処まで知ってるの?」
使用人「……世界の裏側を、少しだけ」
戦士「!」
使用人「何でもお聞き下さい。知る限りの全てを話します」
僧侶「どうして……教えて下さるのですか」
僧侶「貴女は……魔族なのでしょう?」
使用人「……『魔王様』は私の主ですから」
戦士「『魔王』は死んだだろう」
使用人「……そこに、いらっしゃるではありませんか」
魔法使い「! 勇者は……ッ」
僧侶「…… ……」
戦士「……僧侶?」
僧侶「勇者様ご本人が……一番、その…… ……」
勇者「…… ……」
僧侶「……解って、いらっしゃる、かと……思う、んですけど……」
勇者「……納得しなくちゃ行けないのかもしれない」
勇者「受け入れなきゃいけないのかもしれないけど……自覚なんて、無いよ」
魔法使い「僧侶……には、解る、の……ね……?」
僧侶「もう……魔王様、とお呼びするべきですか?」
勇者「…… ……」
使用人「お受け止めになられるまで、勇者様とお呼びした方が宜しいですか?」
勇者「……うん。貴女が、それで構わないなら」
使用人「では、勇者様……僧侶様、魔法使い様、戦士様も」
使用人「どうぞ、召し上がって下さい」
137 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 11:05:03.28 ID:blUxq2UmP
戦士「……世界の裏側を少しだけ、と言ったな」
使用人「はい」
戦士「この『世界』はどうなっている?」
使用人「確かな事は解りません。ですが……繰り返されている、のです」
魔法使い「繰り返されている……?」
使用人「はい。『勇者』が『魔王』になり」
勇者「……新たな勇者を産む、のか?」
使用人「……はい」
魔法使い「…… ……『港街の勇者』は、金の髪の魔王……勇者の」
魔法使い「お父様が、倒した……のよね?」
使用人「はい……ですが、もう少し……さかのぼってお話ししましょう」
僧侶「……貴女は港街の勇者……少年を知っている、のですよね?」
使用人「勿論です……私は、少年様……紫の瞳の魔王様のお力で」
使用人「魔族へと変じましたから」
僧侶「え!?」
魔法使い「……貴女も、元人間……なの!?」
使用人「……はい。人としての私……『少女』は死に」
勇者「!」
使用人「……『使用人』として、新たな生を授かりました」
戦士「……お前が……少女!?」
使用人「ご存じなのですか?」
戦士「お祖母様が残した……本に、名があった」
使用人「……お祖母様。ああ、盗賊様ですね……戦士様は」
使用人「盗賊様と鍛冶師様の……お孫さん、でしたね」
戦士「…… ……」
魔法使い「……あの本に名前があったんだもの。知ってて……当然よね……」
僧侶「あ、あの……!では、私の母は……!エルフの、姫の事は……ッ」
使用人「勿論、存じ上げています」
僧侶「……あ、あ……」
使用人「順番にお話致します」
勇者「さっき……僧侶も聞いていたけど、何故……?」
使用人「え?」
138 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 11:16:08.80 ID:blUxq2UmP
勇者「……確かに、元人間かもしれないし、その」
勇者「少年……紫の瞳の魔王?が……主ってか、命の恩人、ってか……」
使用人「……」
勇者「……その辺の事情が分からないから、あれだけど……ッ」
勇者「……紫の瞳の魔王は死んだのだろう?」
勇者「どうして……まだ、こんな事を……続けている、んだ?」
使用人「……私には、受け継いで行く義務があるんです」
僧侶「……?」
使用人「今は、事情も分かっていらっしゃらないでしょうし、省きますが」
使用人「私にはまだ、役目が残っているんです」
勇者「聞けば……理解すれば、解る……のか?」
使用人「そうであって頂ければ……嬉しいですね」
使用人「……お話しの前に……ま、勇者様」
勇者「え?」
使用人「光の剣を見せて頂けますか?」
勇者「あ、ああ……」スッ
使用人「……!」
使用人(やはり……少し、刀身が戻っている)
使用人(紫の瞳の魔王様に……吸収された分……?)
使用人(否、でも……金の髪の勇者様の時は……)
魔法使い「黙っちゃってどうしたのよ」
使用人「あ、ああ……すみません。ありがとうございました」スッ
勇者「……俺にはもう、使えない……のか?」
使用人「貴方はもう……『勇者』では、ありませんから」
勇者「…… ……」
魔法使い「…… ……」
戦士「…… ……」
僧侶「…… ……」
使用人「……では、知りうる限りの昔から、お話致します」
139 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 11:32:14.72 ID:blUxq2UmP
勇者「わかりやすく……頼むよ」
勇者「ただでさえややこしそうだから、さ……」ハァ
使用人「……善処します」
使用人「魔導の街……の事はご存じでしょうか」
魔法使い「……少年……紫の瞳の魔王が、領主と魔導将軍を倒して、って奴よね」
魔法使い「……あの女性は、どうして同じ名前だったの?」
使用人「金の髪の魔王様達にも全てをお話しさせて頂きました」
使用人「……その上で、魔族へと変じる時にあの名を選ばれた、と言うだけです」
使用人「他意があったかどうかまでは……」
魔法使い「……そう」
使用人「話を戻しますね……劣等種のお話は?」
魔法使い「…… ……」
戦士「そこら辺は本当にある程度だが、知っている」
使用人「助かります……劣等種は解放され、まずは港街が出来ました」
僧侶「盗賊様と鍛冶師様がお作りになられた、のですよね?」
使用人「中心となって、ですね」
使用人「……紫の瞳の魔王様は、魔石の作り方を盗賊様に教え、それを流通させる事で」
使用人「経済を回す手助けに、と……」
僧侶「……では、魔除けの石と言うのは……?」
使用人「……皮肉な、話です」
僧侶「え……」
使用人「娼婦様は……ご存じですよね」
勇者「ああ……そうか。貴女も、娼婦様も……」
使用人「ええ。同じ、魔導の街の娼館にいましたから」
使用人「……魔石の生成方法自体は、同じなのですよ」
使用人「生成者の魔力を込める、と言う事ですから、ね」
140 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 12:30:24.95 ID:blUxq2UmP
使用人「元は、水や緑……回復に長けるとされる加護の方の」
使用人「魔力を込めた石、だったのです。癒やしの石と呼んでいました」
魔法使い「癒やしの石……」
使用人「ええ……この城に、姫様が来られた時」
僧侶「……母が、此処に!?」
使用人「……はい。ご免なさい。どうしても話が前後してしまいますが……」
戦士「解らなければ都度聞く。構わないから……話してくれ」
使用人「はい……魔気により体調を崩されたのです」
使用人「紫の瞳の魔王様もいらっしゃいましたし、応急処置ですが」
使用人「私も、緑の加護を受けていますから。いくつか石をお作りして」
使用人「お側に置いておきました。気休め程度でしょうが……」
使用人「無いよりも、マシだったとは思います」
僧侶「……母は、どうして……此処に?」
使用人「港街へと娼館で働かされて居た者が移った時に」
使用人「魔王様に着いていく、と仰られたので」
勇者「……そういえば、夫婦だった、と聞いた」
使用人「ええ」
僧侶「ほ……本当なのですか!?でも、私は……!!」
使用人「……後で、一冊本をお渡しします」
僧侶「本?」
使用人「それを読まれれば、何か解る事もあるでしょう」
使用人「……姫様のお腹の子、僧侶様……貴女は」
使用人「心配されずとも、人の子とのハーフです」
使用人「それだけは……間違いありません」
戦士「……確かなんだな?」
使用人「はい……貴女は回復魔法をお使いになられるでしょう?」
使用人「目を覚まさない勇者様に、ずっと魔法をかけていらっしゃった」
僧侶「……はい」
勇者「そ、そうなのか……御免」
僧侶「あ、そんな! ……謝らないで下さい!」
僧侶「無事に目が覚めて……良かったです」
141 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 12:38:52.71 ID:blUxq2UmP
魔法使い「でも、貴女も魔族になったんでしょう?使用人さん」
使用人「さん、はいりません。 ……その時はまだ、人間でした」
使用人「……ええと。ああ、娼婦さんですね」
使用人「娼婦さんは、船長さんの船に乗り……あ、船長さんと言うのは……」
魔法使い「紫の瞳の魔王の真実を知っていた一人、よね」
戦士「海賊船の船長、だったか」
使用人「そうです。魔石を作るだけではお金にならない。生活が出来ない、と」
使用人「定期船の準備や、それに伴って魔石の流通などの手助けも」
使用人「してくださっていました。この城にも、何度も足を運んで下さいましたよ」
勇者「……その人は、人間……だよな?」
使用人「ええ。私が依頼して、姫様の為の癒やしの石等も運んで頂きました」
使用人「人で居る間は良かったのですが……」
魔法使い「……貴女は何時、魔族に……」
使用人「その前に、魔除けの石のお話しを済ませてしまいましょう」
使用人「船長さんの船で鍛冶師の村へたどり着いた娼婦さんは、そこで」
使用人「……インキュバスと出会ってしまいました」
使用人「そうして、操られ……魔石の生成方法を、教えてしまったのだと」
戦士「……そんな事までできるのか、魔族ってのは……」
使用人「インキュバスは……人の精を糧として生きる魔族です」
使用人「見目麗しく、女性をその見た目と……快楽で支配するんです」
魔法使い「…… ……」
僧侶「…… ……」
使用人「インキュバスは紫の瞳の魔王様に殺され、娼婦さんは救われました……が」
魔法使い「……辛かった、でしょうね。娼館でも……その」
僧侶「いえ……あの……」
使用人「…… ……」
戦士「僧侶?」
僧侶「人の、精を……命を、糧に……と、言う事は……」
勇者「…… ……」
142 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 12:47:45.05 ID:blUxq2UmP
使用人「……ええ。姫様に看て頂いた所、長くは……と」
戦士「……酷い話だ」
使用人「紫の瞳の魔王様は魔族へ転じる事も提案されましたが」
勇者「拒否……されたのか?」
使用人「とても持ちません……人が魔へと変じる事は可能ですが」
使用人「強い気持ちが……必要となります」
魔法使い「気持ち……」
使用人「はい。魔になりたい。死にたく無い……など、ですね」
戦士「…… ……」
使用人「勿論、気持ちがいくら強くても……器が持たなければ意味はありません」
使用人「娼婦さんは、迷っていらっしゃった。それ以上に、身体の方が……」
魔法使い「……失敗すると、どうなるの?」
使用人「自我も無い獣へと成り果てる……でしょうね」
使用人「……他者に、死を与えられるのを待つのみ、でしょう」
勇者「そ……ッ そんな危険な事をしたのか!?貴女も……!」
勇者「母さん達も……!」
使用人「私達に共通するのは、強い意思があった事」
使用人「……紫の魔王の側近様、はご存じでしょうか」
戦士「ああ。女剣士様の思い人、だな。その男も、元人間だと聞いた」
使用人「はい。彼は……紫の瞳の魔王様のお父様のお力に寄って」
使用人「魔族へと変じています。彼は強く、まだ死にたく無い、と願った……のだと」
勇者「……って事は、紫の瞳の魔王の前の、勇者?」
使用人「……いいえ。紫の瞳の魔王様は、産まれた時から……魔族でした」
僧侶「え!?」
戦士「それは後回しにしてくれ。先に……何だったか」
魔法使い「娼婦さんは助け出されて、港町に戻って」
魔法使い「港街の神父様に、魔除けの石の生成方法を教えた、で良いのかしら」
使用人「そうです」
143 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 12:49:23.53 ID:blUxq2UmP
おーでーかーけー!
145 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 13:29:44.93 ID:SWVR+nhJ0
いてらー
むりはすんなよー
146 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/17(火) 17:59:32.53 ID:blUxq2UmP
帰った!けどお風呂とご飯!
明日から又仕事なのでのんびり行きます!
書くときだけでいいよ
そういうのいらない
148 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 18:28:23.25 ID:crbT04ST0
149 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 22:47:47.17 ID:caryA7a3O
ほっしゅ
150 :
名も無き被検体774号+:2013/09/17(火) 22:57:15.94 ID:TAr8hhuwP
進まない時間の目安になるからありがたいと思ってる
中断しても帰れないとか寝たとか想像付くし納得する
151 :
!omikuji:2013/09/17(火) 23:42:28.50 ID:0+NGK7oz0
今回の使用人の説明でなんかまとめてわかりやすい!
152 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 00:31:02.05 ID:X8MFI5y90
途中の補正とかい実にスムース
153 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 01:59:17.30 ID:QLC+nTVl0
使用人ちゃんは俺たちの為にいるのではないだろうか・・・
ほしゅ〜
使用人ちゃんに限らず、ちょいちょい整理と復習してくれるから助かるわ(笑)
156 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 08:15:53.73 ID:cnaYTuak0
まあそれによって物語が進みづら…いやなんでもない
157 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 09:32:07.82 ID:yDjwowaWP
僧侶「娼婦様は亡くなられるまで、あの教会にいらっしゃった、のですよね」
使用人「そうです…… ……」
魔法使い「……どうしたの?」
使用人「……紫の瞳の魔王様と、姫様があの教会で式を挙げられた時、です」
僧侶「……式?」
使用人「エルフは……嘘を吐く事ができません」
戦士「!」
使用人「魔導の街に居る時に、姫様は魔導将軍に」
使用人「妻かと問われ、そうだと…… ……言ってしまった、と」
魔法使い「嘘を吐いたら……どうなるの?」
使用人「その嘘が本当になってしまう、と仰っていました」
僧侶「本当に……なる……?」
使用人「ご本人の事に限るのでしょうけれど……私も、それ程詳しく存じ上げては居ません」
使用人「ただ……エルフは、人寄りも易く優れた加護を得る事が出来る」
使用人「その代償として、嘘が吐けないのだ、と」
僧侶「…… ……あ、あの!」
使用人「はい?」
僧侶「鍛冶師の村で……魔導の街から来たという方に、エルフのお姫様の」
僧侶「御伽噺を見せて頂きました」
僧侶「それが……その、似た様な内容で……」
使用人「…… ……」
戦士「それに、魔導将軍が言っていた。僧侶が育った小屋で会った時……」
戦士「エルフは嘘は吐けない、と……」
使用人「……その本は、新緑の髪に、透き通る湖の様な蒼の瞳の」
勇者「!」
使用人「美しい女性の絵がありましたか?」
僧侶「そ……そうです……!」
使用人「……先ほど、お渡ししようとした本がそれです」
魔法使い「あの本が、ここに!?」
158 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 09:39:55.05 ID:yDjwowaWP
使用人「……姫様のお話を元に、紫の瞳の魔王様が書かれたのです」
使用人「絵を描かれたのは、紫の魔王の側近様」
使用人「一つをこの城へ。一つを娼婦さんへ……と」
使用人「……貴方方が目にしたのは、娼婦さんが教会へ持って行かれたものでしょうね」
戦士「……その男は、港街の教会から持ち出した、と……言っていた、な」
僧侶「では……あの御伽噺は……真実、なのですね!?」
僧侶「あれは……母の事……なのです……ね……」ポロポロ
使用人「……後で、お持ちします。貴女に差し上げます、僧侶様」
僧侶「え?」
使用人「姫様の娘である貴女にでしたら……紫の瞳の魔王様も喜ぶでしょう」
勇者「……いくら嘘を吐いてしまったからと言って」
勇者「それでも、夫婦だったのだろう?」
魔法使い「……愛し合って居られた、のかしら」
使用人「……どうでしょうね。あれは……愛では無い、等と……仰っていました、が」
勇者「本人達が……か?」
使用人「含めて、です。大事には違い無いけれど、と」
戦士「…… ……」
使用人「……失礼。また脱線してしまいましたね」
勇者「あ、ちょっと待って……インキュバスのその、魔寄せの石、なんだが」
使用人「はい?」
勇者「……鍛冶師の村に、まだ残っているんだ」
使用人「え……」
勇者「それによって、村には魔物が降りては来ない。だが、その事実を……」
勇者「黙って居る代わり、と……魔導国の奴らが、一つ持ち帰ったらしい」
使用人「…… ……」
勇者「魔導国と始まりの国で、戦争状態になっていたのは知ってる?」
使用人「船団が……洞窟の近くで抗戦している様だと言うのは」
使用人「魔導将軍に聞いています」
勇者「ああ……魔導国はあの洞窟を占拠して」
勇者「鉱石を採掘して、持ち帰った」
魔法使い「……あいつら、驚いてるでしょうね」フゥ
魔法使い「私達……急に消えちゃった、んだもの」
159 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 09:47:52.95 ID:yDjwowaWP
使用人「后様に転移させられた時、ですね」
僧侶「……あれは、魔族ならば……誰でも出来る、のですか?」
使用人「后様曰く、『魔法なんて使い様』だと仰ってましたが」
使用人「……少なくとも、私には出来ません」
勇者「…… ……」
魔法使い「どうしたの?」
勇者「剣士は……魔族だった、んだよな?」
僧侶「え? ……はい。彼の気配は、確かに……魔族でした」
使用人「紫の瞳の……男、ですね」
戦士「あの街に居たんだ。あの時……俺達の傍に」
使用人「…… ……」
魔法使い「金の髪の魔王と対峙した時、お母様が言ってたわよね」
魔法使い「『見極められなかった』って」
使用人「……特異点、ですね」
戦士「そもそも、特異点とは何だ?」
戦士「金の髪の勇者の時と、俺達の時と……そりゃ、違いはあるだろうが……」
戦士「そんな事を言ってしまえば、人等、個々違って当然だ」
使用人「『生と死』」
魔法使い「え?」
使用人「『特異点』『王』『拾う者』」
使用人「『受け入れる者』『表裏一体』『欠片』」
使用人「……『知を受け継ぐ者』」
勇者「……?」
使用人「『光と闇』『勇者と魔王』」
使用人「『拒否権のない選択を受け入れ、美しい世界を守り、魔王を倒す者』」
僧侶「!」
使用人「『我が名は、勇者』」
使用人「『光に導かれし運命の子』」
使用人「『闇に抱かれし運命の子』」
使用人「『汝の名は、魔王』」
使用人「『途切れる事無く回り続ける、表裏一体の運命の輪』」
使用人「『腐った世界の腐った不条理を断ち切らんとする者』」
戦士「……なんだ、それは」
160 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 09:57:56.76 ID:yDjwowaWP
使用人「紫の瞳の魔王様が、器となる前に」
使用人「残された言葉です」
使用人「そして……『欠片』を探し出せ、と」
勇者「『欠片』……」
魔法使い「……それは、キーワードとしての『欠片』なの?」
使用人「わかりません。全てを指しているのかもしれません」
使用人「それに……金の髪の魔王様が、まだ勇者だった時、に」
使用人「船の上で、人魚の魔詩によって見せられた夢で……」
僧侶「人魚……!」
使用人「え?」
勇者「……俺達もその、人魚の魔詩とやらを聞いた」
勇者「僧侶以外は、皆……共通する不思議な光景を見たんだ」
魔法使い「……夢、みたいだったわね」
使用人「……金の髪の魔王様は」
使用人「彼にそっくりな、金の髪に金の瞳の男が出て来た、と」
戦士「……」
使用人「その男の手には、真っ黒の勇者の印があったのだそうです」
勇者「…… ……」スッ
魔法使い「勇者のも……真っ黒になっちゃった、わよね」
勇者「……うん」
使用人「『知る事を拒否するな』」
勇者「! 俺が父さんに言われた言葉だ……!」
使用人「『過ちを犯した世界は、真に美しい世界では無い』」
使用人「『必ず、魔王を倒せ!『欠片』を見つけ出せ』」
使用人「『勇者は、魔王を倒す』」
魔法使い「過ちを犯した世界……?」
使用人「『魔王は勇者の光を奪いさる』」
使用人「『勇者は、魔王の闇を手に入れる』」
使用人「『俺は『知る』事を『拒否』した』」
僧侶「……え?」
使用人「『選択を誤るな』」
魔法使い「……お母様も、魔導将軍も、側近も……同じ事、言ってたわよね」
戦士「どう言う……事だ」
使用人「それから……『過ちを犯した『世界』は、廻り続ける』」
使用人「『過去も、現在も、未来も……ずっと』と」
161 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 10:07:00.63 ID:yDjwowaWP
使用人「……紫の瞳の魔王様は、『器』でした」
魔法使い「器?」
使用人「先ほど、紫の瞳の魔王様は魔族として産まれたと言いましたね」
僧侶「え、ええ……」
162 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 10:08:30.96 ID:yDjwowaWP
働いてくるー!
163 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 12:37:11.28 ID:XztCRxLZi
いてらー
ほしゅ
165 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 15:56:22.01 ID:V/CVbqln0
この前のスレって、何番まで行った?
600までしか取ってなくて、それ以降が見れないんだが、話が繋がらないんだ。
どこかで見れたりしない?
マジで頼む……
166 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 16:03:20.77 ID:T8wKHa4B0
>>165 600で落ちたから大丈夫。抜けてないよ
167 :
名も無き被検体774号+:2013/09/18(水) 16:19:19.95 ID:QLC+nTVl0
使用人ちゃんによる解説スレが別にほしい
さすがにこんがらがってきた
169 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/18(水) 22:35:53.60 ID:yDjwowaWP
今日は寝るです (´・ω・`)
171 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 09:28:33.08 ID:NrBYz95dP
使用人「紫の瞳の魔王様の、お父様もお母様も、勿論……魔族でした」
使用人「お父様は、紅い瞳の魔王様……紫の瞳の魔王様の」
使用人「前の代の魔王様です」
戦士「……魔王の子、が、魔王……?」
魔法使い「……いつから?」
使用人「はい?」
魔法使い「何時から、魔王の子が……勇者、になったの」
使用人「……今から、お話し致します」
使用人「いくら『魔王』であっても、紫の瞳の魔王様のあの瞳のお色は」
使用人「見た事が無かった、と聞いていました」
使用人「紅い瞳の魔王様は……紫の瞳の魔王様を余り、他の魔族の前に」
使用人「出そうとはされなかったそうです」
僧侶「どうしてです?次代の魔王になる方なのに……」
使用人「故に、利用されるのを恐れたのでしょう」
使用人「……今よりも、もっと血生臭い時代であったとも聞いています」
勇者「……戦争、とかあったのか」
使用人「ええ……紅い瞳の魔王様のお父様。その方は……」
使用人「島を一つ、強大な力を持って、火の玉一つで滅ぼしてしまったと」
魔法使い「え……!?」
使用人「それが……紫の魔王の側近様の、故郷だったそうです」
戦士「…… ……」
使用人「側近様がお仲間の方達と旅立たれた後、島は沈み」
使用人「……あの、大海の大渦になったのです」
僧侶「……酷い……ッ」
使用人「側近様達は、失われた国の『勇者になる筈の者達』だったそうです」
魔法使い「勇者!?」
使用人「『魔王』を倒した若者達は、何れ……世界の英雄となり」
使用人「『勇者』と呼ばれる様になるだろう、と……」
使用人「言われていた、そうですよ」
172 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 09:29:41.14 ID:NrBYz95dP
しゅっきーん!
173 :
名も無き被検体774号+:2013/09/19(木) 09:34:44.09 ID:JaxqrxqC0
>>166 おお。ありがとー
抜けてないのか……ちょっと混乱してきた
174 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 10:24:20.13 ID:NrBYz95dP
魔法使い「『勇者』になる……」
戦士「『港町の』、『鍛治師の村の』……と、同じ様な物か」
使用人「……恨みや怒りを胸に、ここまでたどり着いた側近様達は、あっさりと……『魔王』に殺されかけた」
使用人「そんな彼らに、『魔王』は、生きたいか、と問うたそうです」
使用人「……死にたくない、と答えたのは、側近様だけだった」
側近の島潰したのは紅の瞳の魔王の父親じゃなかった?
本筋に関係ないけど…
あってるよ
よく読もう
ほしゅ
178 :
名も無き被検体774号+:2013/09/19(木) 21:39:31.54 ID:Gjj2GCKL0
ほ〜
179 :
名も無き被検体774号+:2013/09/19(木) 22:47:09.57 ID:7k7J3GHB0
しゅ
180 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 22:55:28.14 ID:NrBYz95dP
使用人「そして、紫の魔王の側近様は紅い瞳の魔王様の魔力で」
使用人「魔族となり、『魔王の側近』となりました」
使用人「永い年月が流れ、紅い瞳の魔王様と、紫の瞳の魔王様が世代交代されて……」
魔法使い「世代交代、って……?」
使用人「……『勇者と魔王』と同じです」
戦士「!」
使用人「子が、親を殺し……その力を受け継ぐのです」
僧侶「え……!?」
勇者「…… ……」
使用人「勇者様の光の剣。それは……元々、『魔王の剣』だったのですよ」
魔法使い「な……ッ馬鹿な!魔王の剣を、どうして勇者が……!」
使用人「先ほど申し上げたとおり。紫の瞳の魔王様は『器』だったのです」
使用人「『中身』は……金の髪の勇者様、です」
戦士「……ちょっと待て。流石に混乱してきた」
使用人「先ほど、紫の瞳の魔王様が残された言葉……と、言ったのを覚えて居ますか?」
勇者「……『生と死』とか言う奴か」
使用人「はい……この城に、同時に……起こりました」
魔法使い「え……?」
使用人「……船長さんのお子様を、女海賊さんと言う方が、このお城で」
使用人「産み落とされました……そして、彼女は亡くなられた」
戦士「…… ……」
使用人「推測です……全て、推測です」
使用人「『特異点』……貴女か……」
僧侶「私……」
使用人「もしくは、剣士さん」
魔法使い「……でも、どうして剣士が……」
使用人「……女海賊さんが、赤ちゃんを産まれた後、紫の瞳の魔王様の傍に」
使用人「もう一人、赤ちゃんが…… ……現れた、のです」
勇者「現れた?」
使用人「はい。気がついたら……そこに」
使用人「それが……『金の瞳の勇者様』だったのです」
勇者「え!?」
181 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:02:25.17 ID:NrBYz95dP
使用人「これもまた……『生と死』」
使用人「紫の瞳の魔王様は『死』んで『器』になり」
使用人「……金の髪の勇者様が『生』まれ、『中身』となりました」
魔法使い「そんな馬鹿な!」
使用人「……そしてその時、この城の天井を突き破り、大きな光が」
使用人「どこかへと飛び去っていきました。それが、『欠片』……」
使用人「……話を聞く限り、それが……剣士様では無いかと、思います」
戦士「あいつは……記憶が無い、と言っていたな」
魔法使い「戦士!?信じるの!?」
戦士「…… ……」
使用人「そして……『王』」
僧侶「……それは、もしかして……盗賊様の事、ですか?」
使用人「こじつけに過ぎないのかもしれません。ですが……」
使用人「……私も、盗賊様にお願い致しました。始まりの大陸に街を」
使用人「廃墟の城を復活させるのならば、どうか……『王』になって欲しいと」
魔法使い「…… ……」
戦士「では、魔導国の奴らが、そこに拘ったのも……?」
使用人「拘った?」
僧侶「……始まりの国の国王様に、王政を取りやめる様に、と」
僧侶「要求したのだそうです。知ってか知らずか、は……」
使用人「この話は、知っている筈はありません。偶然だとは思いますが……」
勇者「…… ……だが、奴らは……」
魔法使い「あの人達は本当に『特別』に拘るの。だから……」
使用人「やはり……偶然でしょうね」
戦士「……それで?」
使用人「結局は人々に望まれた……のだと思います」
使用人「あの時、王の座に着くのは、盗賊様か鍛冶師様。どちらかしか」
使用人「……居られなかった筈、ですから」
182 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:10:01.14 ID:NrBYz95dP
魔法使い「……『拾う者』ってのは、何なのよ、じゃあ」
僧侶「……神父様」
魔法使い「え?」
僧侶「私が、『特異点』だとするならば」
僧侶「……拾い、育てて下さった、神父様……」
魔法使い「そ……ッ れ、こそ!こじつけも良い所よ、僧侶!」
戦士「だが……その神父、と言う人も……『繋がっている』んだろう?」
勇者「港街の神父様を敬愛してた人……だったか」
魔法使い「じゃ、じゃあ……ッ 『受け入れる者』は!?」
使用人「……それは、解りません」
魔法使い「……やっぱり、こじつけじゃ無いの!」
勇者「まあ、待って……俺達では……『終わらなかった』んだ」
魔法使い「勇者!?」
勇者「俺は確かに、魔王を倒した。だけど……俺が」
勇者「……俺が、魔王になった、て言う事は……」
魔法使い「やめて頂戴!貴方は……!」
僧侶「……もう、魔王様とお呼びした方が、良いのかも知れませんね」
魔法使い「僧侶まで……!」
使用人「……『表裏一体』は、『勇者と魔王』を指すのだと思われます」
使用人「『欠片』は……全てを指すのか。飛び出して行ったあの光……」
使用人「……剣士様だけを指すのか」
戦士「剣士だと決まった訳では無いのだろう?」
戦士「確かに……あいつは魔族の様だし」
戦士「……勇者にそっくり、だが」
使用人「……そうですね」
魔法使い「ちょっと!」
使用人「…… ……『知を受け継ぐ者』は、恐らく、私なのだと思われます」
魔法使い「…… ……何で、言い切れるのよ」
使用人「あの時、紫の魔王の側近様の身を借りた魔王様が」
使用人「私を見つめて言われた、ので」
僧侶「……身を、借りた?」
183 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:17:56.49 ID:NrBYz95dP
使用人「ああ……すみません。言い忘れていました」
使用人「紫の魔王の側近様は、紫の瞳の魔王様の目を与えられ」
勇者「え!?」
魔法使い「……目!?どう言う事!?」
使用人「……『目玉を食わされた』と、仰っていましたけれど」
僧侶「…… ……」
戦士「それは……文字通りに受け取って良い、んだな?」
使用人「はい」
魔法使い「……それは、どうなの」
使用人「『魔王』のお力を内包される事で、力は強くなられた様です」
使用人「お二人の間では『心話』で会話出来ていた様ですし」
使用人「……インキュバスを倒された時も、紫の魔王の側近様の身体を」
使用人「紫の瞳の魔王様が乗っ取られまして……」
勇者「…… ……何でもありだな」
使用人「……『欠片』が。金の髪の勇者様がお生まれになった後の」
使用人「あの光の飛来も、紫の魔王の側近様の身体から……抜け出していった様に」
使用人「見えました。そうして……その直後、視力を失われた様でしたし……」
僧侶「……道連れにされた、と言う事ですか」
使用人「恐らく、ですけど」
使用人「……後は、解りますよね」
使用人「『光と闇』は『勇者と魔王』でしょうし」
勇者「……『知る事を拒否するな』って言葉とさ」
勇者「父さんが夢で見たって言う……父さんそっくりの人が」
僧侶「……『自分は、知る事を拒否してしまった』と言う物ですか」
勇者「うん……似てるけど、違う。違う、けど……」
戦士「……最初に、魔王が叫んだ言葉を覚えているか?」
勇者「え?」
戦士「『間違えて居ない』だ」
184 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:26:48.33 ID:NrBYz95dP
魔法使い「……結局、何も変わって無いのね」
使用人「え?」
魔法使い「親を殺して『次』になって……光の剣だってそうよ」
魔法使い「『魔王の剣』が『光の剣』になったって、どう考えたっておかしいけど」
魔法使い「『勇者は魔王』なんでしょ?」
魔法使い「……同じじゃないの」
戦士「『表裏一体』か」
使用人「あの剣は、持つ者によって……変わります」
僧侶「変わる?」
使用人「はい。紅い瞳の魔王様のお父様……までは流石に存じ上げませんが」
使用人「側近様が紅い瞳の魔王様と対峙された時、その手……」
使用人「『魔王』の手には、炎の如く燃える様な紅い剣が握られた居たそうですから」
戦士「……紫の瞳の魔王が持っていた時は……」
使用人「刀身は闇色に染まっていました。そして、金の髪の勇者様が触れられた時」
使用人「……光輝く、その……『光の剣』へと変じた……のでしょう」
僧侶「加護を……写し取る、剣!?」
使用人「……金の髪の勇者様が、后様達とこの城へ……魔王様を倒しにいらっしゃった時」
使用人「鍛冶師様が、あの鉱石を用いて修理された部分は、亀裂が入り砕け散り」
使用人「……紫の瞳の魔王様から、金の髪の勇者様に渡された時の姿へと」
使用人「戻ってしまった、そうです」
戦士「…… ……」
使用人「ですが、金の髪の勇者様が魔王様を倒された後」
使用人「見せて頂いた時には、少しだけ……刀身が大きくなっている様に見えました」
勇者「……俺も、これ」スッ
勇者「母さんに預かった時より、大きくなってる気がするんだが……」
使用人「はい……私も、そう思います」
魔法使い「……勇者の光を、吸い取った……から?」
魔法使い「で……でも!こんな事を繰り返して!」
魔法使い「剣が、徐々に元の姿に戻っていくまでに!」
魔法使い「……ど、どれだけ、かかるって言うのよ!」
185 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:36:17.41 ID:NrBYz95dP
僧侶「…… ……それを、埋めるのが……『欠片』なのでしょうか」
勇者「僧侶……」
僧侶「……文字通りの、剣の『欠片』だとするのならば」
僧侶「そうしないと、『魔王』を倒せないのだとするのなら……!」
戦士「……『欠片』を探し出せ、か」フゥ
使用人「…… ……」
僧侶「……后様、達は」
使用人「…… ……」
僧侶「その為に、魔族へと変じられた、のですね?」
使用人「…… ……はい」
勇者「『繰り返し回り続ける運命の輪』か……」
魔法使い「な……ッ 何納得してるのよ!あんた達!」
魔法使い「そんな事……!!」
使用人「……勇者様は、『魔王』です」
使用人「この侭……時を過ごされれば、何時か」
使用人「……目を開けなくなり、動かなくなり……」
勇者「……父さんと同じ道を辿る、んだな」
使用人「…… ……」
勇者「……父さん。随分と苦しそうだった。あれは……何故?」
使用人「解りません……ですが、『勇者は人間』です」
使用人「それも……唯一、光の加護を持つ者です」
使用人「……『魔王は勇者の光を奪い去る』。それが、真実だとしても」
使用人「否、するのならば……身の内に残った光の残照が」
使用人「……その身を、苦しめるのかも、しれません」
魔法使い「…… ……魔王、の子は必ず……勇者になる、のよね?」
使用人「そう……なのでしょうね」
魔法使い「だったら、勇者が……!貴方が!」
勇者「え!?」
魔法使い「子孫を残さなければ……子供なんか、作らなければ……!」
使用人「……紫の瞳の魔王様と、同じ事を繰り返す、のかもしれません」
僧侶「…… ……」
186 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:43:50.11 ID:NrBYz95dP
使用人「自我を失い、力は暴走し……」
魔法使い「そんな……!」
勇者「……『拒否権はないんだな』、俺に」
魔法使い「勇者……!」
勇者「もう……俺は、『魔王』だ。魔法使い」
戦士「……確かなんだな?僧侶」
僧侶「…… ……はい。勇者様は…… ……否」
僧侶「魔王様、は…… ……」
魔法使い「そ、んな……!!」
戦士「……エルフは嘘を吐けないんだろう、使用人」
使用人「…… ……はい」
魔王「『ああ……世界は美しい』侭で……」
魔王「……残して行かないと、いけないんだ」
魔王「俺が、魔王となって……新たな勇者を……生み出さなければ……!」
魔法使い「勇者……!」
魔王「……もう、魔王で良い、魔法使い」
魔王「勇者は……『俺は……魔王を倒す』んだ」
使用人「…… ……」
魔王「正直、まだまだ話して貰う事はあるだろう?」
使用人「そうですね。順序立てて話すつもりで居ましたが……」
使用人「やはり……色々と無理もある様です」
魔王「……俺には、随分と時間もあるんだろう。もう……」
魔王「人間じゃ……無いんだ」
使用人「…… ……はい」
僧侶「…… ……」
戦士「……ゆ、否。 ……魔王」
魔王「ん?」
戦士「……俺を、魔族にしてくれ」
魔法使い「戦士!?」
187 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/19(木) 23:53:53.76 ID:NrBYz95dP
僧侶「戦士さん……」
戦士「僧侶」
僧侶「は、はい!」
戦士「……永く、居られる。共に」
僧侶「…… ……確かに、私はエルフの血を……引いています」
僧侶「人寄り遙かに永い生を持つのでしょうが……でも」
僧侶「……魔族の様に、永劫に近い生は持ち得ないと、思います」
魔法使い「僧侶……?」
僧侶「残すのは、辛いと……仰いました、ね?」
戦士「…… ……」
僧侶「逆に……なっちゃいます」ポロポロ
僧侶「……寂しく、無いですか?大丈夫ですか……?」ポロポロ
戦士「……今更、何を言う」
魔王「あの……う?」
魔法使い「……シッ」
戦士「……一緒に、旅に出よう、僧侶」
僧侶「え……?」
戦士「魔王達に子供が出来る迄。北の塔を訪ね……エルフの里を、探そう」ギュッ
戦士「……駄目か?魔王」
魔王「い、いや……俺に、聞かれても!?」チラ
使用人「…… ……え?」
魔王「……なんか、不自由ある?なければ……許してやって欲しい、んだけど」
使用人「そ……それは、私が許可を出す問題ではありませんよ!?」
魔王「いや、だって……俺、解らないし」
使用人「……お、お子様が……『勇者様』が出来るまで、であれば」
使用人「『世代交代』も行われないとは思います、けれど……」
魔王「……ああ、そうか。これも世代交代になるのか」
魔法使い「ちょ、ちょっと!?何勝手に話進めてるのよ!?」
戦士「お前はどうせ、勇者……じゃ無い。魔王の傍に居るんだろう?」
魔法使い「……はい!?」
188 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 00:00:07.71 ID:NrBYz95dP
戦士「……誰が次代の『勇者』を産むんだ」
魔王「…… ……え、え!?」
魔法使い「ちょ、ちょっと戦士!?」
僧侶「……まだくっついてなかったんですか?」
魔法使い「僧侶!!」
魔法使い「あ、アンタねぇ!ちょっと自分が戦士とさっさとくっついたからって……!」
使用人「…… ……」
魔王「ちょ、ちょっと待て!何で魔法使いが……!!」
僧侶「……宜しい、のですか?」
魔法使い「え……?」
僧侶「例えば……使用人さん、とか……魔王様の奥様、になって」
使用人「え!?」
魔法使い「な、何言ってるのよ!!」
魔王「あ、阿呆!何で使用人が……!」
使用人「……ちょっと、傷付きます」
魔王「あ……ご、御免!」
魔法使い「……ッ な、ちょ!!」
戦士「魔王。お前を守ってやる。俺が……お前の『側近』なってやる」
戦士「来るべき時には、必ず戻る。だから……頼む」
戦士「お前と、魔法使いの間に子が出来る迄……」
魔法使い「な、ななななな、なに、なにいってんのよ、戦士!?」
戦士「じゃあお前は……魔導国へ帰るのか?」
魔法使い「……じょ、うだんでしょ……私は……ゆ……魔王の力で魔族に、なるのよ!」
魔王「お、おい……魔法使い……ッ 落ち着け、って……!」
魔法使い「……選び取るのは、私よ!」
魔法使い「私……『自分自身』よ……この、手でちゃんと……選ぶのよ!」
魔法使い「それとも、な、何よ!私と、その……ッ こ、子供……ッ作るのは……!!」
魔王「あああああ、分かった!分かったから黙れ! 嫌じゃ無い!嫌じゃ無いから!」
189 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 00:06:40.32 ID:NrBYz95dP
魔法使い「魔王の子が、次の勇者になるなら……」
魔法使い「……わ、私、しか……いないでしょ!?」
魔法使い「折角魔王が……アンタが守った、この『世界』を」
魔法使い「こんな所で、終わらせる訳に……いかないじゃない!」
魔王「うん……いや、だから」
魔王「わかったから……ちょっと……黙って……」カァ
使用人「…… ……お話しは、お済みでしょうか」
魔王「!」
魔法使い「あ、いや、あの!!」
僧侶「あ……す、すみません……ッ」
戦士(……忘れてた、とは言えん)
使用人「まあ……別に、宜しいのですけれど」ハァ
魔王「……すみません」
使用人「先ほども申しました様に、まだまだ話すべき事はある……のでしょうが」
使用人「……お食事も済みましたし、続きは又の機会に致しましょうか」
魔王「……ああ、そう……だな」
魔王「あ……あの、さ」
使用人「はい?」
魔王「こいつらを……魔族にしようと思えば、どうすれば良いんだ?」
使用人「……簡単、と言えば簡単です」
使用人「『願えば叶う』のです」
魔王「…… ……」
使用人「身体のどこかに魔王様…… ……もう、こうお呼びして宜しいのですね?」
魔王「……ああ」
使用人「はい……魔王様が、相手のどこかに触れ、願えば良いのです」
魔王「……あっさり言ってくれる……なぁ」
使用人「その前に、『魔王様の后様』のお話しを……否」
使用人「一度、休憩致しましょう。本を取って参ります」
僧侶「あ……」
190 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 00:12:25.91 ID:yvaHYh3QP
魔法使い「『魔王の后』の話…… ……?」
使用人「『強大な力を持つ者を産みだす者』のお話……ですね」
使用人「……紫の瞳の魔王様のお母様。それから、姫様」
僧侶「!」
使用人「後……代々『魔王』を産んでこられた方が辿られたであろう末路……」
使用人「……姫様と、似ていらっしゃいますから」
僧侶「母が……私を産んで亡くなった、事と……関係があるのですね」
使用人「と、思います……ともかく、書庫から本を取って参ります」
使用人「……少し、お待ち下さい」
スタスタ、パタン
魔王「…… ……」
魔法使い「…… ……」チラ
魔王「……なんだよ」
僧侶「……戦士さん、少し離れませんか」ボソ
戦士「……ん」ボソ
ススス……
魔王「本当に……や、あの。本気ですか?」
魔法使い「何で敬語喋ってんのよ……」
魔王「……いや、何か、あのさ。流れに流されてない?」
魔法使い「ほ……ッ 放って、私だけ帰れない、でしょうが!?」
魔王「いや、あの……厭なら、無理しなくて……も……」
魔法使い「あ、アンタだって!さっき、その……ッ」カァッ
魔王「……あー。いや、俺は、別に……」
魔法使い「『別に』!? ……べ、別に!私だって、アンタが厭なら……!」
191 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 00:13:33.84 ID:yvaHYh3QP
うあ。12時過ぎてた……
寝ます!
又明日、出勤前か電車で!
192 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 00:23:03.69 ID:MznyvxDY0
おやちゅみBBA
193 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 02:07:55.64 ID:l+W2G7Ts0
BBAが怖い
194 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 09:35:26.70 ID:Pg5kWXcdP
使用人「え!?」
かわいい
195 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 10:03:07.36 ID:yvaHYh3QP
僧侶「素直じゃ無いですよね、二人共」ボソ
戦士「……なあ」ボソ
魔法使い「聞こえてんのよ、アンタ達!」
魔王「……ちょ、ちょっと来い、魔法使い!」ガシ
魔法使い「え、ちょ……ッ!?」ズルズル
パタン
僧侶「……逃げましたね」
戦士「いや、まあ……」
戦士(良く考えれば、嫌だな……流石に)
僧侶「好きなものを好きと言うのは、恥ずかしい事では無いですのにね」
戦士「……自分で言っておいて何だか」
僧侶「はい?」
戦士「いや……あの二人、本当に……そう、なんだよな?」
196 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 14:31:53.61 ID:jqrMFOfwi
ほしゅ☆
こんがらがって来たけど、また進んだ感じだね
次の世代も楽しみにしてるよ!
198 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 17:40:48.13 ID:0b8r6IgXi
俺もそろそろ屋上から転移魔法しちゃおっかな
199 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 19:45:02.15 ID:m+vvCXsB0
BBAは、ボインボインアネキの略です。
追い付いたー!
漫画も前見られなかったのでありがたい。
>>103は何様だよ……
>>90に自重されちゃったら他の絵師は尚更出づらいだろうに。
そんな前のこと蒸し返さなくても…
BBA乙次世代も楽しみ
202 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 21:45:05.43 ID:NjxCw2Cii
挿絵かまーん
すまん、日付見てなかった……
しかし見たい読みたいのは強く主張しておきたい。
204 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/20(金) 22:56:53.50 ID:yvaHYh3QP
おわた!
流石に今日は無理かもしれません( ゚д゚)
205 :
名も無き被検体774号+:2013/09/20(金) 23:50:54.42 ID:YFBXwdcx0
無理すんなよ
>>203 逆に見たくない読みたくない奴もいることをわかってくれ
207 :
名も無き被検体774号+:2013/09/21(土) 02:49:23.07 ID:/x+003/ri
それはスレを閉じれば良いだけなのでは…
>>207 あ、いや、話は読みたいよ
漫画を読みたくないって話
否定はしないけど自分のイメージ壊されたくない奴もいるのよ
酉ついてると避けれるから有り難いし、みんな挿絵見たい!漫画読みたい!って奴ばかりじゃないってことを言いたかった
まぁなんにせよ俺も蒸し返してごめんよ
209 :
名も無き被検体774号+:2013/09/21(土) 03:32:12.01 ID:74+rO3Zi0
昔のゲームとかでマンガ描かれて「何してくれちゃってんのコイツ」と思ったことがあるがそれか
なるほど
小説の実写化でのがっかりと一緒だけど、理解してくれとは言わないし、お絵描きを自重してくれとも誰も言わないよ
ただ、絵描きばかりになると本末転倒だから、ある程度の自重はするべきかもだし、その辺も絵描きも分かってるでしょ
もし多くなったら別スレでもいいかもね
211 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 08:10:25.15 ID:7qRLpWwwP
僧侶「そう、と言うのは?」
戦士「……まあ、たきつけてしまったのは俺なんだが、その……なあ」
僧侶「ああ……大丈夫だと、思います」
戦士「なら……良いんだが」
僧侶「魔法使いさんの様子、見てたら……そうかなって思いませんでした?」
僧侶「それに……なんでしょうね。懐かしい感じ」クス
僧侶「なんて説明したら良いのか、わかりませんけど……」
カチャ
使用人「お待たせ致しました…… ……?」
戦士「魔王と魔法使いは取り込み中だ」
使用人「? ……はあ」
僧侶「あ……!! その本……!」
使用人「……どうぞ。僧侶様に差し上げます」
僧侶「……本当に、良いのですか?」
使用人「はい」
戦士「……この前の物より、状態は綺麗だな」
戦士「確かに……僧侶によく似てる」
僧侶「ありがとうございます、使用人さん……!」
使用人「……如何致しましょう。魔王様達が戻られる迄……」
戦士「差し支えなければ、聞かせてくれ」
戦士「後で、俺達から伝える事もできる」
使用人「解りました。それで宜しければ……」
漫画自体は酉NGで済むはずだし別スレ立てるような頻度でもないと思うが、
スルー出来ない奴と見たい奴の水掛け論は
>>1にも絵師にも失礼だと思う。
ただでさえストーリーの大事なところで頭が混乱しているのに。
前作と読み比べたら、情報がごっちゃになって余計分からん……
>>1は純粋に嬉しいと思うけどね
だからいやなやつは黙ってるのが一番
214 :
名も無き被検体774号+:2013/09/21(土) 18:56:22.14 ID:xGV79JX1P
たしかに
ここは
>>1のスレだから、嫌だとか言って良いのは
>>1だけだわ
215 :
名も無き被検体774号+:2013/09/21(土) 21:49:44.99 ID:J21IKKEXP
上から目線での嫌味(少なくとも俺にはそう見える)は
絵師も不愉快だろうし、それで描くのをやめられると困るから
見たい側も過剰に主張する。
読者の我儘合戦って不毛過ぎじゃね。
216 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 21:57:20.62 ID:7qRLpWwwP
ただいま!
えーと。
できるだけ、こう、なんだ
仲良くして頂けると嬉しい、かな?
後、◆4IVIhA2Og9cWは何時も本当にありがとう
勿論、他にイラスト書いてくれた人も、ありがとうね!
何時もにやにやしながら見せて貰ってます!
217 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:20:44.02 ID:7qRLpWwwP
僧侶「……母が、何故私を産んで……亡くなったのか」
僧侶「使用人さんはご存じなのですか?」
使用人「……はい。姫様本人から、お聞きしていましたから」
戦士「本人から?」
使用人「ええ……その本は、読まれた、のですね?」
僧侶「はい」
使用人「あれは……先ほども言いましたが、紫の瞳の魔王様が」
使用人「姫様のお話を聞いて、それを元に書かれたものです」
使用人「……姫様は、本当に『エルフのお姫様』です」
僧侶「……?」
使用人「エルフの長の娘、だったそうですよ」
戦士「他の……普通のエルフと何が違う?」
使用人「長になるべき者は、他よりも少し強い力を持っているのだそうです」
使用人「『長』は世襲制……次代の長を……産む者は」
使用人「その強い力を世へと生み出す代償として、必ず命を落とすのだ、と」
僧侶「!」
戦士「……僧侶の母君……姫様は、それを知っていた、のか?」
使用人「……はい」
戦士「…… ……」
僧侶「そんな……!」
使用人「……気分の良い話ではありませんが、お聞きになりますか」
僧侶「…… ……はい」
戦士「僧侶……」
僧侶「構いません。私は……母の事を知りたい。どんな小さな事でも」
使用人「……大筋は、あのお話しの通りです。迷い込み、姫様と」
使用人「恋仲になられた青年はエルフの仲間に殺され」
使用人「姫様は、現長であるお父様に堕胎を勧められたのだと」
僧侶「……ッ」
使用人「否、強行されそうになった、ですね……そして、逃げ出した」
使用人「……エルフの森は、長を失い」
使用人「森もまた、失われたそうです」
戦士「……え?」
218 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:28:58.30 ID:7qRLpWwwP
使用人「道は閉ざされた、と仰っていました……確か」
使用人「滅びの道を歩んで行くのだと。それが森の意思なのだと」
僧侶「森の……意思」
使用人「はい……」
僧侶「では……もう、たどり着く事はできない、と?」
使用人「姫様のお話では。 ……エルフ達は森の中で永い一生を」
使用人「ひっそりと……終えていく、のでしょう……か」
僧侶「…… ……」
戦士「それと……『力ある者を産み出す者の末路』とは、何の関係が……?」
使用人「紫の瞳の魔王様のお母様も、魔王様を産み落とされて」
使用人「……奇病、と言いましょうか。身体が、砂の様に崩れていく」
使用人「病に、犯されたのだ、と……紫の魔王の側近様が仰っていました」
戦士「…… ……」
僧侶「……身が、持たないと言う事……ですか」
使用人「はい。ですが……后様。魔王様のお母様は……」
戦士「! そうだ。あの人は……!」
使用人「ええ。無事でした。どころか……」
僧侶「?」
使用人「……あの方も僧侶様と同じ。回復魔法の使い手でした」
使用人「ですが、魔王様を産まれた後……回復魔法は使えなくなった、と」
使用人「仰っていたのです。そして、魔としての強い力を手に入れた」
戦士「…… ……どう言う事だ」
使用人「『人』としての完全なる『死』を迎えられたのかもしれません」
使用人「……魔王様が『勇者』だった時は、回復魔法が使えたでしょう?」
戦士「今は……使えない、と言うのか?」
使用人「恐らく。魔王様は……『魔王』ですので」
僧侶「……しかし、后様が魔族になられた直後は使えた、と言う事……ですよね?」
僧侶「使用人さんの、言い方……だと」
使用人「ええ。紫の魔王の側近様も、魔族であっても……回復魔法は」
使用人「使えましたから……おかしな事では、ありません」
219 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:38:28.29 ID:7qRLpWwwP
戦士「……訳が分からん」
使用人「勿論……私も全て知っている訳ではありません」
使用人「……随分と、ややこしい話です。それに、どれもが真実、と」
使用人「言う保証もありません……から」
僧侶「……魔法使いさんが、もし……次の勇者様を産まれたとしても」
僧侶「彼女が……死んでしまう事は、無い……のですよね?」
使用人「それも、恐らくそうであろう、と言うだけです」
使用人「……后様が助かられて、姫様と紫の瞳の魔王様のお母様が」
使用人「出産の後に亡くなられた、と言う事実の差違がそれしか」
使用人「当てはまらない、と言う……消去法に過ぎません、から」
戦士「……『人間』であったか否か、か」
使用人「……『人間は、強く弱い生き物』です」
使用人「その人間だけに許された特権が、回復魔法」
使用人「……そこら辺も、関係あるのかもしれませんね」
使用人「それに…… ……」
戦士「……なんだ?」
使用人「……私がまだ、生きている事も、おかしいんです」
僧侶「それは……貴女が『知を受け継ぐ者』であるから、では無いのですか?」
使用人「確かに、関係はあるのかもしれませんが……」
戦士「他におかしいと思うところは?」
使用人「……后様。魔導将軍様、金の髪の魔王の側近様」
使用人「彼らは……金の髪の魔王様の消滅と共に、失われました」
僧侶「…… ……」
使用人「魔へと変じさせた本人が消滅したから、と考えると」
使用人「不思議では無いのです。命を与えて下さった源が、消失しているのですから」
使用人「なのに……紫の瞳の魔王様が失われても、私は……生きている」
戦士「そうか……紫の瞳の側近、は…… ……」
僧侶「いえ……紫の瞳の側近様は、確か……」
使用人「ええ。紅い瞳の魔王様に寄って、魔族へと変じています」
使用人「……どうして私と紫の魔王の側近様だけ、と考えると」
僧侶「『元人間』……ああ、違う」
僧侶「……で、あれば……魔導将軍さんと、金の髪の魔王様の側近さんも……」
僧侶「で、ないとおかしいですね」
220 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:45:46.98 ID:7qRLpWwwP
使用人「強引かもしれませんが、后様が」
使用人「『完全な魔』になられたからとこじつけたとしても」
使用人「……ならば尚更、魔導将軍様と、金の髪の魔王の側近様も……」
使用人「まだ、残っていらっしゃらないと、おかしい、のですよ」
戦士「…… ……」
僧侶「戦士さん?」
戦士「……理解しようと試みるのを、放棄する」
戦士「…… ……吐きそうになってきた」
僧侶「え、ええ!?」
使用人「…… ……『世界』を全て知ろうとする事そのもの、が」
使用人「烏滸がましいのかも、しれませんけどね」
僧侶「……でも、私は……それでも……!」
使用人「知る事を望まれますか?」
僧侶「……はい」
使用人「……止めは致しません。無駄でしょうしね」
僧侶「そう……ですね」クス
戦士「遅いな、あいつら」
使用人「魔法使い様と魔王様ですか? ……何処に行かれた、のです?」
戦士「さあ?」
使用人「…… ……まあ、この城の中に危険は無いと思います、けど」
戦士「散歩がてら探しに行くか、僧侶」
僧侶「え、ええ……そう、ですね」
僧侶「流石に少し休憩しないと……私も、疲れました」フゥ
僧侶「……整理しようにも、こう……ややこしくては」
使用人「すみません……説明下手で」
僧侶「そ、そんな! ……使用人さんの所為じゃありませんよ!?」
使用人「……ご免なさい。皮肉のつもりでは無いんです」
使用人「どうぞ、お城の中はご自由になさってください……あ」
僧侶「?」
221 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:52:09.35 ID:7qRLpWwwP
使用人「……普通にされているので、すっかり忘れていました、が」
使用人「平気……なのですか?」
僧侶「? ……私、ですか?」
使用人「ええ……貴女は、姫様の娘さん……エルフの血を引いていらっしゃるのでしょう」
僧侶「…… ……ああ。母は体調を崩した……のでしたね」
僧侶「……そう言われてみれば。確かに、凄まじい魔気が渦巻いている……のは」
僧侶「感じます。でも…… ……緑の、心地よい、気も感じます、し」
使用人「!」
僧侶「……何より、半分……人間ですから。父のその血が、守って下さって」
僧侶「……いるのかも、しれません」
使用人「…… ……」
僧侶「あ、私も一つだけ……取りあえず最後に、お聞きしても?」
使用人「? はい」
僧侶「母は……どうやって、苦しみから逃れたのですか」
使用人「……始まりの国の、エルフの加護はご存じでしょう」
僧侶「ええ……でも、話には聞きましたが」
僧侶「……正直、それ程の力は感じなかったんです。あの場所……」
僧侶「古い、力であったようですから、徐々に失われたのかもしれません、けど」
使用人「……私が、紫の瞳の魔王様の持っていらっしゃったペンダントに」
使用人「あの土地のエルフの加護の力を、移しました」
僧侶「! ……ッ む、無茶な!」
戦士「……? ……何故だ?」
戦士「使用人の加護も……緑、なのだろう」
戦士「……ならば……」
僧侶「……多種族の力を身に取り込んだりしたら……!」
使用人「……ええ。その侭であれば、死んでいたでしょうね」
戦士「!」
使用人「私はその時に、紫の瞳の魔王様のお力で、魔族としての新たな生を」
使用人「与えて頂いたのです」
222 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/21(土) 23:58:08.66 ID:7qRLpWwwP
使用人「元々……魔族へと変じ、紫の瞳の魔王様のお側に居たいと」
使用人「強く、願っていました。姫様をお助けせねば、とも」
使用人「ですから……私が提案したのです。是非やらせて欲しい、と」
戦士「……良く、わからんが。相当危険なのでは無いか?」
使用人「……そうですね。無茶をしたな、とは思いますが」
使用人「結果オーライ、ですね」
僧侶「そ、そんな…… ……でも……」
僧侶「……ありがとう、ございます」
使用人「……いえ」
戦士「変な事を聞くようだが」
使用人「はい?」
戦士「……お前は、紫の瞳の魔王が……好きだったのか?」
僧侶「せ、戦士さん!?」
戦士「否、何もかもを恋だの愛だのに当てはめる気など無いが」
戦士「……だとすれば、言い方は悪いが……」
戦士「形式だけであれ、妻である、女性の為に……と言うのは……」
使用人「そうですね。恋だの愛だの……私には……正直解りません」
使用人「ですが、お慕いはしております。今でも」
使用人「私は、この命は……紫の瞳の魔王様のものであれば良いと思ってます」
使用人「……私の、主はあの方だけですから」
僧侶「使用人さん……」
使用人「ですから、あの方が望まれるのならば」
使用人「あの方が大切になさっていた、姫様の為ならば」
使用人「喜んで……差しだそうと思いました」
僧侶「…… ……」
戦士「…… ……」
使用人「……勘違い、しないで下さいね」
僧侶「え?」
使用人「……姫様の事も、大好きですよ。今も」
僧侶「…… ……ありがとう、ございます」
223 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 00:03:40.60 ID:7qRLpWwwP
使用人「……また、何かご用がありましたらお呼び下さい」
使用人「先ほども言いましたが、この城の中はどうぞご自由に」
使用人「何人か使い魔もおりますし……私は」
使用人「書庫か、中庭に……います。大体は、ですけど」
僧侶「書庫……あ、あの、見ても……良いんですか?」
使用人「勿論です……あ」
戦士「?」
使用人「……フランボワーズ、お好きですか?」
僧侶「え? あ、はい!甘い物は……大好きです!」
僧侶「ねえ、戦士さん?」
戦士「ああ……」
使用人「それは良かった。魔王様達が戻られたら、お茶にでも致しましょう」
戦士「……使用人」
使用人「はい?」
戦士「…… ……否」
使用人「? ……では、一端失礼致します」
スタスタ、パタン
戦士「魔王と魔法使いを探しに行くか」
僧侶「……何を言いかけたのです?」
戦士「…… ……なんだろうな。俺も、礼を言いたくなった」
僧侶「フランボワーズですか?」
戦士「違う! ……お前を、母君を……好きで居てくれて、かな」
戦士「……俺が口に出す事じゃないのは、解ってるんだがな」
僧侶「戦士さん……」
戦士「僧侶」
僧侶「……はい?」
戦士「俺は……さっき、魔王にも言ったが」
僧侶「…… ……魔族に、なられる、のですね」
戦士「……ああ。そのつもりだ」
224 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 00:10:35.67 ID:JVzByITRP
僧侶「……反対なんか、しません」
僧侶「戦士さんが決められた事です。それに……」
僧侶「……残して逝くのは、辛い……です、けど……」
戦士「…… ……」ギュ
僧侶「…… ……」ギュ……
戦士「…… ……」ナデ
僧侶「でも、嬉しいんです……永く、限りはあると言え」
僧侶「……今の侭よりも、永く……一緒に居られる事」
僧侶「不謹慎……かもしれません、けど」
戦士「……そんな事は、考える必要は無い」
戦士「守ってやりたい。お前も……魔王も」
戦士「……勿論、魔法使いもな」
僧侶「魔法使いさん、聞いたら怒りますね」クス
戦士「『忘れてたでしょ!』……って、言われそうだな」クス
僧侶「…… ……」
戦士「……まずは、北の塔、だな」
僧侶「…… ……はい」
戦士「…… ……」ギュ
僧侶「せん、し……ッ さ、ん……?」
戦士「……悪い。痛かったか」
僧侶「あ、いえ…… ……でも、どうしたんです」
戦士「……何時か、話す」
僧侶「…… ……?」
戦士(次代の長を産む者……姫様の娘であるのなら)
戦士(…… ……僧侶は、僧侶も……!?)
戦士「……ッ …… ……」スッ
僧侶「……戦士さん?」
戦士「魔王と魔法使いを、探しに行こう」
225 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 00:11:58.20 ID:JVzByITRP
おやすみなさい!
またあしたー!
おやすみー
227 :
名も無き被検体774号+:2013/09/22(日) 01:32:12.23 ID:UdN8S1lG0
またあしたー
おはよう。
今日も一日楽しみにマッチョる。
229 :
名も無き被検体774号+:2013/09/22(日) 06:11:47.89 ID:8ccaduJ3P
マッチョる
/フフ ム`ヽ
/ ノ) ヘ⌒ヽフ ) ヽ
゙/ | ( ´・ω・)ノ⌒(ゝ._,ノ
/ ノ⌒7⌒ヽーく \ /
丶_ ノ 。 ノ、 。|/
`ヽ `ー-'´_人`ー'ノ
丶  ̄ _人'彡ノ
ノ r'十ヽ/
/`ヽ_/ 十∨、
230 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 10:53:00.16 ID:JVzByITRP
僧侶「どこに……行かれた、んでしょうね」
戦士「城の中には居るだろう」
僧侶「まあ……それは」
戦士「……不思議だな」
僧侶「?」
戦士「中途半端にしか知らない。勿論……少しでも知ってしまっていれば」
戦士「……全てを、馬鹿な話だと、言い捨てるのは無理に等しいと、解ってはいるんだ」
戦士「だが……なるべくしてこうなったんだと、不思議だが……」
僧侶「…… ……」
戦士「納得してしまっている、自分がいる様だ」
僧侶「おかしいですよね。こんな経験、始めてなのに」
戦士「ああ。だが……」
僧侶「……何度も経験していて。本当は」
戦士「そうだな。毎度、初めてだと……錯覚してる、みたい、だ」
僧侶「何にも当てはまらなくても、良いです……戦士さん」
戦士「……ん?」
僧侶「貴方が、側に居てくださる、なら」
……
………
…………
231 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 10:59:19.30 ID:JVzByITRP
スタスタ…
魔法使い「ちょ、ちょっと!」
魔法使い「何処行くのよ!魔王!」
魔王「…… ……」ピタ。クルッ
魔法使い「な、何よ……?」
魔王「…… ……」ジィ
魔法使い「……い、痛い、わ。離し……て」フイッ
魔王「……お前、なんだな?」
魔法使い「え?」
魔王(『違う』……あの声は、聞こえない)
魔王(……魔法使い)グイ
魔法使い「な、なんなのよ!アンタ……は……ッ きゃ!?」
魔王「…… ……俺、もう勇者じゃないぞ?」ギュ
魔法使い「わ、解ってるわよ!」
魔法使い「僧侶の……言葉は、疑い様が……無いもの」ギュ……
魔王「本気、なんだな?」
魔法使い「……さっきも言ったじゃないの」
魔法使い「折角アンタが守った……繋いだ、世界を」
魔法使い「……ここで、終わらせる訳には……」
魔王「そんな言葉、いらないよ」
魔法使い「…… ……」
魔王「……す、好きだよ?」
魔法使い「……声裏返ってるわよ」
魔王「き、緊張してるんだよ!」
232 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 11:09:24.85 ID:JVzByITRP
魔法使い「わ、私だって心臓バクバク言ってんのよ!」
魔王「知ってるよ。伝わって来る」
魔王「……俺のか、お前のか……わかんない、けど」
魔法使い「…… ……」
魔王「魔法使い」
魔法使い「……は、い?」
魔王「……俺たちで、最後にしようぜ」
魔法使い「……ええ」
魔王「俺には……魔法使い。お前しか居ない。だから……」
魔王「……奥さんに、なって?」
魔法使い「随分……可愛い告白ね」クス
魔王「な、ななな、なんだよ!わ、悪かったな! ……で! へ、返事は!?」
魔法使い「私しか居ないんでしょ?」
魔法使い「……私だって、アンタじゃなきゃ駄目みたい」
233 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 11:18:37.68 ID:JVzByITRP
魔王「みたい、て……」
魔法使い「……不思議なのよ。良く解らないんだけど……」
魔法使い「そう……思う、の」
魔法使い「……好きよ、魔王」チュ
魔王「!」
魔法使い「……ッ」フイ
魔法使い「ほ、ほら!戻りま…… ッ」グイ!
魔王「……無理。今無理。もうちょっと」チュ。チュ……
魔法使い「あ…… ン…… ……ッ」
魔王「……魔法使い……ッ」ギュウ……
魔法使い「! ちょ、何処触って……!?」
魔王「……御免。男の子だから」チュ
魔法使い「こ、こんなとこ、で……!」
234 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 11:19:58.87 ID:JVzByITRP
魔王「……誰も来ない、って」
カチャ、パタン
使用人「……後は……」ブツブツ、スッ
魔王「!?」
魔法使い「きゃ!?」
使用人「…… ……」
魔王「…… ……」
魔法使い「…… ……」
使用人「…… ……」クル、スタスタ
パタン
魔法使い「あ、ま……待って!?」
魔法使い「さっさとしなさい!魔王!」
魔王「は、はい!?」
バタバタ……バタン!
マッテー!シヨウニンー!
魔王(…… ……あの使用人が、ノックしなかった、て事は……)
魔王(使用人の部屋、か!?)キョロ
魔王「…… ……」
魔王(後で……土下座しよう)
スタスタ、パタン
235 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 11:22:38.04 ID:JVzByITRP
働いてきまーす(`・ω・´)
236 :
名も無き被検体774号+:2013/09/22(日) 11:57:31.16 ID:Zwxe4QyVi
使用人の心境やいかにwwww
237 :
名も無き被検体774号+:2013/09/22(日) 13:30:14.05 ID:UdN8S1lG0
使用人も欲情しちゃった?
これの続きのピンクの栞が読みたいです
またまたまおゆうみたいなヤツですか?w
情景描写や心理描写書けないの?
そういう技術ゼロなの?
>>239 vipじゃないんだから、煽らないでいいよ。
お疲れさま
またまたまおゆう
ってなんかかわいい響き
243 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 23:23:37.57 ID:JVzByITRP
……
………
…………
剣士「…… ……これは、どう言う事だ」
王子「『拘束』を望んだのはお前だろう」
剣士「…… ……」
王子「……俺は、牢屋にしろと言ったんだがな」
剣士「国王、か」ハァ
王子「命令には逆らえん」
剣士「お前は兄では無いのか?」
王子「それが何だ。『血』や『産まれた順番』に」
王子「何の意味がある?」
剣士「…… ……」
王子「国王は名の通り……『この国の王』だ」
王子「俺はそれを守るの盾に過ぎん」
剣士「しかし……」
王子「……反対はした。聞き入れられなかっただけの話だ」
王子「お前ならば、何かあっても自分でどうにかするだろう?」
剣士「…… ……」
王子「……時間が出来たら話がしたいそうだ」
剣士「……解った」
王子「俺は当分忙しい。魔導国に逆戻りだ」
剣士「……母親は?」
王子「あっちは正真正銘『牢』の中だ」
王子「……戦犯だからな」
剣士「…… ……」
王子「知りたければ、王に聞け」
剣士「……出向けば良いのか」
王子「『拘束』だ、あくまでも。 ……騎士が来るだろう」
剣士「そうか」
王子「……時間が無い。もう行く」クルッ
剣士「…… ……ありがとう」
まおゆうも会話オンリーしかないとかいうクソ作品だったが
あれはアニメスタッフの表現力に救われそこそこ良い作品になった
まあ音、映像、動きがあるアニメが小説より強いのは当然だが
二番煎じをマネしても意味ないだろう
RPGツクールやるならRPGツクールでやりな。これは小説の形態を取る意味が皆無だ
245 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 23:30:34.32 ID:JVzByITRP
王子「……礼など言われる事をした覚えなど無い」
バタン!
剣士「…… ……」
剣士(ここ迄来るのに、城の中を通った)
剣士(……小さいが、住むのに不自由は無い)
剣士(それに、此処は……この、魔力は……)
剣士(魔導国で、あの時……勇者達が消えた時に)
剣士(……感じた魔力と、同じ)
剣士(…… ……どう言う事だ?)
剣士(しかし……)キョロ
剣士(……何を考えて居るんだ、国王、とやらは)ハァ
剣士(バタバタとしていたな……まあ、無理も無い、が)
コンコン
剣士「!」
コンコン
剣士「…… ……」
騎士「国王様の命で来た!扉を開けられよ!」
剣士「……鍵は開いているが」
騎士「お前が開けるんだ!」
剣士「…… ……」スタスタ
カチャ
国王「初めまして。貴方が剣士さん、ですか」
剣士「……そ、うだが」
国王「……成る程。確かに瞳の色彩さえ違えば、勇者にそっくりですね」
剣士「……お前……否。貴方、は」
国王「国王と申します」
剣士「!?」
剣士(国王……自ら!?)
剣士(……言われてみれば、騎士団長……に、面差しが似ている)
246 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 23:37:55.13 ID:JVzByITRP
国王「ばたばたとしてしまって、申し訳ありませんでした」
国王「……ああ、ご苦労様です。貴方達はもう……」
騎士「此処で待機しております!」
国王「大丈夫、と申しましたのに」
剣士「…… ……否、その……騎士、か?」
剣士「の、心配も尤もだと思う、が」
国王「そうですか? ……もう、魔導国もありませんから」
剣士「……もう、無い?」
国王「ええ。貴方はその目で見られたのでしょう?」
国王「……事実上の崩壊でしょう。領主……ああ、王でしたか」
国王「王は死に、その息子である父親も自らの父のなれの果てに殺された」
国王「母親と名乗る女も、今はもう牢屋の中です」
国王「……それに、騎士団長が自ら騎士を率いて、混乱の鎮圧に向かいました」
国王「……それでもまだ、あの国は存在すると仰いますか?」ニコ
剣士「……しかし、それと危険が無いとはイコールでは結ばれないだろう」
国王「まあ、そうかもしれません。世の中に絶対、はあり得ないでしょうしね」
剣士「…… ……」
国王「入れて頂いても宜しいでしょうか」
剣士「……俺の家では無い」
国王「そう思って頂いても大丈夫ですよ」
剣士「…… ……ここは。この小屋は何なんだ?」
国王「座らせて頂いて宜しいでしょうか?」
剣士「…… ……どうぞ」
国王「ありがとうございます。では、騎士達はそこで待機していて下さい」
騎士「ハッ!」
国王「……長くならないように、気をつけますね」
パタン
剣士「…… ……何を、考えているんだ」
国王「どう言う意味でしょうか? ……では」
国王「お言葉に甘えて、失礼致しますね」
247 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 23:47:24.40 ID:JVzByITRP
国王「『世界』を教えて欲しいと望まれたのは貴方でしょう、剣士さん」
剣士「…… ……」
国王「勿論、私の知る限り、になりますけどね」
剣士「……あっさりと話して良いのか?」
剣士「素性が解らない所か……」
国王「魔族であろう……否。『人間』では無いだろう貴方に、ですか」
剣士「…… ……」
国王「勿論、お話しする上で条件はつけさせて頂きますよ」
国王「私の質問に答えて頂く事。私の知らない『世界』を」
国王「教えて下さる事、と言う……条件です」
剣士「聞いているか否かは解らんが、俺には記憶が無い」
剣士「……最果ての街で目が覚めた後、船長と名乗る海賊の女に拾われた」
剣士「剣士、と言う名も、その女がつけてくれただけに過ぎん」
国王「何故魔導国に?」
剣士「……あいつらは俺を最初『少年』と呼んだ」
剣士「『港街の勇者様』だとか、言うのだろう」
国王「ええ。貴方と同じ、紫の瞳に闇色の髪を持つ男性だったと聞いています」
剣士「……俺は、少年では無い」
国王「『少年では無いと思う』でしょう?」
国王「記憶が無い、のであれば」
剣士「……そうだな」
国王「失礼。それで?」
剣士「あいつらの……領主達の真の考えとやらは、船の上で」
剣士「騎士団長に問われ、話したとおり、だ」
国王「自分達は最果ての街に住む事を許された唯一の特別な人間であり」
国王「魔族の血を引いている……から」
国王「魔法使いさんと、貴方の間に子を設け……」
剣士「魔族の血が混じっている、と言うのは」
剣士「母親の妄想に過ぎんだろう。父親と領主は、否定していた様だ」
248 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/22(日) 23:58:19.50 ID:JVzByITRP
剣士「……俺と魔法使いで子を設け、世界を作り替えるのだと言っていた」
国王「…… ……」
剣士「母親の言葉を借りるのならば、『私達が支配する世界』に、な」
国王「……何故、あの洞窟を占拠しようと考えた、のでしょうね」
剣士「魔寄せの石とやらの話は?」
国王「一応、ざっとですが兄さんに聞きましたよ」
国王「……まあ、それも……割れてしまって、もうありませんけど」
剣士「量産し要所へと配置すれば、魔物を恐れる必要が無くなる等と言っていたが」
剣士「……真の目的はそんな事では無いだろうな」
国王「でしょうね。街へばらまき混乱や恐怖を招き入れる為……と」
国王「考える方が自然でしょう。彼らは、私に……この国にも」
国王「『王』をやめろと言ってきましたしね」
剣士「……光の剣、だったか。それを修理するのにどうとやら、と言うのは?」
国王「金の髪の勇者様……貴方がお会いした、黒い髪の勇者のお父様、ですね」
国王「彼のために、と……お父様……鍛冶師と言う者が」
国王「あの魔法の鉱石を使い、光の剣を修理した実績があります」
国王「……真似をしようとしたんでしょうね」
剣士「誰にでも出来る事なのか」
国王「残念ながら、鍛冶について、私は明るくありませんから」
国王「そこは何とも言いようがありません。ですが」
国王「……修理したところで、どうしようとしたのか……」
国王「話を聞く限り、彼らが……黒い髪の勇者が」
国王「魔王を倒せるはずが無いと確信していたのだろう、としか解りません」
剣士「……あいつらは俺が魔王であるのだろうと思っていた様だからな」
剣士「そんなはずが無い。『魔王を倒さねばならない』と」
剣士「……その思いにどうしても捕らわれるんだ、俺は」
剣士「そんな俺がどうして『魔王』であるんだか」
国王「記憶を失って居られるから、でしょうけど……」
剣士「だからといって、俺が魔王であったとしても」
剣士「どうして『自分が自分を倒す』事に……思いに」
剣士「……固執すると思うんだ」ハァ
249 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/23(月) 00:05:19.52 ID:JVzByITRP
国王「光の剣を……彼ら、魔導国の者達が手に入れたとして」
国王「何をしようとしていたのか。それは……今となってはわかりません」
剣士「母親は?」
国王「牢の隅に蹲って、殆ど喋ろうとはしませんよ」
剣士「……殆ど」
国王「ええ。『剣士に会わせろ』と、それ以外はね」
剣士「……俺は、会う気等無いぞ」
国王「そうですね。そんな気を持たれても困ります」
国王「叶えてあげられませんから」ニコ
剣士「それで……俺は、この小屋に軟禁、か」
国王「接触を避けたい、と言うのもありますけど」
国王「……いえ。軟禁、と言う言葉も否定は致しません」
剣士「……もう一度聞いても良いだろうか」
国王「はい?」
剣士「この小屋は?」
国王「……城の中庭から続く、丘の上の小さな小屋です」
国王「それ以外に何があると言うのでしょうか」
剣士「…… ……魔力を感じる」
国王「え?」
剣士「聞いているとの前提で話す。勇者達が魔導国の」
剣士「あの部屋から消えた時、何者かの強い魔力を感じた」
剣士「光が発せられた後、彼らは忽然と消えてしまった……」
剣士「騎士団長には、そう話した」
国王「……ええ」
剣士「その時、割れるように頭が痛んだ。そして、その魔力の干渉を感じた」
剣士「……それと同じ物を、この小屋全体から感じる」
国王「痛む、のですか」
剣士「え?」
国王「勇者達が消えた時、頭痛がしたと仰ったでは無いですか」
250 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/23(月) 00:10:44.95 ID:3PohvlSyP
剣士「……ああ、否。それは……痛みは、無い」
剣士「だが……魔力の質は同じ物だ」
剣士「……随分と力の強い、魔族の物に感じる」
剣士「だが……不思議と、厭な感じはしないな」
国王「貴方が魔族であるのなら……逆に心地よいと感じるのでは?」
剣士「……確かに、ある種の心地よさは感じる。だが……」
剣士「…… ……違う」
国王「違う?」
剣士「そうだな……言う、なれば……」
剣士(これは、何だ? ……船長と一緒に居た時の、気持ちと似ている)
剣士(……慈しみ…… ……否。苦しい。切ない、悲しい……だが、嬉しい、と)
剣士(語りかけてくる、様な)
剣士「…… ……」
国王「剣士さん?」
剣士「あ……ああ。悪い。否……どう説明したら良い物か」
剣士「……何かを、守ろうとしている感じ?」
剣士「愛…… ……」
国王「……愛?」
剣士「…… ……すまん。今の言葉は忘れてくれ」
国王「随分と、ロマンチストなのですね」クス
剣士「……忘れてくれと言っただろう」
国王「すみません」クスクス
国王「……否、ですが。そうですか……」
国王(愛。 ……母の愛? ……勇者を守ろうとする、愛)
国王(……しかし、母君様は……)
>>244 上から目線の評論するあなたかっこいいですね
そういうのやりたいならVIP行けよ
252 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/23(月) 00:13:01.24 ID:3PohvlSyP
12時過ぎちゃったので寝ます!
また明日電車でー!
BBA乙
おやすみ
おやすみー!
このように会話オンリーとかあり得ない作品に
優良ユーザーというかファンに守られて
目と耳を塞いで会話オンリーオナニーやってりゃ楽だろうよ
コイツの成長はまったく皆無だがな
ああRPGツクールにも失礼だったな、ルイナとか無料でも名作あるし
VIPとVIP+の違いが私には分からん
256 :
名も無き被検体774号+:2013/09/23(月) 00:31:50.55 ID:VkIdD4U40
>>255 じゃあ見なきゃいいじゃん
スレ見て気に入らないならそっと閉じればいい
こういう形式のスレなんていっぱいあるし批評したいなら
スレたてて自分と同じ意見のやつ見つけてそのスレの中で楽しんどけ
検定だね
SSとアニメとゲームを一緒にしたりVIPとびっぷらの区別がつかないオナニー評論したいガキはNGいれてスルーしよう
荒れるとBBAに迷惑だし
sageてなかった…
スルーできなかったと二重でだめだな
こういう人はSSスレを見る度にこんな書き込みを続けるのかと
最近気の毒に思い始めた。
261 :
名も無き被検体774号+:2013/09/23(月) 01:39:13.07 ID:BaIFWyJD0
BBAおやすみ〜
情景描写を脳内で出来ないってのは、なんて言うんだ?まぁ、確実に気の毒な人だよね。
釣りだったら、大量だなw
BBA、急がずに書けよー
大漁だし半芝だし単芝だしすごいね君
265 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/23(月) 09:52:52.53 ID:3PohvlSyP
電車寝てたわ( ゚д゚)
働いてくる!
また帰ってかけたら!
いてらBBA
刺客でも容赦はしないっ!
倍返しの魔石だっ!!
マホカンt(ry
よくわからんが、ほのぼのしたw
271 :
名も無き被検体774号+:2013/09/23(月) 23:09:53.28 ID:BaIFWyJD0
ほ
捕手
273 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/23(月) 23:32:06.28 ID:3PohvlSyP
今日は駄目だ、無理だ……
寝る!御免!
>>273 おやすみー
書くのはゆっくりでもいいからね
275 :
名も無き被検体774号+:2013/09/23(月) 23:51:31.09 ID:tGLCFYys0
BBA結婚してくれ
俺と結婚してくれ
いいよ///
幼女を僕にください
ほ
し
ゅ
ま、ゆっくりまったり書いてね。
283 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/24(火) 20:56:56.52 ID:/8h0ViqnP
本日も限界ですわ( ゚д゚)
保守して待ってるゆっくり休んで
285 :
名も無き被検体774号+:2013/09/24(火) 23:13:03.06 ID:m9+i1BzE0
最近大変そうだな?
気長に待ってるぞ
ほしゅ
287 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/25(水) 09:14:49.72 ID:N8ciP8EKP
おはよう!
連勤で死にそうになってるが
今日で終わるから明日からまた!
288 :
!ninja:2013/09/25(水) 09:29:51.31 ID:sd6mVDyFi
おぅ!いつまでも待ってる❗️
289 :
名も無き被検体774号+:2013/09/25(水) 12:03:17.04 ID:jikepdLZ0
ほ
の
楽しみにしてるから生きろ!
ほ
293 :
名も無き被検体774号+:2013/09/25(水) 21:28:14.26 ID:tQ5VvrGA0
しゅ
294 :
名も無き被検体774号+:2013/09/26(木) 00:27:42.09 ID:FO9148I/0
ら
っ
し
おっぱい揉みてぇなぁ〜
保守
298 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 09:24:09.13 ID:irrGelmEP
おはよう!しばらく休み!ひゃっほーう!
お迎えまで!
299 :
名も無き被検体774号+:2013/09/26(木) 09:26:59.27 ID:W+0lAT5cP
お疲れー!
休みよかったなぁー
ゆっくりでいいからなー!
300 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 09:50:52.14 ID:irrGelmEP
剣士「……誰かが、住んでいたんだろう?」
国王「え? ……ああ、ここですか?」
剣士「綺麗に整ってはいるが……生活感がある」
国王「……ここには……旅立つまでの間、黒い髪の勇者と」
国王「その母君が住んでいらっしゃいました」
剣士「…… ……」
国王「その前には、女剣士様……初代の騎士団長が」
国王「……さらに前には、金の髪の勇者様と、その……世話役、と言うのか」
国王「盲目の男性が、一人」
剣士「『勇者』の世話役が、盲目?」
国王「……古い話ですから、詳しくは」
国王(流石にそこまでは……話せない)
剣士「母君……は、何処に居る?」
国王「……解りません」
剣士「…… ……」
国王「どうやって出て行った、のかも」
国王「……忽然とね。消えてしまったのです」
剣士「馬鹿な。たかだか女一人……」
剣士「…… ……」
国王「剣士さん?」
剣士「……否」
剣士(『勇者』は確かに人間だった)
剣士(……で、あるならば……母である女も人間なのは間違い無いだろう)
剣士(だが……では、この魔の気配は何だ)
剣士(……俺が魔族であろうなら、心地良いのも理解出来る、が)
剣士(…… ……愛。母の……愛か)
301 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 09:57:14.73 ID:irrGelmEP
剣士(俺には解らん。理解は出来ん……しかし、それにしても)
剣士「……おかしい」
国王「え?」
剣士「たかだか女一人、だ。か弱い身で万一城を……この小屋を抜け出せたとて」
剣士「何処へ行く?」
国王「…… ……探させては居たのです」
国王「ですが……」
剣士「警備は厳重だった、のだろう?」
国王「……ええ。私の命の危険もあるからと、兄さ……騎士団長が」
国王「随分と、警戒していましたから」
剣士「…… ……」
国王「だからこそ……『忽然と消えてしまった』と、言ったのですよ」
剣士「……失態だな」
国王「……仰るとおり、です」
剣士「黒い髪の勇者には?」
国王「勿論、お話し致しましたよ。申し訳ありませんでした、と……」
剣士「……無関係では無いのだろうな」
国王「え?」
剣士「勇者達が、忽然と消えてしまった事と、だ」
剣士「……事実、同じ魔の気がするんだ」
国王「勇者達が消えた時と、ですね」
剣士「もし、攫われたとするのなら納得がいく」
国王「…… ……そう、ですね」
剣士「だが、疑問も残る」
剣士「……心地よい、何かを守る様な……これは」
国王「…… ……」
302 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 10:24:25.81 ID:irrGelmEP
国王「勇者達の向かう先は……魔王の城、だったのでしょうか」
剣士「あれほどの強い……魔力の干渉だ」
剣士「そうだろう、とは思うが……」
剣士「……考えれば考える程、説明がつかないな」
剣士「勇者の母を攫って……何になる。勇者は何れ、あの城に」
剣士「……魔王の傍に、たどり着く、んだろうに」
国王「……剣士さん」
剣士「?」
国王「私は、兄程……貴方を疑っていないと思います」
剣士「…… ……」
国王「兄さんの……考えて居る事を全て理解してるとは勿論言いません」
国王「ですが、勇者や、魔法使いさん達から聞いた話を考えると……」
国王「悪い人とは思えない」
剣士「……一国の主である者の発言としては、甘いと思うが」
国王「私も、貴方が『少年』なのでは無いかと思っています」
剣士「…… ……あり得ない。さっきも言っただろう」
剣士「俺には記憶が無い。だが、俺は『魔王を倒さなければならない』んだ」
国王「…… ……」
国王「私の知っている『世界』をお教えする前に、もう一つだけ」
剣士「?」
国王「もし、『魔王』が、勇者達の手に寄って倒された、なら」
国王「……貴方には、わかりますか?」
剣士「……それ、は」
国王「…… ……」
剣士「どうだろうな。わかるかもしれんし、わからんかもしれん」
剣士「……滑稽だな。何としても魔王を倒さねばならんと」
剣士「こんなに……強く思うのに」
剣士「自分の手の届かない場所で……終わってしまうと思えば」
国王「…… ……」
303 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 10:33:06.51 ID:irrGelmEP
剣士「……お前は俺が『少年』だと思っている、と言ったな」
国王「ええ……」
剣士「領主達は、『少年』が『魔王』だろうと言っていた」
剣士「……まさか、それまで信じている訳では無いだろうな」
国王「…… ……」
剣士「……おい?」
国王「私達は……『勇者』の帰還を待つしかないんです」
剣士「……答えてはくれん、のか」
国王「『魔王』は確かに、魔王の城に居るのですか?」
剣士「…… ……?」
国王「……私は……ああ、会った事は無いのですが」
国王「『少年』を知っています」
剣士「!?」
国王「……その上で、貴方が『少年』なのでは無いかと疑っています」
国王「金の髪の勇者は、確かに『魔王』を倒したのでしょう」
国王「魔物の力は弱まり、数も減った。だが……帰っては来なかった」
国王「……そして又、徐々に力をつけ始め……今に至る、のです」
国王「勇者は再び産まれ、魔王を倒す為に旅立った……」
剣士「……何が言いたい」
国王「『金の髪の勇者』が倒したのは、確かに……『魔王』だったのか、と」
剣士「…… ……解る様に話してくれ」
国王「…… ……」
剣士「…… ……」
国王「貴方は」
剣士「?」
国王「……確かに『魔王を倒したい』のですよね?」
剣士「……ああ。それだけは、確かだ」
国王「それは……『世界を平和にする事』に置き換えられますか」
剣士「……『魔王を倒す事』が『平和』だと言うのならば」
剣士「そうだ、と断言しよう」
国王「…… ……解りました」
304 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 10:35:53.17 ID:irrGelmEP
国王「では、一つお願いがあります。それを叶えて下さるのなら」
国王「『私の知る世界』の全てをお話ししましょう」
剣士「……拒否する権利は無いのだろう?」
国王「……知りたいと仰るのならば、と。条件はお話ししましたからね」
剣士「良いだろう……願い、とは、何だ?」
国王「この国の騎士と共に、鍛冶師の村に向かって下さい」
剣士「?」
国王「貴方の腕を見込んでのお願いです。あの村に残る魔寄せの石を」
国王「全て、破壊して頂きたいのです」
305 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 10:37:41.74 ID:irrGelmEP
おかいもの!
306 :
名も無き被検体774号+:2013/09/26(木) 10:51:22.34 ID:W+0lAT5cP
剣士…!
いってらー
307 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 12:24:47.55 ID:irrGelmEP
剣士「…… ……」
国王「大丈夫です。村を放ってはおきません」
国王「……魔物討伐の為の、騎士は残しますし」
国王「貴方の事を見捨てる事も決して致しません」
剣士「…… ……」
国王「確かに……騎士達の中で、貴方に偏見の目を持たない者は少ないでしょう」
国王「ですが変な真似はしないように、と……」
国王「騎士団長直々に、命令を下して貰ってますから」
剣士「……用意周到だな」
国王「人選も怠ってません……信用して下さい」
剣士「俺が、拒否する……とは思わなかった、のか」
国王「拒否されたなら、それまでです……貴方は『世界』を知り得ない」
国王「少なくとも、私からは」
剣士「…… ……良いだろう。出発は?」
国王「三日後です。兄さんは暫く戻らないでしょうから」
国王「……実質、貴方に指揮を任せる事になりますけど」
剣士「……何?」
国王「お願い致しますね?剣士さん」ニコ
剣士(……食えない男だ)
国王「続きのお話しは、貴方が戻られてからにしましょう」
国王「……それまでに、勇者が戻る事も……地理的に考えられませんし」
308 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 12:27:11.37 ID:irrGelmEP
おひるごはん!
309 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 13:38:20.77 ID:irrGelmEP
剣士「……一度飲むと言った事だ。それで結構……だが」
剣士「良いんだな?」
国王「……ええ。私も、信用していますから」
剣士「…… ……解った」
国王「小屋までの道を城の方へと戻って貰えれば、見張りの騎士が」
国王「常駐していますから」
国王「何かありましたら、仰って下さい」
国王「……貴方の家だと思って、寛いで下さって結構です」
剣士「……故に何処へも行くなと言う事だな」
剣士「否……行かさない、か」
国王「否定はしません」
剣士「…… ……感謝する。国王陛下」
国王「では、三日後。騎士に迎えに来させます」
スタスタ、パタン
剣士(…… ……)
剣士「三日、か……鍛冶師の村」
剣士(確かに……妙な気配はあった)
剣士(……魔寄せの石。傭兵を雇うにしては、安全な旅)
剣士(楽な仕事だったな)フゥ
剣士(……勇者達は、今……どこで、何をしている……んだろうな)
……
………
…………
魔王「本当にご免なさい!」
使用人「わ、わかりましたから、顔を上げて下さい!魔王様!」
魔王「……いや、マジで使用人の部屋だとか思わなくて!」
使用人「もう良いですってば!」
魔王「何にもしてないから!本当に、あの時は……!」
使用人「その先は言わなくて良いです!」
310 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 13:43:53.50 ID:irrGelmEP
魔王「……御免」スッ
使用人「土下座とか……やめて下さい」ハァ
魔王「いや……まあ、うん……」
使用人「…… ……」
魔王「で、あの……魔法使いは?」
使用人「……面倒なのでまきました」
魔王「…… ……あ、ああ、そう」
使用人「きちんとお部屋の説明……と言うか」
使用人「ご案内しなかった私も悪いんです」
使用人「もう気にしないで下さい」
魔王「……わかった」
使用人「僧侶様と戦士様……は?」
魔王「さあ……さっきの部屋まだ居るんじゃ無いのか?」
使用人「何処へ行かれるも自由です……が」
使用人「……魔へと、変じられるおつもりなのならば」
使用人「お早い方が、宜しいかと」
魔王「……そうか。魔法使いもまだウロウロしてる、のかな」
使用人「かもしれません。結構複雑に動き回ったので」
魔王「…… ……」
使用人「……すみません」
魔王「いや……使用人は何も悪く無いから」
魔王「もし、誰か見かけたら……さっきの部屋に行くように言っておいてくれ」
魔王「俺も……ちょっと探してみるよ」
使用人「ご案内しましょうか?」
魔王「あー……うん、いや、後で良いよ」
魔王「……まだちょっと、混乱してるしさ」
使用人「旨く説明出来なくて……すみません」
魔王「仕方無い……はいそうですかって」
魔王「理解出来る振り、で済む問題じゃ無い……しな」
311 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 13:48:36.73 ID:irrGelmEP
おむかえー!
てら。
313 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/26(木) 20:40:12.65 ID:irrGelmEP
時間が無くなってしまった (´・ω・`)
また明日……
おう!
ゆっくり寝てくれ
315 :
名も無き被検体774号+:2013/09/26(木) 23:10:14.44 ID:NjbIqfvi0
おつ!
楽しみにしてるー
316 :
名も無き被検体774号+:2013/09/27(金) 00:50:34.25 ID:RE9UVjmZi
毎日お疲れ様ー!
317 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 12:26:39.03 ID:+Bg1BhSQP
ただいま!
お昼食べたらお迎えまで少しだけ!
おかえり!
待ってるー
319 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 14:55:06.37 ID:+Bg1BhSQP
p2繋がらない (´・ω・`)
320 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 14:58:51.51 ID:+Bg1BhSQP
やっと繋がった! (´・ω・`)
なんやったんや……
今日は無理かもorz
321 :
名も無き被検体774号+:2013/09/27(金) 15:04:25.76 ID:ZWvqjM1yP
なんか強調し悪いな
322 :
名も無き被検体774号+:2013/09/27(金) 15:57:38.26 ID:HBKHG4ZR0
使用人かわゆすー
323 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 17:28:25.48 ID:+Bg1BhSQP
使用人「では、後ほど……あの部屋で」
スタスタ
魔王「……」フゥ
魔王(改めて一人……になってみると)キョロ
魔王(……変な感じ、だよな)
魔王(あんまりうろうろしない方が良いのかな)
魔王(でも、なぁ…… ……)
魔王(俺は、此処で何をすれば良いんだ?)
魔王(……父さんの様に……子供……『勇者』を作って)
魔王(そいつを、母親……魔法使いに任せて)
魔王(……俺は、此処で……『勇者』に倒されるのを待つだけ?)
魔王(他に……出来る事は無いのか?)
魔王(俺は……『魔王』は。それしか……出来ないのか?)
魔王「…… ……」
魔王(考えても仕方無い……の、か?)フゥ
魔王(……さっきの部屋に戻るか)スタスタ
魔王(…… ……)
魔王「……あれ、俺どっちから来たんだっけ?」
……
………
…………
324 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 17:46:05.94 ID:+Bg1BhSQP
魔法使い「…… ……」
カチャ
僧侶「魔法使いさん!」
戦士「……どこ行ってたんだ」ハァ
魔法使い「あ……!良かった、二人とも……戻ってたのね」
使用人「……魔法使い様、先ほどはすみませんでした」
魔法使い「使用人も……」ホッ
魔法使い「……あ、あの、さっきは……」
使用人「魔王様に土下座されたので、もう……謝罪はいりません」
戦士「……土下座?」
僧侶「……何、やったんですか」
魔法使い「あ、いや……あの……ッ」
使用人「とにかく。 ……後は魔王様だけですね」
魔法使い「え……魔王、戻ってないの?」
僧侶「探されている、のでは?」
使用人「いくら広いとは言え、元の部屋に戻れない程では無いと」
使用人「思うのですけど……」
戦士「……そんなにややこしいか?この城」
僧侶「いえ……まあ、広いですけど、確かに」
カチャ
魔王「あ……居た……あってた……」フラ
使用人「……迷っていらした、んですか?」
魔王「……廊下が全部同じにみえるんだよ、この城……」
僧侶(方向音痴……なのでしょうか)クス
魔王「僧侶、酷い」
僧侶「ご、ごめんなさい!」
戦士「解りもしないのに勝手にウロウロする魔王が悪い」
325 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 17:56:08.26 ID:+Bg1BhSQP
魔王「……戦士も酷い」
魔王「お前、俺の側近になってくれるんじゃ無いのかよ!?」
戦士「自分の城で迷子になる阿呆の面倒まで見れるか」
魔王「迷子じゃねぇし…… ……多分」ハァ
使用人「何れ慣れますから」ハァ
使用人「明日にでも、改めてご案内いたしますし」
魔王「……お願いします」
魔法使い「……魔王」
魔王「ん?」
戦士「待て……まずは、俺からだ」
僧侶「…… ……」
戦士「少し、使用人に話を聞いた。前例から言って、多分……」
戦士「俺が一番、暴走する可能性が少なそうだ」
魔王「暴走?」
魔法使い「…… ……暴走って……何?」
使用人「人である身が魔へと変じる時」
使用人「その急激な変化について行けず……魔力が暴走するんです」
魔法使い「……暴走したら、どうなるの」
使用人「押さえきれなければ、自我を失い……理性を失い」
使用人「滅されるのを待つだけの魔物へと成り果てる……でしょうね」
魔法使い「!」
使用人「……紫の魔王の側近様も。私も……暴走状態を経験しました」
魔王「使用人も……?」
使用人「はい。幸いな事に私達は……それぞれ、当時の魔王様に」
使用人「暴走を止めて貰っています」
戦士「そして、前の時……金の髪の魔王の時は」
戦士「魔導将軍以外は、暴走していない、と言うのだ」
僧侶「……魔導将軍は律しきれず……その力を外へと放ち」
僧侶「……あの翼を、産みだしたのだそうです」
使用人「あれはあれで、正解だった……まあ、結果オーライ、に過ぎませんが」
魔法使い(似てる……さっき、使用人から聞いた話と)
326 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/27(金) 18:01:06.08 ID:+Bg1BhSQP
コンセント抜かれた( ゚д゚)
お、お風呂とご飯……
327 :
名も無き被検体774号+:2013/09/27(金) 23:16:01.43 ID:A+domb6i0
ものの喩えじゃなくPCとかのを抜かれたんか…
幼女に抜かれたのか…
保守
余裕で保守
BBAお疲れ様〜
332 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/28(土) 19:53:59.99 ID:toToqijtP
仕事に忙殺されとります
不定期でごめんな!
気にしなーい( ´ ▽ ` )ノ
ゆっくりで良いので完結まで続けろください
保守は任せとけ!
335 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 01:14:47.34 ID:86bjRV2Wi
336 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 01:28:37.21 ID:fFIgVF3uP
おぉーこれは四コマの人のキャラデザ!
337 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 08:26:06.78 ID:1gpfLByw0
保守
338 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/29(日) 08:26:59.31 ID:EY/dHeK4P
魔法使い(魔王も……勇者を生み出さなければ……)
魔法使い(『自我を失い、力は……暴走する』…… ……?)
使用人「『魔の王』に新たな力と命を与えられ、人の物から魔の物へと」
使用人「……全てが変化するんです。細胞の一つ一つ。血の一滴までも」
使用人「そうして、全ては歓喜する……それが、暴走です」
魔王「歓喜……」
使用人「ええ。それを押さえきれなければ……」
戦士「……暴走状態にならなかった者の共通点ってのが」
戦士「魔法を行使できない事、だそうだ」
僧侶「攻撃、が抜けてますよ戦士さん」
戦士「ああ……そうか」
魔法使い「攻撃魔法……ああ、成る程。金の髪の側近さんは『戦士』だったのよね」
僧侶「はい。それに、魔王様のお母様も『僧侶』だったと仰ってました」
魔王「……あれ?紫の魔王の側近は? あいつも回復魔法が使えた、んだろ?」
使用人「『魔法なんて使い様』……后様は良く、そう仰っていました」
使用人「……側近様は、紅い瞳の魔王様に鍛えられて」
使用人「風の魔法が使える様になっています」
魔法使い「え……!?」
使用人「……魔法と言うのは、本来はそういう物なんじゃないか、って」
使用人「ただ……必ず誰もが出来る訳では無いでしょうけど」
魔法使い「ストップ。でも、それは魔へと変じた後でしょう?」
魔法使い「だったら……」
使用人「紫の瞳の側近様は……『魔王』を倒す為に旅立たれた時に」
使用人「それらしい事をされているんです……勿論、素質はあったんでしょうけど」
魔王「それらしい事、って?」
使用人「船で向かっていらした時に、風を操ってスピードを早くしたとか」
使用人「どうとか……」
魔法使い「……まあ、『攻撃魔法』に分類されるかどうかわかんないけど」
僧侶「……『使い様』、ですか」
339 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/29(日) 08:30:22.62 ID:EY/dHeK4P
使用人「前例の共通点を探るとすれば、その辺かな、と思います」
使用人「……それに、后様は貴方達の気配を探ったり」
使用人「転移の魔法……本来、紫の瞳の魔王様にしかできないだろうと」
使用人「思われた事まで、やってしまわれました」
魔法使い「…… ……」
使用人「魔王様のペンダント。それから……声が聞こえた、のでしょう」
魔王「……『願えば叶う』って言葉は、そういう所から来た、のか?」
使用人「……最初に言い出されたのは、姫様でしたけどね」
僧侶「…… ……」
使用人「ですので。戦士様は……多分、暴走される可能性は少ないと思います」
340 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/29(日) 08:31:13.20 ID:EY/dHeK4P
しゅっきーん!
いってらー!
342 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 10:06:19.77 ID:rJbTGICf0
しゃきーん
しゅぴーん
344 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 15:46:18.40 ID:fFIgVF3uP
スコーン!
ほしゅ
シュッシュッ
347 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/29(日) 20:28:46.21 ID:EY/dHeK4P
明日やっと休みいぇーい!
て、訳で帰って寝ます (´・ω・`)
また明日!
おつかれ!
ゆっくり寝てくれー
乙
350 :
名も無き被検体774号+:2013/09/29(日) 22:42:02.56 ID:WLZ2d6ie0
お疲れー!
寝る前にほしゅ
寝ながらほしゅ
目覚めてほしゅ
風呂から保守
355 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 09:54:46.17 ID:odwUG5QeP
戦士「だから……俺からだ」
魔王「……本当に良いんだな」
戦士「構わん……魔法使い、すまんが、僧侶をどこか……別の部屋へ」
僧侶「戦士さん……」
魔法使い「…… ……」
戦士「……辛いだろうと、思う。だから、頼む」
魔法使い「……僧侶。良いの?」
僧侶「…… ……」
戦士「僧侶?」
僧侶「……やっぱり、此処に居ます」
僧侶「この目で……見ておきたいのです」
戦士「…… ……」ハァ
僧侶「『知る事を拒否してはいけない』んです、よね? 魔王様」
魔王「あ、ああ……でも……」チラ
戦士「…… ……好きにしろ」
魔法使い「……僧侶」ギュ
僧侶「…… ……」
魔王「良いんだな、戦士」
戦士「ああ……何度も聞くな」
魔王「すまん……使用人。具体的には……どうするんだっったっけな」
使用人「戦士様の身体のどこかに触れて下さい」
使用人「それで……」
魔王「『願えば叶う』か」
使用人「……はい」
魔王「……簡単に言ってくれるよな」ハァ
使用人「申し訳ありません。ですが……事実ですので」
戦士「……それが心理なのかもしれん」
魔王「……『世界の真理』か」
魔王(知るには未だ……ほど遠い)
魔王(俺達は…… ……知れる、のか?)スッ
356 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 10:03:47.01 ID:odwUG5QeP
戦士「……」スッ
魔王(戦士の手を握って……願う、か……)
魔王(こんな事で……)
ジュウゥ…
戦士「!? ……ッ ぅ、あ……ッ」
魔法使い(魔王が触れられた所から……煙が!?)
僧侶「せ、戦士さん……ッ」
戦士「寄るな!……う、ぅああああああッ!!」
魔王(何か……流れ込んでくる……『命』か……これ……!?)
魔王(魔力が……俺の中の……黒い何か……が、逆流する……!!)
僧侶「ひ……ッ ィ……ッ」ガタガタ
魔法使い「僧侶!?」ギュッ
シュゥウゥ……
戦士「……ッ ……? 終わった、のか……」
魔王「…… ……」
魔法使い「……変わった様に、は……見えない……けど」
僧侶「…… ……」ポロポロ
僧侶(こんなに、こんなに……容易く、人と言うのは……)
僧侶(魔へと……転じる事ができるのですか……)
魔法使い「……僧侶?」ギュ
僧侶「大丈夫です……魔法使いさん」
戦士「……どう、なった。確かに変わった様には、見えん……思えん、が」
使用人「内なる声に耳を傾けて下さい」
使用人「……貴方の気配は、最早……魔そのものです、戦士様」
戦士「……そう、か」ハァ
戦士「すまん……座らせてくれ」フラフラ
使用人「……どうぞ、こちらへ」
357 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 10:35:15.92 ID:odwUG5QeP
僧侶「戦士さん……!」タタタ……!
魔法使い「……次は私……ね」
戦士「僧侶……」ギュ
戦士「……待て、魔法使い」
魔法使い「? 何よ」
戦士「僧侶」
僧侶「は、はい」
戦士「…… ……どう、だった」
僧侶「え?」
戦士「何を感じたのか……教えてくれ」
僧侶「…… ……戦士さんの、人としての、命……」
僧侶「……命、の炎が。魔王様に……魔王様の黒い、魔力に包まれて」
僧侶「消え……ました」
使用人「…… ……」
魔法使い「…… ……」
魔王(……確かに、俺は戦士の命を飲み込んだ)
僧侶「……同時に、その黒い魔力……が、戦士さんの器に」
僧侶「新たな命、を与えた……んだと、思います」
魔法使い「魔、としての命、ね」
僧侶「……はい」
魔王(魔力を放ち、力を与えた……確かに、そうだ。だが)
魔王(……どうして、こう…身体に力が、漲るんだ)
魔王(『人間』の命を……喰らったから、か……!?)ゾクッ
戦士「……そうか」
魔王「魔法使い……」
魔法使い「ストップ。もう決めた事よ」
魔王「…… ……ああ」
358 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 10:58:00.48 ID:odwUG5QeP
魔王「…… ……」スッギュ
使用人「…… ……」
魔法使い「え、ちょ!?」
魔王「……大丈夫だ。俺が……止めてやるから」
使用人「……」ハァ
僧侶「使用人さん?」
使用人「……いえ」
使用人(親子で似た様な事を……)
魔王「……耐えろよ、魔法使い」グッ
魔法使い「……ッ」
魔法使い(魔王から……凄い力を感じる)
魔法使い(触れた場所が……熱い……ッ)
ジュウ……
魔法使い「あ……ッ ァ ……!」ガクッ
魔王「魔法使い……!」グッ
魔法使い「だ、い ……じょ……ッ 平……気、よ……ッ」ハァハァ
魔法使い(何、これ……ッ)
魔法使い(身体の中が、熱い……ッ 炎が、渦巻いているのが分かる……)
魔法使い(押さえなきゃ……ッ うぅ……ッ)
魔法使い「あ、ぁ………ッ」
魔法使い「アアアアアアアアアアアアあああああああああああ!」
僧侶「魔法使いさん!」
使用人「……出ては駄目です!下がって!」
359 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 11:04:34.75 ID:odwUG5QeP
魔法使い「……ッ う、ゥ……ッ」
魔王「魔法使い!」
魔法使い「…… ……ッ」
僧侶「魔法使いさん!」
戦士「……僧侶!駄目だ!」ギュッ
使用人「意識を貴女様の内側の、渦巻く炎に集中してください!」
使用人「一カ所にまとめて放出させ、それに、形を与える事をイメージして下さい!」
魔法使い「簡単、に……ッ 言ってくれる……わ、ね……!」
使用人「魔王様、念の為……部屋に結界を!」
魔王「……え!?俺!? ……結界、って……ど、どうやんの!?」
戦士「おい……ッ」
使用人「願うのです!イメージして……ッ こう、です!」
ビュウウウウウウウ!
戦士「!」
僧侶「風の……防壁!?」
魔王「お前本当に簡単に言うな……ッ こう、か……ッ」パシンッ
僧侶「!」
僧侶(……黒い、結界が広がって行く……ッ く、るし……ッ)グゥッ
僧侶(……戦士さん達は、平気なの!?)
使用人「僧侶様は私の傍へ……エルフには、苦痛でしょう」
使用人「私ではそちらまで守りきれません!魔王様、魔法使い様はお願いします!」
魔法使い「……ッ 冗談、じゃ無いわ、同じ……ッ に、しないで、よね!」
ゴォォッ
僧侶「う、ぁ……熱ッ」
魔王「魔法使い!」
戦士「……ッ」
魔法使い「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
フラ……バタンッ
魔王「魔法使い!」タタ……ギュ!
魔王「魔法使い!おい!しっかりしろ!」ユサユサ
魔法使い「…… ……」
360 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 11:23:17.24 ID:odwUG5QeP
使用人「…… ……」フッ
僧侶(使用人さんの風も……魔王様の黒い気配も……消えた……)ホッ
戦士「お、おい……ッ」
僧侶「……大丈夫、です。気を失って……居られる様ですけど」
使用人「……身の内に押しとどめたんですね。無茶を……」
魔王「大丈夫……なんだな?」
使用人「僧侶様のお言葉です。何より信じられるでしょう」
魔王「……ああ」ホッ
僧侶「…… ……」
魔王「僧侶?」
戦士「……自分達で決めた事だ」
僧侶「…… ……すみません」
戦士「人では無いと言え……俺も、魔法使いも生きている」
戦士「……余り、嘆かないでくれ、僧侶」
僧侶「……はい」
魔王「……お前は大丈夫なのか、僧侶」
僧侶「使用人さんの……風の防壁の中に、いましたから」
使用人「……ご気分は?」
僧侶「貴女の、だったのですね」
使用人「え?」
僧侶「……何となく、心地よい風に吹かれている様な、この心地」
使用人「…… ……」
魔王「何だ?」
使用人「……そもそもは、紫の瞳の魔王様の暴走を少しでも和らげられたらと」
使用人「施した……気休めの魔法です」
使用人「……極上の布に緑の加護を、と」
戦士「布?」
使用人「カーテンです。 ……良かった。少しでもお役に立てたなら」
361 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 11:38:51.82 ID:odwUG5QeP
使用人「……ですが」
僧侶「そうですね。やはり……私は長く、この場所に居るべきでは無いでしょうね」
戦士「…… ……」
僧侶「……人間としての、戦士さんと魔法使いさんの命は」
僧侶「……魔王様に吸い取られ」
僧侶「お二人は、一度……確かに人としての生を終えられたのだと思います」
僧侶「ですが、魔力の……魔王様の、とても強い魔力に与えられた模擬的な死ですから」
僧侶「命の炎を抜き取られたとは言え、まだ……器は、残ります」
魔法使い「器……身体の事ね、この……肉体」
魔王「気がついたか……大丈夫か?」
僧侶「魔法使いさん……」
魔法使い「大丈夫……続きを、僧侶」
僧侶「……はい。そこに魔王様の魔力を注ぐことで……」
僧侶「器に残る、加護の力と相まって」
僧侶「新たに、魔族としての生を得られた……と、解釈して良いと思います」
戦士「さっきよりは随分落ち着いた故に感じるのかもしれないが」
戦士「確かに……身体の中に、不思議な……強い力があるのが分かる」
使用人「魔法使い様」
魔法使い「もう……大丈夫よ」
魔法使い「内側か外側か……やり方は一緒でしょ」
魔法使い「使用人の話の通りやっただけよ……ただし、自分の身体の中に、ね」
使用人「……『同じにしないで』ですか」
魔法使い「…… ……私は私よ」
魔王「……平気なら、良い。良かった」ホッ
僧侶「…… ……」
戦士「僧侶?」
僧侶「あ……いえ。ほっとして、ちょっと……力が抜けました」
使用人「……お二人はゆっくりと休まれた方が良いでしょう、が」
使用人「その前に、魔王様」
魔王「……名前を授けろ、だったか」
使用人「はい。新たな生の証として。けじめとして」
362 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 11:49:41.68 ID:odwUG5QeP
魔王「……戦士は、側近で良いんだな?」
側近「俺は異存は無い……が……さっきも言ったが……」
魔王「僧侶とエルフの里を訪ねる為に旅に出るんだろ?」
魔王「……后?」チラ
后「え? ……ああ。そうね……私は、后……ね。ふふ」
后「反対なんかする訳ないでしょう?」
魔王「ありがとう」
后「……貴方は、もう……おいそれと出られない、でしょう」
后「一人は寂しいでしょう? ……私が、傍に居てあげる、わよ」
魔王「……はいはい」プッ
后「な、何よ! ……だ、だから、私達の代わりに、せ……側近と僧侶には」
后「『世界』を見てきてもらわないと」
僧侶「…… ……あ、あの!魔王様!」
魔王「ん?」
僧侶「……私にも…何か、名を……戴けませんでしょうか?」
魔王「そりゃ構わないが……良いのか?」
魔王「……神父様から貰った名だろう」
后「良いじゃないの、魔王。僧侶だって大切な私達の仲間よ」
魔王「……呼び名が変わろうがどうだろうが、大事には違い無いぞ?」
側近「僧侶の気の済む様にしてやってくれないか、魔王」
魔王「……ああ、まぁ……僧侶がその方が良いって言うなら」
魔王「なら……癒し手」
癒し手「はい……ありがとうございます」
363 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 11:58:08.75 ID:odwUG5QeP
使用人「お部屋にご案内致します」
魔王「……そうだな。ゆっくりしよう、魔法使い……じゃ、無かった」
魔王「……后」
后「……ええ」
使用人「申し訳ありません、側近様と癒し手様も後ほどご案内致しますので」
使用人「此処でお待ち頂いて良いでしょうか」
側近「ああ……俺は平気だ」
癒し手「大丈夫です」
使用人「では、魔王様。こちらへ」
魔王「ああ。よい、しょっと」ヒョイ
后「キャッ!? ちょ、ちょっと、歩けるわよ!?」
魔王「煩い。今日ぐらい言う事聞け」
魔王「……自分でやっておいてなんだけど、心配で死にそうだったんだから」
スタスタ……パタン
側近「…… ……」
癒し手「あの……側近様。ご気分は……?」
側近「ん? ……ああ。俺は大丈夫だ」
側近「……正直、まだ信じられない位だ。俺が……魔、になったなんて」
癒し手「…… ……」
側近「不思議だ。嫌悪感……などは無いんだ」
側近「寧ろ、これで良かった……否。こうなるべきだったんだと」
側近「知っていた……様だ」
癒し手「……あの、側近様」
側近「何時、経つ?」
癒し手「え?」
364 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 12:07:11.21 ID:odwUG5QeP
側近「……辛いのだろう」
癒し手「…… ……」
側近「姫様の様に純粋なエルフでは無い、と言え」
側近「……これから、魔王は……徐々に力をつけていくのだろう」
癒し手「勇者様が誕生される迄は、大丈夫だと……思います、けど」
側近「……だが、その後になると、今度は……『世界』を見失う」
癒し手「…… ……はい」
側近「もう少し、使用人に話を聞いて、発とう」
側近「まずは……北の街、だな」
癒し手「塔……ですね」
側近「ああ」
癒し手「でも……どうやって……?」
側近「船の一隻ぐらい、あるんじゃないか?聞いてみれば良いだろう」
癒し手「そう、ですね……使用人さんが戻れば……」
カチャ
使用人「お待たせ致しました。魔王様と后様の部屋からは」
使用人「少し遠いところに……お部屋をご準備してありますので」
側近「待ってくれ。旅立ちの事なのだが」
使用人「……お早い方が良いと思いますが、今日は流石に……おやすみに」
使用人「なられた方が……」
癒し手「あ、それは勿論です……あの。非常に我が儘で申し訳無いのですが」
癒し手「船とか、お借りする事はできますか?」
使用人「……そんな物は、この城にありませんが」
側近「え!?」
癒し手「…… ……え?」
365 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 12:20:38.25 ID:odwUG5QeP
使用人「私も、お聞きしようと思っていたんです」
使用人「どうするおつもりなのか……と」
側近「…… ……」
癒し手「…… ……」
使用人「……考えてませんでしたね」
側近「あ……歩いて、は無理がある、な」
癒し手「……北の街でお借りした船は、魔導国……ですしね」
側近「! そうだ、あの国は……!」
癒し手「それを確かめる為にも……私達は、此処を発たなければなりません」
使用人「……少し、時間は掛かりますが」
癒し手「え?」
使用人「船長さんにお願い致しましょう……」ハァ
スタスタ、カチャカチャ
側近「船長……海賊の、か?」
使用人「文を……お待ち下さい」カリカリ
癒し手「文?」スタスタ
使用人「『仕事の依頼です。客人を二人……』……何処まで行くのです?」
側近「取りあえずは北の塔……と思った、のだが」
使用人「……定期便がどうなっているか解らないですからね」
癒し手「魔導国と始まりの国の戦況次第では……」
使用人「……では、北の塔を経由して北の街付近まで、で宜しいでしょうか」
使用人「変更があれば、追加金を払えばどうにかしてくれるでしょうし」
使用人「…… ……」プチ。グッ……
癒し手「髪の毛……?」
側近「何を…… ……!?」
使用人「……良し、と」
パタパタパタ……ピィ
366 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 12:28:49.39 ID:odwUG5QeP
癒し手「小鳥になった……!?」
側近「お、おい……飛んで行くぞ!?」
使用人「……文を飛ばしたのです。船長さんに無事に届くと……良いのですけれど」
癒し手「……具現化、ですか」
使用人「はい……書庫は覗かれましたか」
癒し手「え、ええ」
使用人「紫の瞳の魔王様が色々と……残してますから」
使用人「……文が船長さんに無事に届き、この最果ての大陸まで来てくれる間に」
使用人「貴女なら、これぐらいすぐに出来る様になると思いますよ」
側近「……成る程。そうすれば、魔王達と何時でも連絡がつくな」
癒し手「……そう、ですね……」
使用人「さあ、ご案内致します。本当に、今日はもうお休みになられて下さい」
使用人「まだ大丈夫だとは思いますが、癒し手様は余り……魔王様には」
使用人「お近づきになられません様」
癒し手「……はい」
側近「行こう、癒し手」
使用人「……では、どうぞ」
……
………
…………
剣士「…… ……」
村長「そ、そんな話は聞いていない!どう言う事だ!」
村長「お前達は……!!」
息子「……お父さん」
騎士「ご心配されなくても大丈夫です。国王は、魔寄せの石破壊後も」
騎士「我々に此処に残る様にと命じられています」
村長「し、しかし!」
367 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 12:32:21.07 ID:odwUG5QeP
おひるごはんー
368 :
名も無き被検体774号+:2013/09/30(月) 12:58:19.27 ID:mY/5UKjo0
やべ。この続き、ちょうおもしろそう
369 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:03:44.92 ID:odwUG5QeP
息子「……お話しは、確かなんですね?」
騎士「はい。魔導国は……指導者の死により実質、解体されたも同じです」
騎士「騎士団長自らが騎士達を率いて、制圧に向かいましたし」
騎士「……領主の血筋の者も、捕らえて監視下に居ます。ですから」
村長「ま、魔法の鉱石は!?あの洞窟はどうなる!」
村長「私達は、あの石で……!!」
剣士「……勇者達は、既に魔王の城へ向かった後だ」
剣士「もし、魔王の討伐が叶わなければ、お前達のその鍛冶師としての腕の」
剣士「出番もあろう、が……故にその時には」
剣士「あんなもの、それこそ破棄しておく必要があるだろう」
騎士「……この者の言う通りです」
息子「…… ……貴方も、騎士なのですか」
剣士「…… ……」
息子「失礼ですが、その瞳の色は……」
騎士「この者は、王からの直々の命令で魔物討伐に参加しています」
騎士「……腕は確かな様ですから、ご安心を」
息子「…… ……似ている」
剣士「黒い髪の勇者にか」
息子「……ええ」
騎士「お前は黙って居ろ、剣士」
剣士「…… ……」
息子(兄弟、と言ってもおかしく無い程に……似ている。だが……)
息子(……紫の、瞳。これでは、まるで……!)
村長「……本当に、始まりの国の者達なんだろうな」
村長「魔導国が、そんな……簡単に……!」
370 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:11:50.84 ID:odwUG5QeP
息子「お父さん、何度同じ質問をするのです」
息子「……書状も見せて貰ったし、彼らは嘘は吐いていない」
息子「国家丸ごとの嘘を吐くメリットも無いだろう」
騎士「……村長、許可を頂けますね?」
村長「…… ……」
騎士「我らの半分は、警護の為に暫く滞在致しますから、安心して下さい!」
息子「……わかりました。ご案内します」
村長「息子!」
息子「勇者様も旅立たれた後だ!もう、あんな物必要無くなるんだ!」
村長「倒せなかったらどうするんだ!また、魔王が復活したら!?」
息子「その時はその時で、俺達が自分達で何とかするんだ!」
息子「あれさえ無くなれば、最初は大変であっても」
息子「何れ、平和になる!魔導国ももう無い!」
息子「……他力本願はやめるんだ!真実から目を背けるな!」
剣士(……真実、か)フゥ
息子「……討伐のお役には立てないでしょうが、近くまでは俺がご案内します」
息子「……宜しくお願い致します」
騎士「ありがとうございます」
村長「……ッ くそ!」ガンッ
騎士「!」ビクッ
スタスタ、バタン!
息子「……すみません」
騎士「いえ……」
剣士「無理も無い。ぬるま湯から急に出ろと言われれば」
剣士「誰でも戸惑う物だろう」
騎士「喋るなと言っただろう!」
371 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:18:52.76 ID:odwUG5QeP
剣士「…… ……」
息子「……鍛冶師様の技術を受け継ぐのに、必ずしも」
息子「あの……石も、魔導国の力も、知恵も」
息子「必要な訳では、無いんです」
騎士「この村には、まだ魔石生成の技術も残っていると聞いていますが」
息子「ええ……鍛冶に携わる事を望む者も多いですから」
騎士「そうですか……」
息子「不都合でも?」
騎士「ああ、いいえ。そうして、受け継がれて行くのでしたら」
騎士「……何の心配も無いだろうと、思いまして」
息子「ああ……ええ。そうです。俺もそう思います」
騎士「では、早速ですがご案内頂けますか」
息子「解りました……ええと、騎士の方々全員ですか?」
騎士「既に半分は北の街の方向へと向かわせてあります」
騎士「北の街の町長にも話を伝える様に言ってありますし」
騎士「こちら側からは、残りの半分が対応致します」
騎士「……行けるか、剣士」
剣士「ああ」スッ
息子「ええと……剣士さん、は……何処へ」
騎士「直接、その場所に向かうのは私と数名、とこの男です」
騎士「案内、お願い致します、息子さん」
剣士「…… ……」
スタスタ、パタン
息子「…… ……」
騎士「……非礼は、お詫び致します」
息子「あ、いえ!そういう訳じゃありません」
息子「……彼は、一体……?」
騎士「……解りません。皆、黒い髪の勇者様にそっくりだと言いますが」
騎士「胡散臭い……男、です」
息子「…… ……」
372 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:26:12.63 ID:odwUG5QeP
騎士「……王直々の命令ですので、連れてきましたが」
騎士「否……彼が居なければ、この作戦は成功しないと、確かに思います」
息子「そんなに……お強い、のですか」
騎士「……ええ。こんなに早くこの村に着けたのも」
騎士「確かに……彼のおかげですから」
息子「…… ……」
騎士「大丈夫です。彼はこの村には……残りません」
騎士「責任もって、始まりの国につれて戻ります、から」
息子「……え、ええ……解りました」
騎士「では、行きましょうか」
……
………
…………
船長「おい!さっさと着岸しろ! ……しかし、やけに静かだったな」
海賊「ですねぇ……魔物の数も随分少なかったし」
チビ「俺も降りて良い!?」
船長「駄目!」
チビ「……ちぇ」
男「残念だな。お前は父さんと一緒に待ってるんだってよ」
チビ「父さん、気にならないの!?最果てだよ!?」
男「気にならネェとは言わねぇけど、船長の命令は絶対だろ?」
男「お前も立派な海賊になりたいなら、覚えとかないとな?」
チビ「……はぁい」
船長「ほら、部屋戻れ、お前ら……母さん、行ってくるから」
チビ「お客さん、乗ってくるんでしょ!?」
船長「だからだよ!」
船長(……しっかし、随分長い間連絡無かったのにな)
船長(懐が潤うのは良いが……気が乗らネェ)
船長(厄介な事に巻き込まれなきゃ良い、がな)
373 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:33:37.33 ID:odwUG5QeP
船長「おい、チビ達部屋から出ない様にもう一回念押しとけよ」
海賊「アイアイサー」
スタスタ
船長(客……ね。北の塔までだと?)
船長(その後、北の街に送り届けて、後は希望を聞いてやれ、とは)
船長(……また妙な依頼だよな。あんな場所に何の用事があるってんだ)
使用人「……あれですね。あれが……船長さんです」
癒し手「は、はい」
側近「……俺達は、『戦士』と『僧侶』だ」
癒し手「はい……嘘には、なりません、しね」
側近「ああ。『エルフの里を探す旅人』だ。それも嘘じゃ無い」
癒し手「……はい」
使用人(船長さん……老けた。当然か……産まれた時から、知っていると言うのに)
スタスタ
船長「……久しぶりだな」
使用人「お久しぶりです、船長さん」
船長「いい加減、その顔の布取ったらどうだ」
使用人「…… ……お金は、此処にあります。どうぞ、お確かめ下さい」
船長「……まあ、良いけどね」ハァ
船長「客、てのはその二人か」
使用人「ええ。僧侶さんと戦士さん、です」
使用人「……北の塔まで、宜しくお願い致します」
船長「随分多いが……良いのか?」
使用人「迷惑料込み、です」
癒し手(この人……年齢は随分違うけれど)
癒し手(……娼婦様に、似てる。あの像に……似ている)
側近「……宜しく頼む」
374 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:41:54.26 ID:odwUG5QeP
使用人「……今、『世界』はどうなっているんです?」
船長「知る限り教えてやりたいとは思うが……『仕事の一環』でね」
船長「アタシ達も世界の海をフラフラとはしてたんだが」
船長「大海の大渦より西にゃ行ってないのさ」
使用人「…… ……」
船長「これと言って、めぼしい事は知らない。戦争状態に近いって」
船長「そんぐらいかね」
使用人「……そうですか」
船長「花の苗は良かったのか?」
使用人「……必要になれば、またご連絡いたします」
船長「了解……んじゃまあ、行こうか。アタシの事は船長って呼んでくれ」
癒し手「はい。お願い致します、船長さん」
側近「どれぐらいで着く?」
船長「すぐそこだよ。今日中には着く……が、先に北の街に寄るのは勧めないよ」
船長「あの街は、塔には近づくなと煩いからね」
癒し手「……では、塔で下ろして下さい」
船長「解った……だが、放って行く訳には行かないだろう?」
船長「どうすれば良いんだ」
側近「塔を出た後、北の街へ行く事は可能か?」
船長「……あの塔の傍に、アンタらが帰ってくる迄停泊してる事は不可能だ」
船長「……この女じゃあるまいし、連絡手段も無いだろうから」
船長「適当に迎えに行ってやる事はできるが……そうなると、その後」
船長「すぐに北の街に行くのは避けた方が良いな」
船長「危害を加えられる事は無いとは思う……がね。あそこは、閉鎖的な街だ」
癒し手「では、出たらご連絡いたしますから」
船長「え?」
癒し手「迎えに来て頂けます?」
船長「アンタ、人の話聞いてたか?」
船長「この女じゃあるまいし……って」
癒し手「大丈夫です。私も、小鳥を飛ばします」
側近「これは優秀な聖職者だ……魔法は使い様だそうだ」
船長「…… ……ハァ?」
375 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:49:26.90 ID:odwUG5QeP
癒し手「…… ……よ、いしょ」プチ ……パタパタ
船長「え…… ……」
ピピピ……
癒し手「おいで」ピィ……
側近「……な?」
船長「…… ……」
使用人「では、私は失礼致します」
スタスタ
船長(最果ての客人だ。常識の通用しない類の相手……か)ハァ
船長「参ったな……お嬢ちゃん、魔族か?」
癒し手「いえ……私は魔族ではありませんよ」
船長「え!?でも……」
376 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/09/30(月) 13:51:36.05 ID:odwUG5QeP
おむかえー
なんか名前が変わった場面、感慨深いなー
ほしゅ
379 :
名も無き被検体774号+:2013/09/30(月) 22:41:14.52 ID:+n/NiA6X0
どうなるのかなぁ
380 :
名も無き被検体774号+:2013/10/01(火) 00:56:38.54 ID:n8cBiK7z0
保守
マッチョる。
二代目船長がなんか可愛い///
スコーンと幼女の健やかな平穏を願います
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
お休み〜
383 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 06:35:24.14 ID:1Z9c0dnPP
側近「……『悪事に手を貸す』結果にしたい訳では決して無い」
船長「! ……聞いたのか」
癒し手「信じて下さい、と言う事しかできませんが……」
癒し手「……どうぞ、宜しくお願い致します」
ピピピ……ピピ……パタパタ
船長「……加護の色、か……お、おい!突っつくな!」
癒し手「ふふ……すみません」
船長「こいつも……あの緑の小鳥みたいにすぐに消える、のか」
癒し手「どうでしょうね。戻そうと思えばすぐに、私の髪に戻りますけど」
船長「……いや、良いよ、別に……邪魔しないんならな」
船長「可愛らしいもんだ……準備は出来てるんだろう」
側近「ああ……おいで?」
ピィッ
船長「……似合わネェな、アンタ。戦士、だったか」
側近「悪かったな」
癒し手「この方は優しい方ですよ?動物にも植物にも愛される」
船長「……案内するよ。着いて来な」
船長「すぐに向かって良いんだな?」
スタスタ
癒し手「はい。北の塔の散策が終われば、ご連絡致します」
船長「……天まで届く不気味な塔だ。まあ、のんびり待ってるさ」
側近「無いとは思う……が、余程連絡が無ければ」
側近「後は、そっちの判断に任せて良いか」
船長「……無事に戻れよ」
癒し手「心配して下さるんですか」
船長「寝覚め悪ィだろうが!」
384 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 06:42:43.76 ID:1Z9c0dnPP
側近(俺が着いている限り……何かがあるはずも無い、とは思うが)
側近(……俺はもう、人間じゃ無い。しかし……)
側近(『決して驕るな』……忘れては、駄目だ)
側近(……癒し手は、命に代えても守ってやらなければ……!)
癒し手(お母様の眠っていらした、不思議な塔)
癒し手(……魔導将軍さんが言っていた事……)
癒し手(解る、のでしょうか。何か。お母様の事。『世界』……!)
癒し手(……足を引っ張らない様に、しないと)
船長「……一ヶ月、だ。それ以上連絡が無ければ、離れる」
側近「随分長いな」
船長「代金分だ……それ以上は、状況的に考えて待っても無駄な時間と」
船長「判断させて貰う」
癒し手「それで結構です……ありがとうございます」
船長「……良し、乗りな」
船長「海賊共に、船室に案内させる」
癒し手「甲板に居ても宜しいですか?」
船長「そりゃ構わないが……良いのか?」
癒し手「少し……苦手なので」
側近「……船に酔うんだ」
船長「ああ……そうか。良いよ、別に。本当にすぐだ」
癒し手「ありがとうございます」ホッ
海賊「出しますか、船長?」
船長「ああ!野郎共、出港だ!」
アイアイサー!
……
………
…………
385 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 06:50:04.45 ID:1Z9c0dnPP
王子「状況は?」
騎士「街は確かに混乱状態……なんでしょうが」
騎士「慌てふためくってよりは、どうしたら良いか解らないんでしょうね」
騎士「皆、魂が抜けたみたい、ですよ」
王子「……そうか。屋敷の方は?」
騎士「粗方片付きましたけど……この辺一帯取り壊した方が良いでしょうね」
騎士「……随分な惨状ですし」
王子「そうだな。俺も見た……けど」
王子「……魔寄せの石とやらの効果もあるのか知らんが」
王子「周辺の魔物も、寄ってきてるしな」
騎士「ええ……でも、不思議なんですが」
王子「ん?」
騎士「……ここら辺の魔物、あんなに……弱かった、ですっけ?」
王子「…… ……」
騎士「毒気でも抜かれたんですかね。石が破壊されて」
王子「……どうだかな」
王子「『領主だった物』は?」
騎士「指示通り、避難を促して」
騎士「屋敷には火をつけたので、マシになると思います、腐臭も」
王子「……しかし随分と大人しく従ってくれたモンだ」
騎士「王達の元で働かされてた……下働きの人達が」
騎士「……随分協力的だったんですよ」
王子(『劣等種』……否、『出来損ない』か)
王子(そうして……呼び戻されて、蔑まれて来た……人達か)
騎士「……後は、代表者……なんですけど」
王子「ん? ……ああ、呼び出しに応じない、か?」
386 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 06:58:58.79 ID:1Z9c0dnPP
騎士「……まあ、何人かは混乱に乗じて逃げ出してる様ですし」
騎士「我らの到着までの時間差を考えれば、仕方無いのかもしれません、けど」
王子「……そうか」
タタタ……
王子「ん? ……あ、おい! 此処は立ち入り禁止だぞ!」
少女「始まりの国の、騎士団長様でいらっしゃいますね!?」
王子「……あ、ああ……そうだ、が」
少女「……代表者を呼ばれていたと聞きましたので、参りました」カタカタ
王子(……足が震えている。まだ……若いだろうに、この子が代表者?)
王子「君が……代表者?」
少女「…… ……は、はい」
王子「……失礼だが、随分若く見える。もっと……その」
王子「大人の人は、居なかったのか」
少女「……私ではご不満ですか」キッ
王子(押しつけられた、のか……)ハァ
王子「騎士団長の王子です、代表者殿。お名前をお聞きしても?」
少女「……少女と申します。こ、この、国を!どうする、おつもりですか!」
王子「……悪い様にはしない、と先に申して置きましょう」
王子「だが、実質……『魔導国』は解体となる」
王子「暫くは我が管理下で、保護、と言う形を取らせて貰うつもりだが」
少女「…… ……どうして、王様の城に火をつけたのです」
王子(城、ねぇ……)ハァ
王子「……惨状を聞いて耐えられるか?」
少女「!?」
王子「君が代表者であるのなら、私には話す義務があるし」
王子「君には聞く権利と責任がある」
騎士「き、騎士団長様……」
少女「…… ……」
王子「あの屋敷にはあの騒ぎ以後、誰も近づいていなかったと聞いているが」
王子「間違い無いんだな?」
387 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 07:07:31.03 ID:1Z9c0dnPP
少女「…… ……」
王子(怖がって近付けない……だろうけどな)
王子(一応……騎士の何人かは見張りに残して置いた、し)
王子「答えて貰えないのなら、やはり誰か大人の人を……」
少女「お、大人は……居ません」
騎士「……居ない?」
少女「……この居住区は、選ばれた者だけが住む事を許される」
少女「と、特別な場所だったのです!その、ね、年長者が私です!」
少女「だから……!」
王子「……大人は逃げ出した、か」ハァ
少女「…… ……」
王子「質問に答えよう。君達が『王』と呼んでいた男……領主は」
王子「魔に魅入られ、身を獣へと堕とした」
騎士「…… ……」
王子「父親と言う王の息子を喰らい、その場に居た者に寄って倒されている」
少女「……!」
王子「母親と言う女は、捕らえ始まりの国の牢へと繋がれた」
少女「何故……!」
王子「戦犯だ。当然だろう?」
少女「…… ……」
王子「……何処まで、何を、どんな風に聞かされていたかは知らないが」
王子「立場が逆であれば、我が国の王は良くて囚われの身」
王子「俺を含む騎士達もやはり戦犯として」
王子「君達の王に捕らわれるか……やはり良くて処罰。もしくは……」
王子「処刑されていただろう」
少女「…… ……」
王子「戦争状態にあったのは知っていると信じて話す」
王子「『勝者が正義』とは言わんが、俺には、それを否定する事もできん」
王子「元々の戦火を灯したのも、そちらだ」
少女「…… ……」
388 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 07:14:27.64 ID:1Z9c0dnPP
王子「……戦争とは、こういう物だ。この国は」
王子「『敗戦国』であり、君達は『敗戦者』だ」
少女「…… ……」
王子「だからといって、『悪い様にはしない』……それは約束する」
騎士「……話し合いに応じて貰える、と思って良いのか?」
少女「……はい」
王子「……ありがとう」
少女「…… ……」ジッ
王子「?」
少女「母親様に……会う事は、可能でしょうか」
王子「……残念だがそれは叶えてやれん」
王子「先にも言ったが、あれは『戦犯』だ」
少女「…… ……」
王子「君と、母親の関係は?」
少女「……親戚、です」
騎士「……君も領主の血筋、って奴か」
王子「『選ばれた者』だと言われてきた人達だな」
王子(……だが、彼らは『雷』を至高としてきたと聞いている)
王子(この子は……『炎』の加護の瞳の色をしてる)
少女「……これから、どうすれば良いのですか」
王子「取りあえず、この一帯……住宅街、か?」
王子「此処は一端閉鎖する。領土の広い街だ」
王子「簡易で、住む場所は騎士達にも手伝わせて早急に手立てを整えるから」
王子「暫くはそこで我慢して欲しい」
少女「…… ……」
王子「俺は一端帰国し、国王様の指示を仰ぐ」
王子「それまでは騎士の指示に従って貰う」
少女「…… ……」
王子「……返事は?」
少女「……伝えて、置きます」クルッ
タタタ……
389 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 07:16:39.39 ID:1Z9c0dnPP
騎士「……素直に言う事聞きます、かね」
王子「どうだかな」
王子「…… ……」
騎士「……騎士団長様?」
王子「国王宛に書簡を届ける様に騎士に伝達してくれ」
騎士「え?」
王子「……俺が離れるのは、まずい気がするな」
騎士「……解りました。準備させて参ります」
王子「うん」
スタスタ
王子(一朝一夕で事がならんのは解っては居る……が)
王子(……前途多難、だな)ハァ
390 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 07:20:58.02 ID:1Z9c0dnPP
幼稚園の準備ー
送って帰ったらまた〜
391 :
名も無き被検体774号+:2013/10/01(火) 07:25:21.47 ID:7XBcjh2K0
いってらー
こっちは雨だね
気を付けてー
こっちも雨だ
いってらっしゃーい
393 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 09:47:21.06 ID:1Z9c0dnPP
王子(取りあえず……この一角は取り壊し、だろうな)
王子(国王次第だが……どうするか)
タタタ……
王子「ん?」
少女「…… ……」ハァ、ハァ
王子「……まだ、何か用だろうか」
少女「あ、あの!」
王子「…… ……」
少女「……この国の王には、誰がなられるのですか」
王子「『魔導国』は解体だと言った筈だ」
王子「もう、此処は国では無い。事が事、だ。流石に認められないだろう」
少女「…… ……」
王子「決定は国王様が下される。だが……以前に戻るだけだと思う、が」
少女「……魔導の街、にですか」
王子「名は変わるだろうけれどな」
少女「どうして……」
王子「何事にもけじめってのは必要だろう?」
少女「…… ……」
王子「……辛いだろうとは思うが」
少女「…… ……」
王子「自業自得だ」
少女「!」
王子「……俺には。俺達には、君達を甘やかす義理も無い」
少女「…… ……」
王子「…… ……」
少女「何時、国に戻られるのですか」
王子「……何故?」
少女「…… ……」
王子「……あんまり、妙な事は企まない方が良いよ」
王子「『大人』も居ないのだろう」
少女「……失礼します!」
パタパタパタ……
王子「…… ……」ハァ
394 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:09:02.43 ID:1Z9c0dnPP
……
………
…………
息子「この道を山岳の方に上がって行くと、中程にあります」
剣士「……待て」
騎士「剣士?」
剣士「…… ……随分な数だ。騎士の配置は済んでいるな?」
騎士「北の街側も、此方も大丈夫だ」
剣士「お前は下がれ、息子……戦闘は専門じゃ無いだろう」
息子「あ、ああ……はい。しかし……」
剣士「……気配を辿るから心配はいらん」
息子「…… ……」
騎士「おい、剣士?」
剣士「息子達は……村から出すな。多分……破壊すれば半数は北の街の方に」
剣士「残りはこっちに流れてくるだろう」
剣士「……すぐに、どちらかに加勢する」
騎士「……解った」
剣士「素直だな」
騎士「……腕は疑うべくも無いと身にしみている」
騎士「国王様の……お前に従えとの命令もある」
剣士(人選、か……流石と言うべきか)
剣士「……炎に弱いんだったな」
息子「……は、はい」
剣士「村の入口の炎も、絶やさない様に言え…… ……行ってくる」
タタタ……
騎士「お、おい!」
剣士「着いてくるな!」
タタタ……
息子「……もう、見えなくなった」
騎士「貴方は、村の中に早く!」
息子「で、でも……!」
騎士「俺達も下がろう。警戒を怠るな!」
395 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:17:18.39 ID:1Z9c0dnPP
息子「……お願い、します」
スタスタ……タタタ……
兄「あ!息子さん!」
息子「兄君!?駄目だよ、家の中に居なさいって言っただろう!?」
魔導師「おにいちゃん……!」
兄「で、でも……!」
魔導師「こわい、よぉ……!」
息子「……ほら、一緒に居てやるから」
息子「俺達に……出来る事は、無いんだ。何も……」
ドオオオオオオオオオオオオン!
息子「!」
兄「わ……ッ」
魔導師「うわああああああん!」
兄「あ……ッ 魔導師、大丈夫!大丈夫だから!」
兄「おにいちゃんが、ついてるから……!」ギュ!
魔導師「……ッ」
息子(炎が……上がってる……ッ 石を、壊した、のか!?)
息子(こんなに……早く……!)
ギャアァアウ……ッ アアア……ッ オオオオオオオオオン!
息子「……咆哮が、聞こえる」
兄「む、息子、さん……!」
息子「……大丈夫だ。お前達は、俺が守ってやる、から……!」ギュッ
息子「……ほら、家の中に入ろう」
兄「み、皆……村長さんの家に……」
息子「そうか……良し、魔導師は抱いていくから。走れ!」ヒョイ
魔導師(ひっくひっく)ギュッ
兄「は、はい!」
タタタ……
396 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:24:02.86 ID:1Z9c0dnPP
バタン!
村長「息子!」
兄「村長さん……!」
村長「……無事だったか」ホッ
魔導師「うわあああん、うわあああんッ」
兄「あ、あの……お父さん達は……」
村長「お前は魔導師を連れて、奥の部屋に居なさい!」
村長「……大人達は万一に備えて、武装の準備中だ」
村長「女子供は奥に避難させた」
息子「そうか……お父さんも、一緒に行って下さい」
息子「……俺は……一応、加勢する準備をしておきます」
村長「……わかった。ほら、行こう兄」
兄「は、はい……」
魔導師「おにぃちゃあああん……ッ」ギュッ
兄「……大丈夫。行こう」
スタスタ、パタン
息子「……!」グッ
息子(騎士さん達が……止めてくれるとは、思うが……!)
タタタ……
……
………
…………
船長「……忘れるなよ。一ヶ月だ」
側近「ああ」
癒し手「船長さん達は、何処へ……」
船長「取りあえずは、この辺りをぐるりと回って」
船長「……北の街へ行く」
癒し手「解りました」
船長「……無事に帰って来いよ」
側近「ああ……い……僧侶、手を」
癒し手「はい……よいしょ、と」
スタスタ
船長「…… ……」
397 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:29:36.61 ID:1Z9c0dnPP
タタタ……
チビ「母さん……」
船長「あ、こら。出て来んなっつったろ」
チビ「海賊が呼んでるんだよ」
船長「?」
チビ「……北の街の様子がどうもおかしいみたい、だって」
船長「どう言う事だ?」
チビ「とにかく、早く! ……お客さん、行っちゃったんでしょ」グイ
船長「あ、ああ…… ちょ、引っ張んなって……」
スタスタ
船長「おい。北の街がどうしたって?」
海賊「……いや、なんかね。向こうの方で煙上がってますし……」
船長「煙ぃ!? ……なんだよ、火事かなんかか?」
海賊「いえ……それが、ねぇ……」
船長「双眼鏡寄越せ…… ……ん?」
船長(街の中に人が……居ない?)
船長「……なんだ?」
海賊「どうします?直接行っても支障なさそうですけど」
チビ「何、何!?」
海賊「こら!チビは男さんと部屋に居なさいって」
海賊「何かあったら危ないだろ」
チビ「ええぇ……」
船長「…… ……獣、だな」
チビ「え?」
船長「襲われてる……のか」
海賊「…… ……船長?」
チビ「た、助けに行かないの!?」
398 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:39:10.80 ID:1Z9c0dnPP
船長「……アタシ達が行ったところで、どうなるって言うんだよ」
チビ「でも!」
船長「それに……依頼が優先だ。金を貰ってる以上、反故には出来ネェ」
チビ「母さん!」
船長「おい!チビ部屋につれてけ! ……離れるぞ」
海賊「あ、アイアイサー!」
チビ「母さん!見捨てるのか!?」
船長「黙れ! ……手を出しちゃいけねぇ領分ってのがあんだよ!」
船長「後退する!海域を離れるぞ!」
チビ「母さん!母さん!!」
海賊「……ほら、チビ!こっちに来い!」
船長「…… ……」
船長(……お前が居て、飛び込んでいけるかよ!チビ……)
……
………
…………
癒し手「……塔の天辺、見えませんね」
側近「……見えないな」
癒し手「…… ……」
側近「背負って上がる、か……」
癒し手「あ、歩けます……そうじゃ無くて」
側近「どうした?」
癒し手「……凄く……強い、魔の気がします」
側近「……大丈夫か?」
癒し手「古い……物、です……でも、その割には」
癒し手「……気分が、悪く無い」
399 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:42:36.27 ID:1Z9c0dnPP
スタスタ
側近「……無理はするなよ」
癒し手「はい……なんだろう……」
側近「?」
癒し手「……強い、本当に強い魔の気を感じるのに」
癒し手「凄く……心地良い、物も感じる、んです」
側近「……姫様、か?」
癒し手「そう……なんでしょうか……」
側近「……突っ立っていても仕方が無い。とにかく、中に……」
癒し手「ええ……でも……」
側近「大丈夫だ。疲れたら背負ってやるから……」
癒し手「あ、いえ……そうでは無くて」
側近「? 遠慮は……」
癒し手「……入口、ありました?」
側近「え?」
癒し手「一週……しました、よね?」
側近「…… ……え?」
癒し手「……どうやって、入りましょう……か」
側近「…… ……」
400 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 10:44:42.36 ID:1Z9c0dnPP
おむかえー!
いてらー。
ほしゅー
403 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/01(火) 20:26:55.66 ID:1Z9c0dnPP
明日からまたしばらく仕事なので
寝ますよ (´・ω・`)
貧乏暇なし( ゚д゚)
おやすみ(`・ω・´)
404 :
名も無き被検体774号+:2013/10/01(火) 23:26:05.42 ID:5K2U9i+W0
おやすみ〜
ゆっくり休んでいってね!
おやすみとおはようの間の保守
そしてスコーンの気力回復を祈願する魔法の行使‼︎
このスレの住人に幸あれ!
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
皆んなお休み〜
おう、体力回復を忘れてたぜ
ついやらしの魔石
インキュバスが作(ry
409 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 07:24:09.01 ID:AqRnN9ec0
もうすぐ半年くらいになるのかなこの話
410 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 07:57:14.52 ID:4WoJlLbTP
始まったのが二月くらいだったからもう八ヶ月くらいたつのかな
411 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:13:15.04 ID:V8ivpIzkP
側近「使用人の話、では……魔族には見えない、んだった……よな?」
癒し手「……そう、でしたね」
側近「しかし……癒し手になら解ると思った、んだが……」
癒し手「……もう一週、してみましょうか。見落としたかな……」
側近「……気分は大丈夫か」
癒し手「ええ、それは……不思議な事に」スタスタ。ピト
側近「触れれば、何か感じるか?」
癒し手「……見えないのであれば探ってみるしかありません」
側近「無理はするなよ」コンコン。コンコン。ゴンゴン
癒し手「……音が違いますね、そこ」
側近「何か見えるか?」
癒し手「…… ……いえ。壁に見えます」
側近「……ふむ」
癒し手「あ、ちょっと待って……何か……」
癒し手(……どこか懐かしい。この魔力……私、知ってる……?)
側近「癒し手?」
癒し手「……魔王様、の気に……似てます」
側近「……どの?」
癒し手「元が紫の瞳の魔王様であるなら、一緒ですよ」
側近「ああ……そうか」
癒し手(今なら解る……黒い髪の勇者様……今の魔王様と)
癒し手(金の髪の勇者様……現魔王様の、お父様)
癒し手(同じ『光』を、感じた理由……)
癒し手「……多分、封印したのは紫の瞳の魔王様、でしょうね」
側近「……しかし、中には姫様が居たのでは?」
癒し手「ハッキリと時期まで特定する事はできませんから……解りませんけど」
癒し手「故に、だったのか。それ以前に何らかの理由があったのか……」
側近「まあ……金の髪の魔王に、そんな時間は無かっただろうしな」
側近「……黒い髪の魔王にしても、だ」
癒し手「ええ……でも」
側近「?」
癒し手「封印の主が解っても…… ……これ、どうやって解きましょう?」
412 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:22:15.76 ID:V8ivpIzkP
側近「……使用人に聞いた話では、紫の魔王の側近が」
側近「彼には見えなかった扉の、鎖を風の魔法で切り裂いて開けた、んだったか」
癒し手「……これ、ですね」コロン
側近「……鎖の欠片?」
癒し手「ええ。紫の魔王の側近様が、持ち帰ってらしたそうです」
癒し手「旅立つ前に、使用人さんが渡して下さいました」
癒し手「何か役に立つかも、って……」
側近「預かってたのか、使用人が」
癒し手「そうなんでしょうね。この欠片からも、微かに魔力は感じるんです」
癒し手「……でも、この塔から感じる物とは、違う」
側近「一番最初に、まやかしの魔法をかけた者の魔力……か」
癒し手「かなり……さらに、古い物です。紅い瞳の魔王か、さらに前か……」
癒し手「そこまでは、解りませんけど」
側近「……見せてくれ」スッ
癒し手「…… ……」コンコン。ゴンゴン。コンコン
癒し手「やっぱり此処……かな」
癒し手(でも……本当に何も見えない。扉を隠してある、とも思えない)
癒し手(消してしまった?魔族以外にも……見えない様に?)
癒し手(……でも、多分……此処に、ある。決して見えないだけで……)
側近「……まさか、紫の魔王の側近と同じ事は出来んしな」
癒し手「そうですね……」
側近「やはり、魔王にあのペンダントを借りてくるべきだったか」
癒し手「……あれから、エルフの……お母様の気は……もう感じませんでした」
癒し手「それに……あれは魔王様の『お守り』です」
癒し手「……離すべきでは無いと、思います」
側近「うん……まあ、あの時もお前がそう言うから、やめたんだが……」
413 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:29:14.71 ID:V8ivpIzkP
癒し手「何か方法を探しましょう。大丈夫です、『願えば……」
側近「叶う』 ……さて」
癒し手「……ふふ」
側近「? どうした」
癒し手「いえ。困ってる、んですけどね。側近さんと二人だと」
癒し手「楽しいな、と思って」
側近「……阿呆」フフ
癒し手「多分、扉は……此処」ゴンゴン
癒し手「魔族にも、人間にも……多分、誰にも見えないだけで、あるとは思います」
側近「この鎖の欠片は……役に立ちそうに無い、かな」
癒し手「……欠片に篭もる魔法、解放出来ませんか?」
側近「……俺が、俺って解ってるか、癒し手」
癒し手「今の貴方は魔族です。異種族の力を、私が操る事はできませんから」
側近「魔石の要領か……しかし…… ……否」
側近「やり方を教えてくれ。『出来ない』と言うだけならば簡単、だ」
側近「……泣き言はやってからにしよう」
癒し手「その欠片に篭もる魔力に集中して、中から引き出す事をイメージして下さい」
側近「……離れて居なくて大丈夫か」
癒し手「我慢します……もし、扉が開くのが一瞬なら」
癒し手「離れて居ては間に合わないかもしれません」
側近「……解った。傍に、癒し手」
癒し手「はい……」ギュ
癒し手(扉は、此処……)スッピタ
414 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:36:07.34 ID:V8ivpIzkP
癒し手「……お願いします」
側近「…… ……」グッ
側近(簡単に言ってくれる……が! ……願えば、叶う……!)
側近(癒し手の為だ。頼む……ッ)
パァアアアア……ッ
側近「!?」
癒し手「! ……見えた!扉……!」グイッ
側近「うわ!?」
癒し手「側近さん、早く!」
バタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
……
………
…………
剣士「……ッ」
キィン! ……スタッ
ギャアアアアアアアアアアアア!
剣士「…… ……」
剣士(切っても切っても、だな)フゥ
剣士(しかし……弱い。以前この土地を訪れた時、同種の魔物と戦ったが)
剣士(……これほど……何故?)
ガアアアアアアアアアアアアア!
剣士「! 炎よ!」ボォゥ!
415 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:40:28.78 ID:V8ivpIzkP
ギャアアアアアアアアアアアアアア!
剣士(……石の場所は……あそこか)
剣士「退け……ッ 炎よ!」ボオォォ!
ギャア、ギャアアア!
キャウン、キャウン……ッ
タタタタ……
剣士「!」
剣士(あれか…… ……紅い、魔石。魔寄せの石……)
剣士「……水よ」
ザァア……ザ……ッ
剣士「…… ……」
剣士(行ける、か?)
パリン、パリンパリン……ッ
ギャウ……ギャ……ガアア……グルル……ッ
剣士「…… ……」
剣士(……気配が、消えた。狼たちは……)
グルルル……
剣士(血走った目はその侭か。この侭……人の地へ。街へ……)
剣士(流れて行くだろう……数が多いのは……)
剣士(……あっち、だな)タタ……ッ
416 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:44:16.80 ID:V8ivpIzkP
剣士(……しかし、本当に手応えが、無い)ザシュ!
ギャアア!
剣士(何が……否。何か、あった……?)ブゥン!
ギャアアアアアアア!
剣士(! ……まさか、勇者が……!!)ゴオオオオ!
ガアア、ギャアアアアアアア!
パアアアアアアアアア……ッ
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
剣士「な……ッ!?」
剣士(なん、だ……ッ 光……ッ !?)
剣士「…… ……」
剣士(…… ……)
剣士(……? ……真っ暗……闇?)
剣士(今の光は何だった…… ……!?)
剣士(声、が……出ない!?)
ボゥ…… ……
剣士(……なんだ。何か、見える……)
417 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:47:35.54 ID:V8ivpIzkP
癒し手『……上、見えませんね』
側近『足下はぼんやり明るい……が、階段以外は見当たらんな』
剣士(あれは……僧侶、と戦士?)
剣士(……此処は、どこだ。俺の姿は……見えてない、のか?)
癒し手『……まあ、どうにか塔の内部には入れたみたいで、良かったです』
側近『ああ……取りあえず上がるしか無いか』
癒し手『そうですね……あ、側近さん、鎖の欠片は?』
側近『……砕けてる』
癒し手『そう……ですか……』
側近『魔力を解放してしまったんだ……当然と言えば当然だな』
側近『癒し手、気分は?』
剣士(側近?癒し手……?)
剣士(あいつら……では、無いのか?否……)
剣士(……気配は、解らない。探れない……なんだ、これは)
剣士(夢……?)
418 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 10:49:03.09 ID:V8ivpIzkP
おむかえー!
そんで、ご飯食べて仕事ー!
419 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 11:34:50.89 ID:LEZluNo+i
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>17>18 >42>41 >74>75
>19>20 >43>44 >76>77
>21>22 >45>46 >56> >80>81>82
>23>24 >47>48 >55>61 >78>79
>25>26 >49>50 >57>58>59 >84
>27>28 >51>52 >60 >85>86 >100
>29 >53>54 >61 >89>91>92>93>94>95
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>30 >96>97>98>99
乙〜更新ありがとうー!
剣士も活躍しそうだし、色々とたのしみ!
421 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 14:07:51.51 ID:tj6ZsXW9i
新展開にドキがムネムネ
422 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 21:48:25.11 ID:Gif7FDCS0
ほ
423 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 21:55:26.05 ID:V8ivpIzkP
コツン、コツン……
癒し手『……側近さん、息苦しくありませんか?』
側近『え?』
癒し手『そう……思うぐらい、私には……居心地が、良い』
側近『……特に、何も感じない』
癒し手『そうですか』ホッ
癒し手『……なら、良いんです。凄く……暖かくて、懐かしくて……』
癒し手『涙が、出そうです……』
側近『癒し手……』
コツン、コツン……
癒し手『……お母様が、眠っていらっしゃった場所、って』
癒し手『解って居るから……っていう、思い込みは確かにあるかもしれません』
癒し手『でも…… ……ええと』
癒し手『……始まりの国の、あの丘の傍で』
癒し手『感じた……のに、似てます』
側近『エルフの加護、か。お祖母様の知人のエルフの……』
癒し手『使用人さんがペンダントに移し、それを……お母様が』
癒し手『ペンダントから、この塔へと解放された』
癒し手『……その話を使用人さんから聞いた時に』
癒し手『魔導将軍の優しさが……沁みました』
側近『……しかし、姫様はどうして……』
癒し手『?』
側近『どうやって、あの場所……鍛冶師の村に近い、お前が住んでいたあの』
側近『小屋の傍に……居た、んだろう。行った……のだろう』
癒し手『解りません……だから、此処に、来たんです』
癒し手『母を知る為に。『世界』を……知る、為に』
剣士(……『魔導将軍』『エルフ』?)
剣士(『世界』を……知る、だと?)
424 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:01:54.94 ID:V8ivpIzkP
剣士(……それに『魔力を解放した』と、言ったか?)
剣士(確かに、あの娘……僧侶は)
剣士(……癒し手、と呼ばれて居たか。別人か? ……しかし……)
剣士(否。同一人物だと仮定して……だな)
剣士(魔導国で会った時……人では無い、と思った……が)
剣士(魔族の気配とも、違う様な気がするんだが……)
コツン、コツン……
側近『……『世界』を知る、か』
癒し手『はい。魔王様を……『勇者』を。『世界』を救う為には』
癒し手『知識は……多い方が良いですから』
側近『……しかし、長いな。先が見えん』
癒し手『足下が見えるだけでも、安心します』
癒し手『それに、側近さんも居ますから』クス
側近『……そうだな。魔に変じた今では……以前にも。人の身の時より増して』
側近『自信を持って、俺に任せておけと言える』クス
剣士(…… ……な、に!?)
癒し手『貴方は、人であった時から、しなやかで強く……暖かい人でしたよ』
癒し手『『決して驕るな』と言う言葉を胸に、でも真っ直ぐに前を見据える』
癒し手『側近さんの姿は……とても、眩しかったです』
側近『……やめてくれ、照れる』フイ
癒し手『真実です』クスクス
425 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:12:47.89 ID:V8ivpIzkP
癒し手『それは……魔となった今も変わりません』
癒し手『貴方は、貴方です……だから……』
癒し手『……『力』じゃ無いんですよ、側近さん』
癒し手『私を、守ろうとしてくれるその、気持ちが……嬉しいんです』
側近『癒し手……』
癒し手『魔へと変じ、『戦士』さんから『側近』さんへ変わった貴方だから』
癒し手『強い、んじゃ……無いんですよ』
側近『……悲しくて、苦しくて切なくて。だけど、嬉しい』
側近『愛……なのか、もな』
癒し手『え?』
側近『そういう、言葉では言い表せない不思議な気持ち、だ』
側近『お前が泣いていれば悲しい。苦しい……お前を思うと』
側近『好きだと言う気持ちが、身を……器を飛び越えて』
側近『……なんだろうな。抱きしめてしまいたくなる』ギュッ
癒し手『きゃ……ッ』
側近『……こんな、風に』
癒し手『そ、側近さん……』
側近『触れて離したくなくなる。全て……俺の物に、したくなる』
癒し手『…… ……』ギュ
側近『……で、そうやって、応えて貰えると、嬉しい』チュッ
癒し手『……ん』
側近『嬉しい、んだ。癒し手。俺は……言葉や態度で何かを』
側近『表現……する事は、苦手だ。だけど』
側近『……笑うお前を見るのが、何より……嬉しいんだ』
剣士さん居心地?悪いだろうなwwww
427 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:17:47.00 ID:V8ivpIzkP
癒し手『……はい。私もです』
癒し手『だから……私に、何があっても、泣かないで下さいね?』
側近『癒し手……?』
癒し手『…… ……急ぎましょう。時間の経過が、解らない』
側近『あ……ああ……』
剣士(……ラブシーンののぞき見など、趣味じゃないんだがな)ハァ
剣士(しかし……どう言う事だ……?)
剣士(『魔へと変じた』……?)
剣士(……あの男が『戦士』だと言うのならば)
剣士(確か、に……同一人物なのだろう。であれば、あの女も……)
剣士(……騎士団長の息子。確かに……人だった)
剣士(…… ……)
コツン、コツン……
側近『!?』ピタ
癒し手『キャ……ッ』ドン!
癒し手『……そ、側近さん?』
側近『…… ……扉、だ』
癒し手『……開けたら、また階段、なのでしょうか』
側近『使用人の話、では……』
癒し手『……あの見目はまやかし。紫の魔王の側近様と』
癒し手『女剣士様が上られた時も、途中に扉があったと、言っていましたね』
剣士(……!?)
剣士(紫の瞳の魔王……に、その、側近!?)
剣士(何故……こいつらが……!?)
側近『……開ける、ぞ』
癒し手『は……はい!』
428 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:24:42.80 ID:V8ivpIzkP
カチャ、キィ……
剣士(…… ……)
癒し手『あ……ほんのり、明かりが…… ……!!』タタタ……
側近『……これも、聞いたとおり……か? ……癒し手!?』
癒し手『……気配が、濃い……!!』
側近『え?』
癒し手『……これは、エルフの……! 加護? ……お母様……!?』
側近『癒し手……!』タタ……
癒し手『…… ……ここに……お母様が、いらっしゃった……?』カタカタ
側近『…… ……』ギュ
癒し手『ここに……私を、産むまで……眠って…… ……ッ』
癒し手『お母様……ッ』ポロポロ……
剣士(…… ……話が見えん。見えん……が)キョロ
剣士(否。そもそもこれは、何だ?)
剣士(夢では無いのか……? 妙に……リアルだ)
剣士(姫、だとか、エルフだとか……総合するなら)
剣士(あの娘……僧侶……否、癒し手、か)
剣士(あの娘は……エルフ、なのか?)
癒し手『……『愛』に満ちあふれて、居ます』
癒し手『『母の愛』……だと、良いな……』ポロポロ
癒し手『あの、魔王様が育った……小屋で、感じた様な』
癒し手『后様が……魔王様を……『勇者様』を思い、愛す様な』
癒し手『暖かい、想い……ッ お母様…… ……ッ』
429 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 22:25:05.20 ID:9FtxhLwh0
てす
430 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:34:00.42 ID:V8ivpIzkP
側近『……姫様は、お前に『美しい世界』を見せる為に』
側近『眠られた、んだろう。紫の瞳の魔王が望んだ想いに』
側近『……応える為に』
癒し手『…… ……』ポロポロ
側近『あの二人は『愛』では無かった、と……紫の魔王の側近は言っていたと』
側近『使用人からは聞いた。だが…… ……』
側近『何かを思う、そうして何かを行動に移すと言うのは』
側近『……やはり、愛なのだと、俺は思う』
癒し手『…… ……はい』
側近『お前は、愛されている。姫様にも、俺にも……魔王や、后にも』
側近『……『世界』にも』
癒し手『……尚更、魔王様をお守りせねばなりません』
癒し手『紫の瞳の魔王様も、お母様も……『世界』も』
癒し手『今なお、望んで居るだろう、平和を……美しい世界を……!』
側近『……ああ』
癒し手『…… ……』ゴシゴシ
癒し手『……戻りましょう。確か、もう一度扉を開けると……』
癒し手『外、に出るはずです』
側近『……もう、良いのか?』
癒し手『……幸せ、だったんだと思います。お母様……』
癒し手『……こんなに、『愛』を残して下さったんですもの』
側近『…… ……そう、か』
剣士(…… ……)
剣士(魔王!? ……平和、世界……!?)
剣士(こいつらは、何を知っている……!?)
癒し手『……外に出たら、すぐに船長さんに連絡しましょう』
側近『そうだな……次は……』
キィ……
431 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:37:39.29 ID:V8ivpIzkP
剣士(!? 船長と言ったか!?)
剣士(まさか……!!)
ギギギ……ッ
側近『……!』
癒し手『きゃ……ッ』
剣士(待て……行くな……ッ !?)
パアアアアア!
剣士(……ひ、かり……ッ ……う、あ…… ……ッ)
……
………
…………
側近(前が、見えん……ッ)
側近「癒し手……!?」
癒し手(眩しい……ッ)
癒し手「こ、こに……ッ ……あ!!」
癒し手「側近さん、あっち……!」ギュッ
側近「……!?」
癒し手(……眩しい……ッ でも、感じる……ッ)
癒し手(出口は……あっち……!)タタタ……ッ
側近「お、おい……ッ !?」グイッ
側近(な、んだ……ッ 紫の、光!?)
タタタ……ッ
癒し手「……!」
側近「癒し手…… ……!?」
シュゥウウ……
432 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:44:07.41 ID:V8ivpIzkP
側近「光が、消えた…… ……!?」
癒し手「!?」キョロキョロ
側近「森の、中…… ……!?」
癒し手「側近さん!」ホッ
剣士「……ッ ぅ、ウ……ッ」パチッ
剣士「今のは……」ブンブン
剣士(なん、だった…… ……ん…… ……!?)
剣士「…… ……お前、達……!?」
側近「…… ……ッ !? 紫の、瞳……!!お前……!?」
癒し手「……剣士、さん!?」
剣士「……な……ッ」
癒し手「…… ……ど、うして……此処に」
剣士「…… ……俺が、聞きたい」
剣士(何故……!?)キョロ
剣士(……気を失っていた、のか?)
剣士(此処は…… ……否。鍛冶師の村近くの、森の中)
剣士(……道に、血の跡。これは……俺が倒した、獣の物)
剣士「…… ……お前達、何かの塔の中に居たんじゃ無い、のか」
癒し手「え!?」
側近「……下がれ、い…… ……僧侶」
剣士「……成る程。『魔に変じた』と言うのは嘘では無いらしいな」
側近「!?」
癒し手「……!」
剣士「……『側近』に『癒し手』 ……元『戦士』と、『僧侶』だな」
癒し手「…… ……」
側近「…… ……」
剣士「信じる信じない、は任せる……が」
剣士「……『見ていた』」
側近「……何を、だ」
剣士「…… ……塔。まやかしがどうの、お母様、がどうの」
癒し手「!!」
剣士「エルフの加護だの、お前……戦士が、魔に変じた、だの」
剣士「……紫の瞳の魔王、と言うのは、少年の事か」ハァ
433 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:50:30.34 ID:V8ivpIzkP
側近「…… ……」
側近(見ていた、だと!?そんな……馬鹿な……!)
剣士「……見たくも無いラブシーンもな」
癒し手「!?」カァッ
側近「お、お前……!!」
剣士「故意にじゃない」
側近「…… ……何を、しているんだ」
剣士「此処で、か…… ……その前に」
剣士「船長に、連絡しなくて良いのか」
癒し手「……ッ」
側近「…… ……」
剣士「そう警戒するな、と言っても……無駄なのは解って居る、が」ハァ
剣士「……時間が惜しい。着いてきて貰えると助かるんだが」
側近「……従う、とでも?」
剣士「俺は……始まりの国の国王の命で」
側近「!」
剣士「魔寄せの石とやらを破壊しに来た」
癒し手「え!?」
剣士「……石は壊した後だ。騎士達は鍛冶師の村と、北の街の警備に着いている」
剣士「俺は……鍛冶師の村に戻る途中で、お前達の『夢』を見た」
剣士「暗い、塔の中を上っていくお前達の夢だ」
剣士「…… ……お前は、エルフの娘なんだな、癒し手……否、僧侶」
癒し手「…… ……」
剣士「真実かどうかは着いてくれば解る……」
剣士「拒否しても、別にばらしはしないがな」
側近「…… ……」
癒し手「……側近、さん?」
側近「…… ……」
側近(それこそ、見ていなければ知らないだろう話……しかし……!)
434 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:55:12.32 ID:V8ivpIzkP
癒し手「どうして……貴方は、国王様の命に従っている、のです」
剣士「彼の知る限りの『世界』を教えて貰う為の対価……だな」
側近「……あの後、始まりの国に行った、のか」
剣士「お前達が消えてから、か?」
剣士「そうだな……知りたければ、着いて来い」
側近「お前……!」
剣士「勘違いするな。本当に時間が無い、んだ」
剣士「……魔寄せの石から解放された魔物達は……村へ、人に惹かれ」
剣士「そちらへ向かう」
側近「!」
剣士「……排除の必要があるだろう。もっとも……」
癒し手「もっとも……?」
剣士(……もし、こいつらが。勇者が、魔王を倒したのであれば)
剣士(狼たちの弱体化の説明は着く……が)
剣士(……戦士が魔へと変じたと言う説明には、ならん)
剣士(そんな事が可能なのかどうか……もだ)
剣士「……否。着いて来ないのならば、良い」タタ……
側近「ま、待て!」
剣士「……任務を遂行する義務がある」
タタタ……
癒し手「…… ……」キョロ
側近「……癒し手?」
癒し手「……少し、あちらへ行くと……あの、小屋ですね」
側近「え!?」
435 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:57:30.84 ID:V8ivpIzkP
癒し手「剣士さんを追うと……鍛冶師の村に、着くのだろうと思います」
癒し手「……血の匂いは、します……けど……」
癒し手「あの……魔寄せの石の、禍々しい気は……確かに」
癒し手「もう、感じません」
側近「…… ……」
癒し手「どう、しましょう……か……」
側近「…… ……鍛冶師の村に向かえば、剣士の言葉が真実か否か」
側近「はっきりする、んだろう」
癒し手「……疑っていらっしゃらない、でしょう?もう……」
側近「…… ……」
癒し手「行きましょう。私達にも、『世界』を知る義務があります。側近さん」
……
………
…………
436 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/02(水) 22:58:54.92 ID:V8ivpIzkP
限界!寝ます!
437 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 23:02:14.67 ID:4WoJlLbTP
くはー!
おやすみ!
438 :
名も無き被検体774号+:2013/10/02(水) 23:02:39.03 ID:Gif7FDCS0
いいところ〜!
焦らし上手だな〜BBA
またよろしく〜!
439 :
名も無き被検体774号+:2013/10/03(木) 00:44:00.07 ID:RFJN6Vt70
>>407 俺の魔石をパクられたw
だが、俺みたいにピンクの優れた加護がないと、精力消耗するぞ
>>438 ま、どこでやめても、いいとこで終わるよなw
>>B
おつかれさまー
>>439 すまん使わせてもらったw
大丈夫、DTだから無尽蔵にあるwww
スコーンが完走出来ますように
そして幼女が健やかに成長しますように
読んでる皆んなが幸せになれますように
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
おやすみ、いい夢見ろよ(ラリホー)
乙剣士「リア充爆発しろ…」
442 :
名も無き被検体774号+:2013/10/03(木) 12:15:44.36 ID:AsyOjynni
ラブシーンって言葉は今でも使うのかな
C
剣士はあとで思い出して一人でしたんだろうか
445 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/03(木) 20:26:03.90 ID:HzAdZBhOP
仕事おわた( ゚д゚)
とりあえず帰る。
かけたら後ほど!
無理なら明日!
おつ
俺も仕事おわた
無理すんなー
447 :
名も無き被検体774号+:2013/10/04(金) 00:54:42.59 ID:jYc8+83W0
ほ
448 :
名も無き被検体774号+:2013/10/04(金) 02:09:44.42 ID:cDHHowzQ0
ほ
ほ
450 :
名も無き被検体774号+:2013/10/04(金) 10:19:32.63 ID:Dp7xESVei
ほっ
ほし
ほしゅ
ほっしゅ
454 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/04(金) 21:57:45.98 ID:eAkB/7rGP
やっと!帰れる!
後でかけたら!
おつかれ!
ほしゅー
459 :
名も無き被検体774号+:2013/10/05(土) 01:25:35.04 ID:hTy4WXJmi
すげー!
ほ
461 :
名も無き被検体774号+:2013/10/05(土) 03:46:21.25 ID:gVO6Tvdh0
保守
462 :
名も無き被検体774号+:2013/10/05(土) 08:48:55.91 ID:LjBsJe/O0
ほ?
ほしゅ
ほしゅー
ちゃーちゃちゃーちゃーちゃーちゃーちゃっちゃー
ちゃーちゃちゃーちゃ、ちゃちゃちゃちゃっちゃー
466 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/05(土) 17:25:47.77 ID:ZQL621ReP
多忙で死にそうだが生きてますよ!
明日は休みなので、飲みに連行されんかったら
夜に (´・ω・`)
こんだけの長丁場だし、たまには休んでもいいのよ
ほ
ほ
470 :
名も無き被検体774号+:2013/10/05(土) 22:59:55.05 ID:wI3Sn0Bm0
ほ
471 :
名も無き被検体774号+:2013/10/05(土) 23:06:11.18 ID:k161d1pO0
ほーたる
ほ!
473 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 02:07:29.59 ID:fyinFUgz0
ほむ
474 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 02:59:05.95 ID:LzS6K3Es0
花保持
ほ
476 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 08:04:09.53 ID:OEf0q3Hbi
ほ!
477 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 08:28:21.32 ID:qCXxsMMJ0
ほーたる
478 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 08:28:59.87 ID:lRSUQBnv0
こい!
こっちの水は
480 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 11:09:54.86 ID:NyrvpV240
あーまいぞ
481 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/06(日) 11:37:23.53 ID:+a4LG5paP
騎士「手筈通り、書簡を持たせた騎士を合わせて数名は」
騎士「勇者様達が乗って来た船で、始まりの国に戻りました」
王子「後は……国王様の采配待ちだな。俺には何の決定権も無いし」
王子「政も解らん」
騎士「……あの少女との話し合いは?」
王子「国王様からの連絡の後……だな」
王子「交代で見張りを。俺も合流する」
騎士「はい……しかし」
王子「ん?」
騎士「……身から出た錆、とは言え。あっけない物です」
王子「…… ……そうだな。だが、これで良かった筈……だ」
騎士「そう……ですね」
王子(これで……世界は平和に向かう。勇者が、魔王を倒せば……)
王子(今度こそ……!)
騎士「騎士団長様、魔物の件ですが」
王子「ん? ……ああ、被害報告か」
騎士「ええ、まあ……あの」
騎士「……今の所、被害らしい被害はありません」
騎士「魔物の数も……随分減っている様です」
騎士「……その力も、随分……」
王子「…… ……」
騎士「やりやすくて良い、んですけどね。何でしょうね、これ……」
王子(……喜ばなくてはいけない、んだろうか)
王子(しかし……もし。もし、勇者が魔王を倒した、のなら)
王子(何故……魔物は、消えない!?)
王子(これでは、まるで……!!)
482 :
!ninja:2013/10/06(日) 11:39:56.11 ID:lRSUQBnv0
BBA復活!
483 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/06(日) 12:14:30.05 ID:+a4LG5paP
揺れた!びびった!
と、とりあえずお昼ご飯!
うぅ。
待ってるよ〜(T_T)
486 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/06(日) 17:35:41.53 ID:+a4LG5paP
幼女が離してくれんかった( ゚д゚)
仕事忙しくて遊んでやって無いから
しゃーないね
お風呂とごはんー!
ほしゅ
幼女かわいいよ幼女
BBAは素敵なママン
489 :
名も無き被検体774号+:2013/10/06(日) 23:46:57.05 ID:8IAkN+710
おっちゃんが代わりに幼女と遊んでやんよ
危ない人じゃないよ!
490 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/07(月) 07:25:42.20 ID:2ILztS4dP
王子(まるで、金の髪の勇者の時と……同じじゃないか!)
王子(……黒い髪の勇者まで、戻らないと言うのか)
王子(また……繰り返す、のか? まさか!)
騎士「……騎士団長様?」
王子「あ……ああ。聞いているよ」
王子「これが……何なのかは、俺にも……わからん」
王子「だが……」
騎士「この侭、平和に向かって行ってくれれば良いんですけど」
王子「……そう、だな」
王子「否。平和に……していくんだ。魔導国はもう、無い」
王子「……戦争は終わった。俺達……人間同士で、争う等」
王子「そんな、不毛な事は……もう、終わったんだ」
騎士「……はい」
騎士「後は……勇者様の帰還を待つのみだ、と」
騎士「思いたい、です」
王子(皮肉な物だ。戦争の終結を助けたのが)
王子(……インキュバス。魔族の作った魔石だとか言う、物だなんて)
王子(……魔族に、助けられたのだ、なんて……な)ハァ
騎士「では、見回りに行きます」
王子「ああ、頼む……俺もすぐに向かう」
騎士「はい!失礼致します!」
スタスタ
王子「…… ……」
王子(以前。金の髪の勇者の時は……時も)
王子(魔物の数が減り、力が弱くなり……)
王子(……そして、『勇者』の復活と共に)
491 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/07(月) 07:30:39.89 ID:2ILztS4dP
王子(また……世界は混沌へと傾いていった)
王子(『希望と絶望』……『平和』を願うのは)
王子(『世界』が、『殺伐』としているから?)
王子「…… ……」ハァ
王子「……上手くは、行かないものだな」
スタスタ
王子「ん?」
少女「…… ……」
王子「どうした」
少女「……お待ちしておりました」
王子「……避難していなさい、と言った筈、だけど」
王子「国王様からの命が届かない限り……」
少女「戻られなかったのですね」
王子「……俺が離れる訳には行かないと判断したからね」
少女「そうやって……『決定権』を持っているのに」
少女「『何も出来ない』と言うのですか」
王子「……騎士達を纏め、君達を守る中で、のみ、だ」
王子「俺は『王』じゃない」
少女「…… ……『王』とは何なのですか」
王子「え?」
少女「我が国の王様は、この国の支配者でした」
492 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/07(月) 07:38:12.17 ID:2ILztS4dP
送って出勤!
いてらー
494 :
名も無き被検体774号+:2013/10/07(月) 16:04:48.62 ID:z+iHYd+Oi
ほしゅ
495 :
名も無き被検体774号+:2013/10/07(月) 21:29:16.25 ID:AWo3mDIu0
ほー
ほー
ほーたるこい
こっちのみーずは
499 :
忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/08(火) 01:39:48.86 ID:tEiM0Daz0
あー埋葬
500 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 07:27:48.28 ID:zpTK6cQBP
王子「『自分達が支配する世界』を作ろうとしていた、だろう」
少女「……始まりの国の国王は、違うと言うのですか」
王子「確かに、始まりの国、と言う国家のトップ……『王』であるのだから」
王子「一番偉い人、にはなるだろうけど」
王子「だからこそ、守る義務があるんだ」
少女「……守る?」
王子「そうだよ。国を。人達を……守り、導いて行く義務」
少女「何が違うのです!人々を……騎士、と言う者を使い、命令を下す!」
少女「……何が違う、と……!」
王子「導いて行くんだよ」
少女「え……」
王子「『王』は『支配者』じゃない。『指導者』だ」
王子「……自分達を、国を……『導いて行く』者だ」
王子「……俺はそう思う、し」
王子「だからこそ、騎士達も……王を、国を守ろうと尽力を尽くすんだ」
少女「…… ……」
王子「強制されてやるもんでも、出来るもんでも無いと思うよ」
王子「……でないと、平和になんかならない。出来ない」
王子「誰だって、眉間に皺を刻んで、ため息をつく為に暮らすんじゃない」
王子「厭な思いをして、生きていきたいんじゃ無い」
王子「……笑顔で、何気ない毎日の中で小さな幸せを積み重ねて」
王子「笑って、生きていく方が……良いだろう?」
501 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 09:12:57.04 ID:zpTK6cQBP
出かけます (´・ω・`)
いてら〜
503 :
名も無き被検体774号+:2013/10/08(火) 10:50:04.07 ID:QP66JgvWi
なるほどここから痛烈な社会主義批判と民主主義の将来性の無さを訴えようとは、これは巧妙な
この作品、社会主義的な国あったっけ…?
○○民族の純血がどうたらこうたらとかかな?
506 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 16:57:53.51 ID:zpTK6cQBP
少女「……だからって、私達迄、貴方達の国の『王』に」
少女「従う理由は、無い筈です」
王子「……答えは、イエスだ」
少女「!?」
王子「……何で驚いた顔をするんだ?」
少女「え、だ、だって…… ……」
王子「違う答えが帰ってくると思った?」
少女「…… ……」
王子「確かに、君のその問いに対する俺の答えは『イエス』で間違い無いよ」
王子「だけど……さっきも言った様に」
王子「今のこの状態は、君達の国の王が仕掛けた戦争の結果であり」
王子「君達の住む場所は敗戦国であり、君達は敗戦者だ」
少女「…… ……」
王子「国王様は、指導者だ。君達が笑って過ごせる様に、導くだけだ」
王子「俺達騎士は、それを手助けする。確かに、『従って貰う』事は」
王子「多くなる……否、殆ど、だろうね。だけど」
王子「……長くは続かない。この国が……新しい形に生まれ変わって」
王子「君達だけで、上手くやっていける様になるまで」
少女「……『助ける』ですか」
王子「うん。 ……俺の気持ちと、国王様の考えはそんなに変わらないと思うよ」
少女「……私達は、貴方達に支配される……のでは無いのですね」
王子「そんな事をしたら、俺達は……領主達と同じになってしまうだろう?」
507 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 17:03:24.86 ID:zpTK6cQBP
王子「……君達は、不思議な環境で生きてきたんだと思う」
王子「これは俺個人の感想だけどね。生きてきた環境も」
王子「施されて来た教育も違いすぎるから、どっちが普通だとも」
王子「どれが常識だとも、俺には……言えない」
少女「…… ……」
王子「この国で言う『選ばれた者』達にしてみれば、生きにくくなるかも」
王子「……しれないけど、ね」
少女「彼らは……どうなるのですか」
王子「え?」
少女「……『出来損ない』達です」
王子「……そんな言葉は存在しない」
少女「!」
王子「皆、この国……の、人達だろう?」
少女「…… ……」
王子「無理に納得しろとは言わないけど」
王子「……変わっていかなくてはならない。その覚悟は必要だよ」
王子「君達だけじゃない。双方に、ね」
少女「…… ……」
王子「はいそうですか、って簡単に行かないのは解ってるよ」
王子「でも、そんな言葉で……人を差別するのは」
王子「決して良い事では無い、と言う事だけ」
王子「覚えて置いて欲しい」
少女「……では」
王子「ん?」
508 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 17:08:03.12 ID:zpTK6cQBP
少女「……私達は、あ、あな……貴方達に」プルプル
王子「……?」
少女「で、『出来損ない』達と同じ、あ……ッ 扱い、を……ッ」
少女「される、訳では……な、いんです、ね……ッ!?」
王子「…… ……ッ」
少女「…… ……」ポロポロ
王子(……ほっとした故の涙、何だろうが)
王子(同情的な気分にはなれないな……)ハァ
王子(……根深い、よな。そりゃ……そうか)
王子(俺達の常識の全てがまかり通る訳も無いと)
王子(口に……自分で出しておきながら)
少女「…… ……失礼、します」
タタタ……
王子「…… ……」
王子(……驚かされる。『世界』は広いよ、国王)ハァ
王子(『誰かに支配される為の世界』なんて、認めちゃ行けない)
王子(だけど…… ……簡単に、は……いかない、な)
……
………
…………
息子「……あ……ッ」
タタタ……
騎士「どうしました……ッ あ、剣士!」
剣士「……粗方片付いた後、か」フゥ
騎士「……遅かったな。何かあった、のか?」
少女…複雑だな
510 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 19:00:18.34 ID:zpTK6cQBP
ネット繋がらない( ゚д゚)
お風呂とごはん……orz
ついでに休憩しても良くってよ?
512 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/08(火) 21:34:11.64 ID:zpTK6cQBP
明日からまた馬車馬なので
寝ます…
513 :
名も無き被検体774号+:2013/10/08(火) 21:45:48.28 ID:7cthiKUYP
全然進まなかったな
ゆっくり休んで
まずは身体を大事に!
のんびり待ってるからー
515 :
名も無き被検体774号+:2013/10/09(水) 00:23:11.45 ID:ixK/982DP
ゆっくり待とうや
以前はバッサリ進んだから、このペースで構わん
C
517 :
名も無き被検体774号+:2013/10/09(水) 06:55:13.76 ID:ygz+zZOvi
ほー
518 :
名も無き被検体774号+:2013/10/09(水) 11:17:39.54 ID:xoDYxnx00
保守
519 :
名も無き被検体774号+:2013/10/09(水) 13:30:22.72 ID:1vC5ggQD0
しえんー♪
ほ
521 :
名も無き被検体774号+:2013/10/09(水) 20:59:46.09 ID:z+NptlK70
ほ
ほ
ほし
ho
525 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 00:41:30.07 ID:5XQ2T1Chi
ほ
ほけきょ
(`・ω・´)っC
ほ
529 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:01:42.68 ID:3N7uLRiVP
剣士「……後から答えがやってくる」
剣士「多分……だが」
騎士「は!? ……わ、解る様に話せ!何があった!」
騎士「魔寄せの石は……!?」
剣士「……来なかった、のか?狼共」チラ
息子「それは答える必要も無いのでは?」
剣士(……これだけ死骸が散乱していれば、な)フゥ
騎士「破壊した……んだな」
剣士「ああ。一斉に四方八方に散らばっていったとんだろう、が」
剣士「……数が数だ。苦戦していると思ったが……」
騎士「……俺達も意外だった。あの大きな魔物達が、一太刀でとは言わんが」
騎士「こうもあっさりと、な……」
息子「しかし、これだけ血生臭い……否、見た目にも凄惨だと」
息子「まだ、村人達を外に出す訳には行きませんね」
剣士「炎の魔法を使える者は?」
騎士「数名居るが、殆どが北の街の方へと言ったな。それが何か……?」
息子「村には何名かおりますが……」
剣士「放置して置く訳にはいかんだろう?」
騎士「……焼いてしまうのか」
剣士「それが手っ取り早い。手が足りなければ俺も……」
騎士「! ……待て、誰か……来る!」グッ
息子「!?」
剣士「……警戒しなくて良い。言っただろう?」
剣士「『答えは後からやってくる』」
騎士「…… ……あ!?」
スタスタ……
息子「!! あれは……!」
530 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:13:37.38 ID:3N7uLRiVP
側近「…… ……」
癒し手「……騎士さんも居ますね」
息子「戦士さん……に、僧侶さん!?」
騎士「何!? ……ッ ま、まさか……!?」
剣士「…… ……」
側近「終わった後……の様だな」
癒し手「息子さんが居ますよ……そっ …… ……戦士さん」
側近「……打ち合わせ通りに、僧侶」
癒し手「はい」
スタスタ
剣士「……こっちを選んだ、のか」
癒し手「『世界』を知る義務があります。私達には……」
癒し手「いえ。私達に『も』」
剣士「…… ……」
騎士「せ、戦士様! ……と、僧侶様……でした、か……?」
息子「お……お二人、ですか!?」
息子「勇者様と、魔法使いさんは……!」
側近「…… ……こちらも、状況を知りたい」
側近「説明して貰えるか?」
騎士「も、勿論です!」
剣士「その前にやる事をやってしまうぞ」
剣士「魔物達をこの侭にして置けんだろう」
癒し手「騎士さん、炎の魔法を使える方はいらっしゃいますか?」
騎士「貴女も……魔物の死骸を焼いてしまえと仰る、のですね」
癒し手「私……も?」
息子「剣士さんも、ついさっき同じ事を……」
531 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:23:50.02 ID:3N7uLRiVP
剣士「…… ……」
癒し手「そうですか……いえ、それもあるのですけど」
癒し手「……魔除けの石は、剣士さんが破壊されたと聞いています」
癒し手「石はもうありません。ですが……」
側近「長年、あの場所に放置されて来たのだろう」
側近「魔の気は、土に……あの場所に染み込んでしまっているのだそうだ」
騎士「え!?」
癒し手「絶対に、とは言いませんが、可能性は高いと思うのです」
癒し手「ですから……清めた方が良いと思います」
息子「清める……?」
癒し手「はい……炎で、一帯を一度……焼いてしまわれた方が良いでしょう」
騎士「!」
息子「そ……そんな!?」
癒し手「……浄化された土は何れ蘇ります」
癒し手「そうすればまた、美しい花は咲きます」
騎士「…… ……成る程」
息子「騎士様!?」
側近「魔物も焼いて……空へと還してやるのだろう?」
側近「……同じだ。浄化してやれば良い」
息子「し、しかし……!」
剣士「村長達と相談すれば良い。先に死骸をどうにかしよう」
剣士「……女子供達に、こんな状態を見せる訳には行かないんだろう?」
息子「……は、はい。では……取りあえず、炎の魔法を使える者を……」
タタタ……
騎士「……あ、の。戦士様」
側近「『勇者』はどうなった、のか……か」
532 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:43:12.86 ID:3N7uLRiVP
騎士「……は、はい」
剣士「…… ……」
側近「お前達、始まりの国には戻らない……のか?」
騎士「え? あ、ああ……此処が片付けば、ある程度の騎士を残して」
騎士「戻ります。剣士も……連れて帰ってやらねばなりませんし」
癒し手「剣士さん……も?」
剣士「話した筈だ。国王の命で来ている、とな」
騎士「……その通りです。残りの魔物から村を守る様にも仰せつかっていますが」
騎士「この男を……残してはいけませんから」
騎士「私と、剣士と……後の数名は、任務が終わり次第、帰還します」
癒し手「では……同船させて頂く事はできますか?」
騎士「え!?」
側近「……叔父上には、話さねばならんだろう」
側近「『勇者』の事を」
騎士「は……はい!」
側近「……『国王様への報告』が済むまで、詳しい事は……」
側近「すまんが、話せない」
騎士「い、いえ!ご尤もです!」
騎士「……喜ばれますよ、きっと」
側近「……そう、だな」
剣士「…… ……」
タタタ……
癒し手「あ……戻って来られました、ね」
剣士「……俺も、手伝おう」フゥ
癒し手「怪我人がいれば、回復致します」
側近「俺は……処理の方だな、手伝うとすれば」
騎士「戦士様、こちらの指揮をお任せしても?」
側近「あ、ああ……そりゃ構わないが」
533 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:47:33.82 ID:3N7uLRiVP
側近「俺は魔法は使えないぞ」
騎士「指揮をして頂くだけで充分です」
騎士「……この村の人達も、貴方の顔はご存じなのでしょう」
騎士「勇気、に繋がります。ご帰還された、とあれば……」
側近「…… ……」
騎士「……魔王の事や勇者様の事が気にならないと言えば、嘘になりますが」
騎士「貴方達は……帰って来られた。ひとまずはそれで、充分です」
側近「……悪い、な」
騎士「いえ……私は息子さんと、村長の所へ行って」
騎士「土地の浄化の件を含め……報告と相談に行って参ります」ペコ
タタタ……
剣士「……おい」
癒し手「え? 私? ……はい?」
剣士「無理はするな。顔色が優れない」
癒し手「あ……これは……その……」
剣士「……気付いている、んだな?」
癒し手「…… ……大丈夫、です」
剣士「戦士には?」
癒し手「自分で。後ほど……」
剣士「……そうか。ならば余り、俺の傍には寄るな」
癒し手「……え?」
534 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 07:55:09.71 ID:3N7uLRiVP
ではまた!
535 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 08:39:47.08 ID:My3q8Qo1i
ポンポンポンポン孕みすぎなんだよ!クソが!
乙!!
537 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/10(木) 18:56:41.87 ID:3N7uLRiVP
運動会疲れたよ( ゚д゚)
また明日から仕事だよ( ゚д゚)
なんか、あんまり進められなくてごめんなさい( ゚д゚)
寝る!
538 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 19:23:19.61 ID:hiH7pIYF0
保守
539 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 19:36:55.68 ID:hiH7pIYF0
保守
540 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 19:39:12.86 ID:hiH7pIYF0
保守
541 :
名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:12:01.97 ID:PCQXYqF8P
BBAおつかれ
542 :
忍法帖【Lv=5,xxxP】(1+0:8) :2013/10/10(木) 21:13:14.25 ID:Xd4eFAjei
やっぱり運動会は10月10日がいいよな!
お疲れさんです
( ゚д゚)おやすみBBA
ほ
ほ
ほもである
547 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 07:32:30.57 ID:T37kwDv6P
剣士「俺は…… ……多分、人、では」
癒し手「…… ……」
剣士「…… ……」
スタスタ
側近「僧侶」
癒し手「あ……は、はい!」
側近「……大丈夫か?」
癒し手「な、何がです」
側近「……何の話、を?」
癒し手「ああ……いえ。顔色が悪いと、指摘されてしまいました」
側近「……大丈夫か?」
癒し手「平気ですよ。疲れたら休みます」
癒し手「回復を……と、申し出ては見た物の……」
癒し手「それ程、必要ありそうにも見えませんしね」
側近「……魔物の力は、弱まっているのだろうな」
癒し手「ええ……曲がりなりにも、魔王は……勇者様に……」
側近「……シッ」
癒し手「…… ……」
側近「取りあえず、此処を片付けてしまおう」
側近「騎士や村長達に、聞かねばならん話もあるし」
癒し手「ええ……浄化の件もありますしね」
側近「良し。無理はするなよ……まだ残りが居るかもしれん」
側近「体調の事もある。余り、俺から離れるな」
癒し手「はい」
癒し手(剣士さんが魔族であるかもしれない、のなら)
癒し手(彼の言い分も納得は出来る、んだけど……)
癒し手(……側近さんも、今は……魔族、なのに)
癒し手(何故……平気なのだろう)
癒し手(否。どころか、私は……彼の…… ……ッ)
548 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 07:37:45.86 ID:T37kwDv6P
癒し手(…… ……)フルフル
癒し手(後にしよう。今は……目の前の事を、片付けないと)
癒し手(……やはり、『魔王』と言うのは特別、なんでしょうね)
癒し手(最果ての地に蓄積された、途轍もない力の、魔気の渦)
癒し手(そして、魔王様の魔力…… ……)
癒し手(……人の地の上にあると言うだけで、こんなにも気分が違う)
癒し手(私……あの城に、戻れるの……?)
……
………
…………
カチャ
后「あ、居た居た……使用人、魔王知らない?」
使用人「食事の後、書庫に行くと仰ってましたけど?」
后「また篭もる気か、あいつは……」ハァ
使用人「ご一緒すれば宜しいじゃありませんか」
后「邪魔するのもね、って……思うんだけどね」
使用人「退屈なんですね」クス
后「……否定はしないわよ」ハァ
使用人「では、久々に一緒にお菓子でも作りますか?」
后「あら、良いの?」
使用人「勿論ですよ。今日は……あいにく、天気も悪いですし」
使用人「庭に出れそうもありませんからね」
まだやってたのか
あいかわらず…だらけでワロタ
550 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 07:39:42.16 ID:T37kwDv6P
送って出勤!
551 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 07:46:43.28 ID:/jsNlE98P
いってらー
552 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 09:54:31.63 ID:VabR/hbu0
ほっしゅ
553 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 11:51:59.32 ID:uenJwWoSi
しえーん
しぇー
555 :
忍法帖【Lv=4,xxxP】(1+0:8) :2013/10/11(金) 21:20:27.50 ID:Yi3g8gLt0
ほっしゅ
556 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 21:21:21.51 ID:7LFyNZc30
三連休は忙しいだろうな
保守
557 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 21:48:08.67 ID:T37kwDv6P
おうよ、忙しいのだよorz
なので、ご飯食べながら少しだけ!
558 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 21:57:19.77 ID:T37kwDv6P
后「……良く振る、わね」
使用人「珍しい、です」
后「そうなの?」
使用人「理由までは解らないですけどね。あんまり……天気が変わる事は」
使用人「無いんですよ。勿論、偶に……こんな日もありますけど」
后「空を見上げたって、真っ暗に近いもんね」
使用人「強大な魔気が渦巻いて……紫の雲を作ってます、から」
后「…… ……」
使用人「何時か……晴れる日が来るんでしょうか」
后「……そうね。この目で見る事は、叶わないでしょうけど」
使用人「…… ……」
后「良いのよ。『勇者』が、見られるのなら。それで」
使用人「……え、后様、まさか……!?」
后「え!? ……ち、違うわよ!まだよ!」
使用人「あ……そ、そうですか……」
后「……複雑ね。早く欲しいとは思うわ。でも……」
后「……『世界』の為に産まれて来る光の子。この腕に抱きたいと思う」
后「早く。抱きたい……とは、本当に思うの」
后「何時か必ず……その夢は叶う。と……も、思うのよ」
使用人「…… ……」
后「だけど……」
使用人「複雑、ですか」
后「そうね……だって、その子は必ず……『勇者』なんですもの」
使用人「…… ……」
后「でも、憂いても仕方無い、のよね」
后「……『運命』なんだもの」
使用人「…… ……」
后「それが『世界』の意思……なんだもの」
559 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:02:21.48 ID:T37kwDv6P
使用人「世界の意思……」
后「何でかしらね。そんな風に思っちゃうなんて」クス
后「常識的に考えたら、こんな風に達観できる私達、全員」
后「どこかおかしいんじゃ無いの!? ……って、思うのに、ね」
使用人「本当に、揃った、んでしょうか」
后「解らない。でも……答えの、欠片はきっと」
后「側近と癒し手が、持ち帰ってくると信じてるわ」
后「『願えば叶う』んでしょう?」
使用人「……本当に便利な言葉です」ハァ
后「そうね……じゃあ、それを信じて」
后「美味しいケーキを作りましょうか」
使用人「……そうですね。できあがる時間に合わせて、魔王様を呼びに行きましょう」
后「放っておくとずっと本読んでそうだしね、あいつ」
使用人「何に夢中になってらっしゃるんです?」
后「何でも、古い……古詩?だったかしら?」
使用人「古詩…… ……『始まりは終わりだった』で」
使用人「始まる奴、ですか?」
后「ああ、そうそう。それよ」
后「……ああいうのに、興味あるとは思わなかったわ」
使用人「物語……と、言うより、神話の類ですね」
后「貴女も読んだのね」
使用人「癒し手様も熱心に読んでいらっしゃいましたよ」
后「読み終わったら私も、って思ってたんだけどね」
后「毎日毎日、あの本と魔王がにらめっこしてるから」ハァ
560 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:07:40.65 ID:T37kwDv6P
使用人「じゃあ、美味しそうな匂いでおびき出しましょうか」クス
后「賛成」クス
使用人「何にします?」
后「そうねぇ……あ! この間食べた、あのカボチャの奴が良いわ」
使用人「ああ、あれでしたら……」
……
………
…………
村長「……他に手は無いのか?」
騎士「理に適ってるかと思います。私は魔法には詳しくはありませんが……」
村長「それは……解る。しかし……」
騎士「ですが、先の事を考えると…… ……」
魔導師「ねえ、おにいちゃん。まだおそと、でちゃだめなの?」
兄「しっ……今、お話し中だから……」
魔導師「ぼく、じっとしてるのあきちゃったよ」
兄「……もう少し。もう少しだから、我慢して、魔導師」
魔導師「えー…… ……」
村長「仕方あるまい……」ハァ
騎士「許可して頂けるのですか」
村長「やるからには、綺麗にしてしまう方が良い、んだろう」
息子「お父さん……」
村長「何だ、その驚いた顔は」
息子「いえ……その、良く……」
息子「……決心、して下さった、と思って」
村長「阿呆。私は……村長だ。村の長だ……村を、人を」
村長「……今度こそ、守っていかねばならんだろう」
息子「はい……!」
561 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:12:34.85 ID:T37kwDv6P
騎士「では、剣士にも手伝わせます。そちらからも炎の魔法を使う方を」
騎士「何人か…… ……」
ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!
ガッシャーン!!
村長「!?」
息子「な……ッ !?」
兄「あ、あ……ッ」
魔導師「うわあああああああああああああん!!」
騎士「狼!? ……何処から……!!」
息子「奥の扉から……!?」ハッ
息子「裏手の窓か!」
村長「さ、下がりなさい!兄!魔導師……!」
騎士「下手に動くと危ない!」
魔導師「うわああああああああああああああああああああ!!」
パキイィン!!
魔導師「くるなー!くるなああああああああああ!!」
キィン……ッ パリパリパリ……ッ!!
兄「……ッ !! 魔導師!魔導師!」
魔導師「うわああああああああああああん!!」
パキィン……パキパキパキ……ッ
562 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:16:52.82 ID:T37kwDv6P
兄「!」ハッ
兄「も……ッ もう良い!もう良いよ!魔導師!」
魔導師「こないで!くるなああああ!うわあああああ!!」
パキ……パキパキパキ……
騎士「氷、が……!!」
息子「! 魔導師の足下まで……! と、止めないと!」タタタ……
兄「魔導師!!」ギュウ!
魔導師「う……ァ……ああああああああん!!」
兄「……ッ」ビクッ
兄(冷たい……ッ い、た……い!)
村長「兄!」
バタン!
剣士「何の音…… ……!!」
タタタ……パン!
魔導師「!」
魔導師「…… ……い、た……なんで、なん……ッ」ウワアアアン!
息子(……止まった、か)ホゥ
息子「! 兄!大丈夫か!?」
兄「……うぅ……ッ」
バタバタバタ……バタン!
側近「おい、剣士……! ……な……ん、だ……これは」
癒し手「戦士さん、どうし……! ……ま、ぁ……」
563 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:22:59.14 ID:T37kwDv6P
騎士「! 僧侶様、回復を!」
癒し手「あ、は……はい!」タタ……パァア……
兄「…… ……ッ」フラッ
癒し手「あ……!」ギュ!
側近「……気を失った、か?」
癒し手「……ですね。傷は癒しました、けど……」
村長「兄!」
魔導師「うわあああああああん!おにいちゃん!おにいちゃん!」
剣士「…… ……」
側近「……氷漬けの狼、か。魔導師がやった、んだな」
騎士「見張りを強化します!裏手ですね!?」
息子「あ……は、はい!」
村長「…… ……落ち着きなさい魔導師。もう……大丈夫、だ」ギュ
村長「ありがとう、な。お前がやっつけてくれたから。もう、大丈夫だから」
魔導師「ぼ、ぼく……ッ ま、まほうつかいのおねえちゃんに……ッ」
魔導師「ひ、ひとに、むけちゃ、だめ、て……!!」
魔導師「いわれた、の、に……ッ おにいちゃああああん!」
癒し手「……大丈夫ですよ、魔導師君。お兄ちゃんは、ちょっと吃驚して」
癒し手「ええ、と……疲れて、ね? ねんね、しちゃっただけ、ですから」
癒し手「だから、泣いて煩くすると、起きちゃいます。どうします?」
魔導師「……ねんね、して、おきたら……げ、げんき、に、なる?」
癒し手「うん。なります。大丈夫です」ナデナデ
魔導師「…… ……いたかった」
癒し手「あ……」
癒し手(剣士さんに叩かれた、のか……)
癒し手(傷、じゃないけど……)パァ
癒し手「回復魔法、かけました。もう痛くないでしょう?」
魔導師「…… ……うん。あたたかかった。ありがとう、そうりょのおねえちゃん……」
癒し手「……覚えててくれた、んですね」ニコ
564 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:27:39.72 ID:T37kwDv6P
癒し手「じゃあ、泣き止んで……仲直り、しましょう?」
魔導師「なかなおり?」ヒック
癒し手「はい。剣士さんが『ご免なさい』したら」
癒し手「『良いよ』って笑って、握手、です」
剣士「…… ……え?」
癒し手「止めるつもりだったんでしょうけど、暴力は駄目ですよ」
剣士「…… ……」
魔導師「…… ……」ジッ
癒し手「有効なのは解りますけど。魔導師君はまだ、幼い子供ですから」
剣士「……悪かった」
癒し手「『ご免なさい』です」
剣士「…… ……ごめんなさい」
魔導師「……いい、よ」スッ
剣士「…… ……」
癒し手「…… ……」ジィ
剣士「…… ……」ギュ
魔導師「…… ……」ギュ。ブンブン。ニコ
側近「…… ……」クックック
剣士「…… ……笑うな」
息子「良し。兄をベッドに寝かせよう。俺も行くから」
息子「魔導師も、お兄ちゃん見ててあげてくれるか?」ヒョイ
魔導師「うん!」
タタタ……パタン
剣士「…… ……」
村長「……ありがとうございました」
剣士「否……俺も、すまなかった」
側近「とにかく、騎士を集めて警護に当たらせよう」
騎士「は、はい!」
565 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:34:23.95 ID:T37kwDv6P
側近「俺も手伝う。その間に炎の魔法を使える人を率いて……」
側近「……そっちは、剣士に任せるか」
剣士「…… ……まあ、良いだろう」
癒し手「あ、でも……」
剣士「解って居る。俺は……警護について行くだけだ」
騎士「え? ……でも、お前手伝う、って……」
剣士「…… ……村人達の手でやった方が、良いだろう」
剣士「けじめ、だ。向かってくるだろう狼共は、俺が引き受ける」
剣士「数が減ったとは言え、な」
癒し手「…… ……」
癒し手(浄化の炎……魔族である、と仮定したとしても)
癒し手(剣士さんが……臨んだところで、不都合は無い筈だけど)
癒し手(多分……同じ事を、考えて居る、んでしょうね)
癒し手(……魔、かもしれない……人、よ……り…… ……あれ?)
癒し手(目……が、まわ…… ……)フラ……ッ
側近「……い ……僧侶!?」タタ……ッ ガシ!
癒し手「…… ……」
側近「おい!どうした!?」
剣士「…… ……」
村長「お嬢さん!?」
騎士「僧侶様!?」
側近「僧侶……!!」ギュウ
剣士「……息子の所に連れて行って、一緒に寝かせてやれ」クルッ
側近「おい……!」
剣士「睨むな。顔色が悪かった……大方、旅の疲れでも出たんだろう?」
スタスタ……パタン
側近(……剣士……?)
側近(顔が真っ青だ……しかし……ッ)
566 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:43:01.19 ID:T37kwDv6P
側近「……村長、すまないが頼めるだろうか」
村長「あ……ああ……それは、勿論……」
側近「案内してくれ。寝かしたら……俺は警護に回る」
騎士「戦士様……」
側近「……大丈夫だろう。少し待っててくれ」
村長「こ、こっちに!村の女達に様子を見させましょう」
側近「ああ……すまん」
……
………
…………
船長「……で、部屋から出てこない、って?」
男「ああ……なんか、拗ねてるみてぇだな」
船長「…… ……」ハァ
男「『母さんは冷たい』だとよ」
船長「……見殺しにした、とでも言いたい訳か」
男「……素直に言ってやったらそうだ」
男「『チビがいるのに危険なところに行けない』てさ」
船長「……それも嘘じゃネェがな」
男「金の為、か?」
船長「『信用』だ……アタシ達に、この船に何かあったら」
船長「確かに金……になる、全てを失う。だが、そうなったとしたら」
船長「それこそチビはどうするんだ?」
男「……だから、それ説明してやれって」
船長「…… ……」
男「……お前の気持ちも、解るけどね」
船長「『船長の命令は絶対』だ ……それが『海賊』だ」
567 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 22:50:51.93 ID:T37kwDv6P
男「……だけど、お前は『母』だぜ?」
船長「…… ……」
男「どっちが先かは俺にはわかんねぇし、どっちが大事だ、なんて」
男「そもそも比べるもんじゃねぇんだろうけどな」
船長「……『母』だから、こうしたんだろうが!」
男「俺とお前が喧嘩してもしゃーないだろ」ハァ
船長「……とにかく、この侭南下する」
男「どこに向かうんだよ。良いのか?」
男「例の、客人共は」
船長「……すぐに戻れるだろう辺りで停泊するさ」
船長「暫く、不自由するだろうがな」
男「……それも『仕事』の為……金の為、か」ハァ
船長「随分トゲがあるな。アタシの言う事が聞けないのか!?」
男「聞くよ。お前は……『船長』だからな」
スタスタ
船長「…… ……」ハァ
船長(……糞ッ)ガンッ
船長(親父…… ……アンタなら、こんな時……どうした?)
……
………
…………
癒し手「…… ……ん」パチ
癒し手(…… ……ッ)ガバッ!
魔導師「そうりょのおねえちゃん!」ギュッ
癒し手「え? ……あ……わた……し……?」
568 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:03:42.83 ID:T37kwDv6P
兄「良かった……!」ホッ
癒し手「兄、君……魔導師君……」
兄「……あ、あの、ご免なさい!」
兄「僕と、魔導師を回復した後に、僧侶さんが倒れたって聞いて……」
癒し手「…… ……」
癒し手「そう、ですか……ああ、泣かないで?」
癒し手「貴方達のせいじゃ、無いですから……大丈夫、ですから」キョロ
癒し手(小さな、部屋……此処は、村長さんのお家? ……側近さんは……)
コンコン、カチャ
シスター「……あら、目が覚めた、んですね」
癒し手「あ!」
シスター「…… ……覚えて、いらっしゃいました、か」
癒し手「勿論です……あ、あの……ありがとうございました……」
シスター「……いいえ。汗、びっしょりでいらっしゃる様なので」
シスター「着替えをお持ちしました……ほら、兄、魔導師」
シスター「お姉さんのお着替えを手伝うから。君達はお外!」
魔導師「ええー!ぼく、ここにいる!」
シスター「我が儘言わないの。お姉さん、脱ぐのよ?」
癒し手「え!?」
シスター「……恥ずかしいでしょう。目が覚めて、元気ですって」
シスター「戦士さんと、村長さん達に伝えてきて頂戴?」
魔導師「えー……」
シスター「えー、じゃないの。お願い」
兄「わかりました、ほら、行こう魔導師」
魔導師「おねえちゃん!あとで、あそんでくれる!?」
癒し手「ええ、良いですよ……ありがとう」
569 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:12:27.65 ID:T37kwDv6P
癒し手「お願いします……ね?」
魔導師「うん!」
カチャ、パタン
シスター「…… ……」
癒し手「…… ……」
シスター「……身体を拭くわ。脱いで頂戴」
癒し手「あ、は……はい。すみません」スル……
癒し手(わ……本当に、汗びっちょり……)
シスター「……領主の娘と勇者様の事は、聞くなと念を押されたわ」
癒し手「…… ……誰に、です」
シスター「戦士と、剣士さんに……よ」フキフキ
癒し手「…… ……」
シスター「父親は、戦士ね?」
癒し手「…… ……はい」
シスター「……言ってないの?」
癒し手「…… ……まだ、です」
シスター「そう……」フキフキ
癒し手「あ、あの……」
シスター「そんな大事な事、私の口から言えないわよ。安心して」
癒し手「…… ……ありがとうございます」
シスター「剣士さんは気がついてたわよ」
癒し手「……みたいですね」
シスター「……知ってるなら、良いわ」
シスター「はい、これ着替え。私のだけど……良いわよね」
癒し手「あ……すみません。ありがとうございます」
シスター「…… ……ねえ」
癒し手「は、はい?」
シスター「魔導国が無くなった、って……本当なのね?」
癒し手「……ご免なさい。私は、詳しい話は知りません」
570 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:19:51.57 ID:T37kwDv6P
癒し手「でも……始まりの国の騎士さんが言うのなら」
癒し手「疑う必要は……無いのでは?」
シスター「疑ってる訳じゃ無いわ…… ……そう。いえ、良いわ」
シスター「ご免なさい」
癒し手「……あ、の。司書、さんは……」
シスター「……亡くなったわ」
癒し手「……そう、ですか」
シスター「驚かないのね」
癒し手「……そう、言う訳では」
シスター「貴女達がこの村を出て、すぐね」
シスター「……ご病気でいらっしゃるのは解ってた。この……村の」
シスター「孤児院を頼みます、って言い残して、ね」
癒し手「……そう、ですか」
シスター「貴女……エルフなの?」
癒し手「え!?」
シスター「……言いたく無ければ言わなくて良いわ。でも、あの……本」
癒し手「…… ……」
シスター「貴女にそっくりな女性が描かれていた、本……」
癒し手「…… ……」
シスター「……返事は無用よ。独り言だと思って聞いて頂戴」
シスター「あの話が事実なら、貴女は嘘は吐けないんでしょう」
シスター「色々、聞いたわ。港街の神父様の話。その名を無理に貰って」
癒し手「!」
シスター「……港街を出た、新米神官って人の話」
シスター「魔導国のあれやこれや……あの街……あの、国が」
シスター「無くなった、だなんて、はいそうですかって。信じられないわ」
癒し手「…… ……」
シスター「優れた加護が無いってだけで、私達は『出来損ない』だって言われて」
シスター「迫害されてきた。助けてくれたのは、剣士さん。それに、司書様」
571 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:26:28.41 ID:T37kwDv6P
シスター「もう怯えなくて良い、って言われたって…… ……」
癒し手「…… ……」
シスター「聞くな、と言われたけれど。独り言なら構わないわよね?」
シスター「あの領主の娘はどうなったの?勇者は?」
シスター「魔物は……狼は随分弱かったって聞いた」
シスター「……勇者は魔王を倒したの?世界は平和になったの?」
シスター「なら、何故魔物は居なくならないの?」
シスター「……また、繰り返すの?」
癒し手「…… ……」
シスター「…… ……」
癒し手「…… ……」
シスター「……」ハァ
シスター「妊婦にストレス与えちゃ駄目ね」
癒し手「あ、あの……」
シスター「答え無くて良い、って言ったわ…… ……ご免なさい。でも」
シスター「一つだけ」
癒し手「……はい」
シスター「貴女、産まれて来る子供に、混沌とした世界を見せたくは無いわよね?」
癒し手「……ッ 勿論、です……!」
シスター「貴女の……子供には、母親。貴女がいる」
シスター「……父親もね。戦士……随分心配してたみたいよ」
癒し手「……はい」
シスター「私は、此処で司書様のお言葉通り」
シスター「……遺言通り。孤児達を守っていかないと……いけない」
癒し手「…… ……」
シスター「……村は、もう……安全なのよね?」
癒し手「……騎士さんは、暫しの間、常駐し……守ると、言っていました」
シスター「…… ……」
シスター「『騎士団長の息子』の名に誓える、のよね?」
癒し手「勿論です。 ……私、も。戦士さんも」
癒し手「……『世界』自身が、『真の平和』を望んで居るのだと」
癒し手「信じています」
572 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:34:11.41 ID:T37kwDv6P
シスター「……その言葉は、重いわよ」
癒し手「利用して頂いて結構ですよ?」
シスター「……!」
癒し手「戦士さんは、こんな事では怒ったり……しませんから」
癒し手「このタイミングで、此処に居合わせる事に……」
癒し手「きっと、意味はあるんでしょう。だから……」
シスター「…… ……」
癒し手「国王様も、心優しい……素晴らしい方です」
シスター「……勇者は?」
癒し手「……勇者様は、誰よりも。何よりも」
癒し手「『世界』が『平和』になる事を望んでいらっしゃいます」
シスター「…… ……」
癒し手「……貴女が、言ったのですよ?」
シスター「え?」
癒し手「『エルフは嘘は吐けない』んです、よね?」
シスター「…… ……」
癒し手「……戦士さんは、どこに?」
シスター「……村長さんと息子さん。それから剣士さんと」
シスター「会議の真似事、してたみたいだけど?」
癒し手「そうですか……私も、行きます」
シスター「……寝て無くて大丈夫なの」
癒し手「父親……に、真実を告げないと、ね」
シスター「……貴女を送って、私も帰るわ」
シスター「子供達を放って……置けないし」
癒し手「……明日、訪ねても宜しいですか?」
シスター「どうぞ。許可がいる様な場所じゃ無いわ」
シスター「……見張りも強化されるみたいだし、私達ももう」
シスター「避難する必要も無いみたいだしね」
癒し手「そうですか……良かったです」
癒し手「……我が儘ついでに、もう一つ」
シスター「何?」
573 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:39:38.38 ID:T37kwDv6P
癒し手「……お参り、させて頂く事は可能でしょうか」
シスター「…… ……喜ぶわ。きっと」
癒し手「ありがとうございます」
シスター「……差し支えの無い程度で良いわ」
癒し手「?」
シスター「領主の……孫娘の話。少し……聞かせて欲しい」
癒し手「私の知る事で……お話出来る事、でしたら」
シスター「……多分、血が繋がってる、のよ」
癒し手「そう……で、しょうね」
シスター「…… ……生きている、のよね?」
癒し手「…… ……はい」
シスター「そう……」ホッ
癒し手(……この人、ぶっきらぼうだけど)
癒し手(悪い人では……無い、んだろう……な)
シスター「……立てる?」スッ
癒し手「あ……ありがとうございます」ギュ
シスター「ゆっくりで良いわ。無理はしないで」
癒し手「はい……ありがとうございます」
シスター「……ねえ、本当に知らないのよね?」
癒し手「え……戦士さんですか? ……はい。多分」
癒し手「何も言っていない、ので……気がつく程、敏感な方では無いですし」
シスター「……さらっと言ったわね」
癒し手「鈍いところも、好きなんです」クス
シスター「そういう所は、言わなくて良いのよ!」
スタスタ、パタン
574 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/11(金) 23:42:28.34 ID:T37kwDv6P
キリも良い、ので寝るのですー!
575 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:50:06.46 ID:eWLLIfUz0
おつー
乙
577 :
名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:54:25.87 ID:/jsNlE98P
ええな
おつー
578 :
名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:45:21.83 ID:Hym7OQos0
じゃ保守はお前らに任せて俺も寝させてもらうからな
ほしゅ
580 :
忍法帖【Lv=5,xxxP】(1+0:8) :2013/10/12(土) 08:12:52.98 ID:QrWPx8LU0
ほ
の
ぼ
の
584 :
名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 17:25:22.90 ID:CUSSYX2F0
し
585 :
名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 17:35:23.01 ID:kGqe+FGKi
て
ぃ
587 :
名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 21:39:39.51 ID:4zb6nkEii
て
588 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/12(土) 22:42:34.76 ID:nWXCK5G/P
連休なんか嫌いだわ( ゚д゚)
寝る…
明日朝、またかけたらー
おやすみ!
590 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 00:47:35.85 ID:gOne2Qfe0
ほ
ほしゅ
仕事中だがほしゅ
593 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 15:13:35.21 ID:gOne2Qfe0
休みだぜほしゅ
594 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 16:43:55.93 ID:rXkO660u0
ん?見たことあると思ったらまだ続いてんのか
あれだよね勇者が魔王倒して魔王になってその子供が勇者ってループの奴だよね
双子が出てきて終わったとおもってた
まとめとかあればオナシャス
595 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 17:06:08.92 ID:OzY890S00
読む気があるからまとめヨロの意だと思うんだが
全部揃ったまとめが見つけられんかった
597 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 18:51:15.83 ID:OzY890S00
酉かIDで抽出すればいい話だろう
優しくないね
600 :
名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 19:55:29.85 ID:UkfmfVHjP
何処かのスレに拒否権のころからまとめたレスがあったはずだが忘れた…
602 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/13(日) 21:40:52.32 ID:IS0s45h9P
やっと明日やすみー!
幼女寝かす!
もう八ヶ月か…
長い付き合いになったもんだ
最後まで読ませてもらうぜスコーン
今日はおやすみ
もうこんなにやってるのか…w
606 :
名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 02:19:01.26 ID:xm9dbZCi0
まとめ貼ってくれた人|`・ω・´)b テンキュ
せっかくなんでもう一回最初から読むぜ(=゚ω゚)ノ
607 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 05:26:29.03 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「驚く……でしょう、ね」
シスター「喜ぶでしょうよ」
癒し手「だと、良いんですけど」
シスター「……望んで居なかった、の?」
癒し手「あ、いえ。そういう訳じゃ無いですよ」
癒し手「……こんな状況ですから」
シスター「そんなの気にする事無いわよ」
シスター「子供は未来の希望よ。混沌とした世界を見せたくない……って」
シスター「言ってたじゃ無いの」
癒し手「それは……勿論」
癒し手(側近さんは……多分、喜んでくれる。それは解ってる)
癒し手(だけど……きっと、憂いてしまう。お母様の事や……)
癒し手(紫の魔王の、お母様の事……の様に)
癒し手(エルフの長を産む者は……それに……!)
癒し手(……元人間であるとは言え、側近さんは、今は……魔……!)
癒し手(……どんな、子が産まれてくるのだろう)
癒し手(私は……この子を、抱く事ができるの……?)
シスター「誰だって、最初は不安な物よ。それは良く解る」
シスター「でも、大丈夫よ。親は子と一緒に、成長していけば良いの」
シスター「……勿論、簡単な事じゃ無いけど」
癒し手「そう……ですね」
シスター「……此処よ」
ダカラ……ソレハ……
イマハ……
癒し手(……話し声が聞こえる。真剣な声)
コンコン
シスター「村長さん、シスターです」
608 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 05:31:55.93 ID:MR1ZdRRRP
村長「……ああ、ご苦労様だった。入って下さい」
癒し手(側近さんの声音は……どう、変わるんだろう)
カチャ
シスター「失礼します」
癒し手「あの……ありがとうございました。すみません」
癒し手「ご迷惑おかけして……」
側近「僧侶! ……起きて大丈夫なのか!?」
癒し手「あ、はい。気分も良くなりましたし……」
シスター「息子さんと……兄と魔導師は?」
剣士「もう夜だ。改めて寝かせにいった」
騎士「僧侶様!良かった……顔色も随分良くなりましたね」
騎士「しかし……貴女も朝まで、ゆっくり休まれては?」
癒し手「いえ……大丈夫です。差し支えなければ、私もここに居させて下さい」
剣士「…… ……」
村長「それは勿論、構わないが……本当に大丈夫なのか?」
癒し手「はい。無理はしません……これ以上ご迷惑をかける訳には」
側近「そんな事はどうでも良い。本当に…… ……」
シスター「では、私は失礼致します。子供達を放って置けませんから」
村長「あ、ああ……助かったよ。ありがとう」
シスター「いいえ……頑張ってね、僧侶さん」
癒し手「ありがとうございました、シスターさん。また、明日……」
シスター「ええ……待ってるわ。それでは、おやすみなさい」
スタスタ、パタン
609 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 05:40:12.25 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「失礼します」ストン
側近「……熱は無いのか?」
癒し手「そんな心配そうな顔しなくても、大丈夫ですよ」
癒し手「……別に、病気じゃありませんし」
側近「無理をさせて悪かった。しんどくなったらすぐに言えよ?」
癒し手「……はい」
剣士「では、続きを」
村長「あ、ああ……」
カチャ
息子「お待たせしました……あ、僧侶さん!?大丈夫なんですか?」
癒し手「はい。ご迷惑おかけしました」
村長「二人は?」
息子「すぐに寝てしまいましたよ。時間も時間ですし……」
息子「流石に、疲れたでしょう」
村長「……では、話を戻そう。僧侶さんも来られた事だし」
騎士「先ほども申しましたとおり、騎士の配置も終わっています」
騎士「北の街に向かわせた仲間からは、明日にでも連絡が来るでしょう」
村長「此方の状況を見る限り、大した被害は出ていないと思うが」
剣士「炎を使える者達も、朝には終わるだろうと言っていたな」
癒し手「……剣士さんは、此方にいつ戻られたのですか?」
剣士「ついさっきだ。警護の必要がなさそうだったからな」
剣士「何人かの騎士と合流したので、戻った……彼らの手だけで」
剣士「為す方が良いだろうしな」
騎士「狼たちも随分と減りましたし、炎を怖がってか」
騎士「それ程近づいては行かない様でしたしね」
側近「三日、だ僧侶」
癒し手「え?」
610 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 05:49:58.03 ID:MR1ZdRRRP
騎士「はい。三日後には私と剣士は、この村を出発し」
騎士「始まりの国へ戻る予定です。問題も無いかと……思います」
騎士「もし、体調が悪そうでしたら延期してもそれも問題はありませんが……」
癒し手「……いえ、大丈夫です」
癒し手「本当に、病気ではありませんから」
側近「…… ……」
村長「何かあればすぐに言って下さい。先ほどのシスターもおりますし」
村長「……では、話を進めよう。状況を教えて欲しい、戦士さん」
側近「ああ……だが」
息子「大丈夫です。王様に報告するまでは……詳しく話せないと」
息子「聞いていますから」
側近「……すまない」
村長「…… ……」
息子「お父さん、そんな顔をしないで下さい」
息子「……もう、光の剣の事は諦めるんでしょう?」
村長「……わ、わかっとる!」
癒し手(そうか。この村は鍛冶師様の……)
癒し手(……あっさりと……気持ちを割り切る事など……普通は、できませんよね)
側近「俺達二人がここに居る、と言う状況を……察して欲しい、と」
側近「俺からは、それぐらいしか言える事は無い、んだがな」
村長「だが、魔物達の力の弱り具合を見るに」
村長「……魔王を倒したと言う事なのだろう?」
村長「あの魔寄せの石に狂わされた狼たちがあんなにもあっさりと……」
剣士「だが、魔物達は居なくならなかった。確かに弱体化したが」
騎士「剣士!」
側近「…… ……」
剣士「つかの間の平和、だ……そうとしか思えない」
癒し手「…… ……」
側近「否定はしない」
騎士「戦士様!?」
611 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 06:02:18.86 ID:MR1ZdRRRP
側近「『金の髪の勇者』は戻らなかった。その仲間達も」
側近「……だが、俺達はここに居る」
側近「先ほども話したとおり、俺達は……『勇者』の仲間として」
側近「始まりの国の国王……叔父上に、伝える事がある」
癒し手「…… ……」
剣士「その旅の途中、『偶然』居合わせた、と言いたいんだな」
側近「そうだ。まさかお前に会うとは思わなかった、がな」
癒し手「私達も知りたいと思っていました。あの後……魔導国がどうなったのか」
癒し手「『世界』がどうなった、のか」
騎士「魔導国の方は、騎士団長様が対処しています」
騎士「……制圧、と言えば聞こえは悪いかも知れませんが」
剣士「間違いではあるまい? ……戦争の結果だ」
剣士「言葉を選ぶ必要は無いと思うが」
側近「そう、だな。で、無ければ……今、この村はこの状況に無い」
癒し手「……魔導国、は無くなるのですか」
騎士「国王様の判断次第ですが……名は、残さないのでは無いでしょうか」
村長「……あの洞窟はどうするんだ」
騎士「まだ何も決まっていないと思います……ですが」
剣士「始まりの国の管轄下に置かれる事は間違いないだろう?」
騎士「……まあ、そうなるだろうな」
側近(光の剣が……その魔法の鉱石とやらで、修理できるとは思えない)
側近(……お爺様でも、『剣としての体裁を取る程度』だったと聞いた)
側近(詳しい話を聞いてしまった今では尚更だ……あの石で、修理など……!)
村長「…… ……」
息子「お父さん!」
村長「……わかっとる!」
村長「偽りでも仮初めでも、構わん。武器を手にせざるを得ない世界など」
村長「……無いに、越した事は無いんだろう、と……は、な」ハァ
騎士「……実際の所、魔法剣とは何なのです?」
息子「作り手の魔力を込めて打つ武具……で良いかと思います」
612 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 06:14:10.83 ID:MR1ZdRRRP
息子「打った者の魔力……加護の力の宿る、魔法の剣」
村長「鉄や鋼では話にならん……大昔、にはそんな技術もあったのかもしれんがな」
村長「……その、洞窟の鉱石をこの目で見た訳ではないから何とも言えん、が」
村長「話だけは伝わっておる。氷の剣が深々と、炎を操る魔の心臓を」
村長「貫き、滅したのだと……」
癒し手「氷の、剣……」
息子「別に伝説等では無いのですが、鍛冶を志す者達なら、知っている話です」
息子「大方、御伽噺の一節なのでしょうけど」
癒し手「それは、鍛冶師様……『鍛冶師の村の勇者様』や」
癒し手「『聖職者様』のお話しよりも古い、伝承なのですか?」
村長「伝承とも言えん。誰かが作った話かもしれんし、息子の言う通り」
村長「御伽噺なのかもしれん。子供が寝入る時に、母親から聞く」
村長「子守歌と大差ない」
剣士「信憑性は無い、と言う事か?」
村長「態々『こんな伝説がある』と、誰かに聞かせる必要も無い程度の物、と」
村長「……言う事だ」
側近「俺達が以前、この村を訪れた時に、村長が話してくれようとしていた」
側近「……剣の話、があっただろう」
村長「…… ……」
癒し手「魔法剣の様な物、ですね」
息子「あれは、魔石を柄にはめ込んだだけの……大凡、魔法剣などとは」
息子「呼べない代物です。炎や水……魔石の魔力を解放する事で」
息子「魔法剣の様に見せるだけ……一回きりの玩具ですよ」
癒し手「……成る程」
村長「騙せる物でも無い……今、思えばな」
息子「魔石の技術は……やはり……?」ジッ
騎士「え? …… ……あ、ああ。それは……」
騎士「すみません。国王様が、何と仰るか……」
剣士「『魔石』自体は廃れてしまった、と聞いているが」
騎士「……そうだな。この村にその技術が残っている事自体、驚いた」
613 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 06:36:54.89 ID:MR1ZdRRRP
村長「驚いたのは此方も同じだ。魔導国の連中に聞くまでも無く」
村長「光の剣の噂は、この村にも届いて居たが……」
息子「お話ししたとおり、魔法剣はその打ち手の魔力を込めて作る物です」
息子「……と、言う事は、光の剣を作った者は……光の加護を持っていた、と」
息子「言う、事ですから」
癒し手「…… ……」
側近「…… ……」
騎士「あ……そうか。そうなります、よね」
剣士「……何か、知っているのか?」
側近「俺には解らん。お爺様なら知っていたのかもしれないが」
側近「……俺は、剣を振るう事しかできんからな」
癒し手(持つ者の、その加護を写し取る不思議な剣……)
癒し手(……しかも、長年……想像を絶する程、永い間……)
癒し手(『魔王の剣』として、その力と地位と共に、受け継がれてきた、剣)
剣士(俺が持つこれは……ただの、鋼の剣だ)
剣士(古い、物。特別な力など感じない物……で、無ければ)
剣士(この村の者達は、真っ先に食いついてきた、だろうからな)
剣士(……俺はこれが無ければ魔法等使えない)
剣士(この剣を通して初めて、魔法と言う力を行使できるだけ)
剣士(船長は魔法剣だと呼んでいた、が……似て非なる物……否)
剣士(似て、すら居ない……な。話を聞く限り)
614 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:01:23.66 ID:MR1ZdRRRP
息子「戦士さん」
側近「?」
息子「勇者様は……何時か、あの国へ戻られるのですか?」
騎士「……息子さん」
側近「構わん。 ……が、何故だ?」
息子「え?」
側近「やはり、諦めきれないか?」
息子「……私も鍛冶を生業にしていますから。確かに、これではお父さんの事は」
息子「言えませんが……」
村長「…… ……」
息子「無くなってしまった方が……良い技術なのかもしれません」
息子「あ……必要が無くなる、ですね」
息子「でも」
癒し手「…… ……」
息子「もし、勇者様が戻られたら、伝えて下さい」
息子「……破棄、してくださいと」
村長「息子!?」
息子「勇者様が無事に戻られる、と言う事は」
息子「魔王が倒されると言う事だろう?お父さん」
息子「『世界』が平和になれば、光の剣なんていらなくなる」
息子「だから……」
癒し手「……何時か、そうなれば」
癒し手「必ず、伝えます。ね? 戦士さん」
側近「……ああ」
剣士「…… ……」スッ
騎士「な、何だ? 急に立ち上がって」
剣士「表が騒がしい」
騎士「え!?」
癒し手「……魔物の気配はしませんよ?」
剣士「戻った、んだろう」
615 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:06:55.59 ID:MR1ZdRRRP
村長「あ、ああ……」
癒し手「村の方達、ですか……」
剣士「お前達はもう休め、僧侶」
側近「ああ。その方が良い……行くぞ、僧侶」
癒し手「あ……は、はい」スッ
騎士「助かりました、戦士様、僧侶様」
騎士「先ほどのお部屋を使って頂いて良いそうです……えっと、戦士様は」
癒し手「一緒で良いですよね?」
側近「勿論だ」
騎士「……え?」
側近「……気がついてなかったのか?」
癒し手(側近さんに言われるのも、不憫な……)
剣士「俺は様子を見に行こう」スタスタ
息子「あ、私も行きます」スタスタ
村長「私は……すまんが、休ませて貰おう。息子、明日報告してくれ」
息子「解りました」
カチャ、パタン
騎士「気が、て…… ……え?」
村長「夫婦なのならば同じ部屋で良いだろう?」
村長「……狭くて、申し訳無いが」
癒し手「い、いえ、そんな! 充分です」
騎士「……ご、夫婦……!? し、失礼致しました!」
側近「何故謝る……」
騎士「そ、そうですか……! それは……おめでたい!」
村長「では、お先に失礼する」スタスタ
カチャ、パタン
616 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:11:52.06 ID:MR1ZdRRRP
騎士「喜ばれますよ!騎士団長様も、国王様も……!」
癒し手「……あ、あの」
側近「自分達の口から……伝えたいんだ。内緒にしておいて貰えると」
側近「ありがたい、んだが」
騎士「あ! そ、そうですね!わかりました! ……そうか、そうですか……」フフ
側近「……お前は、行かなくて良いのか」
騎士「! い、行きます! すみません、失礼致します!」
騎士「ゆっくりお休みになって下さいね!」
パタパタ……カチャ、バタン!
側近「……凄い笑顔だったな」
癒し手「祝福して貰えるのは、嬉しい事じゃ無いですか」
側近「そうだが…… ……しかし、気がつかないもんか?」
癒し手「……どう、何でしょうね」
癒し手(鈍いのは貴方も同じ、ですのにね)クス
側近「……なんだ」
癒し手「いえ。戻って休みましょう、側近さん」
癒し手「あ……そうだ。私、明日シスターさんの所へ行きたいんですけど……」
側近「ん? ……ああ、別に構わないだろう」
側近「俺はバタバタしているかもしれんが……」
癒し手「まあ、同じ村の中ですしね」
側近「……本当に、体調は大丈夫なのか?」
側近「まあ、シスターと一緒にいるのなら安心、だろうが」
側近「子供達も居るのだろう? 無茶はしないと思うが」
側近「あんまり、走り回ったりするなよ」
617 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:18:00.70 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「しませんよ、大丈夫です」スタスタ
側近「……なら、良いが」スタスタ
癒し手「えっと、此処だったかな……」
カチャ
側近「……二人で寝るには、狭いか」
癒し手「くっついて眠れば平気ですよ」
パタン
側近「ああ……ほら、横になれ」
癒し手「はい……側近さん、も」コロン
側近「解ってる……おいで」ギュ
癒し手「…… ……」ギュ
側近「癒し手……」チュ
癒し手「……あ、 ……ッ 駄目です、側近さ……ッ ん……ッ」チュ
側近「……阿呆。これ以上するか」
癒し手「や、そうじゃ無くて……! ァ ……」
側近「……? そんなに、辛いのか? ……悪い……大丈夫か」
癒し手「ち、違います! あの……!」
側近「…… ……?」
癒し手「私、あの…… ……赤ちゃん出来た、みたいです」
側近「…… ……」
癒し手「…… ……そ、側近、さん?」
側近「…… ……な……ッ」
癒し手「?」
側近「な、名前……何に、しよう……」
癒し手「え!?」
618 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:25:21.20 ID:MR1ZdRRRP
側近「い、否! 違う、そうじゃ無くて!」ガバッ
癒し手「きゃ……ッ」
側近「あ、す、すまん!大丈夫か!?」
側近「だ、だから顔色が悪かったのか!?何時解った!?確かなんだな!?」
癒し手「え!? あ、は、はい!? ……あ、あんまり後ろに行くと……!」
側近「そ、そうか……ッ こど…… ……!?」
ドタ!
癒し手「側近さん!」バッ
側近「……だ、大丈夫、だ」ムク
側近「布団から出るな!腹が冷えたらどうする!?」
癒し手「……そ、んな……」クス
癒し手「ふふ……ご免なさい」クスクス
側近「…… ……すまん。落ち着く」
癒し手「黙ってた訳じゃ無いんですよ。何時言おうかな、って……言うのと」
癒し手「その……少し、不安で。怖がらせるんじゃ無いか、って……」
側近「……不安が無いとは言わん。だが…… ……喜びが一番大きい」
側近「……癒し手」
癒し手「はい?」
側近「抱きしめても、大丈夫、か……?」
癒し手「勿論です……ちゃんと、朝まで抱いてて下さい」
側近「狭いぞ?」
癒し手「平気ですよ。くっついてれば」
側近「……ん」ギュ
癒し手「…… ……」ギュ
側近「そうか……子供、か……」フフ
側近「何故、怖がる等…… ……」
側近(あ…… ……ッ)
癒し手「…… ……」
側近「…… ……」
619 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:33:37.10 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「……お母様は長を産む者。疑う訳じゃ無いですが」
癒し手「それ……エルフの、長は。話の通りならば、私です」
癒し手「エルフの長は代々、受け継がれて行くのだとしたら……私、です」
側近「…… ……ッ」ギュッ
癒し手「……ッ」
側近「あ……すまん……ッ」
癒し手「大丈夫ですよ……あの、だから」
癒し手「……私も、お母様の様になるんじゃ無いかと……側近さんが」
側近「怖がる、のでは無いかと……その。少し、だけ」
側近「……だから、塔で……あんな事を言ったんだな」
癒し手「…… ……」
側近「『私に何があっても泣かないで』……か」
癒し手「……はい」
側近「……約束は、できん」
癒し手「側近さん……」
側近「もし、お前が……姫様と同じ道を辿るのならば」
側近「……止められないだろう。泣かずには居られないだろう」
癒し手「…… ……」
側近「だが……お前には、人の血が半分入っている」
癒し手「……はい。それに、貴方は……もう……」
側近「……ああ。俺は……人間じゃ無い。魔族だ」
癒し手「…… ……」
側近「今は、健やかな成長と、無事に産まれてきてくれる事だけを」
側近「……祈るよ。それから後の事は、その時考える」
癒し手「……側近さん」ギュ
側近「癒し手。俺達は喜ばなくてはいけない」
癒し手「……はい」
側近「俺達の子だ。お前と、俺の……大切な新しい命だ」
側近「嬉しさは無くならない。癒し手……複雑だ。だけど」
側近「……無くならないんだ」
620 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:41:15.26 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「私もです。自覚してから、色々……複雑でした。だけど」
癒し手「やっぱり、嬉しいんです」
側近「…… ……」ギュ
癒し手「ありがとう。喜んでくれて」
側近「……当然だろう」
癒し手「……はい」チュ
側近「…… ……」チュ
癒し手「剣士さんに、あんまり傍によるなと言われました」
側近「え?」
癒し手「……自分は、魔だろうから、と思っていらっしゃる、のかと」
側近「……あいつは、俺が魔に変じた事も知っているだろうに」
癒し手「まあ……貴方はお父さん、ですからね」
側近「お父さ…… ……まあ、そうなんだが」
癒し手「悪い人では……無いのだと思います」
側近「……ああ」
癒し手「でも……不思議、何です」
側近「ん?」
癒し手「確かに、彼は人間では無い。だけど……はっきりと魔なのかと」
癒し手「問われると……私には断言する事ができません」
側近「お前……でも?」
癒し手「はい。悪い人では……本当に、無いんだろうなと思います」
癒し手「ですけど…… ……彼は、何者なんでしょう、ね」
側近「……俺達の事も、言わなかった様だし、な」
癒し手「ええ……」
側近「考えても解らん事は……仕方無い。それよりも、癒し手」
癒し手「はい?」
側近「今日は……もう、眠ってくれ」
側近「朝まで、こうしているから」ギュ
癒し手「……はい。側近さんもちゃんと寝て下さいね?」
側近「……誰かさんの所為で、興奮して眠れそうにない」
癒し手「…… ……えっち」
側近「ち、違うだろう!」
癒し手「ふふ……冗談です。解ってます……けど、ちゃんと寝て下さい」
621 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:49:38.90 ID:MR1ZdRRRP
癒し手「明日もまだ、バタバタするんでしょう?」
癒し手「疲れちゃいますよ……だから」
側近「努力は……する」
癒し手「はい」クスクス
癒し手「おやすみなさい、側近さん」
側近「ああ……おやすみ」チュ
癒し手「はい……ふふ」チュ……スゥ
側近「…… ……」
側近(子供……か、俺達の)フゥ
側近(エルフで、人で……魔…… ……?)
側近(……否。そんな事はどうでも良い。無事に、産まれてくれるなら)
側近(そして、癒し手……お前が、無事ならば……!)ギュ…ッ
側近(嬉しくて。悲しくて……苦しくて、切ない)
側近(……俺は。俺達は……喜ばなくては、いけない……!)
……
………
…………
国王「……では、この書簡を騎士団長に届けて下さい」
騎士「はッ!」
国王「後、所属不明の船の件ですが……」
騎士「ええ……北の街付近の海域から、少し離れた所に停泊していた様ですが」
騎士「どうします?」
国王「……以前から目撃されている船だとするならば」
国王「魔導国……と、関係があるのかも知れませんね」
騎士「海賊船の可能性もあるのでは?」
国王「だとすれば尚更繋がりがある……否、あった、とみるべきでしょうね」
国王「金次第でどんな仕事でも……と、聞いていますけれど……」
国王「それだけであれば、良いんですが」フゥ
騎士「……どうしましょう?」
国王「最果ての地の方から来た、と言っていました、ね」
騎士「はい」
国王「……当面、監視は怠らない様に」
622 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 07:56:55.02 ID:MR1ZdRRRP
騎士「はッ」
国王(杞憂であれば良いけれど……)
国王「……無関係と決めつけるには早い、ですしね」
騎士「では、出立致します」
国王「うん。お願いします……ああ、後」
騎士「はい?」
国王「鍛冶師の村から、剣士さん達が戻るのはもうすぐですか?」
騎士「だと思います。出航の知らせは受け取って居ますので」
国王「そうですか。解りました」
国王「早くても数週間後、ですね」
騎士「それぐらいは掛かるでしょうね」
国王「……では、宜しくお願い致します」
騎士「はッ! 失礼致します」
スタスタ、カチャ ……パタン
国王「……」フゥ
国王「焦っても仕方が無い……一つずつ片付けていかねば……」
トントントン……カチャ
国王の息子「お父様」
国王「ああ……どうしました?」
国王の息子「お貸し頂いた本、読み終わりましたよ」
国王「早いね……では、そこに置いておいて下さい」
国王の息子「はい。他の本を借りても良いですか?」
国王「勿論です……好きなのを持って行きなさい」
国王の息子「はい!」
タタタ……パタン
623 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 08:02:03.49 ID:MR1ZdRRRP
国王「…… ……」スッ ペラ
国王(お母様の手記……これは、彼ら……未来を担っていく者に)
国王(読ませるべきでは、無いだろうな)
国王(魔物の力が、随分弱っていると聞く。数も……減っていると)
国王(……どう言う事だ。勇者は……また……?)
国王(また……繰り返す、のか。また……戻らないのか)
国王(金の髪の勇者と同じように。黒い髪の勇者も、また…… ……ッ)グッ
国王「……ッ」ゴホゴホゴホッ ……ボタボタ……ッ
国王「!」
国王(…… ……血)
国王「…… ……ッ」
国王(……悟られる訳には、いかない。着替え……ねば)スッ ……ゴホッ
国王(私の子……次期国王には……まだ、教えたい事も)
国王(伝えねばならない事も、ある……ッ)
国王(私は、まだ……死ぬ訳には……ッ)ゴホッ
国王(勇者……戦士……!)
国王(やはり、お前達は……戻らない、のですか……!?)
……
………
…………
アハハハハハ!
624 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 08:10:09.12 ID:MR1ZdRRRP
シスター「は、 ……ッ あはは……ッ」
癒し手「……笑いすぎです」ムゥ
シスター「だ、だって!第一声が……『名前何にしよう』だなんて……ッ」
癒し手「良いんです!戦士さんらしくて!」
シスター「……ふ、ふふ。ご免なさい……まあ、でも良かったじゃ無いの」
シスター「不安になる事なんて……無かったでしょ?」
癒し手「……そう、ですけど」
シスター「貴女を此処に預けて、騎士様達の所に行く時に」
シスター「『心配で死にそう』って顔に書いてあったものね」クスクス
癒し手「…… ……」
シスター「ふふ……ほほえましいわね」ハァ
癒し手「……泣く程笑う事、無いと思いますけど」
シスター「ああ、久しぶりにこんなに笑ったわ……」
癒し手「……」ハァ
シスター「ご免なさい……そんな顔しないで」
癒し手「無理です!」
シスター「……悪かったわよ」
癒し手「……まあ、良いです、けど」
シスター「三日後に……帰る、んですっけ」
癒し手「……はい。騎士団の皆様の船に乗せて貰う事になりました」
シスター「そう……そうよね。彼は、騎士団長の息子だものね」
癒し手「…… ……」
シスター「……あの時は、ご免なさい」
癒し手「いえ……」
シスター「私は……直系では無いけれど、魔導国の領主の血筋なの」
癒し手「優れた加護を持っていないと言うだけで……」
625 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 08:10:51.29 ID:MR1ZdRRRP
あかん、ちょっと二度寝(・△・)
626 :
名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 11:45:56.91 ID:3kXIQuhYi
オヤス!
久しぶりにいっぱい読んだー!
シスター結構好きだよ(笑)
628 :
忍法帖【Lv=6,xxxP】(1+0:8) :2013/10/14(月) 17:41:03.75 ID:IkM31W9f0
ho
629 :
忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/14(月) 18:05:08.16 ID:64tqSZE40
mo
sa
631 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/14(月) 20:23:17.58 ID:MR1ZdRRRP
一日幼女と遊んだら疲れたよ( ゚д゚)
また明日から仕事!
時間あるときにー!
おやすみ〜
暖かくしてね
BBAお疲れ
634 :
名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 12:58:29.76 ID:xg2Cc0lG0
ほっしゅ
ほ
636 :
名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 18:39:15.07 ID:OSLBraOp0
こうなったら幼女が成人するまで続けてくれ
BBAが本当にババアになっちゃう
そしたら幼女と結婚しよう
639 :
名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 21:04:14.07 ID:nBH889Y3P
そして勇者が産まれる…
640 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/15(火) 21:07:40.80 ID:XZpQRSSOP
幼女はやらんと( ゚д゚)
疲れたよ( ゚д゚)
帰って寝るよ( ゚д゚)
お疲れ様です
ゆっくりBBAのペースで書いて頂ければ、幸せです(^^♪
BBAおつかれー!
BBAはエルフの末裔で、幼女が勇者で脳内補完されてる。
幼女「美しい世界を守るためだ」
幼女「あたちは……スコーンを倒ちゅ!」
645 :
名も無き被検体774号+:2013/10/16(水) 01:35:48.64 ID:Gz4iHdQo0
幼女「スコーンはないんだな」
646 :
名も無き被検体774号+:2013/10/16(水) 01:47:16.67 ID:yqyedHuY0
スコーン「私が幼女になる・・・だと?」
スコーン「ああ……幼女は美しい」
なんだこの流れ
649 :
忍法帖【Lv=32,xxxPT】(2+0:8) :2013/10/16(水) 06:47:33.77 ID:hk0C6vkU0
幼女「スコーンの無いBBAなどいるものか!」
650 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/16(水) 07:39:54.13 ID:KrJwm/KmP
癒し手「……不思議です。それだけで……」
シスター「そうね。何より『血』に拘る人達なのに」
シスター「いえ。だからこそ『出来損ない』なのよ」
癒し手「…… ……」
シスター「彼らは、自分達は『選ばれし者』だと言っていた。自分達こそ、ね」
シスター「優れた加護を持っていたとしたって、雷の加護で無ければ」
シスター「どこか、馬鹿にしている様な所もあったわ」
癒し手「雷……?」
シスター「ええ。何故か雷の加護を持つ人が多かったのよ」
シスター「……加護は、精霊との契約の様な物だと何かの本で読んだわ」
シスター「それこそ、『血』なんて何も関係ないと思うんだけどね」
癒し手「……雷、が何か特別だと言う様な話は……」
シスター「聞いた事無いでしょ?私もよ」
シスター「……領主の孫娘……魔法使い、だったっけ」
シスター「彼女は、確か紅い瞳をしていたわね」
癒し手「……はい」
シスター「領主の直系であり、特殊な関係で出来た子でしょ」
癒し手「……?」
シスター「彼女の瞳が雷を記す茶の色で無い事に……どこかほっとしてたわ」
シスター「醜いわよね。蔑まれるだけの生活から救い出して貰って」
シスター「ここで……子供達と、慎ましく幸せに生きようと思ったのに」
シスター「勝手な話だけど……あんな醜い感情が自分の中にあるなんて」
シスター「……ゾッとしたわ。八つ当たりみたいな事、しておいて……」
シスター「本当に、勝手だけど」
癒し手「あ、あの……」
シスター「え?」
癒し手「特殊な……関係、って?」
シスター「……聞いて、無いの?」
癒し手「優れた加護、の事ですか?」
シスター「……? ……!」ハッ
癒し手「シスターさん……?」
651 :
名も無き被検体774号+:2013/10/16(水) 15:03:45.05 ID:HtxFu/pT0
KIN SHIN KON BABY
652 :
名も無き被検体774号+:2013/10/16(水) 16:20:18.81 ID:+rdXZ91c0
今北産業
>>652 拒否権の無い選択などあるものか!
真に美しい世界を望むためだ
勇者は、必ず魔王を倒すんだ!
655 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/16(水) 21:09:34.91 ID:KrJwm/KmP
やっと明日やすみー!
今日は帰って寝る!
いい夢見ろよ
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
658 :
名も無き被検体774号+:2013/10/17(木) 02:20:47.29 ID:Fo54oPVsi
659 :
名も無き被検体774号+:2013/10/17(木) 09:18:49.24 ID:gGNBq7rp0
ほほほ
660 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 09:39:47.67 ID:67S+1sSRP
お出かけまで少しだけー
661 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 10:04:29.88 ID:67S+1sSRP
シスター「…… ……」
癒し手「……確かに、領主さん達は茶の瞳をしていらっしゃってましたし」
癒し手「き……魔法使いさんも、気にしてらした……と言うか」
癒し手「『雷でなく、炎だから期待なんて』とか……そういうのは聞きました。けど……」
シスター「……魔法使いは話していない、のね?」
癒し手「何、をです……?」
シスター「いえ……聞かされて居なかったのでしょうね」
シスター「彼女自身、知らなかったんでしょう……そりゃそうか……」ブツブツ
癒し手「……あの?」
シスター「…… ……母親様と父親様には、あった事、あるの?」
癒し手「……はい」
癒し手「あの……何の……話です?」
シスター「母親と父親は、実の兄弟よ」
癒し手「!?」
シスター「……魔導国の王……領主の娘と息子」
シスター「魔導国を作るきっかけになった、姉弟の話は知っている?」
癒し手「……魔族の血が入っている、と言う奴ですか?」
シスター「え!?」
癒し手「……あれ?」
シスター「わ、私が知っているのは、優れた加護を持つ姉弟が」
シスター「近親姦を繰り返した結果が、魔導国の領主の血筋の始まりだ、と」
シスター「……それだけよ」
662 :
名も無き被検体774号+:2013/10/17(木) 10:17:16.67 ID:c4Kz+1AoO
世の中拒否権のない選択肢ばかりだよ。
663 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 10:44:43.25 ID:67S+1sSRP
癒し手「私が、彼らから聞いたのは……」
癒し手「最果ての地に住むのを許された、唯一の人間であり」
癒し手「こんなにも優れた、力を持つのは魔族の血がどこかで混じっているからだ」
癒し手「……と。母親さん以外は、否定していらっしゃった様ですけど」
シスター「成る程……ね」
シスター「その……『始まりの姉弟』は、少し歳の離れた姉と弟で」
シスター「どちらも凄く強い魔法を使う事が出来た、とか」
癒し手「そして雷の優れた加護を持っていた?」
シスター「で、しょうね。口頭での伝聞に過ぎない様だし、真偽は分からないけど」
シスター「領主の血筋に雷の加護を持つ人が多いのは確か」
シスター「……もっとも、大昔は他の加護を持つと言うだけで『出来損ない』の」
シスター「扱いをされていたんでしょうけど」
癒し手「…… ……」ハァ
シスター「いくら何でもそれじゃ、人は一向に増えない」
シスター「だから……『優れた加護』なんて言葉を、作り出したのかもしれないわね」
癒し手「魔の血が入っているか否か……と言う話も」
癒し手「今となってはもう、わかりません、よね」
シスター「そりゃそうよ。確かめ様が無いもの」
癒し手「……母親さんと父親さん。それに、領主さんは」
癒し手「その、『始まりの姉弟』に倣った……のですか」
シスター「で、しょうね」
癒し手「なのに、魔法使いさんは……雷の加護でも無く」
癒し手「優れた加護も、持っていらっしゃらない」
シスター「……え?」
癒し手「……最後、ご自分でご両親に告げていらっしゃったので」
癒し手「話しても良いと思います」
シスター「そんな!あの子が!? な、何故……!」
664 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 10:54:04.70 ID:67S+1sSRP
癒し手「……テストをされる、時に」
癒し手「剣士さんが、助けてくれたのだと仰っていました」
シスター「…… ……そう。魔法使いも……剣士さんに助けられた、の」
癒し手「不思議な方……です」
シスター「そうね……あの瞳の色も、面立ちも」
癒し手「そういえば……以前、私達がこの村へ来た時」
シスター「?」
癒し手「貴女は、勇者様を本物か、と問い」
癒し手「……剣士さんには、関わりたく無い、と仰って居ませんでしたか?」
シスター「ええ……そう、だったかな。そうだったわね」
癒し手「…… ……」
シスター「信じられなかったのよ。確かに、彼はあの家から……」
シスター「あの国から、私を助けてくれた。でも」
シスター「あの状態で、何が真実で、何が嘘か、なんて」
シスター「私には判断出来なかったわ」
癒し手「……そう。ですね」
シスター「最初、魔導国が無くなったんだ、って事を聞いた時だって」
シスター「……あの船でやってきた彼らの事だって、どうやって信じたら良いのか」
シスター「解らなかった。もう大丈夫、の『もう』っていう」
シスター「線引きの仕方なんて、知らないもの」
シスター「信じてしまって、裏切られたら? ……そう思うと怖かったのよ」
癒し手「…… ……」
シスター「貴女達に対するやっかみが、拍車をかけた事も……認めるわ」
シスター「世界中を自由に旅して……『魔王を倒す』なんて」
シスター「……凄い目標を持って、大変だろう、のに……イキイキしてる」
シスター「光に選ばれた勇者。騎士団長の息子」
シスター「魔導国の領主の孫娘に…… ……」
癒し手「…… ……」
シスター「エルフだと思われる、貴女」
癒し手「…… ……」
665 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:20:39.77 ID:67S+1sSRP
シスター「凄いメンバーよね。全く、世の中って不公平」
癒し手「シスターさん……」
シスター「……勇者様を見た時は、驚いたわ。本当に金の瞳をしているんだもの」
シスター「確かに、疑いようも無い。あんな人、見た事無い」
シスター「魔導国で、剣士さんは……『魔導国の勇者様』だなんて騒がれていたけど」
シスター「……いえ。騒いでいたのは直系の人達だけね。今思えば」
シスター「すり込もうとしていたのかもしれないけど」
癒し手「…… ……」
シスター「紫の瞳なんて……それだけでも見た事無いのに」
シスター「……金の瞳をした勇者様とそっくりだなんて」ハァ
シスター「彼は、何者なの?」
癒し手「え?」
シスター「剣士さん、よ」
癒し手「……解りません。ご本人も、記憶を無くしていらっしゃる様ですし……」
シスター「……そう、よね」
癒し手「あっさり、信じてくれるんですね」
シスター「エルフは嘘は吐けないんでしょ」
癒し手「それも含めて、ですよ」
シスター「…… ……」
666 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:33:55.00 ID:67S+1sSRP
シスター「貴女達は……戻って来た、もの」
癒し手「?」
シスター「私は……『金の髪の勇者』の事は知らないけど」
シスター「彼は……彼ら、は戻って来なかった」
癒し手「…… ……」
シスター「でも、貴女達は…… ……それに」
シスター「魔導国まで、無くしてしまった」
癒し手「そ、れは……!」
シスター「詳細は話せないって聞いてるわ、騎士さん達からね」
シスター「でも、これは……戦争だから」
シスター「始まりの国が勝ち、魔導国は負けた。簡素に言うとそういう事よ」
シスター「貴女達、勇者達は……関係していないのかも知れないけど」
癒し手「…… ……」
シスター「でも、救われたわ。魔導国に住む人達は大変な思いをこれから」
シスター「するのかもしれない。だけど!」
シスター「……確かに、私達は救われた。もう、怯えなくて良い」
癒し手「大変な、思い……ですか」
シスター「些細な事よ。世話をしてくれる『出来損ない』は居ない」
シスター「他人に命令したって、聞いてくれない」
シスター「敗戦を知って、彼らは初めて常識を知るのよ」
シスター「……些細な事よ。私達に、比べれば」
癒し手「シスターさん……」
シスター「『世界』は変わっていくわ。今から、きっと……どんどんと」
癒し手「変わって……」
シスター「そうよ。どんどん、良くなっていくのよ」
シスター「私達、『人間』が、住みやすい、平和な世界に……」
癒し手「…… ……」
シスター「……まだまだ、大変だろうけど、頑張ってよね」
癒し手「……はい」
シスター「まずは、元気な赤ちゃん、産まないとね」ニコ
667 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:43:15.89 ID:67S+1sSRP
……
………
…………
騎士「き、騎士団長様!」
タタタ……
王子「ご苦労。国王様からの書簡は?」
騎士「……ここに」スッ
騎士「あ…… あの……」
王子「うん……ん?」
国王の息子「叔父上、任務ご苦労様です」
王子「…… ……え!?」
騎士「あ、あの……これについても、国王様からお言葉を預かっております」
国王の息子「邪魔は致しませんから」ニコ
王子「な、なん、な……え!?」
騎士「『後学の為、息子を頼みます』と」
王子「……ま、じかよ……」
国王の息子「身分を隠す隠さない等の判断は、叔父上にお任せするとのお話しでしたよ」
国王の息子「お父様は、本当はご自分がいらっしゃりたかったのでは無いかと」
国王の息子「思います。ですが、それは叶いませんので」
王子「……まあ、そりゃ……国王様は、国を離れるべきでは無い、が……」
王子(これからの未来を担う者……の、為、か?)
王子(……国王の。あいつの……考えそうな事、と言えばそうだが……)
国王の息子「鎧をお借りしようかと思ったんですが。僕にはちょっと重かったので」
国王の息子「衛生師達の服を借りてきました」
国王の息子「さっきも言いましたけど、邪魔は致しませんから」
国王の息子「宜しくお願い致します、『騎士団長様』」ペコ
王子「……まさか、追い返す訳にも行かないでしょう」ハァ
王子「解った。彼の身は俺が預かる……離れない様に」
国王の息子「はい!」
王子「……そんな恰好をしている事だし、身分は隠しておいた方が良いだろう」
668 :
名も無き被検体774号+:2013/10/17(木) 11:46:42.02 ID:NzAarZ9nP
細かいかもしんないけど、父親の兄には「伯父」やで
669 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:48:58.13 ID:67S+1sSRP
騎士「……無茶、なさいません様」
王子「俺?」
騎士「どちらも、です!」
国王の息子「はい」クス
王子(国王に似て聡明なのは救い、だが)
国王の息子「ご面倒、おかけしますが、宜しくお願い致します」
王子「ああ……」
王子(複雑だな。お母様も……こんなご気分だったのだろうな)
王子(子供の成長や、巣立ちは無条件で喜ばしいものだ。だが……)
王子(やはり、どこか寂しい)
王子「…… ……」
騎士「騎士団長様?」
王子「! ……ああ、すまん。では、今から書簡に目を通す」
王子「半刻後に、仮設本部に来る様にと、少女に伝達してくれ」
騎士「了解しました!」
スタスタ
国王の息子「……叔父上」
王子「ん?」
国王の息子「お父様……ここ何日も、お顔の色が優れません」
王子「!?」
国王の息子「疲れが出ているだけであれば良いのですが」
王子「…… ……そう、か」
国王の息子「『何かあれば、権限を一時的に兄さんに預ける』と」
国王の息子「……伝えて欲しい、と」
王子「な …… ……!?」
670 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:49:53.16 ID:67S+1sSRP
>>668 Σ(・△・)
無知がばれるねぇwww
教えてくれてありがと!
671 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 11:59:06.35 ID:67S+1sSRP
王子「……そう、か」
国王の息子「…… ……はい」
王子(何か気付いている……のか)ナデ
国王の息子「な、何ですか」
王子「大丈夫だ……お前の言うとおり、疲れているだけ、だよ」
国王の息子「……だと、良いんですけど」
王子(国王は……昔から余り、身体が丈夫な方では無い)
王子(……だが、『権限を一時的に預ける』と言うのは……)
王子(もし、自分に何かあった時……こいつに。彼の息子……『次期国王』に)
王子(取り次ぎの役目を、頼むと言う……事か)ハァ
国王の息子「伯父上……?」
王子「…… ……」
王子(『王』を絶やすな、と言いたい……のだろうか)
王子(『少年』のあの、言葉の通り。『世界』の為に……)
王子「何でもない。書簡を読んだら、俺達も行こう」
王子「……大人しくしているんだよ」
国王の息子「ご、ご面倒はおかけしません!」
王子「まあ、お前に限ってはそんな心配、してないけどね……」シュル……
王子(…… ……国王。お前はまだ……若いんだぞ……!)
……
………
…………
騎士「お約束通り、騎士の半分はこの村へ。残りは北の街へと」
騎士「配備してあります」
村長「……ああ。助かった。ありがとう」
息子「村の者達も、戦える者は少しですが……居ますので」
672 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 12:04:42.18 ID:67S+1sSRP
騎士「はい。時期が来たら、速やかに帰国させますので、ご安心を」
魔導師「そうりょのおねえちゃん、いっちゃうの?」
癒し手「うん。また……機会があれば、一杯遊ぼうね?」
魔導師「うん!ぜったいだよ!?おやくそくだよ!?」
魔導師「おやくそくは、まもらないといけないんだよ!?」
癒し手「はい……お約束、です」
兄「戦士様、ありがとうございました……あの」
兄「僕……強くなって、この村を守れる様に、頑張ります」
側近「ああ。毎日の鍛錬は欠かすなよ」
兄「はい!」
癒し手「あ……そうだ。これ……あげるね」コロン
魔導師「わ! ……きれい。あおいいし、だぁ……」
癒し手「魔導師君が、私にって……魔石、くれましたから」
癒し手「私からも、お礼です」
側近「……癒やしの魔石、か?」
癒し手「に、なると良いんですけど」
魔導師「ぼくがつくったの、ちゃんともっててね!」
癒し手「ええ、ほら此処に」コロン
兄「……少し色が違いますね」
癒し手「同系の加護、と言えなくも無いですけどね。水と氷じゃ、やっぱり」
癒し手「厳密には違いますからね」
側近「魔導師の方が、色が濃い、な」
癒し手「ええ。綺麗な青ですね」
兄「僧侶様のは……薄くて、綺麗な蒼ですね」
魔導師「ありがとう!たからものにするからね!」
673 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 12:10:52.16 ID:67S+1sSRP
癒し手「ありがとうございます」クス
兄「……癒し、魔除けの石……ですよね」
兄「僧侶様は、聖職者様ですし……」
癒し手「……そんな、良い物じゃありませんよ」
兄「でも……」
癒し手「作り方を教えてくれたお礼ですよ、ただの」
癒し手「……感謝するのは、私の方なのかもしれません」
兄「え……?」
騎士「戦士様、僧侶様……宜しいでしょうか?」
癒し手「あ……ごめんなさい。お待たせしました」
側近「剣士は?」
騎士「先に船に乗ると言って、行きました」
側近「そうか……僧侶、シスターには挨拶しなくていいのか?」
癒し手「朝の内に、司書さんのお墓参りを兼ねて行ってきたので大丈夫です」
癒し手「…… ……」
側近「……どうした」
癒し手「いえ……後で、話します」
側近「…… ……」
騎士「では、失礼致します、村長さん、息子さん」
魔導師「おねーちゃん!おにーちゃん!ばいばい!」
兄「……」ペコ
スタスタ
騎士「船室に案内いたしますね。僧侶様、くれぐれも無理はなさいません様!」
癒し手「は、はい!」
側近「……あいつが一番張り切っている様に見えるが」
癒し手「側近さんも似た様なものですよ。大丈夫ですのに」クス
674 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 12:17:14.47 ID:67S+1sSRP
剣士「……やっと、か」ハァ
騎士「船室に居ろと言っただろう、お前……」
剣士「……戦士、僧侶。少し話せるか」
騎士「おい!お前、僧侶様は……!」
側近「……」
癒し手「私も、お聞きしたい事がありましたので」
癒し手「大丈夫です。鍛冶師の村でもゆっくり休ませて頂けましたし」
癒し手「疲れも、取れましたから」
騎士「そ、そうですか……そう、仰るのでしたら……」
側近「俺達の部屋は何処だ?」
騎士「あ……えっと……」
剣士「俺の部屋が甲板に一番近い所だろう」
騎士「ああ……あの並びの一番奥の部屋だ」
剣士「……ついでだ。案内がてら一緒に行く」
剣士「話すのは、お前達の部屋で良いか?」
側近「ああ、構わん」
騎士「……失礼の無い様にしろよ!」
騎士「僧侶様!ご無理なさいません様に!」
スタスタ
剣士「……話した、のか?」
癒し手「いえ……夫婦だ、と。それだけ、言っただけ、何ですけど」
側近「それだけでも丁重に扱う、ってなもんなんだろう」
剣士「……成る程。此処だ」
キィ
675 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 12:18:15.64 ID:67S+1sSRP
お昼ご飯食べて、おでかけー!
いてらー
ほしゅ
678 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/17(木) 20:36:00.17 ID:67S+1sSRP
明日からまた馬車馬らいふ( ゚д゚)
おやすみー!
BBA乙カレー!!
やっと追い付いたーヽ(゚Д゚)ノ
681 :
名も無き被検体774号+:2013/10/18(金) 09:58:34.37 ID:gO+HqHU40
ほっ
682 :
名も無き被検体774号+:2013/10/18(金) 10:00:30.41 ID:C8BUslVE0
面白い!!
683 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/18(金) 11:55:34.26 ID:AZLrxpHBP
側近「癒し手は座る……か横になれ」
癒し手「大丈夫です、てば」
剣士「楽にしておけ。気を使う必要など無いだろう」
側近「船旅も長くなる……普段より、酔いやすいだろう?」
癒し手「……すみません。では甘えます」
剣士「戦士……否、側近、か」
側近「どちらでも構わん……お前も座れ、剣士」
剣士「此処で良い。あまり……側にいない方が良いだろう。話が済めばすぐに……」
癒し手「あ……その事なんですけど」コロン
側近「……魔導師の魔石か? 否……お前の、か」
剣士「…… ……魔石?」
ほっしゅ
685 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/18(金) 23:47:57.01 ID:AZLrxpHBP
癒し手「鍛冶師の村にはまだ、魔石の生成方法が伝わって居るんです……剣士さん」
癒し手「以前……魔法使いさんが、兄君と魔導師君に教わって」
癒し手「会得していたので。私にも出来るかと、思って」
剣士「魔力の結晶、と……考えて良い、んだな」
癒し手「はい ……だから、貴方が魔族と仮定しても」
癒し手「これがあれば……当面は、大丈夫です」
側近「だが……これ自身も、お前の魔力なのだろう?」
癒し手「そうなんです、けど……ね」
剣士「『聖職者の作る、魔除けの石』か」
癒し手「……貴方は、『魔』なのですか」
剣士「…… ……」
側近「癒し手?」
癒し手「……解らない、のですよ」
癒し手「確かに、剣士さんは、人間では……無い」
癒し手「だけど…… ……そこから先が、解らないのです」
剣士「…… ……」
癒し手「確かにこれは、私の魔力で作った物。持っていると……楽、です」
癒し手「それは、気持ちの問題なのかも……しれない。でも」
癒し手「……苦しい、ですか?」
剣士「……解らない」
側近「解らない?」
剣士「……苦しい、と言うより…… ……『痛い』」
側近「……痛い」
剣士「ああ……切ない?」
癒し手「!」
剣士「……俺の事は気にしなくて良い。お前が大丈夫なのなら」
剣士「話を……続けても良いか」
686 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/18(金) 23:51:32.61 ID:AZLrxpHBP
駄目だ、御免
寝る……
BBA乙
おやすみ
いつもいいところで…(´・ω・`)
BBA無理せず頑張ってね
ほっしゅ
690 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/19(土) 11:27:54.74 ID:7BHtmewWP
癒し手「私は……大丈夫です。だから、構いません」
癒し手「ですが……」ジッ
剣士「……?」
癒し手「もう一つ、だけ。その『痛み』は肉体的な苦痛、では無い、んですよね?」
剣士「……そう、だな。切なくて……胸が苦しい、様な」
剣士「不思議な感覚だ」
側近「……『苦しくて、悲しくて、切なくて……嬉しい』?」
剣士「……? なんだ、それは」
癒し手「…… ……」
側近「否、良い……癒し手に無理をさせる訳にはいかん。話を進めよう」
剣士「……お前達は、あれから、何処に行ったんだ?」
剣士「それに……確かに、今のお前は『魔』だ。一体……どう言う事だ?」
側近「…… ……」
癒し手「側近さん」
側近「しかし……」
剣士「『王に伝えるまで話せない』か」
癒し手「……いえ、お話しします」
側近「癒し手!」
癒し手「国王様は貴方に『知る限りの『世界』を教える』と言われたのでしょう」
癒し手「……何処まで、話されるおつもりなのかは解りませんけど」
癒し手「剣士さんには……伝えるべきだと、思います」
側近「だ、だが……!」
癒し手「貴方は……『魔王を倒す』のでしょう、剣士さん」
剣士「……ああ。だが……俺は『勇者』に選ばれなかった」
癒し手「……もう、その思いは消えてしまいましたか」
剣士「? ……否」
側近「…… ……」
癒し手「」
691 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/19(土) 11:43:35.49 ID:7BHtmewWP
癒し手「側近さん……」
側近「……解った、癒し手」ハァ
側近「一つだけ、条件がある」
剣士「……他言はしないと言っただろう。国王にも騎士団長にも」
剣士「お前が……魔へと変じた事は言わん」
側近「……ありがとう」
癒し手「私達は、魔導国であの時……どう、なったのです?」
剣士「……光に包まれて消えた、様に見えた」
剣士「強大な……魔の気を感じた。酷い頭痛が……したんだ」
側近「そういえば顔色が悪かったな」
癒し手「……私達は、転移したのです。最果ての……魔王の城まで」
剣士「……!?」
癒し手「魔力の主は……ま ……勇者様の、お母様でした」
剣士「……な、に?」
癒し手「『時間が無いから、呼び寄せた』のだと」
剣士「…… ……」
側近「信じられん、か?」
剣士「…… ……勇者の母、は人では無いのか」
剣士「あの小屋から……居なく……!」ハッ
剣士「転移……! しかし……!」
癒し手「『魔法なんて使い様』だそうですよ」
癒し手「……私も、この目で見るまで、信じられなかった」
側近「……俺が何よりの証拠だろう。人の身から……」
剣士「勇者の母も……魔に変じていた、と言うのか……」
癒し手「強大な魔力を感じたのでしょう?」
癒し手「……私も、感じました。彼女は確かに、魔だった」
癒し手「そして……知ったのです。『世界の裏側』を少しだけ」
692 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/19(土) 12:23:10.73 ID:7BHtmewWP
お昼食べてお出かけー!
693 :
名も無き被検体774号+:2013/10/19(土) 12:52:49.29 ID:9lVBxGWs0
いってら
694 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】(1+0:8) :2013/10/19(土) 15:32:20.73 ID:c8qgQ14Q0
スコーン
695 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/19(土) 20:52:42.97 ID:7BHtmewWP
明日からまた馬車馬( ゚д゚)
696 :
名も無き被検体774号+:2013/10/19(土) 21:36:13.02 ID:Yzipe8P40
お尻に鞭!
スパーン
ほっしゅ
オハイオ
ほしゅる
700 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/20(日) 20:23:13.28 ID:osF14MWFP
死にそうやわ( ゚д゚)
かえって寝るわ( ゚д゚)
うがー
701 :
名も無き被検体774号+:2013/10/20(日) 20:49:03.05 ID:Su038PMAi
BBA無理すんなよ
生きろ!
スコーンには癒しの魔石が必要だ‼︎
船長に連絡しろ!
費用は盗賊につけといてくれwww
704 :
忍法帖【Lv=9,xxxP】(1+0:8) :2013/10/21(月) 01:38:45.61 ID:buvHPDW50
つ スコーン
705 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/21(月) 09:14:40.72 ID:vbJpRF+fP
剣士「『世界の裏側』」
癒し手「はい。あの時……私達はお母様の力に導かれて、魔王と対峙しました」
癒し手「……正確には、前魔王と、ですけど」
側近「…… ……」
剣士「前魔王? ……待て、お前達が此処にいる、と言う事は」
剣士「……否…… ……?」
側近「確かに魔物の力は弱くなった。それは……お前も知っての通りだろう?」
剣士「……結論を先に聞かせてくれ」
剣士「お前達は、魔王を……」
剣士(否、違う! 癒し手はさっき確かに『前魔王』と……!)
癒し手「……そうですね。手短に。結論から言うと、私達……黒い髪の勇者様は確かに」
癒し手「魔王を倒しました。そして……」
癒し手「……魔王に、なりました」
706 :
名も無き被検体774号+:2013/10/21(月) 12:22:02.93 ID:V5fVTvVOP
なんか内容が駆け足な気がしてきたけど、ゆっくり書いてくれ
707 :
名も無き被検体774号+:2013/10/21(月) 13:16:43.39 ID:Hj0dk81Zi
これが駆け足…?お前は貝かよ
内容は駆け足
書くスピードは鈍足
709 :
名も無き被検体774号+:2013/10/21(月) 15:06:39.19 ID:V5fVTvVOP
>>708 そういうことが言いたかった
補足ありがとう
710 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/21(月) 15:49:21.27 ID:vbJpRF+fP
剣士「……魔王に、なった……」
剣士「…… ……」
側近「繰り返されたんだ」
剣士「……何が、だ」
癒し手「何のために……黒い髪の勇者様のお母様は、魔に変じられたと思いますか?」
癒し手「側近さん……戦士さんも、です」
剣士「…… ……」
癒し手「そして、貴方はどうして、まだ……『魔王を倒す』と、思うのか」
剣士「……魔物が居なくならない理由、か」
側近「まだ……終わって居ない、んだ」
側近「……残念でならない、が」
ぽ
うむ。
実生活の都合はどうにもならんだろうが、
作中の時間は焦らず必要な分だけ取って欲しい。
勿論、無理のない範囲で‼︎
ほしゅ
715 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 09:28:51.16 ID:wi8dRQ9RP
剣士「…… ……」
癒し手「混乱なさるのも無理はありません。私達だって……信じられなかった」
側近「だが、目で見た物を……みてしまった物を否定するのは難しい」
癒し手「私は……貴方が『特異点』だと思います」
剣士「特異点?」
癒し手「……はい」
癒し手「『腐った世界の腐った不条理を断ち切る為』の『特異点』」
癒し手「あるいは、『欠片』」
剣士「……順序立てて話して貰えるだろうか」
剣士「これでは、推測にも憶測にも事足りん」
側近「『港街の勇者様』……『少年』は、魔王だった」
剣士「…… ……」
側近「驚かんのか」
剣士「魔導国の領主……否。母親と父親が」
剣士「そんな推測を立てていた……お前達もその場に居ただろう」
癒し手「……信じられていた、のですか。あの話を」
剣士「何と言えば良いのだろうな。あの場で……信じていた、とは言えんな」
剣士「だが、俺は『少年』では無い。『魔王』でも無い」
剣士「……だが、お前達の話を頭ごなしに否定する気にはなれん」
癒し手「エルフは、嘘は吐けません」
剣士「……?」
癒し手「優れた精霊と、人寄りも易く契約を交わす事のできる代償だとか」
癒し手「……聞いた話です。ですけど」
剣士「嘘を吐いたらどうなる?」
癒し手「その嘘は本当になってしまう。と……お母様は言ってらっしゃったそうです」
剣士「……姫、か。少年の……魔王の妻」
側近「お祖母様や領主……当時の、だな。に問われ、肯定してしまったらしい」
側近「なるべくしてなったのか、後で辻褄を合わせたのかは解らんがな」
716 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 10:00:56.50 ID:wi8dRQ9RP
癒し手「……あの国の始祖だと言う……人達……」
側近「ん?」
癒し手「『始まりの姉弟』の話は、ご存じですか?」
剣士「……雷を加護に持つ姉と弟の話か」
側近「『始まりの姉弟』?」
癒し手「……後で、話しますと……さっき、側近さんに言った奴、です」
側近「ああ……」
癒し手「シスターさんから聞いた話なんです」
癒し手「彼女も、詳しくはご存じ無いと仰って居ましたけど……」
剣士「俺も、母親が独り言の様に熱弁を振るっていたのを聞いただけだ」
剣士「……あの国の生い立ちなど興味も無い。右から左に、等しかったから」
剣士「詳細は知らんが……あの時、お前達が居た時にも母親が言っていたな」
剣士「『魔族の血が入っている』と」
側近「父親や領主は否定するが、と前置いていた、あれか」
側近「俺も一つ気になっていた。あの時……母親は、父親を」
側近「『兄』と呼んでいた、だろう」
癒し手「…… ……」
剣士「あの二人……魔法使いの両親は、実の兄妹だ」
癒し手「本当……なんですね」
剣士「シスターから聞いたのか」
癒し手「はい…… ……魔法使いさん、は……ご存じ無い、のですよね?」
剣士「だと思う、が」
側近「……表情が優れなかったのはそれか?癒し手」
717 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 10:15:28.37 ID:wi8dRQ9RP
癒し手「それだけ……では無いです」ハァ
剣士「…… ……」
癒し手「シスターさんが悪い訳じゃありません……それは解ってます」
癒し手「『金の髪の勇者様達』は戻って来なかった」
癒し手「……魔物は居なくならない。それは……以前も、同じでした」
癒し手「だけど、私達は……二人だけとは言え、戻って来た」
癒し手「直接的な関係……否、参加していなかった、とは言え」
癒し手「始まりの国は戦争に勝ち、魔導国は負けた」
側近「…… ……」
癒し手「だから……世の中は。『世界』は、これからどんどん、平和になっていく」
癒し手「『人間』の住みやすい世界にさらに、『変わっていく』のだろう、と……」
剣士「……シスターから。『人間』からみれば、それは確かに喜ばしい事だろうな」
剣士「黒い髪の勇者が次代の魔王になったのであれば、確かに……戻れない」
剣士「金の髪の勇者が戻れなかったのも同じ理由なのだろう?」
側近「……そうだ。黒い髪の勇者……現魔王のお母様は魔へと変じられ」
側近「金の髪のゆ……魔王、との間に、黒い髪の勇者を授かった」
剣士「……『勇者』の……否。『魔王』の子が、『勇者』……なのか」
剣士「ここに居ない魔法使いも……魔へと変じた、んだな」
癒し手「はい。魔法使いさん……今は、后さん、ですけど」
癒し手「……后さんは、次代の『勇者』を……産まれる、のでしょう」ハァ
剣士「『まだ終わっていない』か」フゥ
剣士「……成る程、な」
側近「俺達も知れない事はまだまだある。もう少し詳しく話してやりたいが」
剣士「否……良い。癒し手を寝かしてやれ」
癒し手「……すみません」
剣士「国王が……何処まで俺に教えてくれるつもりなのかは解らんが」
718 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 10:21:55.84 ID:wi8dRQ9RP
剣士「お前達は……これを、告げるのだろう」
癒し手「はい」
側近「……俺達には知る権利がある。伝える義務も」
剣士「次代に、か」
癒し手「『未来』に、でしょうか」
剣士「……?」
癒し手「何時か訪れるだろう、美しい世界を守る為に」
癒し手「直接的には……『知を受け継ぐ者』に」
剣士「それは……誰だ」
側近「魔王の城に居る……使用人という少女」
剣士「少女……? それも、魔、か」
側近「ああ……俺達の知識も、彼女から教えて貰ったものだ」
側近「使用人も、魔導国の出身だ。お前は盗み聞きしてただろう」
側近「魔導将軍、と言うのもな」
剣士「……あいつは、少年に殺されたのでは無いのか?」
癒し手「名を受け継いだだけ、です。私達の知る魔導将軍は」
癒し手「背に紅い羽を持つ、女性です」
剣士「……頭が痛くなってきた」ハァ
癒し手「え!?」
側近「ややこしくて、だろう」
剣士「……俺も部屋に戻る。詳細は……始まりの国に着いたら、だな」
癒し手「……国王様は聡明な方です。貴方を謀る様な真似は」
癒し手「なさらないはずですよ」
剣士「……だろう、な」
剣士「邪魔をした。ゆっくり休んでくれ……後」
側近「?」
剣士「……ありがとう」
スタスタ、パタン
719 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 10:23:21.76 ID:wi8dRQ9RP
しゅっきーん!
いってらー
「しゅっさーん」に見えて一瞬ビビってもうたw
721 :
名も無き被検体774号+:2013/10/22(火) 20:52:24.64 ID:SqEuX7PX0
ほす
722 :
名も無き被検体774号+:2013/10/22(火) 21:12:56.13 ID:n6YMlbQh0
わたしの勇者スレは消えたので頑張って下さい!!
723 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 22:27:35.10 ID:wi8dRQ9RP
癒し手「…… ……」フゥ
側近「目を閉じて眠れ……大海の大渦にさしかかれば」
側近「もっと揺れるぞ」
癒し手「……はい」
側近「良かった……の、だろうか」
癒し手「え?」
側近「剣士に……話してしまって、だ」
癒し手「解りません。だけど……駄目では無いと思います」
癒し手「国王様から……聞く、でしょう。何れ」
側近「叔父上が……全て話すと思うか?」
癒し手「はい」
側近「……あっさり、だな」
癒し手「勿論、私は……側近さん程、国王様を知りません、けど」
癒し手「……そんな気が、します」
側近「そう感じる、のか?」
癒し手「そういう訳じゃありませんけど…… ……あ!!」ガバッ
側近「! な、何だ、どうした!?」
癒し手「船長さんに連絡するの、すっかり忘れてました!」
側近「…… ……良いだろう、とは、言えん…… ……か」
側近「しかし……」
癒し手「大丈夫です……それに、流石に、ですよ」
癒し手「待たしてしまっているかと思うと……」プチ、プチ
癒し手「側近さん、申し訳ありませんが、荷物から筆記具を……」
側近「あ、ああ……」ゴソゴソ
癒し手「…… ……」カキカキ
側近「……『待つ必要はありません。依頼は完了として下さい』」
側近「随分簡素だな」
癒し手「言い訳を書いても仕方ありませんからね」
724 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 22:34:13.71 ID:wi8dRQ9RP
癒し手「ええと……」カキカキ
側近「?」
癒し手「此方は、魔王様と后様へ、です」
癒し手「詳細な現状報告は後ほどする、として……」
癒し手「取りあえず……ですけど」
側近「…… ……これまた、簡素だな。驚かないか」
癒し手「喜んでくれると信じてますよ」
側近「そりゃ、俺達に子供が出来たというのは……」
癒し手「いえ……始まりの国に向かう事も。剣士さんの事も、です」
癒し手「勿論、鍛冶師の村の事もですけど」
側近「…… ……そう、か?」
癒し手「はい……『私達は、喜ばなければならない』」
側近「…… ……」
癒し手「良し……側近さん、申し訳無いですが……」
側近「ああ。飛ばしてくれば良い、んだな」
癒し手「はい……動くと、怒られそうなので」フフ
側近「良く解ってるじゃないか」
癒し手「じゃあ……」グッ
ピピ……チチチ、ピィ……
側近「……ッ こら、髪を咥えるな……」
癒し手「小鳥たちも、側近さんの事が好きなんですね」クス
側近「……ほら、お前は横になって目を瞑れ」
側近「すぐに、戻る」
スタスタ、ピィ…… ピピピ…… ……パタン
癒し手「……『特異点』か」フゥ。コロン
癒し手(やはり……彼、は。『欠片』?)
癒し手(紫の瞳の魔王……少年さんが、生きていれば)
725 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 22:45:40.65 ID:wi8dRQ9RP
癒し手(剣士さんに……そっくり、だったんだろうな)
癒し手(勇者様……魔王様と、本当によく似てる。否)
癒し手(同じ顔をしている)
癒し手(…… ……もし、魔王様と后様に子供が……)
癒し手(『勇者』様が産まれたら……)
癒し手(二人が、旅を…… 共に、する……な……ら…… ……)スゥ
……
………
…………
王子「ご足労感謝する、少女さん」
少女「……国王からの書簡が届いた、のですね」
国王の息子「…… ……」
少女「…… ……」チラ
国王の息子「彼、は」
王子「……騎士の一人だ。騎士は他にも居るだろう?」
少女「……見張りの騎士……さ、んの姿は勿論見えています」
少女「見た事の無い、顔だったので」
王子「書簡を届けてくれた騎士の中の一人、だ」
王子「……彼は回復を得意とする部隊に所属してる」ハァ
少女「…… ……申し訳、ありません」
王子「君を責めている訳では……否」
少女「私は……代表者です、から。でも……」
王子「言う事を聞かない?」
726 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 22:52:54.41 ID:wi8dRQ9RP
少女「…… ……」
王子「報告は勿論受けている。俺達の目の届く範囲でやらない辺り」
王子「姑息と言うか、罪の意識があるとみるべきか……悩むよ」
少女「…… ……すみません。やめろ、とは……伝えたんです!」
王子「さっきも言ったけど、君だけを責めても仕方無い」
王子「だが、これがこの国……否、この『街』の体質である事は」
王子「認めてくれている、と思って良い、んだね?」
少女「……年長者だ、代表者だと申し出たのは私ですから」
王子「…… ……」
王子「怪我をした住人の回復は、この……彼を含めた騎士達に任せて貰っても良いけど」
王子「……言う事を聞く、聞かないに限らず、君は」
少女「……解って居ます。『出来損ない』達に酷い事をするなと」
少女「伝える……事は、やめません」
王子「……その言葉を、使わない様には出来ないの?」ハァ
少女「で、でも……変わる言葉、等……」
王子「違うだろう。彼らも君達も、この街の住人だろう?」
王子「……命の重さや、存在の価値に差違なんか無いんだ」
少女「…… ……」
王子「まあ……正直に言うと、君が駄目だと……注意してくれていると言う事に」
王子「俺は驚いた、けどね」
少女「『敗戦国』だと。私達は……『敗戦者』だと言ったのは貴方でしょう、騎士団長様」
少女「……従う方が、賢いのだと思うだけです」
王子「……俺達が帰るまで?」
少女「そ……ッ そんな事、ありません!」
王子「この前も言った様に、俺達は君達の『支配者』じゃない」
王子「……まあ。言葉だけじゃ、ね」フゥ
少女「…… ……」
727 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:06:16.49 ID:wi8dRQ9RP
王子「……取りあえず、書簡を読み上げるよ」
王子「質問があれば都度してくれても良いし、後で纏めてでも良い」
王子「読んだ後、君も目を通して……承諾の印を押して貰う」
少女「……拒否権は」
王子「……言うまでも無い、と思うけど」
王子「基本的に、無いと思ってくれて良い」
少女「…… ……」
王子「……一つ目」
王子「『国としての権利は剥奪し、街としての代表者を一人立てる事』」
王子「『尚、魔導の街と言う名は使用を許可しない』」
少女「……王か領主か、の呼び名の違い等」
王子「街長、だろうね。呼び名を言葉にするのなら」
少女「街長……!?」
王子「……不服?」
少女「…… ……ッ」
王子「…… ……」ハァ
王子「当面、君が街長だ、少女」
王子「仮の措置だけどね……大人が居ないというのなら、仕方無い」
少女「…… ……」
王子「手助けは勿論する。解らない事や困った事があれば、何でも言ってくれると良い」
少女「どうやって……です」
王子「二つ目」
王子「『当面の間、始まりの国の騎士を警備兵として配置する』」
王子「さっきの様な問題なんかも、まだまだ起こるだろう」
王子「治安の保全や、まあ……魔物の事もあるし」
少女「見張りも兼ねている訳ですね?」
王子「否定はしない」
少女「…… ……」
王子「三つ目」
王子「『出来損ない、等の蔑称の使用の禁止。伴い、身分制度の廃止を要求する』」
王子「……ま。これも当然だと解ってくれるよね?」
728 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:16:39.38 ID:wi8dRQ9RP
少女「はいそうですかと、行かないと言ったのは貴方ですよ」
王子「だからこその『見張り』だろう?」
王子「……期間を指定しなかったのも、理解してくれると助かるけど」
少女「……ッ 拒否権が無いのは、仕方無いとは言え……ッ」
少女「『支配』と、何が違うと……!」
王子「『指導』だ」
王子「……野放しに出来ると思うのか。君は、同じ事を繰り返さないと」
王子「約束できるのか?」
少女「で、でも……ッ」
王子「さっきも言った。命の重さに差違は無い!」
少女「……ッ」
王子「たかだか血等で、それだけで!」
王子「蔑んで良い命だと、君達に決めつける権利が、何処にあるんだ!?」
国王の息子「お……騎士団長様」
王子「…… ……すまん」
少女「……ッ 終わり、ですか!?」
王子「…… ……四つ目」
王子「街の名前は、君達で決めれば良い。勿論……『魔導の街』以外で、だけど」
少女「え……?」
王子「呼び名が無いのは不便だ。新しいスタートだと、認識する必要がある」
王子「君達も……俺達も、ね」
少女「き、急に言われたって……」
王子「代表者は君だ。君が決めても良いと思うよ」
少女「…… ……」
王子「まあ、勿論今すぐに決めろ、とは言わない」
王子「考えて置いてくれると良い……五つ目。最後だ」
王子「鍛冶師の村への、直通便の廃止」
少女「…… ……」
王子「この街の港に着岸する船は当面、港街経由の」
王子「始まりの国の騎士の乗る、船のみとする」
729 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:23:47.65 ID:wi8dRQ9RP
少女「…… ……」
王子(急に喋らなくなったな)ハァ
少女「……見せて下さい」
王子「どうぞ……改めて見直したら、サインをお願いするよ」
少女「…… ……」
王子「君は『代表者』だ。責任がある」
少女「…… ……」カキカキ
王子「……結構。街人達への通達は、俺達がやった方が良いかい?」
少女「結構です、と言って、承知して下さるのですか」
王子「見張りはつけるけどね」
国王の息子「……その役目、僕にやらせていただけませんか、騎士団長様」
王子「……え?」
国王の息子「勿論、騎士……様、達と……一緒に行きます」
王子「……まあ、良いだろう。万一暴動が起きた時に」
王子「お前じゃ手に余るだろうからね。同行する、と言うのなら、許可する」
国王の息子「ありがとうございます」
少女「……あの」
王子「ん?」
少女「街の名前、本当に私が考えて良いのですか」
王子「……君は『街長』だろう」
少女「…… ……暫く、時間を下さい」
王子「ああ。構わない……後」
王子「その書簡に書いては居ないが、少し落ち着いたら」
王子「我が国を訪ねて欲しい」
少女「私が……ですか!?」
王子「ああ。『街長』としてね」
少女「……それは、貴方の判断ですか」
王子「言い出したのは国王様だ。俺宛の書簡にその旨を伝えてくれと書いてあった」
王子「……まあ、俺も反対はしない。勿論、お膳立てはさせて貰うよ」
少女「監視……の間違いでしょう」
王子「…… ……」
少女「…… ……」
730 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:31:11.15 ID:wi8dRQ9RP
王子「……質問が無ければ……」
少女「騎士団長、様」
王子「……何だい」
少女「一つだけ、質問します」
王子「…… ……」
少女「以前、お話しした時……はいそうですかと、簡単には行かない」
少女「……双方、覚悟は必要だ、と私に言いましたね」
王子「ああ…… ……?」
少女「その双方、と言うのは、私達……王さ……領主様達の血筋の者と」
少女「……『その他』の者、と考えて良いんですね?」
王子「……そのつもりで、言った」
少女「何故?」
王子「え?」
少女「私達は……不便になるでしょう。簡単に受け入れられません」
少女「ずっと蔑んできた人達が、私に……私達に」
少女「普通に話しかけ、一緒に食事をする等……ッ」
国王の息子「…… ……」
少女「だけど……彼らの覚悟とは、何です」
少女「……怨みや、憎悪を込めて、今度は、私達に……!!」
王子「その可能性も鑑みての『見張り』だ。『指導』だよ」
王子「……支配されるばかりで生きてきた人達に」
王子「『今日から君は自由だよ』と言って」
王子「……否、勿論、喜ぶだろう。安堵するだろう…… ……だけど」
王子「それこそ、はいそうですかと、受け入れられると思うか?」
少女「え……?」
王子「君の危惧ももっともだ。何をしても良いんだと言う思いが」
王子「歪めば、君達へ危害を加えようと企む人が居ないとは限らない」
国王の息子「……それ以上に、戸惑いが大きいでしょうね」
王子「…… ……」
国王の息子「『ずっと蔑まれて生きてきたのに。命令が無ければ何も出来ない』」
国王の息子「『何をし、何を思えば良いのか解らない』と」
国王の息子「騎士団長様は、それを危惧していらっしゃるのでは?」
少女「そ……ん、な……」
731 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:40:25.71 ID:wi8dRQ9RP
国王の息子「貴方には、想像も出来ないでしょうけれど」
国王の息子「不思議では無いと思いますよ?」
少女「…… ……」
国王の息子「差違の無い筈の『命』を、そうして歪め」
国王の息子「圧迫し、隷属を強いてきたのは紛れも無い貴女達だ」
国王の息子「代表者だと言うのならば、その咎も責任も」
国王の息子「……全て、受け入れる義務があるんですよ。少女さん」
国王の息子「些細な幸せに笑い、悲しみや苦しみに憂う権利まで奪ったのは……」
国王の息子「誰でも無い、血統等と言う下らない言葉に胡座をかいてきた、貴女達なのですよ!」
王子「……それぐらいにしておきなさい」ハァ
国王の息子「……ッ …… ……すみません」
王子「途中で声を荒げた俺の言う台詞じゃないけどな」
少女「…… ……」ポロポロポロ
王子「……その、涙の意味を考えて欲しい」
少女「……?」
王子「怒鳴られ、詰られ辛いかい?」
少女「!」
王子「……さしたる理由も無く。優れた加護が無いと言うだけで」
王子「ずっと、そうされてきた人達に対する涙……で、無い事は解るけどね」ハァ
少女「そ……ッ」
王子「否定出来るの?」
少女「…… ……」
王子「……誰もが、そんな思いをしない『世界』になれば良いのにと思うけど」
王子「結論から言えば、無理だ。国王様もそれは解って居る筈だ」
少女「え……」
国王の息子「お …… ……騎士団長様?」
王子「悲しいけど、生きていく以上、弱肉強食は否めない」
王子「……だから、せめて」
王子「誰か。何かを……思いやる心を、気持ちを持って欲しいと思うよ」
王子「……今すぐ、理解してくれなくても良いから。な?」
少女「…… ……失礼、します」クルッ
スタスタ、バタン!
732 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/22(火) 23:43:37.72 ID:wi8dRQ9RP
限界!寝る!
733 :
名も無き被検体774号+:2013/10/22(火) 23:44:53.49 ID:NOzyLlkE0
つ旦
お通
>>725 ここの
> 国王の息子「彼、は」
は少女のセリフなのかな?
736 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 03:10:04.57 ID:/+rX9LGrP
少女って見ると未だに使用人のほうを思い起こして混乱する
737 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/23(水) 08:33:09.18 ID:6E8kZIozP
おはようー!
>>725の
国王の息子「彼、は」
少女「彼、は」
に、訂正orz
>>735 ありがとう、ごめん(・△・;)
738 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 09:26:48.10 ID:7LfFo34S0
おはようございます
国王・王子・側近・后・国王の息子・少女・使用人・シスター・母親
全部血が繋がってるね
次の勇者も癒し手が産む子も繋がっちゃうな
なんかスクイズ思い出した
>>739 一瞬なんで国王達がと思ったがそうか、盗賊もあの血筋だったな…
つまり、魔王の血を混ぜることで先祖返りするわけか…
いや、勇者だったな
741 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 12:38:22.11 ID:1YVXVUUwi
盗賊ってあの血筋だったっけ?
あの街に住んでた一般人かと思ってた
>>740 自分もなんでやねんって思ったけど、
そういやそうだったw
設定だいぶ忘れてきてるなぁ…
743 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 13:00:13.45 ID:F2qsODZT0
盗賊は魔道国のレジスタンス側(出来損ない)でなかったか?
744 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 13:17:59.22 ID:ciAHAOOVP
そうそう
盗賊は魔道の国で知人(男のエルフ)に助けられて魔道の国から脱出できた
その知人が何人か魔道の国から劣等種と蔑まれていた人々を助けて、できた街が確か「港町」だったきがする
745 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 15:15:54.79 ID:KIZa7YYIi
魔導の街の劣等種って、みんな血族なん?
746 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 15:57:06.68 ID:ciAHAOOVP
領主の家計の血筋って、后とシスターと他に誰がいたっけ?
使用人と娼婦もそうだっけ?
劣等種=血族
750 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 20:00:07.79 ID:F2qsODZT0
>>748 使用人と娼婦は娼館に勤めてた
普通の人
751 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 20:02:46.20 ID:F2qsODZT0
>>747 劣等種=加護のない人(少ないひと)だったのでは?
魔導の国の人達は、もとをたどればみんな領主の血族なんだろうけど
娼婦や盗賊達は劣等種ってだけで、直系ではないのでは?
753 :
名も無き被検体774号+:2013/10/23(水) 22:04:31.09 ID:/+rX9LGrP
言及はされてないと思ったな
あくまで「現在の魔道の国」のやつらは「紫魔の時代の領主」の血筋から分かれた人たちだって思ってた
だから娼婦とか使用人は違うんじゃないの?
まあ、それより過去の領主から同じ事を続けてきた(優れた血だけを残す為に優れた加護の人間だけで交配してきた)なら血筋は同じだと思うが…
それでも血縁っていうには遠いよな
ほ
娼婦が少年に説明してたと記憶してるが
あの血統はある歳になると能力を試され優れた加護がないと「劣等種」と呼ばれ蔑まれ、女の子なら娼館などに出されるんじゃなかったか?
まぁもうすぐスコーンが答えてくれるやろ
756 :
名も無き被検体774号+:2013/10/24(木) 08:48:41.13 ID:QXTuIbbV0
スコーンも覚えてないに一票
757 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/24(木) 09:14:07.50 ID:RDY18F+yP
おはよう!
お。おおおおおおお、覚えてるよ!?
>>751が正解ですなー
血筋に限った呼び名じゃ無いです
758 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/24(木) 09:41:18.87 ID:RDY18F+yP
国王の息子「……申し訳ありません、伯父上」ハァ
王子「大丈夫……お前も、止めてくれてありがとうな」
国王の息子「時間……掛かりますよね」
王子「当たり前だ。物理的にも、精神的にも……な」
王子「時間をかけて、少しずつ……していかなければならないのさ。逆に」
王子「そうで無いと、見失うよ」
国王の息子「見失う?」
王子「うん。大事な事を、な……外見上だけを突貫で整えたって」
王子「それは、本物じゃないだろう? ただの……張りぼてさ」
国王の息子「……はい。それにしても、彼女……少女さん、ですか」
王子「うん……やはり、まだ幼い。逃げた大人をいぶり出すのはなぁ」
王子「……意味も無いだろうし、不可能だろう」
国王の息子「…… ……」
王子「彼女たちが、新しい街人として、この街を…… ……」
国王の息子「可愛かった、ですよね……」ポッ
王子「…… ……は?」
……
………
…………
カチャ、バタン
魔王「ああ、良い匂いだな……俺にもくれる?使用人」
使用人「はい、すぐにご用意致します」
使用人「おびき出されて……来ましたね」クス
后「頑張った甲斐、あったわね」クスクス
魔王「? 何の話だ?」
后「こっちの話……それより」
后「あんまり夢中になると疲れるわよ……あら……その鳥……」
魔王「書庫の扉に激突してきた……ほら、手紙が着いてたぞ」スッ
后「……ふふ、怪我は……大丈夫みたいね」
ピィッ
魔王「癒し手の使いらしい、と言えばそれまでなんだがな」
魔王「……で、何だって?」
759 :
忍法帖【Lv=13,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/24(木) 11:37:03.56 ID:NidMjpk50
h
760 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/24(木) 14:56:29.38 ID:RDY18F+yP
加護の無い人、じゃないや
優れた加護の無い人=劣等種、出来損ない、だな
そうなのか
記憶違いだったか
スコーン、補足アリマトー(*´∀`)ノシ
762 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/24(木) 17:14:31.16 ID:RDY18F+yP
書く時間が欲しいよ、ほんと( ゚д゚)
また暫し休みなしですまん( ゚д゚)
ではまた!
763 :
名も無き被検体774号+:2013/10/24(木) 21:51:36.00 ID:dDkgSRA60
無理しないで頼む
764 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/25(金) 00:41:26.35 ID:9AXOO7JSP
使用人「魔王様、どうぞ」
魔王「ああ、ありがとう」
后「使用人、この蒼い小鳥さんにもお水あげて頂戴?」
使用人「はい……おいで」
ピピピ……
后「……癒し手、赤ちゃんが出来たんですって」
魔王「まじで!? ……そう、か……」
魔王「……先、越されたな」
后「…… ……」
魔王「……后?」
后「今から、始まりの国へ向かうそうよ」
魔王「!?」
后「…… ……」スッ
魔王「…… ……」カサ……
使用人「始まりの国、へ……? ああ、痛い痛い……引っ張らないで」
ピィ!
魔王「……鍛冶師の村の魔寄せの石……インキュバスの魔石、か」
魔王「それを破壊する為の任に着いていた剣士と思いがけず合流」
魔王「船で共に、始まりの国へ向かいます……と、それだけか」
使用人「…… ……剣士、さん。ですか」
后「詳しい話は、戻ってから……って」
后「思って良い、んでしょう……ね? 魔王」
魔王「……と、思いたい、がな」
765 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/25(金) 00:45:46.57 ID:9AXOO7JSP
使用人「…… ……剣士さんは、あの時」
使用人「貴方達が、此処へと……前后様の魔力で誘われた時」
使用人「魔導国に、いらっしゃった……の、ですよね?」
后「……ええ」
使用人「では、何故……」
魔王「…… ……魔導国に、何かあった……ん、だろうな」
后「…… ……」
使用人「……すみません、后様」
后「貴女が謝る事じゃ無いわ、使用人」
后「……答えは、きっと戻って来る」
魔王「…… ……」
766 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/25(金) 00:49:00.69 ID:9AXOO7JSP
ごめん、限界!
おはようございまスコーン
たまにはお休みでもいいのよスコーン
ニア 命大事に
ガンガン行こうぜ
逃げる(やめる)
充電もまた必要なものさ
保守はみんながしてくれる
770 :
名も無き被検体774号+:2013/10/25(金) 15:49:29.68 ID:tC4I1NW60
771 :
名も無き被検体774号+:2013/10/25(金) 20:19:03.04 ID:N0M/ftIY0
ほー
しゅー
BBA(´・ω・)っやくそう
おはよ〜
775 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/26(土) 10:11:06.07 ID:7OPjLLWmP
ピィ……チチチ
使用人「あ……こら!」
后「ふふ……良いじゃ無いの」
魔王「具現化した小鳥がクッキー突っつくって ……何と言うか」
魔王「……流石癒し手の、だな。俺も貰って良い?」
使用人「勿論、魔王様の分もご用意してありますよ」
后「頑張って作ったんだから……書庫に篭もるのも良いけど」
后「少しぐらい、休憩なさい」
魔王「ああ……しかし、凄い量だよな」
使用人「魔導書から童話まで……魔王城にあって良いのかと」
使用人「思う物までありますからね」
魔王「……魔導書の類は、俺には良く解らないからみてないけど」
后「アンタも一応魔法使えるでしょうが」
魔王「専門じゃねぇよ。それに……『魔』になっちまえば、必要ないさ」
后「……願えば、叶う」
魔王「そう言う事」
后「便利なもんよね……昔、あれほど必死に勉強したのに」
魔王「……魔導国にも、大きな図書館があるんだよな」
后「癒し手も……行ってみたかった、んでしょうね」
后「……戦争、終わったのかしらね」
魔王「后……」
后「……どうして魔王がそんな顔するのよ」
魔王「いや……」
后「剣士が、国王様に頼まれて……って、事は」
后「そういう事、なんじゃないかしら」
使用人「でも……まさか、あの後、直接……と考えても」
使用人「少し早すぎませんか?」
魔王「確かにな。国同士、力をぶつけ合って」
魔王「いきなり終結した、とは……考えにくい」
776 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/26(土) 10:26:32.96 ID:7OPjLLWmP
后「……憎んでいないと言えば嘘になる」
使用人「后様?」
后「だけど……牢の中でも良いから……生きていては、欲しいわ」
魔王「……まさか、国王様に限って……皆殺し、なんて命令は出してないだろ」
后「そうね……でも」
后「『戦争』ですもの」
使用人「…… ……ッ」
魔王「使用人?」
使用人「あ……すみません」
使用人「……厭な物、です。戦争、なんて……」
魔王「……紫の魔王の時代に、あったんだよな」
使用人「お若い時と…… ……姫様が、この城に来られた頃に」
后「紫の魔王に反旗を翻そうとした……えっと。狼将軍、だったかしら」
使用人「はい……鴉様と、ジジィ様……初代の魔導将軍様、が」
后「……亡くなられた、のよね」
使用人「…… ……」
魔王「……何の為に『力』なんてあるんだろうな」
魔王「啀み合って、傷付け合う為にある筈じゃないのにな」
使用人「…… ……」
魔王「書庫で……まだちょっとだけどさ。本読んでて思うんだよ」
魔王「必ずと言って良い程出て来るんだ。魔、だとか。魔法、だとか」
魔王「……必要、なのかな。そういうの」
使用人「魔王様?」
魔王「紫の魔王が言ってた、んだろう?」
魔王「……『魔王』は『勇者』に倒される為に、存在するのかもしれないって」
使用人「…… ……はい」
后「魔法なんて、無ければ……」
魔王「…… ……」
后「そんな物が、産まれなかった『世界』なら」
后「こんな……こんな事を、繰り返さなくて良かった、のかしら」
777 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/26(土) 10:29:45.70 ID:7OPjLLWmP
使用人「后様……」
后「魔導国で暮らしてる時は、とにかく難しい魔導書ばかり、読まされた」
后「……原理は、一緒なのよね、解ってさえしまえば」
魔王「ん?」
后「願えば叶う、よ……貴方のお母様が仰った通り」
后「『魔法なんて使い様』よ」
魔王「……まあ、だからって一朝一夕で身につくものでもないんだろ?」
后「そりゃそうだけど……」
使用人「基礎は大事ですよ。魔法に限った事じゃ……ありませんけど」
778 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/26(土) 10:31:11.36 ID:7OPjLLWmP
しゅっきーん!
779 :
名も無き被検体774号+:2013/10/26(土) 10:55:22.86 ID:DpKdXVgZ0
毎回、シャキーン!に見える
いてらー
このスレも八割消費したか
どこまで続くかわからんが終わって欲しくない気持ちと綺麗に完結して欲しい気持ちがあるわ〜
スコーンガンガレ
ほ!
782 :
名も無き被検体774号+:2013/10/27(日) 00:35:00.33 ID:hJSE+NW50
ほ
783 :
忍法帖【Lv=12,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/27(日) 01:27:13.65 ID:JKK5iXLn0
ほ
ほ
ゆっくり休んでください
保守
安らかに眠ってください
ホシュ
ほ
788 :
名も無き被検体774号+:2013/10/27(日) 16:05:01.34 ID:yiS7FzVJ0
☆
ほ
☆
ほ
おやすみなさい
おはようさぎ
794 :
名も無き被検体774号+:2013/10/28(月) 12:01:43.77 ID:tPeGnAN4i
★
BBA。
待っとるぞぇ。
796 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/28(月) 20:04:47.87 ID:GpTu/3rXP
おーわーたー!
明日やっと休み!
とりあえず帰る!
おつかれ!
つ スコーン
BBAお疲れ様!!
おはよう!
多分怒涛の勢いで更新するだろうがゆっくりでいいよスコーン
体大事にね(*´∀`)ノシ
800 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 10:23:51.69 ID:hfUPT27fP
使用人「きっと……その、原理を理解されていたのでしょうね」
后「紫の魔王も、貴方のお母様も、ね」
魔王「……母さんは、俺を産んで、回復魔法が使えなくなった、んだよな?」
使用人「はい……以前少しお話ししましたね」
魔王「俺達がここに来て……否」
魔王「紫の魔王を倒してすぐ……だな」
使用人「貴方も、もう使えないはずです。魔王様」
魔王「……ああ。前にこっそり試したけど、駄目だったよ」
后「何故なの? 紫の魔王の側近は……魔に変じたけど使えたんでしょう」
使用人「側近様は……男性です。『産んで』ませんから」
魔王「母さんも、魔に変じただけの時点では……使えた、んだよな」
后「……あ、そうか。そういえば、前にも聞いたわね」
使用人「差違はそこだと思われる、に過ぎませんけどね」
后「『勇者』と言う『人間』を産んで……完全な魔になった、か」
使用人「上手く言葉には出来ませんけど。人、の部分を『勇者』に奪われた」
使用人「そして、『魔』だけが残った……と、考えれば良いのか……」
魔王「……だけど、そうで無ければ、姫様や……紫の魔王の母親の様に……」
使用人「はい。強大な力を持つ者を産む代償として」
后「命を無くしてたかもしれない……か」
魔王「……だとすれば。后が『勇者』を」
魔王「俺の……『魔王』の子供を産んでも、お前は……」
后「無事だと……思いたい、わよね」
后「……楽観視はすべきで無いと思うけど」
801 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:03:28.27 ID:hfUPT27fP
魔王「……で、お前も規格外になる訳ね」
后「アンタにだけは言われたくないわね!」
魔王「俺だけじゃ無いんだよな……」
后「え?」
魔王「紫の魔王の側近。使用人も、か」
使用人「……私、ですか?」
魔王「后達が魔に……ああ、后が、ほら。暴走した時だ」
魔王「使用人は、あっさりと防護壁?だっけ……風の……あの魔法さ」
使用人「ああ……はい」
魔王「使ったじゃ無いか。俺も見よう見まねって言うか……夢中で」
魔王「結界、とやら、張ったらしいけど」
后「私はその時の事はあんまり覚えて無いけど……」
魔王「後から癒し手に聞いたんだろう?」
后「ええ。魔王の黒い?様な魔気で息が出来なくなりそうだったけど」
后「使用人の、緑の風、と言うか……壁?の内側に居れば楽だった、って」
使用人「……使い様、ですね。紫の魔王様が眠りにつかれて」
使用人「紫の魔王の側近様も、金の髪の勇者様を連れて始まりの街に行かれて……」
使用人「もし何かあった時に、紫の魔王様をお守りできるのは、私しか居ませんから」
后「……どっちかって言えば、魔王から守る、よね」
魔王「それこそ無茶……じゃないか?」
魔王「我ながら……だけど。多分、この力……相当でかい、なんて」
魔王「そんな言葉でも足りないぞ」
使用人「仰るとおりです。だから……そうですね」
使用人「そうならない様に、魔王様をお守りする……でしょうか」
后「極上の布に緑の防護の魔法、って奴、ね」
使用人「はい。癒し手様にも……心地よいと言って頂きましたし」
使用人「……意味があった様で、良かったです」
魔王「優秀なんだよな……使用人も」ハァ
后「何でため息つくのよ……それに、『も』て?」
魔王「お前だよ、后……否、お前だけでも無いけど」
802 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:13:56.81 ID:hfUPT27fP
后「?」
魔王「あー……魔導国、のさ。出身の人……は、かな」
后「…… ……」
使用人「基礎、の話ですか」
魔王「うん。さっき使用人が言ってただろ?」
魔王「基礎は大事、て奴さ」
使用人「……はい」
魔王「産まれてすぐに、劣等種だ出来損ないだって、扱われる訳じゃ無いんだろう?」
使用人「余程遅くても……8歳くらいまでには……だったと思います」
使用人「后様がされた様に……テストをされるケースが殆ど……でしょうね」
后「……そう、でしょうね」
魔王「……御免」
后「謝る事なんて無いわ……もし、こうならなければ」
后「戦争が無かったり、終わってなかったりして……」
后「あのまま、家が続いて居たら。私が子供の時に、優れた加護が無いと」
后「両親に解って居たら。この子が駄目なら次、って」
后「……あの人達の事よ。すぐに……」
使用人「……で、しょうね。家がそうでした」
魔王「え?」
使用人「私に加護が無いと知ると、すぐにあの娼館に売られ」
使用人「……一年後、位でしょうか。すぐに妹が出来たと聞きました」
魔王「…… ……」
后「態々……教えてくれたの?」
使用人「男の方の魔導将軍が、教えてくれましたよ」
使用人「まあ……大体が酔っ払って来られてたので。口が滑ったのかも」
使用人「知れません、けど」
魔王「……そう、か」フゥ
803 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:19:37.46 ID:hfUPT27fP
使用人「どちらにせよ、もう生きては居ません」
使用人「……もう、自分がどれぐらい生きているのか、忘れました」
后「使用人……」
后「……もう、良いのよ。もう……あんな歴史は繰り返されない」
后「魔導国はもう……無いわ」
魔王「……詳細は、側近と癒し手が帰ってくるのを待てば良い、んだ」
魔王「そうすれば…… ……ッ!?」バッ
后「魔王?」
使用人「どうされました?」
魔王「…… ……ッ」
魔王(何だ、この…… ……気配……ッ!?)
使用人「魔王様……?」
魔王「……下がれ、何か…… ……来る……!!」
后「!?」
使用人「え……!?」
シュゥゥン……!
魔王「! ……お、前…… ……!?」
后「どこから……!?」
使用人(まさか! 転移……してきた!?)
剣士「…… ……黒い髪の勇者」
剣士「否、魔王……か…… ……成功した、か」フゥ
使用人「貴方が……剣士、さん。ですか……?」
剣士「ああ。使用人……と、魔法使い。否……后、だな」
后「!」
804 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:32:56.67 ID:hfUPT27fP
魔王「……二人とも、下がれ」スッ
魔王「お前…… ……」
魔王(何故知ってる、は愚問か。側近と癒し手が話した?しかし……)
魔王「……始まりの国に向かっている、んじゃ無かったか」
剣士「……側近と癒し手から伝言だ」
后「え……?」
剣士「魔王と后に子供が出来たら」
剣士「使用人の小鳥で知らせて欲しい、と」
魔王「……お前、何処まで知ってる。何を知ってる」
剣士「『世界の裏側を、少しだけ』」
使用人「…… ……」
剣士「こうした方が早いと思ったからだ。それに……力を試してもみたかった」
后「……転移、ね」
剣士「『魔法なんて使い様』……お前の母の言葉だろう、魔王?」
魔王「!」
剣士「……国王から、ある程度の話は聞いた。側近と癒し手からの補足も受けた」
魔王「お前は……『魔王を倒す』んだろう?」
剣士「俺が倒すべき魔王はお前なんだろうな」
后「ちょ、ちょっと……!」
剣士「……今、どうこうしよう等と言う気は無い」
剣士「それに、魔王は勇者にしか倒せないのだろう」
使用人「……次代の勇者様と、共に旅立つ……と、言いたいのですか?」
剣士「お前には選ばれなかったからな」
魔王「…… ……」
剣士「全て話す。そうしてくれと……遺言だ」
魔王「……遺言?」
剣士「側近と癒し手の願いでもある」
后「遺言って…… ……ッ まさか……!?」
剣士「……元々身体が弱かったのだろう?」
使用人「……ま、さか」
魔王「……国王、さ……ま……!?」
剣士「…… ……」
805 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:40:49.87 ID:hfUPT27fP
使用人「……それは、戦争の……」
剣士「疲労は溜まっていたのだろが…… ……死因は病だそうだ」
剣士「……始まりの国には、騎士団長がいる。それに、新しい王も」
魔王「新しい王!? まさか……!!」
剣士「……側近は暫く離れられないだろう」
剣士「癒し手も、あの国で子を産むと言っていた」
后「あり得ないわ! 側近は……!」
剣士「落ち着け……国王には子が居た」
剣士「……新しい王には、彼が立った」
剣士「『王』を絶やしてはいけないんだろう?」
使用人「……全て、知っていると思って良いのですね?」
剣士「大凡は……解らない事は、お前に聞けと言われた」
剣士「お前は『知を受け継ぐ者』なのだろう……使用人」
使用人「……それでも尚、この道を歩むおつもりなのですね」
剣士「……ああ。俺は、魔王を倒さなくてはならない」
魔王「お前…… ……生きているのか?」
后「え……?」
剣士「……さぁな。俺は何も覚えて居ない」
后「と、ともかく! 順番に説明して頂戴!」
后「魔導国はどうなったの!? 側近と癒し手は、なんで……!」
后「……ッ 貴方は、何者なの、剣士!?」
使用人「后様……」
剣士「……解って居る。全て話す」
剣士「受け入れて……貰えると思って良い、んだな?」
806 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:49:28.95 ID:hfUPT27fP
魔王「……敵意は感じないからな。それに……」ハァ
魔王「人の時には……『勇者』の時には解らなかった」
魔王「……お前は確かに人間じゃ無い。それは解る」
魔王「だが……お前は、何だ?」
剣士「…… ……癒し手にも同じような事を言われたな」
剣士「人で無い、だがその先が解らない、と」
使用人「……お座り下さい、剣士様」
后「ちょ、ちょっと使用人!?」
使用人「招かれざる客で無いのならば……歓迎致します」
使用人「私には、知り、受け継いで行く義務があります」
后「…… ……」
使用人「同席、お許し下さいますか、魔王様」
魔王「……当然だ」
使用人「ありがとうございます」
剣士「…… ……」
后「……本当に、他意は無いのでしょうね」
剣士「さっきも言っただろう。俺は……魔王を倒さなければならないんだ」
剣士「……何処から、話す?」
魔王「最初から最後まで……と言いたいが」
魔王「取りあえず……お前、なんで側近達とあったんだ?」
魔王「お前は……鍛冶師の村に居たんだろう」
剣士「夢を見たんだ」
后「……夢?」
剣士「ああ。石を破壊し、魔物を追う内に意識を失った」
剣士「……その時に、北の塔、だったか……に、居る二人が見えた」
使用人「見えた……?」
807 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 11:51:56.64 ID:hfUPT27fP
おひるごはーん
とうとうこの2人が出会った!
wktkが止まらない!!
809 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:03:56.52 ID:hfUPT27fP
剣士「ああ……夢でも見る様に」
魔王「…… ……」
剣士「その会話で知った。戦士が……魔に変じた事や」
剣士「あの塔の中に、姫と言う……エルフが眠っていたのだと言う事」
使用人「ですが……あの場所から鍛冶師の村は離れて居ます。どうして……」
剣士「それは俺にも解らん。あいつらが扉を開いた所で光が溢れ」
使用人「光……?」
剣士「そうだ。後で確かめたが……彼らも解らないと言っていた」
魔王「扉を開いたら外に出た、って……言ってなかったか?」
使用人「紫の魔王の側近様は、確かにその様に仰ってました」
剣士「側近達もそうだろうと思っていたのだろうな」
剣士「……気がつけば、傍にあの二人が立っていた。場所は……」
后「貴方が鍛冶師の村を出て……魔物を追っていた場所、ね」
剣士「ああ」
使用人「……何故?」
剣士「解らん、と言っただろう」
魔王「……癒し手は、何と?」
剣士「その件に関してはそこまでだ。その後、鍛冶師の村に戻り」
剣士「俺達は見張りの騎士達と別れ、始まりの国に戻った」
剣士「……その辺は、戻った時に聞いて欲しい」
后「……兄君や、魔導師君は元気だった?」
剣士「ああ……魔導師は別れる時に、癒し手の魔石を貰って喜んでいた」
剣士「兄は側近に件を教えて貰っていたな」
后「そう……」
剣士「……魔物が、家を襲ったんだ」
魔王「え!?」
剣士「言い忘れていたが、魔物の力は酷く弱っていた」
剣士「だが……強い力を持つとは言え、魔導師はまだ子供だ」
810 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:19:37.10 ID:hfUPT27fP
剣士「……兄を守ろうと。自分を守ろうと……魔法を使い、結果」
剣士「兄を傷付けてしまった」
后「!」
剣士「……『魔法使いのお姉ちゃんと約束したのに』と泣いていた」
后「……覚えてて、くれたのね」
魔王「兄は……大丈夫だったのか?」
剣士「癒し手が居たからな」
后「癒し手に……魔石の作り方を教えたのは彼らなのね」
剣士「だろうな。俺は見ては居ないが……だが」
剣士「あれが無いと、辛いだろうと言っていた」
后「辛い?」
使用人「……此処に、戻られた時、ですね」
魔王「……紫の魔王も、姫様の為に魔除けの石を用意したんだったか」
使用人「ええ……船長さんに頼んで」
剣士「……少し、良いか」
魔王「ん?」
剣士「その、船長……の、事だ」
使用人「え?」
剣士「……癒し手達にもある程度の話は聞いた……が」
剣士「海賊船の……長。船長と言う名の女……」
魔王「……知ってる、のか?」
剣士「…… ……俺は、気がついたら最果ての街……この土地、だろうな」
剣士「に、一人で居たんだ」
魔王「……?」
剣士「紫の色の雲に、空。折れた十字架…… ……訳も分からず」
剣士「ぼうっとしていたら、一人の女に声をかけられた」
剣士「…… ……それが船長だ」
后「……それ、何時の話?」
剣士「もう随分と前だ……お前は、産まれていたのか否か」
剣士「……ああ。丁度……金の髪の勇者が魔王を倒した頃、か?」
使用人「……確か、ですか?」
811 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:34:03.02 ID:hfUPT27fP
剣士「否、自信は無い……もう少し、前だったかも知れない」
剣士「……船長も随分と若かったしな」
剣士「唖然とする俺に、女は……船長は、ここは最果ての地だと教えてくれた」
剣士「……森の奥には、魔物の住む城があるのだと」
使用人「…… ……」
剣士「馬車が走っていくのも見た……乗って居たのはお前、だろう、使用人」
使用人「……間違い無いでしょうね」
剣士「名も、素性も解らない俺を船に乗せてくれた」
剣士「……俺に『剣士』と言う名を与えてくれ」
剣士「『受け入れて』くれた」
后「!」
魔王「……船長、だったのか」
剣士「?」
使用人「……『受け入れる者』……彼女、が」
剣士「…… ……何の話、だ?」
使用人「聞いていない、のですね……そこまでは」
后「…… ……揃った、のね。本当に。今度こそ」
魔王「でも……『拾う者』は?」
魔王「癒し手の神父様だとすれば……」
后「あ、そっか……でも……」
剣士「……聞かせて、貰えるのだろうか」
使用人「はい。ですが……先に、貴方の聞いたお話を」
使用人「魔王様、后様も。先に……剣士様のお話を聞きましょう」
使用人「……結論は、それからでも遅くありませんよ」
剣士「……俺達は鍛冶師の村を後にして、始まりの国に戻った」
剣士「騎士団長も、既に書の街から戻っていたんだ」
后「書の……え?」
剣士「……旧魔導国だ」
剣士「世界中の貴重な書を集め、保存する場所にするそうだ」
剣士「……大きな図書館があるからな」
后「『書の街』……」
812 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:41:04.63 ID:hfUPT27fP
剣士「そこも追々話す……国王と騎士団長。それから」
剣士「側近、癒し手……それから、俺」
剣士「……随分長い間、話していたんだろうな」
剣士「…… ……国王が、倒れるまで」
使用人「…… ……」
魔王「……国王は、そのまま……?」
剣士「ああ……俺達が戻る前に」
剣士「王の座は、国王の息子に譲ったと、そこから話は始まったんだ」
……
………
…………
国王の息子「お父様、どうして……! 僕には、まだ……!!」
国王「……良く、お聞きなさい。そして……これだけは守って下さい」
国王「『世界』から『王』を絶やしてはならないのです」
国王の息子「で、でも! お父様は、まだ!!」
国王「魔導国から戻ったばかりのお前に、こんな事を話すのは酷かも知れません」
国王「ですが、今だからこそ……です」
国王「今、この時をもって、私は『王』をお前に譲ります」
国王「……私は、ただの『弟王子』であり」
国王「お前が新しい『王』です」
王「お父様!」
弟王子「……今は、詳しい話をしている時間はありません」
813 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:47:49.94 ID:hfUPT27fP
王子「大丈夫だ、王……否、王様。俺達でしっかり補助をする」
王子「それに……弟王子だって、まだまだお前の後ろ盾になってくれる」
王子「……なぁ?」
弟王子「ええ、兄さん」ゴホッ
王「! お父様、顔色が……!」
弟王子「大丈夫です…… ……もうすぐ、騎士達と剣士が戻ってくる」
弟王子「私と兄さんは、彼らと話す事がありますし……」
弟王子「形式的に王の座を渡したとは言え、まだ発表は出来ません」
弟王子「……だから、今日はゆっくりとおやすみなさい」
弟王子「勝手でご免なさい。時間が無いなんて、言い訳に過ぎないけれど」
王「お父様……」
弟王子「魔導国での任務、ご苦労様でした」
弟王子「……その経験を、お前ならきっと……」
弟王子「これからの世界に。未来に……生かしていけると、思いますよ」
王「…… ……お父様」
弟王子「大丈夫。お前は聡明な子ですから。きっと、良い王になれます」
弟王子「……バタバタして、詳しい説明が出来ない事は許して下さい」
弟王子「後で、必ず……」
バタバタバタ……バタン!
騎士「失礼します、国王様!騎士団長様!」
騎士「こ、これは国王の息子様!」
王「…… ……」
騎士「鍛冶師の村からの船が、帰還致しました!」
弟王子「ありがとう。では彼らを此処へ案内して……人払いを」
騎士「は!」
814 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:49:14.39 ID:hfUPT27fP
王「……約束、です。お父様」
弟王子「勿論ですよ、王様」ニコ
王「…… ……失礼します!」
パタパタ……バタン!
王子「納得してない顔だったな」
弟王子「……後は、頼みますよ兄さん」
王子「弱気な事言うな」
弟王子「気が楽になりました。背から重い荷物を下ろした様な……」
815 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 13:50:03.81 ID:hfUPT27fP
お迎え!
いってらー!
wktkが止まらん!
817 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 15:48:31.81 ID:hfUPT27fP
王子「……まだ残ってるだろう。とびきり重たいの、がな」
弟王子「…… ……私は、まだ迷っているんです」
弟王子「私が死ぬまでに……これから剣士と話すだろう事……」
王子「『世界の裏側』か」
弟王子「……はい。それを……受け継がせるべき、か。否か」
王子「…… ……」
弟王子「剣士の話を聞いてからでも、決断を下すのは遅くないと」
弟王子「……思いたい、のですけどね」
王子「……何にせよ」ハァ
王子「お前にはまだ、新しい王を導いて行く役目があるんだぞ、弟王子」
弟王子「……久しぶりに、その名で呼ばれました」フフ
王子「…… ……」
弟王子「今なら、少しお母様のお気持ちが解ります」
王子「すっとしたか?」
弟王子「本当に、少しだけ」
王子「…… ……」
弟王子「……書簡にも記しましたが」
王子「ん?」
弟王子「『何かあれば、権限を一時的に兄さんに預ける』と言う奴です」
王子「……それがどうした」
弟王子「あれは、その侭……有効ですからね」
王子「何言ってるんだ。新しい王が……」
弟王子「まだ、正式に発表していません。私と、兄さんと……新王しか」
弟王子「知らない話です。ですから」
王子「弟王子、お前……ッ」
弟王子「……頼みます、兄さん。私は…… ……」
コンコン、バタン!
騎士「し、失礼致します、国王様!」
818 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 15:55:16.74 ID:hfUPT27fP
王子「何だ、さっきから……」
弟王子「騎士達が戻ったと言うのは、聞きましたが……どうしました」
騎士「あ、あの……!」
側近「……失礼する。お久しぶりです、叔父上……親父」
王子「! な……ッ お、お前……!」
癒し手「あの…… ……えっと……」
弟王子「……僧侶さん!?」
剣士「……今、戻った」
弟王子「戻った…… ……の、ですか……貴方達、が……!」
王子「戦士……!」
側近「……国王様に、ご報告申し上げます」
弟王子「ちょ、ちょっと待って下さい!」
側近「…… ……」
王子「騎士、人払いを」
騎士「は、はい!」
王子「それから……」チラ
剣士「…… ……」
癒し手「国王様、ご報告申し上げる前に、お願いが御座います」
弟王子「な、何でしょう……」
癒し手「……剣士さんと、私の同席をお許し下さい」
王子「僧侶は当然だろう、貴女は、勇者様と……」
剣士「…… ……」
王子「し、しかし……」
側近「俺からも、お願い申し上げます……叔父上」
弟王子「……そもそもは、私の知る『世界』を教えると言う条件で」
弟王子「剣士には、鍛冶師の村に向かって貰ったんです」
弟王子「……どうぞ。此処に残って下さい」
剣士「……感謝する」
819 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:03:29.49 ID:hfUPT27fP
騎士「で、では……失礼致します」
王子「……長旅、ご苦労だった。今日はゆっくり休む様にと」
王子「伝えてくれ……鍛冶師の村への警護の交代要員の選別は」
王子「明日、行う予定だ」
騎士「は! では、失礼致します!」
パタン
弟王子「……戦士、僧侶さん……良く、良く戻りました……!」
王子「戦士……勇者様、は?」
王子「それに……もう一人。魔法使いは……」
癒し手「戻ったのは……私達二人だけです」
弟王子「……そ、れは……」
側近「……二人は無事だ。生きている」
王子「!」
側近「勝手を申し上げるのは承知です……が」
側近「先に、今の『世界』のお話しを聞かせて貰えませんか」
弟王子「……一つ、だけ。僧侶さん。会えて貴女にお聞きします」
癒し手「……はい」
弟王子「魔物が……弱くなっている。これは……」
弟王子「魔王が倒された、と……思って、良いのですね?」
癒し手「はい。確かに……『勇者』は『魔王』を倒しました」
王子「! ……そ、うか…… ついに……!」
癒し手「しかし……魔王は何れ、復活します」
弟王子「……え?」
癒し手「国王様が……何故私に聞かれたのか……」
剣士「……エルフは嘘は吐けない、からか」
王子「!?」
側近「親父、そんな顔をするな。剣士は……知っている」
王子「……ッ」
癒し手「そして……勇者も又…… ……産まれるでしょう」
820 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:14:37.99 ID:hfUPT27fP
弟王子「……それは……絶対、なのですか……」
癒し手「……に、限りなく近いであろうと思っています」
癒し手「世の中に絶対は無い……だけど」
王子「な、何故言い切れる!? 魔王は、勇者に倒されたのだろう!?」
側近「ならば、何故魔物が居なくならない? ……と、言う疑問が産まれるだろう?」
王子「し、しかし……」
弟王子「……続きは後で、でしたね?」
側近「……申し訳ありません、叔父上」
弟王子「まず、最初に話しておかなければ行けない事があります」
弟王子「私は厳密にはもう……『国王』ではありません」
剣士「何?」
弟王子「『王』を絶やす訳にはいかない」
弟王子「……でしたね? 僧侶さん」
癒し手「…… ……」
弟王子「……貴女に隠す事はできないでしょう」
弟王子「私は……もう、長く無いでしょう」
側近「!? い……僧侶!?」
癒し手「…… ……ッ」
王子「……そ、んな……ッ」
弟王子「良いんです…… ……城の者には、気がつかれていないと」
弟王子「思います……が」
弟王子「兄さんが不在の間、咳をする度に何度も血を吐きました」
弟王子「幼少の頃から……身体が丈夫な方では無かった。なのに」
弟王子「此処まで生きながらえた……我ながら立派だと思います」
側近「叔父上……ッ」
弟王子「『王』は既に、息子に譲りました」
弟王子「……彼にしてみれば、いきなり何の説明も無く」
弟王子「重責を押しつけられたと思っているかもしれません、けど」
821 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:27:12.75 ID:hfUPT27fP
弟王子「……もし、何かがあった時に、権限を一時的に兄さんに預けると」
王子「弟王子!」
弟王子「改めて此処に宣言しておきます……ああ、もう国王じゃ無いから」
弟王子「無効かな……」クス
側近「……新王は、何処に?」
弟王子「さあ。部屋に戻ったんだと思いますけど」
弟王子「……立ち会わせるか否か、話をしてから決めようと思っていたんです」
弟王子「だから……もし、伝えるべきだと決まったのなら」
弟王子「……申し訳無いけれど、お願いしますね」
剣士「可能ならば自分の口で伝えるべきだ」
剣士「……王としての最後の勤め。父としての……責務だろう」
王子「剣士……」
剣士「…… ……」
弟王子「……ですね。可能な限り……そうします」
弟王子「鍛冶師の村は……救われた、のですね?」
剣士「……魔寄せの石とやらは全て破壊した」
剣士「予測通り、魔物達は四散したが……その力は、弱っていた様だ」
剣士「北の街方面にも鍛冶師の村周辺にも、予定通り騎士が警護に就いている」
剣士「……予定より早く、引き上げれるかもしれんな」
王子「魔王が倒された……のであれば、納得出来る」
王子「魔導国の方の魔物達の力も弱まっている」
王子「……警護は居るだろうが、心配は無いと思われる」
癒し手「あの……魔導国は……どうなった、のですか?」
弟王子「……剣士からは、貴方達が光に包まれて消えた、と聞いています」
側近「俺達も船の中で……ある程度は聞いた」
側近「……インキュバスの魔石の所為で、領主は……魔気に食われ」
側近「獣へと成り果てた、のだろう……そして、父親は殺された」
癒し手「……母親さんは、牢の中……ですね」
王子「そうだ。母親は相変わらず……剣士に会わせろ、と」
王子「それしか、言わないそうだ」
822 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:35:44.77 ID:hfUPT27fP
剣士「…… ……」
王子「魔導国の代表者は、少女、と言う…… ……子供、だ」
剣士「子供?」
王子「14、5だろうな、まだ……大人は、と聞いたが」
王子「……逃げ出したそうだよ」
癒し手「そんな……」
側近「始まりの国の支配下に入れる、のか」
王子「……支配等しない。指導していくだけだ」
王子「難しいだろう。勿論……時間も掛かる」
王子「少女には街長として、当面の間代表者になって貰う事になっている」
王子「……根深い問題だ。だけど……」
王子「……繰り返させてはいけない」
癒し手「……そう、ですね」
癒し手「では……魔導国は、魔導の街に戻る……のですか?」
弟王子「いえ……新しいスタート、と言う事で」
弟王子「けじめは必要でしょう。新しい名を考えて欲しいと、少女に伝えたんです」
側近「……自らに決めさせる、のか」
弟王子「私達は『指導者』ですからね」
王子「船を出す日に、教えてくれたよ。随分考えたんだろうけど」
剣士「……何と?」
王子「『書の街』だそうだ」
癒し手「書の街……」
王子「立派な図書館もあるしね……魔導書、と結びつくとも思えるけれど」
弟王子「良い名だと思いますよ。本自体が悪い物ではないのですから」
王子「領主達が住んでいたあの場所は……魔寄せの石があった場所でもあるしな」
王子「一度解体して、改めて居住区として、工事を進めていく」
王子「少女は、世界中の書を集めたいとも言っていた」
王子「……暫くは、検閲も必要かもしれないけどね」
剣士「俺は……あそこにある本に殆ど目を通したつもり、だが」
剣士「確かに、稀少な魔導書も難解な物も多くあったが」
剣士「……実際は、それを読んだからとどうできる物でもないだろうな」
823 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:44:40.36 ID:hfUPT27fP
弟王子「……で、しょうね」
王子「ああ……そうか。お前も一度、お母様と行っていたな」
弟王子「『願えば叶う』…… ……それは、確かにその通りなのだろうなと」
弟王子「思います。だけど……それでも、基礎や素質は必要になってくる」
弟王子「いくら私が、父と同じ緑の加護を受けていても」
弟王子「癒やしの魔法以外の魔法を、使う事はできなかったんです」
弟王子「……はいそうですか、と。何事も簡単にはいきません」
癒し手「…… ……」
側近「…… ……」
剣士「母親はどうするんだ」
弟王子「……彼女を牢から出す事はできません」
弟王子「いくら魔導国が無くなったとは言え……あの街から大人達が」
弟王子「逃げ出した、と言う事実もありますし」
弟王子「当面……『処分保留』ですかね」
側近「……体の良い軟禁、だな」
王子「仕方無い……何をするかわからんからな」
弟王子「……さて、次は貴方達の番です、戦士」
側近「……剣士に、叔父上の知る世界の全てを話すと約束した事は」
側近「本当だと、信じて良い……のですね」
弟王子「……勿論です」
王子「…… ……」
癒し手「あの…… ……その前に、すみません」
側近「どうした、気分が悪いか?」
王子「……? 顔色が優れないな。疲れているのか?」
弟王子「あ……申し訳ありません」
癒し手「違うんです、その…… ……えっと……」チラ
側近「……俺から、話す」ハァ
剣士「…… ……」
側近「親父」
王子「あ? ああ……」
側近「叔父上」
弟王子「はい?」
824 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 16:50:53.07 ID:hfUPT27fP
側近「……僧侶の腹の中には、俺の子供が居る」
王子「……え!?」
弟王子「ほ、本当ですか!?」
癒し手「あ、あの……すみません」
弟王子「何故謝るのです…… そう、ですか……」
王子「……お、俺、おじいちゃん!?」
弟王子「……そうですか……ふふ……もう少し、長生きしたかったな」
剣士「何を言う……」
弟王子「……僧侶さん。体調は大丈夫なのですか?」
弟王子「無茶は……」
癒し手「いえ、その……あの……」
癒し手「…… ……時間が、ありません、から……」
王子「え?」
剣士「…… ……」
弟王子「……そうでした。貴女には、解るのでしたね」
癒し手「……本当に無理だと思えば、私は席を外させて頂きます」
癒し手「だから…… ……ッ」
弟王子「…… ……」
王子「……ど、どうにか、ならないのか! 僧侶、アンタは……!」
側近「親父!」
王子「……ッ す、すまん……ッ」
癒し手「いえ……回復魔法で、どうにか……なれば」
癒し手「……本当に、良いのですけど……」
剣士「……死ぬ前に、教えてくれ」
王子「剣士!」
剣士「知る義務がある。受け継いで……導いて行く義務があるのだろう」
剣士「ここに居る全ての者達に」
弟王子「……ええ。そうです」
弟王子「お話ししましょう。戦士と僧侶さんはもう、ご存じでしょうけれど」
弟王子「……お約束、してください、剣士さん」
剣士「何だ」
825 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 17:00:54.51 ID:hfUPT27fP
弟王子「……魔王が、また復活して……勇者が再び産まれた時に」
弟王子「勇者と共に……今度こそ、魔王を倒すのだと」
剣士「……約束する。その為ならば何をも厭わない」
王子「…… ……」
弟王子「ありがとう、ございます」
弟王子「今度こそ……美しい世界を…… ……ッ」ゴホ、ゴホ……ッ
王子「弟王子!」
癒し手「…… ……ッ」
側近「叔父上!?」
弟王子「……だい、じょうぶ、です……ッ」ゴホッ ボタボタボタ……ッ
癒し手(こんなに、血を吐いて……!)
癒し手(この方は…… もう……ッ)
剣士「……ッ」
弟王子「……ッ 港街の、勇者……ッ 少年、は……ッ」
弟王子「魔王、でした……ッ お母様…… も、お父様……ッ も……ッ」
弟王子「ご存じ、だった…… ……ッ」
剣士「な、に!?」
王子「弟王子! 喋るな……今、医者を……ッ」ガタン!
弟王子「約束です、兄さん!」ガシッ
王子「!」
弟王子「……ッ 権限、預けて……あります、から……ね?」
王子「お前……ッ こんな時、に……ッ 離せ!」
弟王子「駄目、です……剣士さん、との約束です!」
弟王子「……ちゃんと、話し、 ……てッ さ、しあげ……ッ」ゴホゴホッ
癒し手「…… ……ッ」
側近「叔父上!」
弟王子「……未来を、担う……者、達の……手、で……」
弟王子「作るから、こそ…… ……世界、は ……ッ」
弟王子「……美しい、の…… ……です、よ…… せ…… ん、し……」
826 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 17:06:32.93 ID:hfUPT27fP
側近「……ッ 叔父上! 叔父上!?」
癒し手「…… ……命の炎、は」ポロポロポロ
癒し手「も、う……ッ」
剣士「…… ……」
王子「弟王子! ……ッ う、ぅ……ッ」
癒し手「…… ……生きて、いらっしゃるのが、不思議な程でした」
癒し手「伝えなくては……と、必死でいらっしゃった、のでしょう」
王子「…… ……ッ」ポロポロポロ
側近「……叔父上…… ……ッ」
王子「……剣士」
剣士「……なんだ」
王子「『遺言』だ……きちんと話せ、とな」
剣士「…… ……」
王子「だが……今は、無理だ」
剣士「……流石に、解るさ」
王子「以前使っていた部屋を使え」
王子「……戦士、悪いが手伝って貰えるか」
側近「……勿論だ」
癒し手「あ、あの……」
王子「僧侶は、無理をするな。妊娠しているんだろう」
王子「……俺の家に、案内させる。それで良いな? 戦士」
側近「ああ」
剣士「…… ……先に失礼する」
側近「…… ……」
剣士「こんな時に、俺は邪魔なだけだろう」
スタスタ、パタン
827 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/29(火) 17:07:31.14 ID:hfUPT27fP
ちょっと早いけど離脱!
又明日から、馬車馬!
おつかれ
がんばー
おやすみ前にほしゅ
涙が止まらん…
保守
831 :
忍法帖【Lv=14,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/30(水) 00:01:44.93 ID:4et0X+q10
大切な人の命の灯火がみえるなんて
癒やし手は辛いやろうなぁ…
おはよう\(^o^)/
BBA乙
おやすみ
BBAおはよ〜
今日も頑張って〜
保守
☆
ゅ
おは〜
馬車馬スコーンの為の保守
840 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 12:51:29.17 ID:Plu8fU1FP
なんか、馬車馬だろうが一日に一度くらいスレ覗けない?
保守はもちろん当たり前にするけどさ、保守されて当たり前とは思わないで欲しい
BBAのスレなんだから、BBA自身もスレ落ちないように保守くらいして欲しいわ
841 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 13:18:37.62 ID:WvExXVk80
>>840 今まででもそれができたら1レスでも更新してたと思うんだが...
まとめて読みたいならまとめまでお待ちよ。
と言いつつ保守
842 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/10/31(木) 13:28:15.93 ID:ckmGtQiAP
ごめん、休憩中と電車は死んでる( ゚д゚)
けど、なるべくのぞくよー
843 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 13:29:04.75 ID:2bnrGqxZi
馬車馬なら無理して見に来なくたっていいぞ
それで怒って保守しないやつが居たとしても他のやつが保守するから
844 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 13:54:47.24 ID:DmG0OVT50
保守
>>840 BBAは忙しい時も可能な限りスレに来てくれてるぞ
皆で保守してBBAをいたわってやろうぜ
誰だインキュバスの魔石置くのは
>>846 今は集まってくる魔物も弱いし大丈夫だよ、多分
848 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 23:12:41.53 ID:5C6wLg8U0
849 :
名も無き被検体774号+:2013/10/31(木) 23:14:00.96 ID:NS+fubUg0
グラビアやAVみてわかるように所詮160センチ以下
ちんちくりん女は顔デカ首なしばっかだよな
モデルやミスコンに高身長が
選ばれるのは高身長の方が
スタイル良く美しいからやろ!
これは世界共通の認識
スチュワーデスや銀座の
高級クラブもチビは雇わない
因みに銀座高級クラブは
身長160センチ以下の女は
雇わないそうだ!
その理由は160センチ以下の女は
華がない、所帯染みてる、
モデルが多い銀座ホステスに
完敗する、が理由だ!
851 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 00:55:30.69 ID:rEEubZLr0
BBA無理だけしないでね!
保守
852 :
1@もしもし ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 01:05:06.70 ID:1cMqDkzrP
明日は休みやから、また!
送迎会とか嫌いやー!
全力でニ・ゲ・ロ!!!
854 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 01:24:25.16 ID:JE+kYpzc0
送迎会なら倒しておいた
この物語の登場人物は逃げる選択肢すらない人ばかりだな…
頼む
誰かスコーンに安らぎを
願わくば、それが皆の幸せになりますように
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚
856 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 09:31:34.33 ID:1cMqDkzrP
王子「僧侶、すぐに騎士に案内させる。此処で待っていて貰えるか」
癒し手「は、はい」
王子「……戦士、すまんがそっちを持ってくれ」
王子「取りあえず寝室に運ぶ。顔も……綺麗に拭いてやらんとな」グッ
側近「ああ」ギュッ
側近「……先に寝てろよ、僧侶」
癒し手「……はい」
スタスタ、パタン
癒し手「…… ……」
癒し手(伏していらした場所に、血溜まり)
癒し手(……あんなに、沢山)ポロポロ
癒し手(もう……人が死ぬところ等みたく無いと……思っていたのに)
癒し手(自然の摂理。寿命と思えば……怖くは無い。筈なのに)
癒し手(何時か、私も……)ナデ
癒し手(否。此処に宿る、輝かしい、新しい命の為にも)
癒し手(私は…… ……まだ、死ねない……!)
コンコン
癒し手「は、はい!」
カチャ
騎士「僧侶様、ですね」
癒し手「はい」
騎士「……ッ 血…… ……」ギュッ
騎士「騎士団長様に伺っております……ご案内、致します」
857 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 09:43:37.23 ID:1cMqDkzrP
……
………
…………
使用人「…… ……」
魔王「国王様……ッ」
后「…… ……」ポロポロ
剣士「……葬儀は、盛大に執り行われた」
剣士「次代の王の戴冠式も兼ねて、な」
使用人「……王子様には、何処まで話したのです?」
剣士「結論から言うと、『全て』だ」
魔王「……全て?」
后「全てって……」
剣士「何の為に……俺が此処に、来たと思う」
剣士「勿論……側近と癒し手から聞いた話の補足を、使用人に願う為でもある」
剣士「……その話を、騎士団長に……伝える為でも、だ」
使用人「……そう、王子様が望まれた、のですか」
剣士「ああ。知りうる限りの『世界の裏側』を」
剣士「『世界』を未来へと託す為に」
魔王「……新王に、話す……つもりなのか? 騎士団長様は」
剣士「決定では無いだろう。彼は……『知らないで居る権利もある筈だ』と」
后「……知らない権利」
剣士「未来は彼ら……『次代』の手が担うものだ」
使用人「……貴方は、自在に転移出来る、のですね?」
剣士「……の、様だな。『魔法なんて使い様』なんだろう」
使用人「…… ……」
剣士「少しでも多くの『世界の欠片』を拾いたいのだと言っていた」
后「世界の欠片…… …… ……ッ」ハッ
魔王「どうした、后?」
使用人「…… ……『揃った』」
剣士「…… ……紫の魔王が零したと言う、キーワードか」
魔王「え? え?」
后「『拾う者』よ!」
后「騎士団長様が、そうだとするなら……!」
858 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 09:52:26.35 ID:1cMqDkzrP
剣士「…… ……」
魔王「じゃあ……次で、断ち切れる……?」
使用人「……今すぐ、后様が子供を授かったとして」
使用人「新たな勇者様の旅立ちまで、17年程」
使用人「……生きていらっしゃいますか。人間の……王子様が」
魔王「だ、だけど……!」
剣士「……魔王」
魔王「な、何だよ」
剣士「この城にも書庫があると聞いた」
剣士「……閲覧は許されるか?」
后「それは滞在も、と言う事よね?」
剣士「……ああ」
使用人「お部屋は、すぐにご準備致します……宜しいでしょうか、魔王様」
魔王「……拒否するつもりなんか無いよ」
剣士「……ありがとう」
使用人「できる限り……紐解きましょう。『世界』と『その裏側』」
后「……そうね。『次代達の未来』の為に、私達が唯一出来る事だわ」
魔王「…… ……『勇者』が出来る迄、しか」
魔王「俺には時間が無い」
剣士「……話を戻そう。国王が……死んでから、だったな」
使用人「…… ……ちょっと、待って……下さい」
魔王「どうした、使用人?」
使用人「…… ……」チラ
剣士「何だ?」
使用人「……その、剣は……何処で?」
剣士「え?」
使用人「……貴方は、気がついたら最果ての地に一人でいらした」
使用人「…… ……剣は、船長さんに頂いた、のですか」
剣士「……否。この剣を握りしめ……ていた。しかし、それが……」
使用人「……見せて下さい!」
后「し、使用人?」
859 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 10:10:38.83 ID:1cMqDkzrP
剣士「……あ、ああ……」スッ
使用人「……! あった!」
魔王「え?」
使用人「……ここです。随分、擦れてますけど」トン
后「……剣の、文様……! これ、始まりの国の!?」
魔王「……側近が持ってた物と……同じ?」
使用人「……王子様は、気がつかれなかった、のですか」
剣士「何も……言われていないが」
后「……でも、それが、どうしたのよ」
使用人「……何故、剣士様がこれを持ってこの地に……立っていらした?」
魔王「…… ……何処で手に入れた、か?」
魔王「でも、剣士は記憶が……」
使用人「……金の髪の勇者様が、紫の魔王様と対峙された時」
使用人「騎士団長様と交換したという、始まりの国の騎士の証……剣の文様が」
使用人「刻まれた剣を持っておられました」
后「…… ……で、も」
使用人「……お待ち下さい」
スタスタ、パタン
魔王「え、おい、何処に……ああ」
后「行っちゃったわね」
剣士「……それが、俺のこの剣だとするのなら」
剣士「この城を飛び出した光……『欠片』の証明になる、と言いたいのだろう」
魔王「!」
后「……紫の瞳と、闇色の髪を持ち」
后「魔王と……勇者と同じ顔をして……」
魔王「……剣がこの城に無ければ、決定、と考えても言い訳か」ハァ
魔王「しかし……そうなると…… ……」
剣士「…… ……」
魔王「お前は……なんだ?」
860 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 10:41:08.76 ID:1cMqDkzrP
剣士「……『欠片』なんだろう」
后「紫の魔王の……?」
剣士「…… ……俺は、『人間』では無い」
剣士「だがその先は解らない。癒し手にも……お前にもそう言われたぞ」
魔王「『欠片』だと言われて、納得するのか?」
剣士「……さあな。お前が……俺に問うた事の返事を、俺は持っていない」
魔王「……『生きているのか』か」
后「…… ……」
剣士「『欠片』だとすると何だ? 俺は……『命』なのか?」
魔王「…… ……」
剣士「飯も食えば眠りもする。切りつけられれば痛みもある」
剣士「何なんだろうな……俺は」
魔王「…… ……使用人が戻るまで、待とう」フゥ
后「……『世界』って何なのかしらね」
魔王「え?」
后「意味の分からない事ばかり。魔王も……言ってたじゃない」
后「童話とか、古詩とか……神話とか」
后「必ず出て来る、魔、とか……魔法」
剣士「…… ……」
后「こんな物、存在しなければ……」
剣士「……無条件に平和、だったと思うか?」
后「…… ……」
魔王「『みんな仲良し、全てハッピーエンド』なんて」
魔王「それこそ、作り話の『世界』だけの特権だよ、后」
后「……そうね」
魔王「俺達は俺達で……出来る事をすれば良いんだ」
魔王「……それをする事しか、出来ないんだよ。結局」
コンコン
魔王「ああ、戻ったな」
カチャ
861 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 10:49:14.84 ID:1cMqDkzrP
使用人「……お待たせ致しました」
后「剣は見つかった?」
使用人「……いいえ」
剣士「……金の髪の勇者の持っていた、物か。これが」
使用人「絶対の確信は……出来ません、けど」
后「……手を見せて、魔王」
魔王「ん?」スッ
后「…… ……ねえ、使用人」
后「この『勇者の印』…… ……金の髪の勇者が、紫の魔王と対峙した時に」
后「持っていた剣の文様……それが焼き付いたんだって言ってたわよね」
使用人「見た訳では無いのですけど……その可能性が高いだろう、と」
剣士「……真っ黒だな」
魔王「俺はもう、勇者じゃないからな」
使用人「魔王様のお母様達のお話では……手のひらから光が溢れていた、と」
使用人「紫の魔王様の手にも、同じ……黒いこの文様があった……と」
剣士「……俺にはないな。紫の魔王には……」
使用人「……いいえ。お二人が対峙される迄は、ありませんでした」
魔王「貸して…… ……ぴったり、だな」
后「……でも、文様は同じなんでしょう?」
后「側近の剣をマジマジとみたことは無いけど……」
剣士「……あった時に、確かめて見よう」フゥ
使用人「行き来……されるおつもりですか」
剣士「自由に動けるのは俺だけだろう」
使用人「……では、もう船長さんに何かを頼む必要はありませんね」
剣士「…… ……船長との接触は、避けたい」
后「……でも、貴方が……人で無いことは知っているんでしょう」
862 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 10:59:36.50 ID:1cMqDkzrP
剣士「故に、だ」
剣士「……あいつにはあいつの人生がある」
剣士「生きる時間も……場所も違うんだ」
使用人「…… ……」
魔王「巻き込むべき、じゃ無いな」
魔王「船長は……剣士の事以外、何も知らないんだろう?」
使用人「……だと思います」
魔王「彼女の父は……知ってたんだよな」
使用人「はい…… ……船長さんが、お生まれになられたのは」
使用人「この、城ですから」
剣士「……何!?」
使用人「……『生と死』です。船長さんのお母様である」
使用人「女海賊さんは……この城で船長さんを産まれてすぐに……」
剣士「…… ……」
后「お父様は……人魚に……って言ってた、わよね」
使用人「……はい。食われてしまった、の……だと、聞いています」
使用人「……繋がって、いるんです、剣士様」
使用人「彼女が、知る知らないに関わらず」
使用人「……彼女が『受け入れる者』であったのならば、尚更の事」
后「……因果なものね」ハァ
剣士「……魔法使いのジジィも、知っていたのか」
使用人「ああ……あの船に乗っていらしたのなら」
使用人「彼の事もご存じですね」
剣士「……訳知り顔の、斜に構えた男だった」
使用人「…… ……詳しくはご存じ無かったでしょう」
使用人「彼は、知る事を拒否されている様に見えました」
魔王「……『知らないで居る権利』は、あるもんな、そりゃ……」
使用人「お亡くなりになるまで、船に乗って居たと聞いています」
剣士「…… ……」
剣士「繋がっていようが、何だろうが」
后「?」
剣士「……船長には、平和な海を……渡らせてやりたかった」
魔王「……過去形、かよ」
863 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:18:20.50 ID:1cMqDkzrP
剣士「…… ……今でも思っている。だが」
后「…… ……」
剣士「『願えば叶う』……も、万能では無い」
剣士「『世界』はそう都合良くは出来ていないんだろう」
魔王「……少なくとも、勇者が産まれれば……」
剣士「ああ。お前は力をつけていくんだろう」
剣士「……そして、『勇者は魔王を倒す』」
使用人「『揃った』んです。だから……次こそは……!」
后「『腐った世界の腐った不条理』を……断ち切れると、願うわ」
魔王「…… ……ああ」
……
………
…………
王「……お、じうえ……」カタカタ
王子「そんなに震えなくて大丈夫だから」ナデ
王「……で、でも……!」
王子「大丈夫だって。俺も居るし……戦士も、僧侶も傍に居てくれる」
王子「……ただの茶番だよ。台詞は何度も練習したろ?」
王「…… ……」
王子「……いきなり、重荷を押しつけてすまん」
王「……もう、謝らないで下さいと言った筈です」
王子「……人生は茶番の連続だ」
側近「お祖母様の言葉……だな」
王子「ああ」
癒し手「落ち着いて……大丈夫ですよ、王様」
王「僧侶さん……」
王子「……さあ、行け。みんな待ってる」
王「…… ……ッ はい!」
864 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:25:03.13 ID:1cMqDkzrP
ザワザワ……
ワイワイ……
王「……お、お待たせ致しました、皆様!」
シィン……
王「……ッ 父の急逝は、確かに……悲しい物でした……で、ですが!」
王「ぼ……ッ 私達は、前を向いて生きていかなくてはならない」
王「未来を担い、紡いでいく義務が……あります」
王「……魔導国との戦争も終結し、書の街として生まれ変わり」
王「新たな、美しい未来への一歩となったと……信じています」
王「……だ、だから! 若輩者、ですけど…… ……ええ、と」
王「…… ……」
王「一緒に、『美しい世界』を作っていける様に、頑張りたいと思います」
王「どうぞ……ご指導下さい。お願い致します」
ワアアアアアアアアアア!
シンオウ、バンザイ!
オウサマー!
王子「……台詞全部吹っ飛んだな」ハァ
癒し手「彼らしくて良いんじゃないですかね」クス
側近「自分の言葉で語る方が、伝わるさ」
王子「……まあ、な」
王子「……戦士」
側近「…… ……」
王子「俺は……まだ、お前が……その」
側近「…… ……」
王子「……正直、何も受け入れられていない」
側近「……当然だ」
865 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:32:08.68 ID:1cMqDkzrP
王子「……俺も歳を取った。僧侶……癒し手、に子が産まれれば」
王子「おじいちゃんだ」
癒し手「…… ……」
王子「……祈り女に、抱かせてやりたかった」
側近「…… ……」
王子「剣士の転移魔法とやらを目にした時も」
王子「……全ての話を聞いた時も……同じだ。今も……」
王子「まだ、混乱してる。だが……」
王子「…… ……上手く言えんな」
側近「信じてくれただけ……ありがたい」
側近「……こんな親不孝も無い。騎士団長の息子が、魔に……」
癒し手「側近さん、シッ…… ……王様が戻ってきますよ」
側近「…… ……話さないのか、王には」
王子「……剣士が戻れば考える。それにな、戦士」
側近「ん?」
王子「何よりの親不孝は、子が親よりも先に逝くことだ」
王子「……お前は、それだけはあり得ない。だから……」
側近「…… ……」
王子「ありがとう。戻って来てくれて」
側近「親父…… ……」
王子「……後で結婚式の打ち合わせをしよう」
側近「……俺はいらんと言った筈だが」
王子「そうはいかんよ。お前だって王家の血を引いているんだ」
側近「血、等……」
王子「……人々の為だ。希望の欠片ぐらいにはなってやれ」
王子「それも、勤めだ」
スタスタ
王「…… ……」
癒し手「……ご苦労様でした、王様。汗びっしょりですね」クス
866 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:36:54.42 ID:1cMqDkzrP
王「す、すみません……あの、ちょっと横になって良いですか」フラ
癒し手「あ、あら……ご気分でも……?」
王「いえ……あの、ちょっと緊張しすぎて……」フラフラ
王子「おいおいおい……」
癒し手「一緒に行きます」クス
側近「無理するなよ」
癒し手「少しぐらいは動かないと。大丈夫ですよ」
王「あ、伯父上……後で、お話ししたいことが」
王子「ん? ああ。気分が良くなったら、呼んでくれ」
王「はい…… ……失礼します……」フラ
癒し手「掴まって下さい……大丈夫ですか?」
王「だ、大丈夫です……」
スタスタ
側近「…… ……」
王子「少し、腹が目立って来たな」
側近「……だな。しかし、あいつは……」
王子「……エルフの血、か」
側近「…… ……」
王子「姫様の妊娠期間は、随分と長かったんだろう」
側近「だが、紫の魔王の魔力で眠っていたんだ」
側近「……比較は出来ん」
王子「……お前が、魔に変じてから、出来た子、なんだよな」
側近「…… ……」
王子「言葉は悪いが…… ……何が、産まれる?」
王子「あ……ッ 疎んじてる訳じゃないぞ!?」
側近「……解ってる。俺にも……産まれて来る子が何者なのか、等」
側近「……わからん」
867 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:42:43.74 ID:1cMqDkzrP
王子「…… ……」
側近「魔王と后の子は必ず人間だ」
王子「……『勇者』だからな」
側近「ああ。勇者は……人間。だが……」
王子「……『未来』には間違い無いんだ、よな」
側近「え?」
王子「未来を担う、子……子供達、だ」
王子「……健康であれば良い」
側近「……ああ」
王子「港街の教会で良いんだな?」
側近「……本当にやるのか」ハァ
王子「あそこで式を挙げたいというのは、癒し手の希望だぞ」
側近「どうせやるなら、だろ」
側近「……希望であれば、仕方無いけどな」
王子「……剣士が戻る迄は、どうしようもないな」
王子「俺も…… ……」
側近「何だ?」
王子「……否。本来なら、お前が跡を継いでくれれば良いんだけどな」
側近「丸くなったな、親父」
王子「え?」
側近「旅立つ前のお前なら、そんな事は絶対言い出さなかっただろう」
王子「……言い出せなかった、な」
側近「……本当に、引退するのか」
王子「まだ続けようと思えば続けられるけどな……でも、まあ」
王子「……女剣士様の、気持ちが分かるよ」
側近「嬉しい様な、寂しい様な……か。 ……後継は?」
王子「…… ……後で、王と相談するさ」
側近「……ああ。そうだな」
王子「あいつも話があるとか言ってたが…… ……もう少し後にするか」
側近「ああ。癒し手ももう戻るだろう」
868 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 11:48:55.68 ID:1cMqDkzrP
王子「……できうる限りで良い」
側近「ん?」
王子「幸せになってくれ、戦士」
側近「…… ……」
王子「俺はお前を『側近』とは呼べん」
王子「……さっきも言ったが、何も受け入れて居ない。だけど……」
王子「この幸せを願わない親は居ない」
側近「…… す」
王子「もう謝るな……親不孝だとは、俺は思ってないからな」
側近「…… ……ありがとう」
王子「……『美しい世界』は、俺も見てみたかった」
側近「大丈夫だ。『勇者』は……必ず、戻る。此処に」
王子「…… ……うん」
スタスタ
癒し手「眠られましたよ、王様。余程お疲れになっていたようです」
側近「ああ、お疲れ様、癒し手」
王子「無理はするなよ……しかし、本当にあの小屋で良いのか」
癒し手「はい。城までの道のり、丁度良い運動にもなりますし」
側近「……黒い髪の勇者のお母様の、暖かい気配が心地良いそうだ」
王子「まあ、戦士がついてるんだし……大丈夫だろうけど」
側近「当然だ」
王子「じゃあ、俺も仕事に戻る」
王子「街に出るなら気をつけろよ。お祭りムードだからな」
癒し手「はい。ありがとうございます」
王子「……身体に、気をつけて」
癒し手「はい」
側近「何時でも会えるだろうが」ハァ
王子「忙しいんだよ!」
スタスタ
869 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 12:04:08.41 ID:1cMqDkzrP
癒し手「…… ……」
側近「癒し手?」
癒し手「いえ…… お話した時、随分とショックを受けていらっしゃったので」
側近「……受け入れては居ないと、本人も言っていただろう」
癒し手「……はい」
側近「『美しい世界』の為だとは言え…… ……ショックで無い筈が無い」
癒し手「…… ……」
側近「……幸せになれ、と言ってくれた」
側近「それだけで充分だ」
癒し手「…… ……」
側近「行こう。小屋まで少しある」
癒し手「ええ……急いだ方が、良さそうです」
側近「……ん?」
癒し手「多分……雨が、振ります」ナデ
癒し手「……この子に、決して明るいと言えない未来を押しつけてしまうのは」
癒し手「正直……心苦しい、ですけど」
側近「……その先には美しい世界があるんだ。暗いとは言い切れん」
側近「……複雑だがな」
癒し手「……勇者は、必ず魔王を倒します……から」
側近「……」
癒し手「仕方ないのは分かっています。できれば……貴方と」
癒し手「この子と……みんなで、一緒に幸せになりたいと……思ってしまいます」
側近「……『我が子の幸せを願わない親は居ない』」
癒し手「……はい」
側近「とりあえず、急ごう」
側近「今は自分の身体を第一に考えてくれ、癒し手」
癒し手「はい」
870 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 12:09:29.28 ID:1cMqDkzrP
……
………
…………
使用人「お加減、如何ですか后様……お茶をお持ちしました」
使用人「余り根を詰められてはお腹に悪いですよ」
后「ああ、ありがとう、使用人……魔王と剣士は??」
使用人「朝から書庫に篭もっておられます」
后「またなの……いえ、そうね。そうよね……」
使用人「……はい」
后「側近達からの連絡はあった?」
使用人「まだですが……そろそろ戻るのでは無いでしょうか」
后「そうね……どこまで行ってるんだかわからないしね、あの子達」
使用人「南へ行く……んでしたね、確か」
后「……地上であり地上で無い、この世の物とは思えない楽園、だっけ?」
使用人「エルフの里……ですか」
后「……光を掴んで、瓶に詰めようとするような物なのかもね」
使用人「…… ……」
后「赤ちゃん出来た、って……知らせたの何時だっけ」
使用人「私の小鳥を飛ばしたのが、もう三ヶ月程前ですからね」
后「男の子だって言ってたわね、癒し手の子供」
后「……青年、だっけ」
使用人「ええ。金の髪に緑の瞳、って書いてありました」
使用人「どっちに似てるんでしょうね」
后「…… ……」
使用人「后様?」
后「……子供を授かった事は、嬉しいのよ」
后「でも…… ……」
使用人「……『勇者』でしょうからね」
后「…… ……否応なく、過酷な運命を押しつける事になる」
871 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 12:16:20.02 ID:1cMqDkzrP
后「複雑ね……」
使用人「…… ……」
后「……不可能であろうと思われる事ばかり、やってるのね、私達」
使用人「『願えば叶う』です」
后「…… ……叶ってくれる事を願うわ、本当に」
后「美しい世界……この子は、見る事ができるのかしら」
カチャ、パタン
魔王「使用人……! あ、后も居たか」
后「な、何よそんなに本抱えて……」
パタパタ……
剣士「おい、魔王、もう一冊忘れてる」
使用人「……あ、それは……」
魔王「……古詩。それから、勇者が魔王を倒す物語」
剣士「前編だけ持って言ってどうするんだ、お前は」ハァ
后「……ほこり臭い」ケホ
魔王「で、これだ」
使用人「紫の魔王様が書かれた……エルフのお姫様のお話、ですか」
魔王「……可能な限り、紐解くぞ」
魔王「時間が無い。勇者が産まれれば、俺は眠りについちまう」
后「な、何よ……何か解ったの?」
魔王「それを今から考えるんだよ!」
后「…… ……あ、ああ、そう」
剣士「最初から整理するんだ。使用人、できる限り詳細に思い出してくれ」
使用人「え? は、はい」
剣士「……それから、光の剣を。俺も魔王も触れん」
使用人「わ、わかりました……少々お待ちを」
パタパタ……
872 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 12:52:11.54 ID:1cMqDkzrP
后「何なのよ……」
魔王「……なあ、后」
后「?」
魔王「『誰もがハッピーエンド。無条件の平和なんて作り事の特権』」
魔王「……そんな話、覚えてるか?」
后「え、ええ……それが、何よ」
魔王「……これだよ」バサッ
后「……『顔色の悪い蒼空』 ……『前』?」
剣士「後編はこっちだ」
后「……読め、って言うの?」
魔王「時間がある時で良い」
魔王「……多分、『欠片』がちりばめられてる」
后「……この、御伽噺の中に?」
剣士「…… ……」ペラ
剣士「『「良く来た、勇者よ……そうかしこまる必要は無い、面を上げよ」』」
剣士「『少年の俯く姿を見た王は、ゆっくりとそう告げた』」
剣士「『そういう訳では無いんだけどな、と心の中で呟き、少年はそろりと顔を上げた』」
后「ちょ、ちょっと……」
魔王「良いから」
873 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:00:44.61 ID:1cMqDkzrP
カチャ
使用人「お、お待たせしました」ハァ
后「……魔王はともかく。剣士が触れないのは……何故?」
剣士「……『欠片』だからだ」
剣士「読み進めていけば解る」
剣士「『「は……」はい、とハッキリとした声を出そうとした意思とは反対に』」
剣士「『喉は緊張に渇き掠れた。誤魔化す様にこほん、と一つ咳き、そろそろと王の方へと視線を投げる』」
剣士「『貫禄のある姿、つやつやと油の乗った王の顔を、歩くスピードに合わせて視線で追う』」
剣士「『王座へと腰を下ろし、少年の金の瞳を見据える王の視線を捕らえた王は』」
剣士「『どこか満足気に頷き、恭しく口を開いた』」
后「……『金の瞳』」
使用人「確か……『魔王は闇の様に仄暗い紫の瞳をしていた』とありましたね」
魔王「使用人は読んだんだな」
使用人「随分前ですが……」
后「……まさか、模倣してる、とでも言いたい訳?」
魔王「確かに、こういう『御伽噺』なんて、どれも似たり寄ったりかも知れないけどな」
魔王「案外、何か…… ……見つかるかも知れないだろ?」
后「そ……う、かなぁ ……?」
使用人「冒頭は飛ばしましょう。后様には後で……あ」
使用人「そういえば、后様も何か読んでいらっしゃいましたよね」
后「……まあ、これも御伽噺の類だと思うわよ。何となくで持ってきた物だけど」
魔王「それ、後回しにしてこっち読んでみてくれ」
后「今から!?」
874 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:11:33.82 ID:1cMqDkzrP
使用人「お時間のある時に……ええと」ペラペラ
剣士「そっちじゃない。人間と魔王が……」ペラペラ
使用人「え?」
魔王「『矢の如く飛来した氷の剣は、深々と炎の魔の王の心臓を貫いた』」
后「…… ……? それが、何か……」
剣士「話しただろう。鍛冶師の村で、村長が話した伝承……の様な物」
后「あ!」
使用人「……! し、しかし……流石に、偶然では?」
使用人「勇者様の剣は、光の剣です」
剣士「『光の剣』……この、魔法剣は」
剣士「持つ物の属性により、色が変わるのだろう?」
使用人「!」
剣士「紫の魔王の時はその色に。勇者が持てば……」
使用人「……確かに。紫の魔王の側近様は、紫の魔王の、お父様の時は……」
魔王「……刀身は真っ赤だった、んだろう。それに、使用人」
使用人「は、はい」
魔王「話してくれたじゃないか。いつかの魔王が、勇者から奪った物だとするのなら」
后「……! 力に頼る魔族が作ったとは考えにくい……!」
剣士「さっき、その話を魔王から聞いた」
剣士「……弱くて強い人の技術の賜だと考える方が自然だと、話していたのだろう?」
使用人「……さ、流石にこじつけでは……」
后「…… ……どうなってんのよ、この『世界』は」ハァ
剣士「……で、検証……だ」トン
后「解ったわよ……読むわよ」ハァ
魔王「良し。なるべく早くな」
后「無茶言わないで!」
剣士「一通り終われば……一度始まりの国へ戻るか」
使用人「でも、側近様達は、もう……」
剣士「解ってる。あの国には居ないのだろう」
剣士「……書の街にも寄ってくる。あそこにも何か、あるかもしれん」
魔王「必ず……次で、終わらせる」
875 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:16:39.08 ID:1cMqDkzrP
后「魔王……?」
魔王「『模倣』であるのならば尚更だ。この本には」
魔王「三世代分の物語がある」
魔王「金の髪の勇者、俺……それから、産まれて来る命……次代の勇者」
使用人「…… ……」
剣士「……俺は、その為の『欠片』だ」
后「……上手く、行く……のかしら」
魔王「行かせるんだ。『願えば叶う』」
使用人「…… ……」
魔王「『美しい世界を守る為だ』……后」
后「…… ……そう、ね」
魔王「……良し、始めるぞ。使用人、頼む」
使用人「は、はい……ええと」
剣士「知りうる限りの初めから……『欠片』を全て拾うんだ」
魔王「『世界』を知るぞ……俺達には、その義務がある!」
876 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:18:53.98 ID:1cMqDkzrP
勇者「拒否権の無い選択などあるものか!」
おしまい
魔王「真に美しい世界を望む為だ」 に続きます
877 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 13:27:31.76 ID:nu3WZfZ9i
一段落、乙!
878 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:28:02.98 ID:1cMqDkzrP
おまけ
側近「イヤラシノマセキ? ……何それ」
魔王「知らん。詳しくは使用人に聞け」コロン
使用人「……何故私に振るんです」
魔王「お前、物知りだろう、使用人」
側近「……お前ね、自分が知らないからって……」
魔王「興味も無い」
カチャ
姫「良い匂い! ……使用人、私もお茶飲みたいわ」
使用人「ああ、姫様……すぐにご準備いたします……あ」
使用人「姫様、それ……わかります?」
姫「え?」
姫「魔石? ……薄いピンクね。可愛い」スッ
魔王「……ああ、触るな、姫」
姫「え…… 別に、変な気配はしないけど」
側近「ああ、でも触らない方が良いかもなぁ、姫様はエルフだし」
側近「何かあったら、俺が魔王様に殺される」
魔王「私は殺生は好まん」
側近「……いや、まあ。本当に殺されるとは思ってないけどさ」
側近「それにそもそも、魔王様が持ってきたもんでしょうが」
姫「……うーん、魔族が作った物に間違いは無いと思うけど……」
姫「でも、そうね……本当に、気分が悪くなったりはしないわ」
使用人「お待たせ致しました、姫様……どうぞ」
姫「ありがとう……アップルティーね?」
使用人「フランボワーズもありますよ」
魔王「今日のは良いできだ」
側近「なぁにどや顔してやがんだか……」ハァ
879 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:33:45.14 ID:1cMqDkzrP
姫「どうしたのよ、これ」
魔王「庭で拾った。知る気配の物ではないしな」
魔王「……しかし、用途も加護も解らん」
使用人「魔王様でも解らない物を、どうやって私に知れと言うのですか」
側近「ほんっと無茶苦茶だよなぁ……」ボソ
魔王「側近、聞こえてるぞ…… ……しかしそうか。姫でもわからんか」
姫「ええ……でも、私が何とも思わないって事は」
姫「そう、害のある物だとも思えないけど」
側近「だよなぁ……いらないなら捨てたら?」ヒョイ
使用人「あ、側近様……むやみに触られない方が」
側近「姫様でも大丈夫なんだから、何ともねぇって…… ……?」ドクン
魔王「……側近?」
側近「あ、いや……何でもねぇ」
魔王「?」
姫「可愛いじゃないの。ねえ魔王、貰っても良い?」
魔王「……自分で拾って置いて何だが、やめておけ」
魔王「腹の赤子に影響が無いともいいきれんだろうし」
使用人「そうですね……姫様はやはり、触られない方が無難かと」
姫「えー」
魔王「えー、じゃない…… ……そうだ、姫。ケーキを食べたら」
魔王「久々に庭へ出よう。薔薇が見頃だ」
姫「あら……本当? そうね。天気も良いし、お散歩したいわ」
使用人「そのままで結構ですから、どうぞ」
使用人「陽が落ちると、寒くなって参りますし」
使用人「……お体に触らない時間の内に」
魔王「ああ……そうだな。では、行こうか……姫」
スコーン乙!
ピンクの栞か!?ピンクの栞なのか!?
881 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:38:41.01 ID:1cMqDkzrP
姫「あ、待って……! 使用人、後でおかわりするから」
姫「残して置いて頂戴?」
使用人「畏まりました」クス
側近「…… ……」
使用人「……側近様?どうされたのです?」
側近「……よ、るな…… ……使用人ちゃん……ッ」
使用人「!? どうされました!?」
側近「よるな、って…… ……ッ ゥう……ッ」
使用人(顔色が悪い…… まさか、あの魔石……!?)
使用人「す、すぐに魔王様を……ッ」タ……ッ
側近「ぐ、ぅ……ッ」ガシッグイッ
使用人「きゃ……ッ !?」 バタン!
側近「……ッ」ハァ、ハ……ァ
使用人「お、重……ッ 側近様、だいじょ……ッ ……ん!?」
側近「し、ように…… ちゃ……ッ」チュ、チュ……
使用人「ァ、ちょ……ッ 側近、さ……ま……ッ ン……ッ」チュ
側近「…… ……ッ」スッナデ
使用人「!! ど、どこ、触って……る、んですか!! 風よ!」
ゴォォオ!
側近「え、ちょ……ッ うわ……ッ」
ザクザクザク……ッ
パリン!
側近「…… ……」キョトン
882 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:42:24.08 ID:1cMqDkzrP
側近「……え ……ん? ……!? あれ、俺……」
側近「痛ェ……な、ん、これ……使用人ちゃ……ッ」ハッ
使用人「……さいってー!です! 見損ないました、側近様!」
側近「え、え!?」
使用人「風よ!」
ゴオオオオオオ!
側近「ちょ、ちょっと、ま……ッ ……ッ」
ギャアアアアアアアアアアアアア!
……
………
…………
姫「…… ……?」
魔王「どうした、姫?」
姫「今、側近の悲鳴が聞こえた様な……」
魔王「また壁にでもぶつかったんじゃないのか」
魔王「あいつどんくさいし」
姫「……そ、うかしら……」
魔王「側近の悲鳴が聞こえる事等珍しくないだろう」
姫「まあ、そうね…… ……でも、あの石……」
魔王「そんなに欲しかったのか?」
姫「んー……なんて言うか、確かに変な気配はしなかったんだけど」
姫「何かしらね。ドキドキする様な……」
魔王「どきどき?」
883 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:46:59.57 ID:1cMqDkzrP
姫「ああ、でも……こうやって薔薇を見て可愛い、綺麗って思って」
姫「魅入られる、みたいな感じかしら?」
魔王「可愛い、と言っていたものな」クス
魔王「姫、こっちへ……」パキ
姫「……手折っちゃ可哀想よ」
魔王「こうして……髪に飾ると、栄える」
姫「ふふ……ありがとう。でも、なるべくならそのまま綺麗に咲かせてあげて」
姫「花の命は短いのよ」
魔王「魔石の色に似ているから……代わりだ」
魔王「……もう、しないさ。すまん」
姫「ううん……嬉しいわ……」
姫「さっきの魔石、何だったのかしら……」
魔王「本で探してみたのだが、どうやらイヤラシノマセキと言うらしい」
姫「いやらし……の、魔石? ふぅん……聞いた事無いわね」
ギャアアアアアアアアアアア!
ゴメンナサイゴメンナサイ!シヌ!シヌ!
姫「……なにやってんのかしら、あの二人」
魔王「さあな。まあ……なんだかんだ、仲の良い二人だ」
魔王「心配はいらんだろう」
姫「そうね……私は、貴方と側近の方が仲良しだと思うけど」
魔王「……そうか?」
姫「そうよ……あ、あっちも綺麗よ、魔王!」タタ……
魔王「ああ、こらこら、走るな……全く」フフ
884 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:48:14.94 ID:1cMqDkzrP
その後、本を読んで一生懸命釈明して、どうにか誤解は解けました。
が、側近のおやつは当分、貰えなかったそうです。
おしまい
※いやらしの魔石なんてものはありません
※魔石の本もありません
※全てフィクションです
885 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 13:49:29.62 ID:1cMqDkzrP
おむかえー
側近ェ(・_・、)
さいってー!可愛い
自分はシリーズ通して紫の側近が一番好きだな
BBA乙!
魔王は加護に縛られない…つまり、この魔石の力を遥かに上回るイヤラシ属性の魔法を使える……ゴクリ
889 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 14:32:17.21 ID:zamT+X8o0
紫の瞳の魔王の側近だからこそ成立するんだよなぁ...
使用人ちゃんも他の人には魔法で切りつけないだろうし
890 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 15:16:03.23 ID:1cMqDkzrP
新スレ行こうとしたらはねられたorz
また時間のある時に、近い内に〜
891 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 16:30:26.09 ID:NrPvLdJcP
お疲れええええ
次のもまったりたのしみにしてるわ
892 :
1 ◆Vwu55VjHc4Yj :2013/11/01(金) 16:40:05.36 ID:1cMqDkzrP
BBA乙
894 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 21:16:26.51 ID:mhjOfrUf0
>>884 イヤラシノマセキが登場するとは嬉しすぎる!
ピンクの優れた加護をもっといてよかったw
勝手ながら、ありがとうって言わせてもらいますね
久しぶりの側近みれて楽しかったー
ありがとー
895 :
名も無き被検体774号+:2013/11/01(金) 22:12:38.06 ID:dgqJ5HYU0
やっぱ紫の魔王の側近が1番すきだなぁ
おつ!
次も楽しみにしてる!
乙!
897 :
名も無き被検体774号+:2013/11/02(土) 10:58:31.54 ID:/MKLUlSji
おつ!
さつづきつづき
あれ?って一瞬首を傾げたんだが
紫の魔王の側近は目がチート装備だっただけで
加護は弱いんだっけか。
魔法の才覚とはまた違うようだし
他の登場人物のステータスも気になるところ。
899 :
名も無き被検体774号+:2013/11/02(土) 21:12:22.44 ID:e7PJzKWx0
埋め
900 :
名も無き被検体774号+:2013/11/02(土) 21:52:24.57 ID:fHt47SYn0
わざわざ、あと100を埋めるのか?
そのまま放置でいいんじゃない?
901 :
名も無き被検体774号+:2013/11/02(土) 23:28:52.76 ID:l/Obpj1SP
この辺りで絵師が登場する予感
というか期待
絵師()
>>901 期待すんのはいいけど皆が皆待ってるわけじゃないって毎度若干荒れるじゃん…
905 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 02:26:57.68 ID:lQqAoyCB0
漫画見たくないのは誰かの勝手だし
俺は俺で勝手に見たいと思ってるから期待
どっちを優先するかは絵師と1にしか決められんでしょ
>>903 絵を描く人って他に簡単な呼び方あんの?
906 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 02:38:44.98 ID:WmDdX3lki
一応埋めて次行くってのはマナーじゃなかったっけ?この板では知らんが
907 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 04:52:26.36 ID:uP76HRls0
>>904 それは進行中に絵が晒されると否が応でも目に入るから嫌だとかいう人がいるから荒れるんだろ
今は全く違うシチュエーションじゃんか
908 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 11:21:50.22 ID:BD3CBLpTi
というか話題に出してこうして荒れると絵師が出にくいじゃないか。
おとなしく黙って待っているが良い。
909 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 12:01:43.41 ID:2tut1zKui
埋め
910 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 14:10:12.11 ID:uP76HRls0
そうだな
黙って待つか
ちゅーした時点でみじん切りでも不思議はなかった。
h
913 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 19:58:45.70 ID:Xy+6IljS0
なんか人それぞれのイメージあるよね
俺の側近は全然違うし、使用人はもうちょいスレてるしw
ってか、なんやかんやで一年弱の大作になりつつあるなw
確かに大作だが商業作品とは違う面白さがあるよね
最後まで読ませていただきますスコーン
915 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 21:26:58.31 ID:lQqAoyCB0
書き手と読み手の時点で既に隔たってるもんを
読み手同士なんて尚更一致せんわなw
ありがとうおつかれ 追っかけさせて貰うわ
あ 漫画の話だよ
スコーンにも当然最後まで付いて行く
917 :
名も無き被検体774号+:2013/11/03(日) 21:40:00.76 ID:G6O683PPP
同じ顔をしているって設定は、映像や絵にする時に邪魔な設定だなぁ
今みたいに文字のみだと面白い設定なんだけどね
もう既に登場人物の相関図がこんがらがって分からなくなってきている。
皆把握しきれてる?
919 :
名も無き被検体774号+:2013/11/04(月) 15:33:04.46 ID:s5/rhHS80
>>918 同じ名前が多いからな
世代で整理してみ
俺は大丈夫だから、それが解決になるかわからんけど
>>918 >皆把握しきれてる?
考えるな、感じろ
921 :
名も無き被検体774号+:2013/11/05(火) 02:28:58.11 ID:vO41/WsGi
>>918 それこそ絵師に描いて欲しいな
絵でみりゃ1発なんだけどなあ
過去に相関図とか横長絵とかあったけど
同一人物が世代跨いでたり同名の別人がいたり
923 :
名も無き被検体774号+:2013/11/05(火) 09:33:22.71 ID:FF05/DnW0
エクセルでいいんじゃね?
Googledocsでまとめてみようか
924 :
名も無き被検体774号+:2013/11/05(火) 10:08:46.65 ID:YpHVn3Dri
925 :
名も無き被検体774号+:2013/11/05(火) 10:29:12.60 ID:YpHVn3Dri
>>924 よく考えたら、女魔王は居なかったか…?
双子を産んで勇者は生まれなかったんだっけか(´ω`;)
拒否権のない選択など、から一部と対応してるから三部にしてもいいんじゃないかねぇ
梅
うめうめ
930 :
!ninja:2013/11/07(木) 12:10:11.24 ID:1wHl474li
うめうめうめ
梅〜(´・д・`)
埋めますぞ
933 :
!ninja:2013/11/07(木) 21:50:16.17 ID:DhK6bCB80
埋め尽くす
935 :
!ninja:2013/11/07(木) 23:16:45.45 ID:Wms1RYMr0
うめ
936 :
!ninja:2013/11/08(金) 02:17:12.80 ID:g9ijseRS0
うめうめ
937 :
名も無き被検体774号+:2013/11/08(金) 07:53:10.49 ID:dSvGBrSGi
うめ
938 :
名も無き被検体774号+:
うめずに、もうちょいまとめない?
せっかくだったらさ