「1人のアイドルを妊娠させた。誰一人幸せになれなかった。」
1 :
代行:
少々お話に付き合ってください。
ID:/+sZYRmx0
2 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:13:58.73 ID:/+sZYRmx0
「アイドルを恋愛対象として見たらどうなるか?」
確かにアイドルだって同じ人間だし、
職業上、容姿も整っている人が多いから、
異性として強く意識しすぎると、
恋愛対象として見えてしまうかもしれない。
俺の場合「かもしれない」ではなく、
実際にそう見ていた。
これからする話は、理想と現実の区別がつかず、
毎日葛藤しては、精神的に蝕まれ、
結果的に何も得られなかった、
クズな嘘つきのお話です。
3 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:16:16.74 ID:/+sZYRmx0
何一つまともに成し遂げられない人生だった。
白黒はっきりつけたがる性格は、
時として相当人を狂わせるもので、
その中間地点に落ち付くことを「大人」と表現するなら、
俺は100人居たら99人に「子供」と表現されるだろうな。
自分の弱さを認めず、蓋をして、
嘘偽りで、表面的に自分をコーティングする。
結果得られたものは、ただの虚無感にすぎなかった。
しかし、幼少のころから身に染みついた
この「癖」は厄介なことに、年齢を重ね
肉体的に成長しても消えることは無かったんだ。
4 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:16:19.14 ID:z1XcrML00
まぁ聞くよ
だれか後でまとめてね
6 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:18:24.26 ID:/+sZYRmx0
大学生活2回目の夏休み。
これといったサークルに所属している訳でもなければ、
友達の数が多いわけでもない。
突発的に誰かと遊ぼうとしても、
予定が埋まるのはせいぜい数日間だけだった。
個々の大学で差もあるが、
平均して大学の夏休みは約2か月ある。
友達の数も少なく、バイトすらしていなかった俺は、
膨大な時間を只々持て余していた。
そして俺は自然とバイトを探すようになる。
何か目的があって貯金の必要性が出てきたわけではなく、
単に何もすることが無く、この膨大な時間を潰したいがために。
7 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:20:32.15 ID:/+sZYRmx0
淡々とアルバイトの面接を受ける中で、
オープニングを来月に控えている
とあるカフェのアルバイトに採用された。
この場所で俺は自身の運命を変えてくれる女性
「のどか」と出会ったんだ。
SS
9 :
【たにし】 :2013/06/18(火) 13:31:33.86 ID:LOY2BJH40
アフィに乗りそうなスレがあったら↓をコピペするといい
赤レスがたくさんあると編集の時などにかなり厄介になるぞ!
名前欄や本文に「クリックお願いします」などの文は↓ほど効果はないぞ!
でもやっておいて損はないぞ!
>>1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄ .. \ ( E)
フ ア.フ.ィ /ヽ ヽ_//
>>21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄ .. \ ( E)
フ ア.フ.ィ /ヽ ヽ_//
>>41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄ .. \ ( E)
フ ア.フ.ィ /ヽ ヽ_//
>>61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄ .. \ ( E)
フ ア.フ.ィ /ヽ ヽ_//
>>81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄.. \ ( E)
フ ア.フ.ィ /ヽ ヽ_//
10 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 13:43:28.09 ID:+W4XZIFw0
これはゲーセンだな
なんだ、アイマススレじゃないのか…
12 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 16:03:02.11 ID:/+sZYRmx0
カフェでのアルバイトの体験談を語らせてもらうと、
初期に覚えることは多岐にわたる。
慣れない内は非常に頭を使う職業だった。
そんな生活でも、一人で家で暇を潰すよりは、
何千倍、何万倍と満足感を得られたし、
アルバイト同士の人間関係も円滑に進んでいた。
7月の終わりごろの事だっけな。
無事にバイトも見つかって、尚且つ満足感も得られて
それまで、自分の居場所を模索していた俺にとって
唯一救いの場所のように感じてたんだ。
何もかもが上手くいくようなそんな気さえした。
14 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 16:06:14.42 ID:/+sZYRmx0
8月中旬。
ある程度仕事の触りの部分にも慣れ始めてきたころ、
俺は自分とよくシフトが被る、従業員の女の子が気になり始めていた。
整った顔立ちに、セミロングの綺麗な黒髪。
同じ職場内なのに、仕事以外の会話をした事はなく、
そもそも名前すら知らない事に気づき、
そう思った時には既にその子に話しかけていた。
「○○っていいます、お名前教えて貰ってもいいですか?」
ぼそっと呟くような声で。
その子は「のどか」の三文字を口から発した。
げんふうけいか
16 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 16:12:16.84 ID:/+sZYRmx0
正直驚いたよ、その時は。
こういう状況下で自身の下の名前を伝えられるだなんて
思ってもいなかったし、只々困惑してしまった気がする。
気不味い雰囲気が続くのは耐えられなかったので
「そっか…宜しくね。のどかさん」
だなんて、無理に慣れない笑顔を作ったけれども。
17 :
名も無き被検体774号+:2013/06/18(火) 16:23:41.23 ID:/+sZYRmx0
この日は、名前以上の情報を得ることはなく、
ましてや連絡先を交換することもなく、
仕事中は、仕事内容以外では俺はのどかと口を聞かなかった。
店が忙しいのは勿論あったが、
人づきあいが苦手な自分にとって、
のどかみたいなミステリアスな雰囲気を出す女の子は
この上なく関わりにくい相手であったからだ。
ただ、初めて私用で言葉を交わしたその時から、
のどかの事がいつも頭の片隅から離れなかった。
きっと、今までがあまりにも孤独であったがために、
恋に恋してるのかな…くらいでしか考えていなかったが。
読んでるよ〜
頑張って!
もしかして前回のアイドルスレの人かな?
がんばれー
>>10 俺も思った
書き方が創作くせえんだよな
まぁ真偽はどうあれ読み物として期待してるよ
つづきはよ
SSだから創作で当たり前。はよ
22 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 16:53:53.26 ID:DXJY708P0
展開が進んだのは、9月の中旬。
のどかに話し掛けてから、更に一ヶ月が経過していた。
その日はバイトが入っていなかったので、
俺は久々に1人の時間を満喫しようと考えていたんだ。
だが、そんな希望も簡単に打ち砕かれるわけで、
普段殆ど鳴らない俺の携帯電話に着信が入った。
「あ、もしもし○○くん?今日仕事出れないかな?
のどかちゃんが、急用入っちゃったみたいで
来れなくなっちゃったんだよ。
23 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 16:55:58.16 ID:DXJY708P0
“のどか”というワードに反射的に反応してしまった俺は
あまり事態を把握していないままに、
気付けばバイト先へと足を向けていた。
のどかは遅刻も、欠勤も全く聞かない
真面目な印象しかなかったので、
ほぼ自分勝手な直感ではあるが、
もしかしたら、のどかに何かあったのかもしれない…と。
まともな会話をしたことが無い人のことを
ここまで考える自分も、中々馬鹿だなーと思ったけれど、
この時は自分でもよくわからないままに、
のどかの事が頭から離れなかったんだ。
24 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 17:10:35.77 ID:DXJY708P0
「本当ありがとねー○○くん。
○○くんが来てくれなかったら、僕ひとりで
お店をまわさなきゃいけなかったよー。」
その日は平日ではあったが、店内は通常よりも混み合っていた。
店内は冷房が効いていたが、店の忙しさを物語るかのように、
店長の額からは汗が滝のように流れ出していた。
「いえいえ。他にする事も無かったですし。
のどかさん…何かあったんですか?」
出来るだけ自然な流れでこの質問を出したつもりだった。
店長には申し訳ないが、店がどれ程忙しかろうと、
また、店長がどれ程疲れていようが
今の俺にはまるで関係がなかったんだ。
“のどかに何があったのか”
俺が知りたかったのは、単純にこれだけだった。
25 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 17:14:45.73 ID:DXJY708P0
「うーん…なんか急にライブが入っちゃったみたいでね。」
店長から返ってきた言葉は予想外なものであった。
ライブ?のどかが…?? あの大人しそうな子が?
あまりにも予想外すぎて、俺は自分の思考が
全くと言っていいほど状況に追い付いていないことに気づき、
改めて俺は、のどかの事を何も知らないんだな。って思えたんだ
そんな俺の思考を読んでか、読まずにか、
店長の口から発せられた言葉は、またしても
俺の思考を状況に適応させるものでは無かった。
「あの子ね…アイドルやってるみたいなのよ……」
26 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 17:17:22.84 ID:DXJY708P0
「アイドル……か……」
驚きよりも何よりも先に、湧き上がった感情は、
のどかは自分と全く違う世界で生きているという、
一種の疎外感の様なものだった。
他人から遠ざけられ、人から好かれる経験など、
ほぼ皆無であった自分にとって、
人から好かれ、応援され、愛され…
そんな“アイドル”という職業にのどかが就いているという事実は
中々受け止めがたいものであった。
と、同時に今までのどかにそれとなく抱いていた
恋愛感情だか何だか良くわからないものが
急速に薄れていく気がしたんだ。
27 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 17:20:28.68 ID:oYRcvO/Xi
げんふうけいではない
前に見たアイドルスレの文体でもない
なんでもいいけど支援
28 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 19:26:03.52 ID:DXJY708P0
(まただ…またこの感情だ…)
「考える」という行為は、時として+に、−に働きかけてくるもので、
自分の場合は後者の方が多かった。
知らなくてもいいことを知り、
見なくてもいい部分を見てしまい、
急速にその現象に対して興味が薄れていく。
幾度となく経験してきたこの感情は、
経験するたびに精神が擦り減っていくような
不快な“何か”を自分にもたらしていた。
その日いつものように、自分の仕事をこなしはしたが、
不思議なことに、普段得られた様な
満足感、充実感の類は一つも得られなかったんだ。
つくづく自分という人間は面倒くさいなって思うよ。
でも、運命ってのは残酷なもので
ここで簡単に飽きさせてはくれなかったんだ。
次の日のバイト。
俺はのどかとシフトがモロに被っていた。
29 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 19:29:34.50 ID:DXJY708P0
「昨日は代わって頂いたみたいで…」
相変わらずボソッとした声で、のどかは頭を俺に下げる。
改めてのどかの顔を見ることになったが、
相変わらず顔のパーツは綺麗に整っていた。
また、バイトの制服から垣間見える、
手足は驚くように白く、それでいて細かった。
昨日冷めかけたはずの、感情が湧き上がってくるように感じて、
俺は急いで僅かながらの理性でそれを抑え付けた。
いや、正確に言うと「抑え付けようとした」
だが、欲望には逆らえないもので、
気付いた瞬間には既にのどかに、話し掛けていた。
「アイドル…やってるんだよね…?」
次の瞬間のどかは、一瞬何かを諦めたような表情を示した。
それは見間違いだったのか分からないが、
気付けば、のどかは今までに見せたことが無いような笑顔で
アイドルとしての経験談を俺に語ってくれた。
30 :
名も無き被検体774号+:2013/06/19(水) 19:32:02.11 ID:DXJY708P0
ファンの事。アイドル仲間の事。自分の失敗談、成功談。
どれを取っても、初めて聞く話で、新鮮だった。
でも、どうしてだろうね。
俺はその話を聞いて、素直に喜べなかったんだ。
物心ついた時から、他人の顔色ばかり伺っていた自分は、
いつしか人の機嫌を取る笑いしか出来なくなっていた。
今のどかが俺に見せているのは、まさにそれだった。
笑っているようで笑っていない。
これは何かに対して、半ば諦めかけている人間がする
特徴的な癖のようなものだった。
「何で…そんな辛そうに話すの?」
言わなくてもいい質問を俺はのどかに投げかけた。
こういう所つくづく、面倒くさいなって嫌になるよ。
31 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 18:45:41.13 ID:biBVX0Yf0
それまで、表面的な笑顔で淡々と語っていた
のどかの口がピタリと止まった。
しばらくの間、のどかは俺の目を見つめ、後に、
それまでとは一変した表情で言葉を発した。
「あたしの何が分かるの…?」
その眼は何よりも暗くて、何かを諦めかけている眼で
それでいて自分と同じ眼だった。
沈黙を切り開いたのは、客から言われた
「すみません…。」の一言だった。
すっかり忘れていたが、俺たちは今勤務中だったのだ。
慌てて仕事に戻るも、俺とのどかの間に流れる空気は
とてもじゃないが澄み渡っているとは言えなかった。
32 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 18:47:51.18 ID:biBVX0Yf0
午後20:30。
空はすっかりと暗くなっていて、
時刻は夜ではあったが、夏という事もあり
空気は生温かった。
その日俺とのどかはほぼ同時刻に勤務が終了し、
お互い更衣室で制服から私服に着替え、
今にも帰ろうとしている最中だった。
何故だか分からない。本当にどうしてだか分からないんだけど、
のどかと話すなら、今しかないんだって思ったんだよ。
帰宅の路を歩もうとしていた、のどかに
「今日…ご飯でも行かないかな?」
なんて、目も見る事ができずに駄目元で提案したんだ。
即答で「分かった…。」なんて言われた時は、
飛び上がりたくなるほど嬉しかったよ。
今度ばかりは理性で抑え付けたんだけどね。
33 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 18:50:13.21 ID:biBVX0Yf0
都内某所の居酒屋。
俺とのどかはテーブル越しに向かい合って座っていた。
相変わらず気不味い空気はお互いの間を行き来していたものの、
自分から誘っておいて何も切り出さないのもな…と思い
俺は口を開いた。
「さっきはいきなり変な事言ってごめんね。
ただ…何か辛そうだったからさ。
折角お酒の場に来たんだし、何か溜め込んでるなら聞くよ。」
今思えばこの台詞が引き金だったんだろうな。
俺は、分かってなかったんだ。
“それ”を飲めるようになってから日が浅かったのもある
“それ”を飲む機会があまり無かったのもある。
“それ”を飲んだ人がどうなるのか知らなかった点もある。
ここから先。俺は「酒」の恐ろしさを嫌という程知ることになるんだ。
34 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 19:02:05.48 ID:biBVX0Yf0
お互い3杯くらいお酒を飲んだ時くらいかな。
俺の目の前にいるのどかは、
俺が知っている彼女ではなかった。
テーブル越しに俺の手をずっと握っていて、
今にも寝そうなその目で俺を見つめ続け、
おまけに小声で、「そばに居て…」って言葉を繰り返す。
一瞬でも気を抜いたら全ての理性が吹き飛びそうだった。
酒を飲むと確かに気分が高揚する。
だが、ここまで人を変えるのは、
やはり本人に何か溜め込んでるものがあっての事だろうか?
俺は再びのどかに対して、
「何があったの……?」と語りかけた。
35 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 19:20:41.20 ID:biBVX0Yf0
か細い手で、それでもぎゅっと力を込めて。
のどかは俺の手を握りながら、話し始めた。
「アイドルってね…好きって言われるだけの仕事じゃないの。」
俺が相槌を打つよりも先にのどかは話を続けた。
「例えばね…
暗い目でそう呟いて、のどかは重い口を開く。
例えば、SNS上で誹謗中傷されたり。
例えば、自分のファンが、他のアイドルに移っちゃったり。
例えば、自分のファンから辛いこと言われちゃったり。
時には、新しく出てきたアイドルに危機感覚えたり。
時には、アイドル同士の人間関係が上手くいかなかったり。
時には、このままで良いのかな…って将来設計に悩んだり。
それでも自分がやりたい事だから、
いつも笑顔でいなきゃいけなくて。
もちろん楽しいことも多いし、幸せな気分にもなれる。
それでも、精神的に蝕まれることも多くて、
だから毎日、毎日悩んじゃって。
気付けば、作り笑いばっかり上手くなっちゃって。
本当に笑うってこと出来なくなっちゃったんだ。」
のどかが話し出してから、20分程経過していた頃。
既にのどかの目は、大粒の涙で溢れかえっていた。
36 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 19:26:22.74 ID:FiWEJKIp0
C
37 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 19:55:14.30 ID:biBVX0Yf0
「一番辛いのはね……
大粒の涙をテーブルにこぼしながら、のどかは話を続けた。
最初ファンの人って決まって、
「のどかちゃんが推しだから」とか、
「のどかの為にLIVE見に行くね」とか言ってくれるんだ。
でも、時が経てば他に可愛くて面白いアイドルの子がどんどん出てきて。
今まで自分のファンだと思ってた人がそっちに行っちゃったりして。
ほら…あたしさ…アイドルやってるからさ…
そういう事って受け止めなきゃいけないんだと思うけどさ…
でもあたしはアイドル以前に一人の女の子なんだよ?
辛いこと言われたら落ち込むし、
自分のファンが別の子に行っちゃったら胸が苦しくなるし。
それでも毎日笑顔で居続けなきゃいけないからさ……。
やっぱあたしってアイドル向いてないのかな?」
既にのどかの目は真っ赤に充血していて、
鼻を啜りながら、のどかは俺に眼差しを向けた。
38 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 20:11:15.44 ID:vSIaxB5p0
遅い
39 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 20:13:20.73 ID:FiWEJKIp0
書き溜めてないのか
40 :
名も無き被検体774号+:2013/06/20(木) 22:08:33.68 ID:FiWEJKIp0
続きはよ
41 :
名も無き被検体774号+:2013/06/21(金) 16:20:56.11 ID:OxDwnBwx0
支援上げ
まだか
43 :
名も無き被検体774号+:2013/06/22(土) 13:43:41.31 ID:fccs0qV00
支援
44 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:24:13.41 ID:/9O/xK7r0
「…………」
俺は慎重に言葉を選んだ。
今、間違いなくのどかは本音の部分で話をしている。
なら、根拠のない「大丈夫だよ。」はのどかにとって逆効果であろう。
(それなら…今ののどかにとって必要な言葉は…)
極限の状態で頭をフルに活用させ、
俺は重い口を開き、言葉を紡いだ。
「これから先…のどかはもっと困難な事に立ち向かわなきゃいけないと思う」
45 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:26:16.26 ID:/9O/xK7r0
「それだからこそね…のどか。
俺は、のどかの手を握り返しながら、彼女に言葉を投げかける。
だからこそ…今のどかを好きでいてくれてるファンを、
のどかを応援して、支えてくれてる方達をより大事にしてほしい。
人の中には、1人で何でも解決しちゃう人だって居るけどね、
でもそれは極稀なケースだし、
基本的には人は悩む生き物なんだって思うよ。
だから、そういう時に一人でも多く、
自分を助けてくれる人たちを作ってほしいんだ。
自分が誰かを大事にしてると、
大事にされた側も、きっとのどかに同じ気持ちを返してくれるよ。
溜め込みすぎないで。
また何かあったらいつでも聞くからさ。
応援してるよ。のどかのこと。」
最後に「同じバイト仲間として…」と、照れ笑いで付け足しながら。
46 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:28:24.51 ID:/9O/xK7r0
改めて思い返すと、クサかったかなーって思うよ。
もうそれは、それは香ばしい台詞かなって。
でも、のどかの方に視線を向けると、
驚いた様に俺を見つめ、
今度はちゃんとした笑顔を俺に見せてくれたんだ。
(ああ…そうだったんだ……)
その瞬間、改めて彼女の事が好きなんだってことを自覚できた。
どんな些細なことでも、支えてあげたいって思えたんだ。
47 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:30:38.60 ID:/9O/xK7r0
お互いもう3杯程、お酒を追加してさ。
家族の事、お互いの地元の事、その他諸々の話題で談笑しつつ、
その日は、解散することにしたんだ。
駅まで向かう、帰り道の途中、のどかから
「連絡先…交換する…??」って言われた時は、
光の速さで携帯電話を取り出したよ。
その日家に着いた瞬間、
慣れないことをしたせいか、一気に疲れが押し寄せてきて、
のどかに「今日はお疲れ様。」だなんて、
単調なメールを送った次の瞬間には、眠りについていた。
48 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:32:46.21 ID:/9O/xK7r0
それからというもののね。
1日に送る数こそ少ないものの、
のどかとは毎日欠かさずメールが続いたんだ。
そのメールの中で、
のどかは「地下アイドル」と呼ばれる存在である事を知り、
全くと言っていいほど、アイドル関連の知識が無かった俺は
その道に精通している古くからの友人を呼び出した。
とある日の放課後。
「コロネ」という通り名で知られる、小太りのそいつは
俺の前に、姿を現した。
49 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:34:47.53 ID:/9O/xK7r0
「珍しいね…コミュ障の○○から僕に話があるだなんて……」
コロネは相変わらず棘のある言い方で、
俺を挑発しては、反応を伺った。
だが、今はコロネの安い挑発に乗っている場合ではなかった。
俺は迷うことなく、本題に入ろうと決意する。
「地下アイドルに関して詳しく教えてほしい」
次の瞬間、今までに見たことの無いような、
人を嘲るような笑みで、コロネは僕を一瞥した後、
「そうか…ついに○○もこっち側の人間か……」
などと、独り言の類を繰り返しては、
俺を挑発することに満足したのか、
ついに言葉を発し始めた。
50 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:36:21.29 ID:I5nc+HXp0
はよ
51 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:36:54.82 ID:/9O/xK7r0
「まぁ本当にざっくり言うと……
コロネは自身のうねった前髪を、指で弄りながら
もったいぶるように話を続けた。
AKBやももクロ…その他有名アイドルみたいに、
メディアの露出が激しい訳じゃないけど、
ライブ会場等で、LIVE中心に活動してるのが
「地下アイドル」ってものかな…。
大手のアイドルみたいにメディア露出が少ない分、
ファンの数も自ずと少なくなってっくるから、
その分、目当てのアイドルとじっくり関われるのも利点だね。
LIVEが終わった後には大抵「物販」ってのがあってさ。
そこで、地下アイドルたちが直接グッズを売ってくれたり、
一緒に写真を撮れる「チェキ撮影」ってのもあるんだ。」
普段は嫌みったらしい奴だが、
相変わらずコロネの説明は理解しやすかった。
俺は、淡々と相槌を打ち、
コロネに「続けてくれ。」と促した。
52 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:39:16.40 ID:/9O/xK7r0
「これは大手だろうが、地下だろうが同じなんだけどね…
コロネは前髪を弄ることに飽きたのか、
今度は無造作に生えた自身のアゴ髭を抜きながら言葉を続けた。
どこのアイドルグループでもね、
ファンがいる以上、ファン同士での交流だって
盛んに行われてるんだ。
一つのアイドルを応援してるってことで結託して。
年齢も、職業も、性別も。
様々な人たちと関わることができる。
このアイドルグループの応援団、ファンは
「現場」って称されることが多くてね。
中には、別の「現場」同士で
交流してるところだってあるくらいだよ。
「アイドル」「現場」そして「LIVE」
この3つが合わさった時の一体感は、
もう言葉じゃ言い表せないよね……。
どう?○○も、地下アイドルに興味持ってくれた?」
53 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:41:25.55 ID:/9O/xK7r0
俺はひとしきり話を終えたコロネに、
素直に称賛の拍手を送りつつ、
言葉を発しようとした。
しかし、そんな俺の言葉を、コロネは
見計らったように、大声を出して遮った。
「君にはもう一つ知って貰いたい事があるんだよね」
幼い頃から人の顔色を伺う癖が付いていた俺は、
コロネが次に話す事が、本題であると直感した。
「ガチ恋界隈……迷惑なのが出てきたもんだよ。」
コロネは哀愁の笑みを顔に浮かべ、
吐き捨てるようにつぶやいた。
54 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:43:27.54 ID:/9O/xK7r0
「○○は、アイドルを恋愛対象として見てしまうと思うか?
コロネのこの質問は俺にとってタイムリーだった。
俺は何も言い返すことが出来ず、
只々コロネの言葉に耳を傾ける。
地下だからこそな…目当てのアイドルと
じっくり関われるって僕はさっき言ったよね?
でもそれには短所もあってね。
相手を「アイドル」だって割り切れなくなる人が出てきたんだ。
毎日の様にLIVEに行って、
毎日の様にお話して、
毎日web上で絡んで。
いつしか相手が「友達」の様に思えてくるらしくてさ…
男の場合、「あいつを支えたい」なんて甘い言葉で、
何だかんだアイドルに下心で接してる奴の多い事、多い事。
そういう奴はさ…
アイドルと「付き合った」「SEXした」って
称号が欲しいだけなんだよな。
外見ばっか見て、内面なんて見向きもしない。
言い方は悪いけど、そういう迷惑な奴を僕は、
“ガチ恋界隈”って呼んでいるんだ 」
55 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:45:34.25 ID:/9O/xK7r0
「でも…それってよ…ある意味で仕方ないんじゃないのか?」
俺はコロネに純粋な疑問を投げかけた。
「アイドル」という職業上、容姿が優れているかどうかは
大きな要因に成らざるを得ないのではないだろうか?
では、そこに対して男性が、「性的魅力」を感じてしまうのは
ごくごく自然で、むしろ必然的なことではないのか?
「じゃあその“自然な感情”で……
コロネは、半ば呆れたような表情で
俺の質問を、新たな質問で返した。
アイドルの子の人生終わらせてもいいの?」
56 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:47:40.94 ID:/9O/xK7r0
「仮に、その人の恋が上手くいってさ…
コロネは声の調子を高めて、言葉を続けた。
じゃあアイドルとその人が付き合えたとするね。
それで満足するのは紛れもないその人自身だけだよね?
純粋なファンは溜まったもんじゃいよね?
また、仮にその付き合いが世間にバレた時にはさ、
決まって誹謗中傷されるのはアイドル側の方なんだよ?
一時的な恋愛感情で、その子が積み上げてきたもの
全部、全部壊しちゃうことになるんだよ?
だから、アイドルとの間に一線引けずに、
「ガチ恋、ガチ恋」って言う奴は、
迷惑以外の何物でもないんだ。
ここまで聞いて、○○はまだ“ガチ恋”を肯定するのかい?」
57 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:49:50.41 ID:/9O/xK7r0
しばらく俺は言葉を発することができなかった。
それは、のどかに対して恋愛感情を向けていたからか。
また、コロネの言うことが芯を突いていたからなのか。
どちらにしろ、自分の中で
様々な感情が渦巻き、葛藤して、
コロネの顔も見れずに、只々俯く事しかできなかった。
「君のことだし、どうせアイドルに恋でもしたんだろう?」
コロネは、全てお見通しといった表情で
俺の顔を覗き込んでいた。
だが、その行為も俺が何も言葉を発せないと分かると、
コロネは一言「自分で考えなよ。」とだけ俺に残し、
その場を静かに去って行った。
58 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 20:51:56.96 ID:/9O/xK7r0
コロネと話したその日以来。
俺は何も考えずに、只々下を俯く日々が続いていた。
相変わらずのどかとのメールのやり取りは
毎日続いては居たものの、
以前のような昂揚感を得ることは無かった。
いや…得たくても得ることが出来なかった。
のどかを支えてあげたいと思う感情と、
アイドルに恋愛感情を抱いてはいけないという常識が
自分の中で戦っては決着もつかず、気付けば
精神的に疲弊していく毎日だけが残った。
でもね……運命の日ってのは突然やってくるものでさ。
10月半ばのある日。
その日、俺はのどかと肉体関係を持つことになる。
59 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 23:17:28.90 ID:3P9LfJkF0
おもしろいよ
60 :
名も無き被検体774号+:2013/06/23(日) 23:24:09.19 ID:XzwvhlaL0
このすれくっせえな
つづけろください
61 :
名も無き被検体774号+:2013/06/24(月) 01:36:13.34 ID:M8xJSHFB0
パンツ風船に付けて飛ばした
62 :
名も無き被検体774号+:2013/06/24(月) 13:41:28.28 ID:fzoXLyBsI
おもしろいよ
はよ
63 :
名も無き被検体774号+:2013/06/24(月) 21:26:57.38 ID:oDYNy0tI0
文章引き込まれるねー、
はよ。
64 :
名も無き被検体774号+:2013/06/24(月) 21:35:37.84 ID:IB5/Ycp0O
げんふうけい?
C
66 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:22:35.71 ID:40djJ6hF0
普段と何も変わりのない1日だった。
世間的には休日だが、俺はバイトに向かい、
いつも通り、のどかとシフトが被り、
いつも通り、のどかと共に働き、
いつも通り、のどかと談笑して。
いつもと一つ違ったのは、
何よりも満足感を得られるはずの、
のどかとの会話の中で、只々葛藤が生まれ。
のどかに優しくされる度に、某日の
コロネの言葉が頭の中で反芻した。
(もうこれ以上優しくしないでくれよ……)
あれ程待ち望んでいた、のどかと共に過ごせる時間が、
初めて自分の中で辛く感じたんだ。
67 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:25:42.61 ID:40djJ6hF0
「○○くん…何かあったの??」
バイト上がりのロッカー室。
お互い私服に着替え、後は帰宅の路を歩むだけの時、
俺はのどかに、歩みを止められた。
「ううん、大丈夫だよ。」
俺がその時、のどかに見せた笑みは、
あれ程まで自分が嫌っていた、
他人の顔色を伺う“それ”そのものだった。
「目……笑ってないよ……?」
のどかは微笑を顔に浮かべ、俺の元へと歩み寄り、
「今度はあたしが話聞く番だよ?」と耳元で囁いた。
その気遣いは何よりも嬉しかったよ。
だからこそ、もう止めてほしかったんだ。
これ以上は、本当に自分を抑えれなくなるから。
68 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:27:56.18 ID:40djJ6hF0
都内某所の居酒屋。
初めて、のどかと真面目に会話をした場所。
奇遇なことに、以前と同じ席に通され、
俺とのどかは、お酒を口にした。
今思えば、この時に飲んだ酒が全てだった。
以前あれ程、学習したはずだったのにね。
お酒は人のリミッターを簡単に外しちゃうって。
69 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:29:59.77 ID:40djJ6hF0
初めに言葉を発したのはのどかの方だった。
「あたしね…アイドル辞めようと思うんだ…」
俺の話を聞いてくれるんじゃなかったのかな?って
一瞬その思考が頭をよぎったりもしたけど、
のどかのその発言は聞き逃せないものだったし、
俺は素直に「どうして…?」と尋ねた。
のどかは既に目を涙で濡らしつつ言葉を続けた。
「アイドルとして今いけない事してるんだ。
ファンの皆も、ママも、家族の皆も
そして…○○くんも裏切っちゃってる。」
70 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:32:03.83 ID:40djJ6hF0
これ以上は踏み込んじゃいけない気がしたんだ。
20年間生きてきて、それなりの人生経験も積んできた。
知らなくてもいいこと。
言わなくてもいいこと。
そういう事のせいで、一気に興味が冷めたり、
怒り、憎しみ、嫉妬、そんな感情が芽生えたり。
おそらく今からのどかが話すことは、
俺は知らなくてもいいはずなんだ。
だから今すぐにでも「言わなくていいよ」って
1言添えれば良かったんだ。
全部、全部「過去形」。俺は何も言えなかったよ。
知らなくてもいいのに。知りたかったんだ。
理性は、「酒」と「恋愛感情」に打ち消されていた。
71 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:32:18.84 ID:6hZr8oICP
C
72 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:34:39.57 ID:40djJ6hF0
「○○くん…あたしが以前話したこと覚えてる?
俺は、「勿論」と一言添え、のどかに続きを促した。
アイドルやっててさ…もう2年になるんだけどね…
色んな人のこと信じては裏切られ、
また再び信じては、今度は見放され。
そんな生活続けてたら、疲れちゃって…。
それでね…、
あたしは何かにすがらなきゃ壊れちゃいそうでさ…
1人の男の人に依存しちゃったの。」
73 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:36:50.87 ID:40djJ6hF0
「その人はあたしの初期の頃からのファンの人で……
のどかは俺の目も見ず、酒を口に入れながら続けた。
いつも欲しい言葉を、欲しい時にくれてさ…
辛いことも多いアイドル生活の中で、
その人が本当に支えになってくれてたのね。
おかげで毎日頑張ろうって思えてさ。
でもね…毎日すり減ってると、限界が来ちゃってね。
去年の今ぐらいのときかな…?
あたしは全てを忘れたかっんだ。
自分勝手だよね……楽になりたかったのね。
それでその人の元へと向かったの。
家に行ったって意味ね。」
74 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:39:02.97 ID:40djJ6hF0
「前から好きって言葉は言われてたんだけどね……
既にのどかの目は病みきっていて、
俺は只々耳を傾けることしか出来なかった。
最初はさ「ファンとして好き」って意味だったよ?
でも段々と本気になってくれてたみたいでね…。
ある日のLIVE終わり。
渡された手紙に電話番号が書いてあったの。
あたしは……アイドルやってるからさ…
割り切らなきゃいけなかったんだよね……
でも、毎日、毎日心臓が痛くてさ…
本当に何か、支えになるものが欲しかったんだ…。
あたしって本当馬鹿だよ……ね。
ファンの人と一線超えちゃったんだ…。」
75 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:41:32.79 ID:40djJ6hF0
「どうしたら良いか本当にわからなかったの……
それはのどかの声にならない叫び、嗚咽だった。
こんな事バレたらさ…アイドル生活終わっちゃうしさ…
グループの皆にだって迷惑かけちゃうしさ…
でも一人じゃ抱えきれなかったの…っ。
こんなにも弱い人間なんだなって思ったんだ。」
既にのどかは声を上げて涙を流していて。
俺はこの状況で。何一つ言葉を発せない
自分が只々情けなかった。
何も言えずに拳を握りしめて。
只々俯いていた。
76 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:47:10.85 ID:40djJ6hF0
何も言えない時間だけが自分にのしかかっていて。
のどかはひたすらに、涙を流していて。
居酒屋の壁掛け時計の秒針の音が、
やけに大きく自分の中で響いていて。
何故自分は何も言えないのだろう?
それはのどかに対する恋愛感情からか?
それとも、今の話への失望からだろうか?
はたまた、その男への嫉妬であろうか?
どちらにせよ。考えるという行為自体
この時の自分にとっては億劫になっていてさ。
「ごめんね。」って小さく呟いて。
俺は考えることを放棄した。
77 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:51:13.62 ID:40djJ6hF0
その一言がきっかけになったからであろうか。
お互いほぼ同じタイミングで
自身の荷物をまとめだし、
無言で会計を済ませ、居酒屋を後にした。
駅まで向かう路の途中。
俺は何故だかこのままのどかと別れたら
もう二度と会えない気がして。
それでも足が止まらない自分がいて。
ついには耐えられなくなり、
涙が出そうになったその瞬間、
のどかが、俺の服の袖をつかんだ。
「あたしの家…来てほしい……」
78 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:54:44.14 ID:40djJ6hF0
俺がのどかの元へ振り向いたとき。
既にのどかは何かを決意した顔をしていて。
俺の目を見て、小さく頷く素振りを見せた。
このまま家に向かうという行為が
何を示しているか自分では理解していた。
のどかの事をもっと理解できるかもしれないが、
その行為は、のどかの過去を一緒に背負うということ。
その行為は、依存を深めるだけだということ。
全部全部わかっていたのに、
自分の中では既に決意は固まっていてさ。
「分かった」と俺は一言のどかに伝え、
俺たちはのどかの家へと向かった。
79 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:57:25.74 ID:40djJ6hF0
朝。窓から入り込んだ日光の明るさで目が覚め、
俺はいつも通り、ゆっくりと体を起こす。
唯一つ、いつもと違うのは、
俺の横で寝息を立てて寝ている
一人の女の子がいて。
その光景は、昨晩起こった出来事が事実であったと、
俺に自覚させるには、充分であった。
これから先…
途方もない量の困難、ストレス
その他様々な現実に対して
俺達は立ち向かわなければならない。
でも今は…今はこの目の前の幸せを……。
俺は一言のどかに「好きだよ」と呟き、
再び目を閉じ、眠りについた。
80 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 21:59:33.11 ID:40djJ6hF0
おしまい。
81 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 22:02:26.57 ID:40djJ6hF0
亀レスに付き合ってくださりありがとうございました。
話としてはここで終わらせておきます。
余談ですが、自分は「げんふうけい」様ではありません。
今はただの1地下ドルヲタです(笑)
82 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 22:03:30.74 ID:PCt91w2kI
続きないの?
83 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 22:09:52.58 ID:40djJ6hF0
>>82 続きは用意してはいますが、
後の展開を想像して頂きたいので、需要次第ですかね。
84 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 22:13:13.79 ID:PCt91w2kI
スレタイ通り妊娠させてからが見たかったのに。。。
アイドルやめる、ファンから二人とも叩かれる。。
86 :
名も無き被検体774号+:2013/06/25(火) 22:40:39.80 ID:CVsxi7zY0
結論最初にもってきてくれないかな
87 :
名も無き被検体774号+:2013/06/26(水) 11:00:36.62 ID:Ju5vnO1n0
この終わり方で良かったと思うよー。
お疲れー!
88 :
名も無き被検体774号+:2013/06/26(水) 11:06:57.42 ID:Ju5vnO1n0
そもそもこのスレびっぷらじゃなくて、
アイドル板に立てれば良かったのに(笑)
まだ続いてたのかw
終わったけどな。
91 :
名も無き被検体774号+:2013/06/27(木) 21:43:10.46 ID:GPAtvTnu0
続きはよ
93 :
名も無き被検体774号+:2013/06/30(日) 05:56:19.61 ID:RmZBGSLO0
続きまだー?
94 :
名も無き被検体774号+:2013/06/30(日) 07:39:23.06 ID:3p35/sWwO
ごめん、脳内で神崎かおりに変換されてしまう
95 :
名も無き被検体774号+:2013/07/01(月) 23:55:53.86 ID:vKiNeHIs0
続き読みたい
スーパーガールズの濃なんのかって人?
97 :
名も無き被検体774号+:
続き待ち