題名を書くと、誰かが星新一っぽいショートショートを書いてくれる

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1名も無き被検体774号+
最期のミステイク
2名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 16:55:53.29 ID:BmMMIYa50
人任せにせず自分で作れ
3名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 16:59:14.19 ID:uxythTpM0
じゃあタイトルくれ
4名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:00:06.68 ID:fs7G+LxB0
>>3
最期のミステイク
5名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:00:38.78 ID:CUW5r38k0
>>4
ワロタ
6名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:07:11.14 ID:Jqk40d3c0
お前はだれだ
7名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:11:07.64 ID:i1hZ95On0
>>6
オレ「お前はだれだ!」
「おっぱいですハアハア」
8名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:33:09.70 ID:uxythTpM0
>>4

ある夜、犯行は行われようとしていた。
エヌ氏が発明した薬P-67。それは飲んだ者は透明になれるという画期的な薬品であった。

そしてその薬品は試作の段階であるにもかかわらず、学会で発表され、世界中のメディアで発信された。


男はどうしてもそれを欲しがった。

その薬品のレシピはとあるアメリカの地下室。


男は忍び込むとそれを手にし、

そして大急ぎで材料を調合した。

ーこれで俺は無敵だー

男は一気にそれを飲み干した。
ガラスを見る。
そこには誰も写っていない。

ーやったー

しかしどういうことか男はそこから一歩も動かず、警察がきても薬の効果がきれてから慌てて逃げようとするのだった。



学会でのエヌ氏の発表にて。

「試作品は失敗だったようだ。ただ、私にミスがあるとしたらただ一つ。丸々消すことに気を取られていたことだ。中身も空っぽになってしまえば意味ない。」







9名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 17:39:12.30 ID:UYQzvGt7O
>>8
10名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 18:04:09.74 ID:aeFTmCyVO
今日は地球上のあらゆる国々の人にとって、記念すべき日となるはずだ。


この日以降、人類の辞書から『戦争』という言葉は削除され、二度と不毛な争いは起きない。

何故なら、世界中のあらゆる国の代表が一堂に集い、永久平和条約と全ての武器の廃止を誓う調印を行うのである。

その光景はテレビを初めとするマスメディアで世界中に配信され、皆は予定の時間を楽しみにしていた。

世界中の音楽と踊りで舞台は盛り上がり、いよいよその式典のクライマックスである調印式。
宣誓書に各国を代表し調印をするのは地球の東側半分を代表するC国の男性首相と西側半分を代表するA国の女性大統領。

二人は舞台の上でにこやかに挨拶をし、そして調印のための万年筆に同時に手を伸ばした。

二人の手が止まる。

そして初めはにこやかに、やがて激しく一本の万年筆を巡って取り合いが始まった。

調印式を取り仕切っていた国連の事務官が呟いた。

『しまった。何においても男女、どちらが先にするのが礼儀正しいのか、全く反対の文化を持つ国に調印を頼んでしまった』

11名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 18:07:07.38 ID:uxythTpM0
>>10

良い
12名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 18:10:40.24 ID:aeFTmCyVO
>>11 通勤帰りの電車でビール片手に書いてみた。
たまにはこういう頭の運動良いよな。
13名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 20:27:01.35 ID:JFyiRLL/0
青い島
14名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 21:19:09.08 ID:swnOmXTS0
この前見た、題名書いて世にも奇妙な物語的なあらすじ作るスレ、レベル高かったなぁ
このスレもwktk
15ああああ:2012/02/15(水) 22:01:11.79 ID:J2odoM/40
>>6
朝エヌ氏が起きると、ベットの横に黒い男が立っていた。その男は肌だけではなく目も歯も爪も黒かった。
「誰だね君は」
エヌ氏は気味悪がりながらもそう聞いた。しかし男は何も言わずただただ黙っているだけだった。
最初、エヌ氏は何も言わず立っている男に戸惑っていたが、男が何もしてこないので少しばかり安心し、朝食をとることにした。
エヌ氏はパンにバターを塗りかぶりついた。パンを半分ほど食べるとプチトマトをつかんだ―――つもりだった。
プチトマトは手をすり抜けた。いや、プチトマトがすり抜けたのではない、指がプチトマトをすり抜けたのだ。
エヌ氏が不思議に思って指をみると、指先が黒くなっていった、そしてしばらくすると黒は手のひら全体を覆った。
「な、なんだこれは!?」
そういった瞬間エヌ氏ははっと思いだし黒い男のほうを見た。男はエヌ氏の予想通り手のひらが黒ではなく肌色―――人間の皮膚となっていた。それを見て驚いている間もエヌ氏の手のひらの黒はどんどん広がっていき、男の皮膚もどんどん広がっていった。
「おっ、おまえは誰だ!?」
そうエヌ氏が混乱しながら聞くと男はにやりと笑い
「おまえだよ」
といった。その瞬間エヌ氏の体は完全に黒になり。部屋の隅の闇へと消えていった。
16 忍法帖【Lv=38,xxxPT】 :2012/02/15(水) 22:47:27.15 ID:djauBpyU0
愚行の環

小松左京の短編のタイトルだけどw
17名も無き被検体774号+:2012/02/15(水) 23:24:55.83 ID:vya6ZKkK0
>>13
青い鳥を神として祀っている村があった。
ある時、その村を含む一体が地震の影響で食糧不足に陥った。村人は日々、青い鳥に祈りや少ない食糧を供え続けたが、ただ、村人と反比例して青い鳥が増えるだけであった。
その後、なんとか村は立て直したが、毎年来る自然災害などで数年ののち、無くなってしまった。

その数年後、そこには立派な白い髭をたくわえて白いスーツで鼻歌まじりに揚げ物を作る初老の男性が店を開いていた。
18名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 07:11:37.93 ID:GmthZtIE0
>>17
青い「島」だぞ
19名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 11:57:00.40 ID:cc5bzZbd0
>>16
旱魃が続き、村は困窮した。
困った村人達は生贄を奉げて龍神に雨乞いをした。
生贄に奉げられた娘は、龍神の妻となり子を為した。
成長した龍神の子らは村にさらなる生贄を要求した。
村に娘はいなくなり、大人達が年老いて死ぬと村は消滅した。
20名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 13:23:03.36 ID:PKWoSGZB0
不親切な喫茶店
21名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 13:32:27.12 ID:PKWoSGZB0
労働金庫
22名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 13:35:11.77 ID:PKWoSGZB0
言葉責め
23名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 13:37:18.57 ID:PKWoSGZB0
お題がきれていたので休憩時間に3つほど出してみました。
それほど星新一作品を読み込んでいるわけではないので
センスがあっているかわかりませんが採用されれば幸いです。
楽しみにしています。
24名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 13:38:41.55 ID:2a3aU2ck0
B72
たのんだわ
25名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 14:36:33.01 ID:x3hpHy+D0
>>21
未来銀行の一社員、エヌ氏が発明した金庫のシステムはすばらしかった。
自分がする「労働」を金庫に保管し、必要な時に取り出すことができるのだ。

始めは訝しがっていた人々も、その便利さを知るや否や
こぞって色々な労働を預けに来た。

ある会社員は、平日仕事を多めにしておいて、週の休みを1日増やした。
またある主婦は、まとめて掃除をしておいて、2日おきに取りに来る。
あるOLは、休日に運動をしておいて、毎日20分ぶんずつ取りに来る、
といった具合だった。毎日少しずつジャンプを預けていき、ある程度たまったら
まとめて飛ぶというユニークなものもあった。


エヌ氏の仕事は、顧客が預けていった内容に目を通し、承認をすることだった。
危険な預かり物や、犯罪に結びつくものを排除するためだ。

あるとき妻が海外旅行に行こうといったので、これから休む一か月分の仕事は
毎日エヌ氏の金庫に預けておくよう同僚に頼み、旅行に出かけた。
帰ってからまとめて仕事をするつもりだったのだ。
そのため、誰も怪しい男が「あるもの」を毎日少しずつ預けている事に気がつかなかった。

エヌ氏が一か月後に旅行から帰ってくると、エヌ氏の金庫はからっぽで、
仕事がひとつも入っていなかった。
いや、それどころか未来銀行中の金庫がからになっていたのだ。

怪しい男は泥棒だった。
毎日盗みをすこしずつためておき、ある日一か月分すべてを使い
金庫の中身を一気に盗んで行ったのだった。

そのなかにはエヌ氏の仕事も含まれていた。
泥棒は今頃「盗み」を預かることを承認しているに違いなかった。
26名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 14:45:19.04 ID:7/00NN0D0
>>20

真夏の昼下がり、ある男は仕事の昼休みだった。
「アイスコーヒーでも飲もうか」

ふと立ち止まった先は駅前のこじゃれた喫茶店。チェーン店のようだ。

できたばかりなのか人の入りは少なく、かといって評判が悪そうというわけでもない清潔な店内。

「あたらしくできたのか。」

カランコロン

ーいらっしゃいませー
何名様ですか?
タバコをお吸いになられますか?
かしこまりました、こちらへどうぞ。


男は座り店員を呼んだ。
「アイスコーヒーをブラックで」
しかし店員は何も反応しない。
そして一言。
「ご注文はいかがなさいますか。」
男はいらいらしながらも言い放った。
「だからアイスコーヒーをブラックで」
「…アイスコーヒーをお一つですね。砂糖、ミルクはおつけしますか。」
男はさらに苛立った。
「だからブラックだといっているだろう!」
「あの…お付けするかしないかでお答え願えますか?」

「ブラックだといってるのが聞こえないのか?!つけるな!」

「かしこまりました。注文を繰り返させていただきます…」
男は遮るように怒鳴った。

「いいよいいよ、もう早くもってこいよ!
君はいつもこんななのか!」

すると店員はカウンターに行き、それから困った顔で走ってきた。



「申し訳ございませんお客様、当店のマニュアルにそのような発言への対応は一切ございません。」
27名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 14:51:42.56 ID:x3hpHy+D0
危険な香り
28名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 15:10:19.72 ID:7/00NN0D0
>>22

男は接待にとあるクラブを誘った。

「エフ君、私にはそういう趣味はないんだけどね。」

「それが普通のクラブじゃないんです。女の子になじられるのを耐え抜いたら賞金が出るらしいのですよ。」

「それが耐えれなかったら?」

「とんでもないことになってしまうそうですよ。」

「とんでもないこと?ふふふ、おもしろい。言っとくがね、私はメンタルがとても強いのだ。
だからどんな逆境も耐え抜きここまでやってきたのだ。もし、負けようものなら私の資産をすべて君にやってもいいよ。」


この社長、エイチ氏は幼い頃、ひどく貧乏であった。
それが原因でいじめられてもいた。それでも経営難であった父の会社を立て直し、日本を代表する企業となった。そんじょそこらの悪口には耐え得る自身はあった。

「良いんですか社長?頼もしいですね。」
エフという男は不敵な笑みを浮かべていた。

カウンターを通ると予想外にも普通のキャバクラと変わらなかった。

遊びが始まる。

早速浴びせられる罵倒、しかしエイチ氏は無反応である。どれほど語気強く罵詈雑言を浴びせても済ました顔で酒を飲んでいるのだ。

「ほら言っただろう?何を言われてもくたばらんよ。」

エフ氏は女の子に耳打ちをした。
すると今まで罵倒していた女の子は
静かになった。
「おや、もう諦めたのかい?」
そんなことをエイチ社長が言った直後、
女の子は一言口にした。

「たすけて…」

「????…!!やめてくれっ!頼む、やめてくれっ!!」
頭を抱え苦しみ出すエイチ社長。

「たすけて!誰か!首が痛いよう!!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!やらなかったら僕がやられるところだったんだよぉ!!ごめんなさい!!!!」

頭を抱えたまま震え上がっている。

「わざとじゃなかったんだね。」

頭を抱えるエイチ社長を見下ろしながら
ニヤリと笑い髪を書き上げるエフ氏の首元には…

29名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 15:11:42.97 ID:7/00NN0D0
>>28

頭を抱えうずくまるエイチ社長を見下ろし、
髪をかきあげるエフ氏の首元には…
30名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 15:14:14.60 ID:cc5bzZbd0
>>20
不意に強い眩暈を覚えた男は、ふらつきながらこの喫茶店に入った。
薄暗く陰気な店内は、それでも満席だった。客は皆一様に、思いつめたようにテーブルを見つめている。
そして、見た限り、飲み物を飲んでいる人は誰も居ない。そもそも、テーブルの上に飲み物が無いのだ。
入店から10分以上経つが、従業員は未だに注文を取りに来ない。

なんて怠慢な店なんだ。いつか、すっかり元気になっていた男は、大声で従業員を呼んだ。
すると、初老のウェイトレスが足音もなくスッと現れた。男は少し驚き、苛立ちを込めて言った。
「注文、したいんだけど」
ウェイトレスは微かに目を見開き、感得した様子で呟いた。
「かしこまりました」
そして、消えるように立ち去った。男は何も注文しなかったが、何故だか、それが当然のように思えた。

すぐにまた、ウェイトレスが現れた。
「どうぞ」
ウェイトレスはコーヒーカップを差し出す。お待たせしました、の一言もないのか、
と小声で悪態をつきながら男は、それを注文したかも定かではないカップに口を付けた。
苦い、こんな苦い珈琲は初めて飲んだ。くそ、文句を言ってやる。

男は一気に珈琲を飲み干すと、再び大声でウェイトレスを呼んだ。
こんな拙い珈琲を出す奴があるか! 文句を言う男に、ウェイトレスは申し訳なさそうに言った。
「申し訳ございません。あまりに早いご注文だったの、おかしいな、とは思ったのですが・・・」

??? 突然、先ほどの眩暈が戻ってきた。いや先ほどの何十倍もの強さになって。
男はついにテーブルに倒れ込んだ。遠のく意識の中で、チラと目に映った店の看板が思い出された。
『終末喫茶 ―人生の最後に、貴方ご自身でそのお味をお確かめ下さい― 』
31名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 15:16:37.49 ID:7/00NN0D0
へんなくすり
32 忍法帖【Lv=19,xxxPT】 :2012/02/16(木) 15:35:09.64 ID:8ZrfEFU80
>>31
ある日、私は発熱してしまったので、会社を休みいつもの病院に行った。
しかし、臨時休診でやっていなかった。
しかたがないので、車を流して病院を探した。

15分くらい経っただろうか。
一軒の病院を見つけた。
建物が小さい。
おそらく、開業医であろう。
幸い、やっていたのでそこで診察を受けることにした。

入って、受付を済ますと、問診票を渡された。
しかしバインダーに挟んであったのは、問診じゃなくて、学校のテストだった。

診察を受けた。
診察はいたって普通だった。

診察が終わり、薬を投与された。
「規定量きっちりで飲んでください。多くても少なくてもダメですよ。」
と言われた。

うちに帰って、薬を飲んだ。
しかし、全然効かないので、もう少しくらいならいいかなと思って少し多く飲んでしまった。
そしたら、すぐ体の異常は消えた。
すごい、よく効くなぁ。
ヤドリギ成分?何だろう、これ?

翌朝、俺はベッドから起き上がれなかった。
33名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 15:49:46.40 ID:GmthZtIE0
点呼する惑星
元ネタはわかる人にはわかる
34名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 16:13:11.13 ID:5SS4fK8t0
しにたがりのウサギ
35名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 16:16:03.68 ID:cc5bzZbd0
>>27
夕方、仕事をサボってベンチで缶コーヒーを飲んでいると、ふと隣りのベンチが気になった。
この香り。これは自分の好きな香りだ。身近な筈の香り、どこで嗅いだかな?
目を向けると、くたびれた中年が所在なく座っていた。

錆のような匂いも交じっている。上着には赤い塗料が付着しており、傍の工場労働者に違いない。
目が合ってしまった。中年が会釈した。
「すっかりいい日和で。これから気持ちのいい季節になります。」
香りのことが気になったので、そのことを中年に尋ねた。

「ああ、いやお恥ずかしい。いわゆる“残り香”という奴でして」
見かけによらずお盛んなことで。こんな時間にもう一働き済ませたんですか。
「・・・いつになく手がかかりましてね。ああ、もう行かないと」
中年はちょっと後悔したような表情で私を一瞥すると、足早に去って行った。

妙な胸騒ぎがして、鞄から携帯を取り出すと、不在着信が2件あった。
午前中に妻から。そして、ついさっき、警察から。
留守電を確認しようとする私の手は震え、満足に操作できなかった・・・
36名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 17:06:50.32 ID:x3hpHy+D0
>>34

「このウサギね!発売されたばかりなのに子供にすごい人気なの。
子供の心を読み取って、動くんですって。」朝、家に帰ると妻が言った。

「またこんなくだらないもの買って・・・」と言いかけてやめた。
娘はうれしそうにおもちゃをテーブルの上に置いた。
「パパ、見てて!見てて!」うさぎが動き出した。
ビンクのうさぎはギコギコと動き出し、テーブルの上で2、3度飛び跳ねた。
動きはぜんまい仕掛けのロボット程度のものだった。進化しないなあ。

数日後、リビングに青いうさぎが置いてあった。
「何だ?また買ったのか!こんなもん1個で十分だろ!」と怒鳴ると、
青いうさぎはドタドタと動き出し、地団駄のような動きをした。
なるほど、イラついた俺の心を読んだのだ。
「2人で遊ぶ為に買ったのよ。2対からむとなかなか面白いの。」
ふうんと聞き流し、酒をのんで俺は床についた。



ある朝、マンションに帰ると机の上に紙切れが置いてあった。
自分の目を疑った。離婚届だった。あわてて妻に電話するが、つながらない。

後日弁護士と話したところによると、妻は話し合う気もないらしい。
浮気がばれたせいで慰謝料の額も凄まじかった。
長引く裁判で俺は疲れきっていた。誰もいない薄暗いリビングで俺はため息をついた。

ウイーン、ガシャガシャ。
ふいに娘が置いていった青いうさぎがテーブルの上で動き出した。
そしてそのまま、真っ逆さまにダイブした。
37名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 17:16:20.42 ID:x3hpHy+D0
>>36

あ ごめん、うさぎとウサギで
字体がばらばらになってしまった・・・orz
38名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 17:23:47.11 ID:7/00NN0D0
>>37
おもろいからいいよ
39名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 17:26:46.21 ID:cc5bzZbd0
更生労働省
40 忍法帖【Lv=38,xxxPT】 :2012/02/16(木) 18:47:33.18 ID:wtqZhftK0
我が愛の税務署
41名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 18:50:53.81 ID:cc5bzZbd0
>>39

不労者更生法が施行されて数年。当初の激論も今は鳴りを潜め、毎春、失業者達が特設キャンプに集められる様は、季節の風物詩と化していた。

更生労働省から監督官としてキャンプに派遣された私は、さっそく今年度のプログラムを確認した。
最初の3ヵ月で規律を叩きこむ。そして必要な技術を習得させ、最後の研修を経て、彼らは立派な国家人として生まれ変わるのだ。
規律により国家に資する従順な身体を作り上げる。これが更生労働省の役割である。

キャンプにサイレンが鳴り響く。入所式が始まるのだ。
グラウンドに整列したクズ共の顔を見渡す。不貞腐れ、反抗的、怯え、どれも見慣れた面だ。
前列右端のDQN。茶髪の時点で既にアウトだが、ウンコ座りでこちらを睨む態度は、見せしめになる資格充分だ。
私が目配せすると、鉄棒を持った指導員がDQNの元に駆けつけ、頭めがけて得物を振りおろした。
“ゴキュ” DQNの姿勢が崩れ、土下座のような格好になる。素晴しい!いつ見ても良いザマだ。
このタイミングで挨拶だ。「皆さん、おはようございます。姿勢を正して、さあ深呼吸!」
一同、引き攣った顔をしながら私の指示に従う。ん?右から3列目中程のメガネ。私の指示を無視したな。
彼にも土下座してもらおう。

この国が唯一の強みとしていたものづくり文化も廃れ、汚染により国土が荒廃した今、彼らの出荷こそが唯一の外貨獲得手段なのだ。
世界的な資源不足、食糧難は各地で紛争を生み、マーケットに困ることは無い。
彼らが商品として海外に出荷されるのは1年後。その間、私なりの愛情を持ってしっかりと育て上げねばならない。

携帯が鳴った。本省からだ。何だ、この大事な時に。
「監督官、大変です。財政赤字解消のため政府は更労省の廃止を決定しました。私達は明日から失業者です!」
42名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 18:52:08.08 ID:cc5bzZbd0
自演すみません
4328:2012/02/16(木) 20:57:57.90 ID:xRkJcusB0
素晴らしいお話を書いていただきありがとうございます。

チラ裏ですが、自分はほぼ同人誌ですけど
ルポやノンフィクションでしか物語を書いたことがないので
想像力の広さに関心しました。

また3つ考えたので、もしよろしければお使いください。

「6時間世界一周旅行」
「」
4428:2012/02/16(木) 20:59:26.98 ID:xRkJcusB0
すいません、途中で書き込んじゃいました。

「6時間世界一周旅行」
「マニュフェスト」
「夜のない国」
45名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 22:47:36.82 ID:dGfZdRVy0
>>42
変な連投しまくらなければ問題ないかと・・・?

でも自分で考えてたのと誰かが作ってくれた話は
全然違くて面白いね。
46!tinko:2012/02/16(木) 23:40:57.10 ID:8ZrfEFU80
水銀
47名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 23:43:41.93 ID:GmthZtIE0
はたち
48名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 23:45:34.47 ID:Tf41lLUm0
hatachi
49名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 23:46:20.16 ID:Tf41lLUm0
>>47
新創刊の話題の雑誌、「age」!一目を引く超斬新なタイトル!意味は編集長しか知らないのだぁ!
そんなageの今回のテーマは、なんとグレンダイザーとユーロ崩壊の相似性 映画化決定! あのグレンダイザーとユーロ崩壊の相似性が映画化したんだよ!?
しかもなんとなんと、この雑誌の出版社はグレンダイザーとユーロ崩壊の相似性の出版社と同じ、あの北半球に会社を持つ「はたち」!ミンナもこの社名、1回は聞いた事あるよネ!?
これはタイトルと社名の時点で超キタイ☆間違いナッシングゥ!
1冊2ページだから超読みやすい!しかも1分に2回発行の超ハイペース雑誌!次の雑誌の発売を待つ必要ないよ!
雑誌の読み過ぎで、あなたは日常生活が続行不可能になっちゃうかもぉ!
そんな雑誌の編集長は、キタイの新星「イワキノブコ」!二十歳はさぶろうサンのお墨月編集長ダヨ♪
創刊日は、誰もマネできない2月40日!ぜーったい他の雑誌と間違えないよ!
ひこにゃんというチョー^^カワクィイースポンサーがついたこの雑誌の今回のフロクはぁ、「潮吹き昆布」!これを彼氏の前で使えば、彼氏はアナタにイチコロョ!
読者プレゼントには、なんとぉ、ちょっぴりオトナな専属モデルのノブコサンの使用済下着!潮吹き昆布と一緒に使っちゃえ!
え?あたし貧乏だから雑誌買えない?ダイジョウブ☆雑誌のお値段は用相談で決められるヨ♪
しかも何と、中大兄皇子 という超大手記者がいるから、購読者はFacebookとおんなじ♪くらぁ〜い!これで皆との会話には、ぜったいぜーったい困らない!
50名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 23:48:15.05 ID:GmthZtIE0
>>49
俺の知ってる星新一じゃない
51名も無き被検体774号+:2012/02/16(木) 23:49:01.07 ID:Tf41lLUm0
だれの星新一でもないwww
52名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 00:49:55.54 ID:qMI2LBIc0
>>47 「マニフェスト」いただきます。

妻がマニフェストを作る、と言い出した。総選挙間近で、関連TV番組に当てられたらしい。
「思いついたのから書いていく」と、妻はおもむろに取り出したノートに鉛筆で何か書き始めた。
ノートを覗くと、こんなことを書いていた。

・宝くじ1万円当てる ・5kg痩せる ・ブランド物のバックを買う ・親孝行する

なんだよこれ、願掛けみたいじゃない。私が馬鹿にすると、妻はこういった。
「だって、マニフェストってそういうもんでしょ!」
今になって思えば、妻の指摘は的を得ていたとした言い様が無い。
それから半年後、選挙で大勝した現与党の迷走ぶりから、マニフェストという言葉は“守れない約束”の代名詞となっていた。

しかし我が家のマニフェストは事情が違った。ほとんど外れたのだが、その外れ方が違っていたのだ。
宝くじ1万円は外れた。しかし、代わりに100万円が当たってしまった。
ダイエットは大成功して10kg痩せた。欲しがっていたバックは親戚が海外旅行の土産でタダで手に入った。
最後のマニフェストについては・・・宝くじの当選金で両親に旅行をプレゼントした。
これは普通に実現することになりそうだ。

義両親が旅立った次の日、悲報が入った。義両親が旅先で交通事故に遭い亡くなったのだ。
「どうして、最後の公約だけ守られなかったの、一番大事な公約だったのに。」

妻は恨めしげにノートを取り出し、マニフェストを記したページを開いた。
あれ?彼女は異変に気づいた。
「あれ・・・最後のマニフェストが無い。それに裏のページに何か書いてある。」

ごめん、実は俺もマニフェスト書いたんだ。公約以上の効果が出ると期待してね。
それと、最初にお前と同じページに書こうとして、うっかり最後の汚しちゃったから裏に書き直したんだよ。

自分は何を書いたんだっけ。不安に駆られてノートを見ると、そこに書かれていたのは・・・

・経済的安定 ・夫婦円満 ・健康第一

「あ、あなた、TV見て。」恐る恐る眼を向けると、ブラウン管には見知った人達が写っていた。
社長始め、我が社の重役一同だ。うな垂れた態度で記者達からの質問の矢に晒されていた・・・
53名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 00:52:51.67 ID:qMI2LBIc0
ああ、誤字脱字が・・・恥ずかしい・・・
54名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 01:43:40.72 ID:qMI2LBIc0
ああ52は >>44 「マニフェスト」いただきます。
の間違いだ。
55名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 01:45:05.24 ID:jAEbkbz+O
オナニー中毒の処女
56名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 02:32:25.64 ID:58D4xr4E0
愚鈍の極み
57名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 10:23:54.80 ID:2HsW2bXq0
しかし>>7はどこへいったのやら…
58名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 10:26:28.88 ID:g3vdBb8Z0
そこにはだれもいませんよ
59名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 10:32:21.37 ID:g3vdBb8Z0
>>54
誤字は自分もやった。乙、おもしろい。

>>38
トン。
これ、一言でも感想もらえるとうれしいなあ。
60名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 11:17:14.52 ID:P9UzMNAv0
>>59
54です。有難うございます。おもしろい、と言っていただけると励みになりますね。
「しにたがりのウサギ」文章綺麗ですよね。
何故か酒井絢子さんの絵で脳内再生されました。
61名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 11:20:04.29 ID:P9UzMNAv0
>>44  「夜のない国」

子供の頃、夜は別の世界だと思っていた。
僕らは8時までに寝なくちゃいけない。きっとその後は大人だけの楽しい世界があるんだ。

「この案件、明日までに片付けておいてくれ。」
また残業か。最後に家に帰ったのは何時だろう。疲労も限界だ。
志望した商社に入って数年目。当初はやり甲斐を感じていた仕事も、今は苦痛でしかない。
寝不足のせいで昼間はボッーとし、夜の残業でその穴埋めをする悪循環が続いていた。

珈琲でも飲むか。気分転換に自動販売機に向うと、人影があった。
向こうも僕に気付いた。小さな人影は走り出した。
子供?こんな時間に、しかもどうしてこんなところに? おい君! 僕はその子を追いかけた。
「こっちだよ、早く!」
彼はどんどん階段を上っていく。待ってくれ、息が上がる。このまま屋上まで行くつもりか?
屋上階まで辿りつくと、厳重に施錠されているはずの扉は開き放たれ、その向こうに彼が立っていた。
おい、危ないぞ。戻ってこい。 

彼は、さっきまでの無邪気な態度と違う、真摯な眼差しで僕を見つめていた。
あれ、僕はこの子を知っている。どこで会ったんだっけ?

不意に、彼が話しかけてきた。
「大人の世界は楽しかったかい?」
いいや。僕は首を横に振った。
「じゃあ、こっちにおいでよ! 戻っておいでよ!」
行くよ! 僕は手すりを乗り越え、迷わず彼の後を追った。
62名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 11:26:58.11 ID:2HsW2bXq0
星新一感がなくなってゆく…
63名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 13:43:48.83 ID:P9UzMNAv0
>>44 「6時間世界一周旅行」

この春、エフ氏は異動になった。
新しい赴任先は「歩いて6時間で世界一周」で売り出し中の居住用小惑星だ。
こんな小さな惑星なのに充分な水と酸素が存在し、景観も素晴らしい奇跡の星だった。

実は、この惑星を一周すると、最短ルート、早足で歩いても6時間と数分かかってしまう。
エフ氏の新しい仕事は、何とかして6時間で一周できるコースを探し出す、というものだった。
エフ氏は何度も何度も歩いたが、どうしてもタイムを縮めることが出来なかった。

そこへ、研修のため、新入社員のエヌ氏が訪れた。
エフ氏は仕事をする時のバランス感覚の大切さについて説いたが、幹部候補のエリートとして入社したエヌ氏は、
エフ氏の仕事の内容を知ると、愚か者だと馬鹿にした。
自分なら造作も無く成し遂げられる仕事だ、と制止するエフ氏の言葉にも耳を貸さず、調査を始めた。
途中、迂回する谷に橋を掛け、丘陵を整地すれば6時間弱で一周出来ることが分かり、直ぐに工事に取り掛かり、3日でそれを終わらせた。

エヌ氏が事務所に戻ると、エフ氏は緊急脱出カプセルに乗り込むところだった。
「君は大変なことをしてくれた。ここはもうお終いだ。」
「どういうことです?」 エヌ氏は尋ねた。
「だから何度も言ったじゃないか。仕事はバランスが大事なんだ、と。」
エフ氏はハッチを閉めながら答えた。
「君の工事のおかげでこの星の重力バランスが崩れ、奇跡的に保たれていた酸素が間もなく失われるんだよ。」
64名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 14:10:17.09 ID:P9UzMNAv0
>>66 しまった!「旅行」が無い!
65名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 14:23:06.61 ID:g3vdBb8Z0
>>64
でも星新一ぽいです
観光客がくれば旅行なのでおkじゃないでしょうか
66名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 14:33:18.84 ID:P9UzMNAv0
>>65
エフ氏、エヌ氏を使ってそれっぽくしただけでお恥ずかしい。
実は、星新一作品は前にNHKでやってた『星新一ショートショート』でしか知らないのです。
つまり、活字で知らない、という最悪の身の程しらずで申し訳ないです。
このエセに、是非、本流を見せつけてやって下さい。
67名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 20:32:16.57 ID:P9UzMNAv0
>>40 「我が愛の税務署」

人口減少により構造改革を迫られた国民は、“代表無くして課税も無し”と言う道を選んだ。
ほとんどの税金と、そして公共サービスは廃止され、一部残された税金と篤志家からの寄付で、最低限度の行政機能だけが維持された。
年金、健康保険、それに消防・警察も無くなった。老後も健康も安全も自分で守る。当然のことだ。
さすがに国までは守れないので自衛隊は残されたが。

残された僅かな公務員も給料は激減し、今は兼業が当たり前。かく言う私もダブルワーカーだ。
午前の自警団のパトロールを終え、今し方出勤したところである。
ここでの仕事は、寄付金の受付と、礼状書きくらいだ。それが終わればまた自警団の仕事に戻る。
犯罪者達と路上の死体は後を絶たないのだ。

「ちょっと来てくれないか」
めずしく署長から呼び出しがあった。久々の大口寄付だろうか?
署長は、少し困った顔をして私を出迎えた。
「相談したいことがあってね。まあ掛けて。」
どうしたんです? 私の質問に直接答えず、署長は一通の手紙を差し出した。

―前略 突然の手紙、失礼いたします。私は以前、ここの税務署に務めていた者です。
実は私、長年の勤めの間に少しずつ税金を横領し、少なからぬ蓄財をいたしました。
罪を償わせていただきたく、私の全財産を寄付させていただきたく。―

金額も記してあった。見たこともない凄い金額だ。この金額を寄付として受け付けてしまうと・・・
「そうだ。この金額なら、彼は間違いなく大統領になれる。」
政府官職の買官は公に認められている。それが寄付金の正体だ。
しかし、どうしてこんな大掛かりな犯罪が今まで発覚しなかったんだ?
「組織ぐるみの犯行だ。やがて税務署の権威が地に落ちると知り、多くの関係者が彼に協力した。」
もしかして貴方も? どうしてそれを私に話すんです?
「私も詳しくは知らない。しかし賛同はする。後は、寄付金課課長の君がどう判断するかだ。」
私が事を公にすれば、彼は間違いなく私刑の対象になる。それを自警団にも所属する私に見逃せと?
「彼はこの狂った国を元に戻そうとしている。」
そしてこう続けた。
「我々が失ったものも取り戻してくれる。君にもあった筈の、税務署員としての誇りを。」

数カ月後
「私は、かつて人々が安心を得る権利と、それを支える納税の義務を復活させることを宣言いたします。
人民の、人民による、人民のための国家をここに再建することを約束いたします!」

横領者は宣誓を済ませ、即座に自衛隊を出動させた。これからこの国はどうなるのだろう・・・
68名も無き被検体774号+:2012/02/17(金) 21:55:52.65 ID:obbxEmvR0
ネコとタヌキと警察官
69名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 00:05:15.36 ID:FGn3rSPT0
>>68ネコとタヌキと警察官

キャンプにきた青年は魚を釣ろうと森に入った帰りに、
迷子になってしまった。

バケツを両手に獣道を進むと、奥に人影がみえた。
「助かった。すみません、道に迷ってしまったのですが。」
背中の丸まった小柄な老人だった。
「道を教えるのは構わんが、なにか食べ物を持っていないかね」
青年はつった魚を差し出した。
「キャンプ場は、この道の突き当たりを右に行ったところだ。」
青年は礼を言って道を進んだ。

ところがどこまで行っても突き当たりなどない。
日も暮れてきたので思わず座り込むと、横に小屋がみえた。
小太りの中年が、小屋の外で葉巻を吸っていた。
「なに、それは大変だ。君、この先ずっと1本道だよ。そんな事を言うのはネコマタに違いない。彼はいたずら好きなのだ。」
「ネコマタ?すると私は魚を騙しとられたのですね。
どうかキャンプ場へ戻る道を教えてください。」
「道を教えるのは構わんが、なにか食べ物を持っていないかね。」
青年は持っていたチョコレートを差し出した。
「本当の道は、あの崖沿いに左に行くのだ。」

ところが、やはりどこまで行ってもキャンプ場につかなかった。
あたりはすっかり薄暗く、思わず座り込むと、遠くにライトの
光がみえた。下町のお巡りさんのようだった。
「ははは。この辺ではよくよそ者がひっかかる。
君、それはタヌキに化かされたのだ。」
「タヌキ?すると私はチョコレートを騙しとられたのですね。」
「さあ、キャンプ場へ案内してあげよう。ついておいで。」
青年はその申し出を断った。

「あいにく、私はもう食べ物を持っていないのです。」
70名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 00:07:37.69 ID:VED+d5ek0
>>69
なかなかいいですねw
71名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 00:22:01.18 ID:9cvs1STZ0
>>58 「そこにはだれもいませんよ」

校庭の真ん中に、小さながいくつも開いた奇妙な筒がある。
間抜けなオブジェに見えるそれは、私たちが鑑賞するためではなく、私たちを監視するためにそこに在る。
ここから、学校中を見渡し、不正や反抗が見つかれば体育教官室からゴリラ達が出動するのだ。

この筒の厄介なところは、外から中が見えないため、監視者がどこを見ている分からない点だ。
だから、生徒たちは皆、常時360度にわたって見張られているように思ってしまう。
中には人が入ってるとか、監視カメラが入っているとか色々と噂があるが、確かめた者は誰もいない。
生徒が筒の周囲5mに迫ると、警報が鳴り筒の中からスプリンクラーが発射されるのだ。

それなら多方向から迫ればどうか。かつて、それを試みた者たちはいた。
“狂犬”と呼ばれた我が校きっての不良が、手下とともに四方から襲い掛かった。
しかし、次々と噴水を浴びせられ、のたうち回る彼らをゴリラ達が拉致し調教。
かつての狂犬達は、従順な番犬となって体制側に組している。

部活中の今も、あの筒の視線を意識してしまう。邪な眼差し。ん?そうか。それを試してなかった。
名付けて「お色気作戦」。友人に話すと作戦名を馬鹿にされたが、面白そうだと協力してくれた。
早速作戦決行! 一応、可愛い部類に入る友人が筒の傍で転ぶ。弾みでスカートが捲れてしまう。
その瞬間、私は筒めがけて小石を投げた。カコーン。しかし、素知らぬ顔をする私に攻撃は無い。
これで決まりだ。人であろうと無かろうと、ヤツは男だ。

今度はバレるだろうと友人は心配したが、学年一の巨乳を戦力に加え、私たちは再び攻勢に出た。
コンタクトを探して四つんばいになる御尻丸出し女と第四ボタンまで開けて胸元を団扇で扇ぐ巨乳。
私は筒めがけて突進した。5mの周縁部分に複数の突起があるのに気づく。鏡だ。
5mの境を越えた。警報は鳴らない!ようやくたどり着いたぞ。さあ、姿を見せろ変態!!
筒を思い切り蹴ると、声がした。ロボットのしゃべり方を真似た、明らかに人間の声。

「 そ こ に は だ れ も い ま せ ん よ 」

無視して中を覗くと、そこには校長の震える禿頭があった。
72 忍法帖【Lv=39,xxxPT】 :2012/02/18(土) 00:33:16.81 ID:u6rkM8Ac0
マドリードから来るべき男
73名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 08:17:42.10 ID:uklWYEt60
>>71
予想とオチが違ったw
74名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 10:09:11.79 ID:wa/G+kjW0
>>69
こういうの、大好き!
童話っぽくて良い!
75名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 11:21:31.73 ID:S8mlbQ6u0
禁じられたカウントダウン
76名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 12:17:06.31 ID:Z4YKCMe20
>>56
ある日、エヌ氏が目覚めると周りを打ちっぱなしのコンクリートで固められた何もない部屋の中にいた。
エヌ氏は困惑した。
「はて、こんなところに見覚えはないぞ。」
とにかく、この部屋から出なくては。
目覚めた当初は何もないと思っていた部屋だったが改めて部屋を見回すと隅の方に小さな液晶の画面と小さなボタンがついているのを発見した。
液晶には押すなと表示されており、どうやら押すなとはそのボタンのことであるらしかった。
「ははぁ、どうやら私でなにか実験をしているのだな。」
エヌ氏は研究所に勤めているのでたまにこういう目に合わされるのだった。
しかし、どう思い出そうとしても直前になんの研究をしていたのかを思い出す事ができない。そこでエヌ氏は想像を凝らすことにした。きっと、所長のエフ氏はどれくらいで音を上げてボタンを押すか忍耐力を試そうとしているに違いない。
そう考えるとボタンを意地でも押してやるものかという思いが湧いてきた。
幸いお腹も空いていないし喉も乾いていないこうなれば意地でも押してやるものか。
そうするうちついにエヌ氏は動かなくなってしまった。
それを監視していたエフ氏はエヌ氏が動かなくなった部屋に入り、言った。
「やれやれ、また失敗だ。いつになれば押すなと言われても押したくなる感情が再現できるのだろうか。」
そしてエフ氏の人格をコピーしたエヌ氏のロボットを回収した。
77名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 12:17:31.18 ID:8/bkywZx0
そして誰かがいなくなった
78名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 12:21:32.52 ID:Z4YKCMe20
所長のエフ氏はの所消しわすれた…orz
79名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 12:31:17.68 ID:ailfKny6O
「ありがとうの代わりに」
80名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 12:43:31.92 ID:xlGjsayS0
赤い名刺
81名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 20:47:37.70 ID:9cvs1STZ0
>>76
深イイ
82名も無き被検体774号+:2012/02/18(土) 23:56:20.51 ID:67Mzk3Ri0
夢で逢えたら
83名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 00:06:08.24 ID:BfGAUicE0
>>28の意味が分からない
84名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 00:23:13.93 ID:dJCfB8Dl0
>>83

ググれ
85名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 04:39:42.50 ID:/xNPD3xt0
良スレあげ
86名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 04:55:28.19 ID:c2pmV9iqO
>>82
42歳で無職のこの男の趣味はストーカー行為で有る
男は何時もの用に女に付きまといをして居た
そごで有る異変にきずく
女が部屋から出ないのだ

何時もならこの時間に外出するはず
男は心配になり女の家の中を覗いた
そこにはおびただしい量の血が
もう女には夢の中でしか会えないのだ
87名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 05:15:17.96 ID:l3KKcxi80
>>76
うお!オレのお題にストーリーが!
その才能に★★★★★
88名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 05:32:53.72 ID:/xNPD3xt0
拙いけど書いてみる
>>44「夜のない国」
アパートの一室で、青年がぼんやりしていた。
日が落ちたころ、青年はふと「夜のない国」のことを思い出した。
小さいとき、なにかで聞いた覚えがあった。学校で習った白夜とは違った気がする。
青年は起き上がってパソコンで「夜のない国」を調べたが、
結局それらしいものは出てこなかった。
「お腹も空いたし、どこかへ食べにいこうかなあ」
青年は夜でも暗くなることのない街へ出かけた。
89名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 11:39:48.85 ID:EqxdUw6G0
>>80
「はて、困ったことになったぞ」
エヌ氏はここ数日にであった人の名刺を机の上に並べ、つぶやいた。
机の上には複数枚の名刺が並んでいる。
その名刺は一枚を除き全て身に覚えのあるものであった。
「赤い色の名刺なんてもらった覚えはないが…」
暗いひかえめな赤い色の名刺が一枚だけあるのだった。
「これはしょうがない、恥を忍んで聞いてみるか。」
エヌ氏はその日に会ったと思われる様々な人に電話をかけて回った。しかし、その名刺の持ち主にはたどり着けない。
ところが一名だけ何度電話を掛けても出ないのだ。
「しかし、この人からもらった名刺は覚えているぞ。たしか黄色の名刺だったはずだ。」
しかし、そこでエヌ氏ははたと名刺が赤い理由に思いあたり、急いで海外に高飛びする準備をはじめたのだった。
90名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 13:39:13.54 ID:GpWI2hmY0
>>79
あるところにひねくれ者の男がいた。
男は生まれつきのひねくれ者で、やることなすこと全てひねくれていた。
一度など、お腹が空いてもけしてものを食べようとせず栄養失調で倒れたことすらあるほどであった。
しかし、そんな男をエヌ氏は、こんな寒々しい世の中に生まれたせいだといい、責めることはせず、ある種社会不適合者であるこの男の世話を甲斐甲斐しくやっていた。
ひねくれ者の男も次第にエヌ氏には感謝するようになっていた。
そんなあるとき、エヌ氏の体が癌で蝕まれていた事がわかった。
手遅れとなったその体を病室で横たわらせているエヌ氏の横にはひねくれ者の男がいた。
「お前には生きにくい世の中だと思うが、俺はお前のそのひねくれた性格も好ましいものだった」
とエヌ氏は男にそうつぶやいた。
すると男は突然立ち上がると意を決したような表情で病室を出て行ってしまった。
翌日、エヌ氏は刺殺体として病室で発見された。
91名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 13:44:34.48 ID:GpWI2hmY0
>>89
黄色の名刺が見当たらない理由に気付いてにするべきだったな…ミスった。
92ある国のおとぎ名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 14:48:29.49 ID:auwDv7VxO
ある国のおとぎ話
93名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 14:50:22.19 ID:auwDv7VxO
>>92
名前があああああorz
94名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 16:05:18.52 ID:SdT9YtAI0
ある国のおとぎ名も無き被検体774号+
95名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 16:32:42.80 ID:vwJgSBg80
夢の缶詰
96名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 19:00:47.00 ID:HkjQ/iSW0
ほんとだよ
97名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 19:02:39.26 ID:Y5MRHoMfO
亡き君の息
98名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 19:39:27.22 ID:uwKDTwSg0
>>95
エヌ氏はある秘密を持っていた。
それは不倫などといっただれにでもあるようなものではなかった。
エヌ氏は自在に夢を見られるという缶詰が売っている店を知っていたのだった。
そこは郊外で、路地裏の奥まった道の先にある店でとても店とは思えない小さな民家のような外観だった。
見つけたのはただの偶然だが、とても幸運であった。
もうだいたいの夢の内容は経験し、知っていた。
夢のなかでは美女との淫靡な情事や、スリルあふれるスパイのような経験まで、ありとあらゆる内容があり、それらを楽しんでいた。
そんなある日、職場でエヌ氏は上司のエフ氏に呼び出しを受けた。
エフ氏は突然の無理難題をエヌ氏に押し付け、できない場合は降格の上転勤させると告げた。
冗談ではない、降格はともかくそんなことをされてはあの店に行けなくなってしまう。
エヌ氏はそれから寝る間も惜しみ、がむしゃらに働いたが、どだい内容自体が無理だったのだ、がエヌ氏の奮闘は虚しい結果に終わってしまった。
期限の前日、エヌ氏は全てを諦めきって例の店に来ていた。
なにか、スカッとするような内容の夢はないか…。
エヌ氏は店主に聞いてみた。
すると店主は奥から何のラベルも無い缶詰を取り出してきた。
店主はラベルに書いたことがそのまま夢となると丁寧に説明してくれた。
エヌ氏にとっては願ってもない缶詰だった。
それを購入するとエヌ氏は飛ぶように自宅に帰った。
早速、ラベルに夢の内容を書きはじめる、
「ええと、まずエフのやろうを痛めつけて…いや違うな、先にもっと辛い目にあわせて…」
ラベルを書き上げるのに要した時間はゆうに2時間以上におよんだ。
しかし内容ははじめに浮かんだエフ氏を痛めつける位のものであった。
よし、じゃあ寝るぞ。エヌ氏は布団に入り横になると仕事の疲れもあってかすぐに寝息を立て始めた。
エヌ氏は夢の中で目覚めると直ぐにエフ氏の元に飛んでいった。
現実の事を夢に書いたからか舞台はそのまま現実によく似ている。
エヌ氏は出会い頭にエフ氏を強かに殴りつけると相手が動かなくなるまで痛めつけてやった。
ある程度スッとしたエヌ氏は夢が醒めるのをまった。
が、いつまでも目が覚めないそのうち警察が駆けつけるとエヌ氏はすっかり慌ててしまった。
「こんなことをラベルに書いたつもりはないぞ。」
警察が彼を連行し、自宅捜索で見つけたものは大量の空缶と何度も書き直され、耐えきれず破れてしまったラベルのついた空缶であった。
99名も無き被検体774号+:2012/02/19(日) 23:21:24.75 ID:vwJgSBg80
>>98
有難う。星新一的かどうかは分からないが、具合良し!
100名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 11:53:35.24 ID:ZFVij1ML0
記念日。頼む
101名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:05:04.65 ID:8kcP1De50
>>96
尊大なエフ氏は、真偽を問うと、嘘か本当か答えてくれる壺を所持しているという。
問いかけが本当であれば、ホントダヨ、と言い、偽りなら沈黙するというのだ。
それを聞いた知人のエヌ氏は、エフ氏の権勢を褒め称え、是非見せて欲しいと願った。
エフ氏は快諾し、早速エヌ氏を招いてそれを見せた。

「どうだい。僕のコレクション達は。君の稼ぎじゃ、保管場所さえ確保できないだろうがね。」
エフ氏の自慢を無視して、エヌ氏は壺を凝視している。
「これが・・・件の壺ですか。」
さっそく試してごらんよ。エフ氏が促すと、エヌ氏は怖々と頷く。
「そ、それでは・・・壺よ、お前に問う。お前はエフ氏の所有物?」

―ホントダヨ― 掠れた呼吸のような声が壺の中から聞こえた。凄い!エヌ氏は称賛した。
自慢の一品を褒められたエフ氏はすっかり上機嫌になっていた。骨董群を指して言う。
「せっかく来てくれたんだ。よければ何か持って行けよ。ガラクタでよければね。」

エヌ氏は素直に感謝した。
「有難うございます。ですが、今はもう少しこの壺と会話をさせてください。」
そしてまた、壺との問答を始めた。
「壺よ。お前に問う。太陽は西から昇って東に沈む?」
壺は沈黙した。エヌ氏は言った。「この壺は偽りを表現している。」
壺はすかさず答える。―ホントダヨ―
「なんだ。お前は偽りの壺なのか。」壺は答えない。

その様子を見て、エヌ氏は嘲るように言った。「お前は偽りを指摘することも出来ない。」
壺は黙り込んでしまった。若干赤身が指し、少し怒っているようだ。エヌ氏の壺に対する侮蔑は続いた。
「違うのか。生意気なガラクタめ。お前は真偽を計る叡智を持つというのか。」
―ホントダヨ!―  壺は、ようやくに誇らしげな答を得た。
同様に誇らしげなエフ氏を尻目に、エヌ氏は言った。

「いや、素晴らしい壺だ。ではこれをいただいて帰ります。このガラクタを。」
102名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 23:53:38.77 ID:+U0oc7F90
>>101
とんちですねwイイ!
103名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 23:56:06.58 ID:emqHkkKQ0
幻の湖
104名も無き被検体774号+:2012/02/21(火) 00:18:46.98 ID:vPuaP/gc0
>>92 ある国のおとぎ話

貧しい村の少年は、畑仕事に飽きていた。
毎日毎日同じことの繰り返しだからだ。
この村いちの物知り老婆におとぎ話を聞いては、
自分もそんなことができたらなあと空想するぐらいしか
楽しみはなかった。

少年が一番好きなおとぎ話は<星をつくる少女>の話。
その夜も少年は、あの夜空に瞬く宝石をいつか自分もと
思い描きながら眠りについた。


朝目が覚めると様子がおかしい。自分の家ではあるのだが、
どこからどうみても空の上だった。
すると部屋へ少年の母親が入ってきて、言った。
「いつまで寝てんだい。ほらはやく空仕事に行きな。」

少年が庭に・・・いや空に出てみると、村の人たちがせっせと
星を作っていた。少年は喜んだ。
ついに自分はあのおとぎ話の国に来ることができたのだ。
星は美しかった。毎日夜が来る前に星をつくり、空へ放つのだ。
間に合わないときもあった。そのときは幕をかけ、曇りにしてしまうのだった。

そうこうするうちに半年がたった。少年は飽きていた。
毎日毎日同じことの繰り返し。
少年は久しぶりにおとぎ話が聞きたくなって、老婆にせがんだ。

老婆がこの国で一番有名なおとぎ話をしてくれた。
それは、<食べ物をつくる少年>の話だった。
105名も無き被検体774号+
>>104
このお話自体がおとぎ話みたいでとても面白かったです