曹植の凄さを話したいから暇な人聞いて

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1名も無き被検体774号+
代行
2名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:37:46.45 ID:k58JicGV0
ほう
3名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:39:14.54 ID:Dbos78KAO
曹丕「聞く耳持たん」
4名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:47:12.09 ID:MNbJc2fti
曹植って知ってる? 三国志好きな人なら、
「ああ、曹操の息子ね」ってわかるくらいだと思うんだよね。
で、もう少し知ってる人なら「ああ、詩が凄いんでしょ」って感じだと思う。
蒼天航路とかで言ってるし
んじゃさ、詩が凄い、って何? どうすごいの? 
っていうと結構難しいと思うんだよね。
と、いうことで、その辺を紹介したいと思う。暇な人いたら聞いてくれ。
 曹植、字子建は現代日本人にとってはそれほど
一般的な人物であるとは言えないよね。でも、
彼は中国詩史において非常に重要な位置にある詩人なんだってさ。

子建、中宣以気質為遂體、並標能壇美、獨映當時…
『宋書・謝霊運伝論』
其源出於国風。骨気奇高、詞采華茂、情兼雅怨、
體被文質、(中略)嗟乎陳思之干文章也、譬人倫之周孔…
『詩品・陳思王』
 上は曹植についての批評の例ね。
。曹植作品を「気質」「美」「骨気」「華茂」と表現し、
内容の質実さ華麗さを賛辞している。
また「詩品」っちゅー評論みたいなものでは
曹植を詩人の最高峰である「上品」におき、
さらに「人倫」における「周孔」であるとまで言い切っている。
要するに文学界における曹植ちゃんは、
倫理の世界でいう孔子並だよね。ってこと。
これってすごくねwwだって中国人のなかでww孔子超すごいしww
5名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:50:53.50 ID:MNbJc2fti
こうした評は曹植が生きていた時代にすでに高い評価を
得ていたことは勿論として、後世の文人たちが純粋にその作品
に感動すればこそ得られたものなのよ。
 んじゃ彼の作品が他の詩人の作品と比較して、どこが凄いわけ?
ってのはあとで詳しく話すけどさ、その前に時代背景ね。
曹植の生きた時代は文学が盛んだったわけよ、
曹植だけじゃなくて他にもいい文人たちがいっぱいいたわけ。
にもかかわらずその代表として語られるのはいつも曹植なの。
それってなんで? これは色々な人が色んな意見言ってる
6名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:55:07.37 ID:MNbJc2fti
明の胡王麟さんは『詩藪』のなかで
「建安中、三、四、五、六、七言、楽府、文、賦
ともに巧みなるは独り陳思(曹植ね)のみ」といってる、
ようするに作品の形式面の多彩さが彼を特別な存在にしてるよー、ってこと。

あと、曹植が同時代の文人たちの間では年少だったから
他の詩人のあらゆる要素を取り入れることが出来たんだよ、
っていう考え方とか、境遇的な激変した人生だったから作品の
表現も変貌して、その結果作品が複雑多彩なものになった
っていうのもある。
この辺はさー、どれも曹植の作品の形式・表現の
多彩さに注目した考えなのよ。まぁ、あってはいる。
けどさ、多彩であるってことはさ、他の複数
の人が持っている要素を多く持ってるってことじゃん?
独自性ってことでいうと言うと微妙じゃね?
7名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:56:32.14 ID:k58JicGV0
すいません

酔ってるんで3行にまとめて頂いても宜しいでしょうか?
8名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:57:24.02 ID:BLdum5yS0
文学の話は伸びない
9名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:57:44.25 ID:MNbJc2fti
そこでさ、今回は多彩さという観点から離れて、
曹植の作品自体の特徴について話したいの。
他の文人たちの論や先行研究では曹植詩の特徴として
高い叙情性を持っていること、詩の世界内のスケールの
大きさをあげてる
まぁ、詩がやたら感情的ってことと、詩の世界が広い、ってこと。
んで、ここでポイントにしたいのは、擬古性と仮構性。
要するにカバー(リスペクト)SUGEEEEE!
ってのとフィクションUmeeee!ってことね。
10名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:58:21.33 ID:hy01ZAft0
そうかそうか
11名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 01:58:48.51 ID:UtLvMOHt0
見てるよ
12名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:00:25.68 ID:MNbJc2fti
曹植さんは「其の源は国風より出ず(曹植ちゃんの作風は詩経だよ!)」
っていう『詩品』における論評とは別に『藝苑巵言』には
「漢楽府の變は子建より始まる
(漢の国の詩は曹植ちゃんが変革をはじめたんだよ!)」
っていう曹操の論評があんの。
あれ? これおかくね?なんかおかしくね?
13名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:02:26.07 ID:MNbJc2fti
一方で中国最古の詩の源を受け継いでるっていってるのにさ、
楽府(詩)の変革の創始者であるって。なにそれ。
意味わかんね。
伝統的な擬古詩と革新的な詩、矛盾してね?。
まぁ、仕方ない。そういってる人がいるから、とりあえず、
そうだったと仮定してみよう。
曹植ちゃんは古くからの伝統を受け継ぐ詩人ですた、
んだけど文学の変革期たる建安文学の
代表でもあったお!
 この辺の矛盾を解消してみたら、
曹植のすごさがわかる気がするよ!
14名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:05:15.09 ID:MNbJc2fti
読んでる人ありがと。ごめん三行は無理かも

 んじゃちょっとさ、実際の曹植の作品みてみて、あと曹植ちゃんの人生とか時代背景と照らし合わせてみて、考えていくよ!




 
んじゃまず、時代背景の話ね。 
この時代は建安時代って言う。
漢末魏初って時代は、いわゆる三国時代を指すの。
チンチンきられた人たちがいろいろ悪さして
乱れちゃった漢王朝に反発した黄巾の乱からスタートして、
色んな人が戦争ばっかりしてた時代でした。
この時代において漢は滅び、
魏、呉、蜀による三国鼎立が形成されたよ! 
でも三国志は詳しい人たくさんいるから割愛するよ!
ま、要するに荒れてたわけだよ!
15名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:07:04.24 ID:YSJXm2IV0
七歩の人?
16名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:07:43.91 ID:MNbJc2fti
 んで、こんな時代だけど発展してたものもあったの。
それが文学。この時代、文学活動がかなり流行ってて、
後の世では中国文学史上にとって転換点であったと
いわれてるとかなんとか。
これがいわゆる建安文学ね。 
この建安文学で有名なのは曹操(パパ)、曹丕(おにいちゃん)、
曹植(おとうと)の三曹と建安の七子であったって
言われてる、なかでも創始者は当時の群雄のなかでも
際立って有力であった曹操である。
曹操はもうめちゃくちゃ戦争強くて政治も優秀だったうえに、
文才もあったんだってさ。すごいね。
んで、文学が好きな曹操はサロンつくったよ! 
サロンにはいっぱい文人あつまったよ! 
17名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:11:07.85 ID:MNbJc2fti
そう。7歩の人

んで、ここでもういっこポイント。さっき建安時代が
文学の転換期だったっていったじゃん? 
それはなんでかっていうと建安文学以前と以降で
中国文学の主流となるスタイルが変ったから。
ま、流行ってたクラシックが廃れて、
ロックが流行りだしたみたいなもんね。
「賦」から「詩」に変ったのよ。
「賦」ってのは宮殿とか皇帝とかの様子とか政治とかを、
長くて難しい文体で書いたヤツ。
まぁ、叙述的ってことだね。
んで「詩」。これはパンピーとか、色んな人の心情とか
ちょっとした出来事への思いとかを歌ったもの。
高校とかの漢文で習う漢詩は大体コレ。
18名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:14:17.64 ID:MNbJc2fti
当時まではパンピーたちのあいだで自然発生的に生まれる歌として
存在してて、宴会で適当に歌われたりしてた。
作者未詳の、名も無き人々の歌という認識だったんよ。
ま、極端に言えば「みっちゃんみちみち」とかあの辺の感じだよね
だから、「詩」は文人たちの間では「あんなもん、文学じゃねー」
って感じだった。
「詩経」ってあんだろ? あれ中国最古の詩集なのによ。
三百五編の殆どが作者未詳の民謡ww
いかにどうでもいいと思われてたかわかる。
こんな「詩」の状況を変えたのが曹操を初めとする
建安の文人たちだったのさ。
こいつらは「詩」をつくって、そしてその作者として名前書いた。
するとどうなる?だってさ、曹操にあつめられた文人とか
超社会的ステータス高いww 曹操とかもっと高いww。
しかもwww天才wwwでwww有名www
曹操様KOEEEEEE!! そのサロンの文人たちやべぇえええ!!
あれ? あいつらが作ってるくらいだから「詩」って
結構すごいんじゃね? ってなった。
19名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:14:53.59 ID:EfLpZt6gO
せんせー
曹植と長男の曹○の名前が読めませーん
振り仮名が必要でーす

成る程、詩とは日本で言う和歌みたいなもんですかね?
20名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:16:43.33 ID:YSJXm2IV0
曹植 そうしょく
曹丕 そうひ
21名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:19:43.00 ID:MNbJc2fti
そうひ、とそうしょく、です。
和歌は近いかも。

だから、
それまでの主流であった「賦」に成り代わって、
より短く軽快な「詩」が中国文学では
メインストリームとなったんよ。
このブームはずっと続いて、
陶淵明や李白、杜甫といった
「詩」の文学もその上に
生まれることになったのさ。

と、まぁこんなの感じ。多分戦争で国が檄荒れ
だったから、文学もかわったのかもね。。
魏の初代皇帝の曹丕さんは『典論』って作品で
「文章は経国の大業にして不朽の盛事なり」
って言ってる。文学は国家レベルの大事で、
けして朽ちないよ! ってわけよ。
まぁ世の中荒れてたし、文学も熱かった
時代なわけよ。後の時代では建安文学は
「気骨」「風骨」「慷慨」とかいう言葉で表現されてんの。
タフでクールでロックだぜ!って感じ。
まぁ、最近でも60年代とか、戦争おこってるときは音楽
がアレだったりするしね。
ま、要するに何が言いたかっていうと、
曹植が生きてた時代は荒れてて、
でも文学は熱い時代だったよ!! ってこと。
んじゃ、次。曹植ちゃんの人生について
22名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:22:01.77 ID:MNbJc2fti
 曹植ちゃんは西暦一九二年(初平三年)、曹操の子として生まれます。
 曹植は大体40年くらいしか生きないんだけど、大体人生が三つの時期に分かれる。
まずその一つ目の時期「マジ俺最強ww天才でwwwボンボンwww時代」
誕生した一九二年(初平三年)から曹丕お兄ちゃんとの後継者争いに敗れる二一七年(建安二十二年)、二十六歳までの時期ね
 曹植が生まれた後、父ちゃんの曹操はは着々と勢力を拡大して、ものすげー偉くなんの。
23名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:23:28.37 ID:EfLpZt6gO
>>20>>21
どうもthanks
24名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:25:03.73 ID:MNbJc2fti
荒れ放題の世の中、だけど俺の父ちゃんはそのなかでも最強ww
こりゃ人格形成に影響しないわけないよね。
よく知られたエピソードとしてこんなんがある。
 曹植ちゃんは十歳くらいで『詩経』や『論語』
辞賦など数十万言を覚えてて、文章を書くのも上手
だったんだってさ。wwwすごすぎwww 。
あんまり上手いから父ちゃんが「誰かに代作してもらったん?」
と聞くと「俺が喋ったり書いたりすると、
それがもー文学として成立するんですわwww」
と答えて、曹操も「やべぇww俺の子ww天ww才ww」
って思ったんだって。ま、中国の歴史書は盛りがちだから
完全な事実じゃないかもだけど、それでも少なくとも曹植ちゃんが
その辺の子どもと違ってたのは間違いなさそう。
25名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:26:56.32 ID:EfLpZt6gO
藤原頼長っぽいな
26名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:27:19.74 ID:MNbJc2fti
 んでその後も曹植ちゃんは才能に任せて文学無双状態になる。
若いけど一流の文人で扱いされるようになんの。
 ちなみに曹操は、曹植が十九歳のころ、
西暦二一〇年に唯才令を呼ばれる求賢令を施行してんの。
これは「コネがなくても、人格的にやべぇヤツでも、
身分底辺でも、才能さえあれば、採用するよ!」ってもの。
これは儒教マンセーのそれまでの社会ではまずありえないけど、
リアリストの曹操なら、まぁ、ありそうかな、って感じ
27名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:29:19.46 ID:fL7x4fJd0
これはよい読み物
カンウの息子のカンなんちゃらは実在しないのに
墓は存在するって話は聞いた事あるけど本当なの?
28名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:29:29.65 ID:uIGQUceO0
家庭教師の楊修の影響と演義では語られてるが
そうでもないの?
29名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:29:52.18 ID:MNbJc2fti
 しかも! しかもだよ! 曹操は他の君主たちが文学者を
芸人なみに扱うのとは違って、ちゃんとした知識人として
平等の資格を与えて接してたんよ。つまり、
最有力の群雄であり実質上当時の最高権力者たる曹操は
文学を社会的に価値のあるものとして認める姿勢を
見せていたってことね
 曹操はそんなヤツだったから、息子曹植に
か、な、り期待してたみたい。
30名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:31:18.46 ID:YSJXm2IV0
>>27
日本にキリストの墓があるみたいな感じなんじゃない?
31名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:33:05.43 ID:MNbJc2fti
「生は簡易にして威儀を治めず。興馬服飾、華麗を尚ばず。
常に進んで難問にあい、声に応じて答え、特に寵愛せらる」
‐『三国志 陳思王植伝』
(訳:曹植はあんま偉そうにしないで適当な感じで生きてる。
ゴテゴテした装飾とか服とか嫌いで、しかも自分から難しいことに
取り組んでて、すげー、だから曹操も曹植ちゃんが好き)
曹植は文学的才能抜群で、奔放にして、華美を好まぬ趣味、
礼式とか気にしねぇ的なルックスとかスタイルは
ヤング時代の曹操と似てたし、だからかなり好かれて、
期待されてたみたい。

家庭教師てか側近の人たちの話は後から出ます
32名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:34:04.64 ID:EfLpZt6gO
>>29
曹操人格者だなー
映画レッドクリフ見たぐらいの知識しかないから興味深いわ
33名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:34:44.72 ID:uIGQUceO0
そうか
でも面白いスレだ
どんどんやってくれ
34名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:38:02.15 ID:uIGQUceO0
そして
曹操が最終的に曹丕を後継者に指名した理由を
説明してくれると嬉しい
35名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:40:11.02 ID:fL7x4fJd0
>>30
日本にキリストの墓がある事にまずびっくりだわ
36名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:55:15.58 ID:MNbJc2fti
超リア充wwでもこの状況は必然的にある問題を引き起こしちゃう。
なんでかっていうと曹植は長子じゃないから。
 中国では長子相続が基本なわけ。
でも曹植は上にかいたみたいに特殊な才能あったし、
曹操に好かれてたの。だから実際才能優先主義者の曹操さんは
曹植を後継者に考えたこともあったそうな。
あと、丁儀・丁翼・楊修といったやつらが曹植の側近になって
曹植ちゃんを後継者に! 運動も開始
側近のこいつらも文学スキーで、その辺も曹植と
仲が良かった理由
でもさ、それってお兄ちゃん的にはおもしろくないわけよ。
曹丕は長子だし結構優秀。どっちかっていうとそりゃ兄ちゃんが正統じゃね?
って声もあった。
ところで曹丕と曹植の間にはもう一人男の兄弟がいるんだけど
テラ無視wwwwカワイソスww
37教師目指してるDQN ◆1DQN.WHl0c :2012/12/18(火) 02:56:05.49 ID:gDh8CCfg0
そういやまだ無双にでてないな
38名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:57:54.59 ID:MNbJc2fti
んで、跡目争い勃発。んでも実は曹植自身はあと継ぎたかったか
微妙みたい。
贈答詩「贈丁儀」っていう詩では、「父ちゃんに跡継ぎ指名されたけど
兄ちゃんに譲った季札っていう昔の人カッケー!」
っていう気持ちを歌ってるし。
あんまり側近が跡継ぎ跡継ぎ言うから、オイオイ
落ち着け、って感じだったのかもね

だからどっちかというと兄弟対決というよりは
兄弟の側近対決だったみたい。
んで結局、お兄ちゃん曹丕大勝利!
39名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 02:59:16.07 ID:MNbJc2fti
「植、才をもって異とせらる。
しかして丁儀、丁翼、楊修等、之が羽翼と為る。
太祖狐疑し、殆ど太子と為さんとすること数々なり。
而るに植性に任せて行い、自ら彫励せず、
飲食節ならず。文帝之を御するに術を以ってし、
情を矯めて自ら偽る。官人左右、並びに之が節を為す。
故に遂に定めて嗣と為す」‐『三国志 魏志 陳思王植伝』

訳:曹植はすげー才能あったから丁儀とかが跡継ぎにしようとしたよ!、
曹操もほとんどその気になったよ!でも
曹植は自由気ままに飲んだくれて遊びほうけたよ!
でも曹丕は跡継ぎのこともあるからきりっと真面目にしてたよ!
だから曹操も跡継ぎはやっぱ兄ちゃんにしたよ!
って内容だよ!!
ま、この辺からも曹植がそんなマジに後継者めざしてたかどうか微妙に
思うよね
40名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:02:16.46 ID:MNbJc2fti
で、このあと曹植の後半生、具体的な詩の内容
の考察と続くんだけど、今日は遅いから中断します。

残ってたら後日書きます
41名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:04:25.68 ID:OKKeOt5aP
>>40
残らない可能性大だな
42名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:04:33.61 ID:MNbJc2fti
途中だけどとりあえずここまで読んでくれてありがとう
43名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:05:05.94 ID:YSJXm2IV0
曹植を可愛がってるのを見て、側近が気を起こしたって感じだったよね、確か

乙でした
また立ててくれてもいいのよ。代行じゃ気がひけるかも知れないけど
44名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:07:40.56 ID:VanpVgDz0
魏が圧倒していたとはいえ呉も蜀も元気があった時代でしょ?
まぁ1が語りたいのは曹植の後半生だから関係ないっちゃないけどw
45名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:13:23.16 ID:EfLpZt6gO

しかし中国史面白そう
三国志あたりから勉強していくかな?と言う気を起こさせる
46名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:13:57.57 ID:OKKeOt5aP
また別でスレ立てて欲しいな
見たいわ
47名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:17:29.28 ID:MNbJc2fti
マジか。明日とか明後日でも持たないかな…。
ここからが本番なのだが…残念
48名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:20:36.61 ID:VimnRptnO
まぁ曹ヒはさらに天才なんだけどね
49名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:20:43.64 ID:OKKeOt5aP
VIpが落ちてこっちにスレ立ちまくるから落ちるかもな
治ったら大丈夫だろうけど
50名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 03:41:19.14 ID:uIGQUceO0
あげ
51名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 04:04:31.53 ID:+m/6lC/h0
続きに期待
52名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 04:38:13.03 ID:fL7x4fJd0
あら一旦終わっちゃったのね残念
スレ残ってたら続き楽しみにしてるよ
53名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 04:47:07.39 ID:xG/Tmwco0
そうてんこーろあたりでしか知らないから面白いわ。
続きに期待!!
54名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 06:02:46.42 ID:7qSSO5qE0
蒼天航路で誰かが曹植のことちーちゃんって呼んでたよね
中国ではそうちーって発音するのかな?
55名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 06:09:48.11 ID:r+rCF4yxO
ここまで曹植系男子の話題なし
56名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 12:13:55.59 ID:0GsGz5l40
曹彰「……」
57名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 12:22:35.22 ID:T6O08kFDO
ちょっと読みにくいです
58名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 12:47:51.07 ID:uIGQUceO0
59名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 14:41:35.74 ID:EqKCDOMp0
>>56
俺は好きだぞ
60名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 14:54:43.02 ID:OKKeOt5aP
おちるなよ!
61名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 15:55:36.34 ID:SZgcP3yUi
自ら保守
62名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 16:16:30.42 ID:U/G7KhE8O
曹彰も優秀だったけどな〜戦に関して
63名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 16:22:25.81 ID:b00CMaXW0
>>国が檄荒れ

お前、普段の変換がぜってーおかしい。
ワロタw
64名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 17:04:50.58 ID:uIGQUceO0
檄文とかあるからな
65名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:26:53.47 ID:SZgcP3yUi
残ってた!誰か読んでくれると嬉しいです

さーてここからは曹植の人生悲惨期に突入。
年表形式でいくよ!
二一六年…後継者争い敗北に負けるよ! 
さらに一緒にサロンで文学を語り合った仲間たちが
次々にww死亡ww 曹植以外はジジィが多いから仕方ないね!
二一九年…親戚の武将曹仁さんがピンチになるよ!んで
パパから助けに行け、って言われたけど…
曹植さんはこのときベロベロに酔っ払ってて無理だったよ!
このせいで曹植の立場はさらに悪くなるんよ。
66名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:29:23.38 ID:SZgcP3yUi
二二〇年…パパ曹操が死んじゃうよ! 悲しいお(´;ω;`)
んで兄貴の曹丕が皇帝になったお。
そうするとそっこーで曹植の側近で仲良しの
丁儀と丁翼は曹丕兄ちゃんに誅殺されちゃうよ!
しかもさらにすみなれた土地から離され、
都から離れた封地に実際に赴任することになっちゃうのショボーン

二二一年…またまた酔っ払って、お目付け役の人に絡むよ
するとチクられて、もっと遠くに左遷されたよ!

二二三年…曹彰兄さんが死んだよ!あと曹丕兄さんの奥さんで、
密かにハァハァしてた(説もある)皇后、(義理のお姉ちゃんね)も兄さんに殺されたよ!
お姉ちゃん、めっちゃ可愛かったから、ショックだったよ!
二二六年…ついに曹丕兄さんも死んじゃったお。。もう誰もいないお。。

ちなみにこの間、ずーっと、政治参加させてよ。いっそ戦争でもいいから
って言い続けてたけどww全部シカトされてたみたい
67名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:33:18.20 ID:SZgcP3yUi
誰もいないの?(´・ω・`)

二三二年…四十一歳。そんなこんなしてるうちに死亡。
ってな感じが曹植の人生ですた。
前半のアッパーリア充ぶりからwwwひどい転落wwドラマチックww
こんな感じで可哀想にみえるから。隋の王通とか明の王世貞とか
多くの文人は曹植を「曹植はえらい! 兄さんに天下を譲ったんだよ…」
って評価してて曹丕を陰険な虐待ヤロウだ、って言ってる
本来なら曹植ちゃんが後継者なのに、曹丕が
卑怯なことして、んで曹植ちゃんもわざとブラブラ適当に生きて
パパから嫌われて後継者の座を兄に譲った。
なのに兄ちゃんはその後も曹植をいたぶり続けた
とか言ってる。



ww無理wwありすぎww贔屓しすぎww
68名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:44:26.89 ID:i2kPPHcpO
終わり?
69塩なめくじ ◆P.1kwWtwlwvG :2012/12/18(火) 20:46:00.27 ID:pMicpG5x0
めっちゃおもしろい
70名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:48:15.14 ID:SZgcP3yUi
だって客観的にみて、政治とかそのあたりは兄貴のほうが明らかに
上だし、曹植ちゃん奇行が目立つし。
多分曹植はすげー文学と歌の才能があったかわりに、
仕事とかなんにもできませんよー、っていうヤツだったって見方が強いの。
ちなみに曹植自身は文学的なことよりも
政治・軍事といった現実的なことがカッコイイお!て考えてたくさい。
しょっちゅう「政治やりたいお」って文章かいてるし
「楊徳祖与書」では
「辞賦は小道なり(中略)来世に障示に足らざるなり」
訳:文章とかまじくだらねぇ。
とか言ってるし。
ちなみに曹丕は上に書いたように「文章すごい。国家レベルの大事」
って言ってる。文芸の天才だけどプーの弟。文芸では劣るけど皇帝の兄貴。
wwwおもしろいww兄弟www
71名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:49:49.34 ID:EqKCDOMp0
確かに面白いな
72名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:50:26.16 ID:SZgcP3yUi
でもそんな曹植ちゃんも大人になって後から考え方変ったみたい。
「薤露行」
「我が逕寸の簡を馳せ 藻を流して華芬を垂れん」
訳:俺の筆と才能を駆使する!華を!魂を!後世に残す!俺の歌を聴け!
ま、政治参加とか実務が無理くさい…だったら!
って感じかもね。
以上が曹植ちゃんの文学への考え方。
んで次。曹植さんの民間よりの考え方。
「楊徳祖与書」
夫れ、街談巷説も必ず采る可き有り。
撃轅の歌も風雅に応ずる有り。
匹夫の思いも未だ軽んじて棄て易からざるなり。
訳:ストリートで流行ってる話とかジョークも結構いいぜ。
車の轅をたたきながら歌う歌の中にも『詩経』に通じるものがあるぜ!
ぱっとみ、その辺のフツーの人にしか見えないような人の
思いとか、バカにしちゃいけないぜ?)

曹植は好き好んで俳優小説を楽しげに歌ったりしてたっていう情報
ものこってる
73名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 20:52:45.10 ID:SZgcP3yUi
さて、長くなったけど、曹植の人物像で
覚えていて欲しいのは。
1古典に通じていたお!2曹植は生活の激変を体験したよ…
3政治とか仕事したかったけど無理だったお。。
4民間芸能大好きだったお!

ってこと。
んじゃいよいよ。曹植の作品を紹介するぜ! チェケラッ
74名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:00:15.98 ID:uIGQUceO0
おかえり
75名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:03:08.32 ID:SZgcP3yUi
まずは初歩の短いやつ。むかーしからある楽府(民間発生の詩みたいなもん)
をカバーしたやつ。

1「薤露」(古辞・オリジナル)
薤上露       薤の上露は
何晞易       何ぞ晞き易や
露晞明朝更復落   露は晞くも明朝更に復た落つ
人死一去何時帰   人死して一たび去らば何時か帰らん

訳:韮の葉の上の露って蒸発しやすいなー
いやね? 露は乾いても、明日になったらまたつくじゃん?
でも人間って死んだら戻れる?いや生き返れないよ

2「薤露行」(曹植・リスペクト)
(前略)
人居一世間   人の一世に間に居ること
忽若風吹塵   忽として風に吹かれる塵の若し
願得展功勤   願わくわ功勤を展ぶるを得て
輸力於明君   力を明君に輸たさん

約:人の一生!風になびく!塵!みたいに刹那的!
だから俺は、だから俺は!見せるぜ俺のポテンシャル!
すげー人に、俺の君主に使える!
76名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:03:12.11 ID:erKMQMnYO
面白い、もっと続けてー!
77名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:07:20.72 ID:SZgcP3yUi
オリジナルのほうはストレートに人生一瞬だお。むなしいお。。っていう歌。
曹植ちゃんのはそれに加えて、それにのっけて自分の思い爆発って
感じね
※上でいったように叙情的な「詩」でしょ。それまで流行ってた「賦」
じゃなくてさ
あと、曹植の詩は作品はほかと比べてリズムやノリがよかったらしい
(詩をのせるを他の文人みたいに音楽のプロに作らせず、自分で
作ってた説あり)からちょっと意識してみた
こんな感じでこの時代の文人は積極的に叙情的な民間詩をカバーした。
でもそのなかでも曹植はブッチギリに数が多い。民間大好きだから。
78名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:09:22.91 ID:YSJXm2IV0
帰ってきたか。待ってた
79sage:2012/12/18(火) 21:19:10.22 ID:naqpEINc0
>>二一六年…後継者争い敗北に負けるよ! 

217年じゃね?
あと建安の七子はわりと若くして疫病で亡くなってる
80名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:19:41.33 ID:SZgcP3yUi
特に好きだったのは「棄婦」を歌ったもの。
キフ?なにそれ?
うん。あれだよ。恋人とか夫に振られたり
戦争いかれて寂しい女のことね。やっぱいつの時代も
そういうの人気あるらしいよ!じゃあ次はそれだ!
ヒゥイゴー!
 
「七哀詩」
名月照高楼  名月高楼を照らし
流光正徘徊  流光正に徘徊す
上有愁思婦  上に愁思婦有り
悲歎有餘哀  悲歎して餘哀有り
借問歎者誰  借問す歎する者は誰ぞ
言是客子妻  言う是の客子の妻なり
君行踰十年  君行きて十年を踰え
孤妾常獨棲  孤妾常に獨り棲む
君若清路塵  君は清路の塵の若し
妾若濁水泥  妾は濁水の泥の若し
浮沈各異勢  浮沈各おの勢いを異にし
會合何時諧  會合何の時にか諧わん
願為西南風  願わくわ西南の風となり 
長逝入君懐  長逝して君が懐に入らん
君懐良不開  君が懐良に開かずんば
賤妾當何依  賤妾當に何れかに依るべき 

訳は次だぜ!
81名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:22:20.93 ID:SZgcP3yUi
七子は若死もいるけど他の文人にはシジイも結構
いるよ。年号は間違えたかも。ごめん
82名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:23:18.34 ID:SZgcP3yUi
訳:明るい月は照っている、高楼には月明かりに照らされて
悲しんでうつむく人がいる。
泣いているのは、誰? 愛してる人が旅に出てしまった人。
君がいなくなって十年だよ。私はずっと一人ぼっち。
君は清らかでフワフワな塵みたい。
私は暗い水に浮かぶ泥なのかな?
いつ会えるの?風になってあなたの胸に飛んでいきたいよ…
でも君が受け入れてくれなかったら胸を開いてくれなかったら、
ワタシはどうしたらいいの?

やべぇwwwデラJポップにありそうwww
西野wwwカナwww会いたくてww震えるwww
83名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 21:46:30.59 ID:SZgcP3yUi
うん。ごめん、ちょっと訳はそれ意識した
ちなみにこれの元ネタは『古詩十九首其五』ってやつ。

青青河畔草  青青たる河畔の草
鬱鬱園中柳  鬱鬱たる園中の柳
盈盈樓上女  盈盈たる樓上の女
皎皎當牎牖  皎皎として牎牖に當る
娥娥紅粉糚  娥娥たる紅粉の糚
纎纎出素手  纎纎として素手を出だす
昔爲倡家女  昔倡家の女たり 
今爲蕩子婦  今は蕩子の婦と爲る
蕩子行不帰  蕩子行きて帰らず
空牀難獨守  空牀獨り守ること難し  


訳:青い草、こんもり茂った園の柳。
春たけなわの折から、見上げる楼には、
奇麗に化粧した女、
窓のところに白く輝いてたってる。
頬も手も奇麗。この女は元風俗嬢。リッチな生活してたのに。
今はDQN男の妻になった。
男は出て行ったきり帰ってない
さびしい

やべぇwwこれも超現在も有りそうww
84名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 22:41:15.29 ID:SZgcP3yUi
そんなわけで、こんな風に曹植ちゃんは
いっぱいインスパイア曲を出してる。過半数がインスパイア。

「門有萬里客」「泰山梁甫行」みたいな漂泊歎きモノ
「升天行」「遠遊」「飛龍篇」みたいな仙人モノ。
ぜんぶ伝統的なイメージをもつ作品っす。
曹植は「少きより、終わるに至るまで、篇籍手より話さず、
誠に能くしがたき異なり」
(ガキのころから死ぬまで、いっつもなんか読んでた
普通じゃねぇ)
『三国志 陳思王伝』
っていうような読書家で、あと民間志向強い
んだから、「賦」じゃなくて「詩」「楽府」に傾いたのもまぁ、
そうよねー、って感じ。

この辺が最初にふれた「其の源は国風より出ず」
伝統的なリリックスキルをもってたよ! っていう中身
85名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:16:54.40 ID:VD088TYF0
曹植は漢詩の基本形を作った。
86名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:21:19.90 ID:SZgcP3yUi
 じゃあ次の要素いくぜ!さっきまでは曹植ちゃんの伝統的リリックスキル、
擬古性についていっただろ? こっからは独自の部分さ!
 でもその前段階として「興」というものを知ってほしい。
興っていうのは昔からある民謡とかで使われるテクニックね。
「詩経」とかでよく出てくるよ!

どういうものかっていうと

「興」とは一言で言えば、比喩的な自然描写ね。詩の頭に何らか
の自然描写をおき、その後に続く人事の叙述の暗喩とする、
といった表現技法が「興」
自然に人事・感情のシンボルを見出すといったものともいえる
87名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:22:20.34 ID:SZgcP3yUi
なに? よくわからないって? おーけー!
じゃあ「興」が使われてる曲! いってみよう!
ヒーハーッ!
曲はアルバム「詩経」!から「桃夭」だ!
桃之夭夭  桃の夭夭たる
灼灼其華  灼灼たるその華

之子于帰  この子とつぎ帰らば
宜其室家  その室家に宜しからん

訳:若い桃の木、奇麗な花とたわわな実がなってるよ。
この娘はお嫁にいったのなら、そこんちの人とうまくやってほしい

詩の前半部分と後半部分、ストーリー的には関係ないじゃん?
でもなんとなくとついで行く女の子が桃みたいにみずみずしくて
可愛い感じするじゃん?普通に可愛い子、っていうより
イメージわくじゃん? 桃子タン…って感じするじゃん?
これが興。自然物を人間の営みの連想に使う方法さ
バッチリだね!
88名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:25:07.16 ID:SZgcP3yUi
なんと言う誰もみてない感…

漢詩とか出すと駄目なのか…暇な人は、いないのか…!?
89名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:28:05.32 ID:EdFDiNF00
おれ漢詩好きだから見てるよ
90名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:28:42.57 ID:T6O08kFDO
見てるよ。ノリノリで続けてくださいな。
91名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:30:11.87 ID:SZgcP3yUi
ありがとう。んじゃ続けるよ!


んで『詩経』にはこんな「興」の手法がいっぱいあるよ
 「その源は国風より出ず」と評された曹植ちゃんも、もちろん
得意なライムスキルさ。では次の曲、いってみよう
「盤石篇」

盤石山巓石  盤石たる山巓の石
飄颻澗底蓬  飄颻たる澗底の蓬

我本泰山人  我は本泰山の人
何為客淮東  何為れぞ淮東の客たる
(後略)

訳【重そうな感じの山頂の石、ひらひらと風にふかれる谷底のよもぎ
俺はもともと泰山の人間、だけど今では東海の旅人後略)

これ、泰山にいたときはどっしり石みたいな生活してた。いまではよもぎ
波に風に揺られてるよ俺。
っていう「興」ね。伝統テクニックを奇麗にそのまま使ってるね!
92名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:31:58.71 ID:SZgcP3yUi
 リスナーのみんな。おいおい、曹植の独自性はどうしたよ?って
 そいつはここからさ、曹植はこの「興」を進化させたのさ!
93名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:35:04.30 ID:SZgcP3yUi
 じゃあ次の曲
 
「雑詩六首其二」!聞いてくれ!

転蓬離本根  転蓬は本根を離れ
飄颻随長風  飄颻と長風に随う
何意迴飆擧  何ぞ意わん迴飆の擧がり
我吹入雲中  我を吹きて雲中に入れんとは
高高上無極  高高と上がりて極まり無く
天路安可窮  天路安くんぞきわ窮む可けんや
↓ 
類此遊客子  類たり此の遊客の子の
捐躯遠従戎  躯を捐てて遠く従に戎い
毛褐不掩形  毛褐形を掩ず
薇藿常不充  薇藿常に充たざるに
去去莫復道  去り去りて復た道う莫かれ
沈憂令人老  沈憂人をして老いしむ
 
94名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:37:03.79 ID:SZgcP3yUi
忘れてた!上の詩は曹植作だぜ。

訳は…
訳:ヨモギが根元はなれて風に舞い上がる!
つむじ風に吹いて吹き飛ばされる!雲に入る!
高く高く上っていく! でも天空には終わりがない!
どこまでいっても終わりはない!
それってまるで旅人が遠く従軍するみたい!
着物もたりない、食べるものもない!
わらびや豆の葉もとても腹を満たすには足りない!
やっべやめよう。愚痴ってたら老けちまう!
95名も無き被検体774号+:2012/12/18(火) 23:41:23.03 ID:SZgcP3yUi
 これでも風に吹かれるヨモギが従軍する人を連想させる「興」として
使われてるよね!。
でも今までのとはちょっと違う。

どこが違うと思う?
96名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:00:57.83 ID:SZgcP3yUi
オーケー。そんな些細なこと知らねーって?

そりゃそうだ!

じゃあだ!黄節って人が
この詩について言ったことをチェックだ!


黄節さんが『曹子建註』
って注釈で言ってるぜ!
「凡そ物は其の本所有らざる莫し。蓬の本所は根に在り。
之を離れれば即ち或いは東し、或いは西し、或いは南し或いは北す。
自ら主る能ず。随うとは、自ら主らざるなり。
然れば丁風に随わば東西の離ありと雖も長風に随わば東西の離ありと雖も、
未だ嘗て上下に分かれざるなり」

はてさて、これは…?
97名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:03:42.65 ID:SZgcP3yUi
 要するに「ヨモギってさ、風に飛ばされたら東西南北、
二次元方向にはいくけどさ
縦方向にはいかなくね?まして天空とか、ありえなくね?」

ってこと。ここがポイントなのさ!
98名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:08:12.76 ID:QPHIalmIO
うーん。わかるようなわからないような。

つかリアクション薄いなか頑張るな
99名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:09:23.31 ID:jiE8SNOmi
これまで「実在しそうな」自然描写しか使ってなかった興に
フィクションの「雲まで飛ぶとかwwwパネェww」っていうびっくり
描写を入れてる。この意味についてはあとで書くけど。
その前に比較として 曹操が書いたヤツでやっぱヨモギを
モチーフにした作品があるから、それを紹介するよ!。
100名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:10:12.27 ID:1BUuSkr40
眠くなってきたから明日まとめて読むわ
1おつ
あとはよしなに〜
101名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:14:04.80 ID:jiE8SNOmi
曹操「却東西門行」

田中有転蓬  田中に転蓬有り
随風遠飄揚  風に随いて遠く飄い揚がり
長与故根絶  長く故の根と絶れ
万歳不相当  万の歳までも相い当わず

訳:田んぼにヨモギがあるよ。
風に吹かれて遠くのほうまでいって
根元から離れたよ。(おなじように旅に出た人も)
一万年くらいたっても元のところに帰れないよ。

どうよこれ。父ちゃんの普通のヨモギの動きより
曹植のヨモギが天空高くまで吹き飛ぶ、っていう
wwありえwwねぇwww描写を入れたほうがファンキーじゃね?

ヨモギが風で横方向に飛ばされるとか普通じゃね?
そこで常識を離れてみて「我吹入雲中」、雲に及ぶまで、
吹き飛ばされ、天空を窮めるところまできたところで、
いきなり旅人の話wwwインパクト大ww 
そんな大変かよ旅人www天空とかww旅人つれぇww
102名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:15:19.15 ID:jiE8SNOmi
ようするにさ、ありえない自然の描写することでその
あとの人間の感情を大きく表現するってことね。悲哀感が強くなるでしょ
曹植は感情とかを強く読み手に伝えるために、
伝統的なテクニックの「実際ありそうな」自然描写を用いた
興の手法を進化させて「ありえねー」自然描写を用いた
興の表現技法を使用したっつーことさ!
 曹植による興の変身だね!こんな感じの作品が沢山ある。
 むしろ曹植が最初に定着させたともいえるかも
 いままで詩のなかでさえ、フィクションっぽい派手な描写があんまりなかった
文学の世界からすると、結構凄いかも
103名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:16:18.95 ID:2FtvVBeb0
なるほど。面白いな
104名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:16:45.62 ID:jiE8SNOmi
 なんだ曹植の独自性ってそれだけ? と思う人もいそう
 しかし…!!
 この曹植の「興」はあと二回の変身を残している。この意味がわかるな?

>>100ありがとう。じゃあ俺も寝る
105名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:19:16.41 ID:XzoDr2Mo0
逆に底辺レベルの下らんやつとかないの?
ちんげとかおむつプレイとか
106名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:19:24.09 ID:QPHIalmIO
曹植の文芸力は530000です
107名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:28:27.23 ID:1BUuSkr40
おちんちんびろ〜んage
108名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 00:30:47.43 ID:jiE8SNOmi
まだ途中だけど後日書きます。
レベル低いヤツも探しとく。

ちなみにこのあとは

曹植の興の進化パート2~僕はフィクションの神だ.

詩における一人称~曹植と張遼、時々西野カナ~

曹植の人生と詩
~今日こそ動かしてやるぜ!
落陽よ、魏よ、中華よ、俺の歌を聞け!~

というテーマで終わりです
109名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 01:24:39.05 ID:A9Cx7aa80
西野カナ推しまくりやなw
110名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 03:35:38.12 ID:gq25s4/X0
リアルタイムでレスできないけどこのスレお気に入りにつっこんで
楽しみにみてるから!
こんな古典とかの授業うけたかったわ。
111名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 07:32:45.36 ID:3H7mlmizO
俺も見てるよ
面白い
112名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 09:31:10.16 ID:sHc9vZ150
おもしろいよ!
お昼、仕事中に見てるよ!
仕事しないでこんなことしてると僕もヨモギみたいに飛ばされて戻ってこれなくなるよ。
やっべ仕事しよう。サボってたらマジで首になっちまう!
113名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 16:44:48.67 ID:QA4tbQ920
114名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 22:50:01.88 ID:XzoDr2Mo0
第二形態はよ
115名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 22:56:17.74 ID:8PqySPT4i
 さあ、今夜も始まる漢詩ナイト! ひきつづぎ今週のテーマ
 曹植のナンバーを中心に紹介するお!
「興」の話は昨日したけど、曹植はさらにそれを進化させていくんよ
まずは聞いてくれ! これは曹植の側近が次々ぶっ殺されたてた時期に
出来た歌ってことを念頭においてくれよ!

「野田黄雀行」

1 高樹多悲風  高樹悲風多く                
2 海水挙其波  海水其の波を揚ぐ              
3 利剣不在掌  利剣手に在らずんば             
4 結友何須多  友を結ぶに何ぞ多きを須いん
5 不見籬關掾@ 見ずや籬閧フ雀
6 見鷂自投羅  鷂を見て自ら網に投ず
7 羅家得雀喜  羅する家雀を得て喜び
8 少年見雀悲  少年雀を見て悲しみ
9 抜劍捎羅網  剣を抜きて羅網を捎えば
10 黄雀得飛飛  黄雀飛び飛ぶを得たり
11 飛飛摩蒼天  飛び飛びて蒼天を摩し
12 來下謝少年  来たり下りて少年に謝す
116名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 22:57:49.04 ID:8PqySPT4i
訳【高い樹には悲しい風が吹きつけてる
海には波がたちさわいでいる
鋭利な剣をもたない俺が、どうして沢山の友達が持てる?
そこの雀をみてみろよ
タカをみて驚き、自分から網に飛びこんじまった
捉えたヤツは喜んでる
でもそれをみていた少年は悲しい
少年は剣を抜き去り、網を断ち切った
雀は自由を手に入れて、青空に飛び立った
けど、しばらくしてから戻ってきて、少年にこういったのさ
「ありがとう」
117名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 22:59:45.48 ID:8PqySPT4i
 これもまた「興」 比喩的な自然描写を使ってるよね?
でも@〜Aで描かれてる風と海は作品全体のただならない
雰囲気を表してるじゃん? でもま、実際あってもおかしくない
光景じゃん? だからポイントはそこじゃない。大事なのは雀のところ
 網からたすけられた雀が戻ってきて少年に御礼言うとか
wwwありwwえwwねぇww、明らかにフィクションじゃん
でもさっきヨモギの話もフィクションじゃん。
どう違うの? なにが進化してるの? ってとこ解説するよ! 
118名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:02:16.30 ID:8PqySPT4i
『曹植集校注』っていう注釈では
1の高樹は曹丕兄ちゃんの政権の象徴、
6・6の網は法律のたとえだよー、って言ってんの。
さっきさ、兄ちゃんが皇帝になってから側近がぶっ殺されたってことは
話したけど、要するに、この詩はピンチな友達を助けたい
(実際には救うことが出来なかったお)って気持ちを表してる。
っていわれてる。これは大体の曹植研究者も同じ意見っす。

 ってことはさ少年に礼をいうために戻ってきた雀は、友達を
 助けたらまた仲良く付き合いたいよ! って気持ちの表れなわけよ。
 そんままどっか飛んでいくより戻ってきて礼をするほうが、友情
感じるじゃん?
これが詩の大体の意図。なんかこう、悲壮な感じがするでしょ?
少年は剣で雀助けたけど
俺は、3で言うように剣をもってないんだお…ってことでさ。
119名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:03:18.00 ID:8PqySPT4i
んでさ、これまでの「興」ってさ、自然描写したあと人間の描写したけど
自然と人間は直接係わって無いじゃん? ヨモギが旅人、桃が嫁入り娘、っていう
うっすらとした連想の材料にはなっててもヨモギが旅人に「俺たち辛いねー」
とか言わないし、桃を食った娘がもっと奇麗になったりしない。
でもこの雀の話は人間の出来事とか心情とかを表すために「ありえねー」
自然現象を作って、しかも詩の主人公と直接絡んでる!!
120名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:04:43.24 ID:8PqySPT4i
誰か!優しい人!いないのかい(´;ω;`)
121名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:07:18.40 ID:XzoDr2Mo0
優しいかどうかは別として読んでるよw
122名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:13:49.01 ID:8PqySPT4i
ありがとう!じゃあ続けるよ!

ありえねーフィクションの自然現象を書くことでその後の人間感情のインパクトを
高めたのが上のヨモギの詩。この雀の詩はフィクションの自然現象をさらに
都合のいいように人間に絡めて作者の感情を表現してる!
一言も「友達助けたいお…」とか「俺寂しいお」とか言ってないのに
フィクションの自然が人間と絡むことでなんかこう…なんかこう…!
ストレートに書くより、ドラマチックで、伝わってくる!

ガクガク…ブルブル…曹植…恐ろしい子
123名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:15:04.85 ID:8PqySPT4i
これが進化二段目
フィクション自然のあと人間描写

フィクション自然が人と直接絡む

んじゃ次の詩にいくぜ!
またヨモギの話なんだけど、ちょっと違うぜ!作られた時代は
曹植ちゃんが後継者争いに負けたあとあっちこっちに左遷されて
友達もいなくなって政治にも係われなくなってた時代だよ!

チェケラ!長いから訳だけでもOKだ! 
124名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:19:47.05 ID:8PqySPT4i
「吁嗟篇」

吁嗟此転蓬  吁嗟此の転蓬
居世何獨然  世に居る何ぞ獨り然るや
長去本根逝  長く本根を去りて逝き
宿夜無休閨@ 宿夜休阮ウし
東西経七陌  東西七陌を経て
南北越九阡  南北九阡を越ゆ
卒遇回風起  卒に回風の起るに遇い
吹我入雲閨@ 我を吹きて雲閧ノ入れんとす
自謂終天路  自ら天路を終えんと謂いしに
忽然下沈淵  忽然として沈淵に下る
驚飆接我出  驚飆我を接えて出だす
故帰彼中田  故より彼の中田に帰すなるや
當南而更北  當に南すべくして更に北し
謂東而反西  東せんと謂うに反って西す
宕宕當何依  宕宕にして何れにか依るべき
忽亡而復存  忽に亡びて復た存す
飄颻周八澤  飄颻として八澤を周り
連翩歴五山  連翩として五山を歴たり
流轉無恆處  流轉して恆の處無し
誰知吾苦難  誰か吾が苦難を知らんや
願爲中林草  願わくは中林の草と爲り
秋随野火燔  秋野火に随いて燔かれなん
糜滅豈不痛  糜滅するは豈に痛ましからざらんや
願與株荄連  願わくは株荄と連ならん
125名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:20:45.96 ID:8PqySPT4i
訳【あぁ、俺はヨモギ…どうして俺だけこうなんだい?
朝から晩まで飛んで流れる東西南北、止まらない
そのうち風で吹き飛ばされ天空の頂点までキラリ光って急上昇
と、思ったら深淵までごーっと吹かして急降下
もうだめだ、と思ったらまた風に吹き上げられる。次こそは元の田んぼに
帰れるかな
東西南北この果てしなく広がるこのworld
いったいどこにいけばいい?
消え去った?と思ったら生き延びる。
ふわふわ舞って八木沢を回る
ひらひら飛んで、五山を巡る。
いつまでも流れ続ける俺の苦しみ。誰がわかってくれる?
いっそ(蓬なんかより)林の中の草になって秋に野をやく火で焼かれてみたい。
焼けることなんで屁でもない。俺はただ、かつての仲間と一緒にいたいだけ
なんだ
126名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:23:32.79 ID:8PqySPT4i
これさ、さっきの「雑詩六首其二」と似てるっしょ
wwwwバリエーションww少ねぇwww
あっちこっちにww左遷wwされてwwそんなにww辛いかww
どっちもww吹き飛ばされるヨモギにww流浪の人間の辛さww
重ねてるww

ってあれ? なんかちょっと今回のヤツ、違くね? 
後半部分になんか違和感ねぇ?

どう?
127名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:24:41.86 ID:XzoDr2Mo0
自分が草になった?
128名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:25:51.58 ID:8PqySPT4i
そう!すごい!嬉しい!

 「雑詩六首其二」ではさ、「類此遊客子」(それって旅人と似てるよね!)
って言ってて、しかも「去去莫復道 沈憂令人老」(愚痴ってたら老けちまう)
って言ってる。ってことはこれは全体的に人間の話で、最初のヨモギの部分
は単に連想の材料として使ってる。
要するにフィクション自然は使ってるけど
自然→人事という形をとる基本パターンじゃん?
けど『吁嗟篇』では…
最初から最後までww全部wwヨモギwwの話wwヨモギのww気持ち
 全編wwフィクションでwwお届けwwしますww
129名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:27:59.71 ID:8PqySPT4i
フィクション自然のあと人間描写

フィクション自然が人と直接絡む

オールフィクション自然。人間無し

でもさ、人間でないけどさ、わかるじゃん?
これは、人間の気持ちを歌ってるんだって。
単に俺辛い、俺あっちこっち飛ばされて辛い、
仲間と一緒に死にたい
って人間が叫ぶより。ぐっとくこない?
幻想的で、印象深くない?
130名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:30:15.74 ID:8PqySPT4i
超リア充から転落して「かなしいお」って感情が強すぎて
従来の方法では表現しきれず、人間以上の動きをする架空の自然を
使ったのかもしれない
お兄ちゃんや周囲の手前、ストレートに自分の叫びとして
歌えなかったのから、突っ込まれても「いやこれヨモギの話
ですけど何か?」って感じにしたかったのかもしれない
どっちにしろ、感情にあわせて自由自在に自然を創造し拡大し、
動 かし、詠う! 
wwwwすwwげwwwぇwwフィクション王www
131名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:32:38.05 ID:XzoDr2Mo0
曹操が生きてて読んだら面白かっただろうな
132名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:34:30.75 ID:7FkUwVYC0
ドラマ三國志の董卓のエロさは絶品!
133名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:35:58.65 ID:8PqySPT4i
たしかに。その発想はなかったわ。

やっぱ「天才だ!次はどんな境遇にしよう。
どんな詩書くかな…ワクテカ」かな


これでひとまず自然描写の話、終わり
んじゃ次「人称」をテーマでお送りするぜ!
前置きすると「私は〜」ってな感じで自分の体験とか感情を言う感じの
表現の詩は一人称。
「彼が〜」といった客観的な描写の形式で詩が展開する場合は(三人称的)だぜ?
一般的に「俺は〜した。俺は〜と思った」っていう一人称は
誰かの独白を聞いてる感じだから聞き手は物語って感じがしないし
具体的な状景(シーン)のイメージがわかない。だけど感情の告白とかは
本人からの語り口で伝えられる形だから感情表現とかは伝わりやすい

んで「ある人がいました、その人は〜」とした三人称的な場合、
作品は「物語」として捉えやすい
聞き手・読み手に作品で描かれる世界を仮構的にイメージさせられる、
客観的に世界が描かれているから聞き手は物語のイメージしやすくはいりやすい
だけど登場人物の心情告白には向いてない。
ある感情をもつ人を客観的に描写してる感じだから
描かれる心情は推測・伝聞といった印象だから。
なんとなくわかるかしら…。
前置き長くなったぜ! まぁ飛ばしてもOKだ!
134名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:39:02.58 ID:8PqySPT4i
んじゃまずさ、昔からある詩、詩経とか、民間歌謡とか。曹植の時代の
文人にカバーされたりしてたヤツ
この辺は何人称だと思う?

吉川幸次郎って学者先生が次のように言ってるぜ?
読むのが大変だったらあとでないようを簡単にまとめるから飛ばしておk!

 〈『国風』篇についていえば、その内容は、
既婚あるいは未婚の男女の愛情のよろこびあるいはかなしみの歌、
農耕を中心とする労働のよろこびあるいはかなしみの歌、
それらの農民が兵士になったときの歌、
為政者の行動なり施政をたたえあるいはそしる歌、
友情のよろこび、またその裏切りへの憤りの歌、などであるが、
すべてはみずからの感情を歌った抒情詩である。〉

 要するにだ! パンピーたちの感情を詠った詩だから抒情詩だぜ!
ってことだ! これ何人称?
135名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:39:11.12 ID:e6yxpo+t0
今夜もきたよー(゚∀゚)
136名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:39:43.34 ID:8PqySPT4i
決まった作者がいないし、民間で自然に生まれたような
詩だから、「誰の」ってわけじゃないけど、その詩は「オラ嬉しいだ!」
「わたし悲しい…」っていう不特定多数の意思の集合のオラ、ワタシが
一人称で語ってる感じだ! 上であげた「桃夭」もそうだろ?
桃奇麗ねー、娘さんが嫁にいくねー、うまくやってほしいねー。
これってこの詩を詠んでる人本人の気持ちだよな?
花子さんは桃を眺めた、花子さんは娘に幸せになってほしいと思った。
っていう三人称ではない おk?

一例だとあれだからもう一個古いやつ、紹介するぜ!
137名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:42:38.74 ID:8PqySPT4i
長歌行(楽府古辞)
(前略)
百川東到海  百川東して海に到らば
何時復西帰  何れの時か再び西に帰らん
少壮不努力  少壮努力せずんば
老大徒傷悲  老大徒に傷悲せん

訳【東に流れる川の水、一回海に流れたら、いつまた戻れる?
同じように人間も若いとき頑張らないで、年取ってから後悔しても、
それってむなしいよね

これも「詩を読んでる人」の気持ちだよな?誰かの気持ちをまんま
詩としてダイレクトに
言ってるよね? だから一人称的

おk?
138名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:45:45.03 ID:XzoDr2Mo0
>>133
曹操ドSかよw
まあ境遇が作った作風ならやっぱありえん話か
139名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:46:15.18 ID:8PqySPT4i
このくだり、大丈夫でしょうか…?
なんとなくわかってくれればいいのだけれど
140名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:53:22.78 ID:XzoDr2Mo0
一応理解してる

なんとなくw
141名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:54:58.72 ID:QPHIalmIO
今来た。
人称の話はわかるよ。
ハルヒはキョンによる一人称。
ハリーポッターは三人称でしょ?
142名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:57:08.86 ID:8PqySPT4i
おけ。じゃあ続けるよ!

んじゃさ、その古いアルバムをカバーした曹植以外の文人は何人称だと思う?
知らねーって? 知ってたよ!
じゃあここで一曲。乱世の姦雄にして超絶の士!かの曹操が
リリースした一曲だ!!個人的に1も大好きな一曲だぜ!
上のじじくさい詩をカバーしたとは思えない名曲だ!
イヤッハー!
 
143名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:57:51.33 ID:8PqySPT4i
おけ。続けるよ!

んじゃさ、その古いアルバムをカバーした曹植以外の文人は何人称だと思う?
知らねーって? 知ってたよ!
じゃあここで一曲。乱世の姦雄にして超絶の士!かの曹操が
リリースした一曲だ!!個人的に1も大好きな一曲だぜ!
上のじじくさい詩をカバーしたとは思えない名曲だ!
イヤッハー!
 
144名も無き被検体774号+:2012/12/19(水) 23:59:59.81 ID:8PqySPT4i
「「短歌行」(曹操)

對酒當歌  酒に對しては當に歌うべし
人生幾何  人生は幾何ぞ
譬如朝露  譬えば朝露の如し
去日苦多  去日苦だ多し
慨當以慷  慨して當に以って慷すべし
憂思難思  憂思も思い難し
何以解憂  何を以って憂いを解かん
唯有杜康  唯杜康有るのみ
(中略)
山不厭高  山は高きを厭わず
海不厭深  海は深きを厭わず
周公吐哺  周公哺を吐きて
天下帰心  天下心を帰す

詩訳:酒を飲んだら歌おうぜ!
人生はどれだけ続くかわかんねぇ!露みてぇなもんだ!
過ぎ去た日は多い、功名はそうそうあがらねぇ!
だから鬱になるのは仕方ねぇ!
それじゃあ俺らはどうしたらいい?
鬱を消すには酒だ酒!
だから酒のむときは楽しく歌え!
(中略)
山は高いことをいやがらねぇ海は深いことをいやがらねぇ!
だから俺も優秀なヤツを雇うのはいやがらねぇ!
周公はっつー偉い人はメシくってるときゲロはいてでも
天下のすげーヤツと接した!
俺もそうするのが理想だぜ!


うーん。実に「らしい」よね
145名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:03:17.33 ID:8PqySPT4i
これ、読むとわかるけど、これ完全に曹操さんの心まるまるそのまま
歌ってるよね!豪快だけどどこか切なげでもある名曲だ!
んで、これはもちろん「俺はそう思うし、そうする」って
一人称だ!

おっと父さんと弟を紹介したからにはお兄ちゃんも紹介しなきゃ
可哀想だよな!
お待たせしました!キレ者の二代目と名高いお兄ちゃんの
リリースしたナンバーだ!
146名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:05:09.27 ID:R2uwnuM+i
「燕歌行」曹丕
秋風蕭瑟天氣涼  秋風蕭瑟として天氣涼しく
草木揺落露爲霜  草木揺落して露霜と爲り
群燕辭帰雁南翔  群燕辭し帰り雁南に翔ける
念君客遊思断腸  君が客遊を念うて思い断腸
慊慊思帰戀故郷  慊慊として帰るを思い故郷を戀わん
何爲淹留寄他方  何爲れぞ淹留して他方に寄る
(後略)

訳秋風がももの寂しく吹いて涼しく、
草木の葉も落ち、露も霜となる。
燕はみな南に飛び去り、雁もみな南に飛び去り、
雁も北から飛び帰る。あなた(夫)は旅立ったまま帰ってこない。
それを思うと腸も断ち切られるような思いである
あなたもくよくよとして故郷を恋い慕っているであろうに、
なぜ長く滞在し他国に身をよせるのでしょうか(後略)  
147名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:10:29.03 ID:R2uwnuM+i
この時代は捨てられた女の詩が流行ってたってことは前にもいった。
お兄ちゃんも書いてたってことさ!
曹丕さんは別にゲイじゃない。んじゃこれは何人称?
と思っちゃノン・ノン・ノンだ!
曹丕本人の気持ちじゃない、でもこの詩は捨てられた女の人が
延々かたってるだろ?
作者本人の気持ちじゃなくても、これは一人称の詩だよ!
曹丕がどっかその辺のよくいる女の気持ちを代弁して、一人称で語ってるよ!

要するに、この時代、この時代以前の詩っていうのは作者の独白にしろ
誰かの気持ちを歌うにしろ、全部、詠んでる人による
「ワタシは〜」っていうモノローグ風の
一人称だったってことなんだぜ!
148名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:11:53.04 ID:viUqfLdp0
おい鳥肌たったぞどうしてくれる
149名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:13:34.18 ID:R2uwnuM+i
んじゃ曹植ちゃんはどうだったかしら。
一人称のものも勿論詠んでる。でも…

おっと言葉で語ってもつまんねぇって? OK! じゃあ一曲いくぜ!
三国無双にも登場する「ある人」を詠った名曲
若き日の曹植の憧れが形になったような勇壮なナンバーだ!
リッスン!
150名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:19:49.96 ID:R2uwnuM+i
「白馬篇」 曹植

白馬飾金羈  白馬金羈を飾り
連翩西北馳  連翩として西北に馳す
借問誰家子  借みに問う誰が家の子ぞ
幽併遊侠兒  幽併の遊侠兒
少少去郷邑  少少にして郷邑を去り
揚聲沙漠垂  聲を沙漠の垂に揚ぐ
(中略)
損躯赴國難  躯を損てて国難に赴く
視死忽如帰  死を視ること忽ち帰するが如し

訳:黄金のおもがい馬具に飾られた白馬が西北へ疾駆する!
思わず尋ねてしまう。あなたはいずこの方か?
俺は幽併のタフガイ!若いときに地元を離れ
遥か遠くの沙漠でもビックになった男!
(中略)
この身を賭けて、国の危機を救ってみせる!

死ぬことさえも恐れはしない!

うーん。実にいい。略したのが残念だ。
全編、勇壮果敢にして威風堂々たる魏の猛将、
「遼来来」のキャッチフレーズで有名な張遼さんの
カッコよさが描かれるこの
詩。ちなみに曹植は張遼になついていて、
尊敬してたんだぜ!
151名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:23:36.78 ID:R2uwnuM+i
あれ? これって、何人称?後半ではタフガイの心が独白されてる
だけど最初のほうで、馬をはたから見て、タフガイに問いかけてる人もいる。
んで、その人の主観で詩が展開されてる。
詩のメインテーマはタフガイなのに!?
152名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:24:29.90 ID:R2uwnuM+i
じゃあ次はもっとわかりやすいヤツ! タイトルが素敵な一曲だ!

「美女篇」 曹植

美女妖且閑  美女妖にして且つ閑なり
采桑岐路間  桑を采る岐路の間
(中略)
借問女何居  借みに問う 女は何くにか居る
乃在城南端  乃わち城の南端に在り
(中略) 
安知彼所觀  安んぞ彼の觀る所を知らん
盛年處房室  盛年房室に處り
中夜起長歎  中夜起ちて長歎す


訳【麗しく、物静かな美女が分かれ道のところで桑の葉を摘んでいる
(中略)
どこに住んでいるの? そう聞いてみた。
町の西南門のほうに住んでいます。
中略
(美女は人里はなれたところにいて、遠くや、部屋の窓から、
皆を眺めてる)
この美女が、人知れず皆を遠くから見つめてることに気づく?
誰も気づかない。
だから彼女は、年頃の美しい体と心を持て余し
夜中に起き上がっては長いため息をつく
153名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:25:51.14 ID:viUqfLdp0
一人称feat.一人称か
154名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:26:50.94 ID:R2uwnuM+i
人に知られず、村はずれの部屋の中にひきこもりがちな美女
体を持て余し夜中にため息をつく美女。うーん、えろてぃっく…

おっといけねぇ、人称の話
美女篇はかなりわかりやすいよね。この詩を詠んでいる人は
「美女」じゃない。美女に話しかけている「誰か」がこの詩を
詠んでる人だ。で、美女がしばらく独白して、それを聞き終えた
「誰か」が「あー年頃の娘が体持て余してるよー」って思う、
って流れになってる。
安知「彼」所觀  安んぞ「彼」の觀る所を知らん
のとこ。
安知「我」所觀  安んぞ「我」の觀る所を知らん
だから、誰が「彼女」のことを知ってる?っていう
客観的な視点なのがめ・い・か・く!
主題は美女の話なのに、詩の詠み手は
美女に話しかけた「誰か」 これが三人称!
155名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:28:18.24 ID:viUqfLdp0
やっぱわかってなかったw
156名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:34:08.60 ID:R2uwnuM+i
そうだね.一人称×一人称とも取れる

「誰か」が人としたら一人称×一人称
「誰か」を単なる客観的な。神の視点としたら三人称

大事なのは、人称が切り替わってて、単なる独白
じゃなくなっているところ!


だからなんなのよ? って思ったそこのあなた!
まずさ、三人称(または一人称×一人称)って言う人称変化の詩っていう
のを定着させたのは曹植が中国、つかアジア初
っていうのもすげーところなんだけどさ、

俺が言いたいのはそういうギネス的なことじゃなくて…
なんつーか、さ、あ、わかった。これが一人称で詠われてたらどうおもう?
157名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:35:45.24 ID:R2uwnuM+i
>>155
いやあってるよ!
158名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:38:09.23 ID:R2uwnuM+i
女本人が「ワタシは美人だけど一人ぼっちなのよー、もてあましてるのよー」
…なんかこう、「へぇ、そうですか」
って思わない。「ほんとに美人なん?」
って思わない? ちょっと冷めない?
でも誰か(または完全に客観的な視点)がまず明確に
「麗しい人がいる」って言ってて、
美女との会話が繰り広げられると状景がイメージしやすいし、
なんか説得力がある気がしない?短い物語としてシーンになってるし

本人が「あー今日もわたし、もてあますわー」
ってのと
美女と知り合った人が「あの人は、今夜ももてあますんだろうな…」
このほうが、よくない?
なんかジワジワこない?
159名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 00:43:55.19 ID:R2uwnuM+i
さっきの「白馬篇」もさ、
最初から最後まで「俺はタフガイ、俺はすごい、俺は国に命を賭ける」
より、
めっちゃカッコイイ人がいる。話しかけたらその人はこういった
「「俺はタフガイ、俺はすごい、俺は国に命を賭ける」
のほうがkakkeeeeee!!と思うんだよね。
かっこよかったり、綺麗だったり、って言う描写は
独白オンリーより、客観性のある物語風、または一人称が
途中で切り替わる、にしたほうが、
説得力があるお!って思ったのかも

いずれにしろ、ただの「独白」だった詩に「物語」の要素を加えたってこと。
すごくね?

客観的描写でシーンをイメージさせて
詠み手・聞き手を作中の虚構世界観に引き付け
そのあと主観描写で感情を独白

一人称と三人称のミクスチャーだ!
160sage:2012/12/20(木) 00:47:06.56 ID:ekp21Byn0
すごいよくわかる!
白馬篇迫力あってかっこいいけど、そんな工夫があったとは。
161名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 01:03:00.13 ID:R2uwnuM+i
ちなみに上で紹介した七哀詩(西野カナみたいなヤツ)
も人称切り替え式になってるんだぜ!
月明かりに照らされてる西野カナ(仮称)をはたから見て
「君は誰?」と聞く観測者と西野カナだ!

観測者の視点があったほうが、高楼で月明かりに
照らされるカナのビジュアルイメージわくよね!

最初から「わたし寂しい」言われるよりなんかイイよね!


てなわけで今日はここまでだ!
聞いてくれて、サンキュー!
時間がが最終回だ!カミングスーン!
162名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 01:24:52.07 ID:jzLnM/FY0
おつ
またねー
163名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 06:58:07.44 ID:PTQocWK90
もう最終回か
続き待っとるよ
164名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 08:26:59.32 ID:9osf3WvbO
保守。面白いー。
165名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 10:55:00.50 ID:yGYr/Y1iO
私情によりリアルタイムでは来れないけど楽しみにしてる
166名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 11:32:30.05 ID:/l6T6oBb0
C
167名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 15:18:34.61 ID:xkSudcXVO
白馬編が全文ききたい
168名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 16:02:11.87 ID:z5Wnf/kI0
おもしろい。最終回楽しみにしてる。
169名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 23:28:18.48 ID:JOtDhH2Ai
さあ! 今夜も始まる漢詩ナイト! 今日は曹植をテーマにした最終回
だぜ!

さっそく一曲いこう! リクエストをもらった「白馬篇」全文バージョンだ!
ゴー!
170名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 23:34:28.31 ID:JOtDhH2Ai
白馬篇 曹植

白馬飾金羈   白馬 金羈を飾り
連翩西北馳   連翩として西北に馳す
借問誰家子   借問す 誰が家の子ぞ
幽并遊侠兒   幽并の遊侠児
少小去郷邑   少小にして 郷邑を去り
揚聲沙漠垂   声を沙漠の垂に揚ぐ
宿昔秉良弓   宿昔 良弓を秉り
楛矢何參差   楛矢 何ぞ参差たる
控弦破左的   弦を控いて左的を破り
右發摧月支   右に発して月支を摧く
仰手接飛猱   手を仰げて飛猱を接え
俯身散馬蹄   身を俯して馬蹄を散ず
狡捷過猴猿   狡捷なること猴猿に過ぎ
勇剽若豹螭   勇剽なること豹螭の若し

邊城多警急   辺城 警急多く
胡虜數遷移   胡虜 数ゝ遷移す
羽檄從北來   羽檄 北より来たり
飼n登高堤   馬を獅ワして高堤に登る
長驅蹈匈奴   長駆して匈奴を蹈み
左顧凌鮮卑   左顧して鮮卑を凌がん
棄身鋒刃端   身を鋒刃の端に棄つ
性命安可懐   性命 安んぞ懐う可けん
父母且不顧   父母すら且つ顧みず
何言子與妻   何ぞ 子と妻とを言わん
名編壮士籍   名を壮士の籍に編ぜらるれば
不得中顧私   中に私を顧みるを得ず
捐躯赴國難   躯を捐てて国難に赴く
視死忽如歸   死を視ること忽ち帰するが如し
171名も無き被検体774号+:2012/12/20(木) 23:35:48.17 ID:JOtDhH2Ai
訳:金のおもがいに飾られた白馬が
西北へ向けて疾駆する!
どこの若武者か?そう聞いてみる
答えて言う、俺は幽州の遊侠児!
若いときから故郷を離れ
沙漠の地でも名を馳せた!
弓をとっては
矢を放つのに迷いなし!
弦をひいては左的を破り!
右に撃っては月支を砕く!
手を挙げては飛猱を従え!
その速きこと、猿をも勝る!
勇猛なるその姿は豹や龍の如し!
辺境の城には危機が多い
敵が多く進入する
遠く馳せてては匈奴を蹴散らし!
左に返して鮮卑を破る!
この身を矛や刃の前にさらしても恐れはしない!
命などおしくなどない!
両親さえ、顧みないこの俺が
どうして妻子を思うだろう
壮士として名を馳せるこの俺は私情にかまける暇などない
この身をすてて、国難に赴く
死ぬことさえ、恐れはしない!!


うーんかっけー。
172名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:01:19.52 ID:xTFcLKYRi
俺しかいない予感!
173名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:12:27.95 ID:VkqdUpATO
ふっつーにワクテカで待ってんだが
174名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:16:07.70 ID:xTFcLKYRi
優しい(´;ω;`)

さて、まとめにはいるよ!
建安の時代には文芸の主流が「賦」から「詩」に変ったってのは最初にいったよな?
覚えていないって? おーけー!
おさらいだ!


「賦」ってのは首都の有様とか宮殿の様子とか、政治とか
でっけー事象をテーマに作者の学識を披露しつつを叙述していくって
いく長くて硬めな叙述的(出来事)なヤツだ!

んで「詩」ってのは人間の感情をテーマにして、リズムやメロディに乗せて
思いをのせて歌い上げる叙情的(感情)なやつだ!

詩ってのはもともとちゃんとした文芸ってみなされてなかった。
庶民が歌う、しょーもないものだと思われてた
175名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:17:01.37 ID:XSWA/Ia90
チェーケラッ!
176名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:21:30.62 ID:xTFcLKYRi
でも曹植はそう思ってなかった。
民間の些細なことを愛して、人の心を歌いつづけた

だからこそ、詩を文学に引き上げ、賦から詩へ、文芸を変換させた文人たちの先頭に曹植はいた!

ただその辺に転がっていた唄をテーマに歌った。
それは若き曹植が気取らず、自由な人だったから。

そして中国の文芸のメインストリームは賦から詩へ変った!!

んで、古典をよく知っていた曹植は伝統的なリリックスキルがあった
激動の人生を送ったことで生まれた感情を表現するために
「興」の手法を進化させて、フィクションというもの
を作り出した!、詩のなかで人間の感情を表現するために
自然や事物を自由自在に拡大して変形させた!

そして人称の切り替えを物語にインパクトをもたらす要素として文芸のなかで生み出した!
177名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:24:58.30 ID:xTFcLKYRi
最初にいった伝統的であり、革新的でもある、っていう曹植ちゃんの評価
はここからくるんだぜ! 矛盾してね? と思った人! 納得だろ?

んで、叙述から叙情へ、自然を表現のためにフィクション化する。
こんな流れは「詩」って言う大きなもののなかで、後世の人たちにすげー
影響をもたらしたんだぜ!
これは連綿と続いて、李白や杜甫みてーな後世の詩人の
作風の根底に繋がるんだぜ!!


じゃあ問題だ! 賦から詩に移り変わったメインストリーム
んで、感情を表現するためのフィクションを歌にとりいれる
っていう表現

このブームって、いつまで続いたと思う?
178名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:38:44.03 ID:xTFcLKYRi
正解は、「今でも続いてる」

当時先進国だった中華、その文芸の表現技法はアジア諸国へ伝わって
歌謡の、文芸の礎となったんだぜ! わーお!
和歌だってそう。唐から持ち帰った人から受け継がれた歌は、叙情的
(心を歌う)
で平易なメロディにのせられて、フィクションの自然描写がはいる!
芭蕉の「静けさや、岩にしみいる蝉の声」
とかもろwwww蝉の声が岩にしみいるとかwwwありぇねぇww

今でも、「歌」は感情を歌うものだし、そこに感情表現の
フィクションの自然描写が出るのもフツーだ!
「ツナミのようなわびしさに」
「青い稲妻が僕を攻める」
「千の風になって」

全部感情を歌ってて、しかもフィクションの表現を使ってるじゃん?
んで小説や物語で、三人称と一人称がまざるのも普通じゃん?

それを中華にもたらしたのは曹植ちゃん、んで中華はそれを芸術として
アジア文化圏にもたらした!!
だってさ「詩」って、今でも言うじゃん?
「歌詞」って言うじゃん?
「歌賦」って言わないじゃん?
179名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:50:22.01 ID:xTFcLKYRi
これってさ、これってさ、すごくね?
乱世の群雄を制した父ちゃん、曹操
皇帝となり、国家を動かした兄ちゃん曹丕
もしかしたら、この二人に負けないくらいに。

そんな馬鹿な、って思うかい?
でも大昔の中国は文芸の最先端だったのはたしかだ

んで、そんななかで、感情をフィクションで増幅させ、メロディに
乗せて歌う、っていうことを打ち出し、文芸の世界を変革させたのは
間違いなく曹植さ! これは本当さ! なら、その影響を後世が受けてるのは
あるかもな、ってる思わない?

おっと、話が長くなりすぎたな。おーけー!
それじゃあ最後のナンバーを紹介するぜ!
曹植の人生を、そして思いを表した名曲! 
ハートにビンビンくるぜ!
180名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:53:42.96 ID:xTFcLKYRi
雑詩六首 其六

飛觀百餘尺  飛観 百余尺
臨牖御櫺軒  牖に臨んで櫺軒に御る
遠望周千里  遠望 千里に周く
朝夕見平原  朝夕 平原を見る
烈士多悲心  烈士 悲心多く
小人婾自閑  小人は自閑を婾む
國讎亮不塞  国讎 亮に塞がらず
甘心思喪元  甘心して元を喪わんことを思う
拊劍西南望  剣を拊して西南を望み
思欲赴太山  太山に赴かんと思欲す
絃急悲風發  絃急にして悲風発す
聆我慷慨言  我が慷慨の言を聆け
181名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:58:17.87 ID:xTFcLKYRi
高い楼に立ち遥か遠くの世界を望む
窓に立って窓の手すりに寄りかかる
遥か千里の彼方を眺め
朝も夜も、平原を見つめる
気高きものは世界を悲しむ
つまらない連中はぬくぬくした怠惰をむさぼる
国の困難は今でも蠢いている
俺は命を賭けてそれを変えたい
剣を撫でつつ 西を南を眺める
立ち向かうために泰山へ赴きたいと願う
弦の音色はますます勢いを増し、悲しみと祈りの風を生む
人々よ 我が高ぶる魂の詩を聞け
182名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 00:59:07.32 ID:xTFcLKYRi
曹植は戦国の時代にあって、父さんや兄ちゃん、仲間と
一緒に戦いたかったのかもしれない。国難を救いたかったのかもしれない。
でもそれはかなわなかった。

悲しかったと思う。

だけど、それでも、ずっとずっと、心を歌い続けたその詩は今でもずっと、響いてる。


その唄は後の中華の文芸を変えて、時代を超えて、国境を越えて
「人間の心を歌う」っていう
文化を生み出したと思う。

それはもしかしたら、
どんなに多くの戦争に勝つより、どんな国の皇帝になるより、
多くの人の心を動かしたのかもしれない。
魏を、中華動かしたのかもしれない。
183名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:03:18.49 ID:+TLynm6C0
三国志12で重用してやってくれ。

無双は馬岱を首にして曹植を採用や!
184名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:04:50.15 ID:xTFcLKYRi
「我が逕寸の簡を馳せ 藻を流して華芬を垂れん」

その言葉通り、今でもその歌は、華の香りを残してる


これで曹植の回は終わりだ!

最初に言ったみたいに少しでも曹植の凄さが伝わったなら
嬉しいぜ!

スゲーと思ったらSUGEEEEE !
とよろしく。

読んでくれるて、サンキュー!
機会があれば別の詩人特集でまた!

英国古典とかも面白いぜ!
185名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:05:45.00 ID:k9MImFe50


見事なものだ
186名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:06:18.25 ID:xTFcLKYRi
〈テキスト〉  
『曹子建全集』  清流出版社  1976
『十三經注疏 2 詩経』  藝文印書
『楽府詩集』    中華民局  1982
『古迀書院刊本摯笘Z臣注文選』 漢京文化事業有限公司  1980

   
〈注釈本〉
『曹子建詩注』 商務印書館 1930
『曹植集校注』 人民文学社 1984



〈主要参考文献〉 
著作
『曹植』 伊藤正文 岩波書店 1958
『中国詩史』 吉川幸次郎 筑摩書房 1967
『曹操―その文学と行動―』 武田晃 評論社 1973
『曹植と屈原』 小守郁子 1986
『洛神の賦』 目加田誠 講談社 1989
『中国詩人伝』 駒田信二 芸術新聞社 1991
『中国的レトリックの伝統』 井波律子 講談社 1996
『読書人の文学と思想』 中国古典文学研究会編 笠間選書 1976

論文
「曹植とその時代」 ・本田済
『東方学 3』 東方学会 1952

「曹植のアレゴリー」 福山泰男 
『山形大学紀要 13巻2号』 山形大学 1995

「曹操没後の曹丕と曹植‐不仲説の検証」 渡辺由美子
『二松 16』 二松学舎大学大学院、二松学舎大学大学院文学研究科 2002

「建安期の曹植の詩について」 道家春代 1990
『名古屋女子大学紀要 36』 名古屋女子大学

   

「曹植の詩について――「棄婦篇」と「種葛篇」を中心として」 上野裕人 2004
『 語文と教育』  鳴門教育大学国語教育学会

「曹操没後の曹丕と曹植――不仲説の検証」 渡辺由美子  2002
『二 松』 二松学舎大学大学院,二松学舎大学大学院文学研究科

「曹植詩賦の語彙・表現について―『時経』との比較を中心として」 張健 1994
『中国中世文学研究』 中国中世文学研究会 第26号

「曹植詩考――「悲風」を手掛かりとして」 中野将1992
『中国文化 』(The Chinese culture.) 大塚漢文学会(筑波大学文芸言語学系横山研究室内



「漢魏詩における寓意的自然描写――曹植「吁嗟篇」を中心に 」 亀山朗 1980
『中国文学報 31』 京都大学文学部中国語学中国文学研究室
187名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:12:12.33 ID:/8tfWLLf0
源頼家みたいなイメージでOK?
188名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 01:53:42.83 ID:6YuST5cw0
詩の読み方いまいちわからなかったから、すっごいためになった。
1800年くらいまえの作品がこんなに心にぐさぐさくるなんて、
すごいことだねえ。

次回も楽しみにしてるよ!
189名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 02:59:42.30 ID:H6tCVYGM0
乙!超面白かった
フィクション混ぜるのって自然発生じゃないんだな
中華の歴史長いし春秋〜漢の頃にでも十分あって良さそうなもんなのに
逆にそんだけちーちゃんは凄かったってことなんだろうな
190名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 03:57:21.40 ID:GMjF2yGmO
乙ですた
曹植SUGEEE!
久々に夢中になったスレだったよ
ありがとう
191名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 09:15:16.94 ID:nZHZoUYy0
曹植SUGEEE!
嫁さんに曹植ちゃんの凄さを熱く語ってしまったぜ!
192名も無き被検体774号+:2012/12/21(金) 16:57:19.25 ID:zELEmxAiO
白川静「中国の古代文学(二)」でも曹植が言及されとりますな
193名も無き被検体774号+
全文行けばよかったわ…