魔王「私が勇者になる……だと?」 【2】

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11 ◆6IywhsJ167pP
魔王「私が勇者になる……だと?」の続きです
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1364816859/
2名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 11:59:42.59 ID:F64CeYDc0
つまらん死ね
31 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 12:01:52.49 ID:HUmPmEEcP
側近(取りあえず……宿か)キィ
側近「すまん、部屋は開いてるか?」
宿屋「あ〜……すみません、先ほど一杯に」
側近「……まじで?」
宿屋「はい……申し訳ない」
側近「いや、まあ……そりゃ仕方ないな」
宿屋「明日、商船が来るってんでね……人が多くて」
側近「ああ……そういえば酒場の店主も言ってたな」
宿屋「ええ、船に乗る人達も多いんですよ」
側近「成る程ね……いや、ありがとな」
宿屋「またお願いします」

パタン

側近(まーじーかーよ……しかし、な)
側近(教会か……いやいやいや)
側近(取りあえず酒場に戻るか。飯も食わんといかんし)
側近(隙を見て……夜半になれば転移できるタイミングもあるかもしれん)
41 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 12:10:12.48 ID:HUmPmEEcP
側近「……」コソ
店主「お……なんだ戻って来たのか?やっぱり」アハハ
側近「いや、まあ……神父様に止められて、な」
店主「そりゃそうだろうよ。日暮れ時からあの山超えようなんて」
店主「……自殺行為だって。ほれ、ミルク」
側近「お、おう……サンキュ」
側近「ついでに何か飯作ってくれよ」
店主「なんだ、宿取ったのか結局」
側近「いや、開いてなくてな……それも」
側近「……お優しい神父様がどうにかしてくれるんだとさ」
店主「何だ、良かったじゃネェか」
側近「まあ、ね……」
側近(明日来る商船……船長だったら良いんだが)
側近(まあ、そうじゃ無くても……乗り込んじまえば、どうにかなるか)
店主「明日、大量にあの魔石をどこかの街に運ぶって話し出しな」
側近「……それは」
側近(まずいだろ……止めるべき……だよな)
51 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 12:16:28.08 ID:HUmPmEEcP
側近(しかし……どうやって?やっぱり……)
側近(直接、インキュバスとやり合うしか……)
店主「ほらよ」ドン
側近「……お、旨そう」
店主「船が来る様になって良い材料も届く様になったからな」
側近「……そうやって、どんどん平和になりゃ良いのにな」
店主「そうだなぁ……だが、さっきの話さ」
側近「……魔王がどうの、か」
店主「ああ……本当だとすりゃ、厄介な話だ」
側近「……」
店主「ここはまあ、まだ……な。だが」
店主「山を越えた先の、北の街は……北の大陸に近い」
側近「……そう、だな。そうなるな」
側近(そうだっけな……その街の位置がいまいち……)
店主「そんで、北の大陸との間にあの塔があるだろ?」
側近「その塔ってさ、何があるんだ?」
店主「天辺は黒い雲に覆われて、何処まで続くかも解らんらしいぜ」
側近「そんな高いのか」
店主「ああ。入口も厳重に鍵が掛かってるって話だ」
側近「……へぇ」
店主「ま……噂話だけどな。ただの」
側近「話聞いてると近づけそうにないしな」
店主「魔物がなぁ……でもさ」
側近「ん?」
店主「お宝が眠ってるとなると、話は別だろ?」
側近「……おたからぁ?」
61 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 12:18:19.78 ID:HUmPmEEcP
お昼ご飯ー!
71 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 13:05:16.72 ID:HUmPmEEcP
ちょっと時間が無くなったorz
バイトいってきますー
8名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 13:22:56.82 ID:I33ehZqL0
乙!いってらー!
9名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 13:29:40.52 ID:jMRqQCVn0
もうこの手の魔王ss秋田
>>2>>9が見えない
11名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 14:13:15.57 ID:ZX7sbMSH0
この手の魔王SSは書き手によってめっちゃ変わるから好き
ちなみにここの1が書く話は超好みです。
続きをのんびり待ってます〜
12名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 15:34:40.99 ID:zLLkGceKO
側近(飽きたなら何故来る)
側近(余程のヒマ人なのか…)
13名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 16:08:54.32 ID:BgDm1U4IO
ジジィ
(耄碌は儂だけにしてもらいたいもんじゃ)
141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 19:03:36.32 ID:HUmPmEEcP
バイトの研修終わり!
また夜かけたら続き!
とりあえず帰ったら風呂とご飯!
15 忍法帖【Lv=34,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/22(月) 19:09:45.17 ID:8m3LKqu60
マッチョる。
16 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 19:24:13.12 ID:vbexGB1kP
ズレても気にしない
マッチョは海のような広い心を持つ
       /フフ        ム`ヽ
      / ノ)      ) ヽ
     ゙/ |  ( ´・ω・)ノ⌒(ゝ._,ノ
     / ノ⌒7⌒ヽーく  \ /
     丶_ ノ 。   ノ、  。|/
       `ヽ `ー-'´_人`ー'ノ
         丶  ̄ _人'彡ノ
         ノ  r'十ヽ/
       /`ヽ_/ 十∨、
17名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:32:47.64 ID:eZKA3vWs0
かも〜ん
18名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:43:43.14 ID:nQ54XGSb0
ほっしゅ
19名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:46:51.73 ID:OtVlnMek0
スコーンのスルースキルは
尊敬する
20名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 20:59:01.47 ID:3Wrjj8QXO
前スレ埋め終わりました
皆様お疲れさまでした!
1000の方、おめでとう&治るよ!!
21名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 22:29:54.98 ID:zLLkGceKO
1000ちゃんガンバだお◯´∀`)o
221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 22:32:22.65 ID:HUmPmEEcP
頑張れ1000!
もしもしからだし、明日も早いので少しだけ
23名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 22:35:53.63 ID:v8b589xX0
梅乙スコーン
1000さんがんば!
24名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 22:36:18.07 ID:+rIifq/j0
スコーンあげ
251 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 22:38:43.88 ID:HUmPmEEcP
側近「それも……噂か」
店主「まあそう言うなよ。ロマンがあって良いじゃないか」
側近「ロマンねぇ……」
店主「何だよ、興味無いか?」
側近「正直に言うとあんまり。まあ、腕試しとか言った手前なんだが」
側近「……魔物の事考えると、魅力的には思えネェな」
店主「まあ、そうだけどよ」
側近(まさか食いつく訳にも行かねぇだろ……しかし、確かめてみる必要はあるよな)
側近(人間に荒され、嗅ぎ回られるのも……場所的に厄介だ)

キィ……パタン

店主「神父様!?」
側近「!?」
側近(……インキュバス!?)
261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 22:46:59.03 ID:HUmPmEEcP
インキュバス「おや、貴方は先程の……宿は取れましたか?」
側近「ああ、それは……」
店主「駄目だったらしいですよ?仕方ないですけどね……それより、珍しいですねぇ」
側近(何でお前が答えるんだよおおおお!)
インキュバス「ああ、やはりそうですか……残念でしたね。でもご安心を」
インキュバス「教会に、お部屋をご用意しますよ……とりあえず、ホットワインを」
側近(はい、逃げ道無し!俺終わった!)
側近(店主の阿呆ー!)
店主「なんだ、良かったなぁ、兄ちゃん!」
側近「……そう、ですよねー」
インキュバス「隣失礼……?」
側近「どーぞ……」
側近(何で並んでこいつと酒飲まなきゃいけねぇんだ……ミルクだけど)
店主「神父様、お食事は? ……あのべっぴんさんは一緒じゃないんですね」
インキュバス「ああ、食事は……済ませましたよ」チラ
側近「……?」
271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 23:06:47.86 ID:HUmPmEEcP
インキュバス「シスターは……『食事』の後、疲れて眠ってしまいましてね……」
側近「……!」
側近(そうか、こいつの食事ってのは……!)
側近(……娼婦、随分痩せたって……魔王様が言ってたな)
側近(……精気、吸い取られてんのか)
店主「そうですか。確かに良く働いてるからなぁ、シスター……」
インキュバス「ええ、本当に良くやってくれてますよ」
側近「……」
側近(……まずいな。本当にあんまり時間が無いんじゃないのか)
側近(娼婦、このままじゃ……)
インキュバス「……ねえ、旅人さん」
側近「あ?俺か……なん、です。神父様?」
インキュバス「先程、少しお話しましたよね……主が亡くなった、と」
側近「……狼の話か」
28名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 23:13:21.28 ID:fd+Txiji0
リアルタイム嬉しいww
291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 23:27:05.61 ID:HUmPmEEcP
店主「狼……の主?」
インキュバス「ええ……群れのリーダーと言うか……それがね」
インキュバス「どうにも、殺された様で」
店主「へぇ……誰かが討伐したんですかね」
側近「……しかし、聖職者ってのは凄いね。そんな事までわかるんだな」
インキュバス「……嘆きや悲しみを聞いたに過ぎませんよ。命の輝きが失われたのを感じたんですよ」
店主「流石神父様だなぁ……」
側近(眷属とは言え所詮は獣……統率を失えば……ま、そりゃ解る……わな)
側近(偉そうに……)
インキュバス「……問題は、誰が倒したか」
店主「え?でも……」
インキュバス「……旅人さん。貴方ですか?」
側近「……俺?違いますよ」
インキュバス「……そうですか」
側近(……魔王様とは気がついて無いのか?)
側近(しかし……こいつ、どこまで把握してるんだ……?)
301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/22(月) 23:35:33.79 ID:HUmPmEEcP
あ、あかん、眠い( ゚д゚)
また明日ぁ……
31名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 23:37:32.75 ID:4OgiVJ4w0
>>30
おつかれ!
ゆっくり、よーじょーせーや

>>28
ゆっくり待とうぜ
あと、単芝でいいぞw
32名も無き被検体774号+:2013/04/22(月) 23:50:50.74 ID:3Wrjj8QXO
>>30 おやすみ〜☆


側近に死亡プラグ立って無いよね…?
33名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 00:50:39.05 ID:cp7YDmw50
ほほほほはしゅ
34名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 01:27:26.34 ID:wpYhEzq90
ほしゅ
35名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 05:40:20.96 ID:lfRKmqzi0
361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 07:10:41.50 ID:G1O3mBK0P
おはよう!
弁当作って幼女幼稚園行かせてそのままバイト!
3時位には戻るよ!
今日もファイトー!!
37名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 07:22:10.28 ID:JEXZVGmh0
楽しみに待っとるよー
おそいぞはよ
39名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 12:27:04.20 ID:H91Q55B50
おばねえさんは、おひるか?
401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 13:39:23.03 ID:G1O3mBK0P
バイトおわた!
幼女お迎え直行!
411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 14:16:38.98 ID:G1O3mBK0P
どうやら帰ったらクッキーを作らされる模様orz

今の内に少しだけ……
...           _____   .. _
   ○○○    | |   ....| ..\   .________________
  ○ `・ω・´○  \ \_/   |_/                       \
   ○○○ ゞ====> ____ ::::  _::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
  .c(,_uuノ      / / \   | .\_________________/
            |___| ... ..|_/       >>40 待ってるぞ
431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 14:35:29.11 ID:G1O3mBK0P
側近「何で……俺だと思ったんだ?」
インキュバス「簡単です……貴方『達』しか居ないから」
店主「貴方達?」
インキュバス「旅人さん、でしょ?」
側近「……」
店主「ああ、成る程」
インキュバス「『貴方』では無いのですね……では、誰か」
側近「さてな……重要なのか、それ」
インキュバス「……当然ですよ。獣達が」
側近「アンタが作った魔除けの石とやらが役に立つんだろ?」
側近「さっき山道だかにも配置してきたんだろ」
側近「……徳の高い神父様の、神聖な魔除けの石だ」
インキュバス「……」
側近「……これで、街や人が襲われる事があるはずがない」
側近「……よな?」
441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 14:51:44.40 ID:G1O3mBK0P
店主「そうですよ、神父様!」
店主「明日には船で出荷もされるし……魔王や魔物を恐れてばかりじゃないよな。俺たち人間だってさ」
店主「ちゃんと出来る事、あるんだ」
インキュバス「……そうですね」
店主「他の神父様達には真似できないんかねぇ」
側近「何がだ?」
店主「そういう、魔石を作ったり、さ」
店主「そうすりゃ、もっと強力になるだろ?」
側近「……本物なら、な」
インキュバス「……どう言う意味です?」
側近「騙りを憂いてるだけさ」
店主「まあ、確かに多くで回れば紛い物や粗悪品ね心配はあるわなぁ」
側近「そう言う事……さて、俺はそろそろ」カタン
インキュバス「……では私も」
側近「え」
インキュバス「……言ったでしょう。どうぞご遠慮無く、と」
451 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 16:55:40.99 ID:G1O3mBK0P
側近「まじか」
店主「遠慮無く世話になっとけよ、兄ちゃん」
店主「アンタが酒飲めるなら看板までどーぞって言うとこだが」
店主「……延々ホットミルク飲み続けるのも辛いだろ」
側近「……」
側近(どうする……教会に行けば、多分娼婦が居るんだろうが)
側近(……まさか本当に教会で寝かして貰えるとは思えないわな)
インキュバス「行きましょうか旅人さん?」
側近(そんで、ここで断るのも不自然、とね……)
側近(気にせず転移石で逃げても……どうにでもなるっちゃなるが)
側近(……明日の輸出は止めたいな)
インキュバス「どうしたのです?」
側近「じゃあ、遠慮無く世話になるとするかな」
側近(こう言うしかネェだろ、糞!)
側近「……色々、話聞かせて貰いたいね」
インキュバス「ええ、私もですよ?」
店主「まいど!またお待ちしてるよ」

カチャ……パタン

インキュバス「……随分な猫の被り様だ」スタスタ
側近「そっくりその侭返すぜ、インキュバス」スタスタ
インキュバス「君なのか、魔王なのか」
側近「せめて様、つけたらどうだ……仮にも俺らの王様だぜ?」
インキュバス「……」ピタ
461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:08:59.69 ID:G1O3mBK0P
側近「睨むな」
インキュバス「……誰だ。狼将軍を殺したのは」
側近「さっきも言っただろう。気になるのか?」
インキュバス「当然だろう!城に残って居たのは前任の魔導将軍ぐらいの物だ!」
インキュバス「……糞、僕の計画は完璧だった筈なのに……ッ」
側近「……阿呆かお前。俺も魔王様も居るんだぞ?」
インキュバス「君やあの魔王が何の役に立つ……愚鈍な指導者など……!」
側近「だが狼将軍が破れたのは事実だ」
側近「……それに、もし狼将軍が城を制圧出来たとして」
側近「お前の望む形になったとは思わないけどな」
インキュバス「……何?」
側近「あの女の短絡的な性格を加味した上で選んだんだろうがな」
側近「お前が企んでんのは……『魔王の進攻に怯え続ける人の世』じゃネェのか?」
側近「じゃ無きゃ、こんな……偽物の魔除けの石だなんてもん作って」
側近「態々世界中にばらまこうとしネェだろ」
インキュバス「答える必要は無いな」
側近「勝手に続けるさ……狼将軍が魔王様や俺らを殺し」
側近「お前が魔王にすり替わる……そしてその下地が出来た恐怖の下の人間の世界に」
側近「狼将軍を筆頭に、魔物共を暴れさせる」
インキュバス「……」
側近「お互いに望む事が叶って、万々歳、ってか?」
インキュバス「…… ふ、ふふ……」
側近「……なんだよ」
471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:16:26.30 ID:G1O3mBK0P
インキュバス「だから君は馬鹿なんだよ、側近!」
側近「……お前に言われたくネェ」
インキュバス「お互いに願いが叶う?僕が魔王になって」
インキュバス「狼将軍に世界を襲わせる? ……下らない」
インキュバス「そんな事すれば、確かに最初は……僕の魔石の意味があるかもしれない」
インキュバス「あの女の性格を知ってるだろうって?当然だ!」
インキュバス「確かに暴れていれば満足だろう。指導者の地位に興味など無いだろう」
インキュバス「だが……あいつと狼共に掛かれば、数十年もしないうちに人等根絶やしにしてしまうさ!」
側近「……世界を支配したいんじゃないのか」
インキュバス「僕が狙ったのは狼将軍と魔王の相打ちだ。そう……さっき君が言った通り」
インキュバス「腐っても魔王。愚鈍でも我らが王。たかだか将軍の一人ぐらいに」
インキュバス「あっさり負けやしないだろうさ」
側近「だから……数で勝負したのか」
インキュバス「前任の魔導将軍……それに君も居るからね」
インキュバス「君達は最期まで魔王を守ろうとするだろう」
側近「……ジジィは死んだそうだ。鴉もな」
インキュバス「鴉?ああ……あの枯れ枝の様なばあさんか。まだ生きていたんだな」
側近「予想外だったか?」
インキュバス「……そうだな。だが一番の計算ミスは、君がここに居る事だ、側近」
インキュバス「どうやって来たかは知らないが……まさかあのタイミングで城を不在にしているとはね」
48 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/23(火) 17:20:55.41 ID:/RNjjQLX0
キター!
491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:24:35.99 ID:G1O3mBK0P
側近「……」
側近(必然的に、狼将軍を倒したのは魔王だと言う事になる)
側近(さて……どう出るかな)
インキュバス「だが、丁度良い。ここで君を潰せば」
インキュバス「……僕は堂々と魔王城に、椅子を取りに行ける」
側近「……やっぱり世界征服だとか、そんな事狙ってんじゃネェかよ」
インキュバス「違う……僕は勇者になるんだ」
側近「はぁ?」
インキュバス「魔王となり勇者となる。勇者は人々の希望、人々の幸せな未来の証」
インキュバス「魔王であり勇者であれば、人々は絶望の世界の元で」
インキュバス「一縷の望みを、希望を……文字通り夢に抱いた侭」
インキュバス「生き、死んで行く……!」
側近「……」
インキュバス「終わらないループの中で、何時までも巡り来ない平和と言う幻想を抱いて」
インキュバス「決して消えることの無い不安に抱かれて死んで行くんだ!」
側近「……はぁ」
インキュバス「解らないか?常の混沌だ……!約束された安寧や平和などに」
インキュバス「どうやって楽しみを見いだすんだ!」
側近「あー……お前の頭がおかしいのはよぅく解った。解ったから」
インキュバス「考えても見ろ、側近!この世……世界と言う物は!」
インキュバス「全て、表裏一体で出来ている。光と闇。善と悪……」
側近「……」
501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:35:56.90 ID:G1O3mBK0P
インキュバス「一方だけの存在では何も成り立たない」
側近「……確かにな、人間と魔族お手々つないで仲良しこよし、なんてのは」
側近「俺も御免だがな」
側近(耳が痛いぜ……俺が、魔王様に言った事と……)
側近(いや、似て非なる物、だ……俺は、インキュバスの望む世界を作りたい訳じゃ無い)
側近(そんな世界に魔王様と、生きていたい訳じゃ無い……!)
インキュバス「……今からでも遅くない。僕に従うと言うなら見逃すよ、側近」
側近「何で俺がお前に従わなきゃならネェんだよ」
インキュバス「何故あの、無能な魔王に……ッ」
側近「だから様つけろってさっきから言ってんだろうが!」
インキュバス「ッ……どうあっても邪魔する気か」
側近「あのなぁ……何でお前、そう疑いもなく自分が魔王になれるとか」
側近「思っちゃえる訳?」
インキュバス「逆に聞こう……!お前は何故思わない!?」
側近「俺は魔王なんて器じゃネェよ。そんなに強い魔力を持ってる訳でもないしな」
インキュバス「ならば……!」
側近「だからってお前に傅く理由にはならねぇよ、バカタレ!」
側近「あの椅子は魔王様も物だ……残念だがな」
インキュバス「……解ってはくれないんだな」
側近「さっきも言ったろ?お前の頭がおかしいのはすっげぇ良く解ったってば」
インキュバス「……残念だ」
側近「俺もだよ」
側近(やっぱこれ戦う……しかネェよなぁ。見逃してくれるとも)
側近(いやいや……俺が見逃す訳にもいかないな)
511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:51:10.65 ID:G1O3mBK0P
側近(明日の輸出は止めなきゃいけねぇし)
側近(娼婦の事もどうにかしなきゃいけなねぇし)
側近(魔王様の様子はなんかおかしかったし、ああああああああ、もう!)
側近「ほんっと俺って苦労性……!」
インキュバス「ついてこい、側近……ここじゃ、駄目だ」スタスタ
側近「いきなりここで魔法とかぶっ放したらびっくりするわ!」スタスタ
インキュバス「……どうあっても考えは変わらないんだな」
側近「お前しつこいね……」

グルルルル……

側近「……?」
インキュバス「おや、承知で着いてきたんじゃ無いのかい……」
側近「狼……!?」
インキュバス「狼将軍の置き土産さ。知っての通り……こいつらは悪食だ」
インキュバス「だが、お行儀は良くてね?骨の欠片残さず、腹に入れてくれる」
側近「……ッ」
インキュバス「僕の魔石の効果も抜群……さて、残念だったね側近」
インキュバス「確か君は回復魔法が使えた筈だ……が」
インキュバス「スタミナと魔力そのものはどうかな」
側近(……骨は拾って欲しかったなぁ)
側近「勝つ前提で話すってのは負けた時に滑稽だぜ、インキュバス」
インキュバス「顔が心なしか青いのは、月の光の所為なのかな」フフ
側近(どこまでやれるか……魔王様の目を持ってるとは言え)
側近(……仕方ないな)
側近「俺はそもそも戦闘特化じゃないからな」
インキュバス「負けた時の言い訳かい?」
521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:57:16.48 ID:G1O3mBK0P
側近(いざとなったら転移石で……否、でも)
側近(……命の方が、大事!……とは思うけど!)
側近「……死ぬな、って言われてるからな」
インキュバス「魔王か……残念だな。心酔する魔王様との約束、守れなくて?」クスクス
側近「俺は約束破らない男として有名なんだぜ?」
側近(俺と魔王様の中でだけの話だけど……充分だ)
インキュバス「初めての裏切りか……悪く無い。悪く無いね!」アハハハ!
側近「お前本当に頭おかしいんじゃネェの。ナルシストなのは知ってたが」
側近「ちょっと格好つけすぎ……ッ 風よ……ッ!」ザァアアアア……ッ
インキュバス「炎…… !?」

ゴオオオオオオオオオ!

側近「……え?」
インキュバス「う、うぁあああ……ッ」ザクザクザク……ッ
531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 17:58:43.71 ID:G1O3mBK0P
お風呂とご飯!
54名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 18:08:13.25 ID:LRYK9X+l0
乙!いってらー!
55名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 18:32:58.14 ID:K0TbXTJA0
なになになになに
きになるー
56名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 18:36:21.45 ID:o0PkK3KSO
ザクザクザク
夕食のサラダに使うキャベツの千切りね
57名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 18:39:17.76 ID:JLi3aTdQ0
魔王様登場か?!
状況が見えてるわけだしな。
58 忍法帖【Lv=35,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/23(火) 19:24:23.15 ID:BYPtIbfg0
眼の力か…
59名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 22:05:55.97 ID:4YNqZm5O0
まだかな〜
60名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 22:06:45.37 ID:JzgHTNvv0
はっよ (´・ω・`)
611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 22:44:07.54 ID:G1O3mBK0P
インキュバス「……ッ」ザザ……ッ ドン!
側近「……」
側近(背後の木まで吹っ飛んだ……!?)
側近(なん、だよこれ……俺、こんなに……)
魔王『何ぼけっとしてるんだ。とどめをさせ、側近』
側近『ま……魔王様!?』
魔王『お前は私の目を持ってるだろう……大丈夫だ』
側近(まじかよ……すげぇパワーなんだけど……)
インキュバス「く……な、なん、で……ッ」
インキュバス「君は、どこでこれほどの力、を……ッ」
側近「……内緒……かなぁ」
魔王『繰り返せ……風よ、鋼の刃となりて、彼の首を落とせ』
側近「か、風よ、鋼の刃となりて、彼の首を落とせ!!」ビュゥン……
側近「お、わ……!」ゴロン
インキュバス「!!」ゴロゴロ……ザンッ

メキメキメキ……ッ

インキュバス「く……ッ」
側近「いてて……俺まで吹っ飛ぶとか」
魔王『ふん……避けたか。て言うかお前は何やってるんだ』
側近『んな強い風の魔法なんか使った事ないんだって!!』
621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 22:52:06.68 ID:G1O3mBK0P
魔王『ああもうまどろっこしい。身体かせ』
側近「へ? ……ぅッ!」ドクン…ッ
インキュバス「……う、嘘だろう……何で、あいつが……こんなに ……!?」
側近?「……来い、私の剣よ」キュィイイン……
インキュバス「……な、そ、それ……は!? 魔王、さまの……!? な、何故……!?」
側近?「確かに、これは私……魔王の剣よだ。慣れない身体で魔法を使うと壊してしまいそうだからな」
インキュバス「君、何言って……!?」
インキュバス(側近の瞳が……紫に!?)
インキュバス(どう言う事だ、さっきまで確かに緑……!)
側近?「……語る言葉は無い。死ね、インキュバス」グルン……ザシュ!
インキュバス「な、か、身体が、動かな……ッ あああああアアアアア!?」ブシュゥウウ……!
63名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:18:03.24 ID:LsM0sz6mO
側近生きてた! 良かった〜
64名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:23:46.45 ID:i/Rg676z0
魔王様かっこいい!惚れたw
側近生きてた!良かったー

そして鴉はばーちゃんだったのね…
きっとじーちゃんとは仲良かったんだろうな…セツナス
651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 23:25:02.46 ID:G1O3mBK0P
インキュバス「……ぐ、ぁ……ッ 、ァ……」
側近?「娼婦は……教会か」クル
インキュバス「……し、ね……ッ そ、きっ…… !! 炎……よ!」ゴォオオ!
側近?「!」

パキィイン!

インキュバス「な……剣で、弾い……、た……!?」
側近?「……そうか。インキュバスは他者の精気を吸い生きてる……生命力は」
側近?「桁外れだったな」ガシ……グイ!
側近?「放っておけば……何れくたばるだろうが」
インキュバス「ぅ……ッ お、まえ……誰だ……側近じゃ……ない、な……」
インキュバス「そ、の……剣、どこ、か……!!その、紫……!!」
66名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:25:33.59 ID:iksIDhb60
側近好きすぎる
そして魔王様かっこいい
671 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 23:32:55.38 ID:G1O3mBK0P
側近?「『お前は誰だ、側近じゃない』」
側近?「『どうして紫の瞳なんだ』」
側近?「『剣はどこから出したのか』」
側近?「……か?」
インキュバス「おま……ま、さか……!!」
側近?「存外頭が悪いな。魔王の剣は魔王にしか扱えん」
側近?「……まあ良い。お前を倒せば終わりだ。娼婦は帰して貰う」
インキュバス「は、はは……!もう、遅い……!」
側近?「何……?」
インキュバス「名は頂いた……!それに……ッ ゥ、グ、ゥ……ッ」ゲホッ
インキュバス「……彼女の、いの、ち……は、もう……ッ」
側近?「……残念だな。願えば叶うのさ」ザシュ!

……ドサッ

側近?「……私は、魔王だからな」
681 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/23(火) 23:33:51.39 ID:G1O3mBK0P
限界……眠い( ゚д゚)
またあしたぁ……
69名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:35:50.12 ID:lRutJl+SI
ママ お疲れ様〜また明日ねー
70名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:46:29.89 ID:JEXZVGmh0
お疲れー
71名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:48:49.83 ID:7luAZdDN0
おつかれ〜
72名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:55:03.10 ID:TLEuhCski
スコーンBBAお疲れ〜
73名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:55:56.95 ID:o0PkK3KSO
ままo(T△T=T△T)o
74名も無き被検体774号+:2013/04/23(火) 23:57:15.31 ID:zGI+r4R00
お疲れスコーン
毎日楽しみにしてるよー
75名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 00:19:31.57 ID:Jg8JsKLOO
おやすみスコーン
76名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 00:49:31.05 ID:JwjorvFt0
>>64
急にセックスて言うから引いたらよくみたらセツナスだったすいませんでした
77名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 00:56:39.70 ID:OfEclASdP
セックス…
78名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 03:02:37.35 ID:ksk5G2Xj0
魔王様が側近の身体を借りてインキュバス戦か……
79 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) :2013/04/24(水) 03:41:49.18 ID:88HNBm+/0
続き待ってる
801 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 08:14:57.01 ID:6hamCH/LP
おはよう。
幼女放り込んでくるー
81名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 08:18:48.48 ID:OfEclASdP
幼女ポーン
821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 09:18:13.62 ID:6hamCH/LP
幼女ぽーん、してきた
今日は帰ってくるの早いのよねー
お迎えまでー
831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 09:29:59.64 ID:6hamCH/LP
側近?「……」
側近?(娼婦の命が……?)
側近『ちょっと、魔王様!?』
側近『どーなってんのこれ!』
側近?「……もう暫く借りるぞ」スタスタ
側近?(教会……ここか)カチャ……キィ
側近?(もう休んでいるか……)
娼婦「こんな夜更けにどういたしました……あら、先ほどの」
側近?「……帰ろう、娼婦」
娼婦「……私は、シスターです。娼婦等と言う名では」
娼婦「あの……神父様とお会いになりませんでしたか?」
娼婦「数時間前、貴方を迎えに行くと出たきり……」
側近?「神父……インキュバスの事か。奴なら死んだ」
娼婦「……イン……いいえ、あの方は、そん……あの、方……は……ッ」
娼婦「……うぅ……ッ」
側近?(インキュバスが死んでも……洗脳は解けんのか)
側近?(……相当楽しんだな、あの男……ッ)
娼婦「神父、さ……ま、は……インキュバス様は、私の神……ッ」
側近?「……神、か」
娼婦「そう、です……私、の……ッ 主、さま……ッ」ガク
娼婦「うぅ……頭、が……ッ」
841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 09:36:26.90 ID:6hamCH/LP
側近?「……神など居ない」
娼婦「え……?」
側近?「この世に……もう、神など居ない」
側近?「ましてや、たかだか命の一つ。それが神だ等と烏滸がましい」
娼婦「……貴方、瞳の、色が……紫……ッ う、う……アアアア!」
側近?「この姿では……説得力に欠けるがな」
側近?「思い出せ、娼婦」
娼婦「娼婦……違う、私、私は……ッ」
側近?「……娼婦。紫の瞳の私は、誰だ?」
娼婦「……私は、シスター……、です……!娼婦、等……娼婦……ッ」
娼婦「違う……ッ」
側近?「……駄目か」ハァ
側近『何諦めちゃってんの!?』
側近?「急に騒ぐな……仕方ない」
側近『お、おい……お前……』
側近?「……許せよ、娼婦」パァ
娼婦「……あ」クラ……フラリ
側近?「……」ギュ

シュゥウン……

側近『え、ちょ……お、ぅえエエエ……ッ』
851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 09:50:21.96 ID:6hamCH/LP
……
………
…………

シュゥン……

側近「急に何するんだよお前はあああああああああッ ……あれ?」
側近「おわぁッ」ドタッ ……ドン!
側近「い、痛い重い……ッ」
娼婦「……う、ゥ」
側近(あ、あ……そうか……娼婦抱いてたんだっけ……て)
側近「あら……?戻ってる……」
使用人「お疲れ様でした、側近様」
側近「少女……じゃないや、使用人ちゃんか……やれやれ、魔王様は?」
使用人「自分の身に戻られて、姫様の部屋へ」
使用人「側近様と娼婦さんも連れて来いと」
側近「……休む暇は無い訳ね」
側近「……姫様は大丈夫なんだな?」
使用人「はい……離れていらした間の話もしましょう」
使用人「……魔王様の事も」
側近「魔王様……そういえば、様子がおかしかったな」
使用人「……取りあえず、姫様のお部屋へ」
側近「娼婦運べば良いんだな……ヨイショ、と」
使用人「……手伝います」
側近「ああ、良いよ……大丈夫だ」
使用人「ですが……随分魔力を消費されたでしょう?」
側近「その筈……なんだが」
側近(これも……目の……魔王様の力、か?)
861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 09:59:24.60 ID:6hamCH/LP
使用人「……」

コンコン

使用人「姫様、失礼致します」
姫「どうぞ……聞いてるわ、早く寝かせてあげて」
側近「姫様……随分顔色が良くなってるな」ホッ
側近「……あれ、魔王様は?」キョロキョロ
姫「娼婦が先……こっちよ、側近」
側近「あ、ああ……よっと」ドサ
側近「……気を失ってる、だけだよな?」
姫「……」
側近「姫様?」
姫「使用人、魔王を呼んできて頂戴?自室に居るわ」
使用人「はい」スタスタ、パタン
姫「……この人、命の炎が……消えそうだわ」
側近「命の炎?」
姫「簡単に言うと……寿命が、殆ど残って居ない」
側近「!?」
姫「……インキュバス、とやらに精気を吸われて居たんでしょう」
側近「ああ……」
姫「洗脳も解けてないって言ってたわね」
側近「……」
姫「目が覚めて、正気に戻っても……彼女は、もう」
側近「……持たない、って言いたいのか!?」
姫「大きな声を出さないで」
姫「……すぐに死ぬ訳じゃないでしょうけど」
側近「……」

カチャ

魔王「……」
871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 10:18:21.15 ID:6hamCH/LP
使用人「失礼致します」
魔王「……姫、娼婦は?」
姫「危惧してた通り……ね。多分……長くは持たない」
魔王「……そうか」
側近「起こしてやらんで良いのか」
魔王「ゆっくり寝かしておいてやれば良い……時間など、腐るほどある」
魔王「……全て、済んだんだ」
使用人「……」
姫「……」
側近「……話を聞かせてくれないか」
使用人「魔王様?」
魔王「……お前が話してやれ。姫についてはお前に任せていたしな」
使用人「はい……では」
側近(……なんだ?違和感……?)
側近(否……流石に……疲れてる、のか)
使用人「……エルフの加護。あの、始まりの大陸の」
使用人「知人の墓へ行き……今、姫様がしていらっしゃるペンダントに」
使用人「その、加護の力を移しました」
側近「……その、金のペンダントか」
姫「そう……これのおかげで、随分楽になった。どころか……」
姫「力が漲る様よ」
側近「……うっすら、緑に光ってるな」
881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 10:26:59.71 ID:6hamCH/LP
姫「知人も、使用人も大地の加護を受けていた」
姫「元々、清浄な土地なのでしょうね。それも相まって……」
姫「守ってくれているのだわ、きっと」
使用人「ここから、遠いですからあの地は」
側近「じゃあ……姫については心配ないんだな?」
姫「当分は……ね」
側近「当分?」
姫「どう考えたって、ここの……魔の気は凄まじく強い」
側近「……そうだな。始まりの大陸が、その大地がそもそも清浄なのと同じで」
側近「この北の……最果ての大地は魔の気に染まってる」
姫「この加護の力だって、何れは……消えてしまうでしょうね」
側近「魔の気に負ける……飲み込まれる、のか?」
姫「解らない……けれど、加護自体も永遠じゃ無い」
姫「不変の物なんて、何処にも無いわ、側近」
側近「……」
使用人「そして……私は魔へと変じました」
使用人「人としての命が失われるギリギリの所で……魔王様のお力に寄って」
側近「……そう、望んでいたんだろう」
使用人「はい」
側近「で……戻ったところで、狼将軍が狼共を率いてきた」
使用人「ジジィさんと、鴉さんは……」
魔王「……確認に行ったが狼将軍の言う通りだった」
魔王「どれが誰の肉だか解らず、骨すらも……拾えん」
側近「……」
姫「多くの……命の炎が消えていったわ」
89名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 10:28:48.53 ID:22MDCzYO0
ジジイ・・・
901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 10:31:46.19 ID:6hamCH/LP
側近「姫……」
姫「気分が良くなったから……か、エルフの加護のおかげか、解らないけれど」
姫「次々と……空へ。大地へと還っていったのを……感じた」
使用人「……」
姫「側近……窓の外を見て」
側近「? あ、ああ……」スィ
側近「……!?」
使用人「……」
姫「……」
側近「な、なんで……ッなんで、燃えてるんだ!?」
魔王「私が火をつけたからだ」
側近「魔王様!?」
魔王「……残りの、屍肉を貪っていた狼共を駆除する目的では無い」
魔王「浄化の……炎だ」
側近「……浄化、の……炎?」
魔王「炎で清めれば、血を吸い力を吸った大地も生き返るだろう」
魔王「……時間は掛かるだろうが」
側近「……」
魔王「忌まわしい時代の記憶など、消えてしまえば良い」
側近(魔王様……?やっぱり、何か……様子、が)
911 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 10:45:31.39 ID:6hamCH/LP
側近「使い魔共は……?」
使用人「逃げ遅れた者も……恐らくは多いでしょう、が」
使用人「……城に、残って居ますよ。ちゃんと」
姫「……今、城内の片付けを任せているわ」
側近「狼共か……」
魔王「私と使用人で大方駆除はしたが……どうしてもな」
側近(流石に城は焼いて清めるとか言わないよな……)
魔王「阿呆。流石に言うか、そんな事」
側近「え?」
使用人「え?」
魔王「?……なんだ?」
側近(……今、俺の心を読んだ……?)
魔王「インキュバスも消した……もう、終わりだ」
魔王「……こんな、馬鹿げた事……」フゥ
側近「後は……娼婦、か……あ!そうだ、お前……!」
魔王「何だよ」
側近「俺の身体乗っ取った時……どうして、魔王の剣を……!?」
魔王「ああ……これか」シャキン
側近「うわああああああああああああ!どっから出した!?」
魔王「側近、うるさい。あの時はこっちで……本体で手にしていたからな」
側近「ちょ、今……!? 持ってなかったよね!?」
921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 10:47:11.95 ID:6hamCH/LP
お迎え行ってくるー!
帰ってご飯食べておやつ作って、バイトまでに来れたら!
93名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 11:56:15.51 ID:Uljtn1/U0
むりすんなよー
94名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 13:24:59.48 ID:Eqdn/r4f0
楽しみに待ってまスコーン!
951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 14:18:50.58 ID:6hamCH/LP
魔王「手元に呼ぶくらい、難くない……まあお前の姿を借りた時には流石にな」
魔王「だから……予め私の体に持たせておいた」
側近「……あ、ああそう」
姫「……」
使用人「……」
側近(確かに……規格外だとは解ってたが)
側近(こんなに何でもありだったか……?)
側近(それに……なんか、違和感を感じるんだけどなぁ……姫と、使用人は……)チラ
使用人「……」
姫「……」フイ
側近「……」
魔王「……で、それがどうした」
側近「いや……まあ、規格外だからな」
魔王「私は魔王だ……願えば」
姫「何でも叶う?」
魔王「……ああ」
側近(少なくとも、姫は気付いてる、よな)
961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 14:22:42.79 ID:6hamCH/LP
お人形のおうち作って、時間になったら
バイト行く……orz
幼女要求多い( ゚д゚)
97 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 15:35:12.70 ID:OfEclASdP
幼女フィーバータイム!
幼女「ヒーバーターイ!!」
98名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 19:08:32.23 ID:IF/L3TKd0
保守っスコーン
経営学士って英語でBBAなんだな





100名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 20:47:55.07 ID:Jg8JsKLOO
魔王様、誰かと入れ替わってるのか、魔導将軍やインキュバス(の邪悪さ)を吸収して変わったのか気になります…
101名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 21:31:50.80 ID:6uXhPvJV0
こーへんの?
1021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 21:35:52.21 ID:6hamCH/LP
幼女寝るまでもう少しー
103名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 21:36:55.63 ID:ro8N03vNP
私が幼女にお話読んであげるからスコーンはこっちではよw
104名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 22:15:36.31 ID:ZEaLNprx0
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
1051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 22:31:31.97 ID:6hamCH/LP
側近「……何でも?」
魔王「……」
使用人「魔王様は……娼婦さんを魔に変じるおつもりですか?」
魔王「……望むなら、だ」
側近「長くないとはいえ……ん、ちょっと待て」
側近「……魔王様、それ、どうした?」
魔王「うん? ……剣がどう……」クルリ
使用人「……亀裂?」
姫「あ、本当だ……側近、良く気がついたわね……」
側近「見事にヒビが入ってるな……」
魔王「……ふむ。何時……」
側近「お前、剣でインキュバスの魔法弾いたろ……あれじゃないのか?」
魔王「否……あの程度では考えられん……と、思うが」
姫「治せるの、これ……」
側近「どうだかな……なんせ魔王様にしか扱えない剣だ」
魔王「……構わんさ。もう必要もない」
106名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 22:40:32.57 ID:OZqXheFA0
剣話密かに待ってた!
1071 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 22:53:30.50 ID:6hamCH/LP
魔王「それより……娼婦は実際、どの程度……生きれる、んだ?」
姫「はっきりとは……わからないわ。だけど……そうね」
姫「……今の彼女の命の炎は……病床の老人程度、と……等しいと思う、わ」
使用人「……一年?」
姫「わからない……でも、多分……長くても、それ以上は……」
娼婦「ん……ぅ」
魔王「……目が覚めたか?」
娼婦「ここは、どこ……あ……ッ」
側近「大丈夫か、娼婦」
娼婦「……娼婦……違います、私の、名は……ッ」
魔王「娼婦」
娼婦「!」ビクンッ
魔王「私の目を見ろ娼婦……私の瞳は何色だ?」
娼婦「インキュバス様、は……ど、どこ……ッ」
使用人「しっかりしてください、娼婦さん!」
姫「……」
魔王「娼婦……私は誰だ?」
娼婦「あ、貴方なんか……ッ紫の……ぁ、アァ……ッ 違う、わた、私、の……ッ」
魔王「神等……居ない!」
娼婦「あな、た…… は……ッ」
魔王「娼婦!」
娼婦「ち、ちが……私、私の名前、は……ッ」
姫「インキュバスはもう死んだわ、娼婦」
側近「お、おい姫様!」
娼婦「し……ッ そ、んな……ッ違う、あれは……!」
1081 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:03:44.75 ID:6hamCH/LP
姫「もう死んだのよ、娼婦。思い出しなさい……紫の瞳は誰の物なのか」
姫「貴方はこれから……貴方の認める神を探して仕えれば良い」
姫「……魔王を思い出してあげて」
娼婦「ま……おう……」
魔王「……娼婦」
娼婦「ま……魔王様……ッわ、私……ッ」
側近「……」ホッ
魔王「……泣くな。必要無い……」
娼婦「あ、あ……ッ私……なんて事、を……ッ!」
魔王「……おかえり」ギュウ
側近(一件落着……)フゥ
側近(……とは、言ってられん、よな)
魔王「娼婦……話さなければならん事がある」
娼婦「……は、い……何でしょうか」グス
1091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:09:59.91 ID:6hamCH/LP
姫「私から話すわ……魔王、少し休んだ方が良い」
魔王「私は平気だが」
使用人「姫様の言う通りです、魔王様……ろくに寝ていらっしゃいません」
魔王「しかし……」
側近「言う事聞いとけ、魔王様。いくら規格外とは言え、かなり魔力使ってんだ」
側近「俺も少し休む……姫様と使用人に任せて、お互いちょっと休憩しようぜ」
魔王「……」
娼婦「私からも……お願いします」
魔王「……わかった」カタン、スタスタ
使用人「側近様も、おやすみになられては?」
側近「なあ、魔王様の事なんだが……」
姫「後よ、側近……先に、娼婦を休ませるわ」
姫「使用人、私が娼婦と話してる間に、側近を部屋へ案内して」
使用人「はい」
側近「いやいやいや、自分の部屋へぐらい……」
使用人「行きますよ」グイ
側近「え、あ、ちょ……ッ!?」ズルズル
110名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:10:23.70 ID:IF/L3TKd0
スコーンスコーン
111名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:15:25.76 ID:PXdE4CXL0
スココココ
112名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:15:35.57 ID:OZqXheFA0
パンツ脱いだらいいのか?
1131 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:26:05.40 ID:6hamCH/LP
側近「何だよ……」
使用人「……気付かれましたか?魔王様」
側近「……やっぱり、あいつなんかおかしい、よな」
使用人「姫様が1番最初に気付かれました」
使用人「……娼婦さんの前では、話しにくかったのでしょう」
側近「それで……これ、か」
使用人「……ジジィさんと鴉さんの事があってから、です」
側近「……確かか?」
使用人「恐らく……」
側近「あの……魔王の剣の亀裂と、関係あるんだろうか、な」
使用人「え?」
側近「あいつは……魔王だ。確かに規格外な程に、昔っから強かったけどさ」
側近「……」
側近(心の中を読まれた様だった。あの時……しかし、目を持っていれば……)
側近(……頭が働かんな。本当に一度休むべきか)フゥ
使用人「側近様?」
側近「あ、ああ……悪い」
1141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:30:47.01 ID:6hamCH/LP
使用人「いえ……本当に一度おやすみ下さい」
使用人「話は……何時でもできます」
使用人「もう、焦る必要もないんですよね……すみません」
側近「……いや、良いさ。だが、確かに……そう、だな」
使用人「では、私は戻ります」スタスタ
側近(……焦る必要、か。まぁ確かにな)カチャ……パタン
側近(しかし、やる事はまだまだある……これからどうして行くかも考えなきゃならんし)
側近(姫様だって、いづれは)
115名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:32:34.30 ID:4uIdfzbR0
スコーンキター!
1161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:36:37.87 ID:6hamCH/LP
側近(姫様だって何れは……居られなくなる)ゴロン
側近(魔王様の様子、剣の亀裂に……娼婦の処遇、それか、ら……北の、塔……)スゥ……
側近(あ、やべぇ……魔除けの石……止めなきゃ……輸出……)スゥスウ……

……
………
…………

娼婦「後……一年……?」
姫「推測よ……貴方の命の炎がとても弱く、消えそうなのは感じるの」
姫「だけど……詳しい数字迄は」
娼婦「……」
姫「……ショックよね。ごめんなさい」
娼婦「いいえ……」
1171 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/24(水) 23:37:39.97 ID:6hamCH/LP
携帯顔の上に落としたorz
限界、寝る(ーー;)

また明日!
おやすみー
118名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:41:04.06 ID:gVBeUXy8I
お疲れ様〜あまり無理しないでくれ
119名も無き被検体774号+:2013/04/24(水) 23:41:59.81 ID:cMeJNEpn0
>>1
乙〜

あ〜!俺もそれたまにやるww

おやすみ〜
120名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 00:06:16.01 ID:iTr4eaDDO
スコーンおやすみなさい(_ _).oO
121名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 00:45:44.28 ID:CNW28Pnqi
おやすみスコーンBBA
122 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(3+0:8) :2013/04/25(木) 02:33:17.73 ID:iaGMgQeh0
vip落ち保守
123名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 05:11:38.97 ID:A1uduV+P0
ほしゅ
1241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 08:12:52.39 ID:0ci5Ag7TP
おはよう!
幼女送って帰ったら書くよー
125名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 09:19:33.99 ID:1/kAFHOa0
あるある
1261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 09:50:23.19 ID:0ci5Ag7TP
娼婦「……自らの蒔いた種です」
姫「……でも、魔王は貴方を魔に……って言ってたけれど」
娼婦「え……?」
姫「使用人は自ら望んでいたけど……」
娼婦「……」
姫「……器が持たなければ、最悪死ぬわ」
姫「自我を失い、暴れるだけの獣に成り下がるかもしれない」
娼婦「……」
姫「脅すわけじゃないの……確かに」
姫「人を捨て魔になれば……生きながらえは出来るでしょう」
姫「だけど……貴女の命の炎は……」
娼婦「それすらも、耐えられぬ、と?」
姫「こればっかりはやってみないと解らないけれど……」
姫「使用人のケースとは違うと思う。彼女は……魔になりたいという」
姫「強い意思も持っていた」
娼婦「私……は」
姫「すぐに決める必要は無いわ。時間は……まだ、あるもの」
娼婦「……」
姫「とりあえず、暫くはゆっくり休みなさい」
姫「……殆ど人が居ないとは言え、ここは魔王の城だし」
姫「使用人の部屋にベッドを運ばすわ。それまではここで」
娼婦「で、でもここは姫様の……!」
姫「私は大丈夫よ……魔王に話しもあるし」
姫「ゆっくりしてて?」
娼婦「……申し訳ありません。ありがとうございます」
姫「何かあったらすぐに呼んで頂戴ね」スタスタ……パタン
1271 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 09:54:54.57 ID:0ci5Ag7TP
娼婦「……」
娼婦(私が、魔に……魔族、に)
娼婦(耐えられたら、私は……まだ、生きていられる)
娼婦(だけど……その可能性は……)
娼婦(……)
娼婦(神は……神等居ないと、あの人は言った)
娼婦(私の、神……)

……
………
…………

パタン

使用人「……姫様?」
姫「ああ、使用人……側近は休んだ……のね」
使用人「と、思います……あの、姫様」
姫「……魔王の事ね」
使用人「はい」
姫「起きていた?」
使用人「はい、お茶を請われて用意したところなのですが」
使用人「……暫くは、誰も入れるな、と」
姫「そう……」
使用人「娼婦さんは?」
姫「とりあえず私の部屋にその侭。貴女の部屋にベッドを運ばせて良いのよね?」
使用人「ええ、それは勿論」
姫「……貴女は、どう思う?」
使用人「魔王様、ですか」
姫「……」
1281 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:01:27.59 ID:0ci5Ag7TP
使用人「正直……わかりません。ですが……」
使用人「娼館で会った頃とは……少し違います」
姫「そう。そうよね……なんだろう……」
使用人「側近様も気付いておられました」
姫「当然よね、彼が一番、付き合いが長いのだもの」
使用人「……ジジィさんと、鴉さんが亡くなられてから」
使用人「何だか……少し、変わられた、様な」
姫「……魔導将軍を殺した時にも思ったわ」
使用人「え?」
姫「言葉はおかしいかもしれないけど……そうね『魔の王』らしい」
使用人「……随分、あっさりと殺したと聞きました、が」
姫「そうね……手を切り落とし、足を落とし……」
姫「……あっさりと首を跳ねたわ」
使用人「……」
姫「前領主の首も、ね」
使用人「魔族は……残忍と聞きます。ですから……」
姫「本性……いいえ、その一部と思えばおかしくないのかもしれない」
姫「だけど……随分、感情が欠如している様にも見える」
使用人「今の魔王様、ですか?」
姫「ええ……一過性の物ならば、良いけれど」
使用人「……書庫を漁っても、答えは見つからないでしょうしね」
姫「そうね……この件は側近が起きるまで待ちましょう」
姫「……少しだけ、顔を見てくる」
使用人「ですが……」
1291 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:12:20.40 ID:0ci5Ag7TP
姫「大丈夫……怒られたらすぐに出るわ」

コンコン

姫「魔王?入っても良いかしら……」
使用人「……では、私は失礼致します」スタスタ
魔王「姫か……ああ」

カチャ

姫「何してるの、魔王……何、これ」
魔王「見ての通り羊皮紙だが」
姫「……何か書いてるの……ん?」
姫「『むかしむかし、あるところに、エルフのお姫様がいました』……?」
姫「……『エルフのお姫様は新緑の髪に透き通った湖の瞳を持っていました』」
姫「魔王、これ……?」
魔王「もう少しでできあがる」
姫「……御伽噺?」
魔王「時が経てば、そうなるだろうな」
姫「……何、で」
魔王「使用人の、知識を得たいと言う欲に似ているのかもしれん」
魔王「……私が見、知り……感じた物を残したいとは思うんだ」
魔王「だが……普通に書として味気なく残すのもな」
姫「で……御伽噺風に書いてるの」
魔王「考え、書くというのも意外と面白いぞ」
姫「……『雨に濡れ、涙に濡れ、宝石の様に美しかったエルフのお姫様は』」
姫「『生まれ育ったエルフの森を巣立ち、母になりました』……」
魔王「『そうして、エルフのお姫様は、どこからも失われてしまったのです』……と」
1301 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:17:36.06 ID:0ci5Ag7TP
姫「……」
魔王「……身体は、大丈夫なんだな?」
姫「ええ……おかげさまで」
魔王「緑に光って綺麗だ。触れないのが惜しいな」
姫「……魔導の街で、買ってくれていたんですってね」
魔王「ああ……それほど高価な物ではないが」
姫「何の……花なのかしら、これ」
魔王「モチーフか?さあな……私は花の知識に明るくない」
姫「……小さくて可愛いわ」
魔王「気に入ってくれたのならば何よりだ」
姫「魔王……」
魔王「何だ?」
姫「……これから、どうするの」
魔王「……どう、しようか」
姫「……」
魔王「何も考えて居ないわけでは無い。とりあえずは……娼婦をどうにかしてやらんとな」
姫「本人次第ね」
魔王「ああ……側近はどうした?」
姫「部屋で休ませた……随分疲れている筈よ」
魔王「そうだな…… ……」ジィ
姫「……?」
魔王「一通り、問題が片づいたら」
姫「うん?」
魔王「祝言を上げないか」
姫「……え?」
1311 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:21:30.98 ID:0ci5Ag7TP
魔王「……厭ならば、無理にとは言わん」
姫「……」
魔王「お前の身の事は……解っている」
魔王「最初にした約束も忘れては居ない。指一本、触れるつもりはない」
姫「魔王……」
魔王「願わくば、お前の時間が許すなら、また……以前の様に」
魔王「旅をしたいだけだ。夫婦としてな」
姫「……今度は本当の、ね」
魔王「……」
姫「良いわ」
魔王「……え?」
姫「……何よ」
魔王「いや……随分あっさりだな」
姫「厭なの?」
魔王「まさか……本当に良いのか」
姫「自分で言い出しておいて……」
魔王「……うむ」
姫「……これ、この物語が」
魔王「?」
姫「完成したら……読ませてね」
魔王「勿論だ」
姫「……」
魔王「運命には抗えん」
姫「……そうね」
魔王「泣くな、姫……」
姫「……ッ」
1321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:26:12.53 ID:0ci5Ag7TP
魔王「……生まれる迄50年、だったか」
姫「多分……」
魔王「それまでの時間を私にくれ、姫」
魔王「……お前も、お前の子供も守る」
姫「魔王……」
魔王「約束だ」
姫「……ん」

ガラガラ……ッガッシャーン!

魔王「?」
姫「……!? な、何!?」

ワスレテター!マオウサマー!
バタバタバタ……!

姫「……側近ね」

チョットナニヤッテルンデスカソッキンサマ!
スマン、アトデカタズケルカラ!

バターン!
側近「魔王様!忘れてた!魔除けの石!」
魔王「……落ち着け側近、何を壊した」
側近「ただの壺だ、そうじゃなくて、石!」
姫「石を壊したの?」
側近「ちがあああああああああああう!だから壺!あ、じゃなくて、石!」
魔王「……魔除けの石がどうした」ハァ
姫「……使用人を手伝ってくるわ」ハァ。スタスタ
側近「インキュバスの作った偽物の魔除けの石だよ!」
側近「輸出されちまう!」
魔王「輸出?」
1331 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:41:25.84 ID:0ci5Ag7TP
側近「こいつだ……この魔石」コロン
魔王「インキュバスが作ってたって奴か……うっすら紅いな」
側近「すっかり忘れて熟睡してたよ!……こいつが魔除けの石として」
側近「船で色んな街に輸出されるらしいんだ」
魔王「……それが、今日か」
側近「時間までは解らない……んだが」
魔王「ふむ……既に日暮れか」
側近「……しまった……ッ眠りこけてる場合じゃ無かった……!」
魔王「そんなに落ち込むな、側近……まあ、間にあわんだろうが……」
側近「落ち着いていられるかあああああああああ!」
魔王「……耳元ででかい声ださんでくれ」キーン
側近「こいつはインキュバスの魔力だ……下等な魔物達は」
側近「こいつに惹かれて集まって来ちまう!」
側近「魔除けどころか、魔寄せの石だよ!」
魔王「しかしな……船が出てしまっていれば、私にもどうしようも無いぞ」
魔王「場所が解らなければ……」
側近「……だよなぁ」
魔王「ふむ……まあ、船長に連絡を取ってみるか」プチ
側近「髪抜いて何すんだ……」
魔王「『例の物、準備が整い次第頼む。ついでに頼みたい事もある』」
魔王「『側近に迎えに行かせるから、最果ての街の港へ』」
側近「……?」
魔王「……行け」バサッ ……バサバサバサ……ッ
側近「うお……ッ」
1341 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:50:13.79 ID:0ci5Ag7TP
側近「……ちっちぇカラスが飛んでった……」
魔王「鴉のばぁさんに教えて貰ったからな」
側近「……へぇ」
魔王「今はこの程度しか出来ん……お前ももう一回休め」
側近「ああ……いや、でもまだやらなきゃ行けない事が……」
魔王「命令。休め」
側近「ええええええ……」
魔王「お前には無茶をさせた……目を持っているとは言え辛いだろう」
魔王「……数刻後に食事にする。その時に全員で話せば良い」
側近「まあ……そうだな。姫も使用人も休まさないとな」
魔王「娼婦もだ……私も少し休みたい」
側近「……休んでないじゃんお前。何してたの」
魔王「ん?これか……ちょっとな」
魔王「ああ、そうだ側近。お前、絵は得意か?」
側近「絵ぇ?」
魔王「……私は絵心が無くてな」
側近「物に寄るけど……ちょっと書いてみろよ」
魔王「断る」
側近「……そんなに下手なのか」
魔王「……言いたく無い」
側近(こうやってれば……何も変わった様に見えない……んだけどな)ジィ
魔王「何だ」
側近「いや、別に……意外な弱点?」
魔王「……否定はせん」
側近「まあ、俺でよけりゃ書いてやるけど」
側近「俺もそんなに旨く無いぜ?」
魔王「私よりは絶対にマシなはずだ」
1351 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 10:58:11.49 ID:0ci5Ag7TP
側近「……そんなに下手なのかよ」
魔王「良いから早く休め」
側近「はいはい……あ!さらっと流したけど、さっきの何だよ!」
魔王「うん?」
側近「側近に迎えに行かす、て……」
魔王「ああ、船長が着いたらな」
魔王「……もしここを離れるとするなら、娼婦も頼まねばならん」
側近「何頼んだんだ」
魔王「着くまで秘密だ」
側近「……なんかまた、どうせ俺の仕事が増えるんだろ」
魔王「まあ、そう言うな」
側近「へいへい……なんかあったら起こせよ?」
魔王「ああ……あ、そうだ側近」
側近「ん?」
魔王「割った壺は片付けて行けよ」
側近「……はい」スタスタ

パタン

魔王「……」
魔王(続き……やるか)
魔王(こうしていると……気が紛れる)
魔王(考え出すと……胸の奥から、何かが沸き上がってくる)
魔王(これは……なんだ?)
魔王(……私が、私では無くなる様だ)
魔王(落ち着けねば……力が、ぽたぽたと)
魔王(勝手に、こぼれ落ちてしまいそうになる)
魔王(……)
1361 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:03:17.81 ID:0ci5Ag7TP
魔王(『そうして、お姫様は死にました』……)
魔王(……死、か)
魔王(私の、死……世継ぎ、か)
魔王(否……私には)
魔王(……)
魔王(『それはそれは美しい、一人の娘を残して、死にました』)

……
………
…………

船長「しっかしこの辺は何もネェなぁ……」
海賊「船長、魔物です!」
船長「ん……手の空いてる者総出潰せ!」
海賊「……しかし最近多いな。何だ?」
海賊「何でしょうね。魔除けの石も買ったのに」
船長「ああ……それなぁ」
船長「気休めで買ってみたは良いが……こいつ買ってから」
船長「よっく魔物に襲われてる気がするがな」
海賊「船長ー!」
船長「今度はなんだ!」
海賊「こいつが……いて、いててて!つつくなよ!」

バサバサ……トン

船長「カラス……少年か?」
1371 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:23:55.60 ID:0ci5Ag7TP
『例の物、準備が整い次第頼む。ついでに頼みたい事もある』
『側近に迎えに行かせるから、最果ての街の港へ』

船長「……片付けた、のか」
海賊「カラスが喋った!?」
船長「あー……その辺説明面倒だな。知ってる奴捕まえて聞け」
船長「そうか……ついに、か。おい!」
海賊「いててて、いて!いて……ッ は、はい!」
船長「何遊んでんだお前は……例の荷物、まとめとけ!」
海賊「あ、アイアイサー!」
船長「良し、お前ら!港街で男共下ろしたら」
船長「補給すませて、北の大陸に行くぞ!」

アイアイサー!

船長「おい、お前」
海賊「は、はい……いて、いたいってもう!」
船長「そのカラス任せた。水と餌やっとけ」
海賊「ええええええええ!?痛いってー!解ったからつっつくなー!」
船長「随分気に入られたな……」クック
??「船長さん、よろしいですか?」
船長「ああ、神父さんか、どうした?」
神父「港街で……あの人達を下ろすんですよね」
1381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:31:48.87 ID:0ci5Ag7TP
船長「ああ、港街の発展の為に雇った奴らだからな」
神父「その事でお話が……」
船長「ん?」
神父「私も……港街で下ろして貰えませんか?」
船長「そりゃ構わないが……どうした?アンタ……」
船長「どこかの教会に行きたかったんじゃないのか」
神父「ええ、布教先、と言うか……まあ、探しては勿論」
神父「居るのですが……」
船長「おう」
神父「先ほど、彼らと話していて、彼らが何時か」
神父「港街にも教会を作りたいと言うもので」
船長「ほう?」
神父「私も……そこで、教えを説こうかと」
船長「……」
神父「船長さん?」
船長「あ、ああ……いや。何……」
船長「少し前に、同じような事を言う奴がいたんだ」
神父「同じような事?」
船長「ああ。いつか港街に教会を作りたいってな」
神父「ほう……その方は今どこに?」
船長「鍛冶師の村の教会に居る筈だ」
神父「そうですか……では、何れその方が戻られれば」
神父「私も会えるかもしれませんね」
1391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:37:53.04 ID:0ci5Ag7TP
船長「そうだな」
船長(あの時、何となく様子がおかしかった気がしたが……)
船長(気のせいだったんだろうかな)
船長(……元気でやってりゃ良い、が)
神父「では、宜しくお願い致します」
船長「あいよ……明日の朝には着くさ」
船長「それまで、船室で休んでいると良い」
神父「それと……一つ、差し出がましいのですが」
船長「うん?」
神父「……その、魔法の石、ですか」
船長「ああ、これか……これがどうした?」
神父「とても……禍々しい気を感じます」
神父「……元々、海賊船だとお聞きしました。お宝の類かと存じますが」
神父「手放された方が、よろしいかと」
船長「……こいつ、がか」
神父「はい……私も、長く神に仕えさせていただいていますから」
神父「……信じて頂けると幸いです。では……」スタスタ
船長(……買ってきた部下の話では)
船長(どっかの村の高名な神父が作った魔除けの石、だったかな)
船長「……」
船長(娼婦……無事、だよな?)

……
………
…………

盗賊「ん、確かに」
1401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:50:01.11 ID:0ci5Ag7TP
魔導の街の使者「……さっさと独立してくれと領主からの伝言だ」
盗賊「五年の約束だろ」
使者「我らの街の生活もある!」
盗賊「ため込んでた貴族共の貯金吐き出させるって話だったじゃネェか!」
盗賊「……二の舞になりたいのかよ!?」
使者「!」ビクッ
使者「……つ、次は一ヶ月後だ!」クルッスタスタ……ッ
??「まるで脅迫だなぁ……」
盗賊「わ……ッ なんだ、鍛冶師か……見てたのかよ」
鍛冶師「仕方ないって解ってるけどね」
盗賊「……この街には慣れたか?」
鍛冶師「そうだね。気候も良いし、何より活気に溢れてる」
鍛冶師「鍛冶師の村から来た甲斐はあったかな」
盗賊「俺たちも助かってるよ。お前のおかげで、随分街らしくなってきた」
鍛冶師「剣を打つのには力も体力もいるからね……僕に出来る事なら」
鍛冶師「協力は惜しまないよ」
盗賊「もうすぐ昼か……朝には着くだろうって思ってたんだけどな」
鍛冶師「船長さんの船かい?」
盗賊「ああ。人手を雇ってきてくれるって言ってたからな」
鍛冶師「元海賊が人助け、か……きちんと金銭が絡んでいるとは言え」
鍛冶師「……凄い世の中だよなぁ」
盗賊「船長は落ち着いたらまた海賊に戻るとか言ってたけどな」
鍛冶師「そうなの?」
盗賊「らしいぜ……と、あれかな」
鍛冶師「ん……ああ、微かだけど汽笛が聞こえるね」
1411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 11:54:27.10 ID:0ci5Ag7TP
お昼食べてお迎えー!
用事早めにすんだら後ほどー
142名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 12:43:11.54 ID:HXISFIsQO
魔王(願えば叶う)
オレ(ようじょたんになりたい…)
143名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 14:16:09.89 ID:TR0TIC+t0
どうなるのか期待
144 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/25(木) 20:57:38.08 ID:w1WLWiZf0
深いなあw
145名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 21:22:13.08 ID:3dB78LKK0
大体話の筋が読めた
理不尽〜に繋がるな

どーでもいいが、大事な場面があっさり過ぎ去るwwww
146名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 21:22:57.72 ID:1/kAFHOa0
けっこう本気で面白いと思ってるんだよね・・・
1471 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/25(木) 22:24:56.65 ID:0ci5Ag7TP
少し続けようと思ったけど
明日朝クッソ早いから今日は寝る……( ゚д゚)

おやすみぃー
148 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/25(木) 22:32:17.73 ID:A/0og5iN0
おやスコーン
149名も無き被検体774号+:2013/04/25(木) 22:35:13.93 ID:yxt1lrw+0
書きたい気持ちもあるだろうに
そうやって自分をうまく律することができるのは偉いね
150 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/25(木) 23:04:03.67 ID:w1WLWiZf0
明日も待っとるよ乙
1511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 07:21:39.39 ID:rXSzVkTaP
おはよう!
ちょこちょこと時間が取れそうな時に!
今日アホみたいに忙しい( ゚д゚)
152 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/26(金) 07:31:25.29 ID:w6kOI8oj0
お疲れ様です。
無理の無い範囲で書いて下さいまし。
楽しみにしちょります。
153名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 07:56:29.42 ID:qoQtgrMO0
楽しみにはしてるんだけどBBAが体壊さないか結構本気で心配だ
1541 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 08:52:10.57 ID:rXSzVkTaP
BBAは幼女の為なら仕事も用事も
がっつり平気なんだぜ。
書きたいしな!
時間は作るもの!うまくいかんけど、なかなかorz
でもありがとうね!
無理はしないよー
おかん連れて買い物行くから帰ったら!
155名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 09:42:42.01 ID:RhdGrQvBO
続きがめちゃワク
ムリせんと楽しんで書いてや〜
1561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 16:44:46.36 ID:rXSzVkTaP
ただいまー!
お風呂とご飯まで!
157名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 16:46:10.01 ID:ZtQnSI1+P
おかえりー!
1581 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 16:56:57.13 ID:rXSzVkTaP
盗賊「さて……忙しくなるな」
鍛冶師「嬉しそうだね?」
盗賊「まあな……念願叶ったんだ。ここで頑張らなきゃ何時やるんだよ」
鍛冶師「そう思えるのって凄い事だと思うけど?」
盗賊「踏ん張り所、さ……折角、こうして基盤を作ってくれたんだ」
鍛冶師「少年、だっけ……凄い人だよね」
盗賊「うん……」
盗賊(ある程度話したけど、流石に魔王だとは言えないよなぁ)
盗賊(こいつになら大丈夫な気もするけど……)
盗賊(……それは隠しておこうって街のみんなで決めた事だ)
盗賊「……凄い奴だよ、あいつは」
鍛冶師「今、魔導の街はどうなってるんだろうな」
盗賊「さあな……船長はそのうち、魔導の街に行く船も出すとか行ってたけど」
鍛冶師「この街の人達は……反対してるの?」
盗賊「……そりゃ、そうだろ」
鍛冶師「……だよね」
盗賊「港に入ったな……行こう」スタスタ
鍛冶師「御免、盗賊」
盗賊「なんで謝る、のさ」
鍛冶師「……無神経だったかな、って」
盗賊「……今はまだ無理だよ。そりゃ、商売の事考えればさ」
盗賊「その方が……魔導の街にも、船を出した方が良いんだろうけど」
鍛冶師「そうだね……時間は必要だよね」
盗賊「鍛冶師は前に言ってたよな。本当は魔導の街に行きたかったって」
鍛冶師「今でも行きたいよ。勿論、行こうと思えば行けるんだろうけど」
盗賊「……」
1591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 17:13:52.46 ID:rXSzVkTaP
鍛冶師「僕は……魔法剣を鍛えたい。この手で作りたいからね」
盗賊「魔法剣、ね……」
鍛冶師「うん。それには魔法の知識がいる。それも生半可じゃなく」
盗賊「船長に言えば、連れてってくれるさ」
鍛冶師「……そのうち、ね」
盗賊「何で?」
鍛冶師「前にも言ったと思うけど……」
盗賊「ああ……魔石のアレか」
鍛冶師「そう。どうしても僕には出来ない……まずは」
鍛冶師「あれが出来る様になってから、さ」
鍛冶師「魔法剣に繋がる何かがある気がするからね」
盗賊「そんなもんかな」
鍛冶師「多分……魔石すら作る事ができないのに」
鍛冶師「こんな状態で、魔法の知識だけ詰め込んだって無駄、って事……あ」
鍛冶師「あのお腹の大きな男の人、あれが船長さん?」
盗賊「……なんか一段とでかくなってんな……おーい!船長!」タタタ
船長「おう……久しぶりだな盗賊。一丁前に男連れか」
盗賊「阿呆。そんなんじゃネェよ」
鍛冶師「初めまして、鍛冶師と言います」
船長「おう……港だけ見ても随分立派になったな」
盗賊「みんな頑張ってくれてるからさ」
1601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 17:26:16.55 ID:rXSzVkTaP
鍛冶師「立派な船だなぁ……」
船長「ありがとよ。どこか行きたい所があるなら乗せてやるぜ?」
船長「……勿論、金は貰うがな?」
鍛冶師「ああ、それは勿論……ん?」
神父「船長さん、ありがとうございました……先ほどはすみません」
船長「ああ……別に構わネェよ。そもそも俺はあんまり信じてないしな」
盗賊「何だ?」
船長「丁度いいや、神父さんよ、こっちが盗賊。一応、街の責任者みたいなもんだ」
船長「貴方が?……これは又、お若い」
盗賊「……暫定、だからな」
神父「あ……気を悪くされたなら申し訳ありません」
盗賊「いや……気にすんな。なり手が無いだけだ」
船長「誇れよ盗賊?魔導の街との交渉やらなんやら、全部お前がやってんだから」
盗賊「……まあ、そうだけどさ」
船長「この神父さんはさ、この街に教会を作りたいんだそうだ」
鍛冶師「教会?」
神父「はい……船の中で、この街に働きに行くと言う方達とお話しましてね」
神父「この街に、作りたいと言う方が結構いらっしゃいましたので……」
神父「もし、街の責任者の方の許可が下りれば、と思いまして」
盗賊「そりゃありがたい話だが……生活に欠かせないものが最優先になっちまう」
盗賊「材料や経費の問題もあるし……すぐに、とは言えないが」
盗賊「それでもよけりゃ……こっちからお願いしたいよ」
神父「おお、そうですか!」
盗賊「……一つだけ、条件をつけさせて貰っても良いか?」
1611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 17:33:54.89 ID:rXSzVkTaP
神父「何でしょう?」
盗賊「……教会を探して、出て行ったこの街の人間が居るんだ」
盗賊「何時になるかは解らないが……もし戻ったら」
神父「ああ……船長さんにお聞きしています」
神父「祈り手の数が増える事に何の不満がありましょう」
盗賊「……そうか。ありがとう」
船長「……」
盗賊「ん……どうしたおっさん」
船長「誰がおっさんだ! ……さて、とりあえずとっとと下ろして」
船長「俺は行くぜ……依頼がまだあるんでな」
盗賊「忙しいんだな」
神父「では私も、彼らと一緒に街の方へ行きますね」
盗賊「ああ……っと、誰かに案内させないとな」
鍛冶師「その為に僕を連れてきたんじゃないの?」
盗賊「……何にも考えてなかった」
鍛冶師「え? ……ま、まあ良いや。全員降りたら僕が連れて行くよ」
盗賊「悪い……ああ、船長ちょっと待て!これ持って行け!」
船長「ん?なんだこれ……」ジャラ
盗賊「癒やしの石だ」
船長「癒しの石ぃ?」
神父「……癒やしの、石」
鍛冶師「何ぶら下げてるのかと思えば」
盗賊「……何でみんなそんな興味津々なんだよ」
1621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 17:48:18.35 ID:rXSzVkTaP
盗賊「つか、鍛冶師と船長は知ってるだろうが」
船長「大量に渡される理由はしらねぇぞ」
鍛冶師「何に使うの? ……ちょっと興味ある」
神父「……見せて頂いても?」
盗賊「あ、ああ……そりゃ構わないけど」コロン
神父「これは……美しい」
盗賊「……船長には後で説明するから、ちょっと待て」
船長「??」
神父「これは……水の力ですね」コロン
盗賊「解るのか?」
神父「こちらは……緑、大地……」コロコロ
神父「これは、一体……?」
盗賊「あー……えーっと……」
鍛冶師「魔力を結晶化した物だそうですよ」
鍛冶師「この街の人達の殆どが……こうした技術を持っているらしくて」
神父「……この袋の中の物はすべて水と……緑の力、癒やしの力、ですか」
盗賊「ああ。閉じ込めた魔力を解放すると、治癒魔法と同じ効果がある」
盗賊「勿論、作り手の魔力とかによって効果は変わってくるけどさ」
神父「……素晴らしい、ですね……これは……」
盗賊「他にも、炎の力を閉じ込めたり……まあ、色々あるんだ」
盗賊「……資金稼ぎの手段の一つさ」
神父「……船長さん、先ほどの石……持っていらっしゃいます?」
船長「ああ……これか?」コロン
1631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 17:57:20.39 ID:rXSzVkTaP
鍛冶師「どれどれ……うっすら紅い、ね」
船長「……禍々しいって言ってたよな、神父さん」
盗賊「禍々しい? ……俺たちの作る魔石と変わらない様に見えるけど」
盗賊「あれ? ……つうか、船長……これ、何処で手に入れたんだ?」
船長「色んな街に寄ったからな……俺も良くは知らないんだが」
船長「海賊の一人が、『魔除けの石』だっつって……どこかで買ってきたらしい」
神父「魔除けの石……ですか。それにしては、これは……」
鍛冶師「禍々しいってのは、どういう意味なんです?」
神父「……そうですね。説明はしにくいですが」
神父「少なくとも……これが魔除けになるとは思えない」
神父「寧ろ……寄せ付ける気がします」
船長「これを手に入れてから、海の魔物に襲われる頻度は増えた気がしてたんだ」
船長「……まがい物ってぇか……魔寄せの石ってんなら」
船長「……納得いくがね」
神父「ふむ……作られた物だとすれば、悪意を感じますが」
盗賊「俺たちが作った物じゃ無い……とすれば、誰が?」
船長「神父さん、こういうのって自然には出来ないのか」
神父「私は聞いた事はありませんね……と言うより」
神父「魔石、と言う物すら……初めてで」
鍛冶師「でも……この技術って、この街の人達だけなんだよね?持ってるの」
盗賊「……と、思うけど」
盗賊(紅い……姫は、違う。魔王なら可能だろうけど)
盗賊(禍々しい、ったって……魔王がこんなもの作るとは思えない……な)
船長「……まあ、とにかく、こいつは破棄するに限るって事か」
神父「可能なのですか?」
船長「いや、俺は……盗賊はどうだ?」
盗賊「え?ああ……そりゃ出来るとは思うけど」
盗賊「……ここで解放したらまずいだろうよ」
1641 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 18:03:00.98 ID:rXSzVkTaP
鍛冶師「え、なんで?」
盗賊「禍々しい物なんだろ?何かあったらどーすんだよ!」
鍛冶師「……あ、そうか」
船長「ふむ……仕方ねぇな。その辺に放っとく訳にもいかないだろうし」
船長「……ま、どっかで何とかするさ」
神父「しかし……」
船長「何、海賊共は戦闘にゃ慣れてるさ……ま、あてもある」
盗賊(魔王か……)
船長「盗賊、この癒やしの石の話を聞きたい……取りあえず」
船長「神父さん達の案内、頼めるか鍛冶師」
鍛冶師「ああ……そうだね。じゃあ行きましょうか、神父さん」
盗賊「悪い、頼む……もう全員降りたか?」
船長「ああ……一応確認しよう。お前も来い盗賊」
船長「鍛冶師、頼んだぜ」スタスタ
鍛冶師「うん……解った」
盗賊(ちらちら見てる、二人とも……興味あるんだろうな)
盗賊(言い訳も考えておくか……)スタスタ

船長「……そうか、解った」
盗賊「全員降りたか?」
船長「ああ、大丈夫だ……しかしこうして見るとスゲェ人数だな」
盗賊「人は多くて困る事はないさ」
1651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 18:04:36.60 ID:rXSzVkTaP
お風呂と、ご飯!
166名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 19:39:04.19 ID:YSS97QOJ0
保守
167名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 20:34:37.89 ID:vyZhIAR80
おらも保守
1681 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 20:42:13.03 ID:rXSzVkTaP
とりあえず幼女寝かしてくる!
後ほど!
169名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 21:02:44.61 ID:hw8rLFaHP
幼女の睡魔に引きずりこまれ無いようになー
170名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 21:09:00.80 ID:YSS97QOJ0
保守ぅぅぅぁぁあああ!
171名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 21:18:24.27 ID:YSS97QOJ0
ほうああああああ!!
172名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 22:14:09.25 ID:hDRBPiwt0
逝ったか・・・
しかたあるまい
173名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 22:32:04.94 ID:e0W1HLzE0
ぬぅ
1741 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 22:43:16.00 ID:rXSzVkTaP
コーヒーいれてくるー
175名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 22:45:20.42 ID:hDRBPiwt0
帰ってきた!BBAが帰ってきた!
176名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 22:52:47.18 ID:e0W1HLzE0
黄泉の国がらぁー
1771 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 22:55:04.70 ID:rXSzVkTaP
船長「街の方はどうなんだ?」
盗賊「見ての通りまだまださ……実際、援助は五年だろう?」
盗賊「見てくれと、島民……じゃネェや住人の生活は何とかなる……と」
盗賊「思いたいね……まあ」ジャラ
船長「……こいつに掛かってる、か」
盗賊「そういう事……アンタだって困るだろう。これが売れなきゃ、さ」
船長「ま、そらそうだ……元海賊共の船かき集めたって」
船長「ここを立派な港街にするにゃ、五年じゃ短すぎる」
盗賊「定期便の確保、飲食店とかの店の充実……」
船長「……娼館はどうなんだ?」
盗賊「あんまり喜ばしくはネェがな……今んとこ、働き手達の」
盗賊「唯一の楽しみみたいなもんだ……あれが無きゃ」
盗賊「生活は回ってネェ……」
船長「給料で女を買い、その金で給料を支払う、か」
盗賊「……ぐるぐる回してるだけだ。これで援助金が無きゃ」
盗賊「とっくに破綻してるさ」
船長「……で、この癒やしの石は一体どうするんだ」
盗賊「……姫に届けて欲しい」
船長「ほう?」
盗賊「何時になっても良い……後、申し訳ネェが」
盗賊「代金を立て替えてくれ」
船長「……は?」
盗賊「側近って奴からの頼まれ物なんだ。石の代金は側近から取り返して欲しい」
盗賊「……運搬費も」
船長「お前、それマジで言ってんのか」
1781 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:00:18.95 ID:rXSzVkTaP
盗賊「御法度なのは解ってるよ。だけど……マジで金がネェんだ」
船長「まあ良い……今回だけだぞ」
盗賊「……マジで?」
船長「ついで、だ……俺たちはこれから、北の大陸に向かうからな」
盗賊「会いに行くのか!?」
船長「まあ、すぐにって訳にはいかないがな」
船長「……こいつが必要な理由は説明してくれるんだろうな」
船長「そいつが、条件だ。それで……今回は勘弁してやる」
盗賊「ありがとう! ……実は、な」

……
………
…………

神父「成る程。面積は充分なのですね」
鍛冶師「そうですね。まだ街としては成り立ってるとは言えませんけど」
神父「これから、でしょう、それは……勿論」
神父「簡単には行かないでしょうが」
鍛冶師「ええ……でも。うまくいけば、この街は世界を旅する要になります」
鍛冶師「僕も……そうなって欲しい」
神父「そうですね……世界の海を渡るのに不可欠な大きな港になれば」
神父「きっと……変わります」
鍛冶師「変わる?」
1791 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:08:01.38 ID:rXSzVkTaP
神父「……噂、お聞きになっていませんか?」
鍛冶師「魔王が世界を滅ぼす……と言う奴ですか」
神父「はい。信憑性は勿論……わかりませんけど」
神父「こうして、武力では無く……そうですね」
神父「人が集い、絆を深め……そうして、人と人とでの争いだけでも無くなれば」
神父「……きっと、世界は変わります。良く……なっていきます」
神父「そうすれば人は強くなる。屈する事を良しとしなくなります」
鍛冶師「……仰る意味が」
神父「解りませんか?あれほどの技術を持つ……この街の住民の方々を見て」
鍛冶師「……劣等種の話をされているのですか」
神父「知識としてしか知りません。ですが……」
鍛冶師「……」
神父「そういう方達が……前向きにひたむきに生きる様に」
神父「私は、感動すら覚えますよ」
鍛冶師「……神父様は、勇者様にお会いになった事がありますか」
神父「勇者様、ですか……いいえ」
鍛冶師「どこからか現れて、魔王を倒してくれる……等と」
鍛冶師「そんな、御伽噺の中の話では無くて、です」
神父「……と、言うと?」
鍛冶師「この街で生活される様になって……街の人達と接する様になれば」
鍛冶師「きっと、解ると思います……居たんですよ、勇者様が」
180名も無き被検体774号+:2013/04/26(金) 23:11:46.82 ID:hDRBPiwt0
なるほど
1811 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:14:12.26 ID:rXSzVkTaP
神父「この街に、ですか? ……しかし、居た、とは……」
鍛冶師「過去形です。僕も会ったわけではありません」
鍛冶師「ですけど……話をしていると、解るんです」
鍛冶師「……劣等種なんてもう存在しない。勇者様に救われたんだと」
神父「……」
鍛冶師「僕は、腕の良い鍛冶師になりたい。魔法剣を鍛えたい……作りたい」
鍛冶師「盗賊に、そう話しました」
神父「魔法剣ですか……」
鍛冶師「はい。世界のどこかに存在するとも、もう失われたとも言われています」
鍛冶師「昔……もっともっと過去、人と魔族の境界も曖昧だった頃の」
鍛冶師「古の技術……本当は、そんなものを必要としない、平和な世であって欲しいですけど」
鍛冶師「僕たち……鍛冶の道を志す者には憧れなんです」
神父「……」
鍛冶師「だから魔導の街に行きたかった……否、今でも言ってみたいけれど」
神父「時期では無い?」
鍛冶師「はい。まだ早い……さっきの魔法石ね。作り方とか、聞いたんですけど」
鍛冶師「僕には、盗賊達ほど旨く出来ない。すぐにも出来ない」
鍛冶師「……だから、まだまだ早い」
神父「ふむ……」
鍛冶師「もっと学んで、僕だけじゃ無く、皆の知識も技術も向上して欲しい」
鍛冶師「この街がもっと栄えて、魔法石が有名になったら」
鍛冶師「……僕の夢も叶うかも知れない」
神父「それが、貴方がこの街に留まる理由ですか?」
鍛冶師「……そうですね」
1821 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:20:15.83 ID:rXSzVkTaP
鍛冶師「まあ……それだけじゃありませんけど」
神父「?」
鍛冶師「いえ……こっちの話です」
神父「この街は夢の街ですね。住民達……作り手達によって」
神父「どんな形にでもなれるだろう、夢の街……だと思います」
鍛冶師「はい……あ、そうだ」
神父「はい?」
鍛冶師「さっきの……船長さんが持っていらした……」
神父「ああ……『魔除けの石』ですね」
鍛冶師「あれ……神父さん、作れません?」
神父「私が……あれを、ですか?」
鍛冶師「……地位のある聖職者様とお見受けしますよ」
神父「買いかぶりです。私は地位など……」
鍛冶師「ですが、見抜かれた……僕には……いえ、多分盗賊達にも」
鍛冶師「解りませんよ……あんな風に」
神父「……ふむ」
鍛冶師「今から教会も作らないと行けないし」
鍛冶師「……時間はたっぷりあります」
鍛冶師「僕と一緒に、魔石の作り方を習って」
鍛冶師「本物の魔除け石……作りませんか?」
神父「……しかし、それを商売にするというのは」
鍛冶師「まあ……気持ちは分かりますけど。それほど高価にしなくても」
鍛冶師「寄付、のつもりで……街も、潤いますし」
神父「……考えてみましょう」
鍛冶師「ありがとうございます!」
1831 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:27:36.14 ID:rXSzVkTaP
神父「ですが……私にもできますかね」
鍛冶師「鍛錬あるのみです」
神父「やれやれ……この年になって、とは思いますが」
鍛冶師「……楽しいでしょう?」
神父「まあ、ね……否定はしませんよ」
鍛冶師「教会……あの丘の上とかどうです?」
神父「ん……?この、細い道の先ですか」
鍛冶師「はい。見にくいけど……少し開けた良い場所があるんです」
神父「良いですね……景色の良い場所に、小さな教会ですか」
鍛冶師「……御伽噺の一場面みたいですね」
神父「悪く無いでしょう……賑やかな街の外れにある、小さな教会」
鍛冶師「ロマンチストですね」クス
神父「そっくりその侭お返しします」フフ…

……
………
…………

魔王城・食堂

姫「……で、魔王と側近は何してるの?」
使用人「さあ……食事の準備が出来たら呼んでくれといわれては居たのですが」
娼婦「あ、あの……私まで、よろしいのでしょうか」
姫「貴方が一番しっかり食べないと駄目よ? ……そんなに痩せて」
使用人「そうですよ……しかし、遅いですね。使い魔に呼びに行かせたのですが」

カチャ

姫「魔王?遅いわ……何抱えてるの、それ」
1841 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:39:47.02 ID:rXSzVkTaP
魔王「すまん……完成させてしまいたくてな」バサバサ
側近「……結局たたき起こすとか、どーいう事なの」ハァ
使用人「とにかく、お席へ……ご準備いたします」
魔王「ああ、使用人も席に着け。呼びに来た使い魔に食事の支度は頼んである」
使用人「ですが……」
魔王「構わん……皆で話すのだろう」
側近「気にしないでくつろげよ、使用人ちゃん」
側近「……でも先に水ちょうだい」
姫「……何これ、綺麗……誰が書いたの?」
側近「俺だよ……急に魔王様の心話で起こされてさ」
側近「本が出来たから、お前部屋に来て、絵をかけ!だよ……」
側近「……寝ろって。休めって命令したくせに……」
魔王「ぶつぶつ言うなよ……お前だって楽しんでたじゃないか」
側近「……あれはお前の絵が下手すぎてつぼに入ったの!」
使用人「この絵……姫様ですか?」
娼婦「本当だ……そっくり」
姫「驚いた……側近、こんな才能があったのね……」
側近「……まあ」
姫「何照れてんのよ」
娼婦「こっちは……あら、同じ?」
魔王「ああ、どちらも同じ物だ」
側近「頑張ったんだからもう少し褒めてくれよ!」
使用人「これ……魔王様が考えられたんですか?」ペラ
魔王「……まあ、な」
1851 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:48:31.35 ID:rXSzVkTaP
側近「姫様から聞いた話を元に創作でカバーした、だろ……」
側近「まあでも……良く出来てると思うよ」
姫「私も読みたいわ」
魔王「先に食事を始めよう……一冊はこの城に置いておく」
魔王「何時でも読めるさ」
使用人「もう一冊はどうされるのです」
魔王「……娼婦に、やろうと思ってな」
娼婦「私に、ですか?」
魔王「ああ。魔石の作り方もまとめておく……城を出るならもって行くと良い」
娼婦「……あ、あの」
魔王「私なりに考えた。娼館でお前と話した時に……お前は」
魔王「死にたいと思った事もあったが、今は生きたいと言っていたな」
娼婦「はい……」
魔王「自由は、不自由だとも」
娼婦「……はい」
魔王「……魔に変じれば生きられるだろうと思った」
魔王「だが……娼婦がそれを望むかと言えば……ノー、だろう」
娼婦「……」
使用人「……」
魔王「勿論、望むのならばすぐにでも。だが……」
娼婦「姫様からお聞きしました。もしそれを望んだとしても」
娼婦「……私の、身体は持たないでしょう。それに……」
娼婦「私には、使用人さん程、確固たる意思もありません」
1861 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/26(金) 23:55:53.52 ID:rXSzVkTaP
娼婦「生きたいとは思います。ですが……これが寿命なのだろうと思います」
側近「娼婦ちゃん……」
娼婦「インキュバス……さん、にあんな風にされた事は」
娼婦「私の弱さが招いた事です。それを怨むも悔やむも……ありません」
娼婦「それに……やはり、人で無くなると言うのは、怖いです」
姫「……」
娼婦「魔王様」
魔王「うん……?」
娼婦「魔王様はあの時、神など居ないと仰いました」
魔王「……ああ」
娼婦「姫様も言われました。私は、私の認める神を探せば良いと」
姫「……ええ」
娼婦「正直、良く……解りません」
娼婦「ですが……探したいのです。人である私の、神を」
魔王「……そうか」
娼婦「ですから……あの……」
魔王「貰ってくれるか?これ」
娼婦「あ……も、勿論です!」
魔王「ふむ」
姫「……」
側近「あー……一段落付いたところで、良いか?」
魔王「何だ?」
1871 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:05:07.02 ID:wBgBeYbsP
側近「……こいつを見てくれ」コロン
姫「……ッ」
使用人「魔石、ですか……姫様?」
姫「な、なにこれ……!?」
側近「あー……そんなに駄目?」
魔王「……例のあれか。貸せ」グ……パリンッ
姫「……」ホゥ
側近「一瞬かよ……」
魔王「すまん、さっき側近に見せて貰った時にこうしておけば良かったな」
娼婦「……『魔除けの石』ですか」
使用人「魔除けの石?」
側近「悪い、思い出させたか」
娼婦「いえ……大丈夫です……」
姫「何なの……今の……」
魔王「……どう感じた?」
姫「愉悦、憎悪……私はインキュバスにあった事は無いけど」
姫「……厭な奴ね」
魔王「違い無い」クス
娼婦「あれは……彼の魔力の結晶、ですね」
魔王「そうだ。覚えているかは解らないが……」
娼婦「多分、作り方は……私が教えたんでしょうね」
魔王「まあ、そうだろうな……そして奴は、お前もその技術も利用した」
娼婦「……」
姫「魔王!」
魔王「……」
側近(また、だ……魔王様、表情が窺えない)
側近(何だ……?さっきまで……普通だと思っていたが)
1881 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:11:18.80 ID:wBgBeYbsP
使用人「……その、魔除けの石とやらがどうしたのです」
魔王「側近の話ではそれがあの……鍛冶師の村から輸出された、とかな」
娼婦「!」
姫「そんな!?」
魔王「……打つ手は無くは無い、が……こればかりはどうしようもない」
側近「そういえば船長に使いを飛ばしたな。なんだったんだ、あれ」
魔王「ドレスとヴェールを頼んだんだ」
側近「は?わざわざ?」
魔王「ちゃんと金は払う……姫との祝言の為だ」
側近「……は!?」
姫「……もう返事はしたわ」
娼婦「まあ……」
側近「はぁ!?」
使用人「おめでとうございます……で、良いんですよね?」
側近「ちょ、ちょっと待てええええええええええ!?」
魔王「なんだ、反対するのか?」
側近「違うよ!そうじゃネェけど!」
側近「お、お前……何考えてんの!?」
側近「姫は……!!」
姫「良いのよ、側近。それで……良いの」
側近「し、しかし……!」
魔王「……全てが片付く前に、宣言してしまうつもりだったんだ」
側近「……はぁ?」
魔王「姫を傍に置いて守っていれば問題は無いはずだった」
魔王「……予想以上に、姫の体調が悪かったからな」
1891 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:17:55.52 ID:wBgBeYbsP
側近「お前……」
魔王「船長には港街を出る前に頼んであったんだ」
姫「……返事どころか、プロポーズすらされて無かったけど」
魔王「港街には残らず城に来ると言っただろう。それで充分だ」
姫「自信過剰ね」
側近「いちゃいちゃすんな!」
使用人「嫉妬は見苦しいですよ側近様」
側近「違うわああああああああああああああああああ!」
娼婦「……」クスクス
側近「娼婦ちゃんまで……」
魔王「お前が聞いたんだろう。何を頼んだんだと」
側近「違うわ!ああ、違わないけど、そうじゃなくて!」
側近「お前、あの時これぐらいしかできんとか言うし」
側近「さっきだって打つ手は無くは無いとか言うから!」
側近「この件に関して!船長に!何を頼んだのか!」
側近「俺の聞いたのはそっち!」
魔王「……なんだ、ならそうとはっきり言え」
側近「……なんだろう。凄く疲れた」
使用人「大声で一気に喋るからです」
側近「……ねえ、もう少し優しくしてくれない?」
側近「つか俺の所為?ねえ俺の所為!?」
1901 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:26:43.35 ID:wBgBeYbsP
魔王「船長への頼み事……この件への打つ手、は」
魔王「ここへ彼の船がたどり着いてから、だ」
側近「……あ、そう」
姫「ついでにドレスも届くのね……楽しみ」
側近「……なんか二人だけ平和だね」
使用人「どちらにしても、今その件に関してはどうしようも無いと言う事ですね」
魔王「そうだな。いくらなんでも、散らばったインキュバスの魔石の一つ一つの行方まで」
魔王「追う事はできん……後手にはなるが、挽回の手段をとらざるを得んのだ」
娼婦「……あの、では私は……船長さんの船に、また……?」
魔王「そうだな……私から頼んでおく」
側近「何だよ。お前が転移で送ってやれば良いじゃないか」
魔王「……ほいほいとあの街に顔を出すわけにはいかんだろう」
姫「でも……盗賊と約束したわ、私……また、遊びに行くって」
魔王「ああ……落ち着いたら、な?」
魔王「今は……向こうも大変だろう」
側近「顔出してやれば喜ぶと思うけどなぁ」
魔王「……少し、ゆっくりしたいのさ」
側近「……?」
姫「そう……そうね。ごめんなさい」
魔王「謝る事じゃ無いさ」
使用人「船長さんは……何時ぐらいに?」
魔王「さあな……こればっかりは」
側近「お前、俺に迎えに行かせるとか言ってたな……」
1911 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:31:36.32 ID:wBgBeYbsP
魔王「馬車を用意させてやる……お前と船長は」
魔王「気が合うと思うけどな」
側近「……そう、なのか?」
姫「どうかしら……何故?」
魔王「書庫で商売の本読んでたからな」
側近「……意外と面白かったんだって」
娼婦「これから……世界はどうなって行くのでしょう」
使用人「……娼婦さん?」
娼婦「過激派、と言う人……魔族達は、居なくなってしまったんですよね?」
娼婦「……人は、強欲だと思います。私も含めて」
娼婦「魔族と言う、恐れるべき物がなくなると……」
側近「それは違うぜ、娼婦ちゃん」
娼婦「え?」
側近「別に俺たちは支配も望まないが、共存も望まない」
魔王「……」
姫「……」
側近「……インキュバスの話に戻って申し訳ないが」
側近「あいつは……自分が魔王になると言った。そして勇者になるともな」
側近「違うと信じたい……が、言葉は、俺が魔王様に旅に出ろと言った時と」
側近「……同じ物だ」
魔王「……そうだったな」
側近「忘れてたのかよ」
魔王「そうではない……が」
1921 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:44:23.78 ID:wBgBeYbsP
側近「人の振りをし、勇者と呼ばれる様に振る舞い」
側近「……まあ、人の世界に紛れこんだ、魔導将軍みたいな」
側近「過激派をこっそり潰してくれってお願いだったんだけどな!」
魔王「……お前ひつこいな」
側近「初っぱなから目立つ事ばっかりしてくれちゃったからね!」
魔王「結果オーライ、だろう」
側近「まあ、そうかもしれんけど……」
娼婦「……同じ、事では無いでしょう?」
側近「あいつと俺らの目的はな……だが」
側近「……魔王が勇者であり、勇者が魔王であれば」
側近「『俺たち』は……安泰だ。勇者と魔王が表裏一体の存在ならば」
側近「何も心配する事は無い……俺たち『魔族』はな」
使用人「……」
側近「だが……人間はどうだ?」
姫「……勇者が、何時か魔王を倒してくれる」
側近「……」
姫「不安の中の希望にすがって、生きていくだけ……不安は、消え去る事は無い」
側近「……そうだ。インキュバスの言葉と……同じだ」
魔王「『終わらないループの中で、何時までも巡り来ない平和と言う幻想を抱いて』」
魔王「『決して消えることの無い不安に抱かれて死んで行く』……だったか?」
娼婦「で、でも……絶望ばかりじゃありません!」
娼婦「不安は、恐怖は……常に、あるかもしれませんが……」
使用人「……それでは、人にとっての真の希望、真の平和は叶えられない」
側近「……俺は魔族だからな。人間の真の希望だの平和だのに興味は無い」
側近「それに……魔族の居ない世界が人間の望みであるなら」
側近「……俺たちの存在意義はどこだ?」
1931 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:52:39.69 ID:wBgBeYbsP
娼婦「……」
側近「あいつは、常の混沌に……なんだっけな」
側近「とにかく、そうじゃなきゃ楽しくないだとかな」
姫「……楽しみの為ではないでしょう、確かに」
側近「そりゃそうだ。だから目的は違うって」
側近「俺や魔王様が望むのは、徹底した不干渉。あいつが言うのは……」
側近「魔族の為の、平和……あー……違うな」
側近「……とにかく、魔族の為だけの世界だ」
魔王「混沌と言う楽しみのある飽きない世界、か」
魔王「……刺激は大切だとは思う、がな」
姫「でも……人が多分、望むのは……」
娼婦「人だけが平和な、人の為だけの世界……」
使用人「勝手ですね。どちらも」
側近「……俺たちが望んでる事も、勝手なんだ」
側近「人が魔族を恐れる以上、不干渉だろうがなんだろうが……」
魔王「親父が……共存を望む気持ちも分からなくは無い」
娼婦「お父様……ですか?」
側近「前魔王、な」
魔王「……難しい事だ。だが……それが本当に叶うのならば」
魔王「遠い未来では……皆幸せだったのかもしれん」
娼婦「ね……願えば、叶うんでしょう!?」
魔王「『願う気持ちがあるのなら』……だな」
娼婦「あ……」
側近「……俺と魔王様の望みは、徹底した不干渉、さ」
姫「……」
娼婦「……」
1941 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 00:57:59.31 ID:wBgBeYbsP
側近「世界と言う物は……」
魔王「ん?」
側近「全て、表裏一体。光と闇、善と悪……」
側近「……一方だけの存在では何も成り立たない」
使用人「……」
側近「これも……インキュバスの言葉さ」
娼婦「それでも……私は、平和を望みます……!」
姫「娼婦……」
娼婦「……生きているもの全てが、幸せと思える、世界を……!」
魔王「……それで良いんだ」
娼婦「え……?」
魔王「それで良い……何時か、叶う」
魔王「……願い続ける事が大事なんだ。きっと」
側近「魔王様……」
魔王「すまん……私は、先に……」フラ
姫「魔王!?」
側近「お、おい!」
使用人「魔王様!」
魔王「……頭が疲れた。流石に寝不足な様だ」
側近「無茶するから……お前は本当に阿呆だな」
魔王「お前にだけはいわれたくないわ」
側近「書き物してないで寝ろよ!」
使用人「お部屋まで……」
魔王「……いや、良い。折角だ。皆で……くつろいでいてくれ」
1951 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:07:50.49 ID:wBgBeYbsP
使用人「でも……」
姫「……一人にしてあげて」
使用人「……」
魔王「ではな……失礼する」フラ……カチャ、パタン
娼婦「……」
姫「……」
使用人「……」
側近「……」
娼婦「あ、あの……!」
姫「どうしたの?」
娼婦「大丈夫なんでしょうか……お顔の色が……」
側近「ろくに寝ないで紙と筆で遊んでりゃ疲れもするさ」ハァ
姫「……後で様子を見てくるわ」
使用人「お茶の用意でもしましょうか……姫様、足りました?」
姫「ケーキが食べたいわね」
側近「食欲はかわらないのな」
娼婦「あ……すみません、私もそろそろ……」
使用人「では、先に部屋へ戻りましょうか」
娼婦「一人で大丈夫です……あの」
娼婦「……出過ぎた事ばかり、すみません」
姫「何言ってるの、遠慮なんてする必要は無いのよ」
娼婦「……ありがとうございます。失礼します」ペコ

カチャ……パタン

姫「……」
側近「……」
使用人「……」
1961 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:17:00.17 ID:wBgBeYbsP
側近「おかしい、よな」
姫「……そうね」
使用人「疲れているだけ……では無いでしょうね」
側近「……言いそびれてたんだが」
使用人「はい?」
側近「姫の部屋で話している時だ」
側近「……俺は、確かに魔王様の目を持っている」
姫「それで心話、だっけ……が可能なのよね」
側近「ああ。それに……望めば魔王様の見た景色を見る事ができる」
側近「俺が見た景色、もな……魔王様には見えている筈だ」
使用人「そういえば……インキュバスと戦った時、側近様の身体を……」
側近「ああ……確かに、あいつは規格外だ。昔から凄く強い……並ぶ者等居ない」
側近「有り体に言えば、何でも出来る。それこそ……『願えば叶う』だ」
姫「……」
側近「あの時……」
使用人「姫様の部屋で……?」
側近「ああ。話している時……あいつは、俺の心をあっさりと読んだ」
姫「え?」
側近「心話なんてもんが出来ちまうからな……可能なんだ、と」
側近「いわれちまえばそれまで、だが」
側近「……自覚が無いみたいだった。あの時の……魔王様は」
使用人「何を……考えて居たんです?」
側近「大地を燃やし、清めてるだか何だか……だったかな」
側近「それで……流石に城は燃やせないよな、とか」
側近「そんな事をな」
使用人「ああ……確か『そんな事はしない』とか、なんとか」
1971 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:28:56.07 ID:wBgBeYbsP
姫「そういえば……」
側近「……そうだ。今から考えれば……」
側近「俺が身体を乗っ取られた時も……あいつは普通に、口で喋ってた」
側近「俺は……まあ、変な状態だったからなぁ……」
側近「こっちは心話のつもり、向こうは言葉を出してる、で」
使用人「……要するに、何時もの加減と違った、と」
姫「でもあれは……」
側近「まあ、な……身体を貸してる状態だったから、な」
側近「……だけどさ、それも……おかしくねぇ?」
姫「え?」
側近「いくら俺が目を持ってるから、って言ったってさ」
側近「普通に会話は成立するわ、いきなり魔王の剣召還するわ」
側近「……俺の身体の侭で、転移魔法まで使いやがった」
使用人「……」
側近「しかも、だ……瞳の色が俺の緑から」
姫「……紫に変わってた、のよね」
側近「ああ……瞳の色ってのは、例え姿形を真似たからと言って」
側近「変えられるモンじゃネェんだろ?」
姫「その筈、よ……彼が魔導の街で、私の姿を真似た時も」
姫「……瞳は、紫の侭だった」
側近「魔王様の姿をした姫様の瞳も、だろ」
姫「そうね……確かに、この蒼の侭だったわ」
使用人「……どういう、事です?」
側近「絡繰りはわからん。わからん……が」
側近「……否。魔王だから、と言うのならそれまで……その通りなんだ」
側近「だが……」
1981 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:37:38.61 ID:wBgBeYbsP
使用人「だが……なんです」
側近「あれだけの事をした、された……んだ」
側近「いくら魔王様の後押しがあったとは言え、目を持ってると言え」
側近「……インキュバスとの戦いで、魔法だって使ってる」
側近「なのに……俺は、あの時特に疲労なんて感じなかった」
姫「……」
使用人「……魔王様のお力が、強くなってる?」
側近「どうにも……感情が読み取れない時がある」
側近「おかしいと思ったのも……そこだ」
姫「……感情が無い、様に見える時もあるわ」
姫「いえ……どころか、残忍だ……とも」
使用人「残忍、ですか……」
姫「……魔族ですもの。ましてや王……そういう部分があっても」
姫「おかしくは無いのだと思う。魔導将軍の時だって……」
使用人「……」
側近「あいつは……まあ、阿呆だと思うが」
使用人「側近様!」
側近「いや、でも……そうだぜ?人の言う事は聞かないし」
側近「……威厳持ってくれよ、とかさ。旅に出す前は思ってたんだ」
側近「伝えもしたけど……」
使用人「料理が好きだとか言ってましたね」
姫「……まあ、魔の王の趣味って思えば、まあ……」
側近「な、阿呆だろ?阿呆なんだよ」
側近「……阿呆な魔王様じゃなきゃ……なんか、調子狂う」
姫「……勝手ね」
側近「……解ってるよ」
1991 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:44:36.45 ID:wBgBeYbsP
使用人「でも、確かに……辛そうに見えます」
側近「……剣の事もある」
姫「魔王の剣?」
側近「ああ……ありゃ代々受け継がれてきた物だ」
側近「勿論、亀裂なんて……あり得ない」
側近「……召還の衝撃でなら良いんだが……あ、いや良くないけど」
姫「治せるの?」
側近「さっぱり、だ……鍛冶師の村へ行ったって」
使用人「まさか魔王の剣ですだなんて言えませんよ」
側近「……そりゃそうだ。てか、治せる奴なんていねぇよ」
姫「……様子を見るしか無い……わよね?」
側近「ああ……まあ、そう……なんだけどな」
使用人「……そう、ですよね」
側近「まだまだ……やる事はあるからな」
姫「え?」
側近「なんだかんだで魔王様には話せて無いが……」
側近「北の塔……だ」
使用人「北の塔?」
側近「鍛冶師達の村から山を越えた先に、北の街ってのがあるらしい」
側近「その近くに……頂点が見えないほど高い、塔があるらしいんだ」
姫「見えない……雲の上まで続いてる、って事!?」
側近「噂話、の類だとは思うんだけどな」
使用人「位置的には……この大陸からの方が近いのでは?」
側近「よく知ってるな」
使用人「地図見て勉強しましたから」
2001 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:51:18.87 ID:wBgBeYbsP
側近「書庫のか? ……ありゃ相当古いぞ」
使用人「でしょうね。街とかはのってませんでしたが」
使用人「塔は……覚えていません」
使用人「地理だけでも覚えようとざっと見ただけですし……」
側近「ああ……で、まあ何でも」
側近「そこにお宝が、とかな」
姫「宝……そんな所に?」
側近「噂だ、噂……何でも扉も厳重に鍵が〜とか、聞いた気がするが」
側近「場所も場所だしな……一回確かめに行こうかとは思ってる」
姫「……上るの、大変そう」
側近「……どうせそういうのは俺の仕事になるんだって」
使用人「私も少し調べてみます」
側近「ああ、頼む……さて、じゃあ姫様」
姫「何?」
側近「……晴れて婚約もしたんだろ。未来の旦那様の様子を頼むぜ」
姫「……解ったわ」
使用人「では、私も部屋に戻ります……娼婦さんも、もう休んでいるでしょうし」
側近「ああ……使用人ちゃん、明日から頼むよ」
使用人「はい……では、おやすみなさい」スタスタ……パタン
姫「……私も行くわ」
側近「……姫様」
姫「何よ……」
側近「良かったのか?」
姫「……」
2011 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 01:55:01.92 ID:wBgBeYbsP
側近「アンタ……子供を産んだら……」
姫「それまでは……一緒に居られるわ」
側近「……好きなのか」
姫「……」
側近「別に……良いけどな。男女の関係なんて……他人に計る事は」
側近「出来ないんだろうし、さ」
姫「……良く、解らないわ」
側近「……」
姫「何時生まれるのかも……どんな子なのかも」
姫「……解っているのは、この子を産んだら私は……死ぬという事だけ」
姫「魔王には感謝もしてる。命の恩人……でも」
側近「愛じゃ無い? ……なら、何故だ」
姫「私は口にしてしまった。私達は……夫婦、だと」
側近「エルフは嘘をつけない?」
姫「ええ……それは本当になってしまうから」
側近「つじつま合わせか」
姫「それは違う!違うけど……!」
側近「……悪い。責めるつもりはないんだ」
姫「……」
側近「アンタ達は決めた事だ。ましてや……魔王様は俺の主だ」
側近「反対したい訳じゃない」
姫「……解ってるわ」
側近「すまん……魔王様を頼むな」
姫「側近はどうするの」
側近「……書庫へ寄って、休むさ。じゃあな……おやすみ」スタスタ……パタン
姫「……」
2021 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 02:02:05.78 ID:wBgBeYbsP
姫(……解らない、か)
姫(確かに、解らない事だらけ)
姫(何時生まれるの。どんな子なの。私の身体はどうなっていくの……)
姫(ペンダントの加護は何時まで?)
姫(死んだら……この子は、どうなるの)
姫(もし、そうなっても……魔王が居てくれる、なんて)
姫(……私は、何処まで他力本願なの……)スタスタ
姫(空……暗いのに、外が明るい)
姫(……まだ、燃えているのね)
姫(……)

スタスタ、カチャ……パタン

……
………
…………

娼婦(眠れない……)
娼婦(私の命……後、一年……?)
娼婦(だけど……魔には……なれない。なりたくない)
娼婦(……私の、神。探すまでも無い。解ってる)
娼婦(魔王様……)
娼婦(……傍に居れなくても良い)
娼婦(満足なんて無い……居ても、居なくても)
娼婦(やっぱり、知ってしまうのは辛かった……!)
娼婦(……望んでも、望んでも……手になんて、入らない)
娼婦(これで充分なんて。想いだけで、生きてなんて……!)
娼婦(そんなもの、ありません……魔王様!)
娼婦(やっぱり……期待なんて、するものじゃ……無い)

カチャ

娼婦(!)
2031 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 02:06:59.21 ID:wBgBeYbsP
使用人「……眠っていらっしゃいます、か」
娼婦(使用人さん……そうよね)
娼婦(魔王様が……来るはずなんて……)
娼婦(……お客様を……魔王様を娼館で待っていたあの時とは、違う)
使用人「……」ゴソゴソ……コロン
娼婦(……使用人さんの様には、なれない……)
娼婦(……魔王様)

……
………
…………

コンコン

姫「魔王、入って良い?」
姫「……」
姫「魔王……?」カチャ
魔王(スゥスゥ)
姫(……机で寝てる……)スタスタ
姫「魔王」ユサユサ
魔王(スゥスゥ)
姫(起きない……どうしよう)キョロキョロ
姫(あ、お布団……よいしょ)ズルズル……バサッ
姫(……仕方ない、か)
姫(大丈夫……よね?)スタスタ……カチャ、パタン
魔王「……すまん、姫」
魔王(……私は、どうしてしまったんだろうな)
魔王(眠らずとも、身は疲れない)
魔王(……どころか、力が沸いてくる)シュン
魔王(魔王の剣……)シャキン……パキンッ
魔王(……また、か)
2041 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 02:16:24.00 ID:wBgBeYbsP
魔王(少しずつ……亀裂が広がっている)
魔王(そばに置いても、放置しても変わらない)
魔王(……どうなっている?)
魔王「……気にしてもわからんもんはわからん、か」カタン
魔王(どこまで書いたか……)ペラ
魔王(魔石の作り方……と、後は……)
魔王(私以外に出来るとは思わんが……転移の方法、転移石……)
魔王(それから……)バサバサバサ……ッ
魔王「ああ……」ハァ ……スタスタ
魔王(……ん、何だこれ……ああ、使用人に貸した本か)
魔王「『始まりは終わりだった。古の神との忘れられた契約』……」
魔王(光と闇の神話……だったか)ペラ
魔王(……昔に読んだ記憶はあるが)ペラ
魔王(意外と……答えがあるかもな)ペラ

……
………
…………

船長「見えてきた……あれだな」
海賊「北の大陸……最果ての地、ですか……あれが」
船長「ああ。連絡は入れてある……船を着けれそうな場所を探せ!」
船長「……とうとう上陸、だ」
海賊「ほっとしましたよ。もうあのちっこいカラスにつつかれなくて良い……」
船長「随分なつかれてたじゃねぇか」ハハ!
海賊「ありゃなつかれたって言いませんって!」
2051 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 02:19:01.58 ID:wBgBeYbsP
船長「ちゃんと届いてると良いがな」
海賊「届いてなかったら?」
船長「……自力でたどり着くしかネェだろ」
海賊「……それマジで言ってます?」
船長「金貰わなきゃ死んでも死にキレねぇよ!」
海賊「うへぇ……まあ、そりゃそうですが……」

ヨシ、イカリオロセ!
アイアイサー!

船長「そろそろか……その荷物貸せ」
海賊「持って行きますよ?」
船長「いや、良いさ……お前達は船で待機してろ」
海賊「で、でも!」
船長「……もし誰も居なかったら、呼びに来る」
海賊「……」ハァ
2061 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 02:19:52.16 ID:wBgBeYbsP
流石に限界……!
おやすみなさい!
207名も無き被検体774号+:2013/04/27(土) 02:20:47.05 ID:YAw1Mm4R0
ありがとう!お疲れさま〜
208名も無き被検体774号+:2013/04/27(土) 08:39:02.16 ID:1cJB2tFn0
C
2091 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/27(土) 17:24:43.98 ID:wBgBeYbsP
幼女と遊んでたらこんな時間( ゚д゚)
また夜来れたら!
210 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/27(土) 18:25:09.68 ID:u8cJ/7ct0
乙ー待っとるよ
211名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 00:09:27.64 ID:dbSXzRdHO
疲れがたまってるだろうし、今夜は無理そうかな?

しっかり身体休めて下さい
2121 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 08:38:53.06 ID:yl/SPHfsP
おはよう……寝ちゃったorz
GWは多忙ですわ…
出かけるまで!
213名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 09:06:48.63 ID:wrLozI2ZO
(*´・ω・)ノおはようじょ
2141 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 09:07:12.85 ID:yl/SPHfsP
船長「……良し、行くぞ。お前達は待機しとけよ」スタスタ

アイアイサー!

側近「お……あれか?」
船長「ん……お前さんが側近か」
側近「そのでかい腹、間違いネェな」ニッ
船長「しょうね……魔王か、そんな事言いやがった奴は……」
側近「残念、姫様だ」
船長「……怒れネェな、そりゃ」
側近「随分でかい荷物だな」
船長「まあ、色々とな……で、城は何処だい?」
側近「アレ」
船長「……えらい遠いな」グッタリ
側近「心配すんな……馬車だよ」クック
船長「人が悪ィな……」ハァ
側近「魔王のカラスが随分不機嫌そうだったぜ……足に結んだ手紙」
側近「無事に届いて良かったよ」ハハッ
船長「そりゃあいつみたいな真似は出来ないって……」
側近「違い無い……ま、ご苦労さん」
船長「後……盗賊から癒しの石を預かってきてるぜ?」
側近「あ、マジか……事情は聞いてる、よな?」
船長「ああ……あんまり酷いなら何か考えた方が……」
側近「……まあ、詳しくは馬車の中で話すさ」
側近「どうせ少し時間も掛かるしな」
2151 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 09:23:27.19 ID:yl/SPHfsP
船長「ああ……よっと」
側近「もうちょっと詰めろって……よいしょ」
側近「良いぞ、出してくれ!」

ガタガタ……ゴロゴロ……

船長「……もっと鬱蒼とした場所を想像してたな」
側近「ん?ああ……木が無いのは」
側近「……魔王様が焼き尽くしたからだ」
船長「何……焼き尽くした?」
側近「まあ、ちょっと……攻め込まれてな」
船長「焼き払ったのかよ……」
側近「いや、そういう訳じゃないんだが……まあ」
側近「『全てを焼いて清め』たんだとよ」
船長「……」
側近「一週間ぐらい前までは燃えてた」
船長「……で、何も無いのか」
側近「街はもう少し奥……ああ、あの辺りだな」
船長「屋根が見える……が、人は……人、ってか」
船長「……住んでる奴らはいるのか?」
側近「居るはず……だがな」
船長「筈?」
側近「元々それほど、な……人が言う様な『街』とは多分……違うさ」
船長「スラムみたいなの想像してたんだがな」
側近「廃墟の方が近いだろうな……丁度、あれだ」
側近「始まりの街だったか……あの方がイメージに近いだろうな」
2161 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 09:50:00.11 ID:yl/SPHfsP
側近「今回のあれで、な……少し場所が離れているとは言え」
側近「逃げ出した奴も居ると思うぜ、そりゃ」
船長「そういう奴らは……どこに行くんだ?」
側近「正直、わからない……この大陸は広い」
側近「とは言え、大部分が岩肌の地だ……住める様な場所じゃ無い」
船長「……って、事は?」
側近「……確かに、さ。魔族は残忍な奴らも多い。知能なんかが高い奴ほど」
側近「そういう傾向も強い……が」
側近「全部が全部、そういう訳じゃ無い」
側近「危惧する気持ちは分かる。人間達が住む所に紛れ込んだら……だろ?」
船長「……ああ」
側近「正直そこまでは責任もてネェ……が」
船長「いや、良いさ……そうだよな」
船長「……魔導将軍みたいな奴ばっかじゃネェってのは解ってるさ」
側近「……」
船長「ん……?あれは……教会……?」
側近「ああ……あれも何時からあるんだか」
船長「いや……そうじゃなくて」
側近「ん?」
2171 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 10:08:48.11 ID:yl/SPHfsP
船長「それこそ不釣り合いだろう……」
側近「ああ、そういう意味な……さて」
側近「……大昔は、人が住んでたのかも知れネェぞ」
船長「……」
側近「世界なんてモンが何時から存在するんだか、俺はしらねぇ」
側近「……知りたいとも、別に思わんよ」
船長「少女はやっぱり……魔族になったのか」
側近「ん?ああ……なんだいきなり」
船長「お前さんと反対で、世界の謎を知りたいだとか言ってた、ろ」
側近「ああ……そうだな。無事に……って言って良いか解らんけど」
側近「姫の世話やら魔王の世話やら、執務やら……随分頑張ってくれてるさ」
船長「そうか……そろそろ本題だ。姫の様子はどうなんだ?」
側近「結論だけ言うと……無事だ。使用人……あ、少女の新しい名前な」
側近「使用人が……魔族になったいきさつとか、姫の体調の話とか」
側近「詳しくは直接聞いてくれ。旨く説明出来る気がしねぇ」
船長「……まあ、無事なら良いけどよ。ひょっとして……必要無かったか?」ジャラ
側近「そんな事はネェよ。頼んでおいたのは俺だしな」
船長「なら、良いが……金はきっちり貰うぜ?」
側近「当然だ……石代は盗賊に届けてくれるのか?」
船長「いや、もう立て替えてあるさ」
側近「……マジで?」
船長「あいつも金がいるとか言いやがるからな……まあ」
船長「相手が盗賊と、お前さんや魔王じゃ無きゃやらねぇよ、俺も」
2181 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 10:38:54.98 ID:yl/SPHfsP
側近「まあ……そりゃそうだろうが」
船長「まだまだ……街が独り立ちするには時間も掛かるだろうしな」
船長「特別サービスだ。しかも……姫の為とありゃ、な」
側近「すまん、な」
船長「……結婚すんのか」
側近「何で知ってる……て聞くのは愚問だわな」
船長「姫に似合いそうなドレスとヴェール、ちゃんと選んできたんだぜ」
側近「……アンタが?」
船長「まあ、見てのお楽しみだ……あれか?」
側近「ああ、もう着いちまったか……続きは城で、だな」
側近「何か魔王様がうきうきでな……朝からキッチンに篭もって」
側近「……ケーキ焼いてたわ」ハァ
船長「……魔王、だよなあいつ」
側近「言わないでくれ……まあ、過激派も殆ど押さえたしな」
船長「平和なモン、か……」
側近「……」
船長「側近?」
側近「忘れモンすんなよ、船長」

……
………
…………

使用人「いらっしゃいませ、船長さん……お久しぶりです」
船長「少女……否、使用人だったか……おう、久しぶり」
船長「……何も変わらないんだな」
使用人「そうですね……見た目は、別に」
船長「……中身は変わった、のか?」
2191 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 10:50:42.06 ID:yl/SPHfsP
使用人「……歳を取っても変わらないんでしょうね」
船長「そうか……姫や魔王は?」
使用人「魔王様はキッチンに」
船長「……ケーキ作ってるんだったか」
使用人「お嫌いですか?甘い物」
船長「いや、そんな事はネェけど……」
側近「おいおい、早く中に案内してやれよ」
側近「船長、荷物はそこに置いとけ。魔王様呼びに行くついでに」
側近「渡してくるからさ」
船長「お……そうか。頼むよ」
側近「石の方は直接姫に……ああ、使用人でも良いか」
使用人「石?」
船長「盗賊から言付けだ。癒やしの石だとさ」
使用人「ああ……では、お預かりします」
側近「茶でも出して貰って待っててくれ……と」ヒョイ
側近「じゃあ、後でな」スタスタ
使用人「では、食堂の方にどうぞ……姫様達がお待ちです」
船長「……達?」
使用人「側近様から聞いていません?」
船長「ん? ……何の話だ?」
使用人「聞いてないのですね……まあ、会えば解るでしょう」カチャ
姫「まあ、船長……!」
船長「……」
娼婦「お久しぶり、です……船長さん」
船長「……しょ、娼婦!?な……何で……」
娼婦「……」
姫「……」
使用人「魔王様と側近様が戻るまで、お話しますね」
娼婦「あ……あの……」
2201 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 10:57:19.58 ID:yl/SPHfsP
使用人「はい?」
娼婦「私が……自分、で……お話しします」
使用人「……そうですか」
姫「……」

……
………
…………

側近「おい、魔王様」カチャ
魔王「おお、側近か……見てくれ、これ!」
側近「……」
魔王「どうだ、凄いだろう!?我ながら旨く出来た」
側近「いや、うん、確かに上手だと思う。思うけどな?」
魔王「なんだ……旨そうだろう?」
側近「うん、まあそれも否定しないけどな」
魔王「……何か不満か?」
側近「大きさ!大きさ考えろよ!?」
魔王「姫がいるじゃないか」
側近「ウエディングケーキでも作りたかったのかよ、お前は……」
魔王「ふむ、そう考えるともう少し装飾を……」
側近「あああああああああああ、もう良い!充分!可愛い、綺麗、旨そう!」
側近「すっげぇ旨そう!」
魔王「……そんなとってつけた様に」
側近「何で俺がここに居ると思う!?」
魔王「ん? ……ああ、そういえば、お前船長を迎えに行ったんじゃ……」
側近「だーかーらー!」
側近「その俺がここに居るって事は!?」
魔王「もう着いたのか?でもお前さっき出て行った筈だろう……」
側近「行って帰ってもう数刻過ぎとるわ!」
2211 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:02:56.77 ID:yl/SPHfsP
魔王「……集中していると時間の経つのが早いな」
側近「荷物も預かってるし、ほれ!」
側近「客を待たせるんじゃないの!」
魔王「ふむ、仕方ない……行くか」
側近「何だ、中身確かめないのか?」
魔王「皆食堂にいるのだろう? ……そっちで開けてみるさ」
魔王「側近、荷物持って早く来いよ」スタスタ
側近「……本当に、本当に理不尽……」グッタリ
側近(……今日は、元気そうだ)
側近(ますます……危惧してた事が正解っぽいな)
側近(外れてくれりゃ良いのに……こんな予感)ハァ
魔王『早く来い!』
側近「うわ……ッ」
側近「……どれだけ楽しみにしてるんだか」ハァ……スタスタ
側近(まあ……良い事、なんだろうけど……さ)

パタン

……
………
…………

魔王「全員揃ったな……では、久々の再会に!」
姫「乾杯!」
側近「かんぱーい!」
船長「おう……しかしすげぇな、この料理……まさか、魔王が?」
娼婦「乾杯……わあ、良い匂い」
使用人「いえ、料理は私が……」
魔王「料理も私がやると言ったんだがな……ケーキも料理もとなると」
魔王「流石に時間がな」
2221 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:19:59.38 ID:yl/SPHfsP
魔王「……その様子では、もう話は聞いたな?」
船長「ん?ああ……俺か?ああ……」
娼婦「……」
魔王「そうか……では、頼めるか?」
魔王「……渡航代は私が払おう」
娼婦「あ、あの、魔王様……」
魔王「どうした?」
船長「娼婦から聞いた話だと、また別の教会を探せ……って事だろう?」
魔王「ああ……そうだが」
船長「皆には話したんだがな。今、港街に教会を作ろうとしてるんだ」
側近「……大丈夫なのか?」
船長「時間は掛かるだろう。勿論、金もな」
船長「今すぐに、は無理だろうが……」
姫「神父さんももういらっしゃるんですって」
魔王「ほう?」
使用人「港街ならば、盗賊さんも居ますし……心強いでしょう」
船長「あの街ならば……癒やしの石もすぐに手に入るだろう」
側近「癒やしの石……どうするんだ?」
船長「……気休めかも、しれんがな」
魔王「そうか……全部、聞いたか」
船長「……驚いたぜ。ああ、そうだそれから……」
使用人「インキュバスの魔石……私が処分しておきました」
側近「え?」
船長「海賊の一人が……魔除けの石だっつって買ってきたんだ」
船長「その……神父さんがな。どうにも禍々しいだか言ってたんだが」
側近「……結構出回っちまってるんだな」ハァ
2231 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:31:38.81 ID:yl/SPHfsP
姫「でも……前に側近が持ってきた物ほど」
姫「厭な感じがしなかった……何故かしら?」
娼婦「……推測、ですけど」
魔王「うん?」
娼婦「その……彼は、私の気を吸い、気を貯めて……魔石を作っていたのだと思います」
娼婦「ですから……力の強弱で、石の強弱があるのかと」
側近「成る程……?でも……あいつも魔族だろう?」
魔王「コントロールになれて無ければ考えられない話ではないな」
船長「出回ってる、てのは?」
魔王「その侭……なんだがな。何でも、側近や私が引き上げた次の日の早朝に」
魔王「魔除けの石として、インキュバスの作った魔石が船で運ばれていったらしい」
船長「それは……何時の話だ?」
側近「昨日今日じゃネェ……もう、色んな所にばらまかれてると思って良いだろうな」
船長「ふむ……まあ、魔物を寄せ付ける程度じゃ、別になぁ……」
側近「いやいやいや、大問題だぜ?」
側近「これから、魔石を港街の特産品にしようと考えるなら尚更だ」
側近「……偽物、まがい物……魔除けの石が実は魔寄せの石でした、なんて」
側近「……信用に傷が付いちまうだろ」
船長「それは……」
姫「手立てがあるんじゃなかったの、魔王?」
魔王「ふむ……後手になると言っただろう?まあ……」
魔王「回収、ないし交換しか無いだろう……だが、それも」
魔王「本物の魔除けの石があれば……だ」
使用人「……本物、ってどうやって作るんです」
魔王「側近の話では『徳の高い聖職者の魔力の結晶』なんだろう?」
側近「あ?ああ……でもそれも、インキュバスが言ってただけだろう」
側近「信じさせるための方便じゃネェの」
2241 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:46:22.23 ID:yl/SPHfsP
姫「……いえ、可能だと思うわよ?」
魔王「ふむ」
姫「信心の問題の様な気はするけど……」
娼婦「信心……」
魔王「何れ……出来る様になる。娼婦なら大丈夫だ」
娼婦「……」
船長「その神父なら可能だろうな。盗賊から預かった石の属性だかも」
船長「解ってたみたいだぜ」
姫「見た目で判断する事もできるから何とも言えないけど」
船長「ああ、そうか……まあ」
船長「……判断は難しいが、そのインキュバス?の野郎みたいな事は無いと」
船長「思いたい、けどな」
魔王「少し落ち着いたら……姫との約束もあるしな」
魔王「一度、港街に行こうと思う」
船長「そうだな……俺もどうせ、あそこにはちょこちょこ寄るつもりだ」
娼婦「……お待ち、しております」
側近「で……だ」
使用人「?」
側近「そろそろ開けてみろよ。ドレスとヴェール……姫に渡すんだろ」
船長「何だ、まだ見てなかったのか」
魔王「ふむ、全員が居る場所でと思ってな……どれ」ガサガサ
姫「……わ、ぁ ……ッ」
使用人「これは……」
娼婦「綺麗……!」
側近「ほーぉ……」
船長「……」ニヤニヤ
2251 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:56:16.29 ID:yl/SPHfsP
魔王「……素晴らしい」
船長「だろう。ドレスの方は極上の絹で仕立てさせたんだ」
船長「姉ちゃんはふりふりひらひらしてるのより、シンプルな方が似合いそうだろ?」
側近「後ろは……お、リボンか……長ッ」
船長「スカート丈自体は短いからな。歩く時に、リボンの方踏まない様にな」
娼婦「これは……手袋、ですか?」
使用人「片方には花が……あら、こちらはお花だけ?」
船長「左の手袋と、その花は肩の飾りさ。あんまり味気ないのもな」
船長「造花だが……綺麗だろう?瞳と髪の色が蒼に緑だからな」
船長「ピンクにした」
側近「……で、こっちがヴェールか。これもシンプルだなぁ」
娼婦「これ……あ、髪飾りですね。肩と手袋のとおそろい」
船長「……どうだ?」
姫「凄い……!ステキだわ……!」
側近「これ……お前が考えたの?」
船長「ああ。魔王にデザインは任せると言われていたからな」
魔王「うむ……信じて正解だったな」
側近「……どこで信じるに値するって判断したんだ?」
側近「俺も……良いと素直に思う、が……」
魔王「船の内装だな……シンプルで簡素だったが、細かいこだわりも感じられたし」
姫「ああ……そうね。そういえば……」
魔王「気に入ったか?姫」
姫「勿論よ! ……嬉しいわ」
側近「……確かに、魔王様に任せるより余程良いわな」
魔王「側近、酷い」
側近「……お前のセンスの無さは、絵を見れば解った」
姫「見たい」
魔王「駄目!」
2261 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 11:58:22.44 ID:yl/SPHfsP
お昼食べてバイト!
227名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 12:03:14.32 ID:dbSXzRdHO
乙!いってら〜
228名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 20:35:18.29 ID:TC9USEI00
乙ホス!
…も少しすくなくできないか?
読みにくいわけじゃないが不要な部分が目に付く
229名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 21:14:03.51 ID:I7FvPcCbP
必要不要を決めるのは読み手じゃなくて書き手だと思うんだけれど
230 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/28(日) 21:26:06.83 ID:1wFzc2Nt0
… ←俺は好きだけどな
231 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/28(日) 21:36:12.95 ID:S+6GQ1090
荒れるから内容についてはもう言うなよ
2321 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/28(日) 21:38:36.82 ID:yl/SPHfsP
とりあえず幼女寝かすー
…、なぁ。
まあ、うん。ごめんとしか(笑)
233名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 21:43:16.02 ID:x1gGxx25O
>>225のくだり、ほのぼのしてて好きだなぁー。
スコーンのおかげで毎日楽しみです。ありがとう。
でも体には気をつけて。
234名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 22:43:59.45 ID:ld+8OOW0P
同人誌とかラノベってこんな感じ?なのかな?読んだことないからわからないんだけど
SSは元々がTRPGの記録みたいな感じではじまったんだっけ?
普段普通の文学しか読まないけど、描写や地の文がなくて会話文と擬音だけで進むっていうには未だに慣れない
スコーンのは、自分ゲーマーだから脳内状況補完できてそれはそういうもの、として読めるようになってきた。
235名も無き被検体774号+:2013/04/28(日) 23:47:16.63 ID:W6iJWSBuP
TRPGのリプレイを文字形式にしたらSSになるだろうなぁ
それが発祥と言われたら納得
236名も無き被検体774号+:2013/04/29(月) 00:53:42.96 ID:EqOOr4aEO
幼女の睡魔にとりこまれたかな?
スコーンもゆっくりおやすみなさい!
237名も無き被検体774号+:2013/04/29(月) 08:52:37.93 ID:9o9ctI3C0
すまん>>228は気にしないでくれ
2381 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:04:21.71 ID:imrX/2PcP
おはよう!疲れが溜まっているようですorz
GWびっしり仕事だから出来れば終わらせたかったけど
無理だー!!
ありがとう!のんびりやる!

TRPGは少しだけ経験あるけど、口頭PBCなイメージだわ
でも確かに納得
私もラノベは興味が無いんだ、読んだ事がないからわかんないけど……
SSはまとめサイトで読んで、こういう感じで書くモンなんだと……
違うのかなwww
小説書いたり読んだりは好きなんだけどね

……、とか、読みにくいとか読みにくいとか
教えてくれたりありがたいよー
でも荒れるのは……そうだなぁ
折角読んでくれてる人いるし、できればのんびりいきたいなー

とりあえず、買い物行くまで!
2391 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:19:02.85 ID:imrX/2PcP
姫「えー」
魔王「そんな顔しても駄目!」
船長「絵……って何の話だよ」
娼婦「魔王様が、お話を書かれたんです。で、その表紙の絵を側近様が」
船長「ほぉ」
魔王「……もう絵の話題から離れてくれ」
側近「そうだな。皆が知っちまえば俺が弱みを握った意味が無くなる」
使用人「弱み……になるほど、ですか?」
側近「そりゃあもう」
使用人「……」
側近「ちょっと見てみたい、とか思っただろう」
使用人「……そ、そんな事ありません」
魔王「話題を変えろって!」
船長「ハハハ、お前さんそんな顔もするんだな」
魔王「……私、か?」
船長「ああ……まあ、危惧する事も無くなったんだろう」
船長「喜んで良いんじゃないか?姫との話もめでたい限り、だ」
娼婦「……」
船長「さて……んじゃま、俺も金貰って行くかな」カタン
姫「もう行っちゃうの?」
船長「多忙なのさ……俺たちは俺たちで、やらなきゃいけねぇ事がある」
側近「そうだな……魔王様」
魔王「ああ……金ならここに用意してある。あらためてくれ、船長」ジャラ
船長「ん…… ……」カチャカチャ
使用人「それでは、私も仕事に……」
側近「あ、ちょっと待ってくれ」
使用人「?」
側近「暫く、城の中の事任せて良いか?」
使用人「私に……ですか?」
2401 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:25:53.61 ID:imrX/2PcP
側近「ああ……俺は北の塔に行ってくる」
魔王「北の塔……ああ、あれか」
側近「この間ちょっと話しただろ……あんまり危険な様なら人間共が」
側近「近づけない様にしとかないとな」
魔王「……そうか」
姫「先の見えない高い塔……いかにも、何かありそう、よね」
船長「良し、きっちりだ……ありがとよ」ジャラ
船長「で……北の塔ってのはあの小島にあるやつか」
側近「知ってるのか?」
船長「ああ。大陸の端っこに北の街ってのがあってな」
船長「そこの街から海を渡らなきゃ行けねぇんだが」
船長「……空を飛ぶ魔物には関係ないだろう?」
姫「それは……そうね」
船長「たんまに被害があるそうだ……つっても、その話も又聞きに過ぎんが」
側近「そうか……俺は狼って聞いた気がするが」
使用人「確かに、目で確かめてみるのが一番でしょうね」
船長「乗せてってやろうか?」
側近「良いのか?」
船長「おう、ついでだついで……懐も潤ったしな」
魔王「転移は苦手だし、丁度良いんじゃないか、側近」
側近「おう……帰りの一回我慢するだけで良いなら助かるな」
魔王「使用人は良いのか?」
使用人「え?……ああ、私は大丈夫です」
側近「使用人ちゃんになら任せられるさ」
姫「……寂しくなっちゃうわね」
魔王「今度は私達が会いに行けば良いだろう」
姫「うん……そうね」
2411 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:35:08.57 ID:imrX/2PcP
魔王「良し……では私は書いた本をまとめよう。すまんが娼婦……」
娼婦「はい、ご一緒致します」
側近「じゃあ俺は準備してくるぜ」
船長「おう、待ってるさ……」
使用人「魔王様のケーキのおかわり、如何です?」
姫「私はやる事も無いし、頂こうかな」
船長「良いね……予想以上に旨かった」
魔王「私が作ったからな。フランボワーズと、季節の果物を……」
側近「お前はさっさと用事を済ませろ!」
魔王「えー……説明ぐらい……」
娼婦「美味しかったですよ、魔王様。お腹いっぱいなのが悔しいです」クス
使用人「紅茶も入れ直しますね」
側近「ほら、お前はこっち!……娼婦ちゃんもおいで」
娼婦「はい」
魔王「……側近の阿呆」ずるずる

パタン

船長「一気に静かになったな……で、嬢ちゃん、何時式をあげるんだ?」
姫「ふふ……え?ああ……どうなんでしょうね」
姫「魔王は自分で勝手に決めちゃうから」
使用人「教会が出来てからでは?」
姫「え?」
使用人「港街に教会が出来るのでしょう?……そこで、では無いんですか?」
船長「ああ……なるほどな。でも魔王が……そんな事考えつくか?」
姫「……エルフと魔王が人間の街の教会で?」
使用人「……」
船長「……」
姫「寧ろ、魔王ならおもしろがってその話に飛びつきそうね」
船長「間違いないな」
使用人「……私の感覚も、まだまだ人間なんでしょうか」
船長「え?」
2421 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:53:11.05 ID:imrX/2PcP
使用人「いえ……すっかり、その。忘れていたので」
船長「使用人の感覚がどうとかいうより、魔王と嬢ちゃんの問題だろ、そりゃ」
姫「わ、私も?」
船長「……本気で言ってんのかそりゃ」
使用人「そうですね……私悪くないです」
姫「ええ……」
船長「身体は大丈夫なんだな?」
姫「ええ……この、エルフの加護のおかげで」
船長「そうか……」
姫「……ごめんなさい」
船長「なんで謝るんだ……そもそもは盗賊の入れ知恵だろう」
船長「それに、死人より生者だ。知人だって……喜んで助けてくれるさ」
船長「……お前さん、知人の好きだった女の娘なんだ」
船長「自分たちの……長の娘で、長になるものなんだろう」
使用人「……え?」
姫「あ、そうか……使用人はしらないわよね」
船長「エルフの長の娘なんだとよ。嬢ちゃんは」
使用人「では……姫様が次の長?」
姫「そう。そしてまた次の長を産む者……長を産む者は……」
船長「……」
姫「……産んだ後、生きられない」
使用人「!?」
船長「……」
姫「エルフの長てのは世襲制でね……少しだけ、他のエルフより力が強い」
船長「……俺は知人に聞いて知ってたが……」
2431 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 10:58:20.14 ID:imrX/2PcP
ちょっとお買い物
お昼ご飯なにしよかな
2441 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 13:32:10.55 ID:imrX/2PcP
幼女と公園ー!
245名も無き被検体774号+:2013/04/29(月) 14:19:22.99 ID:dtToEwiZ0
天気いいから、気持ちいいぞ!
2461 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/29(月) 20:16:04.74 ID:imrX/2PcP
幼女と暴れまわったから寝たら起きれる気がしないorz
が、幼女ねんねタイム…

明日はお弁当もあるし朝早いからまた明日かな。
247名も無き被検体774号+:2013/04/30(火) 06:41:24.39 ID:NCvG5zAX0
おはようございます
2481 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 07:22:19.23 ID:49NzUQxlP
おはよう!
幼女幼稚園に放り混んだら書くよ!
雨やだなぁ。・°°・(>_<)・°°・。
2491 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 09:57:23.84 ID:49NzUQxlP
姫「知人の思い人……私の母ね。私を産んですぐに、亡くなっているわ」
姫「だから……私は顔は知らない」
使用人「……」
船長「綺麗な人だった、と言ってたぜ」
使用人「では……姫様は……」
姫「……私の、エルフの妊娠期間はほぼ50年。その間ゆっくりとお腹の中で育てるの」
姫「でも……エルフの加護は多分、そんな長い時間は持たない」
船長「……どうするんだ?」
姫「ここで産む訳にはいかないわ。どちらにしても私の子……エルフの長の血を引く者」
姫「……感じる力の強いこの子を、魔の気の中に晒す訳には……」
使用人「そう遠くない内に……城を出られるのですね」
姫「……」
船長「遠くない無いとは言え、50年は長いぞ。俺は確実にくたばってるな」
使用人「考えれば考えるほど、理不尽な世の中ですね」
姫「え?」
使用人「魔と人と言う種族が居て、エルフが居て……」
使用人「種族同士の争いどころか、魔王様の地位を狙う輩が居たり」
使用人「人は……力の、魔力の強さで優劣を決めようとする」
船長「生きる者全ては、支配する側とされる側に分けようとするもんさ」
船長「『みんなが平等』なんてのは、それこそ御伽噺さ」
姫「……エルフはそんな世界に見切りをつけたのよ、きっと」
使用人「え?」
2501 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 10:11:46.99 ID:49NzUQxlP
姫「嫌気がさして、エルフの森に逃げ込んだ……ううん」
姫「より支配しやすい環境を作っただけかもしれないわね」
船長「エルフの中にも長が居る……支配には違い無いわな」
姫「そうね。実質的には支配者よ。長の命令は絶対……」
使用人「劣等種を見ていれば解ります。支配される事を……望む様になる者も」
使用人「少なくは無かったでしょう?」
姫「……今まで不自由の中に自由を見いだす事で生きて来れたのに」
姫「それを取り上げられると、どうして良いか解らない、ね」
船長「……おかしな話だとは思うが……間違い無く、事実なんだよな」
使用人「自由は不自由だと、娼婦さんも仰ってましたから」
姫「……共存したって同じ事、なのよね……きっと」
船長「魔族と、人とが……か」
姫「……使用人はどう思うの?」
使用人「何がです」
姫「魔王と側近は……徹底した不干渉、を望んでるんでしょ」
使用人「私の主は魔王様です。従うだけです」
船長「……これも支配、かね」
使用人「……」
姫「貴方の望みは私の望み……従順に聞こえるけれど」
姫「……それが自分の意思だと、思い込んでるだけの人も居る」
2511 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 10:29:15.04 ID:49NzUQxlP
使用人「支配欲のある者ばかりじゃ、世界は成り立ちませんよ」
使用人「支配する者が居ればされる者が居て……平等、なんてこの世界にはありません」
船長「そうだな。そもそも産まれる時から、平等だとは言いがたい」
使用人「……貧富の差、力の差、種族の差」
姫「環境の差もあるわね……どれだけ才があっても、生かせる環境が無いと」
使用人「……その代表が劣等種……そう思いたいです」
船長「そうだな。環境が違えば、強制的に支配される側に回る事は無かった」
姫「劣等種なんてもう居ないのよ。もう……」
使用人「……」

カチャ

側近「お待たせ……って、アレ、魔王様と娼婦ちゃんまだかよ」
船長「なんだお前その恰好は……」
側近「いや、北の塔に行くなら必要でしょ、武器の一つぐらい」
船長「……魔法で何とかなるだろ?」
側近「俺そもそも攻撃魔法得意じゃネェの」
姫「だからって……どこから持ってきたの、そのトゲトゲ」
使用人「鎖の先に鉄球……振り回すんですか?」
側近「力もそんなにネェの!」
2521 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 10:34:46.03 ID:49NzUQxlP
姫「確かに……威力はありそうだけど」
船長「ほーう……振り回して攻撃すんのか。成る程な」
側近「後衛向きの奴の為の武器だなぁ、多分」
使用人「……ぶん投げそうです、側近様」
側近「俺はどっちかって言うと頭脳派なの!そもそも治癒魔法専門だったんだよ」
側近「……人間の時は、な」
姫「そうなの?」
側近「そうだよ。まあ、ある程度風も操れるけどさ……緑とか大地とか水とか」
側近「その辺の属性持ってる奴らは、がっつり攻撃するには向かないのさ」
側近「……て、まあ、姫様や使用人ちゃんは知ってるよな」
船長「なるほどな……おう、側近、これ売り物にならねぇか?」
側近「こいつか?……しかし似た様な武器は、多くはないだろうが」
側近「普通に売ってるぜ?俺だって武器屋で買ったんだし、これ」
船長「いやいや、もうチョイ軽量化してだな……」
側近「ああ、成る程、そうすりゃ……こういうのはどうだ?」

アーデモナイ、コーデモナイ

使用人「……魔王様、呼んできますね」スタスタ、パタン
姫「……そうね」
姫(確かにこの二人、気が合いそうねぇ)

……
………
…………
2531 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:01:26.35 ID:49NzUQxlP
魔王「これが魔石の作り方、それから……こっちが具現化の方法を纏めたものだ」
娼婦「はい」
魔王「それから、これが……」
娼婦「……こんなに、よろしいのですか?」
魔王「構わん……持たせてやろうと思って書いたものだ」
娼婦「ありがとうございます……」
魔王「複写も終わっている。使用人が読みたがるだろうしな」
魔王「……それから、これ」
娼婦「エルフのお姫様のお話、ですね……」
魔王「ああ」
娼婦「本当に……ありがとうございます。こんなに……よくして頂いて」
魔王「何を言う……お前はこれから頑張らねばならんのだろう」
娼婦「本物の魔除けの石、ですか……私に……」
魔王「大丈夫だ。お前なら出来る……頼む」
娼婦「……はい。徹底した不干渉の為、ですね」
魔王「お前は……共存を望んでいるのだろう」
娼婦「……良く解りません。皆仲良く、と言うのは……素晴らしいとは思います」
娼婦「ですが……」
魔王「……難しい話だ」
娼婦「はい…… ……あの、魔王様」
魔王「ん?」
娼婦「以前のお約束、覚えていらっしゃいますか」
魔王「約束……ああ、大会が終わったら、か?」
娼婦「はい……お料理を、教えて貰いたかったんです」
魔王「……早く言えば良い物を」
娼婦「いえ……まあ、あのごめんなさい」
2541 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:14:21.94 ID:49NzUQxlP
魔王「謝る事では無い……が、ふむ……」
娼婦「あ、あの、良いんです!あの……」
魔王「ん?」
娼婦「また……後で……えっと、今度……」
魔王「……うん。また今度」
娼婦「美味しかったです、ケーキ」
魔王「ああ、ありがとう」
娼婦「あの、姫様……きっと、綺麗だと思います。良く似合います、ドレス……」
魔王「……娼婦?」
娼婦「あの……しあ、幸せに、なってください、魔王様……!」ポロポロ
魔王「娼婦……何故、泣く?」
娼婦「……わ、……わ、かりま、せん……ッ!」
魔王「……」
娼婦「ま、まおう、さ……ま!」
魔王「うん」
娼婦「私が、私が……ッ 死んで、も……ッ」
魔王「……」
娼婦「世界は、美しい、です、よね!?」
魔王「……?」
娼婦「劣等種は居なくなったし、魔族と、人間が共存できなくても!」
娼婦「人から、不安が消えなくても……ッ!」
魔王「何が……言いたい?」ポンポン
娼婦「……魔王様は、勇者です。魔族でも、魔王でも……ッ」
娼婦「ずっと、私の勇者……です!」
娼婦「……だから、あの……ッ」
魔王「大丈夫だ、娼婦……」
2551 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:18:14.48 ID:49NzUQxlP
娼婦「……ッ」ヒック
魔王「お前が死んでも、私が死んでも、世界は変わらず美しい」
魔王「……ありがとう。娼婦」
娼婦「……」ポロポロ
魔王「姫と会いに行く。だから……泣かないでくれ」
娼婦「……」
魔王「また後で、だ。娼婦……」
娼婦「はい。また……後で」

カチャ

使用人「魔王様、娼婦さ……あ」
娼婦「あ……! お、お待たせしてすみません!」ゴシゴシ
娼婦「魔王様、本、ありがとうございました……大事にします!」タタタ
魔王「……」
使用人「女性を泣かすのは感心しませんけど」
魔王「……すまん」
使用人「浮気ですか?」
魔王「お前は何を言っているんだ……」
使用人「姫様には内緒にしておきます」
魔王「阿呆、そんなんじゃない」
使用人「……魔王様も、お早く」
魔王「私は良い……やる事がある」
使用人「執筆ですか?」
2561 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:22:33.25 ID:49NzUQxlP
魔王「それもある……が」
使用人「?」
魔王「……見送りは任せる」
使用人「ええ、それは……まあ」
魔王「側近が居ない間、お前が変わりになるんだ……頑張ってくれよ」
使用人「はい……勿論です」
魔王「ああ……頼む」
使用人「……失礼します」スタスタ……パタン
魔王「……」
魔王(さて……)パリンッ
魔王「? ……む」
魔王(私の剣が……また、亀裂が入ったのか)
魔王(何故だ?寿命には遠いはずだし……)
魔王(否……親父の時はこんな事は無かったはずだ)
魔王(……まあ、良い。過激派も居ない今、もう……こんな物に用事は無い)
魔王(だからか……必要を感じなくなって……いる、のか?)
魔王(私の……魔力が強くなっているのも……こいつの力を)
魔王(吸い取っているから、なのか……)
魔王「納得はいくな……さて、地図は……と」ガサゴソ

……
………
…………
2571 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:28:31.25 ID:49NzUQxlP
使用人「では、お気をつけて……」
姫「またね、船長、娼婦」
船長「おう。なるべく定期的に癒やしの石は届けるぜ」
使用人「お願いします」
姫「このペンダントがあるから大丈夫なのに……」
側近「念には念を入れて、だ」
姫「側近も気をつけてね」
側近「おう。魔王様と連絡は取れるし、大丈夫さ」
船長「しかしこの馬車の内装、良いよなぁ……と、ほら、手貸せ」
娼婦「あ、すみません……」
側近「良し、出してくれ……じゃあな!」

ゴロゴロ……ガラガラ……

使用人「急に……寂しくなりました、ね」
姫「そうね……仕方ないわよ。魔王は?」
使用人「書庫に篭もって執筆中、です」
姫「執筆?」
使用人「私も詳しくは……気になるなら覗かれると良いですよ」
使用人「私は……癒やしの石を設置します」
姫「……本当に、大丈夫よ?」
使用人「今は、でしょう……」
姫「……」
使用人「側近様が案じておられました。多分……魔王様のお力が」
姫「……そうね。強くなってる……わよね、きっと」
258名も無き被検体774号+:2013/04/30(火) 11:32:01.96 ID:u1OApmJx0
C
2591 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:36:03.11 ID:49NzUQxlP
使用人「推測に過ぎませんが、ね……ですが」
使用人「備えあれば憂いなし、です」
姫「……ありがとう」
使用人「では、私は……」
姫「手伝うわ……魔王の所に行っても、相手して貰えないだろうし」
使用人「……拗ねてるんですか」
姫「ち、違うわよ!」
使用人「式、何時にするんでしょうね」
姫「……さぁ。最初は過激派への牽制か、なんかのつもりだったんでしょうしね」
使用人「まあ……色々と予期せぬ事ばかり起きましたから」
姫「お互いに利用するつもり……だった筈、よ」
使用人「貴女は保身の為」
姫「否定はしないわ」
使用人「魔王様は……」
姫「……解らないわね」
姫「嫌いじゃないわ……否、きっと、好きね」
使用人「……」
姫「でも、愛じゃない」
使用人「……そう、ですか」
姫「きっと、魔王も一緒よ」
使用人「どう……でしょうね。でも、お二人は一緒になられると決めた」
姫「ええ……本当に……本当になっちゃったわ」
使用人「?」
姫「……行きましょう。どこに置くの?」
使用人「……はい。姫様の部屋と、魔王様の部屋、廊下、それから……」

……
………
…………
2601 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:46:43.89 ID:49NzUQxlP
側近「連絡手段ナァ……それが一番問題だよな」
船長「あいつは?魔王のあのカラス」
側近「あんな事できるの魔王様ぐらいだってば!」
娼婦「……そうでも無いかもしれないですよ?」
船長「へ?」
娼婦「ほら、これ……魔王様が、具現化の方法を纏めてくださったんです」
側近「どれどれ……て、あああ、駄目だ。悪い、読んでくれ」
船長「は?」
側近「娼婦ちゃんなんで平気なの……酔わない?」
娼婦「だ、大丈夫だと思います……」
船長「……弱いやっちゃな」
側近「わ、悪かったね!」
娼婦「ええと……『自分の身の一部を媒介に、使役する物を生み出す方』……」
娼婦「『髪や爪等小さな物であれば、伝達や偵察などに』……」
側近「駄目ー!却下!」
船長「な、何だよ!?」
側近「……髪は勘弁して」
船長「気にしてんのかよ……」
娼婦「つ、続き読みますね?『より大きく、重要な器官であれば……』」
船長「……お前が持ってる魔王の目と同じか」
側近「俺にゃ目ん玉自分でくりぬく勇気は無い」
娼婦「そのお話の方が気分が悪くなりそうですよ……」
2611 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:52:58.80 ID:49NzUQxlP
側近「転移石があればどうにかあるだろ?」
船長「そりゃそうだろうが、俺は基本船での生活だ。海の上だぜ?」
側近「港街の盗賊ちゃんに言付ければ良いじゃん」
船長「……転移、厭なんだろ、お前」
側近「髪抜くよりはマシ!」
娼婦「ふふ……あ、止まりましたね」
船長「着いたか……」
側近「船……か……」
船長「……馬車は平気なのか?」
側近「地面に着いてるだろ!?」
船長「そういう問題かぁ?」

セーンチョー!
センチョー!

船長「……海賊共か。良し、先に降りるぜ」
側近「でっけぇ声……よっと。ほら、本貸せ……片手じゃ辛いだろ」
娼婦「あ、すみません……よいしょ」
海賊「船長!ご無事で……あれ、娼婦さん?」
娼婦「すみません……もう一度、お世話になります」
側近「結構でかい船だな」
船長「ほら、さっさと乗り込め。出発するぞ!」
2621 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 11:59:03.31 ID:49NzUQxlP
海賊「船長、行き先は?」
船長「北の塔……あ、っと、おい側近。街に行くのか?直接塔にか?」
側近「あー……情報収集もしたいし、取りあえず街かな」
船長「だとするとあれだな、自力で塔まで行くのか?」
側近「あ、そうか……船が居るのか」
船長「先に塔に行け。街は肉眼でも見える……飛べるだろ?」
側近「あー……そうするしかネェか。転移石多めに持ってきて良かったかな」
側近「あれ?そしたら逆も可能じゃん」
船長「……それもそうか」
側近「やっぱ街で頼むわ。街から塔の方が見やすいだろ」
側近「……なんせ天まで伸びる塔、だしな」
船長「了解。 ……良し、北の街に向かうぞ!」

アイアイサー!

娼婦「どれぐらい掛かるのです?」
船長「ん?塔までか? ……そうだな、一日はかからん」
娼婦「いえ、港街まで……」
船長「あー……まあ、魔寄せの石は処分したとはいえ」
船長「戦闘も考慮に入れると一週間ちょいかな」
娼婦「そうですか。ならのんびり……読書でもしています」
船長「ああ。そういえば盗賊がおいていった本とかもあるな」
船長「書庫の近くの部屋を用意してやるよ」
2631 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 12:04:13.37 ID:49NzUQxlP
娼婦「船に……書庫!?」
船長「ああ、いやいや。書庫代わり、だな。物置みたいなもんだ」
側近「いやに優しいじゃネェか」ニヤニヤ
船長「う、うるせぇ!髪引っこ抜くぞ!」
側近「ちょ、冗談でもやめて!」

フネヲダスゾー!

船長「……良し、俺は操舵室に行くぜ」
船長「海賊に部屋へ案内させる……着いて来い」
側近「船、か……うわ、海の上進んでる……」
船長「当たり前だろ、阿呆か」
側近「……お、俺甲板に居るわ、風に当たってる……」フラフラ
娼婦「だ、大丈夫ですか……」
船長「ありゃ気のもんだ……好きにさせてやれよ」スタスタ
娼婦「え、ええ……側近さん、落ちないでくださいね!」スタスタ
側近「……俺をどんなけ阿呆だと思ってんだ、娼婦ちゃん……」ウェ
側近(ううううう、海が、青い……気持ち悪い……)
魔王『側近、今どこだ?』
側近『魔王様……?まだ海の上……』
魔王『どうした、元気ないな』
側近『いや……大丈夫だ。で、何だよ……』
魔王『転移石に余分はあるな?』
側近『ん?ああ……結構持ってきたからな……どこ行かすつもりだよ』
魔王『始まりの大陸へ』
側近『……理由は』
2641 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 12:38:31.93 ID:49NzUQxlP
魔王『視察だ』
側近『あそこは廃墟だろ?何で……』
魔王『あの街と、城も復活させる』
側近『へぇ!?』
魔王『なんて声出すんだお前は……』
側近『港街もまだ軌道に乗ってないのにか!?』
魔王『あそこはゼロからだろう。幸い、港街からそれほど遠くない』
魔王『働き手が増えれば、住居ももっと必要になる』
側近『まあ、そりゃそうだろうけど……』
魔王『魔物共の強くないだろう。うってつけでは無いか』
側近『……そこまで人間の為にしてやる必要は?』
魔王『あそこは、エルフの加護があるだろう』
側近『……あのペンダントに移したんじゃ無いのか』
魔王『大地に染みついた物はどうしようもないだろう?』
側近『まあ……そりゃ、そうだが』
側近『……姫様の為か』
魔王『……』
側近『まあ、いい。船長にも相談してみる』
魔王『ああ、頼む……それから、様子を教えてくれ』
側近『様子?』
魔王『以前ほど息苦しい思いはしなくて良いと思うんだがな』
側近『ああ……成る程ね。了解』
魔王『北の塔の報告も待っている』
側近『あいよ……明日の朝には着くだろう。まず街へ行く』
魔王『解った……ではな。もう少し調べ物を続ける』
2651 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 12:46:01.80 ID:49NzUQxlP
側近(船長は……操舵室、だっけな……ここか)コンコン。カチャ
船長「おう?」
側近「魔王から伝言だ。始まりの街と城を復活させるんだと」
船長「は!?」
側近「……それが普通の反応だよな」
船長「簡単に言ってくれるなぁ……」
側近「まあ、働き手が増えれば住居もいるし、てな感じだ」
船長「ふむ……まあ、一理はある。場所も遠くない」
側近「港らしきもんもあるしな。可能は可能だろう」
船長「時間は掛かるがな……つか、城どうすんだよ」
側近「城も、とか言ってたがな……まあ」
側近「とにかく、北の塔の後に見に行けってなお達しだ」
船長「何れ、の話なら……可能だとは思うが」
側近「それで良いんじゃねぇの?」
船長「しかし……何でまた」
側近「あそこは、エルフの加護がある。魔物も強く無い」
側近「……姫様の為、だろう」
船長「惚れ込んでるねぇ……」
側近「どうだかね……惚れてるって言やぁ、アンタだろう?」ニヤ
船長「は?俺?」
側近「娼婦ちゃん」ニヤニヤ
船長「な、ば……ッ馬鹿野郎、そんなんじゃネェよ!」
側近「……うわぁ、顔赤くしてやがる」
船長「う、うううううう、うるせええ!」
側近「……」
船長「聞いたよ。一年、だろ」
側近「……ぐらい、だ」
船長「そんなんで……魔石なんか作って大丈夫なのか」
2661 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 12:51:58.99 ID:49NzUQxlP
側近「……何か目標がある方が良いさ」
船長「ん?」
側近「何も無いと……やる気も失せる。生きる気力、もな」
船長「……」
側近「出来なくても良いんだろうさ。魔王様だって……」
側近「死んで欲しくなんか、無い筈だ」
船長「……ああ」
側近「……」
船長「さっき話してたんだ。自分の中の神を信じ、崇め……」
船長「そんな事しかできない自分に、魔除けの石など作る事はできないとな」
側近「……娼婦ちゃんがそう言ったのか?」
船長「ああ……娼婦の中の神とはな……魔王だそうだ」
側近「……」
船長「魔族の王であろうとも、自分を……娼婦を救ってくれたのは魔王だ」
船長「だから……『魔王様は、私の勇者様なんです』……とな」
側近「……勇者」
船長「ああ……だから、自分が神と想うのは魔王自身なのだそうだ」
船長「魔の最たる王を信奉する自分には、魔除けの石はできまいと」
2671 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 12:54:34.57 ID:49NzUQxlP
お昼ごはん!
2681 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 13:44:49.00 ID:49NzUQxlP
側近「……そう、か」
船長「だから、な……違う、って言ったろ?」
側近「悪かった」
船長「阿呆、謝るな……余計惨めになるわ」
側近「……」
船長「ああ、もう気にすんな……それより、あの本……」
側近「本?」
船長「ああ。魔王が置いていった本だ」
側近「……使用人が持って行ったんじゃないのか?」
船長「一冊残ってたんだ。今娼婦が読んでると思うんだが」
側近「別に構わネェだろ。必要だったら何時でも返して貰えるさ」
船長「そうか……なら良いがな」
側近「どんな本だった?」
船長「童話の類だったと思うけどな」
側近「あー……じゃあ、別に良いんじゃねぇの?」
側近「値打ちモンにゃ違いないだろうけどな」
船長「そうか。まあ……一応断り入れておこうと思ってな」
側近「律儀だねぇ……」
船長「お前さんも休んでくりゃどうだ?部屋は用意してあるぞ」
側近「あー……身体は休めておきたいんだがな」
船長「眠っちまえば酔いも吹っ飛ぶぜ……明日の朝にゃ着くんだ」
側近「ああ……じゃあ、そうするかな」スタスタ
側近「あ、何かあったら遠慮無く起こせよ?」
側近「戦闘の手伝いぐらいはするぜ」
船長「あいよ」

カチャ、パタン
2691 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 13:45:31.08 ID:49NzUQxlP
お迎えと、掛け持ちバイトの面接だ!
また後ほど、か明日!
270名も無き被検体774号+:2013/04/30(火) 14:26:42.65 ID:G9cAYkaH0
乙!いってらー!
2711 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 17:49:02.92 ID:49NzUQxlP
船長「……魔王、か」
船長(勝てネェわな……勇者様、にゃ)

……
………
…………

魔王(……このぐらい、か)
魔王(思いつく限りの物は書に起こした……後は、都度……)

コンコン

魔王「誰だ?」
使用人「私です」
魔王「ああ……丁度良かった。入ってくれ」
使用人「失礼します」カチャ
魔王「どうした」
使用人「船長さんと娼婦さん、側近様は無事に旅立たれました」
使用人「出航も確認し、馬車も戻っております」
魔王「そうか……ご苦労。態々報告しにきてくれたのか」
使用人「……それと、書庫を利用させて頂いても?」
魔王「ああ……別に私の許可などいらんさ。好きな時に使うと良い」
使用人「そうですか。ありがとうございます」
魔王「……今から行くのか?」
使用人「? ……特に、仕事が無ければ……そうしようかと」
魔王「では、ついでにこれを持って行ってくれ」
使用人「ああ……エルフのお姫様の」
魔王「それだけでは無い……まあ、今思いつく限りの知識を」
魔王「纏めておいた」
使用人「……私も、読んでも?」
2721 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 17:54:47.56 ID:49NzUQxlP
魔王「勿論だ」
使用人「ありがとうございます……ついでに整理してきます」
魔王「ああ……そういえば以前怒られたな」
使用人「……すみません」
魔王「気にする事は無い……寧ろ、頼む」
使用人「はい……以降は、あった場所にちゃんと戻してくださいね」
使用人「そうすれば、ばらばらになる事も無いんです」
魔王「……はい」
魔王「何だか……側近みたいだよな、使用人は」
使用人「そう、ですか?」
魔王「今ひとつ感情が読み取れないって所は、真逆だが」
使用人「あの方は……確かに感情豊かですよね」
使用人「少々喧しい程に」
魔王「……毒舌な所は似てる」
使用人「側近さん程口は悪くありません」
魔王「うん……まあ、うん」
魔王(こういう所はそっくりだな)
使用人「? ……では、失礼します」
魔王「用事があれば呼ぶ……ゆっくりしていろ」
使用人「お言葉に甘えます……では」
魔王「あ……姫は?」
使用人「先ほど、中庭の方に」
魔王「そうか……ありがとう」
使用人「はい……失礼します」スタスタ。パタン
魔王「中庭……」スタスタ
魔王(窓から見えるか……ああ、居た。あの髪は……同じ緑なのに)
魔王(草花の中にあっても、目立つ……あ、気がついた)
魔王(無邪気に手を振って……ふふ)ヒラヒラ
魔王「……ん?」
魔王(手招き……ああ、来いって事か)スタスタ、カチャ
2731 ◆6IywhsJ167pP :2013/04/30(火) 17:56:15.00 ID:49NzUQxlP
お風呂とご飯!
274名も無き被検体774号+:2013/04/30(火) 18:13:15.24 ID:fNzLhxHpO
>>273 乙〜!
どんどん更新してくれるのは嬉しいが、くれぐれも無理しないようにな
でも続きめっちゃ楽しみにしてる
275名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 00:33:17.79 ID:qxa2i0HqO
保守
276 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/05/01(水) 08:15:58.37 ID:hOxfG22OO
ほっほっほ
2771 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 08:47:24.50 ID:FNRuNnzKP
おはよう!
今日から単発バイト六連勤!
電車乗ってる間にちょこちょこしか無理やけど
頑張るよー!
2781 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 09:31:39.53 ID:FNRuNnzKP
魔王(中庭か……荒れ放題だよな、確か)
魔王(鴉が昔、手入れしていたのは知ってるが……親父が死に)
魔王(あいつが城を出てからは……)スタスタ
姫「ねえ、魔王!」
魔王「何だ? ……余り走るな」
姫「え?」
魔王「……今更だし、私が言うのもおかしいが」
魔王「妊婦の自覚をだな」
姫「ふふ……本当におかしいわね」
魔王「解ってるって……で、どうした?」
姫「この庭、弄っても良い?」
魔王「ん?ああ……好きにすれば良い、が」
姫「解ってる。無理はしないわ」
魔王「……なら、良い」
姫「ありがとう! ……暇で仕方なかったのよ」
2791 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 09:40:49.99 ID:FNRuNnzKP
魔王「土いじりなぁ……楽しいか?」
姫「楽しいわよ? ……手伝う?」
魔王「……遠慮しとく、と言いたいが、私も今のところ暇だな」
魔王「力仕事もあるだろう……良し。何からやる?」
姫「やった! ……でも、そうね……荒れ放題だし……」
姫「どこから……うーん」
魔王「ふむ……形から整えるか」
姫「うん、そうね……じゃあ、割れてるレンガとか除けて……」
魔王「枯れたままの奴は抜いてしまった方が良いな……殆ど無いが」
姫「昔は綺麗だったんでしょうね。広いし……装飾とか見てると」
姫「手を掛けてたんでしょうし……」
魔王「鴉がなんかこそこそやってたな」
姫「……」
2801 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 09:50:04.25 ID:FNRuNnzKP
魔王「……そんな顔をするな。終わった事だ」
姫「……ええ、でも……」
魔王「鴉はな、若い頃はなかなか良い女だったらしい」
姫「……?」
魔王「親父が婚姻を結ぶ前は、そりゃあもう激しくせまられたそうだ」
姫「へぇ……」
魔王「私の母を見初めた後はおとなしくなったらしいがな。ジジィが良く自棄酒に付き合わされたとぼやいてた」
姫「ふふ……」
魔王「黙ってりゃ良い女なのに、口を開いたら最後……喧しくて叶わん、ともな」
姫「お父様は……大人しい人が好みだったのかしら」
魔王「さあな。目が覚めたら裸の鴉が上に乗ってた時は」
魔王「……危なかったとか言ってたが」
姫「……男ってやあね」
魔王「耐えたんだから褒めるべきだろ、そこは」
魔王「でもまあ、婚姻の後は母と鴉はとても仲が良かったらしいぞ?」
魔王「……女の方が良くわからん、さ」
2811 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 09:51:18.06 ID:FNRuNnzKP
働いてくるよ!
282名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 10:11:46.12 ID:x/yMaWpPP
がばれよ!
283名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 12:36:55.04 ID:MLQNuE8M0
たいへんだなあ
俺は一日中ここをリロードしておくよ
284名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 15:53:41.17 ID:9mLUOGKcO
ばばあファイ(9・Д・)9
2851 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 17:00:28.38 ID:FNRuNnzKP
やばい仕事楽しい(笑)
またら帰り電車で書くよ!
休憩終わり!もうひとふんばり!
ありがとな!
2861 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/01(水) 20:55:28.43 ID:FNRuNnzKP
ごめん、無理( ゚д゚)
疲れと眠気で思考力が……
残業鬼や、殺す気か……ッ!
とりあえず、帰る……
287 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) :2013/05/01(水) 21:42:42.54 ID:6Ehum7EG0
仕事お疲れ様だに
288名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 21:45:58.24 ID:YAVvZneQ0
おつおつ
お疲れなら無理しないで休むんだー
289名も無き被検体774号+:2013/05/01(水) 23:46:16.76 ID:9mLUOGKcO
ばばあ生きろ(; 」゜ロ゜)」
2901 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 08:51:26.97 ID:KuJVE0jsP
姫「貴方はどうなの、魔王」
魔王「どう、とは?」
姫「……好み?」
魔王「……何故、そんな事を聞く?」
姫「なんとなく……話の流れ的に?」
魔王「……気になるのか?」
姫「どうかな……別に、言いたくないなら構わないわ」
魔王「……考えた事も無かったな」
姫「え?」
魔王「確かに、タイプと言うのはあるんだろうが、それが100%でもあるまい?」
姫「それは……まあ」
魔王「ああ、と気が付いた時には落ちているものさ」
姫「……」
魔王「……なんだその顔は」
姫「良く、まあ……恥ずかし気も無くそんな事言うわね……」
2911 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 09:03:17.88 ID:KuJVE0jsP
魔王「お前が聞いたんだろう」
姫「……」
魔王「……姫?」
姫「大丈夫、なの」
魔王「……何がだ?」
姫「毎日遅く迄何かやってるでしょう?あんまり……寝てない様だし」
魔王「……」
姫「ねえ、魔王……貴方……!」
魔王「大丈夫だ、姫。何も気にする事は無い」
姫「……」
魔王「過激派も居なく……否。目立った魔族も、だな。幹部に近いものは」
魔王「……ほぼ、居なくなった。そもそもが少数精鋭だ。魔王軍等と言うにも烏滸がましい」
姫「それだけ……力が強い、と言う事……」
魔王「まあ、それは確かだ。と言うか私が居ればな」
姫「貴方は規格外ですもの」
魔王「久々に聞いたな、それ……」
魔王「……とにかく、だ。そもそも私一人でも問題は無いのだ」
魔王「加えて細々とした雑務は、側近と使用人が請け負ってくれると言う」
姫(やらせてる、て言うんだと思うけど)
魔王「……たまには、好きな事したいだけだ」
魔王「寝る間も惜しんで、な」
2921 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 09:07:34.74 ID:KuJVE0jsP
姫「……子供みたい」
魔王「そうだな……その通りだ」クス
魔王「さて……土を弄るのに素手ではな。何か道具を探してこよう」
魔王「姫はここに居ろ」スタスタ
姫「ええ……」
姫「……」
姫(嘘が下手ね、魔王……)
姫(このペンダントがあるから……平気だけど)
姫(それでも……感じるのよ)
姫(魔王の力は、どんどん強くなってる。溢れそう……)
姫(……何時迄も、ここにはいられない……!)

……
………
…………
2931 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 09:08:21.37 ID:KuJVE0jsP
働いてくるわ!
また、帰り!
……魂抜けて無かったら( ゚д゚)
294名も無き被検体774号+:2013/05/02(木) 12:25:49.63 ID:OvOsehJT0
頑張ってください
2951 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 16:40:56.83 ID:KuJVE0jsP
船長「本当にここで良いのか」
側近「ああ、あの光……北の街だろう」
船長「……もうすぐ陽も登るだろう。それまで船に居ても良いんだぜ?」
側近「陸が恋しいのさ」
船長「……酔うからだろ。格好つけやがって」
側近「せ、折角早く着いたんだ。早く出発出来る方が良いだろ!?」
船長「はいはい……お言葉に甘えるさ」
側近「おう……気をつけてな」
船長「お前こそ……じゃあな」

ヨシ!フネダスゾー!
アイアイサー!

側近「またなー!」
側近「……さて、と」クルッ
側近(あっちのあれが……北の塔、か)
側近(確かに……天辺、雲に隠れて見えねえな)
側近「つか、あれ……自力で登る……んだよな」
2961 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 16:47:15.77 ID:KuJVE0jsP
側近「まじかよおぉ……」ガク
側近(自分で言い出したとは言え……はぁ)
側近「とりあえず……行く、か」トボトボ
側近(街……と、言うより村に近いな)
側近(宿屋に……ありゃ酒場、否、飯屋か)
側近(家が……あって……ん?)スタスタ
側近(あの家……他に比べてでかいな)
側近(こんな小さな街でも、支配者的な奴が居るんかねぇ……お、誰か出てきた)
??「見ない奴だね、アンタ」
側近「あー……船に乗って来たんだ」
??「ああ……港町から来たのか?」
側近「知ってるのか?」
??「そりゃ噂ぐらいはね……旅人かい?」
側近「まあ、そんな感じかな」
??「こんな辺鄙な街に……物好きだねぇ。アンタもあれかい。北の塔に宝でも探しに来た口だろ」
側近「……あれ、まじな話なのか?」
2971 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 20:57:24.38 ID:KuJVE0jsP
帰って寝る…( ゚д゚)
298名も無き被検体774号+:2013/05/02(木) 21:08:06.12 ID:zAopZB1jP
お疲れ…!(°ω°)
299名も無き被検体774号+:2013/05/02(木) 21:23:20.18 ID:irkEIn1h0
おやすみなさ〜い
300名も無き被検体774号+:2013/05/02(木) 22:10:19.78 ID:KsTCtxwo0
乙おやしみー
3011 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 22:35:43.53 ID:KuJVE0jsP
??「さあね……確かめに行った奴は確かに居るが、帰ってきた奴はいないからね」
側近「ふぅん……で、君は?」
??「え?」
側近「ここらでは……一番でかい家だろ、君が今出て来た所、さ」
側近「しかも夜明け前だ……まあ、空は白んできたけどさ」
??「汽笛が聞こえたから見に来ただけさ……こんな時間に何だと思ってね」
??「偶に船は来るけど、こんな時間はまずあり得ない……しかも」
??「来たら来たで、降りたのはアンタだけだったけどね」
側近「あー……俺、怪しい?」
??「言い訳は聞くよ?」ニヤ
側近「……別に、な。知り合いについでで乗せて貰って、下ろして貰った」
側近「それだけさ……まあ、北の塔に興味があるのは否定しないけどな」
??「ありゃ、港街に行く船か?」
側近「ああ……俺も聞いて良いかな。あの家は……この街の支配者かなにかか?」
??「あ? ……ああ。ありゃ親父の家。親父はこの街の町長さ」
側近「じゃあ……君は町長の娘?」
??「ああ。ついでにこの街の用心棒でもある」
側近「用心棒……」
??「腕には多少なりとも覚えがあるんでね……アンタは」ジロジロ
??「……あんまり強そうには見えないな」
側近「悪かったな……俺は側近、てんだ」
??「私は女剣士だ……悪い事は言わない」
女剣士「やめときな……アンタみたいな奴があそこに行ったって」
女剣士「100%生き残れないよ」
3021 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 22:43:11.75 ID:KuJVE0jsP
側近「それは経験則か?」
女剣士「……いや。アタシはあそこに行ったことは無い」
側近「さっき言ってたな。帰った奴は居ないと」
女剣士「ああ。だから……やめときなよ」
側近「ああ、いやいや。そうじゃなくてさ……足はあるのか?」
女剣士「足?」
側近「行って帰ってきた奴が居ないのは知ってるんだろ?」
側近「俺が聞きたいのは、あそこへ行く方法、だ」
女剣士「……だから、やめときな、って」
側近「君は行きたくないのか?」
女剣士「え?」
側近「腕に自信はあるんだろ……試してみようとは思わないのか?」
女剣士「……アタシには、この街を守る義務があるからな」
側近(否定はしない訳ね……)
女剣士「アンタ……側近、か。この街に滞在する予定は?」
側近「ん?ああ……まあ、そうだな。急ぐ旅でも無いし」
側近「船が帰っちまった以上、滞在するしかネェわな」
女剣士「……なら、すぐに解るさ」
側近「……?」
女剣士「まあ、良い……忠告はしたからね」
女剣士「アタシは朝の見回りに行くよ……宿は空いてるはずだ」
側近「あ、ああ……」
女剣士「開いてなければ、親父に言いな……ま。暫く起きてこないと思うけど」スタスタ
側近「あ、ちょ……」
側近(行っちゃった……か)
側近(ふむ……どうするかな。取りあえず……宿行ってみるか)
3031 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/02(木) 22:44:08.14 ID:KuJVE0jsP
ごめん、やっぱむりorz
今日は寝るッ
304名も無き被検体774号+:2013/05/02(木) 22:54:45.29 ID:irkEIn1h0
お休みなさい( ´ ▽ ` )ノ
305名も無き被検体774号+:2013/05/03(金) 01:52:58.57 ID:tQH6lMLb0
最近は、このためだけに、2chに来てる気がするw

正直、先がわからない
ま、楽しみにしてるよ

from 台湾より
306名も無き被検体774号+:2013/05/03(金) 02:10:10.47 ID:NIR4Y1+q0
俺もここ見るだけに来てる
307名も無き被検体774号+:2013/05/03(金) 10:34:49.39 ID:ry23Yogt0
僕は魔王とキングと班長見に来てます@ハワイ
3081 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 10:47:12.29 ID:uw8+1Ce6P
おはよう!今日はちょっとゆっくり。
でもラストまで仕事!
3091 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 10:54:44.96 ID:uw8+1Ce6P
側近(小さい宿だな……まあ、こんな立地じゃ)
側近(必要が無い……か)カチャ
側近「すみません、部屋空いてるかな」
宿屋「いらっしゃい。こんな街の宿屋が満室なんてまずありえないよ……一人かい」
側近「ああ……助かるわ」
宿屋「さっきの船に乗って来たんだろ、アンタ」
側近「ん?ああ……そうだけど」
宿屋「あ。すまん。詮索とかじゃ無いんだ。窓からアンタと、女剣士ちゃんが話してるのが見えたからな」
側近「知り合いの船にたまたま乗せて貰えたからな。ついでで降ろして貰ったのさ」
宿屋「……北の塔に行きたいのか」
側近「やっぱそう言う奴多いの?」
3101 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 11:03:18.18 ID:uw8+1Ce6P
宿屋「それ以外にこんな街に用事のある奴なんざいないだろ?」
側近「……そうなんか。俺は初めて来たから良く知らんが」
宿屋「アンタもあれだろ?お宝だとか、そんな噂聞いて来たんだろ……悪い……」
側近「悪いこた言わん、やめとけ、か」
宿屋「……そう言う事」フゥ
宿屋「ここ何年もアンタみたいな奴はいなかったんだけどな」
側近「うん?」
宿屋「魔道の街だかなんだかで、大会とかやってたろ?魔法に自信のある奴は」
宿屋「そっちに興味移したんだか、なんだか……ま、めっきり減ったんだがな」
側近「……へぇ。成る程ねぇ」
宿屋「まあ、何も無いとこだがゆっくりして行きなよ……んで、おとなしく帰るこった」
宿屋「あ……夜半の外出は控えてくれよ?」
側近「へ?」
宿屋「……まあ、今夜わかるさ」
側近(さっき……女剣士も似たような事言ってたなぁ……)
側近(すぐに解る……か、なんか……?)
3111 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 11:22:44.91 ID:uw8+1Ce6P
宿屋「あの奥の部屋を使ってくれ。もうすぐ飯屋も開くさ。まあ、ゆっくりしなよ」
側近「ああ。ありがとさん」スタスタ

カチャ、パタン

側近(質素な部屋だ……が、清潔そうだな)ボフッ
側近(ベッドもふかふかだな)ゴロゴロ
側近(とりあえず……散策でもしてみるか)スタスタ……カチャ
側近「あれ、宿屋のおっさん居ねえ……?」
側近(外か……ん?騒がしいな)パタパタ

バサバサ…ッシュン!シュウン……!
ザク……ッ

側近「! ……ッ 痛ェ……ッ!」
側近「な、ん……!?」
側近(頬に何か……げ、血!?)バッ
側近(……あ、あれは……!)
側近「女剣士!?」
3121 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 11:23:26.37 ID:uw8+1Ce6P
働いて来るよ!
313名も無き被検体774号+:2013/05/03(金) 13:25:02.11 ID:3/545MVM0
アモスの村みてえ
314名も無き被検体774号+:2013/05/03(金) 14:45:37.89 ID:6o6AxyJ1O
新展開キタ━( ゜∀゜)━━!
3151 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/03(金) 22:29:18.63 ID:uw8+1Ce6P
おわた……帰って寝るわ……
明日も早い……( ゚д゚)
316名も無き被検体774号+:2013/05/04(土) 02:17:49.69 ID:VAkVjPbkP
魔王より側近の方が忙しい気がしていたが、
その更に上を>>1が行ってる……
幼女のためにも体壊すなよー。
3171 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 08:58:19.24 ID:ZJKWqusSP
おはよう!
私は大丈夫だよーありがとう!
3181 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 09:05:30.67 ID:ZJKWqusSP
女剣士「側近!?」
側近「なん、これ……ッ蝙蝠!? うあ……ッ!?」ザクザクッ
女剣士「馬鹿野郎!中入ってろ! ……心配すんな、すぐに片付ける!」ブン!ザシュ!
側近「すぐに解るって、これかよ!糞……ッ ……風よ!」シュウゥ……ッ

ゴオォオォ……!

女剣士「!?」

キィイ……ッ
ギャアギャア……!

側近(……これも魔王様の目の効果か?)
側近(気、抜いたら俺迄振り回されそう……!)
女剣士「す……すげぇ……!」

キィ、キィ……
側近(半分……いや、それ以上片付いたな……残りは逃げてくか)
3191 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 09:15:51.33 ID:ZJKWqusSP
側近(……北に。塔の方に逃げてく……のか?)
女剣士「側近、お前……!」
側近「何とかなった、か……はあ、痛い痛い……」パァア
女剣士「!?」
側近「ほら、お前もこっち来い。あちこち切れてる」
女剣士「あ、ああ……いや、アンタ……」
側近「ん?」パァ
女剣士「……傷が、消えた」
側近「すぐに解るってこの事かよ」
女剣士「……ああ。だが……普段奴らは夜にしか来ない」
側近「思いっきり明るいな、今。ああ、宿屋の親父が夜になればって言ったのは……」
女剣士「……あいつらは何時も、陽が落ちたら塔の辺りで群をなすんだ」
女剣士「そして……数が集まればこうして街を襲いにくる」
側近(蝙蝠……翼のある魔族の眷族か、野生のものか……)
側近(統率が取れている所を見ると前者と考えるのが妥当か?しかしな……)
側近(インキュバスの野郎は魔王様がブチ殺したし……ふむ)
側近(他に目立って過激派に組してた奴も……うーん?)
女剣士「……これも、魔王の復活が近い所為なのか……ッ!」
3201 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 09:19:21.92 ID:ZJKWqusSP
側近「それさぁ……俺他の街でも聞いたけど……確かなの?」
女剣士「え?」
側近「魔王の復活、て奴さ」
女剣士「……」
側近(大方、人間の不安煽って、取り入ろうとした過激派の流した噂の一人歩き……なんだろうが……)
3211 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 09:20:22.50 ID:ZJKWqusSP
働いてくる!
322名も無き被検体774号+:2013/05/04(土) 09:35:47.53 ID:+jvEahrgO
ぼっくんお休みなの
ばばあごめんね
323名も無き被検体774号+:2013/05/04(土) 12:16:07.59 ID:Z2A7korNP
がばれ!
324名も無き被検体774号+:2013/05/04(土) 18:19:39.91 ID:jtuL/RZg0
おれもずーっとやすみなの
ばばあごめんね
3251 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/04(土) 22:20:06.39 ID:ZJKWqusSP
折角の休みなんだ、ゆっくりしなよー
BBAは働きたい人だから寧ろ喜んでるんだぜ。
でも、帰って寝るんだぜ
326名も無き被検体774号+:2013/05/05(日) 09:59:28.28 ID:JRi6tCPPO
ばばあげんきかなぁ(´・ω・`)
327名も無き被検体774号+:2013/05/05(日) 11:28:20.75 ID:F4lFHGH/0
元気だろ なっ!?
3281 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/05(日) 13:31:01.20 ID:UrsrDfVRP
昼休憩!
朝の電車寝てたわ(笑)
329名も無き被検体774号+:2013/05/05(日) 20:59:19.55 ID:N4aLKMlP0
330名も無き被検体774号+:2013/05/05(日) 23:25:37.96 ID:8n+Lhbz30
おつ!
まってるー
3311 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 14:24:06.12 ID:aNHw2PREP
疲労がピークでございますー
でも今日でラスト!
332名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 17:23:58.69 ID:CDl/qlY+O
おつ
むりすんなー
333名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 19:49:49.52 ID:vwMV4tHdP
がんばれー
334名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 20:25:18.58 ID:h1K93wsk0
おつ!
3351 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 20:26:57.22 ID:aNHw2PREP
おーわーたー!
自分へのご褒美。一杯だけ飲んで帰るよ!
336名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 21:37:15.54 ID:dLWVY7GBO
おつかれさん
337名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 22:01:16.42 ID:pcUzoE6QO
ばばあカンパイ(* ̄0 ̄*)ノ口
3381 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 23:19:02.51 ID:aNHw2PREP
え、ちょ、ピアス千切れた耳千切れた(笑)
酔い覚めた……
339名も無き被検体774号+:2013/05/06(月) 23:25:31.39 ID:7o1ol6o50
笑い事じゃねぇよwwww
3401 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 23:30:27.73 ID:aNHw2PREP
取りあえずご飯食べてるし、軟膏塗ったしバンドエイドしたし大丈夫だろうw
少しだけかくわー
3411 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 23:35:52.88 ID:aNHw2PREP
女剣士「……確実とはアタシも言わない。言わないけど、さ」
女剣士「嘘だと一笑に付す理由は何処だ?」
側近「……そりゃ、まあ」
女剣士「ここは、北の大陸……魔族共の住処だと言われてる、あの最果ての地から」
女剣士「そう、離れちゃ居ない。何が起こっても不思議じゃ無い」
側近「……」
女剣士「そんな場所で産まれて育ったこの街の人は、自衛の手段だって身につけては居る」
女剣士「だが、そんなアタシ達が……そんな環境下で慣れてきたアタシ達が、だ」
側近「手を焼く状況に置かれれば、信じても不思議は無い、か」
女剣士「……そうだ」
側近「ふむ……」
女剣士「……」
側近(魔王様の力が強くなってる事に関係が無い、と言い切るのも)
側近(……これまた、おかしな話、になるのか?)
側近「北の塔は関係あるのか」
女剣士「……こればっかりは解らない。解らない……が」
女剣士「無いと言い切れないのは確かだろうな」
側近「ま、そうだわな……あの場所に群れをなす、て言ってたもんな」
女剣士「だけど……あんな場所、近づきたくも……」
側近「本当に?」
女剣士「……」
3421 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/06(月) 23:49:10.57 ID:aNHw2PREP
側近「噂を鵜呑みにしてるとは言わねぇよ。そりゃ不安だろうさ」
側近「だけど……まず、確かめるべきはあそこじゃねぇの?」
女剣士「……」
側近(ダンマリかよ……ま、仕方ない、かな)
側近「……俺は興味あるね」
女剣士「言っただろ?あそこに行った奴は居ても……帰ってきた奴は居ない」
側近「もう一回、聞く。足は?」
女剣士「……」
側近「……」フゥ
側近(俺が尋問する理由も無いんだけどな……仕方ない、夜になったら転移石で……)
女剣士「……親父の船がある」
側近「船?」
女剣士「ああ。何度か……アンタみたいな奴に、同じような事良く聞かれたよ」
女剣士「……あっちだ。家の裏手の入り江に、小さな船が泊めてある」
側近「手こぎのボートとか言わネェだろうな」
女剣士「流石にそんなんじゃたどり着く前に死んじまうよ」
女剣士「この辺は、海の魔物の方が手強いんだ」
側近「……で、帰ってきてない奴らはどうやって行ったんだ」
側近「まさか盗んで言った訳じゃネェだろう?」
女剣士「かといって送っていってやる訳にもいかないさ。こっちの命が掛かってる」
側近「……まあ、至極ご尤も」
女剣士「親父は断り続けてた。勿論、船を出した事も無い」
女剣士「……どこからか調達してきた船で行ったんだろうさ」
女剣士「責任なすりつけられても困るしね」
側近「ふむ……まあ、親父さんが所持してるぐらいの船があれば」
側近「行ける、って事……になると考えてもおかしくは無いな」
3431 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/07(火) 00:00:46.75 ID:aNHw2PREP
だめだ、やっぱねむいわ、耳いてぇしwww
明日がっつりへこんでそう……
今日はゆっくり寝るわ……
344名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 00:08:46.72 ID:2tEBBzDDP
マジドンマイだ
明日は凹むだろうが、ただの二日酔いだから気にするな!
345名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 00:10:25.71 ID:sS8g/4lE0
化膿には気を付けて、ゆっくり休め、楽しみにしてるから
346名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 01:13:31.98 ID:DliG+mcfO
耳に念仏書き忘れないでね
347名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 11:32:23.20 ID:BHRDvhZY0
待ってるよー
348名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 12:37:22.12 ID:a4lscb320
回復魔法もつかえないのかよ・・・
3491 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/07(火) 17:15:03.88 ID:Fyw82yEGP
眠すぎる!
取りあえず耳はショックだが仕方ないwww

夜これたら来るよー
今日はちょっと眠いのでゆっくりしてます
350名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 18:17:20.04 ID:DliG+mcfO
ばばあは不死身だお◯´∀`)o
351名も無き被検体774号+:2013/05/07(火) 22:17:35.64 ID:7+v8F+Cg0
おつかれ!
3521 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 09:15:24.00 ID:/JmhC5QFP
おはよう!
BBA復活ー!
幼稚園放り込んで帰ったら書くよ!
3531 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 09:29:56.98 ID:/JmhC5QFP
側近「……どの程度の船なんだ。まさか手こぎの、なんて言わないよな?」
女剣士「気になるなら自分で見に行けば良いさ」
側近「盗まれる、とか思わネェの?」
女剣士「そんなに阿呆じゃないよ。ちゃんと鍵はかけてある」
側近(あんまり聞き出すのも怪しまれるか……いや、今更か)
側近(塔に行こうとしてるのは……もうばれてるわな、多分……ん?)
女剣士「……」ジィ
側近「な……なんだよ」
女剣士「悪かったな。強そうに見えないなんて言って」
側近「いや、そりゃ別に構わネェけど……攻撃魔法は得意じゃ無いしな」
女剣士「……あれで?」
側近「……」
側近(魔王様の目を持ってるからとは……言えネェよ)
側近「まあ……専門にそっちをやってきた訳じゃない、てこった」

バタバタバタ……!

側近「ん?」
宿屋「女剣士ちゃん、大丈夫……ッ あ、あれ、アンタ……」
側近「何だ、宿屋の親父じゃねぇか……何処に……」
側近「……何持ってんだよ、アンタ」ガク
女剣士「大丈夫だよ、おじさん」クスクス
側近(鍬持って鍋被って、まあ……)
宿屋「そ、そうか、無事か、良かった……!」
3541 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 09:42:47.67 ID:/JmhC5QFP
女剣士「この人が助けてくれたから……追い払えたよ」
宿屋「……アンタが!?」
側近「はいはい、どうせ俺は強そうには見えませんからね」
宿屋「……し、しかしまあ、無事で良かった……そうか、奴ら逃げてってか……」
女剣士「アタシは親父に報告しに行くよ……おじさんもそれ、片付けなよ」クス。スタスタ
宿屋「おう。……ありがとな、お客さん」
側近「どういたしまして……しかし、アンタ夜になると解るとか言ってたよな?」
宿屋「……魔王の復活が近いんだ」
側近「何時もは夜にしかこないのに、か」
宿屋「女剣士ちゃんに聞いたのか」
側近「まあね……まあ、結構な数落としたし、暫く来ないだろう?」
宿屋「……だと良いがな」
側近「ん?」
宿屋「いや……何でもない。俺は戻るよ。これも片付けないとな」スタスタ
側近(女剣士にしても、宿屋の親父にしても……塔から来るってのは)
側近(多分解ってる、んだよなぁ……でも、塔には行こうとしない)
側近(……何がいるのか知ってる訳じゃ無いのか、否か)
側近(流石に情報少ないよな……ん?)

ゴーン、ゴーン……

側近(鐘の……音?)
3551 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 09:53:07.70 ID:/JmhC5QFP
ザワザワ……
ガヤガヤ……

側近(街の人達が出て来た……なんかの時間か?)
側近(お……飯屋も開いたな。取りあえず……情報収集兼ねて腹満たすか)

スタスタ。カチャ

側近「良いかい?」
女将「ああ、何だお客さんかい……もうちょっと待ってくれるかい?」
側近「まだ準備中か……」
女将「すまないね。座っててくれて良いよ」
側近「ん、助かる……なあ?」ガタン
女将「んー?」
側近「さっきの鐘の音はなんだ?」
女将「……旅人かい」
側近「ああ。丁度蝙蝠の群れに遭遇してね」
女将「えぇ!?」
側近「女剣士が追い払ってたよ」
女将「……見たのか、アンタ」
側近「何……俺なんか見ちゃ行けないもの見たの?」
女将「ああ、いや……そうじゃ無いよ。災難だったね……怪我は?」
側近「それは平気……宿屋の親父には、夜になれば解るとか言われてたんだがな」
女将「夜に外にでる酔狂な人間は、あんた達旅人ぐらいのもんさ」
女将「……どうせアンタの目当ても、あの塔のお宝だろ?」
側近「そういう訳じゃないんだけどな……まあ、命が惜しけりゃやめとけって」
側近「釘は刺されたな」
女将「……さっきの鐘の音はね、化け物どもが逃げていった合図さ」
側近(ああ……それでみんな一斉に外に出て来た訳ね)
3561 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 10:06:10.12 ID:/JmhC5QFP
女将「少し前までは、宿屋の親父の言う通り、だったのさ……奴らは夜しか来なかった」
女将「この街に向かってくる間隔は少しずつ狭くなって来た。もう、昼夜も問わないのかもね」
側近「……で、鐘の音がならない限り、街の人達は……外には出てこない、のか」
女将「ここら辺の魔物は割とね、昔から手強いらしいのさ。私らにゃ解らないけど」
女将「だから、男共は身体を鍛えていたし、まあ……街にまで入ってくる事は滅多に無かったしね」
女将「……今は女剣士ちゃんが居てくれるけど……これ以上数が増えたら」
女将「あの子の命だって危ないんだ。まだ若い女の子の身で、しかも鋼一本でさ……」
側近「……あいつらは北の塔から来るんだろ?元凶があそこに居るとは考えないのか?」
女将「アンタ……命が惜しければ行くなと言われたんだろう?」
女将「……そういう事さ」
側近(追い払うので手一杯、か……そりゃそうだよな)
側近(それに……聞いてる限り見てる限り、じゃ……あの女剣士ぐらいしか……)
女将「さて、おまたせ!何にする?」
側近「あー……俺初めてきたから何か名物的なモン」
女将「あいよ!……おや」

ガチャ

女剣士「ああ、やっぱりここか、側近」
側近「女剣士?」
女剣士「おはよう女将さん。アタシにも何か食わせてよ」
女将「災難だったね……たんと食べてお行き」
3571 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 10:15:27.67 ID:/JmhC5QFP
女剣士「隣良いよな」
側近「どーぞ」
女剣士「……さっきはありがとう」
側近「礼はもう聞いたぜ。気にすんな」
女剣士「……側近。後で家に来てくれないか」
側近「あ?」
女剣士「親父が呼んでるんだ」
側近「……何、是非娘の婿に!とかか!」
女剣士「阿呆か!」
側近「冗談だよ……で、何でさ?」
女剣士「……」
側近「え……まさか、本当に俺を婿に……!?」
女剣士「違う! ……ッ 船を出す、と言うんだ」
側近「へ?」
女剣士「……お前の魔法の腕があれば、北の塔の……」
側近「あー……」
側近(塔に出向いて、群れのボスを倒してこい、的なアレですか)
女剣士「アタシは……ッ反対したんだ!」
側近「何で?」
女剣士「何で、って……そりゃそうだろう!?蝙蝠共だけでも、あんな……!」
側近「まあ……そう、か。そうだよな」
側近「でもさ、俺がやり遂げりゃ、この街も平和になるぜ?」
女剣士「言っただろう!?帰ってきた奴は居ないんだ!」
側近「……来い、ってさっき言ったのはお前じゃないか」
女剣士「断って欲しい」
側近「……」
女剣士「これはこの街の問題だ。旅人の命を危険にさらす訳には……!」
3581 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 10:23:18.61 ID:/JmhC5QFP
側近「ふーむ」
女剣士「……大丈夫だ。アタシが居れば、まだ何とか……」
側近「お前が居なくなったら?」
女剣士「……え?」
側近「もし本当に魔王……が、復活して、だ」
側近「もっと大変な事態になったら、お前一人でこの街守れるのか?」
女剣士「……」
側近「北の塔に行くのを怖がる気持ちは分かるけど。どこかで元凶叩かないと」
側近「手遅れになってからじゃ遅いぜ?」
女剣士「……だけど、それをお前の……旅人の手に委ねようってのは間違いだ」
側近「まあ、確かにそりゃそうだな。けど……」
女剣士「解ってる……アタシの手には余るのさ」
女剣士「朝……行きたくないのか、と聞いたな」
側近「ん? ……ああ、北の塔に、か」
女剣士「怖いよ。腕試し、になる様な……レベルじゃないだろう」
側近「で……俺にお株が回ってきた訳ね」
女剣士「……だが、断ってくれて良いんだ。街の人達の中には、魔法を使える者も居る」
女剣士「みんなで力を合わせれば、何とか……!」
側近「……何とかならなくなるまえに、塔に行けって親父さんは言いたいんだろうよ」
女剣士「だけど……!」
女将「はい、おまちどうさま!」ドン!
側近「……ま、ほら。先に飯にしようぜ……うわ、旨そう」
女剣士「側近!」
側近「腹が減っちゃなんもできねぇよ。断る元気もなくなっちまう」
3591 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 10:25:28.67 ID:/JmhC5QFP
お迎えとお昼ご飯ー!
午後から幼女と肉まん作って共食いさせたら又くるわ〜
360名も無き被検体774号+:2013/05/08(水) 10:50:13.34 ID:CsKENNq2O
ま、さ、か、耳入り…
361名も無き被検体774号+:2013/05/08(水) 11:45:53.45 ID:nr/Yxk+A0
鐘は女剣士が鳴らしてるのかな?
3621 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 17:06:46.67 ID:/JmhC5QFP
女剣士「……そ、うか」ホッ
側近(断る、とは断言してないんだけどな……まあ、良いか)
側近「何でだ?」
女剣士「?」
側近「興味はあるんだろ……怖いのは解る。けどさ」
女剣士「……」
側近「何があっても塔には行かせたくない。様に……聞こえなくも無い」
側近「何か秘密でもあるのか?」
女剣士「そんな物がありゃ、親父がアンタに頼もうとする筈無いだろ」
側近「……そりゃそうか」
女剣士「本当に何も無いさ。本当に……怖いだけだ」
側近「ふぅん……?」
側近(何かある気がしないでもないんだけどなぁ……まあ)
側近(行ってみりゃ解る、か。どうせ上るつもりだったんだ)
女剣士「飯を食ったら案内する……まだかまだかと待ってるだろうからな」

……
………
…………

親父「そうか!君が側近君か! ……話は娘から聞いたと思う」
親父「頼む!船も貸す!だから……!」
女剣士「残念だったな、親父、側近は……」
側近「喜んでお引き受けしますよ」
女剣士「……お、おい!待て……!話が違うじゃないか!」ガシッ
側近「痛い痛い痛い……」
3631 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 17:28:05.08 ID:/JmhC5QFP
親父「女剣士!手を離しなさい!」
女剣士「……ッ」バッ
側近「『食わなきゃ断る元気もでない』と言っただけだ。断るとは言ってないだろ」
女剣士「お前……!」
親父「女剣士!もう諦めなさい……これは、街の人達だけじゃ解決しないんだ!」
親父「それにお前が教えてくれたんだろう、彼の魔法の事は……!」
女剣士「アタシは……!」
側近「……あのー……」
親父「あ、ああ、すまないね。今朝のあの蝙蝠達の襲撃から、随分娘が戻るのが早かったのでね」
親父「……どうしたんだと聞いたら、君が魔法で殆どやっつけてしまった、と」
側近「は、はぁ……」
女剣士「だからって、旅人なんだぞ!?彼は……!」
女剣士「街の問題は、街の人間で解決しないと……!」
親父「何度も言っただろう!それで大勢の命の危険を招いては意味は無いのだ!」
女剣士「だからって……!」
親父「今のまま、何時までも持つ訳が無いのはお前にも解るだろう、女剣士……」
女剣士「アタシは大丈夫だ!まだ……!」
親父「手遅れになれば、お前一人の手には負えないと言っているのがわからんのか!?」
側近「ま、まあ、まあ……まあ……」
側近(俺を間に挟んでやらないでくれよおおおおおお)
3641 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 17:56:49.02 ID:/JmhC5QFP
女剣士「それに!親父の言い分じゃ、側近の命はどうでも良いみたいじゃ無いか!」
親父「そんな事は無い!私は彼の力を見込んで頼んでいるんだ……それに」
親父「……彼には勿論、断る権利はある」
女剣士「……」ジィ
親父「……」ジィ
側近「……え」
側近(何ですか、二人揃って……ああ、もう)
側近「あー……別に二つ返事で引き受けた訳じゃないぞ?」
女剣士「でも!」
側近「そりゃな?俺だって命は惜しいよ」
側近「お前にも最初に言われた通り、興味はあるよ」
側近「足を用意して貰えるのもありがたい」
側近「……ギブアンドテイク、かな」
女剣士「命が惜しくないのか!?」
側近「何かが居ると仮定して、倒してくるって約束はできんさ」
側近「……言う通り、命は惜しいからな」
親父「ああ……それは、構わない。仕方ない」
親父「元凶が何か、それだけでも解れば良いんだ」
女剣士「……ッ」
側近「何れはそうも言ってられないんだろう?」
親父「それはそうだ。だが……娘の言う通り」
親父「君に、そこまで押しつけられん」
3651 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 18:01:22.59 ID:/JmhC5QFP
女剣士「行くこと自体が自殺行為だと思わないのか!?」
側近「……お前はどうしても俺にあそこに行って貰いたくないみたいだなぁ」
女剣士「そ……ッ そういう訳じゃ……!」
側近「そう聞こえるぜ? ……いや、まあ言ってることは解るんだよ」
側近「命の危険がある、てのも、街のことは街の人達で解決すべき、てのもな」
側近「だけど……親父さんの言うとおり、手遅れになってからじゃ遅いってのも真理だ」
側近「理解出来ん訳じゃないんだろ?」
女剣士「……」
側近「で、俺が丁度良いところに居たんだ。まあ……魔法の腕はおいといて」
側近「北の塔に行きたくて、足を探してた。それは否定しない」
側近「……さっきも言った通りのギブアンドテイク」
親父「……うむ」
側近「どこまで力になれるかなんざ、解らんがね」
3661 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/08(水) 18:02:11.22 ID:/JmhC5QFP
幼女とお風呂!
んでご飯ー
367名も無き被検体774号+:2013/05/08(水) 18:36:40.46 ID:ceJxNDF50
側近と女剣士がケコーンすれば村の人間になるから大丈夫だ、問題無い
368名も無き被検体774号+:2013/05/08(水) 23:30:04.83 ID:ONwU2xrQ0
お前とbbaの結婚の予定がなければ頂くが?
369名も無き被検体774号+:2013/05/08(水) 23:32:23.33 ID:3wWnnAOK0
え?BBA結婚すんの
3701 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 09:59:39.71 ID:TWL3k0fRP
おはよう!
結婚しねぇよ(笑)
371名も無き被検体774号+:2013/05/09(木) 10:08:28.47 ID:Qeuj9jXhP
アラビアンBBAは俺と結婚するからな
すまんなお前ら
3721 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 10:23:30.69 ID:TWL3k0fRP
女剣士「……解ったよ」
親父「そ、そうか! ……あとは」チラ
側近「ん……俺?俺は別に、良い……」
女剣士「ただし、アタシも行くぜ」
親父「何!?」
側近「へ?」
女剣士「街の生活が……アタシ達の命が掛かった問題だ」
女剣士「……それに、一人よりは二人の方が良いだろう」
親父「し、しかし……!」
女剣士「街の人の命は大事で、側近の命はどうでも良いなんて言う訳じゃ無いだろ?」
親父「そ、それは、まあ……しかし……ッ」
側近「街は誰が守るんだよ?お前が居なくなったら……」
女剣士「戦える奴は別にアタシだけじゃ無い。親父だって頑張ってくれる筈だ」
女剣士「『街の未来の為』だろ?」
親父「……当然だ。お前が一人で大丈夫だと聞かなかったから……」
女剣士「やるからにはやりきった方が良いんだろう……手遅れになってからじゃ」
女剣士「遅い、と言ったのは親父だろ!」
側近「……」
側近(なんだかなぁ……なぁんか、隠してる様に思えてならん……)
側近(一人でゆっくり調べたかったんだが……まあ、仕方ないかなぁ)
側近(ここまで来ちまえば、断って転移石で行く、ってのもな)
女剣士「だから……! 親父は……!」ギャアギャア
親父「お前は本当に昔から……!」ギャアギャア
側近(女剣士が居れば確かに心強い、ちゃそうだけど……)
側近(……取りあえず、親子げんかは俺が帰ってからやってほしい)ハァ
3731 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 10:35:56.65 ID:TWL3k0fRP
側近「あー、あのさぁ……」
女剣士「だからこっちは……!」ギャアギャア
親父「それだとアレが……!」ギャアギャア
側近(どーすんだよこれ)
魔王『……随分と面白いことに巻き込まれてるな』
側近『魔王様? ……見てたのかよ』
魔王『話しかけるタイミングを伺っていたんだ』
側近『……んで、どした?』
魔王『いや、暇でな』
側近『お前な……』
魔王『……北の塔だがな』
側近『ん?』
魔王『使用人と二人で調べてみたんだが、特にこれと言った記述が無くてな』
側近『そうか……じゃあお宝ってのも眉唾ものかね』
魔王『どうだかな……これと言って見える物も無い』
側近『見える物?』
魔王『何の反応も無い……と言う所かな』
側近『……いや、まあうん。良いや』
側近(本当に規格外だよな……何でもありか)
魔王『規格外って言うなと言ってるだろう。多少なりとも傷付くんだぞ?』
側近『……』
魔王『で、その女剣士だが……何か隠してる様な感じだな』
側近『だよな……まあ、行けば解るだろう。しかし……』
魔王『ん?』
3741 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 10:55:44.11 ID:TWL3k0fRP
側近『何も無い、のであれば、だ……あの蝙蝠共はどこから来る?』
魔王『ふむ……』
側近『鍛冶師の村でも思ったが。まあ……あそこは狼将軍が』
側近『インキュバスと通じてたからな……』
魔王『野生の物ではないのか?』
側近『それにしちゃ、統率取れてる気がするんだけどね』
魔王『まあ……どうせ出向くのだろう?確かめてきてくれ』
側近『雲の上まで続いてるんだぜ? ……すんげぇ時間かかるんですけど』
魔王『気合いで頑張れ……姫が呼んでる。又な』
側近(……まったく、人使い荒いんだから)フゥ
親父「あ……!す、すまん!その……醜いところを……!」
女剣士「あ……ッ わ、悪い……!」
側近「え? ……あ、ああ。いや、まあ……親子げんかは、うん」
側近「後でやってくれるとありがたい」
側近(勘違いなんだがな……まあ、良いか。丁度良かった)
側近(それより……魔王様、また力が強くなった?)
側近(心話状態だと全部筒抜けなのか……うーん……)
女剣士「……」
側近「あ、いや、怒ってる訳じゃないぞ、すまん」
側近「……で、出発は何時だ?」
3751 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 11:13:54.49 ID:TWL3k0fRP
親父「……」
側近「?」
女剣士「今から行く」
側近「ええええええええええええええ」
親父「……ほら、見ろ」
女剣士「善は急げと言うだろ?」
側近「お前は子供かよ……まあ、良いけど」
女剣士「……良いのか?」
側近「お前が言い出したんだろ……?何でそこ疑問系なの」
親父「……行くのはお前達だ。良いと言うのなら止めはしない、が……」
側近「まあ、タイミング的には良いと思うけどね。丁度さっき、蝙蝠共の」
側近「襲撃受けたところだしな」
側近「いくら間隔が狭まって頻繁に襲ってくるとは言え」
側近「2.3日は大丈夫なんじゃないか?」
親父「……それだけ、持てば良いが」
側近「そんな深刻なのかよ……まあ、なるべく俺らで引きつける、か」
女剣士「アタシは準備して、先に船に行ってるよ」スタスタ……パタン
親父「……」
側近「……なあ」
親父「……すまん。あいつは、言い出したら聞かないんだ、昔から」
側近「街の用心棒、ってのも、か……」
親父「言葉に足りる腕は確かにある。だから……任せたんだが」
側近「……ちょっと、聞きたいんだけど」
親父「何だ?」
側近「塔に何があるか……そうだな、宝、とかじゃなくて」
3761 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 11:38:12.66 ID:TWL3k0fRP
側近「……女剣士があれだけ行きたくない……じゃないな」
側近「俺を行かせたくないとした理由の、何か」
親父「……宝などは本当にわからんのだ。誰も……確かめた者は居ない」
親父「聞いただろう?行った者はいるが、だ」
側近「ふむ……文献なんかも残ってないのか」
親父「あの塔はそもそも、この街の管轄なんかではないからな」
側近「……そうか。じゃあ……」
親父「娘はなんと言っていた?」
側近「ん?いや……特に何も。怖いから行きたくない、とか」
側近(しかし……やっぱ何か不自然だよなぁ)
親父「怖い……か」
側近「気持ちは分からんでもないが、な」
側近「まあ、良い……確かめて見るさ」
親父「頼んでおいて何だが……無理はするなよ」
側近「解ってるさ……大事な娘さんだろ。ちゃんと守るよ」
側近「……て言う程、俺強くないんだけどなぁ……」
親父「謙遜はよせ……凄い魔法だったと言っていたぞ」
側近「……サンキュ」
側近(さて……どうなることやら)
親父「船まで案内する。鍵も外さないといかんからな」
側近「あー……船でどれぐらいだ?」
親父「さあなぁ……数時間で着くと思うが」
側近「……おう」
側近(あああああ、また酔うのかな)

……
………
…………
3771 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 11:46:15.03 ID:TWL3k0fRP
盗賊「船長ー!……あ、れ……しょ、娼婦!?何で……!」
船長「おう、出迎えご苦労さん」
娼婦「ただいま、盗賊……」
盗賊「な、何だ……良い教会、見つからなかったのか?」
船長「後で俺から説明してやるから、とりあえず娼婦を休ませてやれ」
船長「……神父と鍛冶師は?」
盗賊「教会の方に行ったぜ」
娼婦「え……!もう、教会が出来ている、のですか?」
盗賊「ああ、御免、そうじゃ無い。けど、建設予定地、だな」
盗賊「そこに居るんだ」
娼婦「……私も、見てみたいです」
盗賊「え?でも……大丈夫か?」
娼婦「ええ。是非……神父様、にもお会いしたいですし」
盗賊「そっか、じゃあ行くか……あ、荷物持つぜ」
船長「ほら、この本も持ってけよ」
盗賊「おう……これで全部か」
娼婦「あ、私も持ちます……!」
盗賊「気にすんなって……良し、行くぜー!」
船長「おう、後で戻って来いよ!俺も街の中で作業してっから!」
盗賊「あいよー!」スタスタ
娼婦「……まだ、少ししか経ってないのに……随分変わりましたね」
盗賊「そう……かな、そうだな。皆頑張ってくれてるよ」
娼婦「そう……ですね」
盗賊「娼婦は……どうするんだ?」
娼婦「え?」
3781 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 12:28:48.85 ID:TWL3k0fRP
盗賊「また……教会、探しに出るのか?」
娼婦「……いいえ。もう、私は……ここに」
盗賊「そっか!良かった……!」
娼婦「ふふ……どうして?」
盗賊「できればさ、皆の手で大きくしたいじゃん、この街」
盗賊「神父さんも、会いたいって言ってたんだ、娼婦にさ」
娼婦「……」
盗賊「ずっとここに居れば良いよ。まお……少年も姫も」
盗賊「何時になるかわかんないとか言ってたけど……遊びに来るって」
盗賊「言ってたし、さ」
娼婦「……そう、ですね」
盗賊「まだまだ掛かるけどさ、出来る迄」
娼婦「先に……街を形にしませんと、ね」
盗賊「ああ。でも……心のよりどころ、って人多いんだ」
盗賊「廃材とか、余りとかでさ。街の作業終わってから、教会作ってんだよ」
娼婦「ステキですね……」
盗賊「うん。取りあえず小さくても良いから、さ……」
娼婦「あ……この道をあがるのですか?」
盗賊「あ、うん……ごめん、しんどいか?」
娼婦「いいえ……丘の上の教会、ですか……本当に、すて……あ……!」
鍛冶師「盗賊、船長無事だったか?」
盗賊「おう、何だまだやってたのか……お前早く街の方に戻れよ……ん」
娼婦「……」ペコ
鍛冶師「……こちらは?」
盗賊「前に言ってただろ?何れこの街に……って」
鍛冶師「ああ!君が……娼婦さん?」
娼婦「はい……初めまして」
3791 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 12:34:54.25 ID:TWL3k0fRP
お昼ご飯ー!!
3801 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/09(木) 13:38:59.25 ID:TWL3k0fRP
準備してたら時間無くなったwww
お迎えいってばいとー!
381名も無き被検体774号+:2013/05/09(木) 13:43:47.05 ID:MbTgxdIk0
てらー!
382名も無き被検体774号+:2013/05/09(木) 23:43:36.32 ID:hfXakIDxO
働き者で偉いなー
383名も無き被検体774号+:2013/05/09(木) 23:58:22.63 ID:noZnCzSa0
今日はもうないか

明日もまっとるよ
3841 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 15:01:29.44 ID:PDICKJAwP
ただいま!
31あいすうめぇ
3851 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 15:09:29.31 ID:PDICKJAwP
鍛冶師「初めまして、僕は鍛冶師って言います」
娼婦「娼婦です……あの?」
盗賊「ん?」
娼婦「貴方が……教会の……?」
鍛冶師「え?ああ……僕じゃないですよ。神父様はあっち……教会の方に」
鍛冶師「丁度良かった、盗賊。ちょっと聞きたい事があったんだ」
盗賊「ん?」
鍛冶師「さっき言ってたあの入口の建物だけど……」
盗賊「ああ、あれか……あー、ちょっと待て、先に娼婦を……」
娼婦「私は大丈夫ですよ。この丘の上ですよね?」
盗賊「悪い!また後で迎えに行くよ!」
鍛冶師「すみません……ああ、盗賊荷物持つよ」
娼婦「あ……それは……」
盗賊「これは娼婦の何だよ……あー、どうしよっかな」
盗賊「ひとまず、俺の家に置いておいても良いか?」
娼婦「ええ、それは勿論……あ、ごめんなさい、本だけ……」
盗賊「ん……持てるか?」
娼婦「大丈夫ですよ……ありがとう」
鍛冶師「ほら、そっち貸せよ」
盗賊「サンキュ、で……なんだって? ……あ。娼婦、後でな!」スタスタ
鍛冶師「本当にすみません。いや、あの扉なんだけどさ……」スタスタ
娼婦「……頑張ってくださいね」
娼婦(仲、良さそう……羨ましい)スタスタ
3861 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 15:39:06.93 ID:PDICKJAwP
娼婦(わぁ……眺めの良い場所ね……向こうは……)
娼婦(あの、島は……魔導の街)
娼婦「……」
娼婦(風が気持ち良い……)
神父「失礼、貴女は……?」
娼婦「あ……神父様、ですか?」
神父「はい……ひょっとして、娼婦さん、ですか?」
娼婦「……はい」
神父「ああ、やはり、貴女が……!」
娼婦「盗賊から、聞いておられましたか?」
神父「ええ。何れこの場所に教会を作りたいと、島を離れた……隻腕の女性がいる、と」
娼婦「はい……私に違い無いですね」クス
神父「……何故、笑われる?」
娼婦「え?」
神父「女性にとって……否、誰にとっても身体の一部を無くす事等」
神父「不幸でしかありえないでしょう……失礼。不躾な言い方ですが」
神父「何故、貴女はそう……穏やかに笑っておられるのか、と」
娼婦「……そ、うですね。そうですよね」
娼婦「これは……私の誇りです」
神父「無くした腕が、ですか」
娼婦「はい……」
娼婦「……私が、大切な方との約束を守った証」
娼婦「私が、屈しなかった証なんです」
神父「……」
娼婦(それなのに……私は……ッ)
3871 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 15:59:59.07 ID:PDICKJAwP
娼婦「……完成が待ち遠しいです」
神父「貴女は……ずっとここに?」
娼婦「はい……命尽きるまで。ここで……私の神に祈りを捧げます」
神父「貴女の神……」
娼婦「……」
神父「……」
娼婦「……」スッ
神父「ど、どうしました、ご気分でも? ……立てますか?」
娼婦「いえ、あの……懺悔、させて頂けませんか」
神父「……」
娼婦「教会はまだありません。ですが……お願い致します、神父様」
神父「建物の有無は関係ありませんよ……貴女が仰る様に」
神父「神は……心の中に、いらっしゃいます。全て、見ておられます」
娼婦「……私の神は、きっと……神父様の神と同じではありません」
娼婦「ですが……!」
神父「良いのですよ、娼婦さん。神は……見るもの、思うものによって」
神父「その姿を変える物です。神話に出てくる天使だったり……」
神父「太陽や、大地の恵みそのものであったり……」
娼婦「……」
神父「信仰心を捨てないことが大事です。祈り手が神を忘れる事」
神父「……己が、神に不審を抱き、裏切る事……それが」
神父「それこそが罪だと、私は……思います」
娼婦「……ありがとうございます」
神父「……」
娼婦「私は……腕を失うこと、身体の一部を失う事になろうとも」
娼婦「あの方を裏切らなかった、その事実を誇りに思っていました」
娼婦「……ですが」
3881 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 16:08:26.57 ID:PDICKJAwP
娼婦「魅惑の術にまんまと捕らえられ、あの方だけで無く……世界を」
娼婦「……小さいかもしてません。それでも、世界の数多に危機を及ぼすだろう」
娼婦「行為……を手伝うに至ってしまいました」
娼婦「……」
神父「……」
娼婦「彼の方は仰いました。後手になろうと、挽回すれば良いのだと」
娼婦「ですが……私は……ッ」
神父「……」
娼婦「……何かに、甘えてばかりです。決して手に入らない彼の方を思う余り」
娼婦「私の欲望は尽きることが無い。溺れてはいけない罠に溺れ」
娼婦「望んでも手に入らないものを欲してばかり」
娼婦「諦めねば、諦めたたのだと言い聞かすつもりで……まだ」
娼婦「どこかで、甘い期待を持っている……」
神父「……」
娼婦「期待などしないとあれほど、胸に誓ったはずなのに……!」
娼婦「期待させないで欲しいと、告げたのにどうして、と」
娼婦「……怨みたくないのに、怨んでしまいそうです」
娼婦「こんな私に、彼の方は仰いました。お前ならばできると」
娼婦「こんな私に、彼の方を神と……崇めては決してならない、彼の方を思う私に!」
娼婦「できると仰るのです……!」
神父「……」
娼婦「……こんな私に、祈り女となる資格など、あるのでしょうか」
娼婦「神は……お許しになるのでしょうか……!」
神父「……」
娼婦「……」
神父「」
3891 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 16:23:35.27 ID:PDICKJAwP
神父「お許しになっているではありませんか?」
娼婦「……え?」
神父「貴女の神が、仰られたのでしょう。お前ならばできる、と」
娼婦「……」
神父「敬虔でありなさい。神は……見ていらっしゃいます」
神父「貴女が祈りを捧げ続ければ、きっと……貴女の神も、お喜びになります」
娼婦「……」
神父「ごめんなさい。気休め……でしょうが」
娼婦「いいえ……はき出せただけでも、楽になりました」
神父「そうですか……良かったです。さあ、お立ちなさい」
娼婦「……はい」スッ
神父「娼婦さんは……ご存じですか。魔除けの石、と言うものを」
娼婦「え……」
神父「何でも、偽物……そうですね。とても禍々しい、逆効果とも思える様な」
神父「魔石がね……出回っているのだそうです」
娼婦「……ッ」
神父「今更……どうしようもありません。お持ちになっていらっしゃる方は」
神父「魔除けの石と信じて疑っていないでしょうから」
娼婦「……」
神父「ですがね……今、この島の方達に教えて頂いて」
神父「私……練習しているのですよ。その、魔除けの石を作ってみようとね」
娼婦「神父様が、ですか……いえ。きっと……おできになるかと、思います」
神父「一緒に習ってみませんか」
娼婦「……私、は」
3901 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 16:30:04.68 ID:PDICKJAwP
神父「私は、まだ……具現化まで行かないんです。もう少し、と」
神父「いつも思うのですけれど、ね」
娼婦「……」
神父「この島の方達の素性は……理解しているつもりです」
娼婦「!」
神父「基礎をしっかり身につけていらっしゃる。一朝一夕で出来るものじゃない」
神父「ですが……努力は報われると信じています」
娼婦「……願えば、叶う」
神父「ええ、そうですね。願えば……何時か叶う筈。そう思わないと始まりません」
神父「折角、戻って来て頂けたのです。一緒に……」
娼婦「で、できません……!私の、神は……!」
神父「先ほど言った筈ですよ……娼婦さん」
神父「信仰するものによって、神は形を変えるのです……貴女の神の現身が」
神父「どのようなものであれ……それは、神に違いないのでしょう?」
娼婦「……」
娼婦(私の、神……魔王様)
娼婦(魔の王であられても……私には、勇者様……!)
神父「願えば、叶います……娼婦さん」
娼婦「……できるか、解りません、が……」
神父「はい。共に……ここを。この教会を……島の人達の心のよりどころにしましょう」
娼婦「……はい」
神父「貴女は……きっと、良い祈り女になられる。きっと……」

……
………
…………

盗賊「よっしゃー!今日は終了!」
鍛冶師「はい、お疲れ……ああ、汗かいた」
盗賊「はいそうですか、ってできねぇのは解ってるけどさ」
3911 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 16:40:45.13 ID:PDICKJAwP
盗賊「……待ち遠しいもんだな」
鍛冶師「そうだなぁ……まあ、働き手の数も増えてきたし」
盗賊「資材が足りなくなる方が先っぽいな……船長に調達お願いしないと」
鍛冶師「ああ……そうだな。次の船には僕も乗せて貰うつもりなんだ」
盗賊「え!?」
鍛冶師「あ、別に……村に帰る訳じゃ無いよ。いや、一度帰るんだけど」
盗賊「……戻って、くるんだよな?」
鍛冶師「うん。村に置いてきた鍛冶の道具とか、全部持ってくるつもり」
盗賊「て、事は……」
鍛冶師「決めたよ。この島に住む」
盗賊「そ、そうか……!吃驚させんなよ!もう……」ハハッ
鍛冶師「嬉しそうだね、盗賊……喜んでくれる、の?」
盗賊「当たり前じゃねぇか!寂しい思いしなくて済むぜ!」
鍛冶師「……ねぇ、盗賊」
盗賊「ん?」
鍛冶師「……いや、良いや。帰ったら言うよ」
盗賊「何だよ!言いかけてやめんな!気になるだろ!?」
鍛冶師「あー、うん、まあ……えーっと……」
盗賊「はーやーくー!」
鍛冶師「……」コホン
鍛冶師「えっと、あのね?」
盗賊「何だよ!」
鍛冶師「……僕、君の事が好きなんだけど」
盗賊「うん ……う、ん!? ……うぇ!?」
鍛冶師「ぅえ、て」
盗賊「は、え ……あ。ええ!?」
3921 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 16:52:41.47 ID:PDICKJAwP
鍛冶師「……決意のつもり。この街に住む、てのはさ」
鍛冶師「断られたら……まあ、仕方ないけど……あ!」
鍛冶師「こ、断られても、その!この街に住むの辞めた、とかは言わないよ!?」
鍛冶師「気に入ってるのは事実だし……!」
盗賊「……」マッカ
鍛冶師「……聞いてる?」
盗賊「あ、うん、ハイ。聞いてる……え、あの……!」
鍛冶師「君が言えと言ったんだから、ね」マッカ
盗賊「え、いや、あの……!」
船長「おーい!盗賊!鍛冶師…… ……なんだお前ら。二人揃って茹でたタコみたいに……」
鍛冶師「ちょ、丁度良かった。船長さん、次の船の行き先は?」
船長「は? ……ああ、まだ未定だが」
盗賊「し、資材の調達頼めるかな!?」
船長「……盗賊、声裏がえってんぞ?どうしたんだ?お前ら……」
鍛冶師「だ、大丈夫だよ!?」
船長「? ……ああ、資材ならそうだな……鍛冶師の村辺りへ行くのが良いかな」
鍛冶師「本当に?」
船長「嘘ついてどーすんだ……まじで大丈夫か?」
船長「働き手も増やしたいしな。工事も順調に進んでるし、船の調達とかも」
船長「必要だしなぁ」
盗賊「船?まだ定期便の準備は早くないか?」
船長「ああ、いや……ま……少年がな」
3931 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 17:20:20.50 ID:PDICKJAwP
ご飯の支度とおっふろー!
394名も無き被検体774号+:2013/05/10(金) 17:24:11.57 ID:8PytPUFj0
乙ー!いってらー!
3951 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/10(金) 20:48:01.13 ID:PDICKJAwP
とりあえず幼女寝かすー
396名も無き被検体774号+:2013/05/10(金) 22:33:00.08 ID:f7k0J5d30
俺もねるわ
お腹痛くてな
コッチじゃお腹の風邪が流行ってるみたいだから
ちびっこのウンチ良くみてやってな
397名も無き被検体774号+:2013/05/10(金) 22:35:16.32 ID:2dpBbYAjO
スコーンBBAおやすみなさい!
耳が早くよくなりますように
3981 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/11(土) 09:40:44.46 ID:1EQ99t+9P
おはよう!
今日は幼女とお祭りにいくのだー

>>396
お大事にな−?
胃腸炎辛いよな……んでこれまたちびっこって良くなるんだよなー

>>397
ピアスホールがホールじゃなくなっただけだから大丈夫www
ありがとうね!

また帰ったら!
399名も無き被検体774号+:2013/05/11(土) 11:26:42.62 ID:Yboz4AdX0
うりうりー、びちぐそだぞー
400名も無き被検体774号+:2013/05/11(土) 13:54:46.81 ID:Pu4UkFUSO
おまつりおまつり(*゜▽゜)
401名も無き被検体774号+:2013/05/11(土) 15:53:44.59 ID:QRMuop4XO
東京は雨だけどBBAの近所は晴れてお祭り行けるといいね(´・ω・`)
402名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 00:53:20.23 ID:vaBss47oO
大阪も朝からは雨だったけど夕方には止んだよ

お祭り楽しんでるかな?
4031 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 08:58:51.44 ID:DCXxd80ZP
おはよー!
微妙な天気だったけど花火も見れたし満足さー!

さて、お昼からお仕事!
お出かけるまでー
4041 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 09:10:10.60 ID:DCXxd80ZP
盗賊「少年?何か言ってたのか?」
船長「この島だけじゃ何れ手狭になるだろうってな……」
鍛冶師「どういうこと?」
船長「……始まりの大陸の街を復活させよう、ってな」
鍛冶師「始まりの大陸……?」
盗賊「ここから遠く無い所にある小さな島だ。そこに……廃墟がある」
船長「居住区には充分だ。問題は……資金と、城だな」
鍛冶師「城……?城もあるのか」
盗賊「ああ……小さな城だけどな。ま……少年も、あっさり無理言うなぁ……」
船長「側近の奴が生え際気にするのも解る気がするぜ……」
鍛冶師「生え際?」
船長「いや、それはどうでも良い。しかし……そうだな」
船長「いつ、いつ……か。まあ、俺はこれと言って用事がある訳じゃ無いんだが……」
鍛冶師「鍛冶師の村に船を出すなら、僕も連れて行って欲しい」
船長「ん?そりゃ……構わんけど……帰るのか?」
盗賊「……」
鍛冶師「一度ね。村に置いてきた道具をとりに戻りたいんだ」
鍛冶師「……引っ越しを決めたんだよ。この街に」
船長「ほーう……そりゃ、また」
船長「……良いのか?」
鍛冶師「ああ。もう決めた」
盗賊「あ……ありがたいよな。この、島……気に入ってくれる、てのはさ」
船長「お?おう……?」
船長「どした、お前……」
盗賊「お、俺、娼婦の様子見てくるわ!」タタタ……
鍛冶師「あ……盗賊!」
船長「……喧嘩でもしたか?」
4051 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 09:27:05.86 ID:DCXxd80ZP
鍛冶師「いや、そんなんじゃ無いよ……」
船長「そうか? ……まあ、良いけどよ」
鍛冶師「目処はどれぐらいになりそう?」
船長「出港か?そうだな……諸々準備考えて、早くて2.3日後だな」
鍛冶師「解った……準備しておくよ」
船長「おう……料金はしっかり頂くぜ?」
鍛冶師「それは勿論だ。帰りもお願いするしね」
船長「……娼婦は、教会か?」
鍛冶師「ああ、だと思うけど……行くの?」
船長「……いや。船に戻るさ。何かあれば船まで来いって」
鍛冶師「盗賊に伝えておけ、ね」
船長「おう。じゃあな」スタスタ
鍛冶師(……船長、どことなく元気ない様に見えた、けど)
鍛冶師(気のせい、かな)
鍛冶師(さて……娼婦、や、盗賊のとこには行きにくいな)
鍛冶師(……宿に戻るか。準備しとかないとな)

……
………
…………
4061 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 09:38:28.79 ID:DCXxd80ZP
側近「……」ォーェー
女剣士「大丈夫か……?」
側近「お、オーライ……気にすん……ッ」ゥエ
女剣士「ずっと甲板に居た理由はそれか」
側近「船室に居るともっと酷くなりそうだからな……」
女剣士「充分酷いと思うけどな……ちょっとそこで休んでな」
女剣士「船から食料を降ろすよ」スタスタ
側近「おう、すまん……」グタ
側近(小さい入り江だな……小さい船だとは聞いてたが)
側近(ぎりぎり……海賊共が押し寄せる、のは)
側近(まあ、可能……だろうが)スタ。キョロキョロ
側近(扉は……扉……ん?)スタスタ
側近「扉ねぇじゃん」
側近「……ええええええええええええええ!?」
女剣士「何騒いでるんだい……」
側近「入口の扉が無いんだよ!」
女剣士「……なに阿呆な事言ってんの。ほら、あれだ」
側近「……え、どこ?」
女剣士「……まだ酔ってんのか?」スタスタ。コンコン
女剣士「ここにあるだろ」
側近「……え、あの。マジで見えないんですけど」
女剣士「は!?」
側近(女剣士が拳で叩いてる所……は)
側近(壁、だろ!?壁だよなぁ!?)ゴンゴン
側近「……立派な壁ですが」
女剣士「お前……頭大丈夫?」
4071 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 09:50:06.06 ID:DCXxd80ZP
側近「待て待て待て!マジで壁だろ!?」ゴンゴン
側近「……痛ェ」
女剣士「見えて……無いのか?」
側近「な……何で!?」
側近(どういう事だ……!?)コンコン。ゴンゴン。コンコン
女剣士「……」
側近(音が違う……気が、しなくもない。が)ゴンゴン
側近「扉は、ここ、だよな?」
女剣士「……からかって、る訳じゃないよな?」
側近「その侭そっくり返してぇよ!」
女剣士「ここにあるじゃないか……」ジャラ
側近「ん、何今の音……」
女剣士「……側近には、ただの壁に見えてる、のか?」
女剣士「でも……!そんな馬鹿な事あるか!」
側近「んな事言われたって……!!」
女剣士「……鉄の扉だ。所々錆び付いてる」
女剣士「音ってのはこれだろ?」ジャラン
側近「そう!それだ! ……鎖、か?」
女剣士「ああ。鎖で封印されて、でっかい鍵がついてる」
側近「鍵……」
女剣士「……疑ってる訳じゃ無いんだが」
女剣士「本当に……見えてない、んだな?」
側近「……」
側近(女剣士に見えて、俺には見えない……違いは何だ?)
女剣士「……ここに鎖がある」ジャラ
側近「……ん?」トン
側近「ああ……」
側近(何か、ある……のは解る。て、事は……?)
側近「うーん……??」
408名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 09:54:22.39 ID:qivqDbwq0
しえん
4091 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 09:56:58.86 ID:DCXxd80ZP
女剣士「アタシには、ちゃんと側近が鎖に触ってる様に見えるんだけど」
側近「……ちょっと待ってくれよ?」
側近(男と女……人間と魔族。違い、と言えば……)
側近(どう考えても、後者だよな……差、てのは)
側近(しかし……)
女剣士「……なんだよ」
側近(魔族には見えなくて人間には……て、事は)
側近(……魔法の封印、だろうな。それも……多分、力の強い魔族)
側近(おいおいおい、俺に解ける気全くしないんですけど!?)
女剣士「側近ってば!」
側近「あ、ああ……すまん。んー……」
側近「鍵は掛かってるんだな?」
女剣士「あ、ああ……鎖も頑丈そうだが……」
側近「良し、ちょっと離れてろ……風よ……ッ」ゴオオオオッ
女剣士「……ッ」

ジャラン……ッガシャンガシャン……ッ

側近「……流石に俺にも聞こえたぞ」
女剣士「鎖が、あっさり切れた……!?」
側近「扉は開けられそうか?」
女剣士「あ、ああ……ちょっと待て ……!」グ……ッ

ギイイイィ……

女剣士「あ……い、た……」
側近「うぉ……ッ眩し……ッ」パァア
女剣士「え?」
側近「え?」
4101 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 10:04:24.29 ID:DCXxd80ZP
女剣士「眩しい……て、何が?」
側近「……今の赤い光、見えなかったの?」
女剣士「え!?」
側近「……いや、良い」
側近(封印が解けた……のか。多分……魔族にだけ、有効な感じの奴)
側近(だ、よなぁ?そうとしか考えられない……よ、な!?)
女剣士「随分あっさりだな……」
側近「……そうか?」
女剣士「そりゃ、アンタが居てくれたから、だけどさ」
女剣士「あんな風の魔法、使える奴はそう居ないだろうしな」
側近「……」
側近(鎖の欠片……拾っておくか)スッ
側近(誰だか知らないが、厄介な封印かけやがって……)
側近「俺にもやっと見えたよ、扉……行くか」
女剣士「……ああ」
側近「後ろから着いて来い」スタスタ
女剣士「だ、大丈夫だ!馬鹿にするな!」
側近「してネェよ! ……と、階段しかないな」
女剣士「え……あ、本当だ」
側近「ほんのり……明るい?」
女剣士「足下しか見えないけどな……しかし、魔法使えるってのは便利だな」
側近「え?」
女剣士「……そういう魔法だろ、これ?」
側近「いや、俺何もしてないけど?」
女剣士「……え」
側近「壁がうっすら発光してるだけだ……まあ、魔法の類には違いないだろうけど」
側近「……俺じゃネェよ」
411名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 10:06:05.33 ID:qivqDbwq0
C
4121 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 10:11:52.46 ID:DCXxd80ZP
女剣士「……魔族、が住んでるのか」カツン、カツン
側近「どうだかな……」カツン、カツン
側近(微かに……魔法の残照は感じる、が)
側近(姫様や魔王様なら解るのかもしれないがなぁ……)
女剣士「……何処まで上れば良いんだ」
側近「俺に聞くなよ……」
女剣士「……」
側近「……」
側近(部屋も何も無い……ずっと階段が続くだけ……?)
側近(窓も何も無い……おかしくなりそうだな)
側近(しかし……これ、雲の上まで続いてるんだろ!?)
側近(いやいやいやいや、無理だってー!)
女剣士「……扉だ!」
側近「へ!?」
女剣士「……また見えないとか言うのか?」
側近「いや……見えてるさ」グッ
側近「開けるぞ?」
女剣士「……ああ!」チャキッ
側近「よ……っと」

ギィイ……

側近「……」キョロ
女剣士「……」キョロキョロ
側近「……何も無いな」
女剣士「誰も居ない……しな」フゥ
413名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 10:14:25.55 ID:qivqDbwq0
今日は投下数多くて嬉しいが…無理すんなよ!
4141 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 10:21:58.79 ID:DCXxd80ZP
側近(小さい部屋だな……だが、随分居心地が悪い)
側近(窓も……扉も入口以外には無い……ん?)
側近「……行き止まり、か」
女剣士「え!?で、でも……!」
側近「……あれ、また俺に見えてないだけ?」
女剣士「……」ゴンゴン。コンコン
側近(そうでも無い……みたいだな)
側近(て、事は……あの高さは、入口同様……まやかしの魔法か?)
側近(しかし……そんな事出来る奴……)
側近(……魔王様ぐらいしか思いつかないぞ)
女剣士「壁……だな。側近にも見えてない、んだよな?」
側近「そうだな。さっきの反対のパターンでもなさそうだ」
女剣士「……なんだ。何も……居なかった、のか」ホッ
側近「みたいだな……戻るか」
女剣士「少しぐらい休憩しようぜ。ここ……空気も良いみたいだし」
側近「え?」
女剣士「え?」
側近「……いや、良い。しかし……これじゃ、解決にならないな」
側近(封印に寄ってきてた野生の魔物、か……やれやれ)
側近(しかし……空気が良い、だと?)
女剣士「仕方ないさ。私が頑張れば良いだけの話だ」
側近(……一転、晴れやかな顔してやがる。何でだ?)
側近(街から危険が去った訳じゃ無い、だろうに)
側近「……それも何時まで持つんだよ。20年30年と続けば」
側近「お前の身体も持たなくなるんだぜ?」
4151 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 10:23:19.26 ID:DCXxd80ZP
>>413
出かけるまでだけだから大丈夫さー!
ありがとうね!
4161 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 10:53:54.76 ID:DCXxd80ZP
女剣士「それぐらいなら大丈夫だ」
側近「いやいやいや。じゃあその後は?」
女剣士「……その頃にはアタシの子供とか、いるだろ」
側近「……ああ、もう。お前さぁ」
女剣士「な、何だよ」
側近「村に魔物が来ないと困るの?」
女剣士「……え?」
側近「『アタシがいるから大丈夫』は良いよ、別に」
側近「ここに来るの……来させるの、か。嫌がってたり」
側近「さっきもそうだが……ボス的な何か居なくてほっとしたのは事実だろうがさ」
女剣士「……」
側近「根本的な解決、望んでない様に見えるぜ?」
女剣士「そ、そんな事は!!」
側近「……そうか?まあ、俺の考えすぎなら良いけどさ」
女剣士「……」
側近「……行こうぜ。お前は空気が良いとか言ってたが……」
側近「俺には息苦しいよ」
女剣士「……」
側近(……目に見えてへこんだな)ハァ
女剣士「……」
側近「おい、立てよ?」
女剣士「……かな」
側近「え?」
4171 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 11:10:53.11 ID:DCXxd80ZP
女剣士「アタシが……居なくても困らないのかな」
側近「……はぁ?」
女剣士「何でも無い。行こう」スタスタ
側近「……」
側近(何だ?)スタスタ
4181 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/12(日) 11:14:18.79 ID:DCXxd80ZP
中途で御免……orz

バイトッ
419名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 11:15:52.07 ID:XSLsS8K40
働いてる奴に文句は言えん・・・
リロードし続けます
420 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/05/12(日) 13:41:03.30 ID:RE9kEMVF0
なるほど
自身の存在意義がってことか…
421名も無き被検体774号+:2013/05/12(日) 22:18:33.52 ID:9G7GhKqT0
投下乙であった
今日も無事読めて気持ちよく寝れそうである
明日も楽しみにしておるぞ
4221 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 09:18:28.29 ID:3L5LWpjvP
おはようー!
今日から一週間、幼女の帰りが早い〜
お迎えまで!
4231 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 09:28:46.03 ID:3L5LWpjvP
側近「おい、女剣士……」

ギィ……

女剣士「え……!?」ピタ
側近「おわッ……」ドン!
側近「ちょ、急に止まるなよ!?」
女剣士「……な、なんで!?」
側近「は、何が……ッ」

ヒュウゥ……

側近(風……ん?)
側近「……外?」
女剣士「外……」
側近「……ええええええええええええええ!?」
女剣士「な、なん……で……!?」タタタ
側近「あ、ちょっと待てって……!」タタ

バタァン! ……シュゥン

側近(扉が……消えた?)
女剣士「あ……!」ガシ、ガチャガチャガチャ!
女剣士「開かない……?」
側近(……否、女剣士には、見えてる、のか)
女剣士「ど……どうなってんだよ!」ガチャガチャガチャ!
側近(……封印された、か……ふむ)
側近(見えネェからわからねぇけど……誰の封印だ?)
側近(魔王様じゃネェだろうが……同等の力を持ってると仮定すりゃ)
側近(……消去法で行くと……)ブツブツ
女剣士「何ぶつぶつ言ってるんだよ、側近!」
4241 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 09:51:19.32 ID:3L5LWpjvP
側近「ん? ……ああ、悪い。いや、まあ……何で俺には見えないのかなぁ、と」
女剣士「え……見えてないの、これ」
側近「ああ……締まった瞬間、消えた」
女剣士「……」ガチャガチャ
側近「音は聞こえてるよ」
女剣士「……」ガチャガチャ!
側近「やめとけって……もう別に用事もネェだろ」
女剣士「何で……」
側近「考えても……解らんさ」
女剣士「……」
側近(さて……これで街に戻って、どう説明したもんかねぇ)
女剣士「……側近」
側近「ん?」
女剣士「これ……どうしようも無い、んだよな?」
側近「何がだ」
女剣士「……塔には何も居なかったし、魔物達は……変わらず、街に来るんだろうか」
側近「……」
女剣士「さっきの話……だけど……」
側近「ストップ……船に戻ろうぜ。ここで蝙蝠に襲われるのは御免だ」
女剣士「……ああ」

……
………
…………

甲板

側近『……て、訳だ』
4251 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 10:00:26.67 ID:3L5LWpjvP
魔王『ふむ……』
側近『お前じゃ無いよな?』
魔王『私では無い……し、意味も無いだろう、そんなの』
側近『だよなぁ……』
魔王『蝙蝠共はその封印の所為で集まってきているんだろうな』
側近『……考えれるのはそれぐらい、だな』
魔王『誰の魔法かはわからんが……強力な物に違いは無いのだろうし』
側近『まあ、変なものが無いのが解っただけでも、だな』
魔王『……息苦しい、てのが少し気になるが』
側近『そうだな。女剣士は逆に『空気が良い』とか言ってたしな』
魔王『まあ良い……取りあえず、ご苦労、側近』
側近『街に戻って町長に報告したら、始まりの街に行くわ』
魔王『ついでに癒やしの石も頼むぞ』
側近『……それは港街にも寄れって事ですか、そうですか』
魔王『うん』
側近『アッサリだな!』
魔王『私がふらふら出歩く訳にはいかないんだろう』
側近『……落ち着いちゃったらありだけどね』
魔王『姫との約束もあるからな』
側近『それは別に咎めネェけど。けど!』
側近『くれぐれも!問題は!起こさないでね!』
魔王『……解ってる』
側近『気持ち悪いぐらい素直だな』
魔王『流石に懲りたさ……ああ、姫が呼んでる』
側近『俺も戻る。女剣士と話しもあるしな』
魔王『……こっちの事は心配するな。使用人が旨くやってくれている』
側近『……帰って俺のポジション無かったらどうしよう』
魔王『阿呆……お前はお前だ、側近』
魔王『……ではな』
側近(心なしか、元気が無い様に思えるなぁ……)
側近(魔王様の問題も……何時までも先延ばしには出来ないよな)スタスタ

カチャ
4261 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 10:07:00.68 ID:3L5LWpjvP
側近「悪いな。少し気分はマシになったよ」
女剣士「いや……大丈夫か?中に居るとしんどいんだろ」
側近「お前を甲板に引きずり出す訳にいかないだろ、航海士さん」
女剣士「フン……」
側近「……」
女剣士「……」
側近(言い出しにくい、か)フゥ
側近「……で、何だったっけ?」
女剣士「……アタシ、は強い」
側近「あ?」
女剣士「強いと思って……る。思ってた」
側近「それは俺も否定はしネェよ。実際に街を守ってきたのはお前だろうし」
側近「……剣さばきは見事だったと思うぜ?」
側近「俺は、まあ……そっちは専門じゃ無いけどさ」
女剣士「魔法の腕と剣の腕を比べても意味が無い事は分かってるんだ」
女剣士「だけど…… ……」
女剣士「……」
側近「俺が言ったのは、当たらずとも遠からず、か?」
女剣士「『根本的な解決を望んでない様に見える』?」
側近「……ああ」
女剣士「街は……平和になって欲しい。皆、アタシが居るから大丈夫だって」
女剣士「笑って言ってはくれるけど……アタシが居なくても大丈夫になるのが」
女剣士「本当の皆の望みだってのは解ってるさ」
側近「……心配や、申し訳ない気持ちもあると思うぜ?」
側近「勿論、他にも戦える奴はいるだろうけどさ」
側近「お前ばっかりに頼って申し訳ないってのは、あるだろう?」
女剣士「……」
4271 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 10:35:13.02 ID:3L5LWpjvP
側近「思ってた、て過去形にしたのは……俺の所為か」
女剣士「あんな魔法見せられちゃね」
側近(まあ……俺、魔族だしなぁ。しかも魔王様の目持ってるしなぁ)
側近(……俺も規格外、か。ハァ)
女剣士「比べるもんじゃ無いのは……さっきも言ったけど……解ってる」
女剣士「でも……」
側近「平和にはなって欲しいけど、必要とされなくなるのが厭、てか」
女剣士「……怖いんだ」
側近「……お前の存在価値はそれだけじゃないだろうに」
女剣士「解ってる、けど……ッ」
側近「まあ、はいそうですかって納得できないってのも」
側近「……理解は、できるさ」
女剣士「……」
側近「……魔王の復活が本当だったとしたら」
女剣士「え?」
側近「……流石に、それは喜べないだろう?」
女剣士「それは……」
側近「……」
側近(まあ、ありえない話だけどさ)
女剣士「解ってるさ……子供じみた……阿呆みたいな、願いだって」
側近「……勇者になりたいのか?」
女剣士「え?」
側近「あー……頼りになる勇者様!誰よりも強い勇者様!」
側近「……北の街の、さ。勇者で居たい……のかな、て、な」
女剣士「そうかもな……そうだな。ふふ……ッ」
側近「何がおかしい?」
女剣士「真の平和を望まない勇者、か……滑稽だ。否……ただの阿呆……以下だ」アハハハ!
女剣士「……悪い。アタシが……勇者になんてなれる訳が無いんだ。なれる、訳……」
側近「……」
4281 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 10:36:37.03 ID:3L5LWpjvP
お迎えー!
429名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 10:42:20.41 ID:6LK80QE30
乙ー!いってらー!
430名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 10:53:01.13 ID:/MZWxXtw0
お迎えはやいなぁ
431名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 11:42:16.55 ID:2Ch+wdPj0
女剣士の貧乳サワサワしたい
4321 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 14:44:03.27 ID:3L5LWpjvP
女剣士「……」
側近「勇者ってのは……」
女剣士「……?」
側近「勇者ってのは、自分で宣言してなるもんじゃ無いだろう?」
女剣士「……」
側近「何かを思って、誰かの為を思って……さ。した行動ってのがさ」
側近「多くの人に喜ばれて、そんで、さ……」
側近「後々、自然とあの人は勇者だった、とか……言われるモンなんだろう」
女剣士「……」
側近(自分で言ってて耳が痛いよ……ホント)
側近(俺も言ったもんな、魔王様に……勇者になれ、だなんて)
女剣士「ありがとう、って言ってくれる……助かるよ、って」
側近「ん?あ、ああ……街の人にか」
女剣士「……当たり前の様に、アタシに、さ」
側近「……?」
女剣士「確かに、頼られたい。でも……あれ以上に強い魔物が来たら?」
女剣士「……アタシに、倒せるのか」
側近「……」
女剣士「勇者様だったら、きっと当たり前の様に倒すんだろうさ」
女剣士「でも……その場に立ってるのがアタシだったら?」
女剣士「……そして、負けてしまったら?」
側近「……怖い、か?」
女剣士「当然だ。死ぬのが怖いのもある。けど……向けられるだろう、侮蔑のまなざしが」
女剣士「……アタシは、何よりも怖い」
側近「……」
女剣士「今の侭の状態が延々と続いたとしても、アタシは勇者にはなれない」
女剣士「だが、もし……最悪の事態になれば」
側近「……」
女剣士「……やっぱり、勇者になんてなれないのさ」
4331 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 14:54:43.72 ID:3L5LWpjvP
側近「……」
女剣士「当然だよな。さっきアンタが言った通り」
女剣士「『何かを思う』事も『誰かの為に』も無いんだ」
女剣士「……アタシは、アタシのプライドを保つ為だけに」
女剣士「下らないちっぽけなプライドの為だけに」
側近「もう、良い。良い、から……」
女剣士「……」
側近(複雑だな、人間ってのは……いや、俺も元人間だけど)
側近(……力を持つ、てのは怖い事だ)
側近「変な事言い出して悪かったよ……とにかく」
側近「……塔には宝物は愚か、魔物も居なかったんだ」
女剣士「……」
側近「けったいな……現象については、まあ、こればっかりはどうしようもない」
側近「……結果は、お前の望んだとおりになった訳だ」
女剣士「……ッ」
側近「ああああああああ、そんな顔すんな、嫌味で言った訳じゃネェよ!?」
側近「……同じ事が続くんだ。大変だぜ?」
女剣士「今までと何も変わらないさ」
側近「……」
女剣士「魔物が出れば剣を振り、危険が去ったら鐘を鳴らす」
女剣士「……そうだな。望むとおりだ」
側近(本気でへこんでるなぁ……しかし、まあ)
側近(こればっかりは、な……どうしようもねぇよ)
女剣士「……街が見えた。着岸するぞ」
側近(魔王様に頼んでも、な……魔物が来なくなれば)
側近(……こいつは、どうするんだろうな)

……
………
…………
434名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 15:04:42.33 ID:/MZWxXtw0
C
4351 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 15:08:11.26 ID:3L5LWpjvP
側近「……て、訳です」
親父「……」
女剣士「親父?」
親父「いや……すまん。にわかには信じられない話でな」
側近「何も無かった、て話が、か?」
親父「いや……そうじゃない。別にお前達を疑ってる訳じゃ無い」
親父「側近君が言う様に、まやかしの様な魔法が掛かっているとすれば」
親父「……その魔力に惹かれて、蝙蝠達が集まってくるって言うのもまあ」
親父「解らんでもない……んだが」
側近(そりゃま……その、強力な魔法を使えるって事自体が)
側近(人間には信じられない話……だよな)
親父「居心地が良かった、と言うのは……何なんだろうな」
女剣士「アタシは、な……側近は息苦しいって言ってたっけな」
側近(女剣士……やっぱり元気ない様に見えるなあ)
女剣士「……側近?」
側近「あ、ああ……すまん。そうだな……ん、何だっけ?」
親父「疲れているんだろう……すまんな、先に休ませた方が良かったか」
側近「いや、大丈夫……ちょっと考え事してただけだ」
側近「えーと……ああ、息苦しい、だな」
女剣士「大丈夫か?」
側近「……心配すんな。女剣士は……空気が良い、だっけ?言ってたよな」
親父「ふむ……扉も側近君には見えていなかったと言うしな……」
側近(多分……人間と魔族だから、だとは思うんだけど……言えないしなぁ)
女剣士「魔法が使えるか否か、とか?」
親父「ふむ……どんな者の魔法かわからないから何とも言えないが」
親父「それが案外正解かもしれんな」
4361 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 15:24:05.45 ID:3L5LWpjvP
側近(良い具合に勘違いしてくれてるなら……正す必要も無いよな)
親父「……考えても仕方ない。親玉が居らず、野生の魔物の集まりだと言うのなら」
親父「街での自営を強化すれば良いだけだ」
女剣士「……」
側近(ま……当然の意見だな。付き合って生きていくしか無いのだし)
側近(早々、自然に全滅……てのも考えられん)
親父「女剣士にも苦労をかけたな……これからは」
親父「街をあげて……皆を、街を。協力して守っていこう」
女剣士「……ああ」
側近(……すっげぇ不満そう。解ってても……すぐには無理、か)
親父「そこで……一つ提案があるんだが」
側近「ん……じゃあ、俺はこれで」
女剣士「あ……」
親父「ああ、待ってくれ側近君。君にも聞いて欲しい」
側近「え?俺? ……でも」
親父「この街に留まる事はできんか?」
側近「……へ?」
親父「君の力は素晴らしいと思うし、人としても……私は君の事が気に入ったんだ」
親父「……出来れば、娘の婿として、この街の人間になる気はないかね?」
側近「え……えええええええええええええええええ!?」
女剣士「お、親父、何言ってんだ!?」
親父「確かに、私は側近君の事は殆ど知らないが、悪い人間で無いと言うことは解る」
親父「そうでないと、まさか船まで貸し与えたり……あんな事を頼んだりもせんよ」
側近「いやいやいやいや、だからってアンタ、娘の婿……ええええええええええ!?」
女剣士「あ、アタシの気持ちとか無視で訳のわかんねぇ話進めるんじゃネェよ!?」
4371 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 15:25:22.21 ID:3L5LWpjvP
ちょっと整骨院行ってくる。
腰いたー
438名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 15:43:28.78 ID:wHpm5iH4O
お疲れ行ってらー
439名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 17:52:04.15 ID:dg972gnaO
(^з^)-☆ぼっくんからばばあへの回復魔法だお
4401 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 18:04:43.52 ID:3L5LWpjvP
お風呂とご飯の支度ー……遅くなっちゃったorz
4411 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/13(月) 18:06:29.30 ID:3L5LWpjvP
>>439
ありがとおおおおおおおおお!
(^з^)シ-☆★☆
442名も無き被検体774号+:2013/05/13(月) 19:32:52.21 ID:/MZWxXtw0
また展開が気になるなw
4431 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 09:21:37.68 ID:IoteoMhbP
おはよう!
今日もとりあえずお迎えまで!
4441 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 09:45:36.83 ID:IoteoMhbP
親父「何も今すぐにとは言わんよ」
女剣士「あ、当たり前だ!」
側近「あのぉ……」
親父「お前だってまんざらじゃないだろう?何時も言ってたじゃ無いか」
親父「自分より強い男じゃ無いと厭だとか」
女剣士「だ、だからって!」
側近「……あのー」
親父「側近君なら良いだろう?魔法の腕も確かだし、頭も悪く無い」
親父「だいたいお前は何時も……!」ギャアギャア
女剣士「たまたま街に来ただけの旅人だぞ!?側近は!」
女剣士「親父が人の事言えるのかよ……!」ギャアギャア
側近「人の話を聞けって!」

シーン……

魔王『……』クックック
側近『お前も黙ってろー!そんで笑うな!』
側近「あーのな?とりあえず……ああ、もう!」
側近「結論から言うと街には残れません!」
親父「……な、何故だ!?」
側近「何故だと言われましても」
女剣士「無理強いしても仕方ないだろ!」
親父「し、しかし……!」
側近「あー……まあ、俺旅人ですけど。けど……まあ、一応仕える主が居る訳で」
親父「……」
女剣士「……主」
側近「何れは戻らないといけない訳で、ですね」
側近「……気持ちはありがたいけど、俺本当に強い訳じゃないしさ」
親父「あれだけの力を持ちながら何を……」
側近「そもそも、戦闘向けじゃ無い訳よ、マジで」
4451 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 10:08:02.57 ID:IoteoMhbP
女剣士「けど……魔法……使い?だろう、側近……」
側近「どっちかっつーと僧侶系かな。治癒とか補助が専門さ」
側近「……攻撃魔法は昔の主に習ったってか、強制的に覚えさせられたと言うか」
魔王『そうなのか?』
側近『お前は黙ってろってばあああああああああ!』
女剣士「前の主?」
側近「……俺が今仕える人の父親だ」
親父「代々……仕えているのか?」
女剣士「しかし、父親って……え!?側近、幾つなんだよ……」
親父「……初老の頃から仕え、世継ぎを守る者と考えれば」
親父「その……力も納得いくな」
側近(……そうなの?)
魔王『人間と言うのは面白い考えをするんだな』
側近『……お前の当たり前は当たり前じゃないからな』
魔王『何故だ』
側近『規格外だからだよ!てか黙ってろって!』
親父「そうか……回復が出来るのならば、是非とも……と言いたいところだが」
親父「幼い主様の為であれば、仕方ないな」
側近(……幼い。幼い……ねぇ。まあ、良いか。勘違いさせておいた方が)
側近(都合も良いか……)
女剣士「……そんなんで、傍離れて大丈夫なのか?」
側近「ん?ああ……別に、お目付役は俺だけじゃネェよ」
親父「……」
4461 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 10:32:56.60 ID:IoteoMhbP
女剣士「親父……?」
親父「……お忍びの旅、だったのかね」
側近「そういう訳じゃネェけど」
女剣士「もう良いだろう、親父……」
親父「……うむ」
側近「……」
親父「いや、引き留めて済まなかった。もう……行くのか?」
側近「そうだな……まだ行かなきゃ行けない所があるしな」
女剣士「……偶には、寄れよ?」
側近「おう。何時になるか……解らんけど」
親父「そうか……君なら、この街の……勇者になってくれるかと」
親父「期待したんだがな。残念だ」
側近「阿呆な事言わないでくれよ。俺は勇者なんて器じゃネェよ」
女剣士「……」
側近「……一番、街に貢献してるのは女剣士だろ?」
女剣士「……アタシだって、勇者になんかなれる訳が無い」
親父「女剣士もすまなかった。結局……お前任せにしてしまっていたな」
女剣士「……好きでやってるんだ。良いさ」
側近「……」
側近(結局何も変わらず……か)
側近(蝙蝠共が来なくなれば……否。結局は女剣士次第、だな)
魔王『……始まりの街へ行くんだな』
側近『お前が行けって言ったんだろうが』
魔王『……塔の方は、私が何とかしよう』
側近『……どういう風の吹き回しだよ』
魔王『ちょっと……な』
側近「……」
女剣士「側近?」
4471 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 10:40:18.75 ID:IoteoMhbP
側近「ん、ああ……いや」
親父「ああ……少しだけ待っていなさい」スタスタ
側近「え?」
女剣士「礼も何も無しって訳にはいかないだろう?」
側近「別に……良いんだけどな。船も貸して貰えたし」
女剣士「……ああいうのには、関わらないに限るな」
側近「ん?」
女剣士「北の塔……さ。まさか、魔法で封印してあるとはね」
側近「ああ……あの見た目もまやかしみたいだしな」
女剣士「……もし、さ」
側近「?」
女剣士「街が……平和になって、アタシがここに居る必要が無くなったら」
側近「……」
側近(何……これ何のフラグ!?)
女剣士「……」
側近「……親父の話に感化されてんじゃネェよ」
女剣士「……悪かったな」
魔王『心臓ばくばく言わせて、冷静な事言って……』クスクス
側近『帰ったらしばく。遠慮無く殴る。決定!』
側近『てか、そんな事までわかるのかよ!俺のプライバシーは!?ねぇ!?』
魔王『どうにかしてやると言ってるのに……もったいない』
側近『もう本当に黙って!』

カチャ

親父「これを持って行きなさい」
側近「……ん?何だこれ?」
4481 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 10:41:01.93 ID:IoteoMhbP
おむかえー!
449名も無き被検体774号+:2013/05/14(火) 10:43:08.90 ID:yWG8Cj590
おつー!いってらー!
450名も無き被検体774号+:2013/05/14(火) 11:22:36.86 ID:vMqbP4GH0
いてら!
4511 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 16:34:17.66 ID:IoteoMhbP
親父「物置にあった……古い地図だ。役に立つかは解らないが」
側近「貰って良いのか」
親父「ああ……こんな礼しかできずにすまん」
女剣士「……」
側近「とんでもない……ありがたく頂くよ」ペラ
側近(確かに古い物……だが、城にあるのとそう変わらん……かな)
親父「……君の様な男が仕える人だ。さぞ……良い主なのだろう」
側近「買いかぶりすぎだよ、親父さん」
側近(まさか魔王です、とは言えんわ……)
女剣士「ここから……何処に行くんだ?」
側近「そうだなぁ……まあ、鍛冶師の村の方に向かうしか無いよな」
側近「船も無いし」
親父「ふむ……山を越えるのか?側近君なら大丈夫だろうが」
側近「まあ……何とかしますよ。じゃ、お世話になりました」スタスタ
女剣士「……」

カチャ、パタン

親父「……」
女剣士「……」
親父「女剣士」
女剣士「……見回り、行ってくるよ。結局……状況は変わらないからな」
親父「待ちなさい……行きたければ行けば良い」
女剣士「街はどうするんだよ!」
親父「……お前達が塔に行っている間に、宿屋の親父達と話してたんだけどな」
女剣士「……?」
4521 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 16:44:42.00 ID:IoteoMhbP
親父「さっきも言ったが……お前に頼ることばかりだったからな」
女剣士「……アタシも、言った。好きでやってるんだよ」
親父「解ってる……だがな、女剣士」
親父「良い機会だ……街の自治を考えるのも町長としての大事な仕事だ」
親父「それに……特に統率する魔物が居た訳では無い」
親父「お前がさっき言った通り、状況は何も変わらない」
親父「だが……それこそが、向き合っていかなければ行けない現実だ」
女剣士「……」
親父「お前は確かに腕は立つ。だが、まだまだ。世界に出れば……」
女剣士「……井の中の蛙だってのは、良く解ったさ!」
親父「怒るな……諭している訳じゃ無いんだ」
親父「……ついて行きたいなら、行けば良い」
親父「街は……私達で、何とかするから」
女剣士「きゅ……急に言われても……!」
親父「……母さんが死んでから、良くやってくれてるよ。街のことも家のこともな」
親父「何れは見送らなければならないんだ。それが今でも……支障は無い」
女剣士「……」
親父「考えている暇は無いぞ、女剣士」
女剣士「……ッ」バタバタ、バタン!
親父「……」フゥ

バタン!

親父「!」
女剣士「……まだ追いつける。行くよ」
親父「惚れたか?」
女剣士「わかんねぇよ! ……でも、今行かないと後悔するから」
女剣士「絶対に!」ペコ
親父「……」

バタン……タタタ……
4531 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 16:54:32.40 ID:IoteoMhbP
……
………
…………

シュゥン……!ドタ!

側近「……痛い」グタ
側近(本当に、本当に……ッ  ぅえ)
側近「苦手だ、嫌いだ……ッ転移なんて ………ッ」スタ、キョロ……
側近「……」
側近(城……か。うわ、壁ぼろぼろ……)
側近「これ……復旧するのか?マジで……」
側近(そりゃ、移民とか考えれば……あの島だけじゃ手狭だろうけどさ)
側近(まあ……船長がどうにかする、だろうけどな)
側近「……前程苦しいとは思わないな」
側近(やっぱり、姫様のペンダントに移したから……か)スタスタ
側近『魔王様ー?』
側近(……あれ?)
側近『まーおーうーさーまー!!』
側近「……え、ひょっとして無視されてる?」
側近(何かあった……か?否……使用人も姫様もついてるし……)
側近(……もう、何か起こりうる要素も……)
側近「……っと、もう着いちまったか」

ザァアアア……ッ

側近(こういうのを、心地良い風、って言うんだろうなぁ)
側近「……お前さん、良い場所に還して貰ったなぁ、知人さん」
側近(大地に染み出す程の、力……それが、エルフの加護)
側近(……姫様の為に使われるのなら、本望だろうが)
側近「……長居しても仕方ねぇな、やれやれ」コロン

シュゥン……オェ……ッ
4541 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 17:15:41.20 ID:IoteoMhbP
……
………
…………

シュン……

魔王「……」キョロ
魔王(成る程な……側近のビジョンで見た通り……天辺が見えん)
魔王(雲の上まで続く塔……まやかしの魔法、か)スタスタ
魔王(で……ふむ、入口も見えん、と)コンコン
魔王(ただの壁にしか思わんが……)
魔王「人には見えて魔族には見えん……のか」
魔王(随分と複雑な封印だな……しかし、この気配、は……)
魔王(……随分と力の強い者に間違いは無い。それに……古い、な)
魔王「……」ペタ
魔王(壁……手を通して……探れるか)
魔王「あそこか」スタスタ
魔王(……解けるか)シュウシュウシュウ……バタンッ
魔王「……開いた」スタスタ
魔王(内部には階段……確か、先に扉があったな)

シュゥン……スタッ

魔王「……」カチャ……スタスタ、パタン
魔王「成る程、息苦しい……な」
魔王(始まりの大陸の……知人の墓に行った時に似ている)
魔王(……ふむ。しかし)キョロ
魔王(特にこれと言って……無い、な。何も)
魔王(……原因はともかく、ここならば)
魔王「充分、だな……」
魔王(確か……扉から出れば、すぐに外に出るんだったな)
魔王「……利用させて貰うか」カチャ……スタスタ
魔王「ふむ」
魔王(……塔の入口、か……ん?)

シュン……

魔王「扉が消えた……成る程な」
4551 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 17:23:53.07 ID:IoteoMhbP
魔王(一方通行、か……人であれば安易に近づかんと思ったか)
魔王「魔族にとって……大事な物でも隠しておいた、か」
魔王(そこは……考えても解らんな)ペタ
魔王(扉は……ここだな。良し……)ブツブツ

パアアアアアッ

魔王「……これで、良い。もう……人間共にも見えんだろう」

キィ……キィイ
バサバサバサ……

魔王(……魔力に惹かれて集まってきたか)
魔王(北の街の住人達に……思い入れは無いが)
魔王「風よ……来たりて、切り裂け……ッ」

シュン、シュゥン、シュウウン……!
ギャア!ギャアアアアアアアアア!
バサバサ……キィ……

魔王「……気休め、だがな。時間稼ぎにはなるだろう」
魔王(どうにかする、と……側近と約束してしまったしな)
4561 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 17:38:51.08 ID:IoteoMhbP
魔王(……ん?)クラ……ッ
魔王「流石に……力を使いすぎた……か」
魔王(……姫と使用人がうるさいな。戻る……か)シュゥン

……
………
…………

姫「使用人、居る?」コンコン
使用人「姫様? ……どうぞ」カチャ
姫「毎日毎日、飽きないわね……」
使用人「そっくりそのままお返ししますよ……楽しいですか?土いじり」
姫「暇つぶしにはなるわね……読書なら解るけど、整理って面白いかしら」
使用人「……一冊、無いんですよ」
姫「え?」
使用人「これなんですが……」ポンポン
姫「ん、埃が……ええと……題名読めないわね」
使用人「そうなんですが、ほら、ここ……」
姫「『後』……後編、かしら?」
使用人「ぱらぱらと読んでみたんですが、その様です」
使用人「前編が見当たらなくて」
姫「……それで、この間から書庫に篭もりっぱなしで探してたのね」
使用人「魔王様に聞くのが早いんでしょうが……探してから、と思って」
姫「そうね……でも、魔王が把握してるとは思わないけど」
使用人「……まあ、そうなんですけれど」
使用人「魔王様……まだ戻られてないのですか?」
姫「ええ……すぐ帰る、とは言ってたんだけれど」
4571 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 17:50:08.42 ID:IoteoMhbP
使用人「……まあ、あの方に限って心配する事は無いと思いますけど」
姫「そうだけど……」
使用人「あれ、姫様……?」
姫「え?」
使用人「……お腹、少し大きくなりましたね」
姫「やっぱり……そう思う?」
使用人「毎日会ってるから……気がつかなかったんですかね」
姫「でしょうね……ふふ、側近が帰ってきたら吃驚するかしら」
使用人「そうですね……丁度良いですし、お茶にしましょうか」
使用人「もうすぐ、魔王様も……」

シュゥン……スタ

姫「噂をすれば、ね……お帰り、魔……お……」
魔王「……」フラフラ
使用人「魔王様!?」タタ……ッガシッ
魔王「……すまん、大丈夫、だ……」
姫「ど、どうしたのよ、魔王……!」
魔王「力を使いすぎた……ん、だろう……」
魔王「すまん……少し……休む……」フラ……
使用人「魔王様……使い魔!誰か……!」
姫「……」
使用人「魔王様を寝室に……!」
姫「魔王……ッ」
姫(何、これ……ッ どうして、こんなに……)
姫(……魔力が、溢れてるのを……感じる。力を使いすぎた? ……違う!)
姫(これは……何!?)

……
………
…………
4581 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 18:02:52.25 ID:IoteoMhbP
娼婦「もう少しです、神父さん……そう、集中して……」
神父「う、うぅむ ……こうですか……ッ」
盗賊「娼婦ー!」
娼婦「あ、盗賊……」
神父「盗賊さんですか……丁度良い、休憩しましょうか」
娼婦「はい……お疲れ様でした」
盗賊「毎日熱心だなぁ……ほい、差し入れ」
神父「お、これはこれは……美味しそうですね」
盗賊「チェリーパイ大量に焼いたって言うからさ……」
娼婦「……元気無いわね」
盗賊「そんな事ないさ」
娼婦「鍛冶師さんが行っちゃったから寂しい、て」
娼婦「……素直に言えば良いのに」クスクス
盗賊「そ、そそそそ、そんなんじゃネェわ!」
神父「お若いですなぁ……」クス
盗賊「神父様まで!」
娼婦「……すぐに戻ってくるんでしょう?」
盗賊「鍛冶師の村まで行って帰って……まあ、三ヶ月ほど、かな」
神父「忙しくしていればすぐですよ」
娼婦「そうよ……やることは一杯あるわ。私達も……貴女も」
盗賊「そう……だけど」
娼婦「……お返事、しない侭だったの、後悔してるの?」
盗賊「……」
神父「彼は必ず戻ると言ったのでしょう? ……大丈夫ですよ」
神父「ちゃんと、待っててくれますって」
盗賊「……そう、だけど……」
神父「彼は……良い青年です。何を迷うことがあるのですか?」
娼婦「そうね……素敵な方だと思うわ、私も」
盗賊「別に……迷ってる訳じゃないさ」
4591 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 18:10:49.04 ID:IoteoMhbP
盗賊「……こういうの、経験無いから……なんか、こう」
娼婦「ふふ……まあ、良いじゃないの。たっぷり悩みなさい」
娼婦「……羨ましいわ」
神父「何を仰います、貴女も充分若く、魅力的ですよ……娼婦さん」
娼婦「私は……良いのですよ」
盗賊「そうだよ、娼婦!アンタだって……!」
娼婦「神に仕える身ですから」クス
神父「本当に……貴女の信心には頭が下がりますよ」
盗賊「あ……そういえば、神父様、石は出来る様になったのか?」
娼婦「あ、話反らせた」クス
盗賊「ち、違うって!」
神父「まあまあ……そうですね。コツが掴めそうな気はするのですが……」
娼婦「随分頑張っておられますもの。もう少しだと思いますよ」
神父「だと良いんですがね……」
盗賊「まあ……癒やしの、じゃネェや。神父様の神聖な気を込めるとなりゃ」
盗賊「難しいんだろうなぁ……」
娼婦「ああ、そうだわ盗賊、思い出した」
盗賊「ん?」
娼婦「私、ま……少年様から頂いた本と一緒に、船長さんのも持ってきてしまったの」
娼婦「今度、返しておいてくれないかしら?これなんだけど」
4601 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/14(火) 18:12:57.62 ID:IoteoMhbP
お風呂とご飯ー!
461名も無き被検体774号+:2013/05/14(火) 21:14:23.79 ID:bUf39A+uP
自らフラグへし折る側近ワロタ
続き楽しみにしてる!
462名も無き被検体774号+:2013/05/14(火) 22:42:09.15 ID:CIX0I+eR0
だよなw
旅立ってしまっている以上
うっかり何処かで遭遇する事を願おう
463名も無き被検体774号+:2013/05/14(火) 22:53:58.81 ID:n+mS5BE20
楽しみにしてるんだけどこのBBAはバッドエンドの方が好きっぽいから話が進むのが怖いわ
陳腐なハッピーエンドは面白くないのはわかるんだけどみんな幸せになってほしいんだぜ
464名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 00:49:25.41 ID:V9s/hMctO
これだけは言える
ばばあとようじょは幸せであると
465名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 01:18:23.41 ID:ZqGvO5dm0
ばばあって言うけど主はそんなにばばあなのか?
466名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 01:44:59.71 ID:VpZexUo+P
27,8くらいかと思っている
467名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 02:13:38.18 ID:rEuR03lw0
そんなの俺からしたら女の子だ
468名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 08:19:56.88 ID:VpZexUo+P
20代後半の女はこの頃から自分でおばちゃんとか言い始める
俺はそれが老化の原因だと思うがな
でも精神的に区切りたいって気持ちがあるんだろうな
女の子と女性ってのは違うからな…
469名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 08:48:04.92 ID:0hXk8vkZP
おはよー!
幼女幼稚園に放り込んで帰ったら書くよ!

20後半には見られるみたいだが
実際はもうちょい上だよ(笑)
正真正銘BBAだよ(・Д・)ノ

つか、子供産んだらおばちゃんかな?
幼稚園じゃそう呼ばれるしなー

気持ちは何時までも若いんだぜ!
470名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 09:44:14.50 ID:0hXk8vkZP
盗賊「別に良いけど……あ、これ……」
娼婦「え?」
盗賊「俺が少年に返し忘れた奴だ……船に置いていっちまったんだよ」
娼婦「まあ……そうだったの?」
盗賊「読んだか?」
娼婦「ええ……じゃあ、続きは船長さんが持ってる訳では無いのね」
盗賊「バタバタしてて、俺も忘れてたよ」
娼婦「残念ね……じゃあ、続きは読めないわね」
盗賊「ん?船長についでに頼んどくぜ。まあ……何時になるかわかんないけど」
盗賊「少年のし……家にあるだろ、続き」
娼婦「……そうね」
盗賊「一応預かっとくよ」
神父「私も読ませて貰ったんですが……何時か続きが読めるのですね」
神父「それは楽しみです」
娼婦「……そうですね。神父様の為に……も、お願いしますね、盗賊」
盗賊「? ……ああ、伝えておいて貰うよ」
盗賊「さてと、んじゃ俺も作業に戻るよ」
盗賊「神父さんも頑張ってくれよ!」タタタ……
娼婦「……」
神父「……どうなさいました?」
娼婦「いいえ。少し……少年様を思い出した……だけです」
神父「少年さん……この島の、勇者様、ですね」
娼婦「……はい」
神父「一度お会いしてみたいものですな……その方に」
娼婦「……願えば、叶いますよ」
娼婦(私の願いは……叶う、のかしら。魔王様……)
神父「……」
神父「あの本ですが……」
娼婦「……? はい?」
471名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 09:55:38.92 ID:0hXk8vkZP
神父「光の勇者がどこからか現れ」
神父「闇の魔王を倒す、と言うお話です……確か」
神父「勇者が、魔王の城に乗り込んで、仲間を一人失った所で終わっていましたね」
娼婦「ええ……きっと、最後に、魔王が……勇者に倒されて終わるのでしょうけど」
神父「物語は物語である故に、最後は幸せになる物が多いですからね」
神父「ですが……貴女に読ませて頂いた、あのエルフのお姫様のお話の様に」
娼婦「……」
神父「……決して、皆幸せになりました、で終わらない物もありますから」
娼婦「そうですね……続き、読めると良い、です」
神父「盗賊さんが何時か、借りてきて下さいますよ」
娼婦「……はい」
神父「しかしあのエルフのお姫様の絵は美しかった」
神父「それも……作られた物であるが故なんでしょうが」
娼婦「神父様は……エルフと言う存在はご存じなのでしょうか」
神父「存在しているのであろう、と言う事は」
娼婦「そうですか……」
神父「お会いした事はありませんが……そうですね」
神父「会える物ならば、お会いしたいですよ」
神父「『願えば叶う』であるのなら……何時か、会えるでしょう?」
娼婦「……そうですね」
娼婦「……」
娼婦「……どこから、来たのでしょうね。勇者は」
神父「え?」
娼婦「物語の中の勇者は、光の中から生み出され」
娼婦「闇の化身である魔王を打ち破る……と、されていましたから」
神父「……続きを読めば、その謎も紐解かれましょう」
娼婦「はい……」
472名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 10:34:25.50 ID:0hXk8vkZP
娼婦(私に……そんな時間は、あるんでしょうか。魔王様……)
神父「不思議ですね。その少年さん……この街の勇者様も」
神父「ふらりと現れ、ふらりと去って行かれた」
娼婦「……」
神父「『光』と言うのは希望の代名詞なのでしょうね」
娼婦「では……『闇』は、その反対、なのでしょうか」
神父「どうでしょう。去られた場所も『闇』かもしれませんよ」
娼婦「……え?」
神父「『誰も知らない場所』であったり『手の届かない場所』であったり……」
神父「知り得ない者から見れば、それは闇に等しいのかもしれません」
神父「例え、それが光に満ちた幸せな場所であっても……ね」
娼婦「……」
神父「冒頭に出て来ましたよ。光と闇は表裏一体……と」
娼婦「ええ、そうですね……」
神父「光が勇者を表し、闇が魔王を表すのだとしたら」
神父「表裏一体……とは、どういう事なのでしょう、ね」
娼婦「……人から見た光は、魔族の居ない人間だけの世界かもしれません」
娼婦「ですが……それは、魔族と言うだけで……闇と扱われる彼らにとっては」
娼婦「それこそが……闇」
神父「逆も然り、ですね……揶揄とは言え」
神父「……成る程言い得て妙、ですかね」
娼婦「……所詮御伽、されど……ですね」
娼婦(人だけの世界……否。手を取り合って笑える、美しい世界……)
娼婦(……でも、魔王様は……徹底した不干渉を望む、と……)
娼婦(それも、光?)
娼婦(……表裏一体)
神父「さて、おしゃべりはこれぐらいにして。練習を始めましょうか」
神父「もう少し、お付き合い願えますかな」
娼婦「あ……はい!勿論です」
4731 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/15(水) 10:39:36.00 ID:0hXk8vkZP
ずっと酉忘れてたか、私!www
お迎えいってくるーよー
今日は家庭訪問!また夕方来れたら!
474名も無き被検体774号+:2013/05/15(水) 11:08:11.43 ID:wUGMDheb0
乙!いってらー!
475名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 00:27:20.34 ID:zA2UffxlO
スコーンBBA(私の方がBBAなんだが)
しっかり休めよ〜!!
おやすみなさい
476名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 01:45:39.93 ID:pmfSW+gm0
今回もこのスレでは終わりそうにないな
良いことだ
4771 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 09:28:41.71 ID:aN2IW8uKP
おはよう!
……終わると思いたい。けどおわらないかもしれんwww
計画性が無いとこうなるのな……www
お迎えまで!
4781 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 09:40:07.80 ID:aN2IW8uKP
……
………
…………

盗賊「えーっと、あっちの資材は……」ガサゴソ
盗賊(……三ヶ月、か。帰ってきたら……)
盗賊(ちゃんと……!)
盗賊(今は、出来る事やっとかないと……)クル
側近「お……盗賊ちゃんじゃないか……」フラフラ
盗賊「おわあああああああああああ!」
側近「顔見るなり……悲鳴なんて……酷い……」ゥエ
盗賊「び、びっくりした……!」
側近「……おう」
盗賊「……大丈夫、か?」
側近「もう出るモン無いから平気……」
盗賊「ええ……アレか、転移か……?」
側近「まあ……うん、いや、大丈夫……」
盗賊「ならいいけど……どうしたんだ?」
側近「いや、用事のついでに石貰ってこい、ってね」
盗賊「船長が持って出たけど?」
側近「船だろ?まあ届くまで……どんくらいかな」
盗賊「あー……鍛冶師の村寄るって言ってたしなぁ」
側近「じゃあ結構時間掛かるな」
側近「余分があるなら買ってかえりたいんだけどな」
盗賊「そうだなぁ……あ!そうだ!」
側近「ん?」
盗賊「お前、ちょっと時間ある?」
側近「あ?ああ……まあ」
盗賊「良し!こっち来て!」グイ
側近「え?お、あ……ちょ、引っ張るなよ!」
4791 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 09:47:21.97 ID:aN2IW8uKP
盗賊「こっちこっち!」
側近「はいはい、走るとこけるよ……ん、丘に上がるのか?」
盗賊「子供じゃネェよ! ……ああ、娼婦が居るんだ」
側近「へ? ……家、この上なの?」
盗賊「まあまあ……見れば解るって……ほら」
娼婦「あら、盗賊どうしたの…… ……側近さん?」
神父「おや、お客様ですか珍し……! ……盗賊さん、離れなさい!」
盗賊「へ?」
側近「え?」
娼婦「え?」
神父「……あ、貴方は……!」
側近「……俺?」
神父「人間では……ありませんね!?」
側近「……へ?」
盗賊「あ、し、神父さん、こいつは……!」
神父「どうしてこの街に……!!盗賊さん、早く……!」
娼婦「ち、違います、神父様、側近さんは……!」
側近「……姫様みたいな奴だなあ、アンタ……」
神父「盗賊さん、早く、こちらへ!」
盗賊「……いや、あの……!」
側近「えーと……もしかして、イチから説明しないと駄目な感じ?」
神父「何がです!」
娼婦「神父様、この方は……私とも盗賊とも既知の方です」
神父「……え?」
側近「あー……まあ」
盗賊「側近、思いっきり顔に『面倒臭ェ』って書いてるぞ」
側近「まじで……ちょっと擦って消しといて」
神父「既知……し、しかし……!」
4801 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:05:39.78 ID:aN2IW8uKP
盗賊「自分でやれよ……」
娼婦「側近さん……」
側近「あーはいはいはい。説明しますよすりゃ良いんでしょ……」
神父「……認めるのですね?」
側近「認めるもにも、俺が魔族だって事は盗賊ちゃんも娼婦ちゃんも知ってるよ」
神父「え!?」
盗賊「おう」
娼婦「……はい」
側近「……で、マジでどこから説明すりゃ良いの」
盗賊「……全部?」
側近「……」
盗賊「取りあえずその開いた口閉じろよ……」
娼婦「で、ですが……」
側近「いや、まあ、うん……頑張る。つか、えーと?」
神父「……神父、と申します」
側近「ああ……アンタがアレか、インキュバスの魔石、禍々しいって言った奴……」
神父「……インキュバス?」
娼婦「……」
盗賊「側近」チラ
娼婦「……」フイ
側近「……ああ、すまん。取りあえず……俺は、側近だ」
神父「禍々しい……と言うのは、あの『魔除けの石』と言う物ですか」
4811 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:14:40.95 ID:aN2IW8uKP
娼婦「良いのですか、側近さん……ま、少年様の許可は……」
側近「あー……うーん……」
神父「少年さん……勇者様のお知り合いなのですか!?魔族の貴方が……!?」
側近「勇者様!?あいつが!?」
盗賊「……この街の勇者、だろう。確かに」ハァ
盗賊「この街の住人には……さ」
側近「……」
盗賊「だから口を閉じろ、と!」
側近(『勇者になれ』と言ったのが本当になった、か……)フゥ
側近(ま……そりゃそうだよな……魔王様が、勇者……)
側近(自分で言い出したとは言え……なんつーか……)
神父「……勇者様が、どうして……」
側近「そりゃはいそうですかと信じられない気持ちはわかる。解るがな」
神父「いえ……」
側近「アンタ、人間の割には鋭いな……確かに、アンタになら」
側近「本物の魔除けの石が作れるかもしれん」
神父「……」
側近「……ちゃんと説明してやるから、睨むのやめてくれ」
娼婦「で、でも……」
側近「許可、か? ……まあ、それは大丈夫だろう」
側近(取ろうにも心話が通じないんだよな……)
娼婦「……」
側近「アンタまで睨まないでくれる……俺の心折れちゃう」
娼婦「す、すみません……しかし……!」
側近「大丈夫だってば……さて、神父さんよ」
神父「……なんでしょう」
側近「アンタは、目で見た物しか信じないタイプか?」
神父「は?」
4821 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:23:25.04 ID:aN2IW8uKP
側近「今から話す内容は、それこそはいそうですかなんて」
側近「信じられないだろうモンだって事さ」
神父「荒唐無稽な話、と言う訳ですか」
側近「否定はしねぇよ。だが……まあ、盗賊ちゃんと娼婦ちゃんの証言がありゃ」
側近「信じれるか? ……それとも、俺が騙してるとでも言い張るか」
神父「そ、れは……」
側近「ぶっちゃけ、誰にでも話せる内容じゃない」
側近「……守秘は誓って貰いたいね」ハァ
神父「……」
盗賊「俺からも頼むよ、神父さん」
娼婦「……お願いします」
神父「……わかりました。ですが……信じるに値するかどうかは……」
側近「別に信じないなら話さないとは言わネェよ」
側近「……流石に無理だろうよ。俺の正体、あっさり見抜いたしな」
神父「……」
側近「長いから……ま、簡素に話す。質問があれば聞いてくれれば良い」
側近「えーと、まずは……難しいなぁ」
側近「……少年には、姫様って言う伴侶が居る」
盗賊「え!?結婚したのか!?」
側近「いきなりかよお前は……式とかはマダだ。船長から聞いてるだろ?」
神父「……船長さんも、お知り合いなのですか」
側近「ああ……まあ、えっとそこは後で」
側近「で、なんだ……まあ、その二人が魔導の街で盗賊に出会った、んだよな?」
盗賊「ああ。俺が頼んだんだ。魔導の街の大会で、優勝してくれって」
4831 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:31:13.43 ID:aN2IW8uKP
神父「それは……噂に聞きました。ふらりと現れた旅人が」
神父「魔導の街の大会で優勝し、街の全権を手に入れたと」
娼婦「……そうです。その試合は見ていませんが……おかげで」
娼婦「私達劣等種は、解放されました」
側近「娼婦ちゃん……」
娼婦「神父様はご存じです……そこは」
神父「ええ、街の人達からも聞きましたよ……そうして、港街が出来た」
側近「ああ。街の権利はもう、前領主の息子に返した」
側近「……ま、流石に当分は大人しくしてるだろう」
盗賊「この島は元々逃げ出した劣等種の隠れ家だったからな」
盗賊「俺が船長と少年達を引き合わせたんだ」
側近「で、俺もこいつらと知り合った、って訳だ」
神父「……出会った経緯は解りました……が」
神父「それだけでは、荒唐無稽な話とは言えますまい?」
神父「それに……貴方の話が出ていません、側近さん」
神父「……少年さんとお知り合いだったからついでに知り合ったとは」
神父「……流石に、納得できません」
側近「ご尤も……まあ、少年に旅に出ろと言ったのが俺、だ」
側近「姫様と少年は、魔導の街に行く前に知り合ったんだが……」
神父「ちょっと待ってください、貴方が少年さんに旅に出ろと?」
神父「どういう意味です?」
側近「説明するから待てって!」
側近「……俺は、少年に仕えている。少年は……魔王だ」
神父「……は?」
盗賊「……」
娼婦「……」
4841 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:39:52.33 ID:aN2IW8uKP
側近(結局全部話さないといけないのか……)ハァ
側近「だから荒唐無稽な話だっつったろ?」
側近「少年の正体は、魔王だ……魔導の街に不穏な動きがあったし」
側近「魔族の一人が取り入って、何かやろうとしてるのが解ったから」
側近「魔王様を偵察に出したんだよ」
神父「……そ、それを信じたとしても、どうして主を偵察に出すのです!?」
神父「そんなおかしな話……!」
盗賊「改めて聞くとそうだよなぁ……」
娼婦「盗賊……!」
盗賊「いや、まじで……」
側近「俺もそう思う……いや、進言したの俺だけど」
神父「……」
側近「そんな顔すんなよ……まあ、色々あってだな」
側近「俺が城をあけるとまずかった訳。で、これまた色々あってだな」
側近「……魔王様は無能だと思われてたんだよ」
神父「え……?」
側近「アンタがイメージする、魔物、魔族、魔王ってのは……なんだ?」
神父「そ、れは……一言では、言えませんが……」
側近「まあ、そりゃ解る……でもまあ、やっぱ色んな所に行くとさ」
側近「大体が、怖い物、として認識してる訳じゃん?」
側近「人間を殺すとか食うとか、魔王に至れば……まあ、ほら」
側近「人間共を滅ぼすだとか、支配する、とかな」
神父「……そうですね。畏怖の対象である事は間違いないでしょう」
側近「でな?俺とか魔王様とか……まあ、そういう事に興味が無かった訳だ」
神父「え?」
側近「面倒臭ぇじゃん。正直、俺は人間を好きでも嫌いでも無い」
側近「徹底した不干渉……それが、俺と魔王様の望みだ」
娼婦「……」
4851 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:47:53.80 ID:aN2IW8uKP
側近「が、だ……勿論、魔族の皆がそういう事思ってる訳じゃ無い」
盗賊「……魔導将軍」
側近「そうだな。魔導将軍始め……過激な思想を持つ奴も勿論居たんだ」
神父「と、言うと?」
側近「まあ、人間なんか滅ぼしちまえ、この世は魔族の物だ、ってな」
神父「で、ですが……魔王は……違う、のでしょう?」
神父「……信じるとすれば、ですが」
側近「さっきも言っただろう? ……魔王様は、過激派には無能だと思われていた」
側近「……まあ、詳しくは割愛するけど、あいつが魔王になってから」
側近「本当になーんにもしなかったからな」
側近「書庫に篭もって本読んでるか、料理してるか……」
盗賊「……想像に容易い」
側近「本当にねぇ」
神父「魔王が……料理……」
側近「不干渉で良いなら、そう宣言しろとも言ったんだがな」
側近「魔王様曰く、そういうのは強制されてする物じゃ無い、とな」
側近「皆がそう言う方向に自分の意思でなって欲しい、と」
側近「……それにしたって方法はあるだろうに、とは思ったんだが」
側近「俺も……何もしなかった。不満があっても」
側近「一応、魔王様の命令が無ければ、魔王軍は動かなかったからな」
神父「……」
側近「だが、不満のある連中が集まって、良からぬ企みを始めたのさ」
盗賊「……魔王に、反旗を翻す、か」
神父「……!」
側近「ああ。で、俺はばたばた走り回って、漸く魔導将軍の行動を突き止めたんだが」
側近「……そいつだけじゃ無い。俺が不在になれば、過激派の連中にも解るだろう?」
神父「それで……魔王を」
側近「そう。あいつは無能だ。何も出来ない屑だと思われていたからな」
4861 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/16(木) 10:50:31.88 ID:aN2IW8uKP
お迎え!
帰ったら幼女と美容院に行くので、帰ってお風呂ご飯までかけたら!
487名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 10:56:14.26 ID:744FAnIJ0
乙!いってらー!
488名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 19:34:15.22 ID:NvWX/9qz0
まだ続いてたのかこれw
てっきり魔導将軍倒して終わりかと
489名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 21:27:57.64 ID:TwQ/wxbb0
今回は少し話が膨らんだんだよね
描写は相変わらずだけどw
490名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 23:26:56.60 ID:sUTtmdVl0
勇者「拒否権はないんだな」

1 名前:名も無き被検体774号+ :2013/02/04(月) 14:07:46.61 ID:G6CSV7KI0
国王の間

王「良く来た、勇者よ……そうかしこまる必要は無い、面を上げよ」
勇者「は……」
王「魔王が蘇って久しい。前魔王が前勇者によって倒されてからも同じく、じゃ」
勇者「はい」
王「今日そなたをここへ呼んだのは……分かるな?」
勇者「……必ずや、魔王を倒してごらんに入れます。この、勇者の印にかけて、必ず……!」
王「うむ……頼んだぞ、選ばれし者よ!」

全てはここから始まった…

俺最初のスレの>>7に「まんこ」って書き込んだけど
今となってはそのことを誇りに思うぜっ
491名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 23:31:26.46 ID:QoaDVaPu0
何言ってんの?
492名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 23:35:26.59 ID:pmfSW+gm0
さあ?
493名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 23:37:25.53 ID:JBvw4k9FP
>>490
俺は好きだよ
494名も無き被検体774号+:2013/05/16(木) 23:44:20.21 ID:PoFPKDXPP
>>490
期待させんなハゲ
495名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 01:18:56.91 ID:R/g0QFwJ0
ばばあの「……」乱発は最初からなのな
4961 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 09:43:17.85 ID:tzEdIN0RP
おはよう!
お迎えまでー
4971 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 09:57:42.93 ID:tzEdIN0RP
神父「……何故、なのです?」
側近「あん?」
神父「仕える者であろう貴方ですら……それ程の力をお持ちだ」
神父「なのに、何故……」
側近「無能だと思われるのか、か……それ、言わしちゃう?」
神父「……」
側近「まあ、良い……魔王ってのはな、まあ……世襲制、って奴だ」
側近「ただし、前魔王……今の魔王様の親父さんだな」
側近「を……自分の手でぶち殺さなきゃならん」
神父「親を……殺す!?」
側近「そうだよ。そうして『魔王』の力を奪い取る」
側近「……この事実を知ってるのは、前魔王様の代から仕えていた古参の者の内でも」
側近「数人しか知らん……俺も含めて、な」
盗賊「……側近も古参に入るのか?」
側近「まあそうだな。魔王様には最初……産まれた時から、って言ったけど」
側近「前魔王様に拾われたからね、俺は」
娼婦「拾われた……と言うのは……」
側近「……ここまで言っといて何だけど、その話は今は省くわ。長くなるし」
神父「では魔王と言うのは……その力は、代々受け継がれてきた物だと言う、のですか」
神父「親を……殺し続けて手に入れてきた物、だと」
側近「……人間にとって嫌悪感のあるもんだっつうのは……まあ、解る」
側近「特にアンタは聖職者だしな」
側近「血だ、なんだってのでは縛れないのさ……魔族ってのは」
側近「力が全て、とは言わんが、それに近い物はある」
側近「……ま、だからあんな事態に陥ったんだけどね」ハァ
498名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 10:12:49.48 ID:pWLZ19llO
おはスコーン
最近のびっぷらの楽しみです。
30代ならまだまだ食べ頃やん

ょぅじょもだけど自分も大切にね!
4991 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 10:15:05.06 ID:tzEdIN0RP
神父「継承の方法を知らない他の魔族達が、魔王の地位を狙い」
神父「反乱を起こした、という事ですか……」
側近「まあ、ぶっちゃけ魔王様一人いれば皆殺しなんて容易いよ」
盗賊「……」
側近「けどまあ、幹部クラスの魔族にゃ部下ってのが居る訳でね」
側近「数で来られると、こっちの被害も……な」
娼婦「こっち、と言うのは……?」
側近「便宜上だけど、魔導将軍達みたいのを過激派、それ以外……まあ、そうだな」
側近「魔王様や、俺みたいな考え方の奴を穏健派、って呼んでた訳」
側近「派、つっても……こっちは本当に数人だったけどね」
盗賊「で、でも……さ、魔導将軍は……死んだし……」
側近「残りも一掃したさ……被害ゼロでは無かったけどな」
神父「ゼロでは、無かった……?」
側近「獣の類であろうと、ものすごい数で攻め込まれてみろよ」
側近「……それに、数人だっていっただろ。それも古参の連中だ」
神父「し、しかし……魔族は不死に近いのでは?」
側近「近い、ね……まあそりゃな。人間より遙かに寿命も長いしな」
側近「だが、老いる。確実にな……で無けりゃ、どうして世代交代が必要なんだ?」
神父「……」
側近「二人……逝った。過激派の幹部の全滅と引き替えにな」
神父「残りは……残りの魔族は、どうなのです」
側近「さてね……少なくとも、出る杭は全部打ったさ。今のところ、は」
神父「また……その様な事態に陥る可能性が残っていると?」
5001 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 10:16:30.42 ID:tzEdIN0RP
>>498
おはすこーんwww
食べ頃だぜー?気持ちは何時でも若いよ!www

ありがとー!
なんだかんだ充実してるよー
幼女可愛いし、仕事もあるし!
これ書くのも充実の一部!
5011 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 10:30:07.89 ID:tzEdIN0RP
側近「この世に『絶対』があるって言うのか?お前さん」
神父「……」
娼婦「人と人でさえ……争うのです。血だ、能力だ、と」
娼婦「一度……力で押さえつけた魔導の街の人達が、二度とあのような思想を持たないと」
娼婦「……お思いですか?神父様」
神父「娼婦さん……」
盗賊「……」
娼婦「劣等種は確かに、魔王様によって解放されました。しかし……何十年」
娼婦「何百年の後、形を変え……また」
娼婦「同じような事を、繰り返さないとは言い切れません」
盗賊「で、でも……!」
側近「だから、そうならない様に……布石を打つんだろ?お前達は、さ」
神父「……一つ、お聞きしたい事が」
側近「はいはい、何でしょ」
神父「あの……『魔除けの石』は……」
側近「あー……」
娼婦「私がお話します」
側近「娼婦ちゃん……でも」
娼婦「良いんです……何時、言おうかと迷っていたのです」
盗賊「……?」
娼婦「あの石は、インキュバスと言う……魔族が作った物です」
神父「先ほど……側近さんも言っていらっしゃいましたね」
神父「娼婦さん……ご存じなのですか?」
5021 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 10:42:51.08 ID:tzEdIN0RP
娼婦「……端的に言うと、彼は私の精気を吸い、魔力に変えて」
娼婦「あの魔除けの石を作っていたのです」
盗賊「な……え……?」
神父「貴方の……精気、を……ですか?」
側近「……」
娼婦「はい。魔導書軍は、魔導の街に居る間……魔王様と姫様を」
娼婦「部下に見張らせていたそうです。勿論……娼館に居た劣等種達も……」
娼婦「魔王様と何度も接触した、私も」
神父「貴方が娼館にいらっしゃった事は……存じております。お話下さいましたから」
娼婦「はい……船でこの街を出た私は……鍛冶師の村の教会で、インキュバスに会いました」
娼婦「そして……」
娼婦「……」
神父「申し訳ありません、娼婦さん、もう……!」
娼婦「いえ……すみません。大丈夫です」
娼婦「そこで……取り入られてしまったのです。辱めを受けたにもかかわらず」
娼婦「……心地よい快楽に、身も心も解けました」
娼婦「名を奪われ、新たな名で呼ばれる事を強いられても」
娼婦「精気を奪われても……与えられる愉悦に、あらがう事はできなかった」
盗賊「……ッ」
娼婦「あの間は……忘れていられたのです!」
娼婦「……必要とされる事は、心地よかった。嬉しかったのです……!」
娼婦「魔王様の、事を……ッ 思い出さずに……居られるのは……!」
側近「……」
神父「……」
盗賊「……」
5031 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/17(金) 10:43:48.63 ID:tzEdIN0RP
おむかえ(・ω・)
504名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 10:45:45.62 ID:HzuzCi/bP
いてらすこん
505名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 11:16:25.00 ID:Boz+fk2U0
魔導書軍wwww
強そうだwwww
506名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 11:36:22.95 ID:N7pS2ogB0
インテリ集団だなwww
507名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 12:16:32.28 ID:tzEdIN0RP
>>505
Σ( ゚д゚)
角痛そうだよな……

幼稚園で見て吹いたわ…
私不審者(笑)

帰ったらお昼食ってバイトまでかけたらー
508名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 19:01:25.73 ID:tzEdIN0RP
バイト終わって家電話したら
幼女がぬこひろって来たらしく大騒動( ゚д゚)
ダッシュで帰らねば……
風呂迄書くつもりが無理そうだ。・°°・(>_<)・°°・。

明日朝早いからまた通勤中に書くよ!
509名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 21:31:26.20 ID:DlkRAEce0
ねこうp!
510名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 21:39:15.39 ID:YISzgZmNO
>>509
(=^・ェ・^=)にゃあ
511名も無き被検体774号+:2013/05/17(金) 23:16:00.50 ID:p3vreQVxP
(。≖ˇェˇ≖。)
512名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 06:51:49.17 ID:FDZeIn8vP
おはよう!
ぬこ騒動で疲れたよ……
バイト行くまで少し時間あるからちょっとだけ〜

>>509
愛着わくと辛いのでとってない。すまんのぅ
513名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 07:12:27.37 ID:FDZeIn8vP
娼婦「申し訳ありません……」
神父「……いえ、あの……その。辛いお話、を……」
側近「方法は娼婦ちゃんが教えた、んだよな?」
娼婦「はい……多分、ですがそれしか考えられないでしょうね」
盗賊「覚えて無い、のか?」
娼婦「はっきりとは。後……色々聞かれた気はするんだけど……あまり」
側近「……まあ、あいつはもう死んだから、な。そういうのは気にしなくて良いだろう」
神父「死んだ……殺した、のは、魔王がですか?」
側近「あー……説明しにくいんだがなぁ……」
娼婦「あれは……あの時の、あれは……側近さんでしたよね」
側近「ああ。そこは覚えてるんだっけ?」
娼婦「……紫の、瞳……を。ですが」
盗賊「え?」
神父「紫の瞳?」
盗賊「側近のは……緑じゃネェか」
娼婦「魔王様は紫の瞳をお持ちなのです、神父様」
514名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 07:22:47.03 ID:FDZeIn8vP
神父「……それは」
盗賊「おい、話がぐちゃぐちゃじゃネェか……わかりやすく説明してくれよ」
側近「お前……何も聞いてない、のか?」
盗賊「詳しい話はな……側近の瞳が紫ってどういう意味だ?」
娼婦「私がインキュバスに捕らわれている時に……助けに来て下さったのは」
娼婦「側近さん……で、良いんですよね?」
側近「ああ。そんで対峙した時に、俺の身体が魔王様の意識に乗っ取られたんだ」
神父「乗っ取られた!?」
側近「……で、その時、俺の目が紫に変わった、んだよな?」
盗賊「覚えて無いのか?」
側近「そうじゃネェよ。自分の姿は自分でみれないでしょうが」
神父「……」
側近「何か言いたそうだな、神父さん」
神父「……一言で言うのならば信じられません、ですよ」
神父「聞きたい事は山程ありますが……」
側近「まあ、あの時の娼婦ちゃんは記憶が曖昧だろうから俺が話そう」
5151 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/18(土) 07:23:40.99 ID:FDZeIn8vP
また酉忘れてたorz

で、時間なので逝ってきます
電車の中からかけたらー
516名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 07:26:51.16 ID:OadbYhNe0
朝から乙さん
いってら
517名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 07:43:08.17 ID:FDZeIn8vP
側近「そもそも俺は戦闘向きじゃ無い訳だ……攻撃魔法は使えるが、専門じゃ無い」
側近「けどまぁ……魔王様の目を持ってるからな。インキュバスと一対一なら何とかなるかなー、て」
側近「思ってたら『面倒だから体貸せ』……だ」
盗賊「……あいつが規格外なのは知ってる、が……そんな事までできんの!?」
側近「んで、だ……まあ、そんで、どうしてだか瞳の色迄紫に変わっちゃったらしく」
側近「娼婦ちゃんもそれ見て混乱しだすし」
娼婦「すみません……」
側近「あ、違う違う……責めてないって!」
側近「後はまあ、ぐちゃぐちゃなんか言ってるインキュバスぶち殺して」
側近「……俺の体の侭、娼婦ちゃん抱えて魔王様の城迄転移しやがった」
5181@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/18(土) 07:48:16.52 ID:FDZeIn8vP
側近「……て、感じかな」
神父「一つずつ……教えて頂けますか」
側近「おう……まずは何だ?」
盗賊「ちょ、待て! ……ここでこうやってるって事は無事って事なんだろうが」
盗賊「……娼婦は、大丈夫なんだな!?」
側近「……」
娼婦「……話して置かなければなりませんね、側近さん?」
側近「何時話そうかって迷ってたんだろ?」
娼婦「……はい」
盗賊「な、何だよ……まだ何かあんのか!?」
519名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 11:23:27.37 ID:DLR8PQ0VO
おはつかれスコーンさまです


ペットは子供にとっても良い影響にはなるんだろうけど…
犬と比べて猫の方が世話は楽とは言っても
やっぱり金銭的負担は大きい

母子家庭で子供の面倒見つつペットも…
は流石に厳しいよねぇ
520名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 11:26:39.80 ID:63pCfDcx0
「……」多すぎ
521名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 11:31:02.63 ID:47UMh6000
………吃驚した、かい?……が多くてさ
522 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/05/18(土) 11:40:41.60 ID:9VyRaqfr0
俺は……が好きだ
523名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 11:49:31.81 ID:DLR8PQ0VO
>>521
腹筋スレいってらっしゃい
524名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 14:02:53.58 ID:OadbYhNe0
…の話はもうイイから
5251@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/18(土) 14:12:49.75 ID:FDZeIn8vP
読みにくいか……
ちょい意識して減らすわ。さんきゅ。
休憩おわりー
のーちほど。
5261@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/18(土) 14:15:28.41 ID:FDZeIn8vP
>>519
それもあるし、もう10年程前だが愛猫看取ったからさ。
もう見たくないんだわ……
私が自立して、幼女と二人になって
幼女が少女になればまた考えるよ。
捨てれないから( ゚д゚)ご近所さんに貰って頂いて一件落着

よし。働く!
527名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 14:16:47.57 ID:47UMh6000
>>525
……いきなり……でワロタ………
気にしなくて…良いんだ…ぜ……
528名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 15:47:30.37 ID:R6UthEP8O
…に含まれる余韻とか躊躇とか、その場面の空気感が良いと思うんだけどなぁ
529名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 17:17:18.76 ID:J2rOYJJB0
>>526
ネコ貰ったんだけどどうすればいい!?
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1368860258/
530名も無き被検体774号+:2013/05/18(土) 18:29:49.41 ID:IwkZLByZP
この形式だと口篭る時はもちろん、視線を移す等の仕草も「……」に頼る。
だから多いのは当たり前として、そういう動作や含みのない場面でも多用されると、
登場人物と>>1のどっちが言葉を探しているのか分からないことがあるんだぜ。
勝手に解釈して読んでいるが、書き手の意図から外れていないか時々不安だ。
5311@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/18(土) 20:44:39.91 ID:FDZeIn8vP
地の文が無いと表現って難しいなぁ。
色々アドバイスありがとね。
とりあえず幼女寝かすー

>>526
違うと思うよ(笑)
5321@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/19(日) 10:22:56.11 ID:UFZsM6AXP
おはよう!
最終日頑張るぜ!
5331@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/19(日) 10:33:12.52 ID:UFZsM6AXP
娼婦「……インキュバスの洗脳の様な物は、溶けました。しかし……」
娼婦「……私の、寿命は…… ……持って、一年……と」
盗賊「いち、ね……ん?」
娼婦「……」
側近「姫様曰く、な。命の炎が……極端に小さいそうだ」
神父「それは、精気を吸われてしまったらか、ですか」
側近「インキュバスと言うのはそう言う種族だ。見目麗しい姿で異性を虜にし……」
側近「主に文字通り、精を糧として生きる」
娼婦「私は、魔石を作る為に……身を捧げて居たから……」
神父「彼の者の糧となり、さらに……ですか」
盗賊「な、何納得しました、見たいな喋り方してんだよ!みんなして!」
盗賊「側近!何とか……助かる方法無いのか!?」
5341@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/19(日) 10:48:18.34 ID:UFZsM6AXP
娼婦「少女さんの様に魔族になれば、生き永らえるでしょうね」
神父「!?」
側近「と、言うか……生きたいのなら、それしかない」
盗賊「……!」
娼婦「魔王様は私が望むならすぐにでも、と言って下さいました。でも……」
娼婦「姫様には、それすら耐えられないだろう、とも」
盗賊「そんな……!?じゃ、じゃあ……諦めろってのか!?」
側近「誰もが人から魔に易く変じれる訳じゃ無いんだ、盗賊」
側近「俺や……少女は稀有な例と言っても過言じゃ無いんだよ」
神父「貴方……も?」
側近「大前提として、魔に変じたい、とかな。まだ生きたい、とか……そう言う強い意思が必要な訳だ」
側近「死にたくは無いが、魔になるのは……とか。迷ってりゃ、まず不可能だ」
側近「俺の場合は後者だった。『こんなとこで死にたくネェ。人で無くても良いからとにかく生きたい』だ」
神父「で、では、貴方は……」
側近「俺は元人間だよ。前魔王様に魔に変じさせて貰ったのさ」
娼婦「ですが……人であった貴方が、何故前魔王様の前に……?」
5351@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/19(日) 10:49:41.34 ID:UFZsM6AXP
働いてくる!
536名も無き被検体774号+:2013/05/19(日) 11:03:54.23 ID:IxKA6xxf0
いってら〜
537名も無き被検体774号+:2013/05/19(日) 11:18:18.52 ID:iXsQF3jY0
俺は寝る
538名も無き被検体774号+:2013/05/19(日) 20:10:58.51 ID:DH8MSonoO
ドラクエ10やりながら、マッタリ見てますw
5391@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/19(日) 21:40:19.46 ID:UFZsM6AXP
今日は疲れた( ゚д゚)
明日朝早いからまた明日にしますー
幼女抱っこして寝るよ!
540名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 00:35:16.67 ID:JyZ2VIvs0
お休みなさい。いつも楽しませてもらってます。
5411@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 08:51:18.65 ID:/3glbmBOP
おはよう!
やっと平常運転……!
幼稚園から帰ったら書くよー
542名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 09:46:15.60 ID:8C+Mx7uP0
おは幼女!
いつも楽しく見させてもらってます!
5431@ ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 10:07:21.07 ID:/3glbmBOP
側近「ここらへん、魔王様も知らないんだよなぁ……」
娼婦「魔王様も……?」
側近「ちょっと前まで、元人間って事も言ってなかったからな」
神父「何故、なのです?」
側近「別に内緒にしてた訳じゃネェぞ?わざわざ……って思っただけ何だが」
娼婦「今は知っていらっしゃる、のですよね?」
側近「ああ。アンタらにゃ当然の知識だろうけど、魔王様はそういう所疎いからな」
側近「回復や治癒魔法ってのは、人間の特権、て事を知らなかったのさ」
側近「本読むの好きな癖にねぇ……」
盗賊「姫から聞いた、のか」
側近「まあ、そう考えるのが妥当だろう。前魔王様に魔にして貰ったって話は伝えたよ」
神父「では……貴方は魔の身でありながら、回復の魔法が使える、と申すのですか」
側近「ここまで話しておいて嘘吐いても仕方ないだろ」
側近「前魔王様ってのは変わり者でな……否、魔王様も相当変わってるとは思うけど」
5441@ ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 10:23:12.35 ID:/3glbmBOP
盗賊「全く否定できない」
娼婦「……すみません」
側近「言っておいて何だが……不憫だな、魔王様」
側近「で、だ。えっと何だっけな……ああ。そうそう」
側近「俺が前魔王様に会った理由だったな」
側近「簡単に言えば……倒しに行った、んだ」
盗賊「え!?」
神父「魔王を……ですか!?」
側近「そうだよ。俺が人として生きてた時代、世界はもっと殺伐としてた」
側近「魔王は人を、人間を支配すると宣言していたし、魔物の数ももっと多かった」
盗賊「……お前、何年生きてんだよ」
545名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 10:29:50.86 ID:ENWuiMHr0
おお、
5461 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 10:42:11.88 ID:/3glbmBOP
側近「さぁなぁ……前魔王様は、1000年近く生きてたから」
側近「それ以上、は確定だな」
神父「千、年……」
側近「今でこそ『勇者』なんてモンは御伽噺扱いに近いけど」
側近「実際に居たんだぜ、勇者様ってのが」
娼婦「それは……選ばれた存在、という事ですか?」
側近「んー。と、言うより『魔王を倒してくれるだろう存在』かな」
側近「……実際に倒して居れば、本物の勇者になれたんだろうがな」
神父「では……貴方達は、魔王を倒せなかった?」
神父「……ん、ですよね」
側近「そうだよ。でなきゃ、俺が魔王様に仕えてる訳がネェだろ?」
盗賊「じゃ、じゃあ……側近が勇者!?」
側近「いやいやいやいや。違うって!攻撃魔法とか無理だったし」
側近「回復やら補助専門の俺が勇者な訳ないだろ」
盗賊「あ、そ……そっか」
側近「勇者になるだろう、と思われてた剣士と、俺と……攻撃魔法専門の奴」
側近「その三人で旅に出たんだ」
娼婦「側近さんは……何処の出身なのです?」
側近「俺の産まれた街はもうネェよ。旅立ってすぐに、魔王に跡形も無く消し飛ばされた」
盗賊「!?」
側近「そうだな。始まりの街……みたいな感じかな」
側近「あれほど大きくは無いが、小さな島に小さな城と、お飾り程度の街があった」
側近「……後から考えれば、王様が旅立ちを急かした理由はそれだったのか、とね」
側近「そう思えば……魔王に憎しみが沸いた。それを力に、俺たちは魔王城に急いだんだ」
5471 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 11:09:05.74 ID:/3glbmBOP
娼婦「魔王城、と言うのは……あの、今魔王様が住んでいらっしゃる……?」
側近「そうだよ。どうにかこうにか……俺たちは最果ての街にたどり着いた」
側近「ああ、街はもう今みたいな感じだったな」
側近「誰かが住んでる訳でも無く、廃墟に近かった」
娼婦「では……私達が見た感じと同じ……」
側近「だな。で、歩いて歩いて……門をくぐって、城の中に入った」
側近「そしたら、誰に会うでも無くさ。あっさり前魔王様の居る玉座の間まで」
側近「来ちまった……ご対面、さ」
神父「配下の魔族は……何故、居なかったのです?」
側近「俺も勿論、疑問に思ったさ。だがな、俺たちは極度に緊張してた」
側近「前魔王様が話しかけた瞬間、魔法使いの奴が魔法をぶっ放しやがったんだ」
盗賊「……」
側近「前魔王様はあっさり……それこそ指一本ではね除けた」
側近「そこで怖じけずきゃ良いのに、プレッシャーってのは怖いモンでね」
側近「俺たちはパニックになった。一斉に殴りかかっていったのさ」
神父「ど……どうして……」
側近「考えてもみろよ?既に亡い人達から受けた期待と、怨み。俺たちに」
側近「『魔王を倒す』以外の選択肢があったと思うか?」
娼婦「逃げ出す訳には……行かなかったのですね」
側近「逃げ出したって帰るところは無い。俺たちを知る人も居なければ」
側近「気にする必要も無い、かもしれんがな」
側近「そんな事は許されない。『勇者達』てのはそういうモンなのかもな」
側近「……実際、そうだったよ。俺たちがやらなけりゃ、被害は増えるだけ」
側近「そうとしか思えなかったんだ……ろうな。多分、な」
5481 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 11:38:04.21 ID:/3glbmBOP
側近「俺たちはあっさり吹っ飛ばされた。魔法使いは壁に打ち付けられて血まみれ」
側近「勇者も似た様なモンだったな」
側近「声も出せなかったよ。ありゃ文字通り化け物だ……人が太刀打ち出来る相手じゃない」
娼婦「ど……どうなった、のです……」
側近「死にかけの俺たちに、前魔王様は言った」
側近「『行きたいか』とな」
5491 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 11:39:35.46 ID:/3glbmBOP
ちょっと早いけど、お昼ご飯ー
550名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 11:41:12.05 ID:T+DsXYDO0
乙!いってらー!

最後の一行は誤字?
きになる……
5511 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 11:45:28.23 ID:/3glbmBOP
あ、誤字……

『生きたいか』です……すまん(・△・)
552名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 11:53:17.75 ID:ENWuiMHr0
い、逝きたいです
553名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 12:03:06.57 ID:YmFAcGZTP
くそっ誤変換とか気にすんなよ!
10秒毎にリロードしたい欲求と空腹と同時に戦ってる俺の身にもなれよ!
でも落ち着いて書いてくれ、大事な場面なのに吹いてしまったw
5541 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 12:15:14.06 ID:/3glbmBOP
す、すまん、気をつけるwww
再開!
555名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 12:27:01.96 ID:1jrjy5bKO
>>546
側近が人間やめたのは前魔王が魔王になってからすぐって解釈でいいのかな?
5561 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 12:29:23.78 ID:/3glbmBOP
側近「即否定したよ……俺以外の二人はな」
神父「……」
側近「死にかけて、口から血を噴き出しながら二人は、怨みの言葉を囁いてた……らしい」
盗賊「らしい?」
側近「俺だって死にかけてたんだって。ハッキリ覚えてネェよ……後から聞いた話だ、それは」
神父「前魔王、に……ですか」
側近「ああ。『情けで生きてどうする』『お前を倒さなきゃ、死んでも死に切れん』」
側近「『化け物』『魔など生きていて良いはずがない』『親を返せ』『皆を返せ』」
娼婦「……」
側近「『俺たちの幸せを奪う権利など、無い』……とか、な」
神父「……」
側近「で、前魔王様は答え無い俺に、もう一度聞いたそうだ」
娼婦「……『生きたいか』?」
側近「俺は即座に答えた。死にたくない。生きたい……死ぬのは厭だ」
側近「『ならば生きろ。強い意思を持ち、己が手を取るが良い……人の子よ』」
側近「……そんな感じだったかなぁ」
盗賊「そ、それで?」
側近「こっから先は、魔王様にも話したかな。使用人……少女ちゃんの時に」
神父「? 少女さんと言うのは……先ほど、魔に変じられたと言う……?」
側近「ああ。まあ、後で話そうと思ったんだがな」
側近「側近てのは、俺が人から魔になった時に与えられた新たな名前だ」
側近「必要なのか、けじめなだけなのかはわからんが……」
5571 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 12:30:04.70 ID:/3glbmBOP
>>555
今から書くとこー!
先に言われたwww
5581 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 12:49:16.53 ID:/3glbmBOP
側近「手を取れと言われてもな。俺はスタボロで動けなかったから」
側近「実際は前魔王様が俺のとこまで来てくれて、手を握ってくれた」
側近「で、人としての命と引き替えに、俺は前魔王様の魔力で、魔に生まれ変わったんだが……」
側近「……与えられた魔力は、元々は前魔王様の物だ。いくら強い意思があったとしても」
側近「はいそうですかー、と受け入れる物でも、耐えれるモンでも無い」
神父「……」
側近「負った怪我は奇跡的に治ってたんだか、そんなモン気にならなかったんだか解らんが」
側近「俺は……俺の魔力は暴走して、訳も分からない侭に前魔王様に襲いかかった」
側近「これだけはハッキリ覚えてる。前魔王様は『元気があって何よりだ』とか」
側近「……そんな事言って、大笑いしながら、笑顔で俺を吹っ飛ばした」
娼婦「だ、大丈夫だったのですか……!?」
側近「まあ、今生きてるからねぇ。その衝撃でどうにか暴走は収まったけど」
側近「大爆笑してる前魔王様の傍で、泣いたね。ガチで泣いたね」
盗賊「……笑う所じゃ無いよな」
側近「全く持って違うね!」
娼婦「怪我は……前魔王様が治して下さったのですか?」
側近「娼婦ちゃんともあろう人が何言ってんの。魔王だろうが何だろうが」
側近「回復魔法は使えないでしょ?」
娼婦「あ……」
側近「鼻水垂らしながら自分で回復したよ……ああ、思い出したくない」
神父「貴方以外の……二人は、どうなったのです?」
側近「その頃には既に死んでた……と思いたいがな」
側近「俺の暴走に巻き込まれて、てのは……なぁ?」
盗賊「わからない、のか?」
側近「気がついたら既に死んでたからな。その後、前魔王様に色々な話を聞きながら」
側近「……片付けた。魔王城の庭で、二人の亡骸を燃やして貰ったのさ」
5591 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 13:02:53.17 ID:/3glbmBOP
神父「それは……前魔王が?」
側近「そうだよ。俺は炎なんて操れないからな」
側近「俺と前魔王様と二人で庭まで運んで、前魔王様が……炎で浄化しよう、てな」
神父「浄化……」
側近「俺は確かに生きたかった。だけどそれがまさか、魔になることだなんて思いもしなかった」
側近「話を聞いている内に、憎しみとか……不思議だけどどっかいっちまったんだよ」
側近「あんなに憎んだ存在だったのにさ」
神父「ど、どうしてです!?命の恩人には、違い無いでしょうが……!」
側近「俺たちの島を消し飛ばしたのも、人に宣戦布告したのも」
側近「前魔王様の先代だったそうだ。そりゃな、『私じゃ無い』なんて言われて」
側近「あっさり信じられる訳も無かったけど」
側近「なんて言うかなぁ……話してる内に、気がついたら信じてたんだよ」
側近「……そういう人だったんだ。まあ、魔王様の親父、って思えば」
側近「納得、て感じなんだが。さっきも言ったけど、まあ本当に変わった人でな」
盗賊「魔王の親父……そう聞くと、納得しちまいそうだ。まじで」
娼婦「ええ……あの、私も……同感です」
神父「盗賊さん……娼婦さん迄!?」
側近「世代交代の方法とか、先代と自分の考え方の違いとかな」
側近「その辺、全部話してくれた、てのもあるけど」
側近「……前魔王様の炎が消えて、二人の存在が完全に消えて無くなった頃に」
側近「前魔王様は俺に、これからどうするんだと聞いた」
盗賊「え?」
側近「前魔王様は先代をぶち殺して、自分が魔王になってすぐだったそうでな」
側近「先代の頃からの参謀達も、絶対に自分に賛同はしないだろうからって」
側近「ついでに、一掃しちゃったらしいんだわ」
娼婦「……」
側近「血なまぐさい話ですまんね」
5601 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 13:19:26.96 ID:/3glbmBOP
娼婦「いえ……」
側近「で、俺に『側近』になれ、とな……ただ、厭なら拒否しても良いとも」
神父「魔王が……そういった、のですか」
側近「ああ。生きたいと言うから生かしたけれど、まさか本当に魔になれるとは」
側近「思わなくて吃驚した、とも言ってた」
盗賊「……それって実験台……」
娼婦「盗賊!」
側近「まあ、事実その通りだ。で、前魔王様的には、それで満足したんだと」
神父「満足?」
側近「そう。自分は本当に魔王になったんだなぁ、と感慨深そうに言ってた」
盗賊「……本当に、なんて言うか……魔王のお父さんだな」
側近「だろ? 俺も気が抜けたよ。拒否したら殺すのかと聞いたが」
側近「好きにしろとか言う。でもさ、好きにしろって言われてもな?」
側近「帰る場所も無いし、魔王を倒す、って言う目標ももう無い。つか、無理だ」
側近「じゃあ、ここに居れば良い。じゃあ、お前の名前は今から側近な」
側近「……て、訳だ」
神父「その、新しい名を与えた意味は……」
側近「『意味があるかどうかは解らんが、新しい生のスタートとしてのけじめとして』」
側近「『必要な事だと思うから』……そんな感じだったかな」
娼婦「それで……側近さんは、前魔王様に仕える事を決められた、のですね」
側近「んなハッキリ決めたとかじゃネェなぁ……なんか、気がついたら」
側近「こうなってた?」
盗賊「んな疑問系にされても」
側近「つか、まあ前魔王様の望みは『人間と魔族が共存できる世界』だったからな」
側近「初めの頃は俺に、その橋渡し役をやれって言ってたよ」
娼婦「魔王様が……少し、仰ってましたね」
側近「ああ。だが俺はそれは拒否したんだ」
盗賊「え!?」
側近「時期じゃ無い、って意味な」
神父「そうですね……先代の魔王が、支配を望んでいたのなら……」
5611 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 13:32:54.47 ID:/3glbmBOP
側近「ああ。魔族の生は長い。ましてや、前魔王様は魔王になったばかりだ」
側近「焦らなくても、そういうチャンスはいくらでもあるだろう、とな」
側近「どっちにしても行く場所なんか無い。もう人で無いなら」
側近「永住も叶わんだろ?人の世界では、さ」
娼婦「側近さんは……見かけは変わっていらっしゃらない?」
側近「同じ魔族でも個人差はあるんだけどな。俺はまだあの頃のまんまだな」
側近「だから、とりあえずは城に住んで、お前……前魔王様の傍にいてやる」
側近「生かして貰った恩もあるし、とな」
盗賊「……はぁ」
側近「実際、前魔王様は本当に、先代に仕えてた殆どをぶち殺しちまったみたいで」
側近「城には怯える使い魔とか位しか残って無くてな。マジで大変だった訳よ」
側近「世界各地に散らばった奴らの討伐だとか、何だとか……」
側近「まーじーでこき使われたからね!」
側近「んで、回復だけじゃ頼りにならんってんで」
側近「風の攻撃魔法たたき込まれたりな」
娼婦「では……特訓のおかげで、使える様になったのですか……あの、魔法」
側近「実際、魔王に回復とか補助とかいらねぇだろ?」
側近「要は使い方なんだってさ」
神父「『願えば叶う』……ですか」
側近「お。姫様の名言、広まってるねぇ」
盗賊「あれ、てことは……側近は、魔王のお母さんとかも知ってるのか?」
側近「おう。俺は魔王様のおむつも変えたことあるぞ」
盗賊「まじで!?」
側近「まじで……引っかけられた事もある」
娼婦「何を、です?」
側近「…… ……聞かないで?」
5621 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/20(月) 13:37:57.04 ID:/3glbmBOP
おむかえー!
で、多分そのままバイトー!
563名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 17:56:59.64 ID:puXZc3MeO
お疲れさま!
いってら〜
564名も無き被検体774号+:2013/05/20(月) 23:57:07.32 ID:iIBpuddd0
また明日〜

ムリしないでね
5651@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 07:56:57.73 ID:19Hq5f28P
おはよう!
今日はちと親のお使いで出かけますー
電車でかけたら後ほど!
566名も無き被検体774号+:2013/05/21(火) 08:00:40.90 ID:PF9m0ti70
規制解除来た・・・
ずっとROMで見てました
567名も無き被検体774号+:2013/05/21(火) 09:59:38.52 ID:Ca9kk/MiO
外野はいいから黙って読んでろよ
568名も無き被検体774号+:2013/05/21(火) 10:01:55.36 ID:BkR38a3Q0
わくわく
5691@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 10:44:49.27 ID:19Hq5f28P
盗賊「魔王が赤ちゃんとか……」
側近「そりゃ想像出来ないだろうがね」
娼婦「お母様……どんな、方だったのですか」
側近「気になる?」
盗賊「ならない訳ないだろ、なあ?娼婦」
娼婦「え、ええ……それは、まあ」
神父「私も純粋に興味があります」
側近「アンタも??」
神父「魔王……魔を統べる者の生誕、と考えれば、ね」
側近「ふむ……まあ、どこにでもいる魔族、と言っちまえばそれまでなんだがな」
側近「そうだな。見た目は大人しそうに見えたな。黒い髪に深い深い深海色の瞳」
側近「優しそうに、柔らかく笑う顔が美しかった……が」
5701@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 10:54:08.24 ID:19Hq5f28P
盗賊「……が?」
側近「死者を悪く言うのは気が引ける……が、ありゃとんでもない女だったよ……!」
娼婦「亡くなった、のですか……」
側近「……まあ、魔族も不死じゃないからね」
盗賊「と、とんでもない、てのは?」
側近「ガキなんだよ、ガキ!下らネェ悪戯ばっかしやがるのさ!」
盗賊「へ?」
側近「前魔王様は笑ってるだけだしさ……標的は何時も俺な訳!しかもさ、ほんっとどうでも良い事ばっかすんの!」
側近「……扉開けたら水入りバケツが落ちて来たりとか、な」
盗賊「……」
娼婦「……」
神父「……」
側近「何だよみんな揃ってその顔はあああああああ!」
5711@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 11:04:56.03 ID:19Hq5f28P
盗賊「いや……いや、いや」
娼婦「な、何と申し上げて良いのか……」
側近「……つか話逸れまくったな」
神父「変わらない、のですね」
側近「あん?」
神父「こうして聞いていると、です。私達人間も……魔族も。魔王、ですら」
側近「……」
側近(娼婦ちゃんもはっきり覚えてないみたいだし……魔王様の剣の事は黙っておくか)
側近(余計な知識迄与えるのは避けた方が良いな)
神父「しかし……ふむ」
側近「何だ?」
神父「1000年以上もの間に色々あったのでしょうが……今現在の魔王の望みは、徹底した不干渉なのですよね?」
側近「そうだ」
神父「ならば何故……こうも、人に、私達に肩入れするのです?」
5721 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 17:03:42.00 ID:19Hq5f28P
側近「だよなぁ」
神父「は?」
側近「いや……俺も何でだろうなーって、思って」
神父「はぁ……」
側近「魔導将軍やインキュバスの事は、まあこっちにも利があったからな」
側近「そっから先は、姫の為……だろうが」
神父「お話の中に何度かその名が出て来ましたね。姫、というのは」
神父「魔王様の細君、でよろしいのですかな」
側近「まあ、そうだな」
神父「ひょっとして……その姫さんと仰るのは、人、なのですか」
側近「魔族じゃ無いのは確か、だが……まあ、良いか。ここまで来れば」
側近「隠す必要もネェな……姫様はエルフのお姫様、だ」
神父「……エルフ!?」
盗賊「エルフの長の娘、だとさ」
神父「そ、存在することは存じておりました、ですが……!」
側近「エルフは嘘がつけないんだそうだ。優れた加護を得る変わりの、制約、だっけな?」
盗賊「そんな事言ってたな」
神父「魔王と、エルフの長の娘が……結婚!?」
側近「まあ、その辺は気にするな」
神父「無茶を言わないでください!」
側近「……すまん」
盗賊「あっさり信じれる方がどうかしてるだろうよ」
神父「しかも、その姫さんの為に魔王が、人間に肩入れ……!?」
側近「あー、ちょっと落ち着いてくれ、神父さんよ」
側近「混乱するのも無理は無いが、とりあえず本題に戻させてくれ」
盗賊「本題って……どれだ?」
側近「……どれだっけな」
盗賊「おいおい……」
573名も無き被検体774号+:2013/05/21(火) 17:17:57.84 ID:1C1nz8M40
待ってました!
5741 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 17:18:26.63 ID:19Hq5f28P
側近「まあ、なんだ。ともかく……俺はこの島、街の人達に」
側近「危害を加える気は全くねぇから、そこは安心してくれ」
神父「……まあ、それは、信じておきます。とりあえず」
側近「上等」
盗賊「て言うか、お前何しに来たんだったけ」
側近「おいおいおいおい!」
盗賊「あ、思い出した。癒やしの石買いに来たんだったな」
側近「頼むよ、もう……」
盗賊「悪い悪い……」
神父「癒やしの石、を何に使うのです?」
神父「側近さんは回復魔法を使えるのでしょう?」
側近「気休め、だな。エルフのお姫さんには、魔の気は辛いらしくてな」
神父「その姫さんは、今も魔王の城に?」
側近「まあ、奥さんだからね」
側近「ん?おい盗賊ちゃんよ。見せたかったものって……?」
盗賊「ああ、それも忘れてた……いや、ここに教会を建てるつもりなんだよ」
側近「あー……あの骨組み、そうか?」
盗賊「住居やらなんやら、街を完成させる事が先だからさ」
盗賊「余った材料で、使えそうなモンがあれば、回して貰ってるんだ」
側近「ほーお」
娼婦「小さくても良いのですよ。心のよりどころになれば」
側近「で、神父さんと娼婦ちゃんは何やってたんだよ」
神父「私は、娼婦さんに魔石の具現化の方法を教えて貰って居たのですよ」
娼婦「ええ、魔王様に頂いた本もありますし」
神父「え!?」
5751 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 17:25:14.12 ID:19Hq5f28P
娼婦「わかりやすいようにと、まとめて下さったのは魔王様です」
神父「な、んと……」
側近「教えてって……神父さん程の人が出来ネェの?」
神父「恥ずかしながら……理屈はわかるのですがね」
側近「じゃあ、後は簡単じゃネェか」
神父「え?」
側近「アンタ、さっき自分でも言ってただろ」
側近「『願えば叶う』」
神父「……」クル、スタスタスタ
盗賊「? おい、神父さ……」
娼婦「盗賊、シィ……ッ」
神父「……ッ」ブツブツ……グッ

パァア……!

側近「お?」

コロン……

神父「で、きた……!」
娼婦「神父様……!」
盗賊「え、え!? ……魔除けの石!?」
側近「どれどれ」スタスタ、ヒョイ
側近「……始まりの街ほどじゃネェけど。確かに……魔除けになるかもな」
盗賊「始まりの街?」
神父「始まりの、街?」
側近「声揃えなくても良いでしょうが……」
5761 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/21(火) 17:45:38.23 ID:19Hq5f28P
ご飯とお風呂!
577名も無き被検体774号+:2013/05/21(火) 18:00:02.84 ID:PF9m0ti70
>>576
|ω・`) ジー
5781 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 09:21:31.73 ID:gCwG/Vu4P
おはよう!
お迎えまで〜今日早いけど……

>>577
∩゚∀゚∩ばぁ
5791 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 09:49:49.78 ID:gCwG/Vu4P
側近「盗賊ちゃんは知ってるだろうに。知人の墓があるだろ」
側近「あの街に魔物が少ない理由……いても、それ程強く無い奴ばっかな理由、さ」
神父「え?」
側近「答えは墓の下、だろ」
盗賊「知人のエルフの加護……」
側近「そうだよ。姫様に……ってのもお前の案だろうが」
盗賊「あ!そうだよ、姫は……!」
側近「また話逸らすのはやめて!結果は無事!」
盗賊「……後でゆっくり聞かせろよ」
神父「エルフの、加護?」
娼婦「姫様のペンダントですね」
側近「あー……先に話した方が良い感じですかそうですか」グッタリ
盗賊「もう諦めろよ」
側近「別に話すのが面倒な訳じゃ無いんだけどな」
側近「どこまで言って良いやら、判断がな……」
盗賊「今更だなぁ」
神父「別に……疑っていませんよ」
側近「今は、だろ?」
神父「正直に言うと、知りたいと言う欲求の方が強いですかね」
580名も無き被検体774号+:2013/05/22(水) 09:56:59.86 ID:U9iGT+5XO
追い付いたー

BBAかわいいよBBA
5811 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:03:37.37 ID:gCwG/Vu4P
盗賊「娼婦は知ってるよな。始まりの街には……知人、て言う」
盗賊「エルフの……墓がある」
神父「墓?」
盗賊「見晴らしの良い丘の上に……埋めただけだけどな」
側近「そのエルフの生前の力だかなんだか知らないが」
側近「俺たち魔族にゃ、少々息苦しい程に清浄なんだあの土地は」
側近「ま……推測に過ぎんけど」
神父「それが、エルフの加護?」
側近「で、さっきも言ったが姫様を城に連れて帰ったらだな」
側近「魔の気で……まあ、体調を崩しちまったんだ」
側近「そんで盗賊に頼んで、癒やしの石を作って貰って姫様の傍に置いてたんだ」
側近「……気休めだがな」
盗賊「けど、それも長くは持たないって話だった」
盗賊「だから……知人の加護、エルフの加護のあるあの場所に行けば」
盗賊「どうにかなるんじゃないか、てさ」
神父「魔族の……魔王の妻になる女性の為に、ですか?」
盗賊「姫は魔族じゃ無いぞ。エルフだ」
神父「それでも……魔王に嫁いだのでしょう?」
盗賊「……そうだけど」
側近「使用人……少女ちゃんは、まだ人間だった」
側近「それにあいつは緑の加護を受けている」
側近「だから……エルフの加護を大地から吸い上げて」
側近「用意してあったペンダントに移したんだ」
神父「異種族の力を!?そんな事をすれば……!」
側近「普通は死ぬな」
5821 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:12:42.09 ID:gCwG/Vu4P
側近「だから魔王様は、少女ちゃんの人としての命が消える瞬間に」
側近「魔力を注ぎ、魔へと変えた、のさ」
娼婦「暴走、は大丈夫だったのですか……?」
側近「魔王様が相手じゃ、殺される可能性はあっても殺す事は考えられんからな」
神父「で、では……」
側近「結果オーライ。少女は魔としての新しい生を手に入れて」
側近「エルフの加護は無事に、ペンダントに宿った」
側近「姫様は今、城で元気にしてるよ……ただ」
盗賊「ただ?」
側近「それも、永久に持つ物では無いらしい、し……」
側近「……どちらにしても、産まれる頃には城を出て行くんじゃないかな」
盗賊「な、なんで!?魔王の城にいれば、危険も無いだろう!?」
神父「産まれる……子供が?魔王の、否……次期魔王が、ですか?」
側近「プライバシーの為黙秘……と言いたいが」
側近「まあ、色々あってだな。姫様のお腹の中の子供は、魔王様の子じゃ無い」
側近「そもそも、異種族間で子供産まれるんだか……」
盗賊「……え、でも……姫の子は」
側近「盗賊!」
盗賊「……御免」
神父「?」
側近(折角濁したのにこの子はもう!)
神父「魔王の子では無い……?」
側近「悪いがそこは『魔王様の子供では無い』で納得しておいてくれ」
側近「嘘じゃないからな」
神父「……解りました。こちらこそ申し訳ありません」
側近「サンキュ」
神父「ちら、と聞きましたが」
側近「ん?」
5831 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:18:52.72 ID:gCwG/Vu4P
神父「その、始まりの大陸に街を作る、と言うのは……」
側近「正確には復活させる、かな」
神父「その姫様の為、ですか」
側近「……そう、考えるのが妥当だろ?」
神父「……」
盗賊「じゃあ、魔王は何れ、姫をあの街に住ませるつもり……か?」
側近「と、思うけどね」
側近「肩入れする理由……の、一端はそれだと思うぜ」
側近「後は、自分たちの生活が充実してれば」
側近「後はそれどころじゃねぇって感じじゃネェの」
側近「俺たち魔族……魔王配下の、て意味、な」
側近「……は、さ。今のところ、人間達に攻め込んで、世界滅ぼすなんて」
側近「考えても居ないし」
神父「そう、ですか」
側近「……」
神父「貴方が癒やしの石を買いにいらした理由も解りました」
神父「……その、私が作った魔除けの石ですが」
側近「ん、ああ……これ?」
神父「どうぞ、姫様の為にお持ちください」
側近「良いのか?」
神父「まぐれかもしれません、し……随分体力も使います」
神父「量産できる自信はありませんが……」
側近「……サンキュ。助かるよ」
5841 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:26:13.72 ID:gCwG/Vu4P
神父「ですが、一つお願いがあります」
側近「な、何だよ」
神父「本を一冊、お借りできませんか?」
側近「本?」
盗賊「あ!忘れてた!」
娼婦「盗賊、持ってる?」
盗賊「家に置いてきたよ……側近、丁度良いし後で渡す」
側近「??」
娼婦「魔王様にお借りした本を一冊、持ってきてしまったのです」
側近「え?魔王様が渡した奴なら、娼婦ちゃんが貰ったんじゃないの」
娼婦「いえ、それでは無くて……」
盗賊「俺が船に置いていっちまったのさ。前後編だったみたいでな」
盗賊「続きが読みたいのさ」
側近「で、後編を探して持って来い、と?」
神父「お願いします」
側近「書庫にあるかなぁ……ただでさえ、あそこぐっちゃぐちゃだからな」
側近「まあ、見つけたら持ってきてやるよ」
盗賊「悪いけど、家寄ってくれよ。ついでに癒やしの石も用意する」
側近「オッケー…… ……」キョロ
盗賊「どうした?」
側近「否……教会、早くできたら良いな」
娼婦「……そう、ですね」
側近「さて……もう良いか?」
神父「貴重なお話、ありがとうございました」
側近「くれぐれも……他言無用で頼むぜ?」
神父「勿論です」
盗賊「もう帰るのか?側近」
側近「流石にそろそろ戻らないとね。魔王様が何かやらかしてないか」
側近「心配で胃が痛いよ」
5851 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:35:58.69 ID:gCwG/Vu4P
娼婦「お気をつけて、側近さん」
盗賊「悪かったな、引き留めちまって」
側近「いや、良いさ。貴重な石も手に入ったしな」
盗賊「じゃあ、また後でな!」スタスタ
側近「ああ……またおえ、ってなるのか……」スタスタ
娼婦「……」
神父「……」
娼婦「神父様」
神父「はい?」
娼婦「申し訳ありません、その……黙って、いて」
神父「ああ……気にする事はありません」
神父「……残念、でなりません、が」
娼婦「……」
神父「貴方の心の中の勇者様は、魔王なのですね」
娼婦「……はい」
神父「それで『私に魔除けの石を作る資格は無い』と……仰ったのですね」
娼婦「……」
神父「対象が何であれ、それが信心であるのなら……と、思う気持ちもありますよ」
神父「ですが……貴女が無理だと思うのなら、無理なのでしょう」
娼婦「神父様……」
神父「『願えば叶う』……不思議な言葉ですね」
娼婦「え?」
神父「いえ……」
娼婦「お疲れでは無いですか」
神父「そうですね、まだまだ作れる、とは言いませんが」
神父「……本当に、不思議な気持ちです」
5861 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 10:38:44.40 ID:gCwG/Vu4P
お迎えー!
お昼食べて、これたらまたー!
587名も無き被検体774号+:2013/05/22(水) 10:46:37.27 ID:e3K8Ugw/0
乙ー!いってらー♪
588名も無き被検体774号+:2013/05/22(水) 18:33:30.73 ID:MRvm4X+F0
まだか?
5891@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 18:40:45.56 ID:gCwG/Vu4P
すまん、幼女と遊んでた……
茹でられてごはん!
夜来れたら少しだけ!
590名も無き被検体774号+:2013/05/22(水) 19:24:27.09 ID:YsIrtcZ30
>>589
茹でられるんだ…
あっちの世界でもお元気で!
5911@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/22(水) 20:02:12.19 ID:gCwG/Vu4P
>>590
殺さんとって( ゚д゚)
寝かして来れたら少しだけー
592名も無き被検体774号+:2013/05/22(水) 22:46:54.66 ID:yKqUgM1ZO
(〈●〉ε〈●〉)
593名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 04:18:41.56 ID:wTH2laug0
待ってたらこんな時間に...寝よう
5941 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 09:19:11.29 ID:cs/XioQwP
おはよう!
昨夜からお腹の調子が……(。△。)イタイー
お迎えまでー
5951 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 09:51:36.81 ID:cs/XioQwP
娼婦「不思議、ですか……そう、ですね」
神父「私は」
娼婦「?」
神父「……私、は。貴女にも出来ると思いますよ。やはり」
娼婦「……」
神父「すみません、強制等するつもりは、無いのですが……」
神父「崇める者がどうであれ、貴女のその強い思いには敬服します」
神父「ですが……」
娼婦「認められますか?神父様」
神父「え?」
娼婦「『私の神』……神は、本来絶対なるものであるでしょう」
神父「……そう、ですね。ですが」
神父「……」
娼婦「……」
神父「難しいですね。確かに仰る様に、神は絶対であり、唯一」
神父「それは、当然です。私はそう思っています」
神父「ですが……」
娼婦「……」
神父「……」フゥ
娼婦「言葉を選べば選ぶ程、どうにも説明出来なくなってしまいます」
神父「ええ……」
娼婦「私が……私に、魔除けの石を作れないと言うのは、それだけが理由ではありません」
神父「え?」
5961 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 10:08:24.74 ID:cs/XioQwP
娼婦「……私は、インキュバスと交わってしまっています」
神父「あ……で、でも!」
娼婦「関係無いのかもしれません。ですが……」
神父「……」
娼婦「誰が聞いたって、神聖では無いでしょう?」
娼婦「こんな……私の作った、石では」
神父「……申し訳、ありません」
娼婦「謝らないでください。それに……徳を積んだ神父様の様な方が」
娼婦「増えて下されば。魔除けの石を作る文化が広がれば」
娼婦「人の旅も安全になりましょう。そのお手伝いを出来るだけで」
娼婦「充分、なんです。ですから……良いんです」
神父「娼婦さん……」
娼婦「それに、私には……時間がありません。だから」
娼婦「頑張って、練習しましょう。神父様」ニコ

……
………
…………

側近「サンキュ、盗賊。ほら……これ、金な」
盗賊「こっちこそ。ん……確かに」
側近「で、本ってこれか?」
盗賊「おう、持って帰ってくれ。んで……」
側近「続き、な。やれやれ……あの書庫ひっくり返して探すか」
盗賊「そんなに広いのか?」
側近「狭くは無いが、ぐちゃぐちゃなんだよ、とにかく」
側近「適当に引っ張り出してそこら辺に置きやがるからな」
盗賊「ああ……」
側近「その後で探すの本当に大変なんだから!」
5971 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 10:33:28.18 ID:cs/XioQwP
盗賊「まあ、まあ……少女も居るんだろ?」
側近「……手伝ってくれると思う?」
盗賊「え。そ、そりゃ……言えば手伝ってくれるんじゃね?」
側近「そうかなぁ……だったら良いんだけど……」
盗賊「俺も楽しみにしてるからさ。面白かったんだよ、その本」
側近「そうなのか?俺はこの類は興味ねぇからなぁ」
盗賊「勇者がどうやって魔王を倒すのか楽しみだぜ」
側近「魔王様の城にある本とは思えない」
盗賊「……よく考えればそうだな」
側近「で、ぶっちゃけ……どうよ?」
盗賊「ん?何がだ?」
側近「街の様子とか、だよ。見て回って無いからさ」
盗賊「あー。そうだなぁ……相変わらず、機能してるのは娼館ぐらいさ」
盗賊「飲食店とかもまだまだだな。やりたいって奴はいるんだが」
側近「そうか。まあ、移住者とか……本格的に増えないとどうにもならんわな」
盗賊「ある程度の住居ができればな。もう少ししたら、定期便に近い状態で」
盗賊「船を出すって船長は言ってたが」
側近「まあ、何時までも島の人達だけじゃな……しかし、船は?」
盗賊「多分今回、鍛冶師の村から一緒に戻ってくるんじゃないか?」
盗賊「一応、確保して回ってくれてるよ」
側近「そっか。船長の給料やた資材代やら、そっちの調達も大変だよな」
盗賊「ああ……町長の選出もしないといけないしな」
側近「お前で良いんじゃないの?」
盗賊「……俺!?」
側近「え?いや、まじで……」
盗賊「俺は……そういう器じゃネェよ」
5981 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 11:19:54.38 ID:cs/XioQwP
側近「そうかぁ?」
盗賊「身体動かしてなんだかんだしてるのは好きだけどな」
盗賊「でも……そういうのは、違うだろ」
側近「そんなモンかね」
盗賊「それに……」
側近「ん?」
盗賊「…… ……」
側近「盗賊?」
盗賊「あ、いや、何でも無い」
盗賊「もういくんだろ、悪い。結局時間食わしちまったな」
側近「ああ、それは別に……ま、でもそろそろ行くわ」
側近「帰ったらまた報告だとか色々雑務も待ってるしな……はぁ」
盗賊「頑張れよ!」
側近「おう……もう、使用人ちゃんに側近の地位譲って引退しようかな」
盗賊「おいおい……」
側近「冗談だよ……じゃあな!」

シュウン!

盗賊「……今回は、おえ、て聞こえなかったな」
盗賊「……」
盗賊(鍛冶師……元気かな)

……
………
…………

鍛冶師「……大丈夫?」
女剣士「ああ、大丈夫……ありがとう」
鍛冶師「ほら、もう一杯飲みなよ。暖まるよ」
船長「しっかし無茶するなぁ……女の身一つでよ」
女剣士「う、腕には自信があったんだ!」
5991 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 11:42:04.85 ID:cs/XioQwP
船長「……道に迷って海に落ちてる様じゃ」
船長「折角の腕も宝の持ち腐れだと思うけどな」
女剣士「……」
鍛冶師「まあまあ……えっと、女剣士ちゃん、だっけ?」
女剣士「ああ……」
船長「おいおい、話す前にお前も拭けよ鍛冶師」
船長「……飛び込むな、って言ったのにお前も人の話聞かネェし」
鍛冶師「ロープと浮き輪があるとは思わなかったの……」
船長「天下の船長様の船だぜ?全く……」
女剣士「助けてくれて……ありがとう」
船長「お礼なら俺じゃ無くて鍛冶師に言いな」
船長「しかしなぁ……お前さん、この船が通りかからなかったら死んでたぞ?」
船長「こんな平和な世の中で、態々あの山岳地帯抜けて、どこ行くつもりだったんだ」
女剣士「……鍛冶師の、村」
鍛冶師「え、本当に?」
女剣士「え?」
鍛冶師「僕たちも……この船も、さ。鍛冶師の村に向かう途中だったから」
船長「どこかで船を待つとか出来なかったのか?」
女剣士「急いでいたんだ」
船長「いや、なら尚更……」
女剣士「人を追っていた。北の街から、出て行ったから……」
鍛冶師「君、北の街から来たの!?」
女剣士「あ、ああ……そうだ。だから、真っ直ぐ鍛冶師の村に行けば会えるだろうと思ったんだ」
女剣士「だが、道に迷って……」
船長「北の街から山超えて、鍛冶師の村に向かうのに」
船長「何で崖っぷち歩いて、海に落ちるかね……」
女剣士「だ、だから迷ったんだって!」
6001 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 12:15:50.16 ID:cs/XioQwP
船長「で、その追っかけてる奴ってのは、鍛冶師の村に向かったのか?」
女剣士「……」
船長「おい?」
女剣士「追いつけると思ったんだ!出発してすぐに、私も出たから」
女剣士「糞、道にさえ迷ってなければ……!」
鍛冶師「じゃあ、鍛冶師の村に向かっても会えるかどうか……もう、解らない、って事?」
女剣士「……」
船長「……」
鍛冶師「船長?」
船長「あ?ああ……まさかこのまま放り出して行ったりはしねぇよ」
鍛冶師「だよね、良かった。じゃあ……きっと、探し人とも会えるよ」
鍛冶師「目的地には、一応無事に着ける訳だし」
女剣士「……まだ、滞在してるかどうかは解らない」
船長「え?」
女剣士「多分、立ち寄るだろうってだけで……だ、だから!」
女剣士「本当に、すぐに追いつけると思ったんだよ……!」
鍛冶師「えぇえ……」
船長「と、ともかく、村は目の前だしな。おい、女剣士さんよ
船長「取りあえず、村で一緒に降りろな?」
女剣士「……ありがとう」
鍛冶師「居なかったらどうするのさ」
船長「……俺に聞くな」
女剣士「居なければ……どうにか、する。探すさ」
船長「どうやって、だよ……どこに行くか聞いてないのか?」
女剣士「旅人だと言っていた。だが……鍛冶師の村から、通りそうな所を」
女剣士「追っていけば……」
船長「……」ハァ
船長「まあ、とりあえず探してみるんだな」
船長「んで……まあ、そうだな」
鍛冶師「?」
6011 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 12:20:17.26 ID:cs/XioQwP
船長「俺たちも数日は村に居る。困ったら相談してこい」ハァ
鍛冶師「……船長、優しいね」
船長「こんな阿呆な女、初めて見たわ」
女剣士「わ、悪かったな!」
船長「否定はできねぇだろうが!」
鍛冶師「探してる旅人さん、ってどんな人なの?」
女剣士「え?」
鍛冶師「僕は鍛冶師の村の出身なんだ。色々聞いてみてあげるよ」
女剣士「あ……ほ、本当に!?助かる!」
6021 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 12:21:12.30 ID:cs/XioQwP
お昼ご飯ー
603名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 12:28:42.18 ID:wTH2laug0
くってらー
604名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 12:34:40.11 ID:22wYrM/C0
も、萌えええぇ
605名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 12:46:01.27 ID:RLqx6I54P
女剣士はフェアリーテイルのエルザっぽい印象があるなwww
6061 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 13:36:42.70 ID:cs/XioQwP
鍛冶師「どんな人なんだい?名前とかは解る?」
船長「おい、鍛冶師。俺は操舵室に行くぞ」
鍛冶師「ああ、うん。お願いします」
船長「風邪引かネェようにしろよ!」スタスタ

パタン

女剣士「どんな……強い奴だった。名前は……側近だ」
鍛冶師「側近、ね。強い、って?」
鍛冶師(ん?側近……?どこかで聞いた様な……)
鍛冶師(でもまさか知り合いって事は無いよね、いくら何でも)
女剣士「あ……これ、スープ……ご馳走さま」
鍛冶師「ああ、はいはい。もう良い?」
女剣士「充分暖まった。ありがとう」
女剣士「どう、って……そうだな。凄い魔法の使い手だった」
女剣士「風の魔法と回復魔法が使えて……ああ、そうだ」
女剣士「なんでも、幼い主に仕えてるとか?」
鍛冶師「幼い、主?」
女剣士「確か。先代から仕えてたとか言ってたかな」
鍛冶師「ふうん……結構年配の人?」
女剣士「いや、そんな事は無い。鍛冶師と……変わらないくらいかな」
鍛冶師「って事は……結構、高貴な人に仕えてる、のかな?」
鍛冶師「先代から、てのもそれっぽいし」
女剣士「ああ、私もそうじゃ無いかと思う。側近本人も……身分が高いのかも」
鍛冶師「お忍びの旅、だったとか?」
女剣士「それも否定は出来ないな。あいつは言葉を濁してたし」
鍛冶師「うーん、それじゃ側近って名前も偽名の可能性があるよね」
女剣士「ああ……」
6071 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 13:40:56.99 ID:cs/XioQwP
鍛冶師「女剣士ちゃんは……何でまた、そんな相手を追いかけてるの?」
女剣士「あいつは……側近は、街を救ってくれた。私も」
女剣士「私は……子供だ。色々驕ってたし、我が儘な事ばかり考えてた」
女剣士「でも、あいつは……」
鍛冶師「……」
女剣士「怒りも、否定も、慰めも何もしなかった。でも、助けてくれたんだ」
女剣士「一歩、踏み出す勇気……みたいなの、貰った」
女剣士「私が勝手に、そんな気になっただけなのは解ってるけどさ」
鍛冶師「……好きになっちゃった、んだ?」
女剣士「な、え、ち、ちが……!」
鍛冶師「あれ、違った?」
女剣士「解らない。解らない、けど……もう一回、会いたい」
女剣士「側近の旅に、ついて行きたいんだ」
鍛冶師「成る程ねぇ」
女剣士「腕に自信はあったんだ。あったんだけど……!」
女剣士「あいつの魔法の腕には遠く及ばない。自信……挫かれた」
女剣士「足手まといになるのも解ってるんだ!でも……!」
鍛冶師「ああ、落ち着いて。落ち着いて、ね?」
鍛冶師「賛成して貰えるかどうかはわかんないけどさ」
鍛冶師「でも、とりあえず会いたい、んでしょ?」
女剣士「……うん」
6081 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 13:43:14.96 ID:cs/XioQwP
おーむかえー!
609名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 13:50:07.81 ID:RLqx6I54P
続きが気になるwww
610名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 15:25:07.17 ID:C3jW9nIG0
話膨らんでて、うれしいわ
611名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 19:53:57.73 ID:22wYrM/C0
エルザは認めんぞ
6121@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 19:59:26.86 ID:cs/XioQwP
エルザがわからん。
ggってみよう……

バイトおわた!
帰るー!
つか、今月で試用期間終わりですと( ゚д゚)
なにそれ聞いて無いんですけど( ゚д゚)
613 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 20:29:21.05 ID:DznEfJ7nP
つまり今月を乗り越えたら正社員的な?
6141@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 20:45:20.33 ID:cs/XioQwP
幼女寝かすー
明日はやいから少しだけこれたら

>>613
いや、それは無いなー
続けるかどうするか選んで?的な
給料も変わらんし
やります、言うたけど良く考えて下さいとな
ぅむー?
しかも日にち減らされたし
もしかして私いらね?
615名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 22:58:57.23 ID:AreOeGtD0
試用期間超えたら
まあまあ普通正社員な流れだよな
せっかく手間と金かけて育てたんだから

実はこれが最終試験だったりしてな
6161@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 23:29:55.18 ID:cs/XioQwP
鍛治師「なら、とりあえず会って、そっから考えれば良いよ。反対されたら説得するとか、諦めるとか、さ」
女剣士「私は諦めたくは……!」
鍛治師「いやいや、ほら、考え様もやり様も今考えても仕方ないでしょ、て事」
鍛治師「今はとにかく、会える方法……彼を見つける方法、考えようよ」
鍛治師「出来る事なら協力するからさ」
女剣士「……何故?」
鍛治師「え?」
女剣士「何故……そこまで言ってくれる?」
鍛治師「んー……僕も好きな人がいるから、かなあ」
女剣士「それだけ、で?」
鍛治師「まあ、そうかな」
鍛治師「だって、やらずに諦めるのは嫌でしょ?」
6171@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 23:31:08.67 ID:cs/XioQwP
>>615
試用期間て言うぐらいだからそうだよなぁ
最終試験かぁ……
ま、次いってみりゃわかるわなー
駄目ならまた次探せば良いしな!
6181@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 23:44:32.14 ID:cs/XioQwP
女剣士「それは、まあ」
鍛治師「うん。じゃあまず君がする事は、眠る事。村が目の前とは言っても、夜明け位まではかかるし」
鍛治師「体は、もう温まった?」
女剣士「あ、ああ……それは大丈夫」
鍛治師「良し。じゃあ横になって休むと良いよ。濡れて体力も使っただろうし……怖かったろ」
鍛治師「僕も自分の部屋へ戻るから。何かあれば船長に言えば良い。あんな感じだけど、優しい人だから」
女剣士「うん……ありがとう」
鍛治師「どう致しまして。じゃあ……おやすみ」スタスタ……パタン
女剣士「……」コロン
女剣士(私……生きてる)
女剣士(まだ……諦めなくて良い。また、会えるかもって、期待して良い)
女剣士(側近……!)
6191@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/23(木) 23:45:25.50 ID:cs/XioQwP
あかん、眠い( ゚д゚)
また明日!
620名も無き被検体774号+:2013/05/23(木) 23:53:21.64 ID:DznEfJ7nP
おやすー

試用期間って一般的には適性を見る期間だから、仮雇いみたいな感じだよね

でも、
続けるかどうするか選んで?
ってえらい微妙な言い方だなー
621名も無き被検体774号+:2013/05/24(金) 02:56:02.44 ID:9RcTxtpB0
女剣士ツボった…!
622名も無き被検体774号+:2013/05/24(金) 08:01:22.37 ID:5S4Xnykb0
>>621
わはははははははははは
6231@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/24(金) 08:37:07.59 ID:2ON3EDjJP
おーはよーぅ!
単発バイトの登録会行ってくんぜ!

選んで、て微妙だよねぇ
やる、言うたのに考えとけ、やし
ま、今日行けばわかるかなー
624名も無き被検体774号+:2013/05/24(金) 12:28:08.28 ID:ZHngcw5s0
そうやって勤務日が悲しいことになるんだよな・・・あるある


・・・あるあ
6251@もしもし ◆6IywhsJ167pP :2013/05/24(金) 13:09:17.70 ID:2ON3EDjJP
>>624
((((;゚Д゚)))))))

……お迎えいてバイト
はぁ……
626名も無き被検体774号+:2013/05/24(金) 15:48:15.99 ID:k/tXqwX60
おつかれ〜!
627名も無き被検体774号+:2013/05/25(土) 03:02:28.11 ID:e23HygKhO
今日もお疲れさま!
6281 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/25(土) 08:46:41.70 ID:4sKd9DBOP
おはよう!
今日は幼女とお出かけなのでそれまで!
6291 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/25(土) 09:38:23.37 ID:4sKd9DBOP
……
………
…………

コンコン

鍛冶師「船長?」カチャ
船長「おう、なんだよお前も休めよ、鍛冶師」
鍛冶師「うん……あのさ」
船長「ん?」
鍛冶師「村にはどれぐらい滞在するんだ?」
船長「? 予定通りのつもりだが」
鍛冶師「そうか……」
船長「……なぁに吹き込まれた?」
鍛冶師「え?」
船長「女剣士に、だよ」
鍛冶師「そんなんじゃないよ。人捜しする時間あるかな、って」
船長「そいつは本当に鍛冶師の村に居るのか?」
鍛冶師「可能性はゼロじゃないでしょ」
船長「そりゃそうだが。お前が入れ込む理由は?」
鍛冶師「別に入れ込んでなんか居ないよ?」
船長「海で拾った阿呆にそこまでしてやる義理もネェだろ?」
船長「村に連れて行ってやるだけでも充分だろうよ」
鍛冶師「僕は荷物さえ積み込んだら後はすること無いからさ」
6301 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/25(土) 09:51:19.42 ID:4sKd9DBOP
船長「……乗り遅れたら置いてくぜ?」
鍛冶師「解ってるよ」
船長「興味があるのか?」
鍛冶師「え?」
船長「あの女にだよ」
鍛冶師「違うよ……そんなんじゃない」
船長「ま、何でも良いけどよ……面倒事起こさないでくれよ」
鍛冶師「大丈夫だってば。船長だって困れば相談しろって言ってたじゃないか」
船長「金さえ払って貰えるのなら、そりゃお客様だからな」
鍛冶師「……持ってると思うの?」
船長「無いだろうな」
鍛冶師「船長!」
船長「あのなぁ、さっきも言っただろ?何の義理があるんだよ」
鍛冶師「そりゃ、そうだけど……」
船長「惚れたのか?」
鍛冶師「は!?」
船長「じゃ無きゃ何でそこまで、って思って不思議じゃないだろ、て」
鍛冶師「……」
船長「おいおいおい、まじか!?」
鍛冶師「違う違う!僕は、と……!」
船長「と?」
鍛冶師「……!」
船長「まあ、何でも良いよ。本当に面倒事さえ起こさネェなら」ハァ
鍛冶師「……きょ、興味があるとすれば、彼女の探し人の方だ」
船長「あン?」
6311 ◆6IywhsJ167pP :2013/05/25(土) 10:06:06.49 ID:4sKd9DBOP
鍛冶師「幼い主に仕えている人だと、彼女が言ってた」
船長「その探し人が、か?」
鍛冶師「うん。先代の頃から何だって。その探し人自身も、高貴な身分なのかもって」
船長「はあ……」
鍛冶師「はあ、て」
船長「いや、だって、それが何だ、ってんだ?」
鍛冶師「もしその幼い主とやらが、代々続く家とかの人だったら……」
鍛冶師「何か、面白い話が聞けるかも知れないじゃないか」
船長「魔法剣、の話か」
鍛冶師「うん」
船長「……知ってるかどうかも解らんだろ。しかもそうであったって」
鍛冶師「教えてくれるかもわからない、て言いたいんだろ?」
鍛冶師「解ってる、けど」
船長「お前さんは、本当に……」
鍛冶師「何だよ」
船長「いや、顔に似合わず行動的だなと思ってな」
鍛冶師「か、顔に似合わずってのはどういう意味だ!」
船長「虫も殺せません、ってな優男風」
鍛冶師「……あのね」
船長「しかし、鍛冶師の村に居なかったらお手上げだろうよ?」
鍛冶師「以前に出た船の行き先とか解らないかな?」
船長「どうだかな。まさかお前、ついて行く気か!?」
鍛冶師「まさか!そんな事はしないよ!」
鍛冶師「会える可能性が見つかれば彼女も喜ぶだろ?」
船長「まあ、そりゃそうだろうけど……」
鍛冶師「彼女、その探し人の事が好きみたいだから、さ」
鍛冶師「応援してあげたいじゃない?」
船長「そういうモンかぁ?俺ぁ人の色恋にゃ興味無いけどなぁ……」
632名も無き被検体774号+:2013/05/25(土) 12:19:18.31 ID:4sKd9DBOP
お出かけ!
今日は夜頑張る!
6331@もしもし ◆wRfK8m7fVk :2013/05/25(土) 12:21:49.13 ID:4sKd9DBOP
メール欄にいれてしもた( ゚д゚)
酉変えとく……

orz
634名も無き被検体774号+:2013/05/25(土) 16:45:12.60 ID:YVbWetuL0
トリップそれだと思ってたけどね
たぶん皆
6351@もしもし ◆wRfK8m7fVk :2013/05/25(土) 16:55:26.33 ID:4sKd9DBOP
>>634
ばればれですか!(笑)
まあ、うん。
BBA阿呆なんでな……うん……orz
636名もなき串焼き人 ◆ixP7iiRYlQ :2013/05/25(土) 19:33:57.66 ID:xI56RM840
(^o^)わたしです
637名も無き被検体774号+:2013/05/25(土) 22:35:48.75 ID:u2GduUXn0
酉無くても分かるけど
まぁ、有った方がいいかも?位で。
638名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 07:30:35.59 ID:mt3d8vuj0
荒れる前に新しい鳥で牽制しときなよ
6391@もしもし ◆wRfK8m7fVk :2013/05/26(日) 08:09:35.78 ID:4nd0HmOqP
おはようー
お疲れです。起きれないorz

酉変えましたがBBAです。
バイトまでー
6401 ◆wRfK8m7fVk :2013/05/26(日) 08:29:02.10 ID:4nd0HmOqP
鍛冶師「船長は、好きな人居ないの?」
船長「……こんなおっさんに何言ってんだよ、お前は」
鍛冶師「歳は関係無いでしょ」
船長「俺より自分の心配してろ。お年頃ってのはお前ぐらいの年齢の事いうんじゃネェのか?」
鍛冶師「僕? ……僕は良いよ」
船長「何だ、お前恋人居るのか?」
鍛冶師「……居ないよ」
船長「? じゃあ……」
鍛冶師「僕は……」

ピィイ……コツン、コツン

船長「ん?」
鍛冶師「え、何?何の音……窓に何かぶつかってるのか?」
船長(小さい影……?鳥?魔王か?)スタスタ。カチャ

ピィイ……パタパタ

鍛冶師「綺麗な鳥だね。羽が緑だ……あ。足に何か……?」
船長(手紙? ……魔王じゃ無い、のか?)
船長(魔王の鳥は真っ黒だったよな)
船長「よ、っと。ちょっと我慢しろよ」
船長「鍛冶師、悪いが……グラスに水汲んでこいつに飲ましてやってくれないか」
鍛冶師「ん?ああ、良いけど……おいで?」

ピピピ……
6411 ◆wRfK8m7fVk :2013/05/26(日) 08:41:38.05 ID:4nd0HmOqP
船長(違うな……魔王じゃ無い)
船長(魔王だったら、手紙なんて面倒な事……否、周囲に配慮して、か?)
船長(しかし、緑の羽、でのは……)カサ

『魔王様が目を覚ましません。もし側近様と一緒にいらっしゃるのなら』
『すぐに戻る様に伝えてください。他言無用で。  使用人』

船長「!?」
鍛冶師「どうしたの?せんちょ……うわ、つつかないでよくすぐったい」フフ
船長「……知り合いからのちょっとした連絡だ。気にするな」
鍛冶師「え?へえ……伝書鳩みたいな物?」
鍛冶師「でも凄い優秀だね。船なのに……」
船長「そうだな」スタスタ
船長(俺が魔王の城に向かっても仕方ない……しかし)カキカキ
船長(何があった?魔王……)スタスタ
鍛冶師「ん、手紙、送るの?」
船長「ああ、ちょっと押さえててくれ……良し」
船長「返事、ちゃんと届けてくれよ?」

ピィ……パタパタ……

鍛冶師「良く慣れてるなあ」
6421 ◆wRfK8m7fVk :2013/05/26(日) 09:13:19.95 ID:4nd0HmOqP
船長(側近が言ってたな。髪がどうとか……)
鍛冶師「船長?」
船長「ん?ああ……お前も休んでおけよ?濡れてんだし」
鍛冶師「ああ、うん」
船長「眠れないのか?」
鍛冶師「いや、そう言う訳じゃないけど」
鍛冶師「……ま、休むよ。着いたら着いたで、やる事もあるし」
船長「おう。朝には着くだろ」
鍛冶師「少しは休めるね……船長は大丈夫?」
船長「海の男は強ェんだよ。心配すんな」
鍛冶師「ん。お邪魔しました。じゃあ、おやすみ」スタスタ……パタン
船長「おう」
船長(……)
6431 ◆wRfK8m7fVk :2013/05/26(日) 09:16:33.09 ID:4nd0HmOqP
働いてきますー
644名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 09:49:47.30 ID:dXS6kKVOO
いってら!

自分は、夜勤明けてそのまま動物園行ってきます!
645名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 22:27:35.39 ID:vEvMjN4j0
一応保守
646名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 22:33:45.89 ID:mt3d8vuj0
夜動物園てナイトサファリかいか?
647名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 22:36:12.71 ID:Q/JKTyPa0
夜勤明けてそのまま幼稚園
648名も無き被検体774号+:2013/05/26(日) 22:36:44.73 ID:Q/JKTyPa0
じゃない動物園だw
6491@もしもしmanmaru1029:2013/05/27(月) 07:59:30.86 ID:avaBwAYiP
おはよう!
どうやら日数だいぶん減らされるぽい…
むー……
送って帰ったら書くー!
このスレで終わるかなぁ( ゚д゚)
6501@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 08:01:42.82 ID:avaBwAYiP
阿呆だ!
もう、酉、阿呆だ!

orz
651名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 08:02:07.43 ID:odLe4Yq20
>>649
まんまる?もしかして千住人?てかそれ酉?
652名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 08:02:57.49 ID:odLe4Yq20
何やってだよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
6531@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 08:03:08.52 ID:avaBwAYiP
>>649
#入れ忘れたの……( ゚д゚)

BBAですよ……
6541@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 08:04:04.32 ID:avaBwAYiP
下げとく……
幼稚園いてくる……はあ
655名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 08:07:42.05 ID:ERIRiWeu0
BBA、あなたきっと疲れてるのよ
6561 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 09:19:15.04 ID:avaBwAYiP
帰宅……お見苦しいとこ失礼orz

疲れてるのかなぁ
疲れてるなぁ(・△・)

お迎えまでー
6571 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 09:48:20.15 ID:avaBwAYiP
船長(魔王が、目を覚まさない?)
船長(……何が、あった)

バタバタバタ、バタン!
海賊「船長!魔物が!」
船長「……! 良し、手の空いてる奴、甲板に集めろ!」

……
………
…………

シュウン、スタッ
……オエ

側近「立てたのは良いけど、うぅ……ん?」キョロキョロ
側近「……」
側近「ちょっと見ない内に、庭が立派になってる!?」
側近(姫様、かな。つか、それしかないわな)スタスタ……キィ

パタパタパタ……

使い魔「あ、側近様!」
側近「おう、帰ったぜ……て、どうしたんだよ、走ってどこ行くんだ?」
使い魔「丁度良かった!お早く……!」グイ
側近「え、あ?な、何!?」
使い魔「早く、魔王様のお部屋へ!」
側近「! ……何があった!?」
使い魔「魔王様が……目を覚まさないのです!」
6581 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 10:08:32.89 ID:avaBwAYiP
側近「魔王様が……え、何!?」
使い魔「とにかく、お早く!」バタバタ

バタン!

姫「側近!戻ったのね!」
使用人「側近様!」
側近「お、おいおい……どういう事だ!?」
姫「……どこかへ行って、帰ってきた途端、倒れたのよ」
姫「それから、目を覚まさない」
側近「魔王様は……自分の部屋か?」
使用人「はい。姫様を近づける訳には……」
側近「え?」
姫「見てくれば解るわ……」フゥ
側近「……」キョロ
側近「うわ!」
使用人「……そうして置かないと、姫様のご気分が」
側近「何だよこれ、癒やしの石?」
側近「こ、こんな扉の所にばらまいてんの!?」
使用人「城中の物を集めたのです。それでも……いくつか、もろい物は壊れました」
側近「……」ヒョイ
側近(透明……に近い筈だったのに……いくつか、紫に染まってる)
側近(扉の向こうから……魔王様の魔の気が流れ出してる、て事、か?)
6591 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 10:16:40.96 ID:avaBwAYiP
側近「しかし、この部屋は……」
使用人「……魔王様の自室から一番遠いこの部屋でも、これなのです」
側近「じゃあ……今は姫様はここから動いて無いんだな?」
姫「ええ……」
側近「……あ!」
姫「え?」
側近「姫様、取りあえずこれ持っとけ」ポイ
姫「え、きゃ!」ガシ
姫「……! これ……」
側近「説明は後だ。取りあえず俺は魔王様を見てくる」
側近「使用人ちゃん、姫様の傍を離れるな。使い魔、着いて来い」
使い魔「い、いえ、あの……!」
側近「?」
使用人「……他の使い魔の何人かは、飲み込まれました」
側近「飲み込まれた?」
使用人「魔王様の魔の気に、です。当てられて暴走する者も……」
側近「な……!?」
使用人「暴走まで行かなかった者は……力を吸い取られミイラの様に」
側近「……後何人、残ってる。お前だけか?」
使い魔「い、いえ……食堂等に何人かは」
側近「……暴走した奴はどうした」
使用人「私が……片付けました」
側近「…… ……そう、か」
姫「……」
側近「解った。俺が行ってくる」
使用人「はい。私は……近づけません」
側近「使用人ちゃんも!?」
6601 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 10:25:37.61 ID:avaBwAYiP
姫「……気を、つけて」
側近「心配すんな。大丈夫だ」スタスタ

パタン

姫「……」
使用人「使い魔」
使い魔「は、はい!」
使用人「残りの者と手分けして癒やしの石の残りが無いか探してきてください」
使用人「もし……紫に染まっている物があれば場所を後で教えてください」
使用人「……くれぐれも手は出さない様に。私か側近様が、後で……どうにかします」
使い魔「わ、わかりました」パタパタ……パタン
使用人「姫様……大丈夫ですか」
姫「ええ……これ、見て」コロン
使用人「先ほど側近様が置いて行かれた石ですか……癒やしの石?にしては……」
使用人「随分、大きいですね」
姫「癒やしの力は感じないわ」
使用人「え?」
姫「……随分、清浄な気。癒やしの石に似ているけれど……」
使用人「魔除けの、石?」
姫「え? ……あ!娼婦、の?でも……」
姫「この石は……水の力よ」
使用人「……彼女の加護は水では無かった筈、ですよね」
姫「ええ。この石の作り主は娼婦じゃない」
姫「誰か……別の人が?」
使用人「……」
姫「このペンダント程では無いけれど……持っていると、随分心地が良いわ」
使用人「娼婦さんで無いなら、誰が……」
姫「後で側近に聞けば解るわ」
姫「……無事に、戻れば」
使用人「姫様!」
姫「……」
6611 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 10:52:19.37 ID:avaBwAYiP
使用人「大丈夫です……側近様、ですから」
姫「でも……貴女でも無理なんでしょう」
使用人「お忘れですか?側近様は……魔王様の目をお持ちです」
姫「だから、よ」
使用人「え?」
姫「側近まで、あの魔力に引きずられたら……!」
使用人「……だからこそ、大丈夫かもしれません」
姫「…… ……そう、ね。そうも考えられる、わね」
使用人「もしもの時は、ちゃんと……お守りします」
使用人「転移石も準備してあります。だから……大丈夫です」
姫「……」
使用人「貴女は魔王様の奥様です。守れと、言われています」
使用人「ご心配なさらず。命に代えても、お守りします」
姫「使用人……」
使用人「魔王様の命令は絶対なのです。姫様」
使用人「だから……大丈夫です」

……
………
…………

側近(近づけば近づく程……魔の気が濃くなっていく)
側近(魔王様が目を覚まさない?)
側近(倒れた、侭)
側近(……心話が通じなかったのは、そういう事か?)
側近(しかし、こんな事今まで……!)スタスタ……ピタ

コンコン

側近(……)
6621 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 11:12:27.53 ID:avaBwAYiP
カチャ

側近「魔王様……うぅッ」バタン!
魔王「……」
側近(魔の気が充満してる……のか……ッ)スタスタ
側近「魔王様?」
魔王「……」
側近(……確かに、凄い魔力が溢れてる……が)
側近(特に……)
魔王「う、ぅ……」
側近「魔王様?」
魔王「……」スゥ
側近(何に反応した……?)キョロキョロ
側近「!? ……なん、で……!」タタ……ッ
側近(魔王の剣……なんで、こんなぼろぼろなんだ!?)
側近(亀裂だらけ、じゃないか……何故……!?)
魔王「う、ゥ……ぅ」
側近「魔王さ……おっと!」
側近(危ない危ない、剣を倒す訳には……!)ガシ
側近「……!?」ドクン
側近「ぅ、うわあああああああッ!?」
魔王「う、ア……ッ」
側近(なん、だこれ……!魔力、が持ってかれ……)パッ ……ガシャン!
6631 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 11:39:13.12 ID:avaBwAYiP
魔王「……側近?」パチ
側近「あ、 ……ァ、 ……ま、魔王、様……?」
魔王「人の部屋で何……暴れてるんだ、お前……」
側近「……あ、あ……わ、るい……ッ」
側近「大丈夫、なのか、お前……ッ ウゥ……ッ」クラクラ
魔王「……大丈夫かと聞かれるべきはお前だと思うが」
側近「気にするな。平気、だ……」
魔王「私は……どれぐらい眠っていた?」
側近「さあな。俺はさっき戻ったばかりだ」
魔王「……そうか」ムク
側近「起きるな」
魔王「そうも言ってられんだろう……見たんだろう」ス……
側近「魔王の剣か……どういうことだ、これ」
魔王「私が聞きたい」
側近「……」
魔王「……楽になった」
側近「え?」
魔王「急に、気分が……な。お前が戻ったから、か」
側近「え?え?」
魔王「……否、良い。姫は?」
側近「ここから一番遠い部屋に居る。使用人ちゃんも一緒だ」
魔王「……」
側近「話すの、辛いんだろう。もう少しゆっくり……」
魔王「否、大丈夫だ……姫と使用人を呼んでくれ。話したい事がある」
664名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 11:44:41.43 ID:xKGLCip60
幸せに。
みんな幸せになってほしい(;ω;)
だってみんな好きなんだもん(;ω;)
6651 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 11:57:02.08 ID:avaBwAYiP
側近「阿呆、明日にしろ、明日に!」
魔王「何故だ」
側近「お前ね、この部屋に姫様呼ぶ気か?」
魔王「む……」
側近「自覚しろ。今のお前は……魔力がダダ漏れだ。しかも……」
魔王「力が強くなってる、か」
側近「……知ってたんだな?」
魔王「……ああ」
側近「なら聞き分けろ。城中の癒やしの石も、半分近く使い物にならなくなってる」
魔王「否。余計に急がねばならん。私には……時間が無い様だ」
側近「時間が無い?」
魔王「お前は私の傍を離れるな」
側近「は?」
魔王「……お前が戻ったからか、と。さっき言っただろう?」
魔王「お前は、私の何を持っている」
側近「魔王様の、目……」
魔王「『私が揃って』いれば……まだ、大丈夫だ」
側近「何……?」
魔王「半刻後、玉座の間へ集まって欲しい。お前は私を呼びに来い」
魔王「……頼む」
側近「…… ……解った」
魔王「それから、私の剣をここへ」
側近「? ……ちょっと待て」スタスタ、ヒョイ
側近「ほらよ」
魔王「ああ…… ……ッ」パキン!
側近「!?」
魔王「……時間が無い。本当に……な」
6661 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 12:09:58.99 ID:avaBwAYiP
……
………
…………

姫「……」ウロウロ
使用人「姫様、少し落ち着かれては?」
使用人「……お腹に障りますよ」
姫「……!」ストン

カチャ

使用人「!」
姫「!」
側近「ただーいま……」
使用人「側近様、魔王様はどうだったのですか!?」
姫「側近、魔王の様子は!?」
側近「……同時に叫ばないでくれる」
使用人「……無事、なのですね」
側近「俺か?ま……見ての通り、な」
姫「魔王は……?」
側近「……目を覚ました」
使用人「本当ですか!?」
姫「良かった……」ホゥ
側近「……」
使用人「側近様?」
側近「半刻後、玉座の間に集まれってさ」
姫「魔王が……そう言ったの?」
側近「ああ。俺は……魔王様の傍を離れられない」
使用人「え?」
側近「魔王様曰く。『私が揃っていれば大丈夫』だそうだ」
姫「揃っていれば?」
側近「……目だ」
使用人「それで、離れられない、と?」
6671 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 12:15:44.82 ID:avaBwAYiP
おひるごはんー
6681 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 13:23:30.57 ID:avaBwAYiP
側近「言葉の通りに信じるのなら、な」
使用人「……まだ、何かあると?」
側近「…… 魔王の剣を見たか?」
姫「え?」
使用人「魔王様の剣、ですか? いえ……それが何か?」
側近「……ぼろぼろだった。罅……亀裂が」
使用人「え!?」
側近「それに……あいつの力が信じられないぐらい膨れあがってるのは」
側近「どうやら自覚があった様だな」
姫「……」
側近「使用人、姫様にできる限りの癒やしの石を持たせろ」
使用人「……はい」
側近「姫様も、その魔除けの石、離さないで」
姫「これ、やっぱり魔除けの石なのね」
側近「ああ。その話も後でする」
姫「……解ったわ」
使用人「綺麗な物だけ集めて持って行きましょう」
側近「頼む……もし」
使用人「はい?」
側近「……もし、何かあったら全力で魔王様を止める」
姫「側近!」
側近「……お前は、姫様を守れ」
使用人「解っています」
姫「……ッ」
側近「先に行く……半刻後、な」スタスタ

パタン

姫「……」
使用人「姫様?」
姫「……時間、無いのね」
使用人「そうですね、半刻後ですから」
姫「そうじゃ無いわ。そうじゃ無くて……!」
使用人「……」
6691 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 13:47:55.10 ID:avaBwAYiP
姫「……」
使用人「ここに、居られる時間、ですか」
姫「……そうね。『私達の時間』」
使用人「……」
姫「……」
使用人「お腹の、子供の為です」
使用人「……母は強い、のです。姫様」
姫「……」
使用人「行きましょう。私から離れない様にしてください」
姫「ええ……」

……
………
…………

側近「魔王様、時間だ」カチャ
魔王「……ああ」
側近「起きれるか?」
魔王「大丈夫だ……側近、私の剣を持ってくれ」
側近「持って行くのか!?」
魔王「言っただろう……『私の全てが揃っていれば』」
側近「……解った」
魔王「姫と使用人は?」
側近「伝えてある。時間になったら来るだろう」
魔王「……そうか。側近、すまん……手を」
側近「ああ……」ギュ
6701 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 13:49:17.27 ID:avaBwAYiP
おーむかえー!
671名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 15:43:51.83 ID:Zfpn0l8nP
おーつかれー!
6721 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 16:10:41.83 ID:avaBwAYiP
……
………
…………

玉座の間

魔王「……どこから、話そうか」
側近「……」
使用人「……」
姫「身体は、大丈夫なの?」
魔王「ああ。心配をかけた……すまん」
側近「なあ、俺ずっとお前と手を繋いでないといけないの!?」
魔王「危険を回避するためだ」
側近「まあ……姫様の為なら我慢するけど……」
魔王「姫だけじゃない……世界の、だな」
使用人「世界?」
魔王「…… ……一番最初に異変に気がついたのは、森を焼いた時だ」
姫「え……?」
魔王「狼将軍を殺し、ジジィと鴉の弔いに森に火をつけた時」
魔王「……じわじわと怒りや憎しみが、魔力となって身体からにじみ出るのが解った」
側近「……」
魔王「城に戻れば姫が居る……心を落ち着けねば、と」
魔王「……思えば思う程、感情が消えていった」
使用人「……」
魔王「一緒、だったんだ」
側近「何が、だ?」
魔王「魔導将軍や、狼将軍と対峙した時とだ。同じだった」
魔王「……あの時の私も、感情に欠けていた気がする。後から考えれば、だがな」
6731 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 16:27:05.13 ID:avaBwAYiP
姫「でも、それは……貴方は、魔族ですもの」
姫「確かに、魔導将軍を殺した時、私も盗賊も……言葉を失ったわ」
姫「様々な属性の……凄く強力な威力を持った魔法を軽々と使いこなす」
姫「……しかも、躊躇も無く手をもぎ、足をもぎ……」
使用人「……」
側近「残酷な面は持っていて当然だ。魔族だからな」
側近「ましてや、姫様は……魔王様で無くても、そんな所見た事無いだろう」
姫「ええ……そうね。だから……その」
魔王「気にする必要は無いと?」
姫「いえ……ご免なさい。解らないわ」
魔王「ふむ。そうだな……私も知らなかった、と言うのが正しいのかもしれん」
姫「え?」
魔王「私にもそんな一面があるという事を、だな」
側近「無理も無いな。実質、前魔王様を殺してから、目立った争いなど無かった」
魔王「そうだな。三十年以上前のアレ、一度きり、だ」
側近「その時も魔王様は実際に手を下しては無い。魔導将軍にやらせただけだ」
魔王「親父を殺した時には無かった感情だ」
姫「……」
魔王「その後は少し落ち着いた。魔法に関する知識を纏めたり」
魔王「色々しているとな……」
魔王「だが……」
使用人「……インキュバス、ですね」
魔王「…… ……ああ」
674名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 16:32:30.35 ID:odLe4Yq20
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
6751 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 16:44:43.13 ID:avaBwAYiP
側近「俺の身体を乗っ取った時、だな」
魔王「あいつは、娼婦を傷付けた」
姫「……」
魔王「魔導将軍に危険な目に遭わされ、片腕を奪われ……」
魔王「そして、インキュバスにも又、だ」
魔王「側近は私の目を持っている。お前に任せておいても、片は付いた……だろうが」
側近「……自分の手でやりたかったのか」
魔王「それもあるな。が、まあ……早く救ってやりたかったと言うのが大きい」
魔王「仕留め損ね、逃げられ……力を蓄えられてはかなわん」
魔王「そこで娼婦は救えても、また他に犠牲者を出すのも避けねばならん」
側近「で……あれか」
魔王「心話が出来るのならば、意識だけを側近の身体に飛ばす事も可能だろうと思ったんだ」
魔王「……力が溢れて来ているのは解っていたしな」
使用人「実際、魔王様の魔力は……大きくなってきている、のですか?」
魔王「だろうな。本当に……」クック
側近「魔王様……?」
魔王「『願えば叶う』……便利な言葉だ」
姫「魔王……」
魔王「私に取って、魔王の剣を取り寄せる事等容易い筈だ。だが、流石に」
魔王「そこまで……側近の身で出来るかどうかは解らない」
使用人「だから……手に握っていらした、のですね」
魔王「ああ。側近は私の目を持っていて、私と繋がっていると考えれば」
側近「……変な言い方しないでくれよ」
魔王「呼び寄せる事も可能だろうと思ったんだ」
側近「無視か!」
使用人「側近様、黙ってください」
側近「……酷い」
魔王「うん、お前うるさい。私の話を遮るな」
側近「…… ……もう何も言わない」
魔王「拗ねるなよ……子供か、お前は」
676 [―{}@{}@{}-] 名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 16:49:35.95 ID:o+n6jHupP
側近がいつも通りで安心する
6771 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 16:54:33.91 ID:avaBwAYiP
側近「拗ねてネェ!」
姫「娼婦が言っていたわね。側近の瞳が、緑から紫に変わった、って……」
魔王「私は……側近もだろうが。自分の瞳は見えないから解らんが」
側近「……あれは、なんでだ?」
魔王「全ては推測だ。だが……お前が、目を持っていたから」
魔王「それは間違い無いだろう」
使用人「そうですね。側近様が魔王様の目を持っていないと」
使用人「いくら魔王様でも、身体を乗っ取る事事態無理でしょうし」
側近「……瞳の色だけは変えられない、んじゃ無かったのか」
姫「副作用的な物でしょう……それに」
姫「結果的に、紫の瞳を見たからこそ、娼婦の洗脳を解く切欠が出来たでしょうし」
魔王「……力添えでも良かった、んだがな。だが……」
側近「さっきも聞いたぞ。自分の手で……」
魔王「解ってる。そういう気持ちも勿論あった。だが……」
側近「だが?」
魔王「いくら目を持たせたと言え、あのままその私の魔力をお前の体内から引き出し」
魔王「外部から……力を加え続ければ」
魔王「……」
側近「俺の身体が持たない、か」
姫「乗っ取るのも一緒だと思うんだけど」
魔王「身を借りれば体感できるだろう、私が」
魔王「これ以上は無理だと思えば押さえられる」
側近「……いや、俺もどっちもどっちだと思うけど」
使用人「いえ……だからこそ、魔王様は剣を召還されたのでは?」
側近「え?」
使用人「一時の負荷は掛かるでしょうが、あのまま側近様の身体で」
使用人「魔法を使い続けるよりかは……マシでしょう」
6781 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:05:34.93 ID:avaBwAYiP
使用人「確かに、どちらも側近様にはリスクが高い。でも」
使用人「……ベストな判断であったと思います」
側近「俺は俺の身体の侭、転移魔法使われたのが一番吃驚したけどね」
魔王「あれだって、要は使い様、だ」
魔王「お前、そもそも昔は回復魔法しか使えなかったんだろう」
側近「え?」
魔王「言ってたじゃ無いか。風の攻撃魔法は、親父に鍛えられたのだろう」
側近「ああ、まあ……」
魔王「私の目を持っている事で、お前の魔力自体は高められている」
魔王「魔力量は充分に足りている。だから……」
姫「使い様、ね」
魔王「……そうだ」
側近「転移で城に戻った俺は、あれだけの力を消費しながら……特に疲労は感じなかった」
側近「それも……お前の魔力が膨張しているから、か?」
魔王「解らん……が、その可能性も否定はできんな」
姫「前例なんて無いんでしょう?だったら……全て推測の域を出ないわ」
側近「まあ、そりゃそうなんだけどよ」
魔王「一番不思議なのは……側近。アレを」
側近「……ああ」シャキン
姫「……!」
使用人「側近様に前もって聞いては居ました、が……これ、は……」
魔王「ぼろぼろだろう。私は……もう、触れん」
姫「どうして?」
魔王「剣に宿る魔力を……吸い上げている様だ」
魔王「触れば……歓喜する」
姫「歓喜……?」
魔王「そうだ。私の細胞が、血が……全てが」
使用人「……」
側近「人が、魔に変じる時の暴走に似ている、な」
使用人「側近様……!」
側近「同じ事考えてたんじゃないのか?使用人ちゃん」
679名も無き被検体774号+:2013/05/27(月) 17:24:28.26 ID:h+9r5k2dP
おつかれー
このスレでも終わらなそうだね
キャハ☆
6801 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:24:46.94 ID:avaBwAYiP
姫「暴走?」
側近「人が魔に変じる時、人としての命を捨て魔として産まれなおすんだ」
側近「細胞の一つ、血の一滴……己の全てが変化する」
使用人「魔王様から与えられた魔力に、新しい力溢れる生命に」
使用人「……全ては、歓喜するのです」
姫「それが……暴走?」
魔王「そうだ。制御出来ねば……理性も持たない獣に成り下がるだろう」
魔王「……例え、魔王である私でも」
姫「そんな……!?」
魔王「可能性はゼロとは言えない。だから……側近に持たせたんだ」
側近「こんだけぼろぼろになりゃ……もう余り残って居ないだろうな」
姫「…… ……殆ど、魔の気なんて感じないわ、その剣から」
側近「……そうか」
魔王「砕け散れば終わりだ。制御する自身は……正直、無い」
使用人「で、でも……!」
姫「魔力が膨張してるなら……押さえ込むことは出来ないの?」
魔王「膨張しているからこそ、危険なんだ、姫」
魔王「歓喜の力が大きければ……それだけ、意識を、理性を持って行かれる可能性が高い」
側近「……さっき、お前に近づけただけで亀裂が入ったな」
魔王「ああ……」
姫「どこか……どこか、遠くに封印する訳にはいかないの!?」
使用人「『私の全てが揃っていれば』……」
姫「え?」
側近「……世代交代する時に、な」
魔王「……」
使用人「?」
6811 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:37:06.96 ID:avaBwAYiP
側近「魔王の剣ってのは、『魔王』の地位と同じで、代々受け継がれて行く」
魔王「私が……『魔王』が使ってこその代物。使用することで、代々の力が」
魔王「剣自体に宿っていくんだ」
側近「魔王様の魔力も、前魔王様の力も、その先代のも……って」
側近「少しずつ蓄積されて行くんだ……だから」
魔王「魔王の剣を扱えてこその魔王。魔力を宿し、それを使役してこその者」
魔王「……これも、私の一部に違いない」
使用人「では、離してしまえば……」
魔王「実際はどうなのだろうな。やってみた訳では無いから解らんが」
魔王「均衡を欠けば……」
姫「ど、う……なるの」
魔王「良くて、今朝までの状態に逆戻り。悪ければ……」
使用人「魔力は暴走し、理性を無くす、ですか」
側近「……俺が戻ったから、均衡が保たれた、と言う訳か」
魔王「あくまで憶測だ。だが……」
魔王「……ここでお前の手を離すと、どうなるか解らない」
魔王「もし、何かがおこったら? ……そんな危険を冒す訳にはいかん」
側近「……『世界の危機』か。確かに、魔王様が理性なんて失えば」
側近「世界は滅ぼされかねん」
6821 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:45:46.05 ID:avaBwAYiP
姫「そんな……!」
魔王「姫」
姫「……何」
魔王「魔除けの石を持っているのだそうだな」
姫「あ……!そうだわ、これ、どうしたの、側近」
側近「魔王様にはちらっと話したが、港街に居る神父が作った物だ」
側近「人間なんだが……姫様と同じような力を持っている」
姫「え?」
使用人「感じる力、をですか?」
側近「能力、と言うより……努力の賜だろうな」
側近「随分と徳の高い神父なんだろう」
姫「そう……そうね。これと、ペンダントが無ければ……私は……」
魔王「こんなに傍には居られないだろうな。否、本当は」
魔王「今すぐにでも城を離れた方が良いだろう」
姫「魔王!」
魔王「妻になれと言った。お前は、了承してくれた。姫……だが」
魔王「……ドレスを着せてやる事は、できなかったな」
姫「魔王!!」
側近「まだ策はあるだろう、魔王様」
魔王「何?」
側近「俺がお前に、目を返せば良いんだろう?」
側近「過激派なんてモンももう居ない。心話する必要も無いだろう」
側近「転移の石もあるんだ。お前が動けないなら、変わりに俺が動き回れば良いだけだし」
側近「……支障は無いんだ。だから、返す」
使用人「側近様……」
側近「何時までも、ずっと、お前と手を繋いだ侭とか、厭だ!」
側近「絶対厭だ!断固拒否!」
魔王「側近……」
側近「……俺は、強い力なんていらないんだよ、魔王様」
側近「回復と補助も魔王様には必要無い。雑用で、バタバタ動き回ってる」
側近「お前の雑用係が一番心地良いんだよ!」
側近「……どうせ、こき使うんだろ?これからもさ!」
6831 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:52:49.42 ID:avaBwAYiP
側近「だから……返すから!」
側近「……せめて、式だけでも挙げてやれ」
姫「側近……」
使用人「……」
側近「始まりの街を復活させるのも、あそこに姫様を住ませる為だろう!?」
姫「え?」
側近「いくらでも走り回ってやるから!大工仕事でも何でもやってやるから!」グスッ
魔王「側近……」
側近「ち、違うぞ!?これは涙とかじゃ無いからな!?」
側近「ちょ、ちょっと瞬き忘れただけなんだから!」
使用人「……何も言ってないのに、誰も。墓穴彫ってます、側近様」
側近「嘘ん!?」
魔王「……側近」
側近「な、なんだよ……」
魔王「ありがとう……だが、無理だ」
側近「何?」
魔王「……初めから戻すつもり等無かったんだ」
側近「へ?」
魔王「否、取り出す事は可能だ。私の身に戻す事もな」
魔王「だが……お前が無事では居られまい」
側近「……」
魔王「私と手を繋いで居るのはそりゃ、厭だろうがな。私だって厭だ」
側近「おい!」
魔王「だが……私は、お前を失う方がもっと厭だ」
姫「……」
使用人「……」
6841 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/27(月) 17:53:33.51 ID:avaBwAYiP
お風呂とごはーん!
685名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 07:07:21.09 ID:At1hrcWT0
ほ?
6861@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 08:09:05.55 ID:GnhfJZIIP
おはよー!
雨ですな……
送って帰ったら続きー!
6871 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 10:06:17.43 ID:GnhfJZIIP
側近「魔王様……」ス……
魔王「……?」

ゴンッ!

姫「!」
使用人「そ、側近様!?」
側近「全く、お前はああああああああああ!」
魔王「……痛い」
側近「何でそう、あれなの!考え無しなの!」
姫「そ、側近……」
側近「返して貰うつもり無かったとか、俺が無事じゃすまないとかあああ!」
魔王「……結果オーライだろう?」
側近「何処がだ!今すっげぇ困ってるでしょうが!」
魔王「あー。じゃああれだ。無かったら困ってた、だろ?」
側近「言い訳か!言い訳ですか!」
魔王「……そんなに怒るな。ハゲるぞ」
側近「……」ピタ
使用人「魔導将軍や、インキュバスの件で役に立ったのは事実でしょう、側近様」
姫「そうよ。それに……今更どうしようも無いじゃ無い」
側近「……ねえ、俺の味方って居ないの?ねぇ?」
6881 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 10:29:32.93 ID:GnhfJZIIP
魔王「ドレス……着たいか?姫」
姫「別に人前で着るだけが正しい訳じゃないでしょう?」
側近「……もう、無視されるのにもなれました」グタ
使用人「そうですよ。今、ここで着る事だってできます」
側近「姫様と腕組んでる魔王様と、俺……手繋いでおくの?ねえ、マジで?」
姫「ねえ……これ、駄目かしら?」
側近「え?」
姫「この魔除けの石……魔王の気を落ち着けるのに効果無いかしら」
魔王「どれ……」ス……パリン!
側近「あ」
使用人「え」
姫「あぁ……」
魔王「……割れた、な」
側近「あーあぁ……」
姫「駄目か……」
使用人「姫様……」
姫「ん、大丈夫よ……」
側近「だが、離れた方が良い。使用人、姫様と部屋に戻れ」
魔王「まだ話したい事が……とは、言ってられんか」
側近「俺が聞く。後で使用人に伝えて貰えば良い」
使用人「はい。後ほど伺いに参ります」
姫「……そうね。この子の為には」ナデ
側近「あれ……姫様、お腹大きくなった?」
姫「気がつくの遅いわねぇ、側近……モテないわよ」
側近「そもそもこの状態じゃ無理だから」ギュ
魔王「手を振るな、気持ち悪い」
側近「そろそろ俺泣いて良い?」
6891 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 10:42:42.16 ID:GnhfJZIIP
姫「じゃあ……戻るわ」
使用人「行きましょう、姫様」スタスタ

パタン

側近「……やっぱ手、その侭?」
魔王「いや、大丈夫だろう」
側近「……信じて良いのか?」
魔王「姫の手前、な」
側近「?」
魔王「離せ…… ……ほらな」
側近「何ともないじゃネェか」
魔王「だが……お前はもう何処にも行くな」
魔王「眠るだけで済めば良いが……保証は無い」
側近「……で、どこ行ってたんだ」
魔王「北の塔だ」
側近「え?」
魔王「あれからすぐに向かった」
側近「……そもそもはお前じゃないよな?」
魔王「違う。確かに……強い力を感じた。古い物だったがな」
側近「ふむ」
魔王「人間にも魔族にも……要するに、誰にも見えん様に封印をやり直した」
側近「……意味は?」
魔王「内部にも入ったが……確かに、始まりの大陸ほどでは無いが」
魔王「私にも息苦しく感じた。と、いう事は」
側近「……?」
魔王「姫には、心地よいのかもしれん」
側近「!」
6901 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 10:55:24.14 ID:GnhfJZIIP
魔王「なんと言ったか、あの人間の娘も言っていただろう」
側近「女剣士か」
魔王「……私が動けなくなる前に、あの塔に姫を行かせようと思う」
側近「は!?」
魔王「何だ?」
側近「何だ、じゃネェだろう!?あんな場所に!?一人で!?」
魔王「……」
側近「確かに、あの空気が姫様にあうのならば、大丈夫かもしれんが……!」
側近「生活とかどうするんだよ!姫様一人で……!」
魔王「大丈夫だ。ちゃんと考えている」
側近「まさか……使用人ちゃんを行かせるんじゃないだろうな」
魔王「それは不可能だ。お前が私の傍を離れられない以上……」
側近「……」
魔王「今までのお前の役目は、使用人に任せるしかあるまい?」
側近「じゃあ、どうするって言うんだ」
側近「それに……始まりの大陸を復活させるのは、そもそも姫様の為じゃないのか!?」
魔王「最終的にはな。姫には……あの塔の部屋で、眠って貰おうと思う」
側近「……は?」
魔王「港街の全てがうまくいき、始まりの街や城が大きくなれば」
魔王「……その頃には、私を倒す勇者も育つかもしれないだろう」
側近「…… ……お、お前何、言って……んの」
6911 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 11:05:14.12 ID:GnhfJZIIP
魔王「……解っているだろう。私の力は……信じられない程、大きくなっている」
魔王「私には世継ぎも居ない。この力を譲る者は……居ないんだ」
側近「だから……だからって、そう都合良く勇者等出てくる訳ねぇだろう!?」
魔王「そうだな。どうなるかは……私にも解らん。だが」
魔王「……私が、この世界を滅ぼす訳にはいかないのだ。側近」
側近「姫様の為か。産まれて来る……姫様と、人間の子供のためか!?」
魔王「違う……私は、お前に言われて人の子の世界を見、思ったんだ」
魔王「この世界は美しい、とな」
側近「魔王様……」
魔王「親父の先代の魔王の様に、世界を手に入れたいとは思わない」
魔王「親父の様に、人間と手を取り合って生きていく気にもなれん」
魔王「だが……この世界は好きだ。美しいこの世界を守りたいとは思うんだ」
側近「……」
魔王「私が守りたいのは、世界その物だ。確かに姫は大事だ」
魔王「私が……守もりたいと思う、その美しい世界を見せてやりたいとは思う程、に」
側近「……姫様を眠らせておけば、目が覚めた時、その世界を見せてやれる」
側近「そう、言いたいのか?」
魔王「……ああ」
側近「だが、お前は……」
魔王「世継ぎは居ない。力を継承する事もできない。勿論……私を殺す者も、居ない」
魔王「だから、私も……眠りにつこうと思う」
側近「え?」
魔王「私を倒せる者……勇者が産まれる迄、だ」
側近「……可能なのか?」
6921 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 11:16:11.62 ID:GnhfJZIIP
魔王「『願えば叶う』」
側近「……言うと思ったよ」
魔王「姫を眠らせる為に、私はまた膨大な魔力を消費せねばならんだろう」
魔王「……理性がある内に、玉座の間の奥の部屋へ私を連れて行ってくれ」
側近「そこで……自らを封印すると言うのか」
魔王「ああ」
側近「一つだけ、聞いて良いか」
魔王「何だ?」
側近「俺は……どうなる?」
魔王「…… ……正直、解らん」
側近「あ、待て。厭だとか責めてる訳じゃない」
魔王「……」
側近「俺の主はお前だ、魔王様。お前が決めた事ならば、従うのは当然だ」
魔王「側近……」
側近「一緒に眠れと言うのならばそうしよう。だが……」
魔王「……」
側近「その前に、俺に『側近』の地位を降りることを許して欲しい」
魔王「どういう意味だ」
側近「……使用人ちゃんに全てを譲る」
魔王「そうか……」
側近「まだ、もう少し時間はあるんだろう」
魔王「? どういう意味だ?」
側近「ドレスぐらい、着せてやれ、って事だ」
魔王「……ああ」
側近「使用人ちゃんが戻れば……」

コンコン

使用人「失礼致します」カチャ
側近「丁度良いタイミング」フゥ
使用人「?」
6931 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 11:46:46.63 ID:GnhfJZIIP
魔王「姫は?」
使用人「特にお変わりはなさそうですが……」
魔王「そうか」フゥ
使用人「魔王様の方が、お顔の色が悪いです」
側近「……手短に、話す、使用人ちゃん」
使用人「……はい」
側近「俺は、君に『魔王様の側近』の座を譲ろうと思う」
使用人「厭です」
側近「……はい?」
使用人「厭、です」
魔王「使用人……」
使用人「はい」
魔王「私からも、頼む」
使用人「……」
側近「な、なんで厭か……聞いて良い?」
使用人「魔王様の為でしたら何でもします。ですが……」
使用人「『側近』は、貴方です。貴方しか……居ません」
使用人「私は、今の侭で良いのです」
側近「使用人ちゃん……」
使用人「側近様のお仕事も、何でも引き受けます。ですが……」
使用人「『側近』には、なれません」
魔王「……もう良いだろう、側近」
側近「……ああ」
6941 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 11:57:37.61 ID:GnhfJZIIP
使用人「お話は、以上ですか?」
側近「んな訳ないだろ」
使用人「……ですよね」
魔王「良く聞いてくれ。そして……どうか、姫を説得して欲しい」
使用人「説得?」
側近「頼む。俺は……離れられん」
使用人「……解りました。話してください」

……
………
…………

鍛冶師「良し、これで全部……かな。すみません手伝って貰っちゃって」
海賊「船長の指示だし気にしなくて良いさ。忘れ物ないか?」
鍛冶師「はい!」
海賊「じゃあ先に行くぜ。おら!運ぶぞー!」

アイアイサー!

鍛冶師「元気だなぁ、海賊さん達……」
鍛冶師「さて、と……」
鍛冶師(女剣士は何処に行ったのかな)スタスタ
6951 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 12:12:25.34 ID:GnhfJZIIP
鍛冶師(あ、居た)スタスタ
女剣士「あ……」
鍛冶師「どうだった?」
女剣士「……」フルフル
鍛冶師「手がかり無し、か……」
女剣士「それらしい奴の姿は誰も見てないって言うんだ」
鍛冶師「うーん……じゃあ、この村には寄ってない、のかな?」
女剣士「で、でも……!」
鍛冶師「北の街からじゃ、ここに寄るほか無いよね、多分」
女剣士「ああ……」
鍛冶師「まあ、ご飯でも食べない?お腹すいたでしょ」
女剣士「いや、アタシは……」グルグル、ギュー
鍛冶師「……」プッ
女剣士「か、金が無いんだ。全部落としちまって」
鍛冶師「解ってるよ、あんな状態だったんだから。奢るからご遠慮なく」
女剣士「でも!」
鍛冶師「ほら、またお腹が返事しちゃうよ?」
女剣士「……ありがとう」
船長「おう、お前らここに居たのか」
鍛冶師「ああ、船長。さっきはありがとう。助かったよ」
船長「ん?ああ、海賊共か。まあ力有り余ってるからな、あいつら」
鍛冶師「これからご飯行くんだけど。船長は?」
船長「何だ、こんなおっさん邪魔だろ」ニヤ
鍛冶師「違うって言ってんのに……一緒に行こうよ」
船長「へいへい。んじゃま、飯だけな」
女剣士「?」
6961 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 12:13:09.94 ID:GnhfJZIIP
お昼ご飯ー!
6971 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 13:32:29.42 ID:GnhfJZIIP
……
………
…………

女剣士「美味しかった……! ご馳走様でした」
鍛冶師「どういたしまして……よく食べたね」
船長「そりゃ、仕方ネェだろうさ。さて……俺も仕事に戻るかな」
鍛冶師「僕も手伝うよ。海賊さんにも世話になったしね」
船長「そいつの人捜し手伝ってやれよ。こっちの手は足りてるさ」
鍛冶師「って言っても、ネェ……」
船長「お前さんの村なんだ、鍛冶師。旅人の女一人で聞き回るよりゃ」
船長「可能性高いだろ?」
女剣士「側近……何処に……」
船長「……ん、お前さん、今なんつった?」
女剣士「え?」
鍛冶師「側近って言う名前らしいんだ、その探し人」
船長「……で、幼い主に、先代から仕えてる?」
鍛冶師「……だよね?女剣士」
女剣士「あ、ああ……」
船長「で?」
女剣士「??」
船長「他には?」
女剣士「回復の他に、風の魔法……強力な魔法を使うんだ」
女剣士「茶の短髪に、緑の瞳の……」
船長「……」
船長(先代……前魔王、か。幼い、てのは魔王の事か?)
船長(人間のこの女にぼかして話したとすれば、辻褄は合う)
船長(それに何より……北の街で側近を下ろしたのは、俺自身だ)
船長「間違いネェ……」
鍛冶師「え?え?」
女剣士「知ってるのか!?」

カチャ

使用人「ああ、良かった。ここにいらっしゃったのですね」
6981 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 13:42:12.20 ID:GnhfJZIIP
船長「しょう……使用人!?」
使用人「船にはいらっしゃらなかったので海賊さんに聞いたのです」
鍛冶師「え……船長の知り合い?」
船長「あ、ああ……どうした?手紙は届いたが……」
使用人「その件は解決済みです。あの後、すぐに側近さんは戻られましたので」
女剣士「側近!?」ガタッ
使用人「……そちらの方々は?」
女剣士「お、おいアンタ!側近を知ってるのか!?」
鍛冶師「お……女剣士、落ち着いて!」
使用人「……」
船長「この二人は船の客だ……戻ったなら良かった」
船長「少年の具合は?」
使用人「はい、その事でお話が……」
女剣士「側近は!?側近はどこに居るんだ!」ガシ!
使用人「……手を離して頂けませんか」
女剣士「……ッ」パッ
使用人「貴女と側近さんの関係は存じ上げませんが……後にして頂けますか」
使用人「船長さん、お時間頂けます?」
船長「あ、ああ……そりゃ構わネェが」
使用人「一刻を……争います」
船長「!?」
鍛冶師「あー、えっと、あのさ。取りあえず場所移さない?」
鍛冶師「ここで騒ぐと、ご飯屋さんにも迷惑だし、ね?」
女剣士「……」
使用人「賛成です……船長さん」
船長「……船に来い。そこで聞く」ガタ
船長「しかし、良くここが解ったな?」
使用人「側近さんが、盗賊さんから聞いたそうです。行き先はここだと」
鍛冶師「!?」
使用人「間に合って、良かったです」
6991 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 13:48:17.51 ID:GnhfJZIIP
……
………
…………

甲板

女剣士「…… ……」ウロウロ
鍛冶師「落ち着きなって」
女剣士「落ち着いていられるかよ!」
鍛冶師「手がかり、見つかったんだからさ」
鍛冶師「……良い風に考えなよ」
女剣士「……」
鍛冶師(あの子……側近、て人だけじゃ無くて)
鍛冶師(盗賊の事、知ってた。僕たちが……船長がこの街に向かっている事を)
鍛冶師(知ってる、聞いたって事は……)
鍛冶師(女剣士の言う、北の街を出た後に、盗賊と会ってるって事になる)
鍛冶師(馬鹿な!どうやったら……北の街から、港街に行けるんだ!?)
鍛冶師(それに……あの子はどこから来た!?)
鍛冶師(こんな時間に港に着く船は無い。船着き場にも、この船しか無い)
鍛冶師(……どういう事だ)
女剣士「……」
鍛冶師「……」
7001 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 13:49:04.57 ID:GnhfJZIIP
おむーかーえー
701名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 14:23:04.51 ID:At1hrcWT0
このスレでまとめる事は無いんだよ?
702名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 14:38:51.52 ID:bhBpqHLTP
話がまとまると言うか、終わるのが怖いな。
スレを跨いだところで展開が変わるわけでもないと分かってはいるが、
登場人物みんなどうなってしまうん……
あとピンクとゴールドの栞挟むスペース……
7031 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 15:04:30.93 ID:GnhfJZIIP
ただいま!

無理に纏めるつもりはないんだぜー
このスレで終わりたいなってのはあるけれど
ピンクとゴールド定番化ですかw
まあ、うん。考えておくよー
704名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 15:37:13.24 ID:At1hrcWT0
おかー
なんとなく、いつも通りの急展開の予感がしたのでw
7051 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 15:39:20.63 ID:GnhfJZIIP
女剣士「……なあ」
鍛冶師「ん?」
女剣士「何の話、してるんだろう」
鍛冶師「……気になる?」
女剣士「ならないのか?」
鍛冶師「ならない」
女剣士「……」
鍛冶師「と、言えば嘘になるな。気になるに決まってる」
女剣士「……ッ だ、だよな!」
鍛冶師「だけど、さ」
女剣士「……」
鍛冶師「……側近、て人は多分、この村には来てない」
女剣士「……うん」
鍛冶師「あれ、意外」
女剣士「え?」
鍛冶師「じゃあ、何処に行くんだよ! ……て、言われると思った」
女剣士「村を避けて行く事は……不可能では無いだろ?」
鍛冶師「そりゃ、まあ。だけど、食料は?体力は?」
女剣士「野営に長けていれば無理では無いぜ」
鍛冶師「ふむ……」
女剣士「食料だって、狩りをすれば」
鍛冶師「……さっき、あの……使用人?て子が言ってただろう」
女剣士「?」
鍛冶師「『盗賊さんが鍛冶師の村に向かったと言っていたと、側近さんに聞いた』」
女剣士「あ、ああ……」
7061 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 15:40:36.94 ID:GnhfJZIIP
>>704
魔王を倒す!で失敗したからwww
早く終わらさなきゃー!て焦っちゃったからさ。
同じ失敗は繰り返さないんだぜ!(・ω・)
7071 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 15:49:41.69 ID:GnhfJZIIP
鍛冶師「それがおかしいんだよ。女剣士に聞いた出発の日とさ」
鍛冶師「僕が船長に船に乗せて貰った時と、時間が合わないのさ」
鍛冶師「……そんなに早く、どうやって北の街から、港街まで行ける?」
鍛冶師「船も定期的に走ってる訳じゃ無い……徒歩でなんて、さ」
女剣士「で、でも!それこそ……不可能じゃ無いか!?」
鍛冶師「一番納得できるのは、君の探している側近と」
鍛冶師「あの子の言う側近が、同一人物で無い……事、かな」
女剣士「そんな……」
鍛冶師「でも、そうじゃ無いと説明が付かないんだよ」
女剣士「港街ってのは、そんなに遠いのか?」
鍛冶師「魔導の街は知っているかい?」
女剣士「……海を渡って、遠い場所にある、てのは」
鍛冶師「その魔導の街のすぐ傍だ」
女剣士「……!」
女剣士「あ、で、でも……船長は知ってるっぽかった!」
鍛冶師「そりゃ、使用人さんと船長の言う『側近』が同一人物だからだろう」
女剣士「……そう、か」
鍛冶師「勿論、さ……わかんないんだけどね」
鍛冶師「でも……そうじゃないと」
女剣士「物理的に説明がつかない、か」
鍛冶師「……」
女剣士「……」スタスタ
鍛冶師「どこ、行くの」
女剣士「あの二人は操舵室に居るんだろう?」
鍛冶師「……え、ちょ、ちょっと!?」スタスタ

……
………
…………
7081 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 16:24:14.64 ID:GnhfJZIIP
船長「……ここで良いか」
使用人「はい」
船長「そういえば、俺の手紙は届いたのか?」
使用人「え?」
船長「お前さんからの鳥に同じ様に手紙を足に結んで飛ばしたんだがな」
使用人「そうでしたか。見よう見まねでやってはみたのですが」
使用人「……どこかで、具現化の術が解けたのでしょうね」
船長「届いてない、んだな」
使用人「はい。魔王様の様に……声を乗せる事もできませんでしたし」
使用人「申し訳ありません……手紙には、なんと?」
船長「謝る事じゃネェ。何、癒やしの石を届けるのはもう少し先になるって事と」
船長「側近とは一緒に居ないってだけだ」
使用人「そうですか……やはり、そう簡単には行きませんね」フゥ
船長「魔王は……大丈夫なのか?」
使用人「側近さんが戻られてすぐに、目を覚まされました」
船長「そうか……しかし……」
使用人「……『私の全てが揃っていれば、今はまだ大丈夫』だそうです」
船長「全て?」
使用人「はい。魔王様ご本人、側近さんが持っていらっしゃる魔王様の目」
使用人「それから……『魔王の剣』」
船長「魔王の、剣?」
使用人「はい……魔王様のお力は、信じられない程強くなっています」
使用人「このまま魔力が膨張を続けると……暴走する恐れがあると」
船長「暴走……魔王の魔力が?」
使用人「……理性を保てる間に、姫様を眠らせ、自らの身を封印するおつもりです」
船長「な、に……?」
7091 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 16:32:50.57 ID:GnhfJZIIP
使用人「その為の準備の手助けの要請を……お願いに参りました」
船長「俺に、か?待て待て、話が見えん!魔王の封印はともかく、姫を眠らせるってのは……!?」
使用人「……魔王様の望みは、人間との徹底した不干渉」
使用人「ご存じ、ですよね」
船長「あ、ああ」
使用人「……魔王様は、この世界が好きなのだそうです」
船長「……」
使用人「この、美しい世界を守りたい。この美しい世界の続きを」
使用人「姫様に……何れ産まれるであろうお子様に、見せたいのだそうです」
船長「しかし……姫の腹の中の子は……」
使用人「……魔王様の子供では、ありません。ですが」
使用人「私は……私の主は、魔王様です。願われるなら、叶えるのみ」
使用人「魔王様のお言葉は、絶対ですから」
船長「……お前、随分変わったな」
使用人「?」
船長「人から魔族になっても見た目は変わらネェのにな」
使用人「……」
船長「いや、話の腰を折って悪かった」
使用人「魔王様に、世継ぎはいらっしゃいません」
使用人「力を受け渡すべき存在は、居ないんです」
船長「……」
7101 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 16:44:30.11 ID:GnhfJZIIP
使用人「港街がうまく街として機能し」
使用人「始まりの街や、城の再建を叶えようと言うのも」
使用人「姫様の為だと……仰っておりました」
船長「それはそうだろうな……だが、時間が掛かる」
船長「確かに、子供を産む頃までに……50年弱、か」
船長「その頃にはどうにかなる、だろうが……」
使用人「いえ……魔王様は、時満ちる迄。ご自分の魔力が尽きるまで」
使用人「……姫様を、眠らせるおつもりなのです」
船長「……どういう、事だ?」
使用人「先ほども言いましたが、魔王様には世継ぎがいらっしゃいません」
使用人「……『魔王』の世代交代は、次期魔王が先代魔王を自らの手で屠り」
使用人「その力を奪い取る事でなされます」
使用人「……では、魔王様の場合は?」
船長「魔族ってのも、力は衰えて行くんだろう?」
船長「不死では無いって言ってたじゃネェか」
使用人「はい。ですが……魔王様の魔力は、この侭では」
使用人「暴走し……恐らく、世界その物を飲み込むでしょう」
船長「な……!?」
使用人「そうなってしまっては、姫様に……美しい世界を、見せて差し上げられない」
船長「ちょ、ちょっと待てよ!その話は……本当なのか!?」
使用人「……絶対にそうなる、と断言は出来ませんが」
使用人「ただでさえ規格外な魔王様のお力が、膨張したお力が」
使用人「……あの方の理性を失った状態で、暴走したら?」
船長「……ッ」
7111 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 16:51:25.70 ID:GnhfJZIIP
使用人「……ご自分が封印されている間に、『魔王を倒す勇者が現れるかもしれない』」
使用人「だから…… ……ッ」
船長「……しかし、俺に何を協力しろと言うんだ」
使用人「姫様に、ドレスを着せて差し上げたいのだそうです」
使用人「……魔王様が、動ける内に」
船長「そ、そりゃ……いや、うん。それで、何をしろと?」
使用人「前に話したでは無いですか。港街の新しい教会で……」
船長「……」
使用人「魔族の王たる魔王様と、エルフの姫様が結婚式を挙げる」
使用人「……魔王様なら飛びつきそうな話でしょう?」
船長「そう、だな。しかし……」
使用人「姫様にご説明差し上げた時に、姫様が申された」
使用人「願い、です」

……
………
…………

姫「なん、ですって……!?」
使用人「……魔王様は、姫様を北の塔に眠らせるおつもりです、と」
使用人「申し上げました」
姫「ど、どうして!?私は大丈夫よ!?確かに、そんなに時間が無いのは解ってるわ!」
姫「でも、なんで……そんな所で!?」
使用人「魔王様は、美しい世界を姫様に見せたい、と」
姫「……魔王が居て、魔族が居て……人が居て!」
姫「勿論、争いは一杯あるけれど、世界は充分に美しいじゃ無いの!」
姫「ここに居られなくなるのは……解る!解るけれど……!」
使用人「姫様以上に……魔王様に、お時間が無いのです」
姫「魔王に……な、なんでよ!」
7121 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 17:04:41.61 ID:GnhfJZIIP
使用人「先ほどのお話です、姫様」
使用人「魔王様に、お世継ぎは……もし、魔王様の力が暴走したら……」
姫「そんなの、寝てても起きてても一緒じゃ無いの!」
使用人「……50年」
姫「え……?」
使用人「姫様が、お子様を産むまで、50年程でしょう」
使用人「……姫様は、出産の後」
姫「そうよ。私はどうせ、この子を産んだ後生きられない!」
使用人「産まれたばかりで、放り出されたお子様の生きる世界が」
使用人「混沌に包まれた争いばかりの世界ならどうされるのです?」
姫「!」
使用人「……正直、私に魔王様の本心は分かりません」
使用人「姫様の心に届くお言葉を、告げられる自信もありません」
使用人「ですが……魔王様の、願いなのです」
使用人「『この美しい世界を、姫に見せてやりたい』」
使用人「……『何れ、私を倒す勇者が現れるかもしれない』とも」
姫「……勇者?」
使用人「…… ……はい」
姫「……」
使用人「『魔王』と言うのは、倒される存在……なのかもしれませんね」
姫「それも、魔王が?」
使用人「いえ。私の……勝手な考えです」
姫「魔王は、倒される者……そう」
使用人「……倒す者が姫様のお子様であれば、本望かもしれませんね」
姫「そんなに都合良く行かないわよ」
使用人「……はい」
7131 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 17:12:37.40 ID:GnhfJZIIP
姫「私が、その北の塔とやらで眠りについて」
姫「魔王は……どうなるの。魔王の魔力で、なんでしょう?」
使用人「ご自身もその侭……眠りにつかれる、と」
姫「自分で自分を封印するの?」
使用人「はい。魔王様を倒す……勇者が、現れるまで」
姫「そんな!だから、そんな都合良く……!」
使用人「『願えば叶う』……貴女の言葉です。姫様」
姫「…… ……」
使用人「……」
姫「わかったわ」
使用人「姫様……」
姫「一つだけ、条件があるわ」
使用人「……なんでしょう」
姫「港街の教会で、式を挙げたいわ」
使用人「姫様……」
姫「魔王は、きっと飛びつくわ!」
姫「……夫婦になるのよ。私達は……!」

……
………
…………

使用人「……」
船長「……」
7141 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 17:18:06.74 ID:GnhfJZIIP
使用人「教会、まだ完成していないのですよね」
船長「……ああ。資材はこれから運んで帰る所だ」
使用人「魔王様から、お金を預かって参りました」
船長「……助かる。助かるが、な」
使用人「はい」
船長「大丈夫、なんだな?姫も、魔王も……」
使用人「私と、側近さんが着いて参ります」
使用人「……側近さんはどちらにしても、魔王様の傍を離れられません」
船長「『全てが揃っていれば』か……成る程な。お前が来た理由もそれか」
使用人「はい」
船長「解った……早いほうが良いんだろう?」
使用人「できる限り」
船長「良いだろう……娼婦も、魔王に会えるなら喜ぶだろう」
使用人「……」
船長「あいつも、時間がネェからな」
使用人「知って……いらしたのですね」
船長「ああ」
使用人「……そろそろ、よろしいでしょう?」
船長「ん?」
使用人「……」スタスタスタ

ガチャ!

鍛冶師「うわ!」
女剣士「わあ……ッ」

バタ、バタン!

船長「あ!お前ら……!」
7151 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 17:24:37.38 ID:GnhfJZIIP
使用人「……どこから、聞いていました?」
鍛冶師「……」
女剣士「……」
船長「呆れた奴らだ……」
使用人「答えて頂けます?」
鍛冶師「……う、美しい世界を、魔王が守りたい、とか」
鍛冶師「か、なぁ?」
女剣士「側近が仕えている幼い主って……魔王なのか!?」
使用人「……船長さん。説明お任せしてもよろしいですか」
船長「……全力で断りたいが、時間が無い、んだよな」
使用人「申し訳ありません」
船長「まあ、仕方ない。これも……料金の内って事にしておいてやる」
使用人「……では、私は他にやる事もありますので、これで」
船長「どうやって帰るんだ?」
使用人「転移石を持ってきています。港街にお戻りになるのは」
使用人「いつ頃でしょうか」
船長「早くて……三週間、かな」
使用人「ではその頃に港街へ出向きます」
使用人「……失礼致します」シュゥン
鍛冶師「うわああああああああ!?」
女剣士「き、消えた!?な、なんで……!?」
船長「……」
船長(説明……俺が、やるしかネェのか……)
船長(側近の事もあるしな……ハァ)
7161 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/28(火) 17:26:08.53 ID:GnhfJZIIP
お風呂と、ご飯の支度!
また明日−、かな
717名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 18:54:21.27 ID:p/OoiVg60
お、終わらないでくれー!!
他の奴はどうなるんだ!!
718名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 19:04:16.42 ID:QS9osnBw0
719名も無き被検体774号+:2013/05/28(火) 22:36:44.58 ID:bhBpqHLTP
今更なんだが娼婦の加護が気になる。
瞳は青かったはずなんだが水じゃないのか……
自分が何か勘違いか見落としているだけかいな?
720名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 00:31:39.91 ID:Q0ZivWj/0
ちょー!!
このままの勢いで終了は勘弁してー
色々補完あろうにー

まさかスピンオフか!?
721名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 04:02:17.01 ID:G6Cz9ylg0
続きが気になるーー
7221 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 09:17:03.53 ID:rm/OF9w8P
おはよ!
お迎えまで!

>>719
ご、ごごごごご、ごめん!
私が盗賊のと勘違いしたorz

>>660

姫「この石は……水の力よ」
使用人「……彼女の加護は水では無かった筈、ですよね」

姫「この石は……炎の力よ」
使用人「……彼女の加護は炎では無かった筈、ですよね」

ほんっとーにご免なさいorz

>>720
このスレだけでは終わらない気がします、そもそも……(・△・)
7231 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 09:34:56.55 ID:rm/OF9w8P
船長「あー……」
鍛冶師「船長!」
女剣士「ど、どういう事なんだ!?」
船長「長々と説明するのは面倒臭ェ」
鍛冶師「船長!!」
船長「……し、あれだ。何処まで話して良いか解らんから、まあ」
船長「掻い摘んで話すとだな」
鍛冶師「彼女は……『説明を任せて良いか』と言ってたじゃないか」
船長「……俺に詳しく話せって?」
女剣士「どうして……今の奴は急に消えたんだ!?」
女剣士「あんな魔法は見た事が無い!」
船長「ちょ、黙れお前ら!解った、解ったから!」
鍛冶師「……」
女剣士「……」
船長「ってもナァ、どこから話して良い物やら……」
鍛冶師「彼女は……『魔王』がどうとか言っていたな」
鍛冶師「……魔王の手先、なのか」
船長「せめて仲間と言ってやれ」
鍛冶師「船長!魔王……魔王だぞ!?」
船長「鍛冶師、お前は……少年を知ってるだろう?」
鍛冶師「……? ……魔導の街から劣等種達を救った、港街の『勇者様』か」
鍛冶師「それが何だと……」
船長「その少年が、魔王だ」
鍛冶師「……は!?」
船長「信じられないと言うのなら、この話は終わりだ」
7241 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 09:45:07.70 ID:rm/OF9w8P
鍛冶師「……ッ」
女剣士「……船長、アタシはどうせ、難しい話は理解できない」
船長「あン?」
女剣士「できないし……港街とか、魔導の街とか、そもそもが良く解らない」
女剣士「一つだけ、聞かせて。側近は……今消えた、あいつの言ってた側近は……」
女剣士「アタシが、探してる側近なのか!?」
船長「……絶対とは言わんが、そうだろうな」
女剣士「……!」
船長「北の街に船が着いて、そこから降りてきた男、だろ」
女剣士「! 何で知って……」
船長「ありゃ俺の船だ。ついでがあったから乗せてやったのさ」
船長「で、その幼い主、ってのが……魔王の事だろう」
鍛冶師「魔王は……まだ子供なの?でも、少年って言うのは……」
船長「いや、そうじゃネェよ。女剣士に説明しようとして……そうなったんじゃネェの?」
女剣士「……先代から今の主まで、仕えていると聞いただけだ」
女剣士「アタシ達が勝手に……勘違いした、んだ」
船長「ま……そうだろうな」
鍛冶師「じゃあ、側近って言うのは……今の、彼女は……」
船長「人間じゃネェよ。魔族だ……二人とも、な」
女剣士「ま、ぞく……」
鍛冶師「……じゃあ、あの街は……港街は……いや……ッ」
鍛冶師「あの街の勇者が、魔王だって言うのか!?」
船長「さっきそう言っただろうが。落ち着け、鍛冶師」
7251 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 09:54:23.17 ID:rm/OF9w8P
女剣士「船長は魔王を知ってるのか」
船長「ん?まあ、そりゃ……」
女剣士「側近は今……魔王と一緒に居るんだな」
船長「ああ……そうだろうな」
女剣士「……」
船長「?」
鍛冶師「……」
船長「……なんだよ、二人揃って黙って。もう良いのか?」
女剣士「側近には何処に行けば会える?」
船長「……やめとけ」
女剣士「何で!」
船長「どうやって魔王の城に行くんだ?場所は知ってるのか?足はどうする」
女剣士「そ、それは、船で……!」
船長「俺は連れてはいかねぇぞ。そもそもお前、渡航代も無いだろうが」
女剣士「……ッ」
船長「俺にはやらなきゃならネェ仕事もある。お前さんをここまで連れてきたのは」
船長「ついで、だ。あんな場所で放って行く程薄情じゃネェからな」
船長「だがな、俺たちも商売でやってるんだ。聞いてたんだろうから、解るだろうが」
船長「使用人からもしっかり代金を頂戴した……俺たちも、食ってかなきゃならねぇ」
女剣士「……か、金があれば連れて行ってくれるのか」
船長「言っただろう。仕事がある。それが先だ」
女剣士「…… ……」
船長「この村から資材を運び、街を作らなきゃならネェ」
船長「使用人からの依頼もある……その後で、きっちり金を払うってんなら」
船長「そりゃお前さんの『依頼』だ」
女剣士「じゃあ……!」
船長「だが、その依頼を受けるかどうかは、わからんぞ」
女剣士「な、なんでだよ!」
7261 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:03:17.93 ID:rm/OF9w8P
船長「やめとけ、と言っただろうが……聞いてたんだろ?」
鍛冶師「魔王の世継ぎがどうとか、か」
船長「……」
鍛冶師「そんなにハッキリ聞こえた訳じゃないからあれだけど……」
鍛冶師「魔王は、死にかけてる、のか?」
船長「そうじゃ……いや、解らネェな。だが」
船長「人間が近づいて良い領域じゃネェってのは解るだろう」
鍛冶師「……うん」
女剣士「そんな!」
鍛冶師「でも、港街まで来るんだろう。今の……使用人?は」
女剣士「……!」
鍛冶師「三週間後、だったか」
女剣士「じゃ、じゃあその時に側近を連れてきて貰えば……!」
船長「いい加減にしろよ、お前はガキか!」
女剣士「!」ビクッ
船長「どうやって頼む?それも俺に『頼んでくれ』だろう!」
船長「会いたいのは解った。だがな」
船長「何でもかんでも、思った通りに行くと思うな!」
船長「世界はそんな、都合良く動いてくれネェんだよ!」
鍛冶師「せ、船長……!」
女剣士「……ッ」バタバタバタ……ッバタン!
鍛冶師「あ、女剣士……」
船長「放っておけ……甘いんだよ」
鍛冶師「……」
7271 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:16:51.18 ID:rm/OF9w8P
船長「ったく、俺は便利屋じゃネェよ……」
鍛冶師「……あの街の勇者てのは、少年……魔王、なんだな」
船長「あ?ああ……」
鍛冶師「姫、と言うのは?」
船長「魔王の嫁だよ」
鍛冶師「……でも世継ぎじゃ無い」
船長「そこら辺は盗賊にでも聞け」
鍛冶師「え!?盗賊も知って……ああ、そうか」
鍛冶師「……彼女も、勇者……魔王に救われた劣等種の一人、か」
船長「……」
鍛冶師「美しい世界を守りたい、か」
船長「結構しっかり聞いてるじゃネェか」
鍛冶師「必死に思い出してるんだよ」
鍛冶師「……教会を作るんだね?」
船長「あ?ああ……使用人からの依頼だからな」
鍛冶師「……」
船長「なんだよ」
鍛冶師「海賊さん達を手伝ってくる」
船長「は?」
鍛冶師「一人でも多い方が早く済むだろう?」
船長「そりゃそうだが……」
7281 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:22:43.61 ID:rm/OF9w8P
鍛冶師「女剣士の様子も見てくるよ」
船長「放っておけよ……ちょっと頭冷やさせろ」
鍛冶師「大丈夫」
船長「?」
鍛冶師「だから、さ。一人でも多い方が良いだろ?」スタスタ

パタン

船長「……なんか考えてやがる、な。あいつ……」
船長「ま、良い……」
船長(勇者、か)
船長(あの魔王を倒す、勇者?)
船長(できる訳が無い。そんな奴……現れるはずが……ない)スタスタ、パタン
船長「……おい、野郎共!」
海賊「あいよ、船長」
船長「こっちは俺がやる。資材の積み込み手伝ってこい」
船長「終わり次第出発だ!全速力で港街に戻るぞ!」

アイアイサー!

……
………
…………

女剣士(……側近が、魔族)
女剣士(あんだけ、強いんだ。魔王に仕える奴……)
女剣士(もう、会えないのか……!?)

カチャ
7291 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:28:47.46 ID:rm/OF9w8P
女剣士「!」
鍛冶師「あ、いたいた……何膝抱えてちっさくなってんの」
女剣士「鍛冶師か……放っておいてくれないか」
鍛冶師「会いたくないの?」
女剣士「……ッ 会いたいさ!だけど……!」
鍛冶師「方法が無い?」
女剣士「…… ……」
鍛冶師「そりゃね、そこでそうやってるだけじゃ、何時までたっても会えないよ」
女剣士「じゃ、じゃあどうしたら良いんだよ!アタシは、金も無いし……ッ」
鍛冶師「じゃあ、稼げば良いじゃん」
女剣士「どうやって……!」
鍛冶師「あのさ、自分で考えないと」
鍛冶師「そうやって誰かがやってくれるの待ってても、どうにもならないよ?」
女剣士「…… ……」
鍛冶師「お金が無かったら、稼げば良い。会いたければ会える方法を考えれば良い」
女剣士「……で、でも、どうやって……」
鍛冶師「僕は、応援するっていっただろ?」
鍛冶師「とりあえず……僕の手伝いをしてくれない?」
女剣士「え……?」
鍛冶師「船に港街の資材を積み込むんだ。行くよ」グイッ
女剣士「え、ちょっと!?」
鍛冶師「ほら、さっさとやればさっさと終わる!」
鍛冶師「そうすれば、早く出発できるよ」
女剣士「……」
鍛冶師「身体動かすのは得意だろう?」
7301 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:34:46.98 ID:rm/OF9w8P
女剣士「そ、そりゃそうだけど……」
鍛冶師「海の魔物にも襲われるんだ。君、腕に自信はあるんだろう」
女剣士「あ、ああ……だけど、アタシは……金が……」
鍛冶師「だから稼げば良いんだって。港街には三週間後、だっけ」
鍛冶師「……さっきの、使用人って子が来るんだ」
鍛冶師「そこで、側近に会える様に頼んでみれば良い」
女剣士「あ……!」
鍛冶師「時間は結構ある。港街の復興の手伝いと、船で戦闘の手助け」
鍛冶師「……ま、魔物退治は給料でるかわかんないけど」
鍛冶師「それから、僕の手伝い」
鍛冶師「……港街までの渡航代は、一端僕が立て替えておく」
女剣士「え?」
鍛冶師「早く終われば早く出発できるし」
鍛冶師「そうすれば、早く港街に着くだろ?」
鍛冶師「で……稼いだ分でさ、返してくれたら良い」
女剣士「……い、良いのか?」
鍛冶師「ああ。足りなければ、それは……僕の依頼分って事で良い」
女剣士「お前の……依頼、と言うのはなんだ?」
鍛冶師「僕も側近に会ってみたいんだ。話を聞きたい」
女剣士「え……?」
鍛冶師「まあ、使用人でも良いんだけどね」
女剣士「??」
鍛冶師「その話はおいおいするよ。とりあえず、さっさとやっちゃおう!」
女剣士「……あ、ああ!」

……
………
…………
7311 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:43:53.36 ID:rm/OF9w8P
使用人「……」シュゥン、スタ
姫「おかえりなさい、使用人」
使用人「姫様……ただいま、戻りました。が……あの、何を?」
姫「見ての通りよ。庭のお手入れ」
使用人「お体は……?」
姫「土いじりは、前に魔王がやってくれたわ。簡単な植え替えや選定ぐらいなら」
姫「大丈夫……疲れたら、休んでるし」
使用人「そう、ですか」
姫「……不思議ね」
使用人「え?」
姫「側近が持って帰ってくれた魔除けの石は割れてしまったのに」
姫「……魔王の魔力は、落ち着いている」
使用人「それでも……」
姫「ええ、解ってるわ。傍には寄らない、し……離れた部屋で大人しくしてる」
使用人「……はい」
姫「ごめんなさいね、無茶言って」
使用人「はい?」
姫「教会の事」
使用人「大丈夫ですよ。船長さんにしっかり頼んで来ましたから」
姫「そう……ありがとう」
使用人「陽が落ちれば冷えます。お部屋に戻られた方が……」
姫「そうね……今日はこれぐらいにしておくわ」
使用人「では、あの本お持ちしますね」
姫「……見つかった前編、ね」
使用人「ええ。まさか側近様が持って帰ってくるとは思いませんでしたね」
姫「盗賊が持ってたんですっけ……魔王が、持ち出してたのね」
7321 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:47:12.99 ID:rm/OF9w8P
使用人「明日、港街へ行ってきます」
姫「え?」
使用人「教会の完成まではもう少し掛かるでしょうが……」
使用人「魔除けの石を、作って頂いてきます」
姫「……貴女も、疲れているでしょうに」
使用人「名こそ頂きませんでしたが……側近様の変わりですから」
姫「……」
使用人「式を挙げるには、必要でしょう?」
姫「……そう、ね」
使用人「本を取りに行って参ります。姫様はお部屋でお待ちを」
姫「魔王に近づいて、大丈夫?」
使用人「側近様が戻られましたから大丈夫ですよ」
使用人「……本をお持ちしたら、食事の準備をしますね」
姫「ええ……解ったわ」
7331 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 10:48:03.89 ID:rm/OF9w8P
おむかえー!
んで、お昼ご飯!
734名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 10:51:12.68 ID:jhJnDof90
すべての原因はこのアホのエルフの姫
735名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 11:51:23.91 ID:h4XGWptN0
繋がりが見えたけど鬱エンドしか想像できない
736名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 12:00:18.77 ID:X7A4OsJN0
確かにこの先鬱エンドしか見えないけど、ハッピーエンドになるって願えば叶うと信じて読んでる。
7371 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 13:11:43.69 ID:rm/OF9w8P
……
………
…………

側近「チェックメイト」
魔王「ま、待て!」
側近「待たネェよ……お前、本当に弱いな」
魔王「糞……もう一回だ!」
側近「またぁ?」

コンコン、カチャ

使用人「失礼致します……何やってるんです?」
側近「おう、使用人ちゃんか」
魔王「ほら、側近早く!」
使用人「……お食事、お持ちしましたけれど」
使用人「飯だってよ、魔王様」
魔王「……食ったらもう一度だ」
使用人「チェス、ですか……」
側近「いやぁ、魔王様……びっくりするぐらい弱くてな」
魔王「うるさい!」
使用人「暢気ですね……ああ、そうだ側近様」
側近「いや、だってやる事無いんだもん。ん?」
使用人「持ち帰られた本、お借りしてよろしいですか?」
側近「ああ、良いだろう……なあ?」
魔王「ん?ああ……好きにしろ。使用人が読むのか」
使用人「私も拝見しますが……姫様が」
側近「そりゃ、暇つぶしも必要だわな」
使用人「それから、私は明日港街に向かいます」
魔王「さっき帰ったばかりだろう?」
7381 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 13:16:53.66 ID:rm/OF9w8P
使用人「ご存じでしたか」
魔王「気配を感じたからな」
側近「船長には無事に会えたんだろ?」
使用人「はい。三週間位で、港街に戻ると言うお話でした」
魔王「明日、は何故だ?」
使用人「魔除けの石を準備して頂こうかと」
使用人「後……諸々」
魔王「そうか」
側近「玉座の間の奥の部屋の様子も見ておいてくれるか?」
使用人「はい……準備は整えておきます」
魔王「……姫の様子はどうだ」
使用人「庭いじりをされて居ましたよ」
魔王「そうか……何か必要なものがあれば、揃えてやってくれ」
使用人「はい。では失礼致します」
使用人「お食事が済んだ頃に、また参ります」
使用人「……本、お借りします」

スタスタ。パタン

側近「……甘やかし過ぎじゃネェの。今に始まった事じゃ無いけど」
魔王「姫か」
側近「他に誰が居るの」
魔王「仕方あるまい。あの……エルフの森の傍で、会ってしまったからな」
側近「惚れるなよ、て何度も言っただろ?」
7391 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 13:28:43.24 ID:rm/OF9w8P
魔王「阿呆。そんなんじゃ無いって言ってるだろう」
側近「じゃあ、何なんだよ」
魔王「……なんだろうな」
側近「好きなんじゃ無いのか?そりゃ、最初は利用するつもりだったのかもしれんが」
側近「……妻の座に、今……態々、つける理由は何なんだよ」
魔王「姫は、私の為に嘘を吐いた」
側近「ん?」
魔王「エルフは嘘を吐けない。本当になってしまうから」
側近「……」
魔王「魔導の街で、盗賊に問われた時に」
魔王「あいつは、怪しまれない為に……私達は夫婦だと。そう言ったんだ」
側近「だから、叶えてやらなけりゃならん、てか?」
魔王「姫は大事な存在だ。だが……それが愛かと問われると肯定はできん」
側近「否定もできない、てか」
魔王「できるだけの事はしてやりたい。巻き込んでしまった責任はあるだろう」
側近「向こうも好きでついてきたんだろ。責任は半々じゃね」
魔王「……反対なのか?」
側近「そうじゃネェよ。言っても聞かない、てのも解ってるけどな」
側近「お前の命令は絶対だ、魔王様」
側近「それが、俺の意思だ。使用人ちゃんも同じだと思うぜ?」
魔王「……おかしな話だ」
側近「ん?」
魔王「元人間のお前達が……私の一番傍に居る、とはな」
7401 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 13:39:21.65 ID:rm/OF9w8P
側近「……」
魔王「物心つく頃には、お前が居たからな」
魔王「まさか元人間だとは思わなかったが」
側近「お前は本を読むのも好きだったしな。何時か聞いてくるだろうと思ってたんだよ」
側近「それが、俺に回復されても『ありがとう』だけだしなぁ」
魔王「側近は側近だからな。元が人間であろうが、何だろうが別に気にならん」
側近「……そうか」
魔王「一ヶ月、程か」
側近「ん?」
魔王「……姫と、港街に出向くまで、だ」
側近「それまで、無茶はすんなよ。折角なんだから」
魔王「解ってる」
側近「……こんなのんびり出来る様になる時が来る、方が」
側近「俺にはびっくりだよ」
魔王「何時も忙しそうだもんな、お前」
側近「誰の所為だと思ってんだよ!」
魔王「親父も、一緒だったか?」
側近「……俺に勝ったら教えてやるよ。ほれ」
側近「もう一回勝負するんだろ?」
魔王「良し……次は負けんぞ!」

……
………
…………

姫(光に選ばれた運命の子、勇者……が、魔王を倒すお話、ね)ペラ
姫(結構なボリュームがあるのね……全部読むのは、時間が掛かりそう)ペラ
7411 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 13:53:20.54 ID:rm/OF9w8P
姫(……『少年は、王の部屋と言うには粗末な装飾で飾られた部屋へと通された』)
姫(『道中、ちらと見た外観も、お世辞にも立派とは言えず、内部の廊下も』)
姫(『豪華と言うには物足りない物だった。塵一つ落ちていないのは流石、掃除が行き届き』)
姫(『清潔に保たれている様子は見て取れたが、これが所謂王城かと思うと』)
姫(『少年の心に、小さな不安が浮かぶのも無理はなかった』……)

コンコン

姫「はい?」
使用人「失礼致します、姫様」カチャ
姫「ああ……もう、行くの?」
使用人「ええ、何かご用はありますか?」
姫「いいえ……大丈夫よ。ある程度の事は自分でするわ」
使用人「食事の支度などは、使い魔に言いつけてあります」
使用人「数日で戻るつもりですが……」
姫「解ったわ……私は、この本読んで暇つぶしてる」
使用人「……雨、早くあがると良いですね」
姫「そうね。そしたら、庭に出れるんだけど」
使用人「なるべく早く、戻ります。くれぐれも無理はなさいません様に」
姫「ええ……気をつけて行ってらっしゃい」
使用人「はい。それでは失礼致します」

カチャ……パタン

姫「……」
姫(どこまで読んだかしら……ええと)
姫(『少年は先日、15歳の誕生日を迎えたばかりだった』)
姫(『母親手作りのケーキと、普段より贅沢な食事。そして』)
姫(『笑顔で告げられる、お誕生日おめでとうの言葉が少年の心を満たした』)
姫(『母親から常に言い聞かされてきた、勇者の二文字も』)
姫(『この時の少年には、誇らしく感じられるばかりだった』)
7421 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 14:19:46.40 ID:rm/OF9w8P
……
………
…………

シュウン……スタ!

使用人「ここは……」キョロ
使用人(ああ、港の外れ……ですか)
使用人(丘の上……と、側近様言ってましたね)スタスタ
娼婦「こちらでよろしいですか、神父様」
神父「ええと……はい、そうですね。後……む?」チラ
神父「……!」
使用人「……」ペコ。スタスタ
娼婦「まあ、少女……いえ、使用人さん、でしたね、今」
使用人「お久しぶりです。娼婦さん」
神父「使用人……さん、貴女が、ですか……」
使用人「貴方が、魔除けの石を作られたのですね?」
神父「側近さんから、お聞きになった、のですね」
使用人「はい……使用人と申します」
神父「元人間で……今は魔族になられたと言う」
神父「……魔導の街の出身の方」
使用人「……そうです」
神父「…… ……神父、と申します」
娼婦「どうしたのですか、使用人さん……今日は、側近さんは?」
使用人「側近様は……魔王様の傍から離れられません」
娼婦「え?」
使用人「……盗賊さんは、どこにいらっしゃいますか?」
娼婦「街の方に居ると思います。毎日……忙しく走り回っていらっしゃいます」
娼婦「それより、あの……魔王様は、どう……?」
使用人「……ご説明の前に、盗賊さんを呼んできて頂けませんか?」
7431 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 14:26:24.67 ID:rm/OF9w8P
使用人「お使いだてして申し訳ありませんが、余り……私の様な者が」
使用人「街へ行かない方が良いでしょう」
神父「私が、呼んで参りましょう」
娼婦「あ、いえ、私が……」
神父「……お知り合い、でしょう?」
神父「どうぞ、お話していてください。すぐに戻りますよ」スタスタ
使用人「ありがとうございます……すみません」
娼婦「あ、あの……」
使用人「今日は、お願いがあって参りました。神父さんと……娼婦さんに」
娼婦「私にも、ですか?」
使用人「詳しくは、二人が戻られ次第お話します」
使用人「……お加減は、如何です?」
娼婦「……特に、変わりはありませんよ。皆様、良くして頂いて居ます」
使用人「そうですか……良かった」
娼婦「……」
使用人「そんなに、不安そうな顔をしないで下さい。今現在、魔王様は元気ですよ」
娼婦「あ……す、すみません」
使用人「……」
娼婦「姫様は……?」
使用人「少し、お腹が目立って来ましたね」
娼婦「もうすぐ……いえ、随分、時間が掛かるのでしたね」
使用人「そう……ですね」
娼婦「……」
使用人「……」
使用人「……魔除けの石、は」
娼婦「え?」
使用人「神父さん、が作られたのですね?」
7441 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 14:40:01.51 ID:rm/OF9w8P
娼婦「え、ええ。そうです。私では……あんなに、清浄な物は……」
使用人「すぐに、作れるのですか?」
娼婦「随分、体力を使われますから……どうでしょう」
娼婦「こんな言い方をしては随分偉そうですが、凄く上手になられました」
娼婦「コツも掴まれたようですし……」
使用人「そうですか……」
娼婦「この分では、数ヶ月すれば出荷できるかも知れませんね」
娼婦「神父様は、商売にするのは嫌がっておいでですが……あ」

盗賊「ほら、神父さん、早く!」パタパタ
神父「さ、先に行ってください、盗賊さん……」ハァハァ

使用人「相変わらずですね」クス
娼婦「……貴女は、変わりましたね」
使用人「え?」
娼婦「見た目こそ……変わらないけれど」
娼婦「……」
使用人「船長さんにも言われました」
娼婦「今の環境が、あっているのでしょうね」
使用人「そうかも知れませんね」
盗賊「少女ー!ひさしぶりだな!」ダキッ
使用人「……ッ お久しぶりです、盗賊さん。私は……今は、使用人と言う名です」
神父「はあ……お待たせしました」
娼婦「だ、大丈夫ですか、神父様……盗賊、もう……!」
神父「いえいえ、平気ですよ……喜ぶ気持ちも分かります」
盗賊「珍しいなぁ、しょ……えっと、使用人か」
盗賊「側近はどうしたんだ?」
7451 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 14:55:05.18 ID:rm/OF9w8P
使用人「……」
盗賊「使用人?」
使用人「側近様は、今……魔王様の傍を離れられません」
盗賊「え?」
神父「先ほども仰ってましたが……どういう意味です?」
神父「それに……その話は、私達が聞いて良い物なのですか」
娼婦「使用人さんは、私と神父様にお願いがあって来たと……仰いましたね」
使用人「はい。側近様から、貴方達にある程度の話はしたと聞いています」
使用人「知識があるとの前提でお話しします」
使用人「……魔王様の力は、あり得ない程強くなっています」
盗賊「それが……側近とどう……?」
使用人「側近様は魔王様の目をお持ちです。魔王様曰く……」
使用人「『私の全てが揃えば、大丈夫』なのだとか」
盗賊「それで……城から出れないのか。姫は大丈夫なのか?」
使用人「今はまだ、ペンダントがあります。ただ……魔王様の様子を考えると」
使用人「備えがあれば安心かと思いまして」
神父「魔除けの石をご所望、ですか」
使用人「はい……以前頂いた物は、魔王様が触れた途端に……」
神父「まさか……壊れた?」
使用人「はい。 ……申し訳ありません」
娼婦「……」
神父「いえ……謝る必要はありません。そう、ですか……」
盗賊「この間、側近が癒やしの石持って帰ったろ?」
使用人「……癒やしの石では、もう役に立たないのですよ」
盗賊「え!?」
使用人「城にある半分以上が、紫に染まってしまい」
使用人「もう……役に立たないのです」
7461 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 16:01:20.50 ID:rm/OF9w8P
神父「なんと……」
使用人「……このまま、魔力が膨張し、もし……暴走でもすれば」
盗賊「そ、そんな事になったら、姫は……!」
使用人「姫様だけではありません……世界が、終わります」
娼婦「……」
神父「……世界が、終わる」
盗賊「な、なんでだよ!?そんな……!」
使用人「そういう可能性もある、ですが」
娼婦「それで……姫様を守る為に、魔除けの石を?」
使用人「それだけではありません。もしかしたら、魔王様のお力を」
使用人「押さえる事もできるか……と」
神父「ふむ……」
盗賊「で、でも……壊れた、んだろう」
使用人「数の勝負、になりますが……」
神父「世界の破滅、等と聞かされてしまうと拒否する事もできませんね」
使用人「……解っていて申し上げている事は否定致しません」
盗賊「そんなに、悪い、のか。いや、悪いとかじゃネェじゃ」
盗賊「ええと……」
使用人「勿論、癒やしの石もお願いしたいんです。本当に……」
使用人「気休めにしかならないんですが……」
神父「しかし、私も歳です。それ程量産できる訳ではありませんよ」
神父「時間も、掛かります」
使用人「数日はお世話になります。宿はある……のですよね?」
盗賊「うちに泊まれば良いさ。娼婦も……良いよな?」
娼婦「え、ええ……それは、勿論」
7471 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 16:22:29.80 ID:rm/OF9w8P
使用人「ありがとうございます」
使用人「それから……船長さんにはもう伝えたのですが」
盗賊「え……船長に会ったのか?」
使用人「ええ、こちらに来る前に、鍛冶師の村に寄って参りました」
盗賊「! そ、そうか……」
使用人「ここの教会の完成を急いで貰う為です」
神父「この? ……何故です」
使用人「魔王様と、姫様が……ここで、式を挙げられるのだと」
娼婦「結婚式、ですか……」
使用人「はい……姫様のご希望で」
神父「……成る程。それも、貴女がここに来られた理由、ですか」
使用人「はい」
神父「失礼ながら。魔王にしてもそうですが……貴女も、側近さんも」
神父「どうして、その姫さんに……そこまで」
使用人「……私と、側近様は『魔王様が望まれるから』でしょうね」
神父「主だから、ですか」
使用人「はい」
神父「……主は絶対、ですか」
使用人「はい」
神父「……」
使用人「魔王様は……式の後、とある場所に姫様を眠らせると仰られています」
娼婦「え……?」
使用人「その後、ご自分も封印の為、眠りに着くおつもりです」
神父「何故……ですか。何故そのような……」
使用人「長い月日が流れれば、ご自分を倒してくれる勇者が現れるかもしれないと」
娼婦「!」
使用人「そうすれば、その後、姫様に……産まれて来るお子様に」
使用人「魔王様が好きだと言う……美しい世界を見せてやれるから、と」
盗賊「……」
神父「その子供、と言うのは……魔王の子では無いと側近さんから聞いていますが」
使用人「ええ……魔王様の世代交代の事は?」
神父「聞きましたよ。力を継承していく、のですよね?」
7481 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 16:43:59.75 ID:rm/OF9w8P
使用人「はい……世継ぎが居ない以上、魔王様を倒せるであろう者は」
使用人「今の段階では居ないのです。それこそ……勇者様でもお生まれにならないかぎり」
神父「……」
盗賊「……」
娼婦「……」
使用人「……」
神父「一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか。少し……話は逸れますが」
使用人「え?ええ……なんでしょう」
神父「魔王の属性というのは……何なのです?」
神父「紫の瞳を持ち、様々な属性の魔法を使えると聞いております」
盗賊「それは確かだ。魔王は……魔導将軍を殺す時、姫の姿で……」
盗賊「……俺は間近で見てた。ありゃ……なんて言うか……」
使用人「規格外、ですか」
娼婦「……」
使用人「側近様にも、聞かれたのかもしれませんが」
使用人「解りかねます、としか……」
使用人「しかし、優れた加護はお持ちにならないそうですよ?」
神父「え!?魔王……なのに、ですか」
使用人「姫様から聞いただけ、ですが……嘘では無いでしょう」
盗賊「そうだな。エルフは嘘は吐かない」
7491 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 16:53:08.81 ID:rm/OF9w8P
神父「そうですか……そういえば、以前聞きそびれましたね」
神父「魔王、と言うのは……代々、紫の瞳をし」
神父「属性に縛られない存在、なのでしょうか」
使用人「……私には、わかりません。側近様ならご存じかも知れませんが」
娼婦「あの方は、先代様にも仕えていらっしゃったのですよね」
使用人「はい」
盗賊「……わかった、て」
使用人「はい?」
盗賊「解った、て納得しなきゃ行けないのか!?」
娼婦「盗賊……」
盗賊「折角……折角、軌道に乗ってくるって時に!」
盗賊「遊びに来るって、約束したのに……!」
娼婦「……では、その約束を守って頂くためにも」
娼婦「協力、すれば良いでしょう」
神父「娼婦さん……」
娼婦「私からもお願い致します、神父様」
娼婦「……結婚式を、挙げさせて差し上げてください」
神父「……」
使用人「お願い致します」
盗賊「……俺、手開いてる奴探してくる!」タタタッ
神父「あ、盗賊さ……!」
使用人「……」
娼婦「……」
神父「…… ……別に、反対する気はありませんよ」
娼婦「神父様……」
神父「娼婦さんは、よろしいのですか。貴女は……」
娼婦「良いのです」
使用人「……」
7501 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 16:59:13.18 ID:rm/OF9w8P
娼婦「魔王様の望みだと言うのであれば、私は……」
娼婦「……良い、のです」
神父「やれやれ……」スタスタ
使用人「神父さん……何処へ?」
神父「私からもお願いして参りましょう。一人より二人、です」スタスタ
娼婦「……」
使用人「……ありがとうございます」
娼婦「……使用人、さん」
使用人「はい?」
娼婦「私に……魔除けの石……と、呼べるかどうか解りませんが」
娼婦「作らせていただけませんか」
使用人「え?」
娼婦「神父様は、私にも魔除けの石を作る様仰っておられました……最初は」
使用人「最初、ですか?」
娼婦「はい……私は、神に仕えると言いながら」
娼婦「心に崇めるのは……ずっと、魔王様でした」
使用人「……」
娼婦「私の、神。 ……それに、私はインキュバスと交わって居ます」
娼婦「寿命も、残り少ない。そんな事を理由に……断っていたのです」
使用人「神父さんはご存じなのですね」
娼婦「ええ。こんな私の作った石では、神聖である筈がありませんから」
娼婦「神父様は……否定はされませんでしたよ」
娼婦「そんな事無いと、言ってはあげたい……とは、言って下さいましたけれど」
使用人「……」
娼婦「でも、だからこそ」
娼婦「……魔王様を想う、私だからこそ」
娼婦「魔王様のお力を押さえるのに、お役に立ちませんか?」
7511 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:07:35.64 ID:rm/OF9w8P
使用人「……何時言おうか、と考えて居ました」フゥ
娼婦「え?」
使用人「同じ事を、こちらからお願いするつもりだったのです」
使用人「貴女は、魔王様の為にとお願いすると断らない事は……明白ですから」
娼婦「……城の書庫で、貴女には見られていましたね」
使用人「それだけじゃありませんよ。娼婦さんを見ていれば……魔王様を」
使用人「慕っている事は解ります……娼館に居る時から、でしょう」
娼婦「ああ……そう、ですね。魔導将軍に傷付けられた時」
娼婦「看てくれて居たの……貴女、だった」
使用人「魔王様は……貴女の勇者様でしょう」
娼婦「……はい」
使用人「私が言うのはおかしいのだという事を承知で、聞きます」
使用人「良いんですか?」
娼婦「お役に立てるのでしたら、喜んで」
使用人「寿命を削りますよ」
娼婦「元より……それほどの時間もありません」
使用人「インキュバスの元から帰ってきた時点で、一年です」
使用人「……もし、石を作れば……貴女は……」
娼婦「すぐに、とは思いません。ですが……」
使用人「……」
娼婦「良いんです。魔王様は、私の主。私の……勇者様」
娼婦「同じですよ、使用人さん」
娼婦「魔王様の為ならば……喜んで、差し出しましょう」
使用人「……」
娼婦「使ってください。魔王様の為に」
娼婦「……美しい、世界の為に」グッ
使用人「! 娼婦さ……!」
娼婦「う、ぅ……ッ」コロン……フラ
使用人「……!」ガシ!
娼婦「……魔王様。願えば、叶う……ん、です……よ、ね……」
使用人「娼婦さん!」
7521 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:19:23.97 ID:rm/OF9w8P
使用人(……気を失っている、だけか。良かった)
使用人「盗賊さんの家に……ッ」
使用人「……ありがとうございます。娼婦さん」スタスタ

……
………
…………

船長「……はあ」
女剣士「お願いします!」
鍛冶師「僕からもお願いします」
船長「資材の運び込みと、魔物退治の報酬は微々たるモンだ」
女剣士「船長……」
船長「港街に着いたら、こき使うぜ。女であろうとも、だ」
女剣士「も、勿論だ!体力だけには自信ある!」
船長「心配しなくても頭が切れるタイプには全く見えネェよ」
鍛冶師「船長!」
船長「事実だろ……向こうでの労働の報酬は、後日盗賊から受け取れ」
船長「鍛冶師、渡航代は二人分で……」カキカキ
船長「こんだけ、だ」
鍛冶師「立て替えるだけだ。後できっちり、返して貰うからね?」
女剣士「勿論だ……ありがとう……!」
鍛冶師「良し……じゃ、これで」
船長「ん……きっちり頂いたぜ。良し、すぐ出発だ」
船長「船室には海賊に案内させる」
女剣士「アタシは甲板にいる!魔物に備えるぜ!」タタタ
船長「……落ち着きの無い女だな」フゥ
鍛冶師「ありがとう、船長」
船長「人手はあって困るもんじゃ無い……しかし、お前も本当に物好きだな」
7531 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:26:44.91 ID:rm/OF9w8P
鍛冶師「魔王の仲間、なんだろう。側近ってのは」
船長「……お前、まさか」
鍛冶師「……」ニッ
船長「魔法剣か! ……なんか企んでやがるとは思ったが」
鍛冶師「利があるならこれぐらいの出費、痛くはないさ」
鍛冶師「まあ……約束は守ってくれるだろうしね、女剣士も」
船長「応援したいとか言ってたくせに、お前は……」
鍛冶師「別に嘘じゃないよ。気持ちは分かるもの」
船長「恋する女の気持ちが、か?」
鍛冶師「……村に来る前に、さ」
船長「?」
鍛冶師「盗賊に……告白したんだ」
船長「は?」
鍛冶師「は、て……」
船長「盗賊に……何をだよ」
鍛冶師「こ、告白って言えば一つしかないだろ!?」
船長「…… ……あ! ……そういえば、お前ら二人揃って顔マッカにしてたな」
鍛冶師「船長……意外と鈍いんだな」
船長「だから、人の色恋なんざ興味ネェって!」
船長「しかし、まあ……お前が盗賊を、ネェ……」
鍛冶師「……別に、良いだろう。良い子だよ、盗賊は」
船長「悪いとは言ってないだろ、良いよ何でも……そんなもん」
船長「なんだ、じゃあ……付き合ってんのか?」
鍛冶師「返事は……まだ貰ってない」
船長「へ!?」
鍛冶師「引っ越しの準備をしたら、港街に戻るから」
鍛冶師「そしたら、聞かせて貰う」
7541 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:42:03.91 ID:rm/OF9w8P
船長「な、お前……返事もわかんねぇのに、引っ越すのか!?」
鍛冶師「な、何か厭じゃないか!成功したら引っ越しますとか!」
鍛冶師「振られたからって、引っ越しやめる気は別に本当に……無かったし」
船長「はぁ……」
鍛冶師「港街は港街で、気に入ってるんだよ!そ、それに……」
鍛冶師「それだけ……本気なんだよ!僕は!」
船長「お、おう」
鍛冶師「……」
船長「いや、うん……頑張れ……」
鍛冶師「も、もう頑張った後なの!」
船長「いや、まあ……そうか」
鍛冶師「ぼ、僕も部屋に戻るよ!」スタスタ
船長「あ……待て、鍛冶師!」
鍛冶師「な、何?」
船長「……ちょっと相談があるんだが」
鍛冶師「相談?」
船長「今の話で、ちょっとな……思いついたんだが」
鍛冶師「?」
船長「お前さ……始まりの街に住む気はネェか」
鍛冶師「え!?」
船長「港街が気に入ってる、てのは解ってる」
船長「……まあ、そろそろ町長の選出とかもあってだな」
鍛冶師「町長……」
船長「そうだ。俺も含め、住人の殆ども盗賊を押してるんだが」
船長「あいつは断固拒否、なんだ。『俺の器じゃネェ』ってな」
鍛冶師「……盗賊らしいね」
7551 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:52:55.72 ID:rm/OF9w8P
船長「実際、あいつは腰軽いからな。魔導の街との交渉役なんかも」
船長「やってくれてるしよ」
鍛冶師「……始まりの街、てのは魔王に言われたからか?」
船長「それもネェとは言わんが……船での流通の範囲を拡大したいってのもある」
船長「定期便も増やしたい。俺や、船の仲間の為にも、な」
鍛冶師「ふむ……けど、それと僕が始まりの街に住むのと」
鍛冶師「何の関係があるんだ?」
船長「始まりの街を本当に再興しようと思えば」
船長「指導者が必要だ。港街を別の人間に任せられるなら」
船長「盗賊の身も、あくだろう?」
鍛冶師「……いや、だから」
船長「だからお前と、盗賊で……だ」
鍛冶師「は!?」
船長「ま……お前らがうまくいったら、て前提だがな」
鍛冶師「……」
船長「別にすぐ答えを出せとは言わネェよ……考えといてくれ」
7561 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/29(水) 17:53:50.00 ID:rm/OF9w8P
お風呂とご飯!
またあしたー!
757 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/05/29(水) 18:45:00.91 ID:vghWd75Y0
おつおつ
758名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 19:26:43.38 ID:caZc5bW2P
おつー
がんばったね
759名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 20:20:25.10 ID:QVcg/gjC0
1は出来るBBA
もっとやっても良いんだよ。
760名も無き被検体774号+:2013/05/29(水) 23:29:02.14 ID:Q0ZivWj/0
出来るbba大好きだ
761名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 00:00:13.65 ID:/HClqfJBP
まったりチェスだの結婚式の手配だのほのぼのしくさりよって
ただでさえ嵐の前の静けさっぽいのに前作とリンクしているかも
知れないと思うと胃が痛くなるな……
762名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 00:57:11.35 ID:JsHhI74zO
ここ数日目から汁流しながら読んでる

ハッピーエンドにして欲しい!

紙媒体で読みたいよ!!
763名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 03:00:19.26 ID:vVbMhpLc0
女にしちゃ理攻めしてきそうだよなこのBBA
はい、論破wwwってしてそうだ
7641 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 09:22:48.25 ID:nJZbnH5sP
おはようー!
今日もお迎えまで!
7651 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 09:33:33.96 ID:nJZbnH5sP
鍛冶師「でも、僕は……」
船長「港街が気に入ってる、だろ? ……解ってるよ」
鍛冶師「いや、そうじゃない。それもあるけど」
鍛冶師「盗賊はともかく、だ。僕にこそ、そんな人を纏める、だなんて……」
船長「それは盗賊の仕事だ。お前には……ま、そうだな」
船長「縁の下の力持ち、て奴?」
鍛冶師「……要するに、盗賊を説得しろと言いたいのか」
船長「頭の良い奴は話してて助かるね」ニヤ
鍛冶師「……船長こそ、そういうのに向いてるじゃないか」
船長「俺?」
鍛冶師「そうだよ。なんだかんだ言って、率先して動いてるのも指示出してるのも」
鍛冶師「船長だろう……勿論、盗賊の力もあるんだろうけどさ」
船長「俺は海賊だ。海賊は陸に上がらネェ」
船長「死ぬ時も海の上が良い……それに」
船長「俺がまとめるのは海賊共だ。率いて行くのも、だ」
鍛冶師「……」
船長「それも陸の上の事を任せる奴が居ないと、立ち行かネェだろ?」
鍛冶師「……考えておく」
船長「おう。だが、忘れるなよ?」
鍛冶師「?」
船長「お前さんには断る権利もある。盗賊にもな」
船長「この話は……俺の理想、だ」
鍛冶師「……やっぱ優しいね、船長は」
船長「買いかぶるな。俺たち海賊共の未来の利を考えてるだけさ」
7661 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 09:46:22.63 ID:nJZbnH5sP
……
………
…………

姫(『おめでとう。どこか複雑な笑顔で少年に祝いの言葉を告げる、母親の顔を思い出す』)
姫(『この日をどんなに夢見たか。お前が立派な男になって、旅立つ日が待ち遠しかった』)
姫(『笑顔で行ってらっしゃいを言わなきゃいけないのに、おかしいな。母さん……』)
姫(『何だか、目の前が曇ってる』)
姫(『……そう言って、母親の頬に涙が伝ったのを思い出す』)
姫(『少年は一つ、震えるため息を落とした。母親は寂しいとも告げた』)
姫(『立派な勇者になって欲しい。だけど、とても寂しい……と』)フゥ
姫「……雨、強くなって来たわね」

コンコン

使い魔「姫様、失礼致します」
姫「ええ……何?」
使い魔「そろそろ休まれた方がよろしいかと」
姫「え、そんな時間……? 解ったわ、ありがとう」パタン
使い魔「いえ。何かありましたら、お声をおかけください」
姫「……魔王と、側近は?」
使い魔「扉の前までお食事を運びには行くのですが……中までは……」
姫「今は大丈夫……て、言っても怖いわよね」
使い魔「……申し訳ありません」
姫「あ、ごめんなさい、責めてる訳じゃないのよ」
使い魔「はい……では、失礼致します」カチャ……パタン
姫「使用人、濡れて無いと良いけど……」
姫(続きは明日……ね)
7671 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 09:56:35.85 ID:nJZbnH5sP
……
………
…………

神父「全く、無茶をする……」フゥ
使用人「申し訳ありません」
盗賊「娼婦……大丈夫なのか?」
使用人「……」
神父「力の使いすぎ、と言う奴でしょうね……貴女が謝る事ではありません」
神父「ありません……が、使用人さん」
使用人「……はい」
神父「ある程度、事情は理解しています。が……私には意見する権利もあると思っています」
使用人「……」
盗賊「神父さん!」
神父「別にね、怒ったり反対したり……では無いのです、盗賊さん」
神父「事情を理解しているつもり……そう、言いましたが」
神父「だからといって、納得はできないのですよ」
使用人「ご尤もです」
盗賊「……」
神父「勿論、娼婦さんの望みではあったでしょう。それをどうこう言う権利は私には無い」
神父「ですが……気にしなくて良いですよ、とか」
神父「私には、言って差し上げられないと言うのは、理解してください」
使用人「解っています」
神父「お会いして……そう長い時間ではありません」
神父「ですが、ね。娘の様に思っているのです」
神父「ましてや……今まで、苦労されてきたのです。辛い目にも……遭われてきた」
盗賊「……」
神父「勿論、娼婦さんだけ特別だなんて言う訳ではありません」
神父「劣等種などと呼ばれ、不必要に迫害されてきた方々、皆様もです」
7681 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 10:19:51.47 ID:nJZbnH5sP
盗賊「……」
神父「片腕を奪われ、精を吸われ……残る命も多くない」
神父「なのに娼婦さんは、まだ……進んで身を捧げようとする」
神父「誠に……立派な祈り女でいらっしゃる」
神父「ただ、何故その対象が我らが神では無く、あろう事か魔王であるとは」
使用人「……」
神父「私は、聖職者として長い時を生きてきました」
神父「それは貴女方魔族に比べればちっぽけなものであろうとも」
神父「人としての私には、充分に長い時間です」
神父「その、積み重ねを思うと……納得など、出来ないのですよ」
神父「何故、この方ばかりが……と、思わずには……!」
娼婦「……神父、様。もう……良いのです」
盗賊「娼婦!気がついたのか!」
使用人「娼婦さん……」
娼婦「それ以上は、もう……」
神父「……」
娼婦「神父様は、以前言われました……信仰する者により、神の形は変わるのだと」
娼婦「ですがそれが魔王様であれば、神に仕える者である以上、認められないのも」
娼婦「解って、います……だから」
娼婦「その先は、考えないでください」
娼婦「……神父様の、信仰の為に」
使用人「……」
神父「……」
7691 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 10:27:33.82 ID:nJZbnH5sP
盗賊「娼婦……無理に喋らなくて良い」
娼婦「……大丈夫、ですよ」
娼婦「使用人さん、私の魔石……受け取ってくださいましたか?」
使用人「はい。ここに……」コロン
神父「……美しい、海の様に深い、青ですね」
神父「しかし……これは……」
娼婦「はい。魔除けの石とは呼べないでしょう……やはり」
神父「……」
使用人「必ず、魔王様に届けます」
娼婦「貴女が私にお願いしたい事、叶えられました。良かった……」スゥ
盗賊「娼婦!?」
神父「お静かに……眠られただけ、です。余程疲れたのでしょう」
盗賊「そ、そうか……」
神父「使用人さん」
使用人「はい」
神父「お話は伝えておきました。この街での初めての結婚式です」
神父「明日から……早速建築に掛かって下さるそうです」
使用人「……ありがとうございます」
盗賊「ただし、街の仕事が終わってからの残業だ。手当は貰うぜ?」
使用人「勿論です。資材は……足りますか?」
盗賊「かき集めてはみるが、本格的には船長達が戻ってからだ」
神父「貴女が魔王の元へ戻るまで、新婦の為に……私は魔除けの石を作りましょう」
使用人「……お願い致します」
神父「では、私も宿へ戻ります」
盗賊「あ、送っていくよ、神父さん!」
盗賊「使用人はゆっくりしていてくれ。すぐ戻る!」
7701 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:07:05.81 ID:nJZbnH5sP
使用人「え、ええ、わかりました」
神父「別に大丈夫ですよ、盗賊さん」
盗賊「遠慮すんな、行こうぜ」スタスタ

パタン

神父「何です?」
盗賊「……本当は、どうなんだ?」
神父「娼婦さん、ですか……」
盗賊「他に何があるんだよ」
神父「私にはそのエルフの姫の様に感じる力はありませんからね」
盗賊「……」
神父「命の炎、とやらは……解りません、が」
神父「今日明日、どうこうという事は無いでしょう。お疲れではあるでしょうが」
盗賊「でも……やっぱり、寿命削ってる事に違いはないんだろう?」
神父「……」
盗賊「……」
神父「はっきりとは解りませんよ。そりゃ……誰でも、ね」
神父「例えば、老いれば。病床にいれば。無茶をするなと諭すでしょう」
盗賊「ま、あ……そりゃ」
神父「同じと……思って良いと思います」
神父「娼婦さんは、無理して魔力を使うと……やはり」
盗賊「……そう、か」
神父「それが聞きたかったのですか?」
7711 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:15:08.22 ID:nJZbnH5sP
盗賊「うん……後、さ」
神父「はい」
盗賊「さっきの、使用人にしてた話……まあ、娼婦が止めた話、かな」
盗賊「俺には良く……わかんかったから」
神父「信仰のお話ですか……こればかりは、難しいですね」
神父「長くなりますし……まあ、簡単に言うと」
神父「理解は出来るが賛同は出来ない、という事です」
盗賊「ん……ん?」
神父「ええと、ね。そうですね……」
神父「私は、神に仕えています。娼婦さんもそう仰ってますよね」
盗賊「うん」
神父「私の言う神、は一つです。天に召します我らが神……です」
神父「娼婦さんの神も……一つです。彼女は魔王を『私の神』だと言う」
盗賊「うん」
神父「けれど……それを私は、神とは認められません。神は絶対であり唯一ですから」
神父「それが私の『信仰』です」
盗賊「……うん」
神父「私は娼婦さんに、神は崇める物により、形を変える物だと言いました」
神父「お話に出てくる天使の様な絵であったり、太陽その物であったり……」
神父「描く姿が違うだけで、それは確かに神なのです」
神父「ですが……それを魔王と言う物に置き換える事はできない」
神父「魔王は、魔の王として存在してしまっている物で有り、ましてや魔であるのです」
盗賊「……」
神父「娼婦さんの、神として崇めて良いと思える程相手を想い、崇める気持ちを」
神父「頭で、理解は出来ても。認める訳には、行かないのですよ」
盗賊「うん……ごめん、解らん」
神父「……良いんですよ」
7721 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:29:25.23 ID:nJZbnH5sP
神父「彼女は確かに立派な祈り女です。ですが……神に仕える聖職者では無いのです」
盗賊「で、でも……」
神父「表だって否定はしません。ですが……認められません、私には」
神父「認めてしまうと……私は、聖職者では無くなってしまいますからね」
盗賊「……さっきの話、か」
神父「……」
盗賊「考えなくて良いって言ってたけど……」
神父「言ったでしょう。娘の様に思うのですよ」
神父「どうして娼婦さんだけ、と考えて行くと……ね」
神父「『不公平』にたどり着くのです」
盗賊「不公平……?」
神父「はい。どうして、娼婦さんだけ……」
神父「……この先は、私には言えません」
盗賊「そう、か……悪い」
神父「いいえ……さ、ここで結構ですよ。宿は目と鼻の先です」
神父「もう暗いですから……お気をつけて」
盗賊「ああ。おやすみ、神父さん」タタタ
神父「おやすみなさい……」
神父(……神様。この世は……一体、どうなって行くのです?)
神父(人の身で……知る事は罪なのでしょうか)

……
………
…………

カチャ、パタン

盗賊「あれ、まだ起きてたのか」
使用人「はい……」
盗賊「娼婦は、どうだ?」
使用人「呼吸は落ち着いています」
7731 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:35:46.18 ID:nJZbnH5sP
盗賊「そうか……なあ、もう一回、見せて貰っていいか?」
使用人「?」
盗賊「さっきの……娼婦の作った石、さ」
使用人「ああ……どうぞ」コロン
盗賊「これ……さ」
盗賊「俺は良くわかんないけど……魔王、壊さないかな」
使用人「私には……解りません。ですが」
使用人「娼婦さんの思いがこもっていますから」
盗賊「……綺麗な青だな」
使用人「はい」
盗賊「あの、さ」
使用人「はい」
盗賊「厭な事、聞いても良いか?」
使用人「……なんでしょう」
盗賊「俺が……俺たちだけが、知人の助けで魔導の街から逃げ出した時」
盗賊「やっぱり……怨んだか?」
使用人「他の人は解りません、が……私は、別に」
盗賊「……そう、か」
使用人「娼婦さんも、同じだと思いますよ」
盗賊「お前達って、俺たちも知人も死んだって聞かされてたんだよな?」
使用人「そうですね。婿入りを断られた知人さんが……と言う内容でしたが」
盗賊「……」
使用人「私は、酔った魔導将軍から色々聞かされていました」
使用人「どうやって知人を殺したか、事細かく……まで」
盗賊「……ッ」
7741 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:48:21.78 ID:nJZbnH5sP
使用人「魔王様の手であの街が、劣等種が救い出され」
使用人「こうして……自由になれた。魔王様が救って下さった」
使用人「私は、魔導将軍の手が着く迄、他の方達の様に客を取らずに済みました」
使用人「でも……それも、運が良かっただけです」
盗賊「……」
使用人「もし、なんて考えても……意味ありませんよ、盗賊さん」
盗賊「い、いや……俺は、別に……」
使用人「……誰も、怨んで等、いませんよ」
盗賊「……そう、かなぁ」
使用人「この街にも娼館があります。私は覗いては居ませんが」
使用人「厭なら、辞められるんです。すぐに」
盗賊「……俺、さ。娼婦が……ッ」グスッ
盗賊「良くて、やってる事、って解ってる、けど…… けど……ッ」
使用人「……申し訳、ありません」
盗賊「違うよ!使用人が謝る事じゃない!でも……!」
使用人「もしあの時、こうだったら……ですか?」
盗賊「……意味が無い、って言うんだろ」
使用人「はい。ですが……」
使用人「選ぶのは自分自身です。何時だって……」
盗賊「うん……」
使用人「ごめんなさい。なんと……その。言って良いか」
使用人「こういうのは、苦手です」
盗賊「……悪い。大丈夫だ」ゴシゴシ
使用人「……」
7751 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 11:55:33.40 ID:nJZbnH5sP
盗賊「折角自由になれたのにさ。娼婦も、娼館でまだ働いてる奴らも……」
盗賊「好きな事できるんだ。いや、皆好きな様にやってるんだって事は解ってる」
盗賊「でも、さ……」
使用人「『自由』の定義は人それぞれですから」
使用人「私の様な道を選ぶのも、見る人から見れば愚かと言われるでしょう」
盗賊「……でも、望んだ結果だろ?」
使用人「そうですよ。だけど……この街を救った勇者が、魔王様だったばかりに」
使用人「熱に浮かされているだけだと言われても仕方ありません」
盗賊「……気持ち、てのは難しいな」
盗賊「魔王も、姫も何も悪く無いと解ってはいるのに」
盗賊「どうして……娼婦ばっかり、って……思っちまうよ」
使用人「……娼婦さんが選んだ道を、邪魔する権利はありません」
盗賊「でも、お前は……気持ちをしって利用しようとした、だろ?」
使用人「否定はしません。本人にも言いましたが、拒否される事は無いと解っていました」
使用人「……責めても良いのですよ。責められて当然です」
使用人「私は、私の主の為に、娼婦さんに命を投げ出せと言ったのです」
盗賊「……責めねぇよ。責められネェだろ」
盗賊「娼婦が……望んだ事だ」
使用人「……」
盗賊「お前は……使用人は、さ」
使用人「はい?」
盗賊「魔王が好きなのか?」
使用人「……我が主、ですから」
盗賊「……」
使用人「それに、姫様がいらっしゃいます」
盗賊「愛し合ってるのか?あの二人は」
使用人「愛、では無いと。姫様は仰っていらっしゃいました」
使用人「好きだけれど。大事だけれど……と」
7761 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 12:01:05.17 ID:nJZbnH5sP
盗賊「……良くわかんネェや」ゴロン
使用人「私にも、わかりません」
盗賊「お前も、愛じゃないって言うのか?」
盗賊「じゃあ……愛って、何だよ」
使用人「娼婦さんに聞いてみれば良いのではないですか?」
盗賊「……確かに、ありゃ愛、だな」
使用人「深い深い海の色……」
盗賊「え?」
使用人「娼婦さんの魔石、です」
盗賊「娼婦の瞳の色だろ」
使用人「……海の様に深い、愛の色」
盗賊「……似合わネェ」
使用人「悪かったですね」
盗賊「……」
使用人「……雨」
盗賊「え?」
使用人「城を出る時、雨が降って居たんです」
盗賊「こっちはずっと晴れてるぜ」
使用人「そうですか……」
盗賊「それがどうした?」
使用人「いえ。別世界の様だな、と思っただけです」
盗賊「……やっぱり何か、似合わネェ」
使用人「……放っておいてください」
盗賊「お前まで……感傷的にならないでくれよ」
使用人「……え?」
盗賊「せめて……最後まで、普通で居てくれ」
7771 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 12:06:52.97 ID:nJZbnH5sP
使用人「……」
盗賊「何でもない。お前も寝ろよ、明日早いぞ」

……
………
…………

側近「チェックメイトおおおおおおおおおお!」
魔王「あ! ……ああ、もうッ」ポイッ
側近「あ、こら投げんな。お前は子供か!」
魔王「何で勝てないんだ!」
側近「弱いからだろ」
魔王「く……ッ もう一回だ、もう一回!」
側近「えー。もう飽きたー」
魔王「私が勝てるまでやる!」
側近「……お前なぁ」
魔王「悔しいじゃ無いか……ッ」
側近「はいはいはい、親父さんのお話だろ?もうしてやるって」
魔王「勝って聞かねば意味が無い!」
側近「えええええええ……面倒臭い奴……」
魔王「良いから、勝負だ!」
側近「あーじゃあチェスやめよ、な!?」
側近「こっちやろうぜこっち。オセロ」
魔王「……ルールは?」
側近「え、そっから説明すんの!?」
魔王「早く教えろ」
側近「まじかよ……」
魔王「……雨の音が強くなったな」
側近「いきなり脱線か!」
魔王「庭が気になるな」
側近「姫様がなんかやってたな、そういえば」
7781 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 12:22:50.21 ID:nJZbnH5sP
魔王「昔カラスが手入れしてたな」
側近「また懐かしい話だね」
魔王「その話を姫にしてやったらな……自分もやると言い出したから」
側近「成る程」
魔王「……」
側近「どうした……大丈夫か?」
魔王「ああ。何でも無い」
側近「お前……后様の事は覚えて無いよな?」
魔王「后? ……ああ、母の事か」
魔王「私を産んですぐに死んだと聞いたぞ。覚えてる訳が無い」
側近「……そうか」
魔王「何だ」
側近「話して良いの?」
魔王「……勝つまで駄目。早く教えろ」

……
………
…………

女剣士「あと、いっ ……ぴき!」ザシュ!

ギャアアアアアアアアアアア!

女剣士「良し!」
海賊「……つえぇ」
女剣士「船長ー!片づいたぞー!」

船長「しかしまあ、元気だな」
鍛冶師「ふさぎ込まれてるよりは良いでしょ」
7791 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 12:24:13.87 ID:nJZbnH5sP
おひるごはーん!
7801 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 13:22:47.42 ID:nJZbnH5sP
船長「まあ……役に立ってるしな」
鍛冶師「船長!一応お客さんでしょ」
船長「しかしまぁ、腕に自信があるってのは伊達じゃ無かった、てこった」
鍛冶師「……でも、側近はもっと強い、んだろう」
船長「本人曰く、戦闘向きじゃ無い、らしいがな」
鍛冶師「……魔王は、さらに、か」
船長「ありゃ規格外」
鍛冶師「……」
船長「どうした?難しい顔して」
鍛冶師「僕は……全くもって専門外だからね」
船長「俺だってそうさ。想像つかネェだろ? ……もっと強い、てのは」
鍛冶師「うん。女剣士だって、充分に強いだろうに」
船長「世界は広いって事さ……さて。お前さん、今暇か?」
鍛冶師「え?ああ……まあ」
船長「そうか。ちょっと仕事しネェか?」
鍛冶師「え?」
船長「剣の手入れやら魔法剣がどーたら、言う位なんだしさ」
船長「お前、手先は器用なんだろう?」
鍛冶師「ま、まあ……多分ね」
船長「これは俺個人の依頼、なんだが……受けるか?」
鍛冶師「内容次第……何させる気だよ」
船長「こいつなんだがな」ドン!
鍛冶師「……石?」
船長「ま、何の変哲も無い、その辺の河原に転がってそうな石だ。見ての通りな」
鍛冶師「真っ白だな……石膏みたいだ」
船長「何か作ってくんねぇか?」
鍛冶師「またいい加減な……」
船長「良い色だろ?鍛冶師の村で安く買ってきたんだ」
鍛冶師「僕に彫刻家の真似事をしろって言うの?」
船長「簡単に言やぁそうなるな」
鍛冶師「そんなのやった事無いよ!」
船長「別に失敗しても構わネェよ。旨く出来りゃ買ってやる」
船長「小遣い稼ぎだ。暇つぶしにゃ丁度良いだろ」
7811 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 13:28:07.10 ID:nJZbnH5sP
鍛冶師「何作れって言うんだよ……」
船長「何でも良いって。それ程大きな石でも無いしな」
船長「センス良い置物が一つ、欲しかったんだ」
鍛冶師「……えええええ」
船長「漸く半分、ってとこだ。どれだけ急いだってまだ一週間はかかる」
船長「どうだ? ……ま、無理にとは言わないけどよ」
鍛冶師「本当に失敗しても良いの?」
船長「ああ。石代返せとも言わネェよ」
鍛冶師「……まあ、腕が鈍らないで良いかもしれないけど」
船長「魔法剣の装飾の練習とでも思えよ」
鍛冶師「魔法剣に装飾するのと、彫刻の真似事するのと一緒にしないでよ!」
船長「はっは!まあ、暇つぶしだって、だから」
鍛冶師「もう……」コンコン
鍛冶師「結構堅いなぁ……彫刻刀の変わりになるようなモン、あったかな……」ブツブツ
鍛冶師「これ、部屋に持ってくよ?」
船長「ああ。あんまり汚すなよー?」
鍛冶師「無茶言うな!」スタスタ

カチャ

女剣士「おっと……鍛冶師か、御免!」
鍛冶師「ああ、船長に用事?」
女剣士「居る、よな?」
鍛冶師「うん。じゃあね」スタスタ

パタン

船長「おう。どうした」
女剣士「もうすぐ着くのか?」
7821 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 13:37:34.97 ID:nJZbnH5sP
船長「随分せっかちだなお前さん……まだだ。漸く半分、だな」
女剣士「別に急かしてる訳じゃ無い。随分魔物が弱くなったからさ」
船長「そういう事か……そりゃ、南に行けば行く程、強い魔物は減っていくさ」
女剣士「……そうなのか?」
船長「最果ての街……魔王の居城から距離的に離れていくからな」
女剣士「最果ての街?」
船長「北の大地にある街の事だ。北の大地は……最果ての地とも呼ばれてる」
船長「……あの空は暗いだろう。紫の雲に覆われて」
女剣士「そうだな。この辺は随分……空が青くて、気持ちが良い」
船長「あれは魔の気が渦巻いているから、だそうだ」
船長「そんな場所に近づけば近づく程、魔物共も強くなる」
女剣士「半分か。この辺りであの程度なら……港街の辺りは、もっと……」
船長「お前さんが居た北の街の魔物の、足下にも及ばネェだろうよ」
女剣士「そうか……」
船長「どうした?」
女剣士「あ、いや……何でも無いよ」
女剣士「そんな魔物ばっかりだったら、北の街の人達も怯えずに」
女剣士「過ごせたのか、ってな……」
船長「そうとも限らんさ」
女剣士「え?」
船長「育った環境、だろうさ。魔物が弱い地域に住んでいたとしても」
船長「人で無い、と言うだけで充分畏怖の対象になるだろう?」
船長「成人した男共にゃ大した事無くても」
船長「女子供は怯えるだろうさ」
女剣士「……」
船長「身を守るのに見合った武器や、防具は開発されるだろうが」
船長「その強弱の差があるだけで、畏怖は無くならねぇ」
7831 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 13:44:26.01 ID:nJZbnH5sP
船長「魔物の住まない土地、なんてのは……聞いた事が無いさ」
女剣士「……そうか ……ッ と!」

グラグラ……

船長「相変わらずこの辺は揺れるな」フゥ
女剣士「……?」
船長「この辺は潮の流れが悪いんだ。大きな渦が二つ、ぶつかってる」
女剣士「へぇ……」
船長「お前も船室に戻ってろ。甲板に出るなよ」
船長「今度海に落ちたらしらねぇぞ」
女剣士「そ、そんな事しない!」
船長「頼むぜ、本当に。何かあったら呼ぶさ」
船長「……この海域だけは魔物は出ネェからな」
女剣士「え……何で?」
船長「さてね。昔、島が沈んだなんて伝説もあるらしいくてな」
船長「呪いだなんだ……そんな話もあるが。ま、実際は」
船長「海の魔物すら住めない様な海流なんだろ」
女剣士「島……」
船長「ただの御伽噺だ。どの地図にも、そんな島乗ってネェよ」
女剣士「アタシは……知らない事だらけだな」
船長「海は偉大で広大だ……いくら海賊だと言っても」
船長「俺たちにだって知らない事の方が多いんだ」
女剣士「鍛冶師は、部屋?」
船長「おう。仕事頼んだからな……邪魔すんなよ?」
女剣士「しないよ!」
船長「お前も疲れたろ。食堂行って飯食ってこいよ」
船長「もう暫く、この海域を越える迄は時間が掛かる」
船長「ゆっくり休んでな」
7841 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 13:45:21.17 ID:nJZbnH5sP
おむかえー!
買い物行って、帰ってきて時間あったらお風呂ご飯まで!
後ほどー!
785名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 14:56:27.59 ID:DWxrJDxy0
前に魔王と側近描いてた絵師様はいないのだろうか...
7861 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 15:26:00.30 ID:nJZbnH5sP
ただいまー
お風呂入るまでー
787名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 15:29:18.71 ID:qdSupgdB0
このスレで終わらせる予定なの?
7881 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 15:41:41.96 ID:nJZbnH5sP
女剣士「うん……何かあったら呼んでくれよ」
女剣士「船に乗せてくれた恩は、ちゃんと返すからな!」
船長「へいへい……金もらってんだから、あんまり気にすんなよ」
女剣士「だけど……」
船長「心配しなくても、こき使うのに変わりはネェから」
女剣士「……サンキュ」スタスタ

パタン

船長「さて、と……」スタスタ
船長(港街に着いたら、まずは盗賊と打ち合わせだな)
船長「おい、誰か!」
海賊「船長、何です?舵は心配いりませんぜ?」
船長「ああ、そりゃ解ってる。あいつの船は着いてきてるか?」
海賊「船長の仲間の船ですか、大丈夫ですよ」
海賊「あれ、定期船に使うんでしょ?」
船長「そういう方向で話はついてる」
海賊「何か……俺ら、海賊じゃネェっすよね」
海賊「こんな事やってると……」
船長「不服か?」
海賊「そういう意味じゃネェっすよ。寧ろ充実してますって」
船長「色々落ち着けば、また元に戻るさ」
海賊「ああ、そういえば船長」
船長「ん?」
海賊「向こうの船に乗ってる奴なんですが、二人程」
海賊「こっちの船に乗せて欲しいって言ってましたぜ」
海賊「出発早まったんで、バタバタしてて忘れてた」
7891 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 15:42:25.76 ID:nJZbnH5sP
>>787
予定は未定!
……て言うか、計画無しだからなぁ……ごめん
7901 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 15:58:18.32 ID:nJZbnH5sP
船長「こっちは元々客船じゃネェぞ。今は特別だ」
海賊「そうじゃ無くって、ですって」
船長「ん?どういうことだ?」
海賊「海賊になりたいそうです」
船長「はぁ!?」
海賊「ま……港街着いたら、宜しくお願いしますよ」
海賊「伝えましたからねー!飯行ってきます!」
船長「あ、おい……! まじかよ……」

……
………
…………

娼婦「……神父様、そろそろお昼にしませんか」
神父「ああ、もうそんな時間ですか……」
娼婦「盗賊が待ってますよ。使用人さんも」
神父「ええ、あ、すみません娼婦さん。その袋、とって頂けますか?」
娼婦「あ、はい……どうぞ」
神父「ありがとうございます……よいしょ」コロン、コロンコロン
娼婦「足りる、でしょうか」
神父「解りません……し、これ以上は出来ません」
神父「無理をする道理も無いんです、娼婦さん」
娼婦「……そう、ですね」
神父「何も……意地悪で言っている訳ではありませんよ」
娼婦「あ……ご、ごめんなさい、勿論……承知しています!」
神父「……いえ、私こそ言葉が悪かったです」
娼婦「仕方の無い、事です……」
神父「……今日、戻られるのですよね」
娼婦「使用人さんですか?ええ」
神父「……」
娼婦「神父様?」
7911 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 16:07:41.53 ID:nJZbnH5sP
神父「いえ……行きましょうか」
娼婦「え、ええ……」
神父「体調はもう、よろしいのですね?」
娼婦「はい。神父様の回復魔法のおかげです」
神父「気休めにしかならないのが悔しいですよ」
娼婦「……大丈夫です。もう、無茶はしません」
神父「出来ません、の間違いでしょう、娼婦さん……」
娼婦「……」
神父「次に、同じ事をされると……もう、保証は出来ませんよ」
娼婦「解って……居ます」
神父「それでも貴女は……もし、請われるのなら」
神父「喜んで、その命を差し出すのでしょうね」
娼婦「……魔王様が望まれるなら。魔王様の為、ならば」
神父「……」
娼婦「……」
神父「世界の為、等と言われては……私も断れません」
神父「ですが……」
娼婦「神に命を差し出せと言われたら、神父様はどうされます?」
神父「!?」
娼婦「神はそんな事、仰らないかもしれません」
娼婦「……魔王様も、仰らないと思います」
神父「では……でも、貴女は!使用人さんは……!」
娼婦「彼女の独断でしょう。主を思う余りの」
娼婦「私が断らないと知って、の」
神父「……」
娼婦「でも、良いのです。もし彼女が提案しなくても」
娼婦「私は、望んで自らを差し出します」
娼婦「……使用人さんは、帰ったら魔王様に怒られるかもしれませんね」
7921 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 16:14:04.07 ID:nJZbnH5sP
神父「貴女の寿命を縮めてまで……ですか」
娼婦「はい。そういうお方です」
神父「私は、魔王と言う方を知りません。魔の王だと言う、存在そのものしか」
神父「……それも、想像に過ぎませんがね」
神父「貴女方の話を聞いていると、聖人君子の様に聞こえない時があるような気がして」
神父「……酷く複雑な気分ですよ」
娼婦「勇者様、ですからね。この……港街の人達にとって」
娼婦「私や、使用人さんにとっても、そうなんです」
娼婦「魔の王であっても、残忍であっても……魔王様は、私の勇者様なのです」
神父「……はぁ。もう、考えるのは辞めておきます」
神父「私は信仰に、神に……自分に、絶対の自信と確固たる物を持って生きてきたつもりです」
神父「これ以上は、踏み込んでは行けない領域……ですね」
娼婦「……神父様」
神父「自分が揺らぐ様なところに、身を置く事はできません」
神父「人と言うのは……弱い生き物です」
娼婦「そう……で、しょうか……」

タタタ……

盗賊「娼婦!神父さん!おっそいよ!」
娼婦「盗賊……迎えに来てくれたの?」
神父「こんにちは、盗賊さん」
盗賊「試食会始まるぜ」
娼婦「え?試食会?」
神父「皆でお昼を食べよう……と言うのでは無かったのですか?」
盗賊「ついで、だよ。もう少しで店、できあがるからさ」
盗賊「メニューの試食して欲しいんだって」
娼婦「まあ……」
盗賊「……で、ついでにお願いがあるんだけど、神父さん」
神父「はい?」
7931 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 16:22:06.60 ID:nJZbnH5sP
盗賊「やめとけって言うのに、聞かなくってさ……使用人」
娼婦「?」
盗賊「手伝います、って意気込んで……」
神父「おやおや……可愛らしい所もありますね」
娼婦「包丁で怪我でも?」
盗賊「ああ、違う違う。城で飯の支度してんだろ?」
盗賊「そっちじゃ無くて、資材運ぶ、てさ」
娼婦「え……」
盗賊「重さに負けてひっくり返ってだな……」
神父「……」
盗賊「あ、ほらあそこ……」
神父「ああ、腕から血が……」タタタ
盗賊「無茶するぜ、全く」
娼婦「……止めれば良かったのに」スタスタ
盗賊「止めたよそりゃ……ちょっと遅かったけど」スタスタ
使用人「も……申し訳ございません」ボロ
神父「全く、何をやっているんですか貴女は……」
使用人「……」
娼婦「だ、大丈夫ですか?」
使用人「今、回復して貰いました……ありがとうございます」
神父「いくら何でも、貴女の細腕じゃ無理だって解るでしょうに」
盗賊「まあまあ……気持ちはありがたく受け取っておくよ、使用人」
使用人「……はい」
神父「ついでですから、お渡ししておきます」ハァ
使用人「これは?」
神父「魔除けの石です。それほどの数はありませんが……」
使用人「あ……!ありがとうございます!」
7941 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 16:34:33.27 ID:nJZbnH5sP
盗賊「ほら、持ってきて貰うから適当に座れよ」
娼婦「え……ここに?」
盗賊「まだ店出来てないからな……ピクニック気分で良いだろ」
盗賊「運んでくるよ。待ってて!」
娼婦「あ、手伝うわよ」
盗賊「良いよ、大丈夫!」タタタ
神父「神聖な水で清めた、布で出来た袋です」
神父「……ついでに、お持ちなさい」
使用人「はい……ありがたく、頂戴致します」
娼婦「お二人とも、コチラに……とにかく、お食事にしましょう」
盗賊「おっまったせー!」タタタ
神父「ああ、良い匂いですね」
使用人「ええ……本当に」
盗賊「適当に摘んでくれよ。後でちゃんと感想聞かせてやってくれな」
神父「頂きましょう……うん、美味しい」
使用人「……お肉、柔らかい……どうやっていいるんでしょうか」
娼婦「まあ、本当に……」
盗賊「食欲はあるんだな、良かった」ホッ
娼婦「……私?」
盗賊「他に誰が居るんだ……あ、マジだ旨い」
使用人「大丈夫……なのですね?」
娼婦「ええ……ご心配なさらず」
使用人「そうですか……」
盗賊「使用人は結局何時までいるんだ?」
使用人「そう長居はできません。魔王様達の様子も気になりますし」
使用人「……食事が済めば、戻ろうと思います」
娼婦「そうですか……次は、当日ですかね」
使用人「船長さん達が戻られるであろう頃に、もう一度来ます」
神父「一つ、お願いしても?」
使用人「……私に、ですか?」
神父「以前、側近さんに頼んだのですがね」
神父「本を、お貸し頂きたいのです」
7951 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:02:03.54 ID:nJZbnH5sP
使用人「ああ……前後編の、後編、ですね」
神父「ご存じでしたか」
使用人「次に来る頃には、姫様も読み終わられているでしょう」
使用人「……お約束、します」
神父「ありがとう」
盗賊「……魔王と姫に、ちゃんと伝えて……渡しておいてくれよ」
使用人「勿論です」
娼婦「お会いできるのを……楽しみにしています、と」
娼婦「……可能ならば、お伝えください」
使用人「必ず、伝えます」

……
………
…………

姫(『ここで待つ様にと告げた、城の兵士の姿は無かった』)
姫(『少年は一人だった。母親の言葉を思い出している内には、王が来るだろう』)
姫(『少年はもう一度小さくため息を吐き、家を出る前に持たされた、剣を指でなぞる』)
姫(『形見だと母親から聞いていた、父の剣。光輝く勇者の剣』)
姫(『この剣に選ばれた事こそ、少年が勇者である揺るぎない証なのだと』)
姫(『何度も何度も、聞かされてきた。自分は勇者なのだと信じて生きてきた』)
姫(『勿論、疑っている訳では無い。少年は、王への謁見を許された』)
姫(『勇者として、旅立つ年齢に達した事で、一人前なのだと認められたのだ』)
姫(『ただ、いざこの場へと居る事実に、不安を隠せずにいるだけなのだ』)
姫(『三度目のため息を落とそうと、少年の肺が大きく膨らんだ所で』)
姫(『ギィ、と重い音を立て、背後の大きな扉が開いた』)

コンコン

姫「……」
使用人「姫様、失礼致します」カチャ
姫「あ……」ハッ
使用人「……どうされました?」
7961 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:11:11.36 ID:nJZbnH5sP
姫「あ、ああ……お帰りなさい」
使用人「ただいま、戻りました」
姫「ごめんなさい、ちょっと……没頭してたわ」
使用人「ずっと呼んでらしたのですか?」
姫「他にする事ないもの」
使用人「……こちらは、ずっと雨なのですね」
姫「港街は晴れてた?」
使用人「ええ。綺麗な青空でした」ジャラ
姫「そう……それは?」
使用人「魔除けの石です。何個かあるので……これで、持つと良いですが」
姫「ありがとう……あ」コロン
使用人「清浄な水で清めた袋、だそうですよ、これ……!?」
姫「……」
使用人「……」

シュゥウ……

姫「……あっと言う間に、黒くなった、わね」
使用人「石は、無事……ですね」ホッ
姫「離れて居るのに……関係無いのね」
使用人「部屋の四隅に置いておきます。丁度5つ、ありますし」
使用人「1つは、身につけておいてください、姫様」
姫「ええ……あら、これは……?」
使用人「あ、それは……」
姫「綺麗な青……これは…… ……娼婦、の力?」
使用人「姫様、それはコチラへ……!」ギュッ
姫「……凄いわね」
使用人「え?」
姫「大丈夫、気分が悪くなるような物じゃ無いわ」
7971 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:16:58.60 ID:nJZbnH5sP
姫「……魔王への想いで溢れてる。娼婦が……魔王の為に作ったのね」
使用人「……はい」
姫「魔王の、魔力を少しでも押さえるために?」
使用人「どこまでの効果があるかはわかりません。娼婦さんは……人間ですから」
姫「力の強弱は……関係無いわよ」
姫「……これだけの思いが、あれば」
使用人「願えば、叶う?」
姫「そうであれば……良いわね」
使用人「……届けて、参ります」
姫「それは……魔王の願い?」
使用人「いえ……私の独断です」
姫「そう……」
使用人「怒られるのは承知の上です」
姫「……」
使用人「失礼致します。すぐに……食事に致しますね」

パタン

姫「……愛の力、か」
姫「私には……出来ない事ね」フゥ

……
………
…………

側近「……お前、さぁ」
魔王「な、何故だ……!」
側近「何でそんな器用な負け方出来る訳?」
魔王「わ、私が聞きたいわ!」
側近「……まだやんの?」
魔王「当然だ!」
側近「あのさぁ、そりゃ四隅取る様にって言ったけど」
側近「四隅だけ残して後全部俺とか……」
魔王「うるさい!」
側近「普通、できねぇよ……」
魔王「うるさいと言っている!つ、次は私が黒だ!」
側近「どっちでも良いよ……ほれ、早く取れ自分の分」
7981 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:24:02.74 ID:nJZbnH5sP
コンコン

側近「はーいー?」
魔王「早くしろ、側近!お前の番だ」
側近「はいはい……」パチ。クルクル
魔王「フン、それだけしかひっくり返さんのか」パチ

カチャ

使用人「失礼しま…… ……」
側近「お。おかえりー、使用人ちゃん」
使用人「チェスの次はオセロですか……」
魔王「お前の番だぞ」
側近「魔王様がどうしても俺に勝ちたいって言うからさー」パチ
使用人「……はあ」
魔王「良し、次は……」
使用人「あ、そこは駄目です魔王様……こっち」パチ
魔王「ん?しかし……」
側近「助っ人?ズルイ……ま、負けないけど」パチ
使用人「大丈夫です」パチ
魔王「……」
側近「……」パチ
使用人「……」パチ
魔王「お……」
側近「ん、んん……ッ」パチ
使用人「ここですね」パチ
側近「ま、まじかよ……」パチ
使用人「どうぞ、魔王様……ここに」
魔王「ふむ」パチ
側近「……げ、パス!?」
7991 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:32:02.73 ID:nJZbnH5sP
魔王「私か? ……ふふ」パチ
側近「んげ!?」
使用人「……魔王様の勝ち、ですね」
魔王「勝った……初めて勝った!」
側近「いやいやいやいや!お前の勝ちじゃネェだろ、使用人ちゃんだろ!」
側近「この勝負無効!」
魔王「勝ちは勝ちだ!さて、話して貰おうか、側近!」
側近「ええええええええええええ」
使用人「……あの、先に良いでしょうか」
魔王「ん……どうした?」
使用人「……これを」ス
側近「? ……なんだこれ、綺麗だな。真っ青だ」
魔王「……娼婦?」
使用人「はい」
側近「え……これ、娼婦ちゃんが作ったの?」
魔王「…… ……どうして、だ」
使用人「……事情を話すと、少しでも魔王様の魔力を押さえられる様に作らせて欲しいと」
使用人「そう、仰いました」
魔王「止めなかった……のか」
使用人「……娼婦さんが言い出さなければ、私からお願いするつもりでした」
魔王「!」
側近「……!? 魔王様、落ち着け……!」ビリッ
使用人「……ッ」ビリビリ……ッ
魔王「……解ってる。解ってる……!怒ってる訳じゃ無い」
魔王「そんなつもりでは、無いんだ……!」
使用人「……ッ そ、れは!娼婦さんの愛です、魔王様!」
魔王「あ……い?」
8001 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:39:15.12 ID:nJZbnH5sP
使用人「少しでも、魔王様の為になる様に、と……の」
使用人「娼婦さんの気持ちです、想いです……!」
側近「……ッ 落ち着け、魔王様!今、魔力を膨張させたら」
側近「お前自身が、娼婦の気持ちを踏みにじる事になるぞ!?」
魔王「…… ……」ギュッ
使用人「……」
側近「……」
魔王「…… ……愛、か」
使用人「……はい。同じ物を作る事はもう……二度と叶いません」
側近「……」
使用人「お会いできるのを楽しみにしています、と……娼婦さんから伝言です」
側近「……元気そうだったか?」
使用人「はい」
魔王「解った……ご苦労だった」
魔王「次は何時、行くんだ?」
使用人「船長さんが港街に戻られる頃に……です」
魔王「……ではそれまで、姫の事を頼む」
使用人「はい。では……失礼します」スタスタ……パタン
側近「……大丈夫か?」
魔王「ああ……悪かった」
側近「俺は別に構わんがな……使用人ちゃんを責めてやるなよ」
魔王「解ってる。解って……る」
側近「うん。そうだな」
魔王「愛、か。愛ってのは……何なんだ、側近」
側近「急になんだよ」
魔王「私にはわからんから、だ」
魔王「ついこの間話しただろう。私の姫への気持ちは……愛では無いだろうからな」
8011 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:48:00.74 ID:nJZbnH5sP
側近「……」
側近「仕方ない。負けた事だし、話してやるよ」
魔王「……?」
側近「前魔王様の話。前魔王様と……后様の話」
魔王「……母、か」
側近「すっげぇ変わり者だったけどな。でも……あの二人は確かに愛し合ってたぜ」
魔王「私を産んで……すぐに死んだ、んだよな?」
側近「そうだ。だが産後の肥立ちがーとかじゃ無い」
魔王「?」
側近「奇病、って言って良いんだろうかな」
魔王「奇病……」
側近「死因は病死、だ。后様はお前を産んだ後、身体がぼろぼろになって朽ちていったんだ」
魔王「……」
側近「文字通り、ぼろぼろ、だ。崩れていくんだよ」
側近「指の先から、足の先から……最後には顔も崩れ、喋れなくなった」
魔王「な、ぜだ」
側近「原因がわかんないから奇病、なんでしょ」
側近「……だが、前魔王様は解ってたみたいだな」
魔王「何?」
側近「先代……前魔王様の前の魔王様、な」
側近「俺は会った事は無いが……先代から聞いていたらしい」
側近「魔王を産んだ者は、そうして朽ちるのだそうだ」
魔王「……!」
側近「何かに似てネェ?」
魔王「……エルフの、長……か」
側近「その話を聞いた時に思ったんだよ。ああ、一緒なんだなって」
側近「……腐った世の中の摂理だよな」
側近「力のある者を産み落とす、ってのは……それだけ負担になるのかもしれんが、さ」
魔王「……」
8021 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 17:54:41.70 ID:nJZbnH5sP
側近「毎日崩れていく身を見ても、前魔王様はキスを欠かさなかった」
側近「后様もさ。厭じゃ無いのかなって思ったんだ。女だぜ?」
側近「不思議そうな顔してる俺に、言うんだよ」
側近「『だって魔王が望むんだもの』って」
魔王「……」
側近「で、前魔王様にも聞いた。酷じゃないのかって言ったんだ」
魔王「親父は、なんていった?」
側近「『愛しい妻にキスをしたいからするだけだ』」
魔王「……」
側近「顎から顔が崩れてさ。唇が無くなって喋れなくなっても」
側近「前魔王様は毎日、欠かさずキスしてた。鼻が崩れて、息が出来なくなって」
側近「……后様の最後の一欠片が風に流されてしまう迄ずーっと、だ」
魔王「……」
側近「愛だろ?」
魔王「……だな」
側近「娼婦ちゃんも……お前の事、愛してるんだろうな」
魔王「ああ……」
側近「気付いてたの!?」
魔王「……そこまで鈍く無い」
側近「じゃ……娼婦ちゃんの為にも。力、おさえてやれよ」
側近「自分でどうにか出来るのか、知らんけどな」
魔王「……願えば叶う。私は……魔王だ」
側近「そっか」
魔王「……この世界は、どうなっているんだろうな」
側近「へ?」
魔王「誰が……こんなシステムを作ったんだ」
側近「神様、じゃネェの」
魔王「……ずっと、繰り返してきたのか」
8031 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 18:04:24.49 ID:nJZbnH5sP
魔王「代々の魔王も、エルフの長も、それを産む者も……」
魔王「こんな、腐った不条理の元……歴史を紡いできたのか」
側近「……断ち切れるじゃネェか」
魔王「ん……?」
側近「姫様の代で、エルフの森は閉ざされた」
側近「お前の代で……魔王の血は消えるんだ」
魔王「……腐った世界の腐った不条理が断ち切れる……か」
側近「……」
魔王「例外が無い、んだろう事だ」
魔王「先は……どうなるか解らん、がな」
側近「そうだな」
魔王「……勇者とやらが現れるまで、のんびり眠っている事にするさ」
側近「……」
魔王「本来、それが正しい姿なのかもしれん」
側近「ん?」
魔王「『魔王』と言うのは……勇者に倒される為の物かもしれん、という事だ」
側近「……随分勇者側に、都合の良いモンだな」
魔王「御伽噺では、必ず勇者は魔王を倒すんだ。必ず」
側近「……所詮御伽噺だろ」
魔王「良い物だぞ? ……中々、面白い」
8041 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/30(木) 18:05:16.76 ID:nJZbnH5sP
お風呂とご飯!
明日は幼女の遠足なので、来れても夜!
それでは!
805名も無き被検体774号+:2013/05/30(木) 18:58:41.92 ID:fkaXxekEP
>>804
晴れるといいね
お気御つけてー
806前415 ◆4IVIhA2Og9cW :2013/05/31(金) 00:50:54.66 ID:ZbCgGdm6P
>>785が自分のことなら、半泣きで齧り付いてます。
>>1不在の隙にシリアスへの差し水漫画貼っとく、NG指定用に酉も。
元シーンは前スレ>>83>>107、盗賊の元デザインは同じく>>512
ttp://s-up.info/view/201201/091498.png

前回、側近から魔王への様付けをイヤミと誤解してて
普通に呼び捨てさせてもた。すまん。
頭髪ネタは自意識過剰かもだが重ねてお詫び申し上げる。
807名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 05:25:02.85 ID:lBXWMVQq0
>>806
出版してくれないか
808名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 06:28:23.71 ID:ffPOVIIs0
いいねー
809名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 07:20:37.94 ID:5IAyMaD+0
>>806
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
810名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 07:42:25.28 ID:fTD+Bge5P
>>806
想像以上に良かった
盗賊可愛い
8111@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 07:48:14.43 ID:bLQ+AmIRP
おはよー!
弁当作り終えたー。
幼女起こして遠足行ってくる!

>>806
お久しぶり!
相変わらず可愛い!
ありがとー!
ハチノコ吹いた(笑)
812名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 12:19:16.22 ID:/pw0pA7N0
>>806
ふおおおお願いしてみるものだな!すっげえかわいいし笑ったw
ありがとうございます!!
813名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 12:21:43.23 ID:fTD+Bge5P
>>806
フリフリの服をきた盗賊ちゃんはいつでしょうか!!
8141 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 14:19:52.99 ID:bLQ+AmIRP
ただいま。疲れた(・△・)魂抜けそう……

お疲れなのでまったりお風呂まで、できるだけー
8151 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 14:53:32.69 ID:bLQ+AmIRP
側近「『魔王』の言葉とは思えネェな」
側近「……つか、そもそも魔王の城に、そんな本がある事自体どうかと思うが」
魔王「お前は……親父の代から魔王の側近としてここに居るんだったよな」
側近「ああ。前も言っただろ。お前の親父……前魔王様に、魔族としての生を貰ったんだ」
魔王「何故、なんだ?」
側近「……何がだよ」
魔王「お前元人間なんだろう?何故そんな事になったんだ?」
側近「聞きたい?」
魔王「そりゃ、まあ」
側近「良し!じゃあ……もう一勝負だな」
魔王「……何?」
側近「さっきは使用人ちゃんのおかげで勝てただけだろう」
側近「今度はしっかり自分の力で勝つんだな!」
魔王「根に持ってるのか……」
側近「大体!勝って聞き出さなきゃ意味が無い的な事言い出したのは」
側近「お前の方だろうが!」
魔王「良いだろう、次も勝ってやる」
側近「次、は!でしょ!」

……
………
…………
8161 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 16:08:36.60 ID:bLQ+AmIRP
女剣士「鍛冶師、居る?」コンコン
鍛冶師「入って良いよ」
女剣士「……何やってるの」カチャ、パタン
鍛冶師「んー……彫刻家ごっこ?」コンコン
女剣士「……凄い」
鍛冶師「とんでもない。子供のお遊びみたいなもんさ」フー
鍛冶師「もう良い、かな」
女剣士「これ……どうしたの?」
鍛冶師「船長が村で、石買ってきたから何か作れ、てさ……」
女剣士「……鳥?」
鍛冶師「そ。あんまり複雑なモンは出来ないよ、流石に」
女剣士「でも可愛いな」
鍛冶師「しかしま、こんなの作らせて何するんだかな」
女剣士「この船……結構拘ってるよな。よく見ると……」
鍛冶師「船長の趣味だろうね……とろこで、何か用事あったんじゃないの?」
女剣士「あ、ああ。あのさ……窓、見せて貰おうと思って」
鍛冶師「窓?」
女剣士「窓の、外」
鍛冶師「ああ……別に良いけど……?女剣士の部屋にも、窓ぐらい着いてるでしょ」
女剣士「方向がな。こっちの方がよく見えるかと思ってさ」
8171 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 16:54:59.86 ID:bLQ+AmIRP
鍛冶師「何が見たいの?」
女剣士「2つの渦、とやら」スタスタ
鍛冶師「ああ……中々進まないからイライラしてるのか」
女剣士「焦ったって仕方ないのは解ってるけどさ……うわ、凄い波だな」
鍛冶師「見てて酔わない?」
女剣士「それは平気……だろう、多分」
鍛冶師「僕も熱中して忘れてた……ああ、そうか」
女剣士「ん?」
鍛冶師「前にこの海域を通った時酷い船酔いでさ」
女剣士「え……大丈夫なのか?」
鍛冶師「……船長の優しさ、かなぁ」
女剣士「??」
鍛冶師「何でも無い……で、見たら納得した?」
女剣士「ん……これ、真っ直ぐ港街に向かっては無いよな?」
鍛冶師「突っ込んでいっても流されるだけさ。旨く巻き込まれない様に」
鍛冶師「ゆっくり迂回してるはずだよ」
女剣士「それで……あんなに時間が掛かるのか」
鍛冶師「僕も知り合って長い訳じゃ無いけどさ」
鍛冶師「海賊、って名乗るだけあって、腕は確かなんじゃ無い?」
女剣士「……海賊?」
鍛冶師「知らなかったの!?」
女剣士「い、いや……そ、そうか。そうなんだ……」
鍛冶師「なんて言うか……まあ、良いや」
鍛冶師「現実には、はいそうですかーって信じられない事ばかりなんだよね」
女剣士「……魔王と知り合いの海賊、とかか」
鍛冶師「北の村を救った側近てのが魔族だったりね」
8181 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 17:55:16.19 ID:bLQ+AmIRP
女剣士「……会えるのかな」
鍛冶師「願えば叶う」
女剣士「え?」
鍛冶師「……都合の良い言葉だよな。本当にそうなるんだったら」
鍛冶師「誰も、何も……苦労なんてしない」
女剣士「……」
鍛冶師「そろそろ三日ぐらい?」
女剣士「……何が?」
鍛冶師「渦の傍に来て、さ。僕がこの鳥を完成させたぐらいだし」
鍛冶師「そんなモンかなーって」
女剣士「わかんなくなってくるな。ずっと船に居ると」
鍛冶師「船長は海の上で死にたいとか言ってたかな」
鍛冶師「僕は……やっぱり、陸の上が良いや」
女剣士「…… ……ありがとう。邪魔したな」
鍛冶師「大丈夫。もうそろそろ切り上げないと」
鍛冶師「納得いく迄直し続けてたら、そのうち石がなくなっちゃうよ」
女剣士「船長に渡しに行くのか?」
鍛冶師「そうだね……本当なら色でも着けたいとこだけど」
鍛冶師「……盗賊にも作ってあげたいなぁ」
女剣士「盗賊……?」
鍛冶師「港街にね、居る……なんだろうな」
女剣士「恋人?」
鍛冶師「告白はしたんだけどね……返事待ち」
女剣士「ああ、好きな人が居る、って……その人の事なのか」
8191 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/05/31(金) 17:55:56.78 ID:bLQ+AmIRP
集中力ないわー……

お風呂とご飯!
起きれそうだったら、夜続き頑張るよ!
820 ◆4IVIhA2Og9cW :2013/05/31(金) 21:40:36.50 ID:ZbCgGdm6P
>>807を「出直してくれないか」と空目したorz
卑屈な心に温かい言葉が沁みる、ありがとう。
>>813 自分が描かなくても誰かが描いて……ない、だと……

>>811
こっちは毎日読んでるせいで久しぶりな気がしないw
登場人物も1も応援しとるよ!
821名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 22:25:59.57 ID:ffPOVIIs0
>>820
心情とか笑からんが
とりあえず話に合わせて描いてみないか?

好きなんだぜ?
822名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 22:28:11.67 ID:ffPOVIIs0
ゴメン
笑は抜いてくれ
別にそんな笑きはないん笑だ
823名も無き被検体774号+:2013/05/31(金) 23:44:59.02 ID:/pw0pA7N0
盗賊と姫ラクガキしてみた!シャーペンだから見えにくいかも...
>>806の姫デザインめっちゃ可愛かったから楽しかった!!http://i.imgur.com/j9imwZS.jpg
824 ◆4IVIhA2Og9cW :2013/06/01(土) 03:00:36.36 ID:QsGHL+PTP
>>821
真面目な話を即パロるのは勇気が……な。
頻繁に間を割るのもアレだし、またしばらくは潜伏。
そういう意味じゃなかったらごめん。

>>823
気に入って貰えて嬉しい(*ノノ 自分の絵にはないふわふわ成分や。

ttp://s-up.info/view/201201/091611.png
最近の願い「鍛冶師と女剣士がそれぞれ爆発しますように」
8251@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 10:08:51.38 ID:TKAvbH+GP
本時も幼女に振り回されてくるのですよ…(・ω・)ノ
826名も無き被検体774号+:2013/06/01(土) 13:30:58.86 ID:mrphO+9L0
いてらん
8271 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 14:04:47.43 ID:TKAvbH+GP
ただいま!
今日もまったりお風呂までー

多分、このスレで終わらない気がするので
950超えた辺りでまた次スレたてますわ……ごめん
8281 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 14:21:11.35 ID:TKAvbH+GP
鍛冶師「そうなれば良いけどね……どうする、一緒に行く?」
女剣士「いや、部屋に戻る。こんな状態じゃ魔物もでないだろうし」
鍛冶師「そっか。んじゃまた食事の時に」
女剣士「ああ」

……
………
…………

姫(『「良く来た、勇者よ……そうかしこまる必要は無い、面を上げよ」』)
姫(『少年の俯く姿を見た王は、ゆっくりとそう告げた』)
姫(『そういう訳では無いんだけどな、と心の中で呟き、少年はそろりと顔を上げた』)
姫(『「は……」はい、とハッキリとした声を出そうとした意思とは反対に』)
姫(『喉は緊張に渇き掠れた。誤魔化す様にこほん、と一つ咳き、そろそろと王の方へと視線を投げる』)
姫(『貫禄のある姿、つやつやと油の乗った王の顔を、歩くスピードに合わせて視線で追う』)
姫(『王座へと腰を下ろし、少年の金の瞳を見据える王の視線を捕らえた王は』)
姫(『どこか満足気に頷き、恭しく口を開いた』)

コンコン

姫「はい?」
使用人「失礼致します、姫様……ッ 起き上がって大丈夫なのですか!?」
姫「だって、続きが気になるのだもの……」
使用人「ですが……」
姫「もう大丈夫よ。熱も下がったわ」
8291 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 14:44:05.13 ID:TKAvbH+GP
使用人「一週間以上寝込まれていたんですよ?」
姫「大丈夫よ。布団の上で読んでるし」
使用人「魔王様も側近様も、随分心配してらしたのですから」
姫「解ってる……ここで、本を読んでる位なら平気よ」
使用人「私は今から出かけますが……余りご無理なさらぬ様に」
姫「え……どこに?」
使用人「もう一度、港街へです。もうそろそろ船長さん達も戻られる頃です」
姫「……そう。これ、最後まで読みたかったわ」
使用人「そんなすぐに、とは行きませんよ。いくら盗賊さん達が頑張ってくれているとは言え」
使用人「もう少し、時間は掛かる筈です」
姫「そう……」
使用人「それに、姫様の体調が悪ければ式も挙げられませんよ」
姫「……そう、よね」
使用人「すぐに戻ります。ですから……ゆっくりとお休みになっててください」
姫「解ったわ。もう……寝る」
使用人「はい。何かありましたら、使い魔に」スタスタ

パタン

姫「……」
姫「随分、大きくなったわね。急に……」ナデ
姫(私が、子供を産む……)
姫(……実感が無いわ。私に、この子を育てる事はできない)
姫(産まれたらどうなるの?誰がこの子を助けてくれるの?)
姫(……森に居れば、エルフも皆が見てくれた)
姫(私は、そうやって育まれて来た)
姫(でも、この子は……)
姫「……」

……
………
…………
8301 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 15:02:25.80 ID:TKAvbH+GP
シュゥン……スタ!

使用人「……」キョロキョロ
使用人「! ……港に、船。あれは船長さんの……」
使用人「もう、戻って来られてたのですね」スタスタ

盗賊「良し、そっち持って……オーケィ」
鍛冶師「盗賊、それで最後だ!」
盗賊「りょうかーい!」
船長「だーかーらー!間に合ってるって言ってるだろ!?」
??「そんな事言うなって!頼むよ!」
船長「しかも二人ってどういうことだ!」
??「もう一人もすぐ来る!絶対に役に立つから!」
女剣士「鍛冶師!どれ教会まで運ぶんだ!?」
盗賊「え?誰?」
鍛冶師「あー、ちょっと待って!女剣士は街の方手伝って来て!」

ワイワイ、ガヤガヤ、ギャアギャア

使用人「……なんです、これ」
船長「お……使用人!こっちだ!」
使用人「戻られてたのですね」
船長「夜明け前になんとかな。お前も早かったな」
使用人「……時間が迫っている様ですので」
船長「何……?」
使用人「姫様が熱を出されてて……」
船長「もう大丈夫なのか?」
使用人「下がりはしたのですが。余り、長くあの城には……」
船長「ああ……そうだな」
8311 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 15:15:42.42 ID:TKAvbH+GP
??「おい、船長さん!聞いてくれよ!」
船長「だから、うちは間に合ってるって!」
使用人「そちらの方は?」
??「お姉ちゃん!アンタからも頼んでくれよ!」
使用人「何をです……」
??「俺たちは海賊になりたいんだ!だから船長の船に乗せてくれって言ってるんだが」
使用人「……俺たち?」
船長「二人、候補者がいるんだとよ……」
使用人「はあ……」
??「俺は魔法使いだ!魔法を使える奴が居れば、海の旅も安心だろ!?」
使用人「もうお一人、は?」
魔法使い「すぐに来る!だから、なあ、頼むよ!」
??「悪い、待たせたな魔法使い!」タタタ
魔法使い「おっせーよ!お前もさっさと船長に頼み込め、女海賊!」
女海賊「あン?何だよ、駄目だって言われたのか、なっさけネェなお前……」
船長「あいにくだが人は……!」クルッ
船長「………!?」
女海賊「……何だい、鳩が豆食ってパーみたいな顔して」
使用人「……豆鉄砲、ですね。しかし……これは……」
船長「アンタが……女海賊?」
女海賊「ああ、そうだよ。何だ、アタシの美貌に釘付け、ってかァ?」ニヤニヤ
船長「あ、阿呆か!!」
使用人「……船長、とにかく一端お待ち頂いては?」
使用人「勝手で申し訳ありませんが、こちらの依頼の件を急いで頂かないと困ります」
女海賊「何だい、アンタ、急に出て来て……!」
魔法使い「ま、待て待て、依頼人だ、お客さんだろ!!」
魔法使い「船長、後で話聞いてくれよ!?俺たち、一端宿に行くからさ!」
女海賊「おい、魔法使い……!」
魔法使い「遅れてきた俺らが悪い!つかお前が悪い!行くぞ!」スタスタ
女海賊「チッ……まあ、良い。船長、後でゆっくり話そうぜ!」スタスタ
使用人「……」
船長「……」
8321 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 15:29:15.75 ID:TKAvbH+GP
使用人「そっくりですね」
船長「……何がだ」
使用人「言わなきゃいけませんか?」
船長「…… ……助かった。悪いな」
使用人「いいえ……大変ですね」
船長「稼げるとでも思ってるんだろ……全く」
使用人「……で、あっちは何なんです?」
船長「え?」
使用人「あのお二人は以前、覗いてたお二人でしょう」

ギャアギャア

鍛冶師「ち、違うんだって、盗賊!」
盗賊「随分仲よさそうじゃネェか。良かったなー。可愛い子と仲良くなれて」
女剣士「?? なあ、鍛冶師、この子か!盗賊って!初めまして!女剣士だ!」
盗賊「……へぇ、もう俺の話までしてんだ。へぇ」
鍛冶師「あの、盗賊!お願いだから聞いて!」
女剣士「ああ、色々聞いたぞ!船でずっと一緒だったからな」
盗賊「へー、へー、へぇ。ずっと、ネェ」
女剣士「これからも宜しくな!」
盗賊「……ッ」
鍛冶師「お、お願い女剣士、今はちょっと黙って!?」
女剣士「?? ……何で?」

ギャアギャア

船長「……放置じゃ駄目かね」
使用人「私は盗賊の味方ですかね。付き合いの長さ的に」
船長「じゃあ、諫めてやってくれよ……俺は何か、厭だ」
8331 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 15:39:14.21 ID:TKAvbH+GP
使用人「……そうですね。話が進みませんし」ハァ
使用人「でも、何故揉めてるんです?」
船長「……良いわ、一緒に来い」ハァ。スタスタ
船長「おい、お前ら!」
盗賊「あ、船長……話は済んだのか……って、使用人?」
鍛冶師「あ、君は……」
盗賊「え?」
女剣士「あ……!良かった!アタシ、アンタに用が……!」
盗賊「え?え?」
使用人「……」
船長「落ち着けって!」
船長「盗賊、とりあえずだな……」
盗賊「教会ならもう殆ど出来てるぜ」
船長「……何?」
使用人「鍛冶師の村に行った後、すぐにここに来たのです」
使用人「ですので……お願いしておきました」
盗賊「金も貰ってる。今日人も増えただろ。すぐにでも結婚式の準備は整えられる」
使用人「もう、そんなに?」
盗賊「拘りだしたらキリは無いだろうがな。建物だけなら……2.3日も掛からんさ」
使用人「そう、ですか……」ホッ
船長「……根回しの良い事で」
使用人「さっき言った通りです。時間が……無いんです」
女剣士「そんな!?」
盗賊「え?」
女剣士「……アタシ、やる事ないのか?」
使用人「?」
8341 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 15:46:47.58 ID:TKAvbH+GP
船長「あー……まあ、そこら辺は後は鍛冶師と相談しろよ」
鍛冶師「ああ、うん……と」チラ
盗賊「……ッ」フイッ
鍛冶師「……船長、助けて」
船長「知るか、阿呆」
使用人「?」
盗賊「じゃあ、アタシは教会んとこ行くぜ。使用人、後で来いよ」
使用人「え、ええ……一緒に行っても?」
盗賊「ああ、勿論……」
船長「俺も行くわ。見てみたいしな」
鍛冶師「待って盗賊、僕も!」
女剣士「アタシも!」
盗賊「は!?」
船長「……さっさとしろよ、鍛冶師」
女剣士「あ、アタシを置いていくなよ!地理もわかんないのに!」
使用人「……何なんですか、一体」
鍛冶師「ああ、もう!盗賊!」ガシ!
盗賊「え、な、なんだよ!離せよ!」バタバタ
鍛冶師「厭だ!先に行くよ!」グイ!タタタ……
盗賊「え、ちょっと!?」タタタ……
船長「……面倒臭ェなあ、もう」
使用人「あの……?」
女剣士「置いていかなくても良いのになぁ」
船長「お前はちょっと黙れ、女剣士」
8351 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 16:02:52.22 ID:TKAvbH+GP
使用人「……どうして、貴女まで一緒にここまで来たのです、女剣士さん」
女剣士「き、決まってるだろ、側近に……!!」
使用人「貴女に側近様を会わす理由がありますか?」
女剣士「た、頼むよ!どうしても、どうしても……もう一回逢いたいんだ!」
女剣士「その為に船長や、鍛冶師に無理言って連れてきて貰ったんだ!」
女剣士「頼む!……側近に逢わせてくれ!魔王城とやらに連れて行ってくれ!」
使用人「城に貴女をお連れする事はできません」
女剣士「……ッ じゃ、じゃあ側近を……!」
使用人「呼ぶ事もできません……側近様は、魔王様の傍を離れられませんから」
船長「……」
女剣士「そんな……!」
使用人「お話は……以上ですね」
使用人「では、船長さん行きましょう」スタスタ
女剣士「あ、アタシも行くよ!」
使用人「……」
女剣士「アンタに教会見に行くの、止める権利は無いだろ!?」
使用人「……お好きに」
船長「そこまでして、逢いたいのか?」スタスタ
女剣士「……勿論だ!」スタスタ
船長「で、どうするんだ。告白でもすんのか」
女剣士「……どうするんだろう」
船長「は!?」
女剣士「わかんネェよ。でも……どうしても、逢いたいんだ!」
船長「……若いってのは凄いね。恥も外聞もネェ」
女剣士「悪かったな!」
船長「……いや。悪かネェよ…… ……羨ましいぐらいさ」
女剣士「え?」
船長「何でもネェ。ま、がんばんな」

……
………
…………

盗賊「何なんだよ、お前は……ッ おい、離せって!」タタタ……
鍛冶師「……」ピタ
盗賊「おい、鍛冶師!どこまで……ッ わぶっ」ドン!
鍛冶師「……ちょっと、黙って」ガシ。ギュウ
盗賊「痛ェ……おい、鍛冶師……おま……ッ ……ッ」
8361 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 16:16:11.56 ID:TKAvbH+GP
鍛冶師「女剣士はそんなんじゃ無いから」
盗賊「…… ……一緒だったんだろ。船で。ずーっと」モゾモゾ
鍛冶師「側近が好きなんだって」ギュ
盗賊「……は?」
鍛冶師「良く解らないけど、側近に会いたいらしい」
盗賊「何でお前が側近の事しってんだよ……」
鍛冶師「さらっとだけど、船長に聞いた。使用人ちゃんにも鍛冶師の村で会ったしね」
盗賊「……だからって、なんで此処まで……」
鍛冶師「使用人ちゃんに会えたら、側近にだって会えるかもしれないだろ?」
盗賊「……フン」
鍛冶師「なあ、盗賊。そんなしょうも無い嘘吐かないよ」
盗賊「わか、 ……た、よ。解ったから……離せよ」
鍛冶師「厭だ」ギュ
盗賊「お前……ッ」
鍛冶師「ヤキモチ焼いてくれたんだよね?怒ってくれたんだよね?」
盗賊「……ッ」
鍛冶師「返事、聞かせてよ。僕、全部持って帰ってきたよ」
鍛冶師「港街に引っ越してきた。君と一緒に居るためだ」
鍛冶師「……好きだよ、盗賊。大好きだ」
盗賊「…… ……」
鍛冶師「僕の、お嫁さんになって?」
盗賊「……え!?」
鍛冶師「え?だ、駄目なの!?」
盗賊「い、いきなり、よ、…… ……え、えええ!?」
鍛冶師「そ、そりゃすぐには無理なの解ってるよ!で、でも!」
鍛冶師「……何れ、さ。何時か、そのうち……ね?」
8371 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 16:31:48.24 ID:TKAvbH+GP
盗賊「……」
鍛冶師「……」
盗賊「……俺で、良いのか?」
鍛冶師「盗賊じゃ無きゃ、駄目」
盗賊「がさつだぜ?」
鍛冶師「気にしてるの?」クス
盗賊「…… ……それに」
鍛冶師「うん」
盗賊「お、女らしく無いし……ッ」
鍛冶師「気にするなら、変えていけば良いよ」
鍛冶師「僕は別に気にしないけどね」
盗賊「……」
鍛冶師「盗賊だから。君が君だから好きだよ」
盗賊「……うん」
鍛冶師「ん?」
盗賊「だ、だから、うん、って!」
鍛冶師「わかんない。ちゃんと言って」ギュウ
盗賊「……お。 ……あ、アタシ、も。好き、だよ」ギュウ
鍛冶師「アタシって言った……」
盗賊「お、あ、……ッだ、 だって、……ッ」
鍛冶師「うん。でもその方が可愛いかな」ギュウ
盗賊「……か、ッ …… あ、あり、がと……」カァッ
鍛冶師「……ッ やったー!」ギュウ、ブンッ
盗賊「わ、わあ!振り回すな!」
鍛冶師「僕のだ。やっと……僕のだッ」
盗賊「……ッ も、モノじゃネェよ!」
鍛冶師「ん。御免。でも、僕の」
盗賊「……ん」
8381 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 16:45:47.57 ID:TKAvbH+GP
鍛冶師「……教会で、結婚式、挙げるんだよね?」
盗賊「魔王と姫が、な」
鍛冶師「もうすぐ出来るの?」
盗賊「建物だけは、な。教会らしくしようと思えばまだまだだけど……」
鍛冶師「……時間が無いんだっけ。急いでる、んだよね」
盗賊「そうだな」
鍛冶師「……なあ、盗賊」
盗賊「何だ? ……とにかく、戻ろうぜ。使用人も待ってるだろう」スタスタ
鍛冶師「あ、待って待って……ほら、手」
盗賊「手?」
鍛冶師「手、繋ご?」
盗賊「……う、うん」ギュ
鍛冶師「ふふ……」ブンブン
盗賊「子供か……」
鍛冶師「嬉しいくせに」ブンブン
盗賊「な……ッ」
鍛冶師「あれ……嬉しくない?」
盗賊「……そ、そんな事、ない……」
鍛冶師「うんうん」
盗賊「お前……浮かれてるだろ」
鍛冶師「当然でしょ」
盗賊「……」ハァ
鍛冶師「何だよー」
盗賊「何でも無いよ……もう」
鍛冶師「……あッ」
盗賊「今度は何だよ……」
鍛冶師「教会って……アレ!?」

……
………
…………
8391 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 16:57:09.09 ID:TKAvbH+GP
神父「お帰りなさい、船長さん……そちらの方は?」
船長「こいつは女剣士だ……使用人は知ってる、んだよな」
使用人「お久しぶりです、神父さん」
女剣士「……初めまして」
神父「初めまして。神父と申します」
神父「……盗賊さんはどうしました?船が着いた時」
神父「迎えに行くと飛んで行ったのですが……」
船長「鍛冶師とどっか行っちまったよ。ま、その内戻ってくるさ」
船長「……娼婦は?」
神父「今日は……ちょっと熱を出されていまして」
船長「そうか……大丈夫なのか?」
神父「ええ、解熱効果のある薬酒を飲ませて、寝かしています」
使用人「……」
神父「……如何でしたか、使用人さん。お役に立ちそうですか?」
船長「ん?」
使用人「……魔除けの石を作って頂いたのです。魔王様と姫様の為に」
船長「魔除けの石!? ……出来たのか」
神父「……『願えば叶う』」
船長「……」
使用人「本日も……頂けるのでしょうか」
神父「それについては少しご相談が」
使用人「え?ええ……」
船長「神父さんよ、娼婦の見舞いには行けるのか?」
神父「暫く起きないとは思いますが……後でよろしければ、ご一緒しますよ」
船長「ああ。構わんさ」
女剣士「……教会って、あれ、か?」ス……
神父「ええ。小さいですが……街の皆様、随分頑張って下さったのですよ」
神父「使用人さんが残業代として、代金もだして下さいましたしね」
840名も無き被検体774号+:2013/06/01(土) 16:59:53.58 ID:KrmmqRXP0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

鍛冶師×盗賊 えんだあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
8411 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 17:10:04.09 ID:TKAvbH+GP
使用人「もう完成している……様に見えますが」
神父「本当に、もう少し、です」
神父「盗賊さんから何か……おや」
女剣士「え?」
神父「いえ……戻って来ましたね」
船長「…… ……なんだよあいつら、手なんか繋いで……」
女剣士「うまくいったんだな」ホッ
鍛冶師「神父さん!お久しぶりです! ……吃驚した、殆ど出来てるじゃないか!」
盗賊「完成はしてないって!だから……」
女剣士「良かったな、鍛冶師……」
鍛冶師「……ん。サンキュ」
盗賊「あ、女剣士……さっき、御免」
女剣士「え、何が??」
使用人「盗賊さん」
盗賊「何だ?」
使用人「……何時、魔王様と姫様をお連れすれば良いですか」
盗賊「……急いでる、んだよな?」
使用人「ゆっくりしている時間は……ありませんね」
盗賊「三日……否、二日、だな」
使用人「具体的に、後何が出来ていないのです?」
盗賊「内装だ。まあ……結婚式なんかしないならこのままでも良いんだがな」
8421 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 17:39:29.49 ID:TKAvbH+GP
使用人「内装、ですか……見せて頂いても?」
神父「ええ、それは勿論」スタスタ……カチャ
女剣士「う、わぁ……!」
使用人「……綺麗、ですね」
盗賊「けど、何も無い。ステンドグラスも、装飾もな」
使用人「……十字架のみ、ですか」
神父「必要です……ここは教会ですから」
鍛冶師「あの十字架……木?」
神父「ええ、余った木材で組んだだけです」
使用人「……充分、なのでは?」
盗賊「そうか?」
鍛冶師「折角の結婚式だし、少しぐらい装飾は欲しいけどなぁ」
船長「形だけ、ってんなら別に良いんじゃネェの?」
盗賊「……そんなに、時間ねぇのか」
使用人「そうですね……」チラ
神父「……」フイ
女剣士「?」
船長「で、どうすんだ?」
使用人「……明後日。でよろしいですか」
船長「熱出してんじゃネェの。大丈夫なのか?姫は」
使用人「今日は元気そうにしていらっしゃいました」
使用人「……早いほうが良いでしょう。帰ったら、魔王様に伝えます」
女剣士「あ……ッ あの、さ!結婚式って事は」
女剣士「側近も来るのか!?」
使用人「え?ええ……それは、まあ」
女剣士「じゃ、じゃあ……会えるんだな!?」
8431 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 17:50:32.19 ID:TKAvbH+GP
使用人「……ゆっくりと話す時間があるかどうか、保証はしませんよ」
女剣士「ああ、構わない!会えるだけで……!」
鍛冶師「出来れば僕も会ってみたいなぁ、側近って人」
盗賊「お前も!?」
鍛冶師「僕は魔法剣の話を聞きたいだけだけどね」
使用人「……魔法剣?」
鍛冶師「そう。その名の通り魔法の力の宿った剣さ」
鍛冶師「僕は何れ、そんな不思議な剣を作ってみたいんだ」
使用人「……成る程」
使用人(魔法剣……魔王様の剣も、その類……なんでしょうけど)
盗賊「全く……本当に、そういう所はしつこいよな、お前……」
鍛冶師「探求心と言って!」
船長「やれやれ……お前達は全く」
使用人「……では、明後日。宜しくお願い致します」
神父「そんな簡単に決めてしまって良いのですか?」
使用人「……良いんですよ。姫様にドレスを着せて差し上げて」
使用人「貴方達は夫婦です、と。宣言すれば」
女剣士「いい加減だな……」
使用人「……」
船長「神父さんよ、話も終わった様だし……良いか?」
神父「ああ……娼婦さんを見舞うのですね」
盗賊「アタシの家か?」
神父「え」
使用人「え」
船長「え」
鍛冶師「……」ニコニコ
盗賊「な、なんだよ……!」
神父「え、ええ……盗賊さんの家、ですけど……」
盗賊「……ッ あ、案内するから来いよ!」スタスタ
船長「あ、ちょ……ッ 待て、って!」スタスタ
8441 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 17:55:13.30 ID:TKAvbH+GP
鍛冶師「ふふ……」
女剣士「嬉しそうだな、鍛冶師……」
鍛冶師「そりゃ、ね」
神父「やれやれ……まあ、おめでとうございます、ですね」
神父「……娼婦さんも喜びますよ」
鍛冶師「あんまり大勢で押しかけてもアレだよね。僕は街の方を手伝ってくるよ」
女剣士「アタシも行くよ。娼婦って人とは面識ないし……お金、稼がないと」
神父「ええ、では気をつけて……使用人さんは、どうします?」
使用人「……少しお話よろしいでしょうか?」
神父「……ええ」
鍛冶師「じゃあ、神父さん、後で!」スタスタ
女剣士「あ、宿とかある?鍛冶師……」スタスタ
鍛冶師「……お金は?」
女剣士「……あ」
使用人「……」
神父「……なんでしょう、か」
使用人「魔除けの石の事で、と仰ったのは神父さんですよ」
神父「……そうでしたね」
使用人「渡す事はできない、ですか?」
神父「結論から言うと、そうです。娼婦さんは……魔王に会いたがるでしょうから」
使用人「……でしょうね」
神父「解っていらっしゃいましたか」
使用人「推測に過ぎません。しかし…… ……」
神父「……」
使用人「具合は、如何なのです?」
8451 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 17:56:03.41 ID:TKAvbH+GP
お風呂とご飯!
846 忍法帖【Lv=28,xxxPT】(1+0:8) :2013/06/01(土) 18:22:36.88 ID:A5+HWw3h0
規制で書けなかったがいつも見てるぞ
ガンバレBBA
8471@もしもし ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 19:07:35.98 ID:TKAvbH+GP
今日は起きる
絶対に起きる
夜頑張る!
来週から派遣の仕事でまた書けないからね!
とりあえずごはん!
848名も無き被検体774号+:2013/06/01(土) 19:20:25.56 ID:4Inagla40
がんばれBBA
849 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/06/01(土) 21:32:08.35 ID:IVkQtbMN0
くそ下手だが俺的姫のイメージ図
http://i.imgur.com/d6ofL8U.jpg
850名も無き被検体774号+:2013/06/01(土) 23:15:08.12 ID:v4T/le2x0
おきなかったな

まぁ疲れてるんだろう、体をイジメ過ぎないようにね
8511 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 23:21:01.67 ID:TKAvbH+GP
(=゚ω゚)ノ

ぱぱんが寝るの待ってたんだぜ

>>849
何か清楚に見える……
つか、何に書いてんだwww
ありがとなー!
8521 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 23:28:26.44 ID:TKAvbH+GP
神父「お元気そうですよ、と……そんな答えが返ってくると思っています?」
使用人「……」
神父「以前にも言いましたよね。私には、感じる力……エルフの姫、でしたか」
神父「その方の様に、命の炎を視る事はできません。ですが……」
使用人「……もう、持たない、のですね」
神父「このままという事は無いでしょう……いえ、そう思いたい、ですが」
神父「……私達人間、に。どれほどの影響を与えるか解らないでしょう。今の魔王は」
使用人「……」
神父「その魔の気、とやらがどれほどの物なのか想像も付かないですが」
使用人「備えあれば憂い無し?」
神父「それもあります。ですが……何より……」
神父「……本当は言いたく無い。考えたくも無い。ですが」
使用人「……」
神父「出来れば、一目魔王に……いえ」
神父「娼婦さんの愛する人に、会わせてあげたい、のです」
神父「ですから。魔除けの石を……差し上げる事はできません」
使用人「そう、ですか……わかりました。ありがとうございます」
神父「貴女は、娼婦さんにお会いになりますか?」
使用人「……どう、しましょうか。これと言って用事がある訳では無いのですが」
使用人「私の魔力程度で、娼婦さんがどうにかなる、とは……思いません」
使用人「……でも、それも推測に過ぎませんから」
神父「……明後日、で良いのですね?」
使用人「はい」
神父「では、私の口から伝えましょう。会えると思えば……」
使用人「元気も出る?」
使用人「……出て、欲しいです」
853名も無き被検体774号+:2013/06/01(土) 23:33:23.10 ID:rzdj0TOv0
挿絵いいぞ
8541 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 23:50:30.19 ID:TKAvbH+GP
使用人「……解りました。では、このまま城に戻ります」
使用人「準備も、ありますので……」
神父「はい……進行は私でよろしいのですか?」
使用人「引き受けて下さるのですか」
神父「勘違いなさらぬ様……娼婦さんの為です」
使用人「……はい」
神父「では……私も失礼致します」スタスタ
使用人「神父さん」
神父「はい?」
使用人「……ありがとうございます」ペコ
神父「…… ……」スタスタ
使用人「……」シュゥン……

……
………
…………

コンコン

盗賊「娼婦?」
船長「眠ってるんじゃネェのか」
盗賊「……か、な」キィ……
盗賊「……娼婦?」
娼婦「……」
船長「相変わらず、細い……な」
盗賊「……」ナデ
盗賊(随分、体温が低いな……胸は、上下してる)
盗賊(生きてる……)ホッ
船長「そんな方法で確かめなきゃわかんねぇのかよ」
盗賊「船長……」
8551 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/01(土) 23:56:21.18 ID:TKAvbH+GP
船長「……悪い。責めてる訳じゃない。誰も、別に……」
船長「……」
盗賊「目、覚める迄いるか?」
船長「俺か? ……否、良いよ。俺たちが居ると知れば、起き出そうとするだろ」
盗賊「……」
船長「おい?」
盗賊「いや、何でも無いよ。確かにそうだな、と思っただけだ」
船長「……随分悪いのか?」
盗賊「俺には解んネェよ。ただ……痩せたな、とか。顔色悪いな、とかさ」
盗賊「……そんな事しか」
船長「一年、って言ってたか」
盗賊「……まだ、半年以上あるさ」
船長「……」

コンコン

盗賊「はい?」
神父「私です」
船長「神父さんか……俺は、行くよ」
盗賊「良いのか?」
船長「良いって……言ったろ、さっきも」カチャ
神父「ああ、船長さん……娼婦さん、起きられましたか?」
船長「いや。まあでも良いさ。まだやる事もあるしな」
盗賊「俺も行くよ。準備もあるしさ」
船長「おう、盗賊。お前……」
盗賊「ん?」
船長「いや、いいや……」
盗賊「何だよ!」
8561 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:01:22.70 ID:mP2SImALP
船長「デケェ声だすな! ……飯でも食うかと思っただけだ」
盗賊「あー……そうだな。またゆっくりしようや、今度」
盗賊「……久しぶりに会うんだ。魔王と姫に、さ」
船長「あいつらにそんな時間あんのか?」
盗賊「違う違う。準備の話……その後でもさ。飯ぐらい食えるだろ?」
船長「ああ……そう、だな」
盗賊「バタバタ片づいたら、娼婦も神父さんも誘って、さ」
神父「私もですか?」
盗賊「ああ。この間試食して貰ったろ?もうちょっとであそこも」
盗賊「きっちりオープンするだろうしさ」
船長「ああ、そうか……まだまともに飯屋もネェのか」
盗賊「宿屋に行けば一応の飯は出してくれてるぜ」
船長「そっか。んじゃま、行ってみるわ」
神父「お二人とも、あまり無理をなさらぬ様に」
盗賊「うん。神父さんもゆっくり休めよ」
船長「じゃあな」

パタン

娼婦「……帰られ、ましたか」
神父「起きていたのですか?」
娼婦「今、です……」
神父「ああ、どうぞ、その侭……」
娼婦「すみません」フゥ
神父「お加減、如何です」
8571 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:06:34.73 ID:mP2SImALP
娼婦「薬酒と、神父様の回復魔法のおかげで……随分良いです、よ」
神父「そうですか……」
神父(しかし……顔色は悪いまま、か)
神父「ちょっと失礼……うん、熱は下がりましたね」
神父(下がりすぎ……と言っても過言では無い。やはり、この侭では……ッ)
娼婦「神父様……?」
神父「……先ほど、使用人さんがいらっしゃいましたよ」
娼婦「使用人さんが? ……ああ、そういえば、船長さんのお声も聞こえていましたね」
娼婦「もう……そんなに時間が経った、のですね……」
神父「……明後日」
娼婦「はい……?」
神父「明後日、式を挙げられるそうです」
娼婦「……ッ 魔王様が、この街に……?」
神父「はい。お会いするためにも、今はしっかりお休みになってください」
娼婦「そうですか……会える、のですね……」
神父「……」
娼婦「嬉しい……」
神父「ええ……ですから、お休みなさい。盗賊さんが戻られる迄」
神父「私も、ここに居ますから」
娼婦「ありがとうございます……申し訳、あり……ま……」スゥ
神父「娼婦さん……?」
神父(眠った、のか……先ほどより、少し頬に赤みが差している)
神父(……魔王に会えるのが、余程嬉しいのですね)
神父(早く……早く、明後日になれば良い)
神父(神よ……少しでもこの者の苦痛を、どうか……和らげてください……!)
8581 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:11:27.95 ID:mP2SImALP
……
………
…………

宿屋

キィ、パタン……

船長「スマン、此処で飯が食えるって……」
魔法使い「あ!船長!」
女海賊「遅かったじゃネェか!待ちくたびれたぞ!」
船長「…… ……」
船長(こいつらの事、すっかり忘れてた)

カチャ、パタン

鍛冶師「あー疲れた!」
女剣士「……悪いな、宿代まで……あれ?」
船長「鍛冶師!女剣士も……」
鍛冶師「……え、娼婦ちゃん!?」
船長「……ッ」
女海賊「あ?アタシ?」
魔法使い「娼婦?」
船長「……最悪のタイミングだな、お前ら」
鍛冶師「娼婦ちゃん、じゃ無いのか……びっくりした」
女剣士「?」
船長「お前ら、ややこしいから散れッ」
鍛冶師「何だよ、飯食いに来たんだよ」
女剣士「アタシ、先に部屋取ってくるよ」
鍛冶師「ああ。いっといで」
魔法使い「えーと、知り合い、っすか」
女海賊「娼婦って誰だい?」
船長「ちょっと黙ってくれ……」
8591 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:17:18.95 ID:mP2SImALP
魔法使い「まあまあ、船長。あ、始めまして、俺は魔法使いです」
魔法使い「で、こっちは……」
女海賊「女海賊だよ……なんだ、その娼婦、て奴に似てるのか?アタシ」
鍛冶師「いや……うん、何だろう。雰囲気は全然違うけど、顔は、ねぇ?」
船長「阿呆。似てネェよ……悪い、女将さん。何か食わしてくれ」
鍛冶師「あ、僕も」
船長「おい!」
女剣士「良かった、宿あいてた! ……アタシも!」タタタ
魔法使い「俺らどうする?」
女海賊「折角なんだ。話もしたいし同席させて貰うよ」
船長「……俺は飯食ったらすぐ行くぞ」
鍛冶師「え?どこか行くの?」
船長「ちょっとな……荷物も下ろし終わったし、すぐに戻る」
女剣士「船で出るのか?」
船長「ああ……」
魔法使い「あ!じゃあ是非お供を……!」
船長「阿呆!着いてくんな!」
女海賊「良いじゃないか!全然話も出来ないだろう!」
鍛冶師「……えっと、あの。お二人は……?」
女海賊「アタシ達は海賊になりたくてね。是非船長の船に乗せて貰いたくて、さ」
船長「断る、と言っただろう?」
女海賊「……アタシ達がお宝の地図を持ってても、かい?」
船長「……何?」
魔法使い「まあまあ、此処では、ね。あ!でもさ。宝を手に入れたからって」
魔法使い「はいさようなら、なんてやらねぇよ!?」
8601 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:22:57.13 ID:mP2SImALP
女剣士「あ!そうだ! ……船長って、海賊だったんだってな!」
船長「は!?」
女剣士「船の中で鍛冶師に聞いて、初めて知ったよ!」
鍛冶師「……あ、そういえばそんな事言ってたね。船長、話してなかったの?」
船長「お前の脳みそはあれか。筋肉でできてんのか、女剣士……」
船長「俺は何回もお前の前で、海賊って単語を出してると思うがな」
女剣士「……あれ?」
鍛冶師「……おかしいと思った。そうだよな」
女海賊「脳みそ筋肉……」
魔法使い「略して脳筋」
鍛冶師「まんまだね」
船長「頼むから黙ってくれ。黙って食え!」
魔法使い「解った、黙る。黙るからさ」
魔法使い「その、ちょっとのお出かけ、着いていっていいかい?」
女海賊「そうだな。船の中で話そうよ?」
船長「…… ……」
鍛冶師「なぁんか、虫の良い話だなぁ」
女剣士「え、虫!?どこ!?」
鍛冶師「うん、君は黙ろうか、女剣士」
船長「……良いだろう。先に船の所に行っとけ。乗らずに待てよ」
魔法使い「やった!話解ってるね!」
女海賊「オーライ。お互いに特のある話なんだ。良い関係になれる事受けあいさ」
船長「聞くだけ聞いてやる、が。変な真似しやがったら遠慮無く海に突き落とすぞ」
魔法使い「解った解った、んじゃ先に行こうぜ女海賊」
女海賊「ああ。待ってるからね、船長!」

スタスタ。パタン

鍛冶師「……良いの」
船長「黙って食え、って言っただろう」
8611 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:45:56.59 ID:mP2SImALP
船長「……そんなに、似てるか」
鍛冶師「え?」
船長「……」
鍛冶師「娼婦ちゃんに?まあ……黙ってたら、かなぁ」
鍛冶師「……さっきは似てないって言い切ったじゃ無いか」
船長「ご馳走さん」スタスタ……カチャ、パタン
鍛冶師「……なんだ?」
女剣士「随分機嫌悪かったな」
鍛冶師「君はものすごく機嫌良いよね」
女剣士「そりゃそうだ!明後日には側近に会えるんだ!」
鍛冶師「……そ、そうだね」
鍛冶師(娼婦ちゃんに似てる、って言うと……顔色変わったな)
鍛冶師(何かまずい事言ったのかな)
女剣士「ああ、美味しかった!ご馳走様!」
鍛冶師「早ッ」
女剣士「随分身体動かしたからな」
鍛冶師「あー……今日はもう終わりだろうし、部屋でゆっくり休んだら?」
女剣士「ん?そう、だな……鍛冶師」
鍛冶師「ん?」
女剣士「……本当に、ありがとう。なんとお礼を言って良いか」
鍛冶師「ご飯ぐらいで大袈裟な」
女剣士「違う……まさか、本当に、こんなに早く」
女剣士「側近に会える事になると思わなかったんだ」
女剣士「ありがとう。金はきっと返す」
鍛冶師「……うん。解った」
女剣士「じゃあ、先に休む。盗賊に宜しく」スタスタ
鍛冶師「……」
鍛冶師(盗賊はまだ街の中かな……探してみるか)

……
………
…………
8621 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:52:03.26 ID:mP2SImALP
船長「……本当に待っていやがった」
女海賊「待ってろ、て言ったのはアンタだろう?」
魔法使い「で、船に乗って良いんだろ」
船長「……良いだろう。すぐに出すぞ」
魔法使い「あいよ!」
女海賊「何処に行くんだい?」
船長「……すぐ近くの小さい島だ」
女海賊「お。お宝探しか?」
船長「違うわ阿呆……墓参りだ」
魔法使い「……墓参り?」
船長「ついでに花を摘みに、な」
女海賊「花!その顔で!?」
船長「顔は関係ネェだろ!」
魔法使い「こらこら……」
女海賊「花なんか何に使うんだよ」
船長「お前達に話す義理はネェ……さっさと本題に入れ」
船長「っと、野郎共!船出せ! ……廃港に行くぞ!」

アイアイサー!

女海賊「廃港?」
船長「本題に入れと言ったんだ。話さないなら出てけ」
魔法使い「……機嫌悪いね。まあ、良い……これ、見たら驚くぜ」バサ
船長「地図広げても…… ……ん?」
魔法使い「フフン」ニヤニヤ
船長「……随分古い地図だな」
女海賊「とある貴族の屋敷にな。あったんだよ、この地図が」
8631 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 00:59:13.09 ID:mP2SImALP
女海賊「……此処だ」トン
船長「これは……島、か」
女海賊「そうだ。南の端の端……小さな島がある」
船長(エルフの森のある……いや、違う。あの島は地図には……しかし)
女海賊「今出回ってる地図の中に、この島の乗ってる物は無い」
魔法使い「勿論、お宝が眠ってる保証は無い。が……何も無い、って保証も無い」
船長「…… ……」
魔法使い「魔物の荒れ狂う地獄みたいな島かも知れない。が!」
女海賊「行ってみる価値が無いとは言い切れない!」
船長「……で、船が欲しかった訳か」フゥ
女海賊「だがな、アタシ達は別に、本当にお宝を手に入れたからって」
女海賊「バイバイするつもりなんてねぇんだ」
女海賊「……海賊になりたい、てのは本当なのさ」
船長「何故だ?」
女海賊「……アンタにも探求心ってモンはあるだろう?」
女海賊「好奇心でも良い。この海を流れに流れて、世界の果てまで」
女海賊「……知識欲を満たしたいとは思わないか?」
魔法使い「俺は、魔法にゃ自信があるぜ。海の魔物に手こずる事もあるだろう」
魔法使い「こいつも男勝りで腕も立つ」
魔法使い「雇えとは言わない。報酬もいらねぇさ」
魔法使い「俺たちを仲間にして欲しい。海賊の間では、アンタは有名だ」
女海賊「あっさりはいそうですか、って信用して貰えるとは思ってネェ」
女海賊「だからこうして、地図も持参した」
女海賊「頼む……アタシ達を、この船に乗せてくれ!」
船長「…… ……」
船長「すぐに返事は出来ん……それに、海賊稼業は実質休業状態だ」
8641 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 01:06:02.29 ID:mP2SImALP
魔法使い「知ってるよ。港街を活性化させるんだろう」
女海賊「魔導の街に勇者が現れて、劣等種、だっけ……救った、んだろう?」
船長「……」
魔法使い「俺たちを船に乗せてくれるなら何だってする。だから……頼む!」
女海賊「アタシ達を、海賊にしてくれ!」
船長「……まずは下働きを手伝え」
魔法使い「!」
女海賊「!」
船長「だが、それも仲間にする、って訳じゃネェぞ」
船長「海賊稼業を再開するまで、どれだけかかるかわからねぇ」
船長「お宝探しもその後だ。それまで意思が変わらなければ、だ」
魔法使い「いやっほーぅ!」
船長「うるせぇ!騒ぐな! ……地図は預かるぜ」
船長「それから、妙な真似はすんなよ。部屋は与えるが、見張りはつける」
船長「その条件を飲めるか?」
女海賊「勿論だ!」
船長「良し……おい、誰か!」
海賊「呼びましたかい」
船長「こいつらに『特別室』を与えた。案内した後、まずは甲板掃除だ」
魔法使い「特別室?」
女海賊「……なんか厭な予感がするんだけど」
船長「閉じ込めやしねぇよ。船の一番底の、物置代わりの部屋の事だ」
海賊「良し、こっち来い!」
魔法使い「ま、まじっすか……」
女海賊「た、耐えてやるよ!絶対に……!」

パタン

船長「やれやれ……」フゥ
海賊「ああ、船長。もうすぐ着きますぜ」
船長「おう……半日で戻る。それまで、あいつらこきつかっとけ」
海賊「アイアイサー!」
8651 ◆wlrXk.nKvWpx :2013/06/02(日) 01:09:55.61 ID:mP2SImALP
……
………
…………

シュゥン……

使用人「……ん」スタ
使用人「!? 花が……!」
使用人(庭の花が、枯れてる……どうして……ッ)タタタ
使用人「……ッ これは……ッ」
使用人(魔王様の魔力、また……強くなってる!?)

バタン!

使用人「魔王様!側近様!?」
側近「王手!」
魔王「……ッ く、糞、又か……!!」
使用人「…… …… ……」
側近「あれ、使用人ちゃん?どしたの?」
魔王「使用人、丁度良いところに来た!すまんが……」

ボカッ
ゴスッ

側近「……痛ェ」
魔王「何するんだ……」
使用人「申し訳ありません、我慢できませんでした」
側近「何その棒読み……」
魔王「……ますます側近に似てきたな、使用人」
使用人「花が……」
側近「え?」
使用人「……庭の花が、全て枯れていたんです」
8661 ◆wlrXk.nKvWpx
魔王「……私の所為、か?」
側近「篭もってるとわかんくなるな」
使用人「お元気そうで何よりです」
側近「……その目怖いからやめて」
使用人「側近様、魔王様の剣は?」
側近「ん? ……あらま、折れてら」
使用人「あらま、じゃ無いでしょう!」
魔王「……そろそろ、限界か」
使用人「明後日、です」
魔王「何がだ?」
使用人「もう一度殴りましょうか?」
魔王「いや、流石に解らん。解らんから……腕を下ろしてくれ」
使用人「……式、挙げられるのでしょう」
側近「もう出来たの!?」
使用人「はい。魔王様と側近様が、チェスとオセロと将棋をなさってる間に」
側近「……トゲがあるなぁ。仕方無いだろ?」
魔王「そうか……とうとう、か」
使用人「どうぞ、ご準備を」
魔王「準備、と言われてもな」
使用人「……お召し替えとか、無いのですか?」
側近「ああ。お前あれ着れば?最初に旅立とうとした時にさ、言ってた奴」
魔王「白金の鎧に赤いマントか!」
使用人「……」
魔王「良し、探してくる」スタスタ
使用人「あ、魔王様、どこに……!」
魔王「隣の部屋だ。娼婦の魔石を持っているから心配するな」
魔王「何かあったら側近が体当たりでどうにかしてくれる」
側近「えええええええええええ」
使用人「……ちょっと、悪ふざけが過ぎませんか」
側近「ん?服装の話?」
使用人「全部ひっくるめて、です!」
使用人「こんな、こんな時に……!」
側近「……こんな時、だから。だろ」