186 :
名も無き被検体774号+:
11 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/21(日) 16:15:40 ID:HhdLj6iP0 [2/2]
ところで、私の父は少し変人で、既に亡くなりましたが存命中はたまに奇行を行って、家族を戸惑わせました。
彼は茶トラ、仮にC1と呼びますが、C1が庭に現れたある日、
急に「うちにおいで」と言いだして、家の中に入れてしまいました。
「動物がいる生活はいいものだ」とその時は話していました。
実際、父は家からペットを絶やすことがありませんでした。
しかし、一旦連れ込まれたペットはめったに長生きしませんでした。
父には、動物虐待癖があったのです。
187 :
名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 22:57:17.56 ID:0o9Qitfw0
12 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/22(月) 17:48:00 ID:FReDxr5A0 [1/2]
父の虐待は、いつも突然に始まりました。
カッとなった、というやつでしょう。
それまで優しい声で「ほーらおいでー」とやってたのが、
いきなり「この野郎!」と怒声に変わるのです。
ハッとして振り向くと、蹴り飛ばされたC1がグギャッと叫びながら壁に激しくぶつかるところでした。
ドサリと畳の上に落ちたC1に父は黙って歩み寄り、うなじの部分を鷲掴みにして持ち上げます。
C1は嫌がって身をよじるのですが、その抵抗が父の怒りに油を注ぎました。
頭を連打、平手ではなく握りこぶしで、ゴツゴツ鈍い音をさせながらの連打。
合いの手を入れるようにギャッギャッとC1の悲鳴が挿入されました。
父は苛立ちを抑えきれないように、C1を今度は床に叩きつけました。
C1はビタッと張りつくように床に着地し、さっさと駆け出して逃げれば良いものを、
逃げ場を探してキョロキョロしている間に頭部を蹴り飛ばされました。
上下の感覚を見失ったのか、C1はゴロゴロ畳の上を転がりました。
188 :
名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 22:57:33.85 ID:0o9Qitfw0
13 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/22(月) 17:48:49 ID:FReDxr5A0 [2/2]
ミー、ミー、とC1は鳴きました。
そんなC1を父は再び鷲掴みにし、憤懣やるかたない表情で睨みつけました。
C1は再度身をよじってその場を逃げようとしますが、それがいけません。
父はC1を掴んだまま台所に急行し、流しの蛇口を開きました。
そしてやはり無言のまま、滝のように流れ落ちる水流にC1の顔を突き入れたのです。
C1のパニックは言うまでもなく、四肢のツメを剥き出しにして大暴れし、父の腕や指先を何度も掻きましたが、
父は何の反応も見せず、水流を顔面でもろに浴びるようにガッチリとC1の頭部を固定して、その様子を睨みつけていました。
苦しいのか、悲鳴をあげようとしたのか、C1はもがきながら何度も口を開き、大量の水を飲んだようです。
鼻からも水が入ったのでしょう、フギャッ、ガハッ、ムゴハッ、と悲鳴まじりに激しく咳き込み、思わず耳を塞ぎたくなりました。
じはらくして、C1はいきなりまた床に叩きつけられました。
ブルブルッと全身を震わせて水を払い、耳の周りを後ろ足でしきりと掻きました。
耳の中にもたっぷりと水が入ったようでした。
189 :
名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 22:58:58.41 ID:0o9Qitfw0
14 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 18:22:19 ID:8eS4btr30 [1/3]
しかし、息をつく間もなくまた父の蹴りが入りました。
テーブルの脚にガツンとぶつかって止まると、さすがにヤバいと思ったのでしょう、C1は猛ダッシュで駆け出しました。
父はそれを追い、あっさりとC1のスラリと長い尻尾を掴み、動きを封じました。
尻尾で逆さ吊りにされたC1は暴れ、ツメを立て、牙を剥き、必死の形相で鳴きまくっていました。
ふと見ると、そんなC1を眺める父は、愉しそうに笑っていました。
空いているほうの手で、父はC1の顔や柔らかな腹部を手加減なく殴りました。
弾みで尻尾が千切れてしまうのではないかと思うほど、激しい殴打でした。
C1の抵抗は次第に弱々しくなり、鳴き声も止みました。
父はその後も殴打を続けましたが、C1がぐったりしてきたのに気づくとその手を止めました。
そしてC1を高々と持ち上げ、その顔をじっと見つめると、突然興味を失ったようにC1を投げ捨てました。
C1はどうにか姿勢を崩さず着地しましたが、その場で固まってしまいました。
濡れた体毛を弱々しく震わせて縮こまる姿が哀れでした。
190 :
名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 23:00:19.82 ID:0o9Qitfw0
15 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 18:25:38 ID:8eS4btr30 [2/3]
興味深いのは、そのように動物を激しく虐待した後は決まって、父が非常に優しくなったことです。
たった今まで殴りつけ、蹴り飛ばし、踏みつけていた動物をそっと抱き上げ、その頭や背中をそれはそれは優しく撫でるのです。
そして、動物が好物とするとっておきの餌を出してきて、存分に振る舞うのでした。
愛憎の転換が何度も何度も繰り返され、そのターゲットにされた動物にはきっと、気の休まる暇も無かったでしょう。
191 :
名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 23:00:37.56 ID:0o9Qitfw0
16 名前: ◆A6333/vag. [sage] 投稿日:2008/09/23(火) 18:26:16 ID:8eS4btr30 [3/3]
もちろん既にC1はこの世を去り、虹の橋へと旅立っていきましたが、その最期は今でも私の脳裏に焼きついています。
板バネ式のネズミ捕り器にわざとC1を引っかからせ、気の毒なC1は右前足と鼻先を潰されて、血(鼻血?)を流しながらムームー唸っていました。
それからどうするのかと思っていたら、父はそれ以上には手を下そうとせず、C1が痛がりながら衰弱していくのを放置してテレビを観てゲラゲラ笑っていました。
私は興味津々でC1の傍らに寄り、荒い呼吸を続ける様を眺めました。
ムー、ムー、と鳴くところや、たまに必死で板をカリカリ掻く様が不思議と可笑しくて、まるで退屈しませんでした。
夕暮れて薄闇が部屋に降りてきた頃、絶命して動かなくなったC1の屍骸を私は撫でました。