サトシ(24歳)「え?ハルカ結婚するの?」

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1ローカルルール変更議論中@VIP+
ハルカ「私この春シュウと結婚するのかも」
シュウ「良かったら君も式に来てくれないか」

サトシ「お、おう…」

俺はマサラタウンのサトシ、今年で24歳の現役ポケモントレーナー。
夢はいつもいつでもポケモンマスターになること。
今日、ジョウトで旅をしているはずのハルカから連絡があった。

何でもライバルのシュウと結婚するみたいだ。
しかし、俺は何て言ったら良いのか検討もつかない。
結婚とは、一体何なのだろう。
2ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:39:26.82 ID:v91UyQt70
このコンボは
3ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:43:12.60 ID:G0RQJlw4O
よくわからなかったが、俺は「おめでとう」と返しておいた。
態々俺に報告するって事はきっとおめでたいことなのだろう。
『式』とは一体何だろう。
何かの大会か?

わからない事は、タケシに聞くに限る。
タケシは現在29歳にして12人の子持ち、兼ブリーダーである。
きっと、タケシなら何かしっているだろう。

俺は、ニビジムに電話をかけるべく受話器を手にした。

4ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:46:15.77 ID:kuIcu63NO
タケシすごい勢いで子作りしてんな
5ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:49:05.30 ID:G0RQJlw4O
サトシ「あーもしもし?」
タケシ『もしもし…お、サトシか?久しぶりだな。一体どうしたんだ?』パパー ワイワイガヤガヤ
サトシ「ああ、実はハルカの事についてなんだが…」
タケシ『何だハルカの結婚の事か!俺も聞いたぞ、あのハルカがなぁ…まぁハルカも今年で18だししてもおかしくは無いよなぁ』
サトシ「!?…な、なぁ結婚って言うのは18歳にならないとおかしいのか?」
タケシ『まぁシュウもハルカと同い年だしなぁ』
サトシ「(シュウも18歳じゃなきゃいけないのか…?益々わからなくなってきた)」
6ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:57:23.64 ID:G0RQJlw4O
パパァァァー!オナカスイター!

タケシ『俺も式には出るからな!なんと仲人役なんだ………おっとすまん、これから夕飯の準備をしなくちゃいけないんだ。』
サトシ「(仲人…?)そ、そうか。タケシの料理うまいもんな!沢山食わせてやれよ」
タケシ『じゃあな』
チン!
受話器を置くと、ますます頭が混乱するばかりだった。

結婚とは。
ある一定の年齢にならないとダメみたいだ。
じゃあ仲人ってなんだ?

俺は悩みに悩んだが結局答えは出なかった。
…そうだ、カスミ!
タケシよりも案外聞きやすいかもしれない。ハルカとも仲が良かったし…

迷わずまた受話器をとった

7ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 00:57:55.09 ID:JQe2OGDQO
春風瑠璃は俺の嫁
8ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:04:12.10 ID:G0RQJlw4O
カスミ『はいこちらハナダジム…』
サトシ「カスミ!俺だよ俺!」
カスミ『…サトシ?どうしたのよいきなり』
サトシ「いや、ハルカの結婚の事なんだけどさ」
カスミ『えっ…まさかサトシ、ハルカ達に感化されて私にプロポーズを…』
サトシ「プロ?よくわからないが、そんなんじゃないんだ!」
カスミ『……。で、用件は?』
サトシ「結婚について、俺に詳しく教えてくれ!」
カスミ『はぁ!?』
サトシ「ハルカもシュウも、タケシだって結婚の事になると良くわからないんだ!」
カスミ『あたしだってあんたが何言ってるのか良く分からないわよ!……いいから落ち着いて喋りなさい!』
9ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:11:23.59 ID:G0RQJlw4O
数十分後

カスミ『おこちゃまだとは思っていたけど、あんたってただの世間知らずだわ…本当に結婚も知らないなんて!』
サトシ「いいから教えてくれよ…」
カスミ『簡単に言うとね、結婚とは好きあった人同士がずっと一緒にいようって誓う儀式なのよ』
サトシ「何かの大会じゃないのか?」
カスミ『違うわよ!』
サトシ「好きな人となら結婚できるって訳か…」
カスミ『そう。女は16歳、男は18歳からって決まってるんだけどね』
サトシ「なるほど!」
カスミ『それでタケシは先輩として二人を取り持つために式に出席するのよ』
サトシ「ふむ…」
10ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:13:46.89 ID:TVY83xO0O
これは良い(・∀・)イイww
11ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:18:23.04 ID:G0RQJlw4O
サトシ「まぁなんとなくわかったよ」
カスミ『そう?』
サトシ「その結婚は好きな人となら良いんだよな?」
カスミ『えっ?う、うん。まぁね』ドキーン
サトシ「じゃあ俺…ピカチュウと結婚できるかな」
カスミ『無理じゃない?』
ガチッ! ツーツー

何でだろう。突然電話を切られてしまった。
とりあえず結婚の基本的な事はわかったから、他にも情報は必要だ。
12ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:27:04.26 ID:i4saJaP1O
サトシ24、ハルカ18
10歳のサトシと一緒に旅をしていたハルカは4歳だったという計算に…同い年じゃないのか
まあ面白いから気にしないぜwktk
13ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:29:42.13 ID:G0RQJlw4O
サトシ「…となると、シゲルにも電話してみるか。悔しいけど俺より博識だもんな…」

プルルー
シゲル『やぁサトシ。そろそろ電話して来る頃じゃないかと思ってたよ』
サトシ「シゲル!…何で俺が電話をかけてくる事を予想してたんだ?」
シゲル『君のハナダの友人がわざわざ君のお母さんにまで君のお馬鹿っぷりを電話で愚痴ったらしくてね』
サトシ「カスミか…」
シゲル『せまい町だから、君のお馬鹿っぷりとめでたいニュースはすぐ伝わったよ』
サトシ「…もう俺に恥は無いな」
シゲル『それで、結婚の事なんだろう?』

14ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:33:39.31 ID:G0RQJlw4O
>>12
最初に旅を始めた段階でサトシ10歳、そこから年齢を重ねてる。
自分の計算が狂って無ければ
サトシ16歳の時ハルカが10歳で一緒に旅に出る。
15ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:33:45.77 ID:FmQ3zZ7+0
支援
16ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:36:00.77 ID:Awd3R7GW0
期待www
支援
17ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:40:54.05 ID:i4saJaP1O
>>14年とってる計算か、把握した
アニメはコナン的なかんじだから…
よーし支援支援(^o^)
18ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:41:12.90 ID:G0RQJlw4O
サトシ「ああ、結婚についてもっと詳しく…何か準備はいるものなのか?」
シゲル『まぁ式をあげる本人や親戚は準備から何まで忙しいと思うけど、君は特に何もしなくて良いんじゃないかな』
サトシ「祝い事だから何か用意した方がいいと思ってたんだ。トロフィーとか…要るかな?」
シゲル『新婚にトロフィーは不要だと思うよ。要るならほんの少しばかりの…所謂御祝儀だね』
サトシ「新婚…しゅうぎ…」

シゲル『…よし!此処まできたらこのシゲル博士が腰をすえて教えてあげよう。まず新婚と言うのはだね…』

19ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:54:12.17 ID:G0RQJlw4O

シゲル『…と言う訳だ。わかったかな?』
サトシ「悔しいけど凄くわかりやすかったぜ…」
シゲル『まぁこの僕の手にかかればサトシの空っぽの脳味噌に合うよう説明するのは雑作も無い事なんだけど』
サトシ「くっ…今日ばかりは文句はいえないからな…。ありがとう、助かったよシゲル」
シゲル『お二人に僕からの祝いの言葉を伝えといてくれよ』
サトシ「わかった。…じゃあな!」

チン!
シゲルの助けもあり、なんとか俺は結婚をある程度理解できたようだ。
朝ハルカから結婚の話を聞いた時より格段に成長した気がする。

サトシ「人間とポケモンじゃ結婚はできないんだってさ…ピカチュウ」
ピカチュウ「ピ〜カ(当たり前だよサトシ)」

20ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 01:58:39.99 ID:Aq/mBae60
     ,、‐;;;;;;;;;ヽ、
    /:::::;;-‐-、:::ヽ             _,,,,,,,_
     l::::::l  _,,、-‐"iiiiiilllllllllllliiiiiiiー-、__ゞ:::::::::::`ヽ,
    ヽ::`/: : : : iiiiiilllll||llllliiiiii: : : : : : ヽイ〜`ヽ::::::i
      /;,..-‐、: : : : : l|l: : : : : : : : : : : : : \ ノ::::}
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     !: : : :iflllli、: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : :.!
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   /: : : : :    ▼    : : .!lllll!' : : : : : : : :.i
   ̄|: : :"  ,,,,,,,,,,,,,|____    : : : : : : : :.<iii/     ____________
  /!.:   |:::::/    ̄''''''''l ヽ: : : : :-─/─  / >>1さん!くそすれをたてないで!!
    ヽ   ヽ/  (´ー`)  ノ: :ヽ    /\   <  すぐにくびをつってしんでね!
     \  \,,_    _,,,/     : /\     \ しまじろうとおやくそくだよ!!!
       `''‐、、__  ̄ ̄   __,,,、-‐"           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
21ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 02:03:05.91 ID:G0RQJlw4O
その頃のマサラタウン

オーキド「やっぱりシゲルのところにもサトシから電話がかかってきたようじゃのう、ハナコさん」
ハナコ「まったくサトシったら…私が育て方を間違ってしまったのかしら?」
オーキド「いや、ハナコさんは立派なママさんじゃ。……ところでわしとの再婚の件を…」
ハナコ「その事なんですけどもオーキド博士…私まだ心の準備が…」
オーキド「大丈夫、今更わしとハナコさんの間に焦る事なんてないじゃろう。…わしはいつまでも待つ気ですよ」
ハナコ「博士…」
オーキド「まぁあんまり長く待たされるとわしがポックリ逝ってしまうがなぁ。はっはっはっ」
ハナコ「ふふ…」
22ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 02:06:35.64 ID:G0RQJlw4O
もう寝ちゃう
スレは残ってたら続きを書こうと思う
むしろ誰か続きを書いてくれてもかまわんのです

ではまた会えたらこのスレであおう
23ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 03:00:04.32 ID:prEKoM6ai
サトシ34歳スレと関係あると思って
このスレを開いた奴は俺だけじゃないはずだ
24ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 07:47:42.09 ID:dBeCKbbP0
つ続きを、
25ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 07:50:57.66 ID:G0RQJlw4O
おはよう
まだスレのこってるとは思わなかった
これから数時間仕事にでますが帰ったらパソコンからやるよ
ぶっつけだけどもう少しだけ付き合ってくだぱい
26ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 08:05:22.33 ID:i4saJaP1O
よーしwktkしながら待ってるZE☆
27ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 11:10:27.09 ID:pVNpATA1O
できれば鳥つけてくれ
28ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 12:45:25.10 ID:aeVfYD/g0
待ってるから
29 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/14(水) 13:08:57.06 ID:HwVVr/RV0
>>1です
帰ってきました。トリップできてるかな…
30 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/14(水) 13:48:44.70 ID:HwVVr/RV0
サトシ「ハルカの結婚式は予定じゃこの春と言ってたよなぁ…」

この春。つまりあと2〜3ヶ月後にハルカは『お嫁』に行くらしい。
『お嫁』に行くと『夫婦』になるそうだ。
今まで妹のように思っていたハルカ。そうなってしまうと少し寂しい気もする。
そういえば、今朝ハルカとシュウから連絡をもらったときには結婚なんて
よく分からなかったから、祝いの言葉もろくにかけられなかった。

サトシ「よーし、こうなったらハルカにもう一度電話して祝いの言葉をかけよう!」

朝からいくつも電話をかけてきた俺に躊躇はない。
すばやく受話器を再び取ると、ハルカが電話をかけてきた…トウカジムの番号を押した。
31 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/14(水) 13:57:55.62 ID:HwVVr/RV0
プルル プルル
センリ『はいこちらトウカジムの…』
サトシ「センリさんこんにちは。お久しぶりですサトシです」
センリ『サトシ君か!…悪いが今ハルカは買い物に出かけていてね』

すると、テレビ画面の向こう側からシュウが顔を出した。

シュウ『お義父さんどうかしましたか…』
センリ『ああ君か。今丁度サトシ君から電話がきたところなんだ』
サトシ「もう一度お祝いが言いたかったんだ」
シュウ『そうだったのか…お義父さん、僕が替わります』
センリ『では私はマサトとジムの方へ行ってくるよ』
32 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/14(水) 14:12:29.72 ID:HwVVr/RV0

サトシ「こうしてシュウと話すのも滅多に無いな」
シュウ『そうだね。…何だか不思議な感覚だよ』
サトシ「会って一緒に酒でも飲めればいいんだけどなぁ」
シュウ『生憎まだ未成年なものでね』
サトシ「…不思議なもんだなぁ。此所だけの話、俺結婚って言うのがよく分からなかったんだ」
シュウ『本当かい?』
サトシ「ハルカには言わないでくれよ。今朝の段階では頭がハテナだったんだ」
シュウ『それは…凄く君らしいね。今はもう大丈夫かい?』
サトシ「此所に電話するまでに、色んな奴から話を聞いてちゃんと覚えてきたんだ…それでもう一度ちゃんと祝いの言葉をかけたくて」
シュウ『それを聞いたらハルカも喜ぶと思うよ。…でもさっき出かけたから当分は帰ってこないな』
サトシ「そっか」
33ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 16:58:40.97 ID:W3rjSCWp0
>>23
うむ、たしかに
34ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 19:50:06.91 ID:Nl7uQtItO
支援
35ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 21:33:17.78 ID:mMBpk8mL0
支援
36ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/14(水) 23:58:36.74 ID:G0RQJlw4O

それじゃあまたかけるよ。
そう言いかけて、ふと画面の向こうを見る。
部屋の奥ではジムに繋がっているのか、センリさんと見覚えのある少年が映っていた。

サトシ「あの後ろ姿は…マサトか?」

ハルカが妹の様な存在なら、マサトもまた弟のような存在。
成長期真っ只中のマサトは数年前に別れた時以来、ずっと大人びて見えた。

シュウ『ああ、奥でセンリさんとバトルをしてる。…彼随分背が高くなったよ』
サトシ「みんな変わるもんだよなぁ」
シュウ『君は…全く変わらないね』
サトシ「よく言われるんだ、これが。成長して無いともね」

少し自虐的に笑うと、シュウも画面の向こうで苦笑いを返す。
シュウは俺よりずっと年下なのに、こんな大人びた表情を見せるんだ。

サトシ「そりゃあハルカも好きになるよなぁ」
シュウ『…僕も正直に言うとね、』

37ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 00:09:45.10 ID:Qds/pfgRO
シュウ『焦ってたんだ、僕』
サトシ「……焦る?」
シュウ『君にハルカを奪われないか。内心ひやひやしてたんだ』
サトシ「俺がハルカを奪う何て事する訳ないだろ」
シュウ『まぁ僕の思い過ごしだったんだけど』
サトシ「そうか…」
シュウ『結婚の事も、これからの事も…後悔はしてないつもりだよ』

今度は、シュウが自虐的な笑みをする番だった。
でも、俺は笑い返す事が出来ない。

凄いんだ。
人を好きになるって事は本当に凄いんだ。
ハルカはシュウを好きになって正解だ。
きっとシュウ以上にハルカを好きになる奴なんかいない。
二人は幸せなんだ。

俺は暫く電話の前で放心状態になる。
俺は、いままでこんな風に人を好きになったことがあるんだろうか。
勿論、好きな人は沢山いる。それこそ世界中のみんなが。
それでも、この二人の様な存在が俺にいるのだろうか?

38ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 00:19:49.90 ID:Qds/pfgRO
シュウ『…どうかしたかい?』
サトシ「いや…何でもないよ。大丈夫」

側で俺達の会話を聞いていたピカチュウが心配そうに覗き込む。
「大丈夫だよ」と頭を撫でると気持ち良さそうに目を閉じた。

サトシ「じゃあシュウ…また電話するよ」
シュウ『ハルカが帰って来たら、君の事を伝えておくよ』
サトシ「ああよろしくな」

電話を切った。
さっきまでトウカジムを映していた画面は真っ黒になり、代わりに自分の顔が反射する。

サトシ「オジサンになったのかな、俺」

本当、らしくない。

39ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 00:35:16.63 ID:yWF6W56/O
ω・`)
40ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 03:02:36.31 ID:VH69Iod/i
支援
41ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 11:59:49.30 ID:P8Vibv4Di
>>6 しえん
42ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 12:08:48.08 ID:yPpCaahg0
これだからポケモンSSスレはやめられない
支援
43ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 12:56:24.87 ID:0yRf/sMy0
支援
44 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/15(木) 14:30:10.52 ID:yQjEBrfx0

春が近付いてきた。

タケシ「まさかあのときサトシが結婚を理解して無かったとはなぁ」
カスミ「ほーんと!私ちょっと呆れ返っちゃった」
サトシ「もう良いだろ、その話は!」

俺達三人は久しぶりにタマムシシティへと集まっていた。
大きなデパートのあるこの街ならきっとあると思っていたのだ。
三人から、ハルカへ贈り物。
案の定俺は、数ヶ月前のあの電話の事で先程からタケシやカスミにからかわれていた。

サトシ「それにしても、タケシ良いのか?子供を置いてきて…」
タケシ「ああ、俺に似て長男はしっかりしてるからな。少しくらいは任せても平気だろう」
カスミ「言うわねぇ。…でもタケシの子供ってみんなそんな感じがするわ」
45 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/15(木) 14:41:00.76 ID:yQjEBrfx0

タケシ「…と、此所まで来て何だが、俺はハルカへのプレゼントがイマイチ思いつかないんだ」
サトシ「俺も俺も。やっぱりここは同性のカスミに…」
カスミ「もう、だらしないわね!」
サトシ「だって俺には何を送ったら良いかさっぱり見当もつかないぜ」
カスミ「一緒に旅をして一番仲が良かったのはあんたじゃないの?…ハルカの好きな物とか色とか…」
サトシ「好きな物…色……ハルカはやっぱり食べ物が好きかなぁ色はやっぱり赤とか」
カスミ「食べ物…赤…なんだかサトシそっくりよね」
タケシ「似たもの同士だったからなぁ」
カスミ「とりあえず、中に入って色々見てみましょうよ」

そうして、俺たちはデパートの自動ドアをくぐっていった。

46 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/15(木) 14:53:21.47 ID:yQjEBrfx0

サトシ「なあカスミ…もう良いだろ?他に移ろうぜ」
カスミ「ちょっと待ってよ。あと少しだけ…これなんてどうかしら?」

デパート内の一角にある雑貨店。
此所には小さな小物からお金がかかりそうな代物が淡い照明に照らされていた。
俺が早くこの店から出たいと思っているのは一重に、
店中がハートやピンクで飾られた、いかにも『女の子』な雰囲気に圧倒されていたのだ。

カスミ「あ、これも可愛い」
サトシ「全部カスミの好みじゃんか…」
カスミ「女の子はみんなこういうのが好きって相場が決まってんのよ!」

もう女の子なんて歳でもないくせに、と聞こえないくらいの音量で囁くと、
こっそりと後ろでタケシが笑っていた。

47 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/15(木) 15:07:59.75 ID:yQjEBrfx0
サトシ「此所にヒカリでもいればすぐ決まってたのかなぁ」
タケシ「いや…きっとカスミと一緒にはしゃいでただろうな」

女はどの年代も、その手のものが大好きなんだ。
タケシがそう呟くとなるほどなと自然に思えてきた。
流石タケシ。女心って言うのを良く分かってる…んだろう。

カスミ「私、こういうのが良いと思ったんだけど」

カスミが手に持っていたのは、色とりどりの布や刺繍糸。

サトシ「それを全部買ってどうするんだ?」
カスミ「つくろうと思って、これ」

そして指さしたのはエネコやヒメグマの形をしたぬいぐるみが載っている冊子。
カスミの手に持っているものでも簡単に創れそうだった。

サトシ「これを…つくるのか?」
カスミ「そう。私達でよ!…タケシ、教えてくれる?」
タケシ「手作り…なかなかいいな。ハルカもきっと喜ぶよ」

48 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/15(木) 15:34:11.60 ID:yQjEBrfx0
かくして、その日から俺たちのぬいぐるみ製作が始まった。
いつからか、そう言う集まりは大抵マサラタウンの俺の自宅でやると決まっている。
ハルカの結婚式まであと数週間しかない。
簡単だとは行っても裁縫が素人の俺とカスミは、急ピッチで作業を進めた。

サトシ「結構楽しいな、これ」
タケシ「だろ?俺、裁縫をしていると心が安らぐんだ」
サトシ「昔からタケシは裁縫得意だもんなぁ」

49ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 16:08:08.87 ID:6SyErasNO
裁縫ーン
ってなw
50ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 16:13:44.66 ID:5Lv210FrO
>>49
51ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 17:29:33.08 ID:9Cy/3D95O
>>49
・・・・・・
52ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 17:35:11.32 ID:6pMYA9chO
>>49
うわ…
53ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 17:42:22.43 ID:eRKPaOTs0
>>49
・・・・・・?

54ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 18:22:33.81 ID:NIqQbE4z0
>>49
あーあ・・・



スレ支援
55ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 18:34:28.47 ID:Qds/pfgRO
>>49
強くイキロ
お前のそう言うところ、嫌いじゃないぜ…
と言うわけでいただき裁縫ーン

-------


三人で、黙々と作業をしていると、後ろから声がかかった。

オーキド「サイホーンが裁縫して裁縫ーン…ってのう」
サトシ「オーキド博士!」
オーキド「ふむ。なかなか頑張っているようじゃのう」
カスミ「どうして此処に?」
オーキド「ママさんから、サトシ達が頑張ってると聞いて様子を見に来たんじゃ…進み具合はどうかの?」
タケシ「まだ布を裁断したところまで何です。もう少し時間はかかりますが、式には間に合いそうです」

オーキド博士は、一度俺達の作りかけのぬいぐるみを一瞥すると、またふむと言って頷いた。

オーキド「大切なのは、心を込めてつくる事じゃ。…そうすれば、ハルカくんにもきっと君達の優しさが伝わるじゃろう」
サトシ「オーキド博士…」
オーキド「いくつになっても衰えない友情とは良いものじゃぞ。では、頑張ってな」
サトシ「はい!頑張ります!」

オーキド博士はそのままリビングの方へ出ていった。奥から母さんの声が聞こえてくる。
きっと、今夜はオーキド博士にも夕飯をご馳走するんだろう。

サトシ「そう言えば腹減ったなぁ」

56ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 20:25:09.27 ID:Mvf1dwGt0
しえん
57ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/15(木) 22:35:55.02 ID:Qds/pfgRO

俺の呟きを聞き付けたかの様に母さんが顔を出す。

ハナコ「サトシ、ご飯が出来たわよ!…タケシ君カスミちゃんもどうぞ一緒に食べて行ってね」
カスミ「ご馳走になります」
タケシ「言って下さればお手伝いしましたのに…すみません」
ハナコ「良いのよ。タケシ君何時もは沢山の子供達の世話をしてるんでしょう?大変だものね、子育てって」
サトシ「そうだ!タケシの子供達…夕飯まで大丈夫なのか?」
タケシ「ああ。さっき言ったように最近は長男がしっかりしててね。実は家事もそれほど大変じゃなくなったんだよ…兄弟の世話もあいつなら大丈夫だな」
カスミ「本当凄いわ、しっかりしてるって言うよりまるで第2のお父さんね」
サトシ「いざとなったらタケシの弟妹も頼れるしなぁ」
カスミ「タケシの家系は凄いのね。…色んな意味で」

そこまで話して、俺の腹が音を立てたので皆で食卓につくことになった。
オーキド博士も勿論椅子に座っている。
ケンジやシゲルは研究が忙しいらしく今日は研究所から出られないみたいだった。
58ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 19:03:36.53 ID:4vEKM4wN0
支援
59ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 22:04:06.37 ID:/LMMAWImO
久しぶりに大人数で囲む食卓は何時もより賑やかで母さんも楽しそうだった。
食事も終盤に差し掛かった頃、母さんはぽつりとこう呟いた。

ハナコ「あと何年こうして皆で囲んで食事をする事が出来るのかしらねぇ」
サトシ「何だよ母さん急に…」
ハナコ「だって、サトシは何時も旅に出ていて家を留守にしてばかり居るし、そのうちカスミちゃんもお嫁にいっちゃうでしょうしねぇ。それに、タケシ君なんて一家の長なんだから…」
タケシ「お母さん、今はそんな話は止めにしましょうよ。…それに、俺達はどんなに離れてても、何年経っても必ずこうしていると思いますよ」
カスミ「そ、そうですよ!私達はいつだって自然と此処に集まるようになっちゃうんです。…お嫁にだって、行く予定何か無いし」
ハナコ「タケシ君…カスミちゃん…ありがとう」

母さんは知らずに微笑みながら涙を流していた。嫌だわ、とナフキンで涙をふきとる母さんは、数年前よりずっと小さく見えた。

そうか、母さんは寂しかったんだ。

もう20年以上も帰らない夫に、旅ばかりで連絡も途絶えがちな息子。
この広い家に住んでいるのは母さん一人だけ。
俺はとんでもない親不幸者の息子なんだと、今更になって痛いほど感じた。
60ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 22:26:36.05 ID:/LMMAWImO


サトシ「なんか俺って本当にガキだよな」

食事が終わって、一通りの片付けが済んだ頃。
作業の続きをしようと再び俺の部屋に入った途端、急に身体中の力が抜けて滅多に使われないベッドに倒れ込んだ。

タケシ「サトシ…」
サトシ「俺ばっかり子供なんだ。みんな大人になってるんだ」
カスミ「さっきの…ハナコさんの話、でしょ」
サトシ「知らない間にハルカとシュウは結婚する事になってた」
カスミ「二人は前から仲が良かったじゃない…」
サトシ「マサトがな、大分背が高くなって後ろ姿じゃもう殆んど昔の面影何か無いんだぜ」
カスミ「成長期、なんでしょ。あんただって…」
サトシ「今日の母さんの顔、見ただろ?あんな表情させたの、俺なんだぜ。酷い息子だよな、何時までも夢ばかり追いかけて……」

パシッ

ベッドに仰向けになって仰ぐと、頬に鋭い痛みを感じた。

カスミ「あんたいい加減にしなさいよね!…ふっざけんじゃないわよ!」

頬がひりひりする。
きついビンタだった。
カスミに殴られるのは何回…いや、何年ぶりだろう。

タケシ「カスミ、落ち着けよ…」
カスミ「嫌よ!離して!」
タケシ「サトシだって悩んでる時期なんだよ!頼むから落ち着いてくれ!!」
カスミ「何が悩んでる時期、よ!ただの馬鹿よこいつは!!そもそも悩むなんてらしくないのよサトシは…サトシはっ…!」
タケシ「カスミ!!」

カスミが床に崩れ落ちる。

カスミ「…あんた今まで自分のやりたい事信じてやってきたじゃないのよ…」
サトシ「……」
カスミ「だから、あたしとも…タケシ、ハルカ、マサト…色んな人に出会えたんじゃないの?ハナコさんは、そうやって成長していくサトシを誰よりも見守ってきてくれてたのよ、なのに…なのに…馬鹿…」
サトシ「………ごめん」
61ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 22:32:15.50 ID:Ik3h/3j8O
支援
62ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 22:54:26.81 ID:/LMMAWImO

階下から物音が聞こえてくる。
母さんやオーキド博士がこの騒ぎに気付いてしまったのか、いや…気付いたんだろう。

サトシ「俺は馬鹿なんだよ」
カスミ「…しってるわ」

タケシは、カスミの肩に手を置いて階下の物音に耳を傾けている。
そして、やがてそれが静かになった頃にゆっくりと口を開いた。

タケシ「俺たちは、まだ旅の途中なんだ」

やけに重々しいその口調。
昔からタケシのこの話し方には特徴がある。俺もカスミもその声に引き込まれる様にタケシの方を向いた。

カスミ「…どういうこと?」

カスミも赤くなった瞳でタケシにそう質問する。

タケシ「長い長い人生の、旅の途中って事だよ。…結婚がゴールじゃない。身体が成長する事でゴールする訳じゃない。そうだろ?」
サトシ「……でもさ、俺はひとつも大人になれてやしないんだ」
タケシ「俺だって大人なんかじゃないさ」
サトシ「まさか、」

タケシはいつだって俺達の頼りになる存在で、
10歳の頃から、タケシは大人だと…ずっとそう思ってきた。

タケシ「そうだよ。まだまだ大人になりきれてないんだ。子育てにも悩んでるしジムのこともある……現に、こうして育児放棄してる悪いやつだ。何かと長男に頼ってる…俺だって昔親父に全てを任された苦労をわかっているはずなのに。息子に頼ってる」
カスミ「タケシはずっと頑張ってきたじゃない」
タケシ「カスミだってそうだろ?…サトシだってそうだ。みんな何かを頑張って頑張って…大人になるんだ」
サトシ「俺、頑張れてるのかなぁ」
タケシ「少なくとも俺から見れば、な。…いや、みんなだってそう思ってるよ」
サトシ「そっ、か」
タケシ「今はまだ悩んでる途中だけど。それを乗り越える事が…昔の様なサトシがみられる事をカスミも望んでいるんじゃないのか」
カスミ「そう…そうね。悩んでるサトシなんか見たくないもの」

63ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/16(金) 23:18:45.21 ID:/LMMAWImO
サトシ「…ありがとう。タケシ、カスミ」

胸が軽くなったかのようにベッドから起き上がる。
ぐずぐずとしてる様が馬鹿みたいだった。
そうだよな、悩むなんて俺らしくない。
ならばやるべき事をやろうと思った。

サトシ「…よし!じゃあぬいぐるみ製作の続きをやろうぜ!」
カスミ「…と言いたいところだけどねサトシ。もうこんな時間なのよ」
タケシ「本当だ。もう10時をまわろうと……家に戻らなきゃな」
サトシ「長く引き留めてごめんな」
タケシ「いや…元気が戻ってきたみたいで良かった。それじゃあ俺は先に失礼するよ。また連絡する」
カスミ「色々教えてくれてありがとう。製作頑張りましょうね」
サトシ「…おやすみタケシ!」

玄関口までタケシを見送って扉を閉める。
鍵をかけて、ふと気付いた。

サトシ「カスミ、タケシと一緒に帰らなくて良かったのか?」

ずいぶんと普通に一緒にいたから気付かなかった。
仮にもカスミは『女の子』であるので夜道の一人歩きは大変であろう。
まさか俺がハナダまで送る事になるのかと近くにかけてある上着を手にとろうとした。

カスミ「私は良いのよ。…今日はお泊まりするの。さっき食器を一緒に洗ってる時にハナコさんから誘われたんだ」
サトシ「別に良いけど…また俺のベッドを使うのか?」
カスミ「ううん、今日はハナコさんの部屋で。…一緒に寝ましょうって」
サトシ「そうか…母さんよろこぶよ」

それほど母さんは寂しかったんだな。

64ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 07:52:09.56 ID:uyiE2CkFO
試演

頑張って〜
65ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 08:22:14.20 ID:NRO9yc/0O
ハナコ「カスミちゃん、お風呂にしましょう。…サトシも早く寝る支度をしなさいね」
カスミ「はいお母さん」
サトシ「わかったよ母さん」

カスミは母さんと風呂に入りに奥へ戻った。
俺はそのまま自室に戻るために階段を登る。
部屋のテーブルには、つくりかけの生地や裁縫道具がタケシが持ち帰った分を除いてそのままで残っていた。

明るいオレンジの生地を手にとって黙々と作業を再開する。

部屋のどこからか、ピカチュウが出てきて俺の足にすりよってきた。
俺達が喧嘩していた間、ずっとこうして隠れていたのだろうか。

サトシ「驚かせてごめん、ピカチュウ」
ピカチュウ「チャア」

俺はピカチュウにも心配されていたみたいだった。
針山に針を刺してピカチュウの頭を撫でると、ピカチュウは気持ち良さそうにそのまま寝入ってしまう。
最近、ピカチュウは寝る事が多くなってきたようだ。
俺の膝元じゃあかたいだろうとそっとピカチュウをベッドの上に移す。
上下に小さく揺れ、寝息をたてるピカチュウを見ていると心が安らんだ。

66ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 08:45:31.42 ID:NRO9yc/0O

コンコン

カスミ『サトシ…部屋に入って良い?』
サトシ「良いよ」

しばらくして、カスミが風呂からあがってきたようだった。
控えめなノック音の後、カスミの声がする。
俺は再び作業を中断すると立ち上がって扉を開けた。

カスミ「やっぱり、やってたわね」
サトシ「ああ、ハルカの結婚式にまでに間に合わせなきゃいけないしな」
カスミ「そうよ。…でも今は休んだ方が良いんじゃない?目が疲れて隈になってるわよ」
サトシ「でも一番作業が遅れてるのは俺だし…」
カスミ「そんなのまだ大丈夫よ!寝たら良いじゃない。あんた、隈だらけのその顔を引きずったままハルカの結婚式に出るつもりなの?」
サトシ「……わかったよ。全くカスミは昔から節介焼きだよなあ」
カスミ「いいから寝るのよ」
サトシ「わかってるってば」

カスミ「それじゃあ私ももう寝るから。じゃあね」
サトシ「ああ…おやすみ」

カスミが階段をトントンと降りていくのを見届けて俺は扉を閉める。
カスミの言う通り、俺も寝ようと大きく伸びをすると、長時間同じ姿勢を続けてた為か腰がボキバキと音をたてた。

サトシ「あー…オジサンくさいなやっぱ」

目が疲れているのも事実だ。
俺はピカチュウを起こさない様にゆっくりと布団に潜り込み、そのまま眠りについた。

67ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 09:20:47.26 ID:NRO9yc/0O

夢を見ている。

それは、8年も昔の夢だった。
ホウエン地方に初めて足を踏み入れた16歳の俺。
女の子の自転車を見事に壊してしまった。
それでも、俺を怒る事もなくすんなりと許してしまった女の子。
それが、ハルカ。
ハルカは最初こそ自分のやりたい事さえわからずに旅を続けていたが、コーディネーターになると決めてからはトレーナーとしても、コーディネーターとしても着々と力をつけてきた。
食べる事が好きで、負けず嫌いで、目が離せないところもある妹みたいな存在。
それでもたまに見せる弟への『お姉さん』の表情。

そんなハルカに周囲の人間は惹かれていった…





サトシ「まだこんな時間か…」

目が覚めて、ベッド脇の時計を見てもまだ夜中の3時をまわったところだった。
何故かとても懐かしい夢をみていた気がする。
ググ…と伸びをするとテーブルの上に作業途中の布の切れ端が見えた。
目が冴えてしまったし、どうせならと布を手に取って作業をはじめるか。

俺は、一針一針を丁寧に、ゆっくりを心掛けて布を縫い合わせていった。
もちろん、心を込めて。
68ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 11:19:40.48 ID:ze5rCpXoO
良スレだな

支援
69ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 13:38:20.17 ID:gBuQfgTV0
ほほっしゅ
70ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 16:26:37.88 ID:NRO9yc/0O

ちくちく…

それは時計の針の音か、針が布を貫通する時の感覚か。
ふと窓の外を見るともう日の出の時間帯だった。
暗い空がゆっくり、ゆっくりと明るいオレンジ色の光に包まれていく。

サトシ「目が痛いや…」

結局、ろくに寝る事も無いままずっと作業をしていたのだ。
顔を洗って気分をすっきりさせよう。
たとえ気休めでも、少なくとも気分転換にはなる筈だった。

階下の母さんやカスミを起こさないようにゆっくりと階段を降りる。
廊下を進んで洗面所に入ると明け方のぼんやりした光の中、何とも酷い顔が鏡に映っていた。
目には濃い隈、髭も無造作に生えて髪もボサボサになっている。

サトシ「うわ…これはまたカスミに怒られるな」

髭を剃って顔を洗ってしまおうと、洗面台を見渡すが髭剃りが見付からない。
良く考えれば、この家には母さん一人で住んでいるようなものだからそんな物がある訳なかった。
普段使っている髭剃りは旅用のリュックサックにしまったままだった。取りに行く手間はかかるが、この酷い顔を何とかしなければまたとやかく言われるだろう。

俺はまたひっそりと廊下を歩いて自室へと戻る事にした。


71ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 16:32:46.85 ID:nW7hP5qQ0
地味に応援してるぜ 頑張れよ
72ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 18:27:49.22 ID:JTTHElkf0
ホッシュドポテト
73ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 19:55:30.18 ID:YGh7/oTGO
今更あれだけど
サトシは母親のことママって呼んでるよ

紫煙
74ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 20:00:22.54 ID:xHd4wUT70
>>73
24になってママは流石にないだろう
呼び方の変化で歳とったってことを感じるんだ
75ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 20:02:25.56 ID:qpqMDAAA0
>>74
>>呼び方の変化で

たぶんイントネーションが変わったんよ!!!
76ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 21:20:29.49 ID:wXmAC61yO
私怨♪
77ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 21:45:29.84 ID:NRO9yc/0O
>>1です

>>73
一応24歳って事だから『ママ』呼びを『母さん』に変えました。
ハナコさんとサトシが
『もう昔みたいにママって呼ばないのね』
『もう子供じゃないんだから…』
みたいな感じの会話をさせようかと思ったけどそのままスルーして母さん呼びにしちゃいました。

最初ギャグ意識してたのにシリアスやっちゃったりとまぁグダグダですが
まだ続ける気満々なんで
気が向いた時にでも覗きにきてやってくだぱい
78ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/17(土) 23:43:53.84 ID:WPrDnZZHi
支援
79ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 06:41:03.01 ID:PR3hZhUE0
支援
80ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 08:42:21.09 ID:ki90pIIQ0
しえん
81ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 10:13:14.98 ID:LpYfiXfUO

自室に戻ってリュックサックを漁ると、底の方から無造作に置いてある髭剃りを見つけた。
刃が剥き出しで入ってた。危ない。
しかも、リュックサックの中はかなり汚れている。
男一人旅だと、こうした細かいところがどんどん駄目になるなぁと、心の片隅で思う反面、これを綺麗にする労力を思うとまた面倒臭いと思うのも事実だった。

サトシ「…いいや、まるごと持って行っちゃえ」

洗面所には洗濯機も洗剤も揃って居るしついでに全部洗ってしまえば一件落着だ。
母さんに洗濯を頼むのも良いが今までかけた苦労を思うと息子と言えども頼むのは忍びないと思った。
背中にリュックを背負い、左手には髭剃りを持ち。

再び、薄暗い廊下をゆっくりと進む。
音も立てずに洗面所の扉を開けると……そこには、カスミが居た。


82ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 10:45:26.93 ID:LpYfiXfUO
カスミは、まだ俺の方に気付いて居ないのか洗面台の前に立ち、黙って鏡を見ている。
こちらに気付く前に扉を閉めようとゆっくり後退すると、

ガツッ

後ろ脚で洗濯籠を蹴ってしまった。
カスミが物音に気付いて振り向く…

カスミ「…?……きゃあああああああああ!」
サトシ「待って!カスミ!!俺だから俺!!」
カスミ「きゃー!来ないでー!」
サトシ「カスミィ!」

振り向けば髭面で刃物を持つ男。
カスミは悲鳴をあげた。

慌てて手を上げて俺だと言う事をアピールしようとしたが、右手には髭剃り。
剥き出しの刃が恐ろしく光り、
かえって恐怖を助長させてしまった。
髭剃りを床に放り投げ、もう何も持っていないと両手を広げる。

サトシ「大丈夫!大丈夫だからカスミ!!俺だよ…マサラタウンのサトシだよ!」
カスミ「いやぁ!きゃああああ!」
サトシ「起きる、起きちゃう!母さんが起きちゃうぅぅ!」
カスミ「ひゃあああああ!」
サトシ「静かにッ…」

カスミは完全なパニックに陥って
目の前の俺の言葉も全く耳に入らないらしい。
当の俺も一体どうしたら良いのかと戸惑って大声を出してしまったが、
またそれがカスミの恐怖を煽る結果になっていた。

サトシ「…少し黙れってば!!!」
カスミ「ひっ…!」

へなへなとカスミは床に崩れ落ちる。
慌てて俺もしゃがんでカスミを支えようとしたがぐったりした表情とは別に、低い声が洗面所に響いた。

カスミ「サトシ…だったのね……」
サトシ「お、おう」
カスミ「そんな顔して凶器持って出てくるからどこの変質者かと思ったじゃないの!…この馬鹿!」
サトシ「うわーカスミごめん、ごめんって!」
カスミ「ふぇーん!」
83ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 14:08:01.24 ID:O9rRM/5bi
つC
84ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 18:42:19.20 ID:ZmGYfXNQ0
85ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/18(日) 22:24:52.81 ID:l7lUXOupO
86ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 00:11:04.93 ID:qvt8/dCZO


サトシ「いいよ!そんなの俺がやるから!」
カスミ「良いからあんたはその顔を何とかしなさい!」

結局事の経緯を大まかに話すと、カスミはきつい目で俺をひとにらみした。
そして落ちつきを取り戻したと思ったらいきなり立ち上がり、リュックサックを逆さまにして中身を抜き出すと、
中身共々ざばざばと豪快に洗い出したのだ。
俺がやると主張しても逆らえない。怖い。
仕方無く、俺はカスミの隣に立って髭剃りに徹する事にした。

カスミ「ずいぶん汚れてるわね、この鞄…何年使ってるの?」
サトシ「それ自体は去年新調したばっかりなんだけど…旅をしてて色々詰めるものもあるだろ?」
カスミ「何入れてたの?」
サトシ「なんでも突っ込んだからなぁ。あ、このシミは木の実をそのまま入れたら中で潰れちゃって」
カスミ「その都度洗うなり何なりしなさいよね!…これは?」
サトシ「なんだろうそれ」

呆れた顔をしながらも、カスミはごしごしと力強く洗って行く。
一見乱雑そうに見えて案外丁寧に洗っていた。






カスミ「これでよしっと!なかなか綺麗になったでしょ」
サトシ「おっ本当だ。サンキューカスミ!」

水をぎゅっと絞り、パンと音を響かせてリュックサックを広げると
見事に買った時そのものの綺麗な姿がそこにあった。
俺も髭を剃り、顔も洗って一層すっきりしたところだ。

勢い良く伸びをして「爽快爽快!」と仰ぐと、カスミがひとつ欠伸をした。

カスミ「なーんか私疲れちゃったわ…朝一番に嫌なもの見ちゃったし」
サトシ「だから悪かったって…でも最初にカスミが勘違いしたからだな」
カスミ「ま、そうね。私も悪かったわ」


話もそこそこ、切り上げたところで俺は重大な失敗をしている事に気付いた。
87ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 00:13:41.04 ID:SnDPz+07i
北か
88ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 00:41:39.25 ID:1KYwKHML0
お 支援。楽しみにしてるぞ
89ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 01:00:21.40 ID:qvt8/dCZO

サトシ「母さん…起きちゃう…」
カスミ「あ…」

今更。
朝っぱらからあれだけ騒いでしまったのだ。
母さんが寝入ったままと言うのは無いだろう。
とにかく、俺は様子を見るために寝室を覗きに行くことにした。

コン…コン

サトシ「母さー…ん…?」
ハナコ「おはようサトシ」

緩くノックをして寝室を覗くと、生憎母さんは既に起きてベッドに腰掛けていた。

サトシ「お、起きてたんだ…」
ハナコ「ええ。二人とも元気ねえ。カスミちゃんが来ると賑やかで良いわ」
サトシ「うわ…母さんごめん。騒がしくて」
ハナコ「良いのよ。こんなに目覚めが良いのは何時以来かしら。やっぱり家に誰かが居るって言うのは良いわね」

そう母さんは晴れやかな笑顔でこちらを向くと、すっと立って俺の居るところまで歩いて来た。

ハナコ「まぁ酷い隈。おじさんみたいになってるわよ。…髭は上手く剃れたみたいだけどね。今度髭剃りを用意しとくわね」

俺がどんなに誤魔化そうとしても母さんにはお見通し。
きっと、朝の事から何まで母さんは知っているんだ。

サトシ「はは…」
ハナコ「そろそろお腹が空いたわ。ご飯にしましょうか」
サトシ「それは、もうカスミがキッチンにたってるよ。…でも腹へったなぁ」

ぐう、と都合の良い俺の腹がなると母さんはくすくす笑ってさあ行きましょうと促した。

ハナコ「あ、そうそうサトシ」
サトシ「?」
ハナコ「お母さんはね、サトシが無事で居ればあとは何も心配する事なんて無いのよ」
サトシ「…母さん…」
ハナコ「だから、詰まらない事で悩んだり小さい事を気にするんじゃないの。母さんはそんな子に育てた覚えは無いわ」
サトシ「…うん。ありがとう母さん」
ハナコ「さあ朝食よ。他の人が作る料理を食べるのは久しぶり!」

そうして俺と母さんは朝食のテーブルへと着いた。
意外にも、カスミの料理はちゃんとしていて昔よりもずっとずっと美味しかった。
母さんはずっと上機嫌で俺とカスミは母さんの指導を受けつつ、午前中いっぱいはぬいぐるみの作業を続けたのだった。

90ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 01:19:14.41 ID:qvt8/dCZO

午後、タケシから電話があった。

タケシ『…と言うわけでしばらくはそっちに行けそうも無いんだ。ジムや家事の用事が重なっちゃって』
サトシ「そうか…大変だな。大丈夫だよ、こっちも母さんの指導が入ってぬいぐるみ製作も順調だ」
タケシ『悪いな。俺も、自分の分はちゃんと進めておくよ』
サトシ「タケシは作業を進めるのが早いからなぁ…俺達より早く完成しそうだ」
タケシ『はは、お前も目に隈ができてるぞ。実はかなり頑張ってるな?』
サトシ「ばれたか。ハルカの結婚式を思うと早くやろうと夜中も目覚めるみたいなんだ」
タケシ『なかなかのお兄さんぶりじゃないか。じゃあ…俺はこれから仕事だ。程々に休めよ』
サトシ「ああ、タケシもな。…じゃあな!」

タケシは用事があってしばらく俺達とは一緒に居られないらしい。
普段から忙しい身を俺達の為だけに使ってくれた事は、珍しい事だったのだ。

電話を切ってリビングに戻ると、見知った顔があった。

サトシ「…ヒカリ!?」
ヒカリ「久しぶり、サトシ!」

だいぶ古くなったリビングのソファーにちょこんと腰かけている女の子。
それは、紛れもなくヒカリだった。
どうやら俺がタケシと電話している間に訪問してきたらしい。

ヒカリ「ハルカの結婚式がホウエンであるじゃない?シンオウからじゃ遠いからカントーに暫く滞在しようかなぁって思ってたらサトシがマサラタウンにかえって来てるって聞いて…来ちゃったの」
サトシ「なんだ、そうだったのか!良いぜ、いくらでも泊まっていけよ!」
ハナコ「ヒカリちゃんも増えると更に賑やかになるわぁ」

91ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 01:50:33.12 ID:qvt8/dCZO

ヒカリ「ええー?サトシ達こんなの作ってるの!?凄い!!」

ヒカリは先程から俺達の作っているぬいぐるみやまだ未成作部分を何度も感嘆の眼差しで見まわしている。
俺が裁縫をするなんて珍しいと同じ質問を繰り返す。

サトシ「まぁやろうと提案したのはカスミだけどさ。なかなか上手く出来てるだろ?……ハルカこれで喜ぶかな?」
ヒカリ「さっすがカスミ!その提案は絶対良いわ。こんな素敵なもの貰ったら誰だって喜ぶわよ!勿論、ハルカだって!」

そうしてまたヒカリはぬいぐるみを何度も何度も目で追い、俺達が作業している間は忙しなく目をキラキラ輝かせていた。

ハナコ「そう…でね、此処をこうすると…」
カスミ「なるほど!」
ヒカリ「素敵!」

ヒカリは裁縫、と言うよりぬいぐるみ製作に凄く興味津々だ。
カスミの横に座り、母さんの説明を聞きながら始終眺めている。
飽きないのか?と質問しても「ぜーんぜん!むしろすっごく楽しいわ!」とカスミの手元から目が離せないようだ。



暫くすると、俺のぬいぐるみ製作に形が見えてきた。
オレンジの生地が細かい作業を経て何とかポケモンの形に見える様になってきたのだ。

ヒカリ「わぁ…アチャモね!」
サトシ「わかるか?」
ヒカリ「うんうん。わかるわ!ハルカの手持ちを再現してるのね!じゃあカスミのは…ゴンベかな?」
カスミ「正解!…私達まだ初心者だから簡単なものしかつくれないけどね」
ヒカリ「ううん、それでも素敵!!……私、ハルカに何も用意してないの。何かプレゼントしたいなって思ってたんだけど…」

92ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 08:42:39.47 ID:XRpW8zbsO
支援しとく
93ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 10:39:46.23 ID:E/KQCudxP
今北がまだ読む勇気がない
サトシは24だからまだ普通だよな?
このSSははあ俺ぼっちだよ・・・じゃなくて、純粋に結婚てなんぞ?っていうSSだよな?
94ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 14:26:25.30 ID:QHQxC8QL0
このサトシはリア充だから安心して読め
95ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 14:46:27.38 ID:KKp6hnFJ0
何か荒んだ心が温まってくわ…

支援
96ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 17:10:17.86 ID:evdf/zqL0
なんとなく深いよな。支援b
97ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 17:40:19.91 ID:HaLR+C1cO
これはいいカスミ…
98ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 19:44:44.76 ID:qvt8/dCZO
ヒカリは、今シンオウでコンテスト開催地を転々としながらはじめての一人旅を頑張っている。
そんな中、ハルカの結婚報告があり、大好きな先輩の晴れ姿を一目でも見ようと一度も足を踏み入れた事の無いホウエンまで行こうとしていたのだ。
不安を感じる中、たった今プレゼントの事を思い出したのだろう。
さっきまでの輝かしい顔とは、逆に今度は押し黙ってしまった。

ヒカリ「どうしよう…」
ハナコ「ヒカリちゃん。ハルカちゃんは別にプレゼント何か用意して居なくてもヒカリちゃんが結婚式に来てくれるだけで十分嬉しいんじゃないかしら」
ヒカリ「で、でもハルカに私からも形に残るものとして何か送りたいんです」
カスミ「でも、結婚式はもうすぐだし…」

ヒカリは俯いてプレゼントを用意する事を考えなかった自分を責めているようだった。
俺も、何かいい案は無いかと頭を捻る。

サトシ「……そうだ!」

良い案…あるじゃないかと手をたたく。
ヒカリは不思議そうに俺を見詰めるがお構い無しにヒカリの耳にそっと案を囁く。
瞬間、弾けるようにヒカリは笑顔になると、

ヒカリ「ありがとうサトシ!私やってみる!!」

とソファーから立ち上がった。

カスミ「なになに?何を思い付いたの?」
サトシ「ちょっとな。俺達のぬいぐるみにちょっとした『仕上げ』をして貰おうと思って」
カスミ「仕上げ?」

カスミは未だ不思議そうにしていたがヒカリは勢い良く母さんの方へ振り向き、
ミシンや刺繍セットは使えるか聞いていた。

ハナコ「ええ、勿論そろって居るわ。…ヒカリちゃん、使い方わかるの?」
ヒカリ「…はい!ママと良く使っていたので。今からお借りして良いですか?」


そうして、リビングにはちくちくと針を通す音と、カタカタとミシンの音が加わり
俺達のプレゼント作りはラストスパートにはいった。

99ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 20:11:24.17 ID:T1nXNkeOO
試演試演
100ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/19(月) 22:16:50.20 ID:YMt9fInZ0
しえん
101ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 07:38:02.39 ID:7V7IImehO
   、〃"〃ッ
   ミ   彡
〜 Ξ  ゚д゚ ミ
   彡   ミ
   "〃、、〃゙
102ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 09:28:09.10 ID:NEsUC5JgO

ヒカリ「えっと…此処は…」
ハナコ「ヒカリちゃん刺繍も上手なのね」

ミシンをカタカタならし終わったと思えば、ヒカリはせっせと刺繍を始める。
彩り鮮やかな糸を手際良く布に通していく様に今度は俺達が感嘆する番だった。

サトシ「凄いぜヒカリ!これ全部アヤコさんに習ったのか?」
ヒカリ「う、うん。殆んどママのを見て覚えたみたいなものだけど…お裁縫とか刺繍とか、好きだからずっと見ていられるわ」

だからさっきもずっと俺達の手元を見ていたのか。
ヒカリは一度笑顔を向けると直ぐに刺繍の作業に戻ってしまう。
俺も、手元のぬいぐるみに目を落としてちくちくと針作業に戻っていった。



…皆が作業を進めて数時間が経つ頃。
今まで気付かなかったが目の疲れがピークに達したのか軽く目頭を押さえる。

カスミ「ちょっと休んだ方が良いんじゃない?」
ハナコ「そうね。隈が酷いのに無理してやることじゃないわ。…二階で横になってらっしゃい」

サトシ「でも、もう少しで完成だし…」

ハナコ「なら、もう休んでしまった方が良いのよ。時間が無いって訳じゃないんだから」

そう言われ、俺はぬいぐるみを机に置いて立ち上がる。
ヒカリが心配そうに顔を覗きこんできた。

ヒカリ「うわ、気付かなかったけど酷い隈だね…大丈夫?」
サトシ「大丈夫大丈夫」

でも、少しだけ横になって来るな。とリビングをでて階段を登った。
寝不足のせいか、少しだけふらふらする。

部屋に入ると、倒れ込む様に布団にダイブして、

そのまま意識は遠退いた。


103ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 12:46:51.79 ID:S9vgD9lJ0
しえ
104ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 14:30:35.43 ID:InmjD5ft0
支援
105ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 16:21:31.04 ID:WhEgxIP80
支援するぜ
106ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 17:37:25.44 ID:NEsUC5JgO



目が覚めると、気分がすっきりとし俺の腹がググ…と鳴る。
見れば、外はもう完全に日が沈んで暗い。
階下から良い匂いが漂って来て、思わず涎が溢れそうになった。

サトシ「おはよう…腹減っちゃった」
ヒカリ「あっサトシ起きてきたんだ!……寝癖ついてるよ?」

階段を降りると、リビングにはヒカリ一人がテーブルを拭いていた。
キッチンにはカスミと母さんが居るようだ。
ヒカリは精一杯背伸びをして俺の頭を撫で付けると、「これでよし!」と再び夕飯の準備をはじめる。

ハナコ「あら起きてきたのね。気分はどう?」
サトシ「うん、凄くすっきりしたよ」

それより腹減っちゃってさ…と皿に盛っている料理に目を落とすと、
「あっちで出来るまで待ってて!」
とカスミにキッチンを追い出されてしまった。

サトシ「味見位いいじゃんか」
カスミ「駄目よ!!」
ハナコ「あと少しだから待ってなさいね」
ヒカリ「サトシって昔から良く食べるものね…ご飯これくらいで良い?」

俺が黙って待たされる間、着々と夕飯は食卓に並べられる。
女が三人も居ると作業が早いのかいつもより早めの夕飯になる……つもりだった。


プルプル

廊下から電話がかかってきた音がする。
廊下に出ると、テレビ電話の画面が赤く光って着信を表していた。
画面の文字が表示していたのは『トウカジム』…ハルカが電話をかけてきたのかもしれないと受話器をとった。

サトシ「はい、もしもし…」
マサト「サトシ…」
サトシ「おお、マサトじゃないか!久しぶりだなぁ。…一体どうしたんだ?」

電話に出ると、意外にも相手はマサトであった。
成長して大人びた、それでいてまだ子供らしいマサトが画面に写し出される。
用件を訪ねても、言いにくそうに顔を伏せてまだ悩んで居るように見えた。

サトシ「ハルカはどうしたんだ?」
マサト「お姉ちゃんはまだ夕飯を食べているから電話には出れないと思うよ。……そうじゃなくて、電話したのはお姉ちゃんには聞かれたくない事なんだ…」

そう言うと、マサトは周囲を確認する様にキョロキョロと周りを見回した。
遠くから、ハルカの話し声が聞こえる。
俺も、声のトーンを押さえてもう一度質問し直した。

107ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 18:06:34.95 ID:NEsUC5JgO
サトシ「ハルカには聞かれたくない話って…一体どうしたんだ?」
マサト「実は…」

マサトは顔を上げて、
思い切ったように切り出す。

マサト「僕、お姉ちゃんの結婚には反対なんだ」

ハルカの結婚に反対。
俺には確かにそう聞こえた。
耳を疑うかのようにもう一度、と聞き返すと

マサト「だからシュウとお姉ちゃんの結婚に反対ってこと!」

とはっきりまた反対と言われた。

サトシ「反対…?また、どうしてそんな事言うんだよ」
マサト「父さんも母さんも、皆そう言うんだ…でも、僕はお姉ちゃんに結婚はまだ早すぎると思うんだよ」
サトシ「確かにハルカはまだ若いけど…それでも、十分に結婚出来る年齢を満たしてるだろ?」
マサト「年齢、じゃないんだ。だってお姉ちゃんの性格を考えてごらんよ…人と結婚して支えあって生きていくなんて出来ると思う?」

そこで、聞こえていたハルカの声がぴたりと止んだのでマサトは話すのを止めてまた周りを確認する。
どうやら、向こうの夕食が終わったみたいだ。
確認し終わったマサトは、再び画面に顔を向けると必死に俺を見てきた。

サトシ「確かにハルカは俺に似て抜けたところがあるけど、さ……ハルカにはシュウがついているし、あの二人なら大丈夫じゃないのか?」

ゆっくりとマサトに語りかける。
すると、マサトは絶望的な表情で嘆くように仰いだ。

マサト「サトシも…父さんや母さんと同じ事を言うんだね」
サトシ「ハルカなら大丈夫、ってみんなわかってるからさ」
マサト「シュウに…シュウが…ってお姉ちゃんはずっと前からシュウの事しか話さないんだよ……そのうちシュウはお姉ちゃんの相手なんか疲れちゃうと思うな」
サトシ「マサト…」
マサト「大体おっちょこちょいな性格してるくせに、大事な事になると全部自分で勝手に決めちゃうんだから…」

マサトはずっと画面の向かい側にいるはずの俺を見ているようで見ていない。
揺れるような目頭の奥の瞳からわかった。



サトシ「マサト、お前…ハルカがお嫁に行っちゃうから寂しいんだろ?」

108ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 18:32:10.25 ID:hx8xswwp0
おもしれえ。
しえん。
109ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 18:37:20.19 ID:jNrvdumL0
実は公式設定でハルカとサトシはほぼ同い年なんだけど
110ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 19:44:13.00 ID:NEsUC5JgO
マサト「僕が…寂しい?」
サトシ「ああ、マサト。お前はハルカがお嫁にいってしまう事が寂しいんだ」
マサト「まさか…」

そう言って、マサトは黙りきってしまう。
俺の言ったことはきっと当たっているはず。

サトシ「ハルカにとってはさ、マサトはいつでも大事な弟だよ。たとえ、お嫁にいってマサトの元から去ってしまっても」

マサトは、唇を噛んで「そうかもしれない」と呟いた。
「僕、お姉ちゃんがいなくなっちゃうのが寂しかったんだ」と。

マサト「…この歳になってまで姉離れ出来てないみたいだよね」
サトシ「ハルカもなかなか弟離れ出来てないと思うけどな」
マサト「そう言うところは、やっぱりお姉ちゃんの方がずっと…姉らしいよ」

マサトはさっきまでと違い、緩やかに笑う。
そして、『姉離れ出来ない』その事実にはじめて自分で気付いて、何かが吹っ切れた様に大きく笑い出した。

ハルカ「ちょっとぉ、マサト一体誰と電話してるの?」

その声につられたのか、ハルカの声が聞こえ、それが段々と近付いてくる。

マサト「あっ、お姉ちゃん…何でも無いよ!」

マサトは慌てて画面を隠すように前に出て、凄く小さな声で
「サトシ、ありがと…じゃあね!」
と言うと、電話を切ってしまった。
最後に怪訝そうな顔をしたハルカを画面の端でとらえたが、それも電話と共に切れ、後は真っ暗な画面が自分の顔を映すだけだった。

マサトはきっと、もう結婚に反対だと言わなくなるだろう。

俺も、そろそろ夕食を食べよう。
トウカではもう夕食を食べていたんだっけ。

サトシ「あー腹減った!カスミ、もう出来てるか?」

そう部屋に入ると、

カスミ「いつまで長電話してるのよ馬鹿、もうとっくに出来てるわよ!」

と母さんを始め、ヒカリもカスミももうテーブルについて俺を待っていたようだった。

ヒカリ「もうサトシおそーい!」
サトシ「悪い悪い、さあ早く食べようぜ!」
ハナコ「それじゃあ…」


いただきまーす!

暖かい料理と良い匂い、そして人の笑い声が、部屋中に満たされた。

111ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 21:07:03.03 ID:0UvBVQI7i
久し振りに良いssだな
支援
112ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 22:43:24.87 ID:kQctXnNhO
>>1原作のアニメなら絶対見るだろうな
支援。でいいのか?
113ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/20(火) 23:57:41.27 ID:G7nfiZLmO
雰囲気がすき
支援
114 本日の利用料 3,103円 :2009/10/21(水) 07:05:22.78 ID:DFZL7UiQ0
支援
115ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 08:33:16.99 ID:BBfhuXAsO
ヒカリ「んー!美味しい!!ハナコさーんおかわり!」
サトシ「俺もおかわり!」

競うようにヒカリと夕食をがっつく。
行儀が悪いなんて呆れるカスミを余所に、母さんは俺とヒカリの茶碗を交互に白いご飯をついでいった。
三人で作った為か、おかずもいつもより多く食がどんどんと進んで行く。

サトシ「ごちそうさま!」
ヒカリ「美味しかった!」

結局、並べられた皿が綺麗に食べ尽くされた頃には炊飯器のお米も全て空になっていた。

夕飯が終わったら、また作業に戻らなければならない。
カスミやヒカリは結婚式に着ていく服を明日二人で買いに出掛けてしまうらしいので、早めに仕上げてしまおうと言うのだ。
俺も、ぬいぐるみは完成間近。
母さん指導の下、再び俺達は針に糸を通した。

116ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 14:30:39.45 ID:BBfhuXAsO




翌朝。
俺は爆睡していて朝日が目に当たっても目をあけようとしなかった。
階下から、俺を呼ぶような声がする。
ぼんやりと、まだ寝ていたい気持ちで布団を頭深くまで被り直すと、ドタドタと階段をかけ上がる音が頭まで響いてきた。

ヒカリ「サトシ!起きて起きて!!」

ヒカリだ。
ヒカリは、俺の部屋のドアを勢い良く開けたらしく扉が壁に叩きつけられる音と共に、布団の重みが一気に加わった。

サトシ「おっ…重いっ…」
ヒカリ「サトシ起きた?」

ヒカリが俺の上に飛び乗った様で、重いやら苦しいやら、とても安眠できる状態では無い。
ヒカリを振り落とそうと布団の中で暴れてみせるときゃっきゃと笑い声が部屋中に響いた。

サトシ「…ったー!何だよ人が寝てる時に!」
ヒカリ「カスミにサトシを起こしてきて、って頼まれたんだ。…ねぇ、今日はデパートまで行くんだよ?」
サトシ「……いってらっしゃい…」
ヒカリ「サトシも行くんだから!」

そうだ、今日はカスミとヒカリはデパートへ行く予定だ。
それなのに、何故俺が起こされて連れて行かれる運命にあるのか、それはよく考え無くてもわかる事。

サトシ「…どうせ荷物持ちだろ」
ヒカリ「だって女の子二人だけだと持ちきれないんだもの」
サトシ「服買うだけで何んで荷物持ちがいるんだよ!」
ヒカリ「いいからはやく!!もうカスミ準備して待ってるんだから!」
サトシ「…ちくしょー!」

布団を勢いよく撥ね飛ばして起き上がると、ヒカリはベッドから落ちて床に転がる。
そして、一緒に落ちたピカチュウと共にこちらを見上げてきた。

117ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 14:31:54.22 ID:BBfhuXAsO
ヒカリ「一緒に来てくれるの!?」
サトシ「どうせ連れて行かれるなら、自分から行ってやるよ!」
ヒカリ「やったー!」

そうしてヒカリは「じゃあすぐにね!」と飛び上がるとピカチュウを抱いて部屋を出て行ってしまった。
その後すぐ階段をかけ降りる音がし、歓喜的なカスミとヒカリの声が聞こえる。

サトシ「ふぁーあ…着替えるか…」

仕方なしに、とタンスから私服を取り出す。
タンスの上には、綺麗にラッピングされた透明な袋が置いてある。
中には昨日完成したぬいぐるみが。
俺はアチャモ、カスミはゴンベ。そしてタケシは…忙しい中時間をつくって昨日夜、エネコを届けにやってきた。
それらが、並んでちょこんとリボンでラッピングされている。
俺はそれらを見詰めながら思い、ふけっているとまた呼ぶ声がする。

ヒカリ「サトシー!まだー?」
サトシ「今行くよー!」


呼ばれる声に返事をして、俺は部屋の扉を閉めた。


118ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 14:49:25.13 ID:huVzt+egO
支援
119ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 17:01:59.81 ID:Xojriulci
しえん

120ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 17:56:17.66 ID:YSFVMSv20
しえん
121ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 18:19:27.54 ID:JTaRyzpOi
紫煙
122ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 18:49:26.50 ID:huVzt+egO
age
123ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 19:13:21.34 ID:BBfhuXAsO
カスミ「ねえサトシ、この水色の方とオレンジだったらどっちが良いと思う?」
サトシ「どっちも同じだと思うけど…青い方、かな」
ヒカリ「あっねえねえこのワンピース可愛いと思わない?」
サトシ「可愛い可愛い似合ってる似合ってる」
カスミ「この靴なんだけどあまりヒールの高いのは良くないかしら…ホウエンって遠いし」
サトシ「カスミの強靭な足ならヒールも大丈夫さ」
ヒカリ「髪飾りってあまり派手でもダメでしょ?どっちのがシンプルで可愛いかしら」
サトシ「じゃあ右…」
カスミ「これとこれだったら?」
サトシ「左…」
ヒカリ「ねぇあれは?」
サトシ「みぎ…」

デパートについた途端、二人は真っ先にブティックへと向かう。
予め、買うものを決めていたのか各々目当ての衣服装飾品を俺の前まで持ってきて、試着したり選ばせたりとにかく大変だった。
くるくると目まぐるしく変わる二人の衣装に振り回され、俺はすでにへとへとだ。
ようやく買い物が終わっても、両手いっぱいの紙袋がさらに体力を削る。
結局俺は最上階の自動販売機前のソファーでへばる事になった。

カスミ「もーっ、だらしないわね!」
サトシ「お前ら買い込みすぎ…」
ヒカリ「でもサトシのお陰でいっぱい見れちゃった!買い物なんて久しぶりだから楽しかったよ」
カスミ「そうね。…ほら、はいミックスオレ」
サトシ「サンキュー…あ〜この一杯が俺の癒しだぜ…」
ヒカリ「お疲れ様!!」

124ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 20:57:52.01 ID:BBfhuXAsO

カスミ「さ、後は地下で今日の食材を買ってから帰りましょう」
サトシ「まだ何か買うのか?」
カスミ「もちろん。じゃないとお夕飯も明日の朝御飯も用意出来ないわよ?」
サトシ「わかったよ…今日のメニューは?」
ヒカリ「今日はね…なんとシチューです!」
サトシ「シチュー!なんだか懐かしいな」
ヒカリ「昨日の夜、久しぶりにタケシにあったらなんだか食べたくなっちゃって」
サトシ「いいなぁ、シチュー。楽しみだぜ」

そうこうしてるうちに、カスミはエレベーター前までさっさと行ってしまう。
両手にたくさんの荷物を抱えて俺もエレベーターに乗り込んだ。

カスミ「にんじん、じゃがいも…」
ヒカリ「お肉とルー!」

地下一階食品売り場。
がらがらとカートを押す俺の前で、カスミとヒカリは次々と食材をつめていく。
俺も、その場にあったルーを一緒に放り込んだら「それは高いからダメ!」と二人に散々注意されてしまった。
適当に放り込んでいるように見えて実は量や値段、成分表とにらめっこしているらしい。
ふと、ヒカリがお菓子売り場の方を振り返ってこう言った。

ヒカリ「ねえカスミ、お菓子買っても良い?」
カスミ「ええ、良いわよ」
サトシ「100円までなんだからな」
ヒカリ「わかってるもーん」

そうお菓子売り場まで駆け出すヒカリはとても子供らしい。
いくら、一人旅やコンテスト巡りをしていると言っても、ヒカリはまだ10代も前半なのだ。
俺達とは10歳近く歳が離れて居る。
お菓子を真剣な眼差しで吟味するヒカリを見ながら俺はこう言った。

サトシ「なあカスミ…」
カスミ「なあに?」
サトシ「…俺もお菓子選んで良いか?」

呆れかえったカスミは一息ついて「…100円までよ?」と言う。
喜んでヒカリの隣にならんでお菓子を選ぼうとすると

ヒカリ「100円までだからね!!」

と今度はまた極上の笑顔で言われた。


125ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 22:28:28.68 ID:XRd33pdWO
あげ
126ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 23:02:34.09 ID:YWVhD9EZ0
>>1
ガンガレ

127ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/21(水) 23:18:51.77 ID:F03uR9jPO
ロケット団出てないな
128ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 01:11:27.27 ID:vjK+4wO8i
支援
129ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 07:17:20.24 ID:Qi16zT2y0
支援!!
130ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 08:42:22.73 ID:4kYCTnXrO
しえん
131ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 10:16:55.30 ID:Dtl1E40k0
支援(^q^)
132ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 16:47:49.32 ID:zcwCjK1sO
支援
133ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 19:39:08.16 ID:eTTrIVzw0
続き楽しみだなぁ
134ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 19:51:54.96 ID:Ry7W5AAJ0
何これめっちゃ和む
135ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 21:05:43.13 ID:FKXkiB3G0
ほしゅ
136 本日の利用料 1,055円 :2009/10/22(木) 21:30:47.29 ID:p3ZexcnxO
続きはまだかww
137ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 22:05:23.01 ID:bb+O8xzJO

日が沈む。

サトシ「ただいまぁー」

結局、ヒカリとカスミの『買い物』は夕方近くまで続き、俺は両手いっぱいの荷物と共にリビングのソファーに突っ伏した。
一人旅の時だってこんなに疲れることは滅多に無い。

ハナコ「あらあら、随分歩き回った見たいねぇ」
サトシ「ほんと、二人共良く飽きないぜ…」

パンパンになったふくらはぎをソファーの肘掛けに放り出して伸びをする。
伸ばした膝元には、俺の帰りを待っていたと言わんばかりにピカチュウが飛び乗ってきた。

サトシ「ただいま、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピカァ!」

こうして、ピカチュウの頭を撫でながらのんびりしたひとときを過ごすのが俺の密かな老後の望みだ。

サトシ「じーさんになってもよろしく頼むよ、ピカチュウ」
ピカチュウ「…チャアー」
カスミ「オジサン臭くなったと思ったら今度はまた一気に老け込んだわね…」
サトシ「…カスミはもっと俺を労るべきだと思うな、俺もうじーさんだし」
カスミ「はいはい」

それなら肩をお揉みしましょうか、なんて指をポキポキ鳴らす様が少し本気だ。
労る気があるならもっとマシなものがあるだろうに。

サトシ「じゃあ、はいここ」
カスミ「なあに?座れって言うの…ちょっと、これって…」
サトシ「そうそう此処…ふむ。苦しゅうない」
カスミ「……この馬鹿っ」

どうせならと、ソファーの端にカスミを座らせる。
そこへ、頭をのせるとカスミの膝が枕になった。
カスミは何故か怒り口調になっているが、別段俺を殴る等抵抗もしない為、そのまま枕を続投させる事にした。

ヒカリ「あはは!サトシ良いなぁ…子供みたいよ?」
サトシ「羨ましいだろ。…まぁとにかくヒカリも労ってくれよ」
ヒカリ「じゃあ私、足揉んであげるね」

ヒカリは、カスミと反対方向に回ると、放り出した俺の足を揉み始めた。

サトシ「ああ…そう、その……っていだだだだだ!!」
ヒカリ「へっへー!凝ってますねぇ」

138ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 22:45:01.07 ID:CJhGwY4ei
続ききたー!
支援しまくるぜー!
139ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 22:55:31.53 ID:bb+O8xzJO
ハナコ「そろそろ、夕飯の準備をしたいんだけど…誰か良いかしら?」

暫くして、母さんが召集令を出す。
俺の腹もそろそろ騒ぎ出しそうだ。

カスミ「あっ、はい。今…ちょっと、サトシ頭どけてよ」
サトシ「ええっ」
カスミ「ええっ、じゃなくてど、け、て!動けないじゃないの」
サトシ「だってさー」

ご飯は食べたいが、この丁度良い枕も外せない。
俺とカスミで揉み合っているとヒカリが小走りで母さんの元に向いだす。

ヒカリ「二人はそうやっててもダイジョーブ!私が代わりにやるからね」
ハナコ「そうね、じゃあヒカリちゃんに手伝って貰いましょう。…カスミちゃんにはいつもやって貰ってたしね」
カスミ「わっ、私は大丈夫ですよ!?……もうっ、サトシってば」
サトシ「ラッキーだったなぁ」
カスミ「全然ラッキーじゃないっ!」

母さんとヒカリはキッチンの方へと消え、リビングに残ったのはピカチュウと俺達だけだった。

暫く無言が続く。

サトシ「あの…カスミ怒ってる?」
カスミ「…別に怒ってなんか居ませんけど」

怒ってる。
どうやらカスミの機嫌はあまり良くないらしく耳まで真っ赤だった。
とにかく、会話を繋ごうと色々話題を持ち出した。

140ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 22:56:54.90 ID:bb+O8xzJO

サトシ「ハルカの結婚式まであと少しだなぁ」
カスミ「…そう、ね」
サトシ「なんだかなぁ、あんなに小さく思えたハルカが嫁にいっちゃうのは寂しい気もするんだよ」
カスミ「…そりゃぁ、そうでしょうね。私も何だか寂しいわ。ハルカが遠いところに行っちゃうような気がして」
サトシ「マサトも寂しいらしくてさ…俺人の事言えないな。みんな寂しいんだよな」
カスミ「ハルカは本当、皆に愛されてるわ」
サトシ「シュウはずるいな。…いや、凄い。かな」
カスミ「ハルカが選んだ人だもの。凄いに決まってるわ」

カスミは、直接シュウに会った事は無い。
数年前、ハルカと会った時に写真でシュウの存在を知ったらしい。
それでも、それ以降ハルカの恋愛沙汰の相談にのっていたのもカスミだ。
きっと結婚の報告も真っ先に届いたのだろう。

カスミ「…結婚したらね、カイナに建てた家で暮らすんだって言ってたわ」
サトシ「一家の主ってのも良いなぁ」
カスミ「あんたじゃ一生無理よ」

酷いこと言ってくれるな、とカスミを見上げると目があって、ぷい、とそっぽを向かれてしまった。
また何か地雷を踏んでしまったのかと思う頭の片隅で、ハルカの事を考える。

俺達の仲間が一人の男に奪われた気分。
マサトの考えた事も、今振り返ってみるとあながち分からなくもない。
寂しいのは、誰も皆同じだから。
でも、喜びの方がずっとずっと大きい。

幸せそうなハルカの笑顔をみられるのはそう遠くない。
あと、一週間後。


141ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/22(木) 23:49:51.39 ID:bb+O8xzJO



タケシ「荷物はまとめたか?ホウエンは暖かいと言ってもまだ春先だからな。きちんと厚着するんだぞ」
ヒカリ「うん、大丈夫!」
サトシ「…と言ってる時が一番大丈夫じゃないんだろ。ハルカに渡すプレゼントは持ったのか?」
ヒカリ「あっ!!いけない、ちょっと待ってて!」
カスミ「…ヒカリも案外抜けてるところがあるのね」

数日後、俺達はマサラの自宅前でホウエンへと旅立つ準備をしていた。
ハルカの結婚式は、トウカのジムを利用、軽く改装して結婚式場にしてしまうそうだ。
マサラからトウカまで、長い道のりがあるので俺達は外泊の準備も揃えて向かわなければならない。

ヒカリ「……おまたせ!」
ハナコ「ヒカリちゃん、もう忘れ物はないかしら?」

母さんは見送る為に玄関先まで来ている。
庭には、オーキド博士、ケンジ、シゲルが揃ってやってきていた。

サトシ「わざわざ見送りにまで来なくても…」
オーキド「わしらじゃこれくらいしかできんのでな。ハルカくんに、宜しく伝えておいてくれよ」
シゲル「君達を見送る立場って言うのも不思議なものだね。…ホウエンまで、気を付けろよ」
サトシ「わかってるよ。これでも旅はベテラン並みだぜ?」
ケンジ「はは、じゃあ心配無用だね。…でもみんな気を付けて」
カスミ「ええ、ケンジも研究頑張ってね」

それじゃあ行くかとタケシが荷物を担ぎ上げた。
続いてヒカリも歩き出す。
カスミも庭から出たところで、俺は母さんの方を振り返った。

サトシ「じゃあ母さん…行ってくるよ」
ハナコ「いってらっしゃい。また数日寂しくなるわね」
サトシ「またすぐ帰ってくるさ。……いってきます」

大丈夫。すぐ帰ってこれる。
俺は、二度心の中で繰り返した。
もう母さんに寂しい思いをさせたく無かった。
連絡を小まめにとれるよう、古いポケナビを洗って綺麗になったリュックサックに忍ばせてある。

少し先で、ヒカリが早くと呼ぶのに答えて俺は自宅の庭を抜けた。
目指すはホウエンだ。
142ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 00:21:37.94 ID:xfhiink10
しえんっ!
143ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 00:42:40.12 ID:eLADfdVx0
しえん!!!
144ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 01:44:22.99 ID:fC71LxnjO
支援
145ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 01:58:04.54 ID:mc/XliM5O
シエン
146ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 02:25:03.83 ID:mc/XliM5O
支援
147ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 10:52:35.05 ID:Cc+uSv9uO
支援
148ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 12:53:19.52 ID:mc/XliM5O
支援
149ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 14:29:39.77 ID:4mxjuqFD0
支援
150ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 16:19:05.45 ID:ZhSpEfdUO

カスミ「…ねぇ、まずは何処から進むの?」

木々が鬱蒼と茂るトキワの森。
カスミはいつ虫ポケモンが出るのかとびくびくしながら、タケシの後ろに回ってそう聞いた。

タケシ「ふむ…そうだな。まずはクチバまで向かって船に乗ろう」

クチバまで行けば、ホウエン地方への船は出ているはずだ。
ヒカリは、地図を広げてクチバの位置を確認すると此処からの距離を考えてため息をついた。

ヒカリ「クチバかぁ…結構あるのね」
サトシ「洞窟を抜ければ案外近いんだけどな。ほら、ここの洞窟から…」
ヒカリ「わぁ、こんなに長く続いてるのね」
カスミ「じゃあさっさと森を抜けましょう!!」

カスミはそう言って早足になる。
後に続いて行くと、やがて出口と思われる光が見えた。

カスミ「やったぁ!」
サトシ「あ、おいそんなに走って音をたてたら…」

カスミが喜び勇んで出口へと走り出す。
しかし、静かな森の中で音をたてると虫ポケモンが飛び出してきてしまう。
案の定、ガサガサッと草むらが音をたててキャタピーが飛び出した。


それは、いつかのデジャヴ。
森に響くのはキャタピーに足をしがみつかれたカスミのあげた悲鳴だった。

151ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 17:17:41.30 ID:sHYqH8Sci
一日一支援
152ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 17:20:13.91 ID:XqatI1oXO
続きが気になるww

カスミがキャタピーに
あんなことやこんなこと(ry
153ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 18:07:26.27 ID:ZhSpEfdUO
サトシ「だから言ったのにさぁ」
カスミ「だってっ!だってっ!!…やめて、キャタピーを近付けないで!」
ヒカリ「あはは、カスミって虫ポケモンが苦手だったのね!!」
タケシ「相変わらずだなぁ」

カスミが悲鳴をあげてるうちに俺はキャタピーをさっさと回収する。
下手するとカスミは足を振り回してキャタピーを何処かに飛ばしかねない。
長い長い悲鳴を叫び終わったカスミは足にキャタピーが居ない事を確認すると、
すぐさまタケシの後ろへと回った。

ヒカリ「こーんなに可愛いのに」
カスミ「ダメなものはダメなの!」

カスミは、ヒカリが俺からキャタピーを受けとる様を怯えながら見ている。
悪戯心で、ヒカリの手を取ってカスミに近付けると頬に思い切りビンタを食らった。

カスミ「近付けないでって言ってるでしょこの馬鹿!!」
サトシ「…いって!…だからって引っ張たかなくても良いだろ!」
カスミ「あんたが意地悪するからいけないのよ!」
タケシ「こらこら、いい歳して喧嘩するんじゃないぞ」

また騒がしくすると、どんどん虫ポケモンが出てくるよ。
そのタケシの一言でカスミは一気に大人しくなっる。
一方キャタピーはと言うと、ヒカリの腕の中でうねうねと身体を動かしていた。

ヒカリ「このキャタピー、カスミが好きみたいよ?」
カスミ「ごっ、ごめんね。…私もう出る!!」

キャタピーを投げ飛ばさないようになっただけ進歩と言えるか、しかし苦手なものは苦手らしく、一目散にカスミは出口へと一人向かっていってしまった。

サトシ「あーあ、出ていっちゃったよ」
ヒカリ「本当に苦手だったのね。からかって悪い事しちゃったなぁ」

腕の中のキャタピーはカスミが出ていってしまった途端、静かに大人しくなる。
ヒカリが頭を撫でてやると気持ち良さそうに一声鳴いた。

サトシ「可愛いのにな」

154ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 18:55:25.92 ID:ZhSpEfdUO


出口までくると、カスミが待っていた。

サトシ「おっいたいた」
カスミ「…キャタピーは置いてきたの?」

カスミは、さっきからキャタピーにしがみつかれた足が気になるようだった。
俺達の手にキャタピーが居ない事を確認すると、ほっとした笑顔になる。

ヒカリ「その事なんだけどね、カスミ…話し合ったんだけど」

ヒカリが一歩前に進んでカスミの前に立った。
カスミは不思議そうにしている。

ヒカリ「これから先虫ポケモンが苦手だと、色々不便だと思うの」
カスミ「えっ…?そんな事無いわ…よ…」
ヒカリ「ううん、困るわ。だって…」
カスミ「だって?」

カスミは嫌な予感を感じたのか一歩後ずさる。
そんなカスミを無視してヒカリは息をひとつ吸い込んだ。

ヒカリ「大事な事を忘れてるわ、カスミ。ハルカの手持ちにはね…虫ポケモンがいるのよ!」
カスミ「!?」
ヒカリ「ハルカだけじゃ無いわ、結婚相手のシュウだって虫ポケモンを持っているのよ!沢山!…結婚式に自分のポケモンを出さないなんて事あると思う?」
カスミ「なっ…!」
ヒカリ「そ、れ、に!参列者だってもちろん自分のポケモンを連れてくるだろうしね。ポケモンジムを改装した式場なのよ?きっとわんさか虫ポケモンが集まるわ」
カスミ「それは…盲点…」
ヒカリ「だからね。私達でなんとかカスミの虫嫌いを直してあげようと思ったの」

ヒカリはにっこり笑う。
カスミはまた一歩、また一歩と後ずさる。
俺達は二人の会話を黙って見守っていた。

ヒカリ「虫ポケモン嫌いを治さないと不便だと思わない?」
カスミ「……思、う…」
ヒカリ「それじゃあさっきのキャタピーで、触れあう練習をしましょうよ」
カスミ「まさか…!」
ヒカリ「はい、カスミ」

ひっ、とカスミが小さく悲鳴をあげた。
ヒカリの背中には、さっきのキャタピーが張り付いていて、ヒカリはそのキャタピーを両手で持つとすっと差し出す。

カスミ「…私が虫ポケモン苦手なの、知ってるじゃない…」
ヒカリ「…うん。でも、それ以上に私達はカスミにそれを治して欲しいのよ。大切な仲間だもん。ハルカの結婚式で、苦しむカスミを見たくない」
カスミ「ヒカリ…」
ヒカリ「私達の気持ち…受けとってくれるかな?」
カスミ「…!……わかったわ…私、頑張ってみる!!」
ヒカリ「カスミ…!私嬉しい!!一緒に頑張ろうね!」

信じられない。
あのカスミを納得させるなんて。
今、目の前のカスミは、恐る恐るながら目の前のキャタピーに指先で触れようとしていた。
キャタピーが喜んで身体を捩る度にびくりと体を震わせるが、
確かにカスミはキャタピーに自分から触れていた。
155ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 19:13:47.05 ID:ZhSpEfdUO

カスミ「でっ、でも此処までね!」
ヒカリ「凄いわカスミ!凄い進歩よ!!」
タケシ「まさかカスミが自分からキャタピーをさわる日が来るとはな…」

ヒカリはキャタピーを地面におろすと、どうする?とカスミを見上げていた。
どうする、とは勿論、このキャタピーをカスミの手持ちに加えるかどうかだ。
それはカスミ自身が決める。
キャタピーは、カスミに抱きつく事もせずじっとカスミを見詰めていた。
自分をゲットしてくれるトレーナーがそこに居ると信じて。

カスミ「わかってるわ…。うん。宜しくね、キャタピー」

恐る恐る、ボールを投げる。
キャタピーはよろこびの声をあげ、赤い光と共にモンスターボールに吸い込まれていった。

カスミ「捕まえちゃった…!サトシ!」
サトシ「ああ、見てたよ!」
カスミ「私、虫ポケモンに触っちゃった!ゲットしちゃった!」
サトシ「凄いよ、本当!」
カスミ「きゃあ、やった…!」

カスミは、モンスターボールを大切そうに拾って喜んだ。
これは、カスミにとって大きな一歩となったようだ。
ボールを高く突き上げ、ゲットだぜ!と叫ぶ。「それは俺の決めゼリフだろ」と訴えてもまるで気にもかけていないようだった。


156ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 22:32:57.07 ID:yzc9KJsz0
紫煙
157ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/23(金) 23:26:12.78 ID:mc/XliM5O
試演
158ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 00:52:26.11 ID:jWKjjoWm0
私怨
159ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 01:55:54.85 ID:EuMYRZ4IO
士円
160 本日の利用料 1,577円 :2009/10/24(土) 01:56:36.73 ID:k9XnE8Et0
shien
161ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 09:52:47.60 ID:R2lmLoii0
ぢえんずるお
162ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 10:37:46.48 ID:ict2MZcl0
なんか色々懐かしかったり暖かかったりで泣きそうになるな・・・
163ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 12:36:08.28 ID:StMM1ouii
4えん
164ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 12:47:12.79 ID:w27HK57RO
支援
165ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 13:11:38.51 ID:z/Z02tqOi
4円!
166ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 13:49:25.66 ID:J8Qosk2Z0
穏やかで温ったかいな…

虫ポケ克服、
カスミ頑張れ!

支援
167ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 15:27:31.71 ID:BNjNgi7dO
しえん
168ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 19:01:21.60 ID:pGCsjbJdO

俺達はそこからまたさらに進み、『ディグダのあな』までやってきた。

カスミ「此処を通れば…」
ヒカリ「一気にクチバシティに行けるのね!」
サトシ「よーし、長いけど頑張るぞ」

長く聳えるその穴は、暗く深い。
タケシは懐中電灯を取りだして辺りを照らした。
すると、眩しかったのだろうか、ディグダがひょっこりと顔を出す。

タケシ「今はまだ明るいから懐中電灯は必要無さそうだな。…これから夕方になるに連れて、暗くなったら懐中電灯を使う事にしよう」

タケシが懐中電灯を仕舞い直すとヒカリは先にディグダの穴の中へ一歩踏み出した。

ヒカリ「わぁ…寒い…」

穴の奥から吹き抜ける風が冷たい。
俺はヒカリの背負っている荷物からピンクのコートを取り出すとヒカリに渡した。

ヒカリ「ありがと。…でも『ディグダのあな』と言うだけあってそこかしこにディグダがいるのね」
カスミ「昔はこのディグダに困らされた事もあったわね」
タケシ「そんな事も、あったなぁ」
ヒカリ「…ねぇ、三人が一緒に旅してた時の事を教えてよ」
サトシ「良いけどきっとカスミの暴力的な話ばっかだぜ」
カスミ「なによ。あんたのドジでおこちゃまな話だっていっぱいあるんだからね!」
ヒカリ「…なんか今ので昔のサトシとカスミの様子が想像できそう!」
タケシ「基本的にあの二人の関係は昔から変わってないからな」
ヒカリ「タケシも、きっとそうだわ。……ねぇ、教えて?」
カスミ「ええ。でもそのかわりヒカリがサトシ達と旅してた時の事も教えてよ?」
ヒカリ「うん!!」
サトシ「それじゃあ……俺が初めてマサラタウンを出て旅に出発する時の話なんだけどな………」

昔話に花を咲かせつつ。
俺達は薄暗く寒い洞窟の中をゆっくり歩き出した。
169ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 19:17:08.62 ID:pGCsjbJdO



ヒカリ「…サトシってば、カスミの自転車もボロボロにしてたのね」
カスミ「…って事はヒカリも?」
ヒカリ「うん。カスミみたいな状況では無かったけどね」
サトシ「へへ…実はハルカの自転車も…」
カスミ「笑い事じゃなーい!もう、あんたは一体何やってるのよ…」
サトシ「でっ、でも、一番執念深かったのはカスミかな」
ヒカリ「執念深い?」
サトシ「ああ、俺の旅についてきて弁償しろだの…カスミが俺の旅に加わった理由なんだ。自転車は」
カスミ「自転車を壊されたら誰だって怒るわよ」
ヒカリ「でも、私達みんなサトシに自転車をボロボロにされてたのね。…なんかそう言うのって凄く運命的!」
タケシ「サトシは…そう言う人を惹き付ける力が強いからな。まさに運命的かもしれない」
ヒカリ「タケシは、いつサトシと一緒に旅をする事になったの?」
タケシ「俺はな。…サトシに出会って変われたんだよ」
サトシ「やっやめろよ!なんか照れるだろ、その言い方!」
タケシ「まぁ良いじゃないか…男もな。30近くなると色々語りたいんだよ」
サトシ「……ふーん」
ヒカリ「サトシ照れてるー」
カスミ「珍しいわね」
サトシ「なっ、からかうなよ!」
ヒカリ「まぁまぁ。…で、どう出会ったの?」
タケシ「それは…俺の親父がまだ家出していた頃の事なんだが……」

懐かしい思い出話はまだまだ続く。
ふと気付くとディグダ達が洞窟内に空いた無数の穴からこっそりと顔を出していた。
まるで、俺達の話を聞いているかのように。

170ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 19:35:15.33 ID:43ZGdDOI0
きたあああああああ
171ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 19:51:55.19 ID:CfuBMgxDO
試演
172ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 21:21:51.27 ID:Ucq4bB2m0
支援
173ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 23:19:55.34 ID:StMM1ouii
174ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 23:22:11.13 ID:/QMfBSST0
175ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/24(土) 23:23:37.14 ID:TJerRYvni
176ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 00:25:47.37 ID:r6WMk0oEO


ヒカリ「…結局、タケシはそれでサトシの旅に加わった訳ね。なーんだ、自転車じゃないんだ!」
カスミ「流石にそこまで自転車と因縁深くないわよ」
タケシ「はは、でもこれで何で俺達がサトシと旅を始めたかわかっただろ?」
ヒカリ「うん!!…なんか、私の時と違って皆凄く絆がある、って感じ…凄いなぁ」
サトシ「なに言ってるんだ、ヒカリだってそうだろ?」
タケシ「ヒカリだって俺達と沢山思い出をつくって旅をした…その絆がちゃんとあるじゃないか」
カスミ「そうよ!その絆を私は知らないわ…ねぇ、今度はヒカリと旅をしていた時の事を教えて?」
ヒカリ「うん。…ありがとう。でも、今はもう少し話の続きが聞きたいな」
カスミ「あっ、ずるいわ」
ヒカリ「ダイジョーブ、ちゃんと私も話すからさ。ね?良いでしょ?」
サトシ「ヒカリのお願いには弱いなぁ…よし、じゃあ今度はピカチュウの話をしよう!」
カスミ「まーた、オジサン臭くなってるわよ」
ヒカリ「わーい」

そうして、俺達はまた昔話を再開した。
ピカチュウとの出会い。何故モンスターボールに入らないか、また進化させないか。
ロケット団との話を度々絡ませると、ヒカリはよく笑った。

ヒカリ「やだ、ロケット団ったらそんな昔からピカチュウを追いかけてるのね!」
タケシ「奴等の執念深さは留まる事を知らないからな」
ヒカリ「私、もうあの登場ゼリフ覚えちゃったよ」
カスミ「なんだかんだと聞かれたら…って奴ね」
ヒカリ「あれ?…なんなんだ!の声を聞き…じゃなかったっけ?」
カスミ「あら?」
サトシ「これは…ジェネレーションギャップ、ってやつか?」
タケシ「いや…少し違うだろ」

ロケット団の決めゼリフについて、ヒカリとカスミは互いに知っているあのセリフを教えあうと、また懐かしさからか、ロケット団…ムサシとコジロウ、そしてニャースの変わらないあの行動についても話が盛り上がった。

177ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 00:46:35.39 ID:r6WMk0oEO

カスミ「ホウエンでは、なんだかんだと声がする…なのね」
ヒカリ「健気に咲いた悪の花、って言うのが結構好きだわ」
カスミ「…世界は!」
ヒカリ「…宇宙は!」
カスヒカ『君を待っている!!』
サトシ「ソーナンスッ!」
カスミ「…うん、なかなか格好良いわね」
タケシ「お前ら若いなぁ」

ロケット団談義も一息ついた頃。
俺の腹の虫が景気よくぐるぐるとなった。
勿論、空腹のサイン。

カスミ「あんたが居ると食事の時間がわかって便利だわ…」
ヒカリ「あー、でも私もお腹空いちゃったよ」
タケシ「…よし、じゃあ此処等で夕飯にでもするか?」
カスミ「ええ…でもこんな洞窟のど真ん中でやっても平気なものなの?ほら、料理の火とか…水とか…」
タケシ「はは、大丈夫だよ。火は使わない。…これさ」

そうしてタケシが取り出したのは、
いわゆる食物を乾燥させて保存がきくようになった非常食。
そして、ポケモンにはいつものタケシ特性フードを広げる。

サトシ「まぁ、仕方ないよな」
ヒカリ「だって、洞窟の中のポケモン達を驚かしちゃ悪いもの……ほら、出ておいで!」

ヒカリがボールを投げると、中からポッチャマとミミロップが飛び出した。
俺は、今日は肩にのせたピカチュウだけを連れている。
ピカチュウはミミロップに何故かもの凄く強烈なハグを交わされた後、ふらふらしながらタケシのフードを食べ始めた。

サトシ「ほら、カスミ…キャタピーを出してやろうぜ」
カスミ「う、うん…」

カスミは、捕まえる時と同じく、恐る恐るとボールを投げた。

カスミ「さぁ…出てきて…!」

178ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 01:37:41.48 ID:exwApV0Vi
支援支援っと
179ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 02:13:52.65 ID:A+6r7imNO
おもしろい
支援
180ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 09:05:46.11 ID:iIS5SPLZO
支援
181ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 11:48:41.36 ID:+VDASRk20
支援
182ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 12:56:27.12 ID:NrKz592N0
しえん
183ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 13:15:32.15 ID:9TQDa5C2O
紙炎
184ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 14:19:51.43 ID:0etGyRFrO
シエンタ
185ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 15:53:53.13 ID:NrKz592N0
四円
186ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 16:16:19.27 ID:r6WMk0oEO

ボールは地面に着く前に、光り中からキャタピーが声をあげながら出てきた。
カスミに抱きつく事もなく、じっと待っている。

タケシ「さぁ、これがキャタピーの分だよ」
カスミ「あ…うん。…ほら…お食べ」

カスミはじりじりとキャタピーに近付くと、直ぐ側に座り込んでキャタピーの前にフードの入った皿を置いた。
キャタピーは、また嬉しそうに一声鳴くとがつがつとフードを食べ始める。
カスミがほっと一息着くのがみえた。

サトシ「美味しそうに食べてるな」
タケシ「ああ…俺の腕もなかなかのもんだろ?」

そして、タケシは持っていた薪に火をつけてそこにポケモンや俺達を囲わせた。
洞窟内のポケモン達を驚かせないよう、微かに灯っただけの火だったが、それでも俺は周りが良く見える事に感嘆した。
必要最低限の灯りのもと、俺達も保存食をかじる。

ヒカリ「ん〜やっぱりタケシの手料理が一番よね。これじゃ味気ないなぁ」
サトシ「まぁ明日の昼頃には洞窟も抜け出せてるよ」
ヒカリ「…って事は、今日は一晩此処で野宿になるって事?」
タケシ「そうなるだろうな。まぁ、火をこうしていれば洞窟内のポケモンに襲われる事も無いよ」
カスミ「野宿、なんて久しぶり。寝袋ちゃんと使えるかしら…もう昔のだからなぁ」
ヒカリ「それだったらさ、寝袋を下に敷いて今日は皆で川の字にみたいに寝ない?毛布もあるんだもん。皆で寝てみたい」
サトシ「皆で並んで寝るのか?」
タケシ「またヒカリは突拍子も無い事を言うなぁ…」
ヒカリ「良いじゃない!どうせ、洞窟内は寒いんだもの。寄り添うなら同じ布団がいいな…ね?カスミ、良いでしょ?」
カスミ「…そうね、寒いものは寒いんだし…」
サトシ「皆で寝るのも、楽しそうだなぁ」

俺は保存食を全て食べきってしまった。
膨れない腹が寂しい。
そして、今晩はこの寒く暗い洞窟で野宿。

互いの体力温存の為にも、並んで寝ると言うアイデアは決して悪くない様に思えた。

187ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 16:28:19.21 ID:r6WMk0oEO

ポケモン達も、フードを食べ終えてこちらに寄り添う。
カスミは、少し手を震わせながらゆっくりとキャタピーの頭を撫でていた。

サトシ「キャタピー、結構可愛いだろ?」
カスミ「うん。…昔よりずっと可愛く見えるわ」

可愛い…その言葉に反応したのか、キャタピーは自分から頭をカスミの手に押し付ける。
カスミは少し驚いた様だが、もう慌てる事無くキャタピーを撫で続ける。

ヒカリ「このこ、本当にカスミが好きなのね」

撫でられて、気持ちよさそうにしていたキャタピーがうつらうつらと船をこぎ始めた頃、ヒカリはそう言った。

ヒカリ「安心して眠っちゃった」

眠りについたキャタピーをボールに戻しながらカスミは、一度だけ、うん。と頷く。

カスミ「可愛い、ね」

188ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 16:48:21.72 ID:r6WMk0oEO


ヒカリ「さぁ!!みんな、準備は良い?」

暫くして、ヒカリがそう切り出した。
勿論、皆が寝れるように寝袋を並べる準備は出来ているか、と言う事だった。

サトシ「寝袋を並べるだけなのに気合い十分だな…」
ヒカリ「えへへ…ね、早く広げて広げて!」
カスミ「はいはい…よいしょ!」

カスミの赤い寝袋が広げられる。
続いて、俺も寝袋を取り出し後からヒカリも自分の寝袋を広げていった。

タケシ「毛布はこれだな」

ばさっとタケシのリュックサックからは大きな毛布が引き摺り出され、並んだ寝袋の上へ重ねられる。
これで、小さな寝床炉は完成した。

ヒカリ「出来た!…私、大勢で並んで寝るって言う事があまり無いから…一度やってみたかったんだよね。小さな頃みたい」

毛布の上へ身体を伸せながらヒカリは言う。
考えれば、俺もあまり並んで寝るなんて事をした事が無かった。
幼い頃、母さんやシゲルと並んで昼寝をした記憶は別として。
大きくなってからの、そういう記憶は無い。
当然といったら当然だが。

カスミ「私は姉さん達と昔からよく並んで寝てたなぁ…」
ヒカリ「私もまぁケンゴやユモミ…幼なじみと一緒に寝た記憶はあるんだけどね」
タケシ「俺は今も昔も変わらず大人数だよ」

そして、早く皆寝転がって!と言うヒカリの声に吊られて俺達も無造作に寝袋の上へ転がった。

タケシ「なんか大きな子供を沢山もったみたいだなぁ」
ヒカリ「…おとうさーん!」

甘えた声を出してヒカリはタケシの方へ転がる。
笑いながらもヒカリを撫でるタケシの図は、まるで本当の親子の様だった。

189ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 17:05:22.80 ID:r6WMk0oEO

カスミ「あら…本当に寝ちゃったのね」
サトシ「やっぱり子供だなぁ」
タケシ「サトシ…お前もそろそろ眠くなって来たんじゃないか?」

お前の頭も撫でてやるぞ…とふざけるタケシの横では、ヒカリが既にすやすやと寝息をたてていた。
俺は撫でられるなんて事、されたくも無いが眠くなって来た、と言うのは本当だった。
間延びしたあくびが出る。
俺の背後でカスミがくすくす笑うのが聞こえる。

カスミ「お、こ、ちゃ、ま」
サトシ「うるさいなぁ…どうせ…カスミもねむいんだろ…」
カスミ「あたしはまだ平気よお…」

そう言った矢先、カスミからもふぁ…とあくびが出る。
今度は俺が笑ってやると、ふんとそっぽを向いて毛布にくるまってしまった。
ヒカリの向こう側のタケシも苦笑いしながら毛布に入り込む。
気付くと、タケシ、ヒカリ、俺、カスミの順で横になっていた。

ピカチュウが、俺の上で丸くくるまると、二回目のあくびが出て俺は目を閉じた。

190ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 19:20:50.88 ID:NrKz592N0
しえん
191ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 20:17:55.65 ID:OJtPGGOQO
しおん
192ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 21:20:47.81 ID:9TQDa5C2O
試猿
193ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 23:10:47.20 ID:B7A5vJ3Vi
s
194ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 23:33:28.71 ID:BoKtDh1/0
i
195ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/25(日) 23:46:19.73 ID:g5H0ZeV1O
e
196ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 00:24:25.78 ID:jcSbRMgA0
n
197ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 00:35:41.29 ID:Q4qEmpTn0
198ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 00:37:41.84 ID:pjx0d5d4O
これみるとアニメヒロインのアンチがかわいそうに思えてきた
199ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 01:16:07.59 ID:QgbQ76wD0
稀に見る良スレ 支援
200ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 06:57:34.33 ID:F/wbsXldi
パープルヘイズ
201ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 07:45:08.71 ID:A1uG44c8O
ピカチュウ
202ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 07:48:56.44 ID:J/EOnXWRi
これはいい

支援
203ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 10:30:58.34 ID:ejzI7NPA0
24のカスミか・・・
どんな感じなんだろうな
204ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 17:06:56.22 ID:Q6jiBh7wO
しえん
205ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 17:11:13.50 ID:vmgx6OvX0
>>200
深紫乙。
206ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 18:19:51.46 ID:ZgUr2lnf0
支援
207ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 18:26:26.03 ID:sIpmAB0BO
これは良スレwww
支援
208ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 19:45:50.35 ID:SahBCCVU0
此処で癒されるのが1日の楽しみだ!

支援
209ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 20:09:02.44 ID:sIpmAB0BO
なんだろうこの懐かしさ
胸が暖かくなる………キャタピー可愛いよキャタピー
210ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 20:19:30.10 ID:36c8uKJ5O




暑い。苦しい。
この圧迫感は何だろう。
確か、俺達は今日横に並んで寝ていたはずだ。
俺の上に乗っているのはピカチュウか?
いや、それにしては俺の背中から足にかけて重みがかかるし、暑さは消えない。
大体、今は何時頃なんだろう。
一度寝てからそんなに時間はたっていないように思う。
暑い。苦しい。

サトシ「うう…」

目は覚めきった。
頭も次第にはっきりしてくるに連れ、今の自分の状況が理解できる。

サトシ「あれ…ヒカリ…?」
ヒカリ「むにゃ…」

目が暗闇に慣れて見えたのは、ヒカリの顔。
この暑さは、ヒカリが目一杯俺にくっついて寝ていたからだったのか。
しかし、ヒカリを移動させようとしてもびくともしない。
ふと、後ろをみると、今度はカスミの顔が近くにあった。

サトシ「カ、カスミ…?…なんなんだよお前ら…」
カスミ「くぅ…」

カスミは全身を俺の背中に預けている。
目の前のヒカリがびくともしないのは、俺の体をまたぐようにしてカスミとヒカリがしっかりと手を繋いでいたからだった。

サトシ「暑い…苦しい…だ、誰か…!」

必死に、もがきながら両手をあげる。

211ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 20:24:07.89 ID:5CleTJAu0
サトシ!俺と変わるんだ!今すぐにでも!!
212ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 20:34:35.79 ID:30c4Mt/t0
なにを言う!ここは俺が引き受けた!!
213ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 20:42:48.88 ID:36c8uKJ5O

もがけばもがくほど、ヒカリとカスミはがっちりと手を繋ぎ、苦しさは絶頂に達する。

…ああもう俺の寿命も此処までなのか。
死因が圧死とはあまりにも情けないぜ。
せめて最期に、ハルカの晴れ姿を拝みたかった…

瞬間、俺の腕が引き抜かれて体が一気に楽になる。
大きく呼吸をすると、目の前にはタケシが座っていた。

タケシ「なにやってるんだよ、サトシ…」
サトシ「タ、タケシ!助かった…ありがとう」

どうやら、タケシが俺を引っ張りあげてくれた様だった。
暗がりの中でタケシは呆れ返ったようにこちらを見ている。

タケシ「火が消えていたからな、起こそうと思っていたところなんだよ…サトシは一体何をやってたんだ?」
サトシ「お、俺は普通に寝てたんだよ!…でも急に暑くなるわ、苦しくなるわ…目覚めたら二人に挟まれててさ」
タケシ「どういう状況だ、それ…」
サトシ「俺が聞きたいよ…」

やれやれ、とタケシは腰を浮かして薪に火をつけなおす。
ボッ、と小さく揺れる火が俺達の周りをゆらゆらと照らしはじめた。

タケシ「見てみろ、二人で仲良く手を繋いで寝てるよ」
サトシ「まるで姉妹みたいだな。がっちり繋いでる。…あの間に俺がいたのか…」

明かりがついて、再度俺が寝ていた場所を確認すると、すでに俺がいたはずのスペースが無くなっていて、変わりにヒカリとカスミが寄り添ってねていた。
あの間に俺がいて、あと少しで圧死だったのかと思うと、身震いがする。

サトシ「なぁタケシ…」
タケシ「どうした?」
サトシ「今度はタケシの隣で寝て良いか?」

タケシは薪をくべながら苦笑いを返すと、「火の調子を見終わってからな」と言った。

214ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 21:16:03.02 ID:36c8uKJ5O

タケシ「…俺もさ、」

火の具合を見ながらタケシは言う。
返事をする変わりに黙って先を促した。

タケシ「…歳をとったなって思うんだよ」
サトシ「あれから14年も経つもんな…そう実感するのもあたりまえだよ」
タケシ「そう思うのは、年月だけじゃないんだけどな」
サトシ「どう言うことだ?」
タケシ「…子供は直ぐに大きくなる」

タケシの細い目には小さく…ほんの少しだけ皺が見える。
沢山の子供やジムの仕事に追われて、年月の過ぎる速さより、子供の成長によって自分が歳をとる事に気付くのだろう。

タケシ「ハルカもなぁ…はじめて会った時は10歳だったのになぁ…」

ハルカの結婚式に、仲人として出席する。
昔からのハルカを知っているだけあって、やはりタケシも今回の結婚には最初戸惑った様だ。

サトシ「俺だって、ハルカが結婚だなんてまだイマイチ実感がわかないさ…自分の事だってまだなのに」
タケシ「自分の事、か。…サトシも結婚を考えるようになったんだな」
サトシ「考える…なんてぼんやりとだけどな。でも、俺には一生無理そうだよ。恋愛経験のひとつも無いのにさ」
タケシ「恋愛ね…案外近くにそう言う相手は居るもんだぞ」
サトシ「だと良いけどなぁ…」
タケシ「とか言ってるうちに、カスミもヒカリも嫁にいっちゃう様になっちゃうよ」
サトシ「カスミもヒカリも、ね…でもヒカリはともかくカスミも誰か知らない奴の嫁に行くなんて考えられないや」
タケシ「ほう…どうしてそう思うんだ?」
サトシ「だって…さ。いつも俺の自宅に出入りしてるし、何でだろ。あんまり想像できないよ」
タケシ「……そうか…」

薪を並べた中の火は、もうだいぶ安定し、タケシは黙って寝袋の方へ横になる。
俺も後に続き、今度はタケシを内側にして俺も横に並んだ。

タケシ「明日もまた洞窟内を歩くからな。しっかり寝ておけよ」
サトシ「ああ…おやすみタケシ」
タケシ「おやすみ…」


俺は再び目を瞑る。
さっきの会話の答えを、考える暇無く深い眠りが俺を襲ってきた。

215ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 22:29:08.24 ID:Bqk1vYYhO
サトシ羨まww
216ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 22:35:24.93 ID:pjx0d5d4O
支援
217ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/26(月) 22:48:47.14 ID:kP58OtBD0
久しぶりの良スレだな
支援
218ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 00:27:40.47 ID:KRl1ORhu0
あぁ、此処の空気ホント好きだわ

支援
219ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 01:21:46.94 ID:4o+QVAcqO
カスミとヒカリの間…


ふぅ…
コイルってどうやって浮いてるんだろ
220ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 02:15:06.43 ID:rvefkLtti
最近の楽しみだぜ!
支援
221ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 08:40:38.79 ID:2NOnExm/O
おいついた
おはよう紫煙ノシ
222ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 09:25:11.34 ID:h/73JOHPO
ほのぼのしていいなぁ
223ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 09:30:23.47 ID:s3ziywOnP
ピカチュウに落ち着きが出てるところがなんとも…
支援
224ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 09:43:53.99 ID:Vn8rvuD3O

俺は、ある草原を歩いていた。
そして、これは夢だと自覚していた。
何故なら、一緒に歩いているのはタケシとカスミだけでなくケンジやハルカとマサト、ヒカリも並んでいたからだ。
不思議と夢の中でも照らす太陽の気持ちよさを感じる。
気持ち良い。
かつて共に旅した大事な仲間達は当時の姿のまま。
よくみると俺も10歳の姿で、ヒカリと同年代の様だった。

『なぁかけっこしようぜ!』
『じゃあ誰があの木のしたまで行けるか、競争ね!』

草原は長く広い、そう思ったら急に小高い丘が目の前に出来て、大きな木が聳える。
俺達は、揃って木に向かって走り出した。

『風が気持ち良いかも!』

ハルカが叫んだ。
俺より背が低くて、体力も俺の方があるはずなのに、誰よりも速く、風の様に走り抜ける。
走っても走っても、追い付けない。

『私が一番のりね!』

ついにハルカが木にタッチして立ち止まった。

『じゃあ、私は先に行くから。次に行かなきゃいけないの』

ハルカが木に触った途端、目の前のハルカは10歳の姿から大人の姿に変わる。
伸ばした手は、いつの間にか木では無くいつ現れたのか、人の手を握っていた。

『俺はどうしたら良い?』

ふと、10歳の姿のままの俺はハルカに叫ぶ。
丘の上にはまだたどり着けない。

『俺は、どうしたらそこまで行けるんだ?』

ハルカは、困った様に笑いながら、チラリと横を見た。
隣には、シュウが居る。

『サトシは…自分で見つけなきゃ!!…それか…別の道を見付けるの』

ハルカはシュウと並んでそう笑う。
ふと、その横にはタケシが見えた。
タケシも、木に触れた途端15歳から今の大人の姿に変わる。
木の上から沢山の子供が降りてきた。
続いて、ケンジ、マサトも木に触れようと近付いて行く…



俺は、木どころか丘にも登れなかった。

225ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 10:22:08.56 ID:Vn8rvuD3O


カスミ「トシ……シ……サトシってば!!」
サトシ「うわぁ!」

目が覚めると、薄暗かった洞窟内にほんのりと明かりが戻り朝の訪れを感じさせる。
目の前にはカスミが腰に手をあてて、仁王立ちで立っていた。

ヒカリ「もうサトシってば起きるのが遅いんだから…それに、何かうなされてたよ?」
サトシ「うなされてた?」
ヒカリ「うん。ずっと…何処かに行かなきゃ、って言ってた」
カスミ「あんたは何処かに行く前にハルカのところに行かなきゃなんないでしょうに…」
サトシ「何処かに行かなきゃ…?……そうだ、ハルカのところに行かなきゃ!!」

毛布をがばりと飛ばして起き上がり、あたりを見回す。
既に、俺意外は全員起きていて出発する準備も万端だ。
ピカチュウがずっと俺を起こそうとしていたのかピリピリと腕に電流を流してくる。

サトシ「起こそうとしてくれてたのか…ごめんなピカチュウ」

立って寝袋を仕舞い込みリュックサックの中へ詰める。
何かまた夢を見ていた様だがもうはっきりと思い出せない。

俺も準備を済ませて、さあ出発…となるところ、カスミに寝癖を指摘された。
なかなかの剛毛の俺の髪は、カスミが持っていた櫛の歯を数本ダメにしてしまう。

ヒカリ「ポッチャマ、バブルこうせん!」

予告無くヒカリが俺に大量の泡を浴びせてくる。
毎朝、ヒカリがポッチャマの泡で髪を整えているのは知っていたが、まさかそれが俺にあてられる日がくるとは思わなかった。
おかげで、確かに寝癖は直ったが暫く艶々、サラサラとする自分の髪と付き合うのに違和感を感じた。

タケシ「さて、準備も済ませた事だし…」

タケシが背中の荷物を背負いなおしてそう歩き出す。

サトシ「あ、おい…朝ごはんは?俺お腹空いちゃったんだけど…」

タケシは、鞄のポケットから保存食を取り出して渡す。

タケシ「悪いけど、急ピッチで進むぞ」
カスミ「そうよ。誰かさんが寝坊するもんだから予定が大幅に遅れちゃったのよ!」
ヒカリ「私達はもうとっくに済ませちゃったんだからね」
サトシ「わ、悪かったって…」

袋を破って一口かじる。
特有の乾燥した匂いとしょっぱさが見に染みた。

226ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 11:38:01.33 ID:vWAt/BVu0
支援!
227ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 11:39:31.96 ID:ixtIXWjiO
支援!
wktk
228ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 12:21:19.10 ID:8Ttdi1uiO
支援
229 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/27(火) 14:05:16.50 ID:brsm2+jP0
カスミ「そうだ!…今度はヒカリがサトシ達と旅してた頃の事を話してくれる約束でしょ?」
ヒカリ「そーんな約束してたっけなぁ?」
カスミ「私との約束を破るなんてなかなか良い度胸だと思わない?」
ヒカリ「もう、冗談冗談!ちゃんと話すよぉ」
カスミ「じゃあお願いね」

暫く歩いていると、カスミがそう切り出してヒカリの話が始まった。
ヒカリと旅していた頃の話。
実際にはまだほんの1年前まではヒカリと旅をしていたから、あまり懐かしいと言う感覚はない。
それでも、ヒカリは今の近況を交えてカスミに話していた。

サトシ「自転車の下りはもう無くていいんじゃないかな…」
カスミ「だーめ!…ねぇヒカリ、続きを教えて?」
ヒカリ「うん。私の自転車はその時のピカチュウの電撃が直撃したんだけど…」
タケシ「とことん壊すなぁ」
ヒカリ「でも全然気にしてないからだいじょうぶ!ピカチュウも全然悪くないからねっ」

ピカピカと、しっぽを揺らすピカチュウにヒカリは声をかける。
俺の肩に乗っていたピカチュウは元気に返事を返した。

ヒカリ「それで…その後から私達の旅が始まったんだ」
カスミ「そうだったのね。…ねぇ、ヒカリもコンテストをやっているでしょ?」
ヒカリ「うん。まぁね」
カスミ「コンテストで大変な事ってなんなの?」
ヒカリ「そうだなぁ、やっぱりどうやってポケモンを魅せられるか、かな?」
サトシ「コンテストと言えば、俺も何回か出場したんだぜ?」
タケシ「そうそう、俺もな」
カスミ「あんた達結構なんでもやるのね…」
ヒカリ「カスミも、やってみたら?」
カスミ「私は水中ショーでもうじゅうぶん!…でもきっとコンテストも大変よね。一人旅だって」
ヒカリ「うん。最初はどう魅せていいか難しい課題が多かったもの。今でこそ一人で旅もできるけどさ、…やっぱり悩む時は一人だとさみしいかな」

230ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 17:20:59.85 ID:/vmUjWbdO
しえーん(^o^)/
231ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 19:00:12.37 ID:OM87TJxe0
和むわあ…
支援。
232ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 19:11:38.06 ID:8d3LzpQtO
楽しい
233ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 20:01:43.97 ID:N9S37ICc0
和むなあ 何かこいつら羨ましい
234ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 22:00:13.55 ID:2NOnExm/O
CCC
235ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 22:02:20.88 ID:+0MvSk7c0
夢の場面いいな
236ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 22:15:22.38 ID:rvefkLtti
夢のくだりやばいな
237ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/27(火) 23:45:50.52 ID:Vn8rvuD3O

タケシ「一人だと寂しい、か…」
ヒカリ「あっ、でももう今は大分慣れたし…大丈夫!」
サトシ「…と言ってる時が一番…」
ヒカリ「だから大丈夫なの!」
カスミ「寂しい時は何時でも電話してきて良いんだからね?」
ヒカリ「カスミまで…もう、本当に大丈夫なの。一人旅をしてみてわかった事だっていっぱいあるし。先輩のハルカだって一人旅を続けて来てたんだもん、私だってそうやって経験積んでいきたいよ」
サトシ「…なんか随分大人びたな」
ヒカリ「みんな本当に心配性で。…でも嬉しいっ!」

そう言ってヒカリはカスミに抱きついた。
さっきまで子供の様に振る舞っていたのに、急に大人びた発言をする。
大人でも、子供でも無い年代。
ヒカリはそんな時期にもうなっているのだろう。
一番輝いている青春を描いて。




ヒカリ「あっ…ねぇ、あれ出口じゃない?」
タケシ「ああ、そろそろこの長い洞窟も終わるよ」

ヒカリがそう指指す先には、小さな光が漏れていた。
時間帯として、昼頃。

サトシ「太陽ってこんなに眩しかったかなぁ…?」

丸1日近く洞窟内に居た俺達にとって、太陽の光はとても眩しく見えた。
光は近くにつれ、段々と大きくなる。

ヒカリ「出たー!!」
カスミ「長かったわ…」

ついに、俺達は洞窟を抜け出した。
今まで通っていた洞窟を振り向くと、入った時と同じようにディグダがこちらを向いている。

サトシ「じゃあな!」

洞窟に向かってそう叫ぶと、ディグダが小さな穴に引っ込んだ。


238ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 00:11:07.80 ID:6gemJBsEO


クチバは、船に乗って行き交う人達で溢れていた。
もうじき俺達もあの人混みの一部となる。
まずは、タケシがホウエン行きの船のチケットをとりに行き、俺達ははぐれないようクチバジムの横で大人しく待っていた。

サトシ「クチバジムか…懐かしいなぁ」
カスミ「今はジム、おやすみ中みたいね」
ヒカリ「それにしても、クチバって広い街なのね。早く船に乗りたいなぁ」

ヒカリはうん、とつま先立ちになりタケシを探す。
俺も船着き場のチケット売り場に目を凝らすが、すごい人混みで確認する事ができなかった。

カスミ「いつ見ても船は大きいわね」

これにあそこで並んでいる人達全員乗るんでしょ?とカスミは船の乗客数に感嘆している様子だ。
そして、その人混みの中からあの慣れ親しんだ顔が出る。

サトシ「タケシ!」
ヒカリ「おーい!お帰りなさい!」

手を振って呼び掛けると、タケシは走ってこちらに向かってきた。

タケシ「はぁ…はぁ…30近くで走るのは辛いものがあるな。…ほら、チケットだよ」

ご苦労様、とチケットを受けとるとホウエンカイナ行きと大きく書かれていた。

ヒカリ「カイナって、シュウとハルカがそこに新居をたてたところだよね?」
タケシ「ああ、でも今回の目的地はトウカだからな。一度そこで船を乗り換えてトウカに向かうんだ。…ハギ老人が、大々的に船を運用する事にしたらしい」
サトシ「って事はカイナからトウカまで歩かなくても良い様になったのか。…便利な世の中になったものだなぁ」
カスミ「ほらほら、またオジサンみたいになってるわよ。…それで、船の出港時間は?」

船は3時に出港。
今はちょうどお昼時だから、乗り込むまでにはまだ少し余裕がある。

取り敢えず、俺達は昼飯をとる事にした。

239ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 00:16:59.97 ID:ImhIj0QDO
支援
240ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 01:23:35.62 ID:LoTDgIKSi
良スレ支援
241ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 01:23:38.07 ID:iH886RR80
shien
242ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 01:41:08.57 ID:Tov0ivUL0
しーええん
243ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 02:58:22.85 ID:uFblssjzO
しえん
244ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 07:43:32.68 ID:gVWxjJ7jO
おはよう支援
245ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 09:12:58.70 ID:hL7mOGd10
支援
246ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 10:04:28.02 ID:6AbHKkUV0
支援
247ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 10:26:27.29 ID:ImhIj0QDO
支援
248ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 10:41:59.06 ID:pp8eu4Q1O
こんにち紫煙

249ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 11:20:17.35 ID:6gemJBsEO

ヒカリ「もぎゅ…これ美味しーい!」
サトシ「がつがつ…ふぁ、本当にうまいな…がつがつ…おかわりー!」
カスミ「もっと綺麗に食べなさいよ」
タケシ「まぁまぁ…1日ぶりのまともな飯だからな」

船乗り場近くの食堂では、船乗りがたくさん集まっていた。
俺達も、その中に混じって定食を頼む。
空腹も手伝って、そこの料理は素晴らしく美味しいもののように感じた。

ヒカリ「あー、ハルカも連れてきて一緒に食べたいなぁ」
サトシ「でも今頃シュウと何か美味しいものでも食べてるんじゃないか?」
カスミ「それか家で料理でもしてるわよ。…でもこうやって揃って食べたいわね」
タケシ「…明後日にはハルカに会えるだろ?」
ヒカリ「そうだね。ハルカに早く会いたいなぁ」

ウェディング姿ってどんなのだろうね、とヒカリが言う。
よく考えて見ると、俺はウェディングドレスと言うものを見たことがなかった。
白いドレス姿、と言うのはシゲルの説明で聞いた事がある。

サトシ「ドレスか…きっと似合ってるだろうな」
カスミ「そうね…楽しみだわ」

250ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 11:42:28.52 ID:BSDcnxj+0
詩媛
251ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 12:32:28.31 ID:aUebNKKJ0
支援!

252 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 14:11:22.55 ID:RNjNEV+K0

昼ご飯を食べ終わった俺たちは余った時間を持て余していた。

タケシ「乗船時間まで1時間半ほどあるが…」
ヒカリ「あっ、じゃあどこかそこら辺でお買い物したーい」
サトシ「買い物!?もう買うものなんて無いだろ…」
カスミ「でも時間を潰す良い機会よ。ねぇ、いきましょうよ」
タケシ「そうだなあ…じゃあ自由時間を作って…1時間後にまたあのクチバジム前で待ち合わせにしないか?」
ヒカリ「さんせーい!」
サトシ「それだったら良いかな…」

自由行動だったら、買い物に付き合わされることもなさそうだ。
1時間何をするのか決まっていないが、とにかく暇を潰そう。

ヒカリ「じゃあカスミ、いきましょう!」
カスミ「ええ…じゃあサトシ、あとでね」
サトシ「ああ、二人ともいってらっしゃい」

二人は仲良く人混みに混じって行き、残されたのは俺とタケシだけだった。
タケシにこれからどうする?と目線で訴えてみる。
視線に気付いたタケシはポケモンセンターを指してこういった。

タケシ「悪い…ちょっと電話してきてもいいか?ほら…気になっててさ」
サトシ「ああ、そっか」

タケシは12人の子供をニビに置いてきている。
タケシの弟妹がつきっきりで世話をしていてくれているそうだが、
気になってしまうのは親心というものなんだろう。

サトシ「いいぜ。どうせだからゆっくり話して来いよ。俺はピカチュウとそこら辺をブラブラしてるさ」
タケシ「悪いな、恩に着る。…じゃああとでな!」
サトシ「おう」

タケシもポケモンセンターの方へ歩いて行く。
とうとう残ったのは俺一人だけだったが別段気にすることも無く、ピカチュウを連れて街を歩いていた。

253 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 14:28:58.10 ID:RNjNEV+K0
ぶらぶら、あても無く歩く。
ジム戦を目指して日々一人で旅をしている俺にとってあてもなく歩くというのは新鮮なものだった。
街はいかにも世界中を旅しています、といった風貌のジェントルマンや
家族旅行と思わしき家族、カントーの山をのぼるのか登山家や勿論船乗り達で溢れていた。

サトシ「この街で今一番暇してるのは俺くらいかな」

ピカチュウは黙って俺の肩に乗っている。
ボールからでて行動するポケモンが珍しいのか、子供がこちらを見て手を振った。

子供「ママ見て!ピカチュウがお兄ちゃんの肩に乗ってるよ!」
母親「あらあら本当…とっても懐いてらっしゃるんですね」
子供「ボクも大きくなったらピカチュウと旅したいんだ」
サトシ「そうか、俺の初めてのパートナーがこのピカチュウなんだ。きっと良いパートナーになるよ」
子供「うん!」

そして子供は母親に手を引かれて人混みに紛れていく。
よく見るとその子供の頭にはピカチュウのお面がのっていた。

サトシ「俺にもあんな時期があったなあ」
ピカチュウ「ピッカ、ピカチュウ」
サトシ「いまじゃ本物のピカチュウを肩にのせてるよ」
ピカチュウ「チャアー」

そしてまた俺も人混みにまぎれて歩き出す。


だが、その瞬間、にぎやかな街に戦慄が走った。

『キャアアアアアアアアア!!』

後ろから女性の悲鳴。
まさかと思い、振り返ると先程の母親が空を見上げて叫んでいた。

254ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 14:30:40.82 ID:Tov0ivUL0
しえん
255 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 14:39:54.09 ID:RNjNEV+K0

母親「子供が…!私の子供が…!」

駆け寄って、俺も空を見上げる。
母親が指さす先には、なんと巨大なマジックハンドと思わしきものに
子供が捕まってこちらに手を伸ばしていたのだ。

子供「ママー!助けて!!」
サトシ「あの…マジックハンドは確か……待ってろ!今俺が助けに行く!!」

あのマジックハンドには確かに見覚えがあった。
そしてそのさらに上空を確認すると・・・・・ニャースの気球。

ロケット団の、『R』の文字。

サトシ「やっぱりあいつらか…!でも、どうして此所に…?」

それに、ポケモンを狙うならともかく、捕まえていたのはただの子供だ。
しかし考えている暇はない。俺は、人混みを掻き分け、必死で進む。
思うようには進めないが、それでも必死で駆け抜けた。

子供「恐いよ…お兄ちゃん!!」
サトシ「大丈夫だ、あまり下を見るな!!今…そっちに…行ってやるからな!」

やがてどんどん気球は上に向かい、子供は恐怖から逃れようと必死で目を瞑る。
こんな時に。
俺はポケモンをピカチュウ一体しか連れていなかった。
気球とも距離はどんどん開く。開いていく。

こんな時は…ロケット団になんろ言うんだっけ?
俺は、咄嗟にこのフレーズが頭に浮かんだ。
これなら、ロケット団を留められるかもしれない。

サトシ「……なんなんだお前らァ!!」

256 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 14:53:27.76 ID:RNjNEV+K0
すると、上昇を開始していた気球がふいに止まった。
しめた。
やはり昔からこのフレーズにロケット団は弱い。

『なんなんだ!の声を聞き…』

この張りのある声。

『光の速さでやってきた…』

確かにあいつらだ。

サトシ「やっぱりお前らだな!ロケット団!」

決め台詞も途中で俺は叫ぶ。
今はそんなセリフを聞いている暇は無かった。

ムサシ「風よ!…ってなによ途中で邪魔をして…ってジャリボーイ!?」
コジロウ「なんだって!?」

気球の上から、あのスタイルのロケット団が顔を出した。
ニャースも居る。
ロケット団に会うのも久しぶりだが、突然の登場に驚いている暇は無かった。

サトシ「子供を返せ!」
ムサシ「子供ですってぇ?私達が捕まえたのはピカチュウよ!」
サトシ「違う!よく見ろ!ピカチュウのお面を付けた子供!」
コジロウ「なんだ…?……おい、ムサシ見ろ、本当だ!!」
ムサシ「子供!?まさか……本当だったわ…」

どうやらピカチュウのお面を被った子供を間違えて浚ったらしい。
子供はずっと怯えている。早く助けなければ。

257ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 14:55:25.05 ID:XbxC1w9G0
sienn
258 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 15:14:05.94 ID:RNjNEV+K0

ムサシ「しっかたないわね!返してやるわよ、ほら!」

ボタン一つで、マジックハンドはこちらに伸びてくる。
俺の上まで来ると、マジックハンドはポイ、と子供を投げてきた。

サトシ「うわっ!……っと!……大丈夫か?」
子供「うわぁぁぁぁん!恐かったよぉ!」
ムサシ「ややこしい格好してるこのガキがいけないのよ!」
コジロウ「そうだそうだ!」

ロケット団は反省の色も無い。
にらみつけてやると、背後から子供の母親が駆けてきた。

母親「ああ!無事だったのね…!」
子供「ママ!…お兄ちゃんが助けてくれたよ」

無事に子供は母親に返した。
今度は、俺がロケット団に仕返しをする番だった。

サトシ「ピカチュウ!じゅうまん…」
ムサシ「待った!!」

突然大声を出され、命令を止めてしまう。

コジロウ「子供の事は悪かったよ!本当に子供だって気付かなかったんだって!」

さっきまで横暴な態度をとっていたのに急に下手に出られる。
なにか企んでいるに違いないと、ピカチュウは戦闘態勢のままで続きを聞いていた。

コジロウ「まさかこんな所にジャリボーイが居るとは…いや、もうジャリじゃないか」
ムサシ「そうよ!不意打ちなんてずるいわよ!なんでアンタが此所に居るのよ!」

どうやら、俺が此所に居ることに納得いかないらしい。
確かにロケット団は此所最近俺を避けて悪事を働いていたように見える。

サトシ「そんな事どうだって良いだろ!」

今はそんな話何かしている暇は無い。
すぐさま戦闘準備にかかると………また声がした。


カスミ「サトシー!」
サトシ「カスミ!?それにヒカリも」
ヒカリ「どうしたの?…って…ロケット団!」

ムサシ「ななななななんでガール達もいるのよ!」
コジロウ「ちくしょう…こうなったら……」
ニャース「逃げるでニャース!」

気球は急激に上昇する。

259 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 15:26:45.14 ID:RNjNEV+K0

ヒカリ「また何か悪いことを…そうはさせないわよ!」

ヒカリはボールを投げてミミロップとポッチャマを繰り出す。
ピカチュウも並んで電撃を出させるが、もう気球は届かないほどに上昇していた。

カスミ「待ちなさい!」
ムサシ「だーれが待つものですかっ」

ヒカリはロケット団の方へ駆け出す。
続いて俺、カスミも走るが人間の足では気球に追いつけない。

ヒカリ「はあっ…はぁ……きゃあっ!」
サトシ「あぶない!」

上空をみるばかりで足下の石に気付かず、ヒカリは転んでしまった。
ヒカリの背負っていたバッグから何か飛び出す。

ムサシ「ついでにコレをもらっていくわね〜!」
ヒカリ「ああ、ダメ!それは…!」
コジロウ「なんだ?ぬいぐるみか?」
ニャース「とりあえずサカキ様に献上すれば…」

ヒカリのバッグから飛び出したものは、
俺たちが揃って作ったあのぬいぐるみだった。
260ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 15:28:32.33 ID:gPu2Y6xnO
ロケット団まで出てくるとは
支援
261 ◆JWPaeN65Rw :2009/10/28(水) 15:50:18.55 ID:RNjNEV+K0

ヒカリ「ダメ!それは大事な…!」
カスミ「返しなさいよ!…キャタピー、いとをはく!」

カスミはキャタピーを出したが、キャタピーの糸ではマジックハンドに届かない。
俺も、カスミもヒカリも、これ以上はポケモンを持っていなかった。

ムサシ「そんなに大事なものなら、奪うかいがあるってものよ!」
ニャース「これぞ本当の悪役ニャ!」

気球は上昇し、速度を増していく。
もうロケット団の声も良く聞き取れない程だった。


ヒカリ「ハルカの…ハルカの結婚式で渡すんだからぁっ!!!!」


ヒカリは大声でロケット団に叫ぶ。
すると、あんなに早かった気球がまた動きを止めた。

コジロウ「今…なんて言った?」
カスミ「ハルカの結婚式で渡すって言ったのよ!そのぬいぐるみを!」
コジロウ「これを…?あのガール、結婚するのか?」
カスミ「そうよ!言ってるでしょ!…返しなさい!!」
コジロウ「そうか…結婚するのか…」
ムサシ「なんですって?あのガキが…結婚?嘘も大概にしなさいよ!」

ロケット団はまたもや不測のニュースに混乱しているようだ。

サトシ「嘘じゃないよ!…シュウって知ってるだろ?コンテストに出てたお前達もよく知ってるはずだよ!」
ヒカリ「ハルカとシュウの結婚式なの!届けなきゃいけないの!!」

シュウの名前を出した途端、否定的だったムサシの態度も変わる。

ムサシ「初恋!初恋の子ね!!!」
サトシ「は、初恋…?……いいから早く返せよ!」
コジロウ「もうそんな歳だったのか…結婚…」
サトシ「だから返せってば!」

262ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 16:25:52.19 ID:+nNeotgKP
支援
263ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 17:21:22.62 ID:uFblssjzO
楽しみです
264ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 19:49:20.99 ID:6gemJBsEO

カスミ「何か全然聞いちゃ居ないわね」

それでも、ぬいぐるみを持ち去ってしまう動きも見せない。
結局、何も出来ない俺達はロケット団が次何をするのか、見守る事しか出来なかった。
ロケット団は何やらひそひそと話し合っている。

ムサシ「…よし!これで決定ね」
ニャース「まったくムサシもコジロウも急に何なのニャ」

暫くすると、ゆっくりと気球が降りてきた。

カスミ「…一体何を企んでいるの?」
サトシ「わからない…此処は攻撃せずに様子を見よう」

一定の距離を保って、ロケット団側から声がした。

ムサシ「あんたたちに話があるわ!……取引しない?」
ヒカリ「…取引…ですって?」

ムサシ「ええ、そうよ。これを返してあげる。そのかわり、私達をガールの結婚式に連れてって欲しいの」

カスミ「何を…」
コジロウ「いいか?これは取引だ。これを返すから、俺達を式場まで連れて行ってくれるだけでいい。その間、悪さはしないと約束しよう」

こいつらは一体何を考えているんだ?
しばし沈黙が流れる。
カスミやヒカリと顔を合わせるが、二人共何がなんだかわからない、と言った表情をしていた。

サトシ「…何で、お前らはハルカの結婚式に行きたいんだ?」
ムサシ「決まってるじゃない。乙女の夢だからよ!」
サトシ「乙女の…夢?」
ムサシ「そうよ。初めて好きになった人と結婚までするんだもの。白いドレス…チャペル…教会!!…良いわぁ私も素敵な人と結婚したいわぁ……と言うわけで本物の結婚式を見る機会なんて滅多に無いもの。見たいのよ!!」
カスミ「本当にただ見たいだけなのね?」
ムサシ「勿論、招待されてないんだから式場までのしあがったりしないわ」
コジロウ「俺も、ただみられるだけで良いんだ…」

ロケット団の主張は、『ただ結婚式が見たいだけ』に思える。
それだけなら考え無い事も無いが、なにせあのロケット団だ。
果たして、連れ行って式場を滅茶苦茶にしないとも限らない。

ヒカリ「サトシ、どうしよう…」
カスミ「やっぱり怪しいわよ、あいつら。…何考えてるかわからないし…」
サトシ「ふむ…」

265ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 21:07:54.37 ID:pp8eu4Q1O
ムサシとコジローはこの時何歳ぐらいなんだろ

しえん!!
266ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 21:28:40.61 ID:+nNeotgKP
仮にサトシより5歳くらい年上だとしても30…
267ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 21:40:45.00 ID:hEX/zxjkO
おまえの計算だとアニメ初登場時は15歳位になるぞ
最低でも10は離れてるだろ
268ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 21:54:56.11 ID:+nNeotgKP
でもそこまで離れてない気がするなあ
老けてるけど初登場の時も十代だと思い込んでる支援
269ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 22:40:16.11 ID:m4157BUn0
近来稀にみる良スレktkr
がんばれ!

しかし……なんでこんなに寂しい気分になるんだろう…
270ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 22:54:00.78 ID:b639TD9L0
SIEN
271ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 23:10:52.52 ID:6gemJBsEO
>>265
自分はサトシ達より10歳程度は離れてるんじゃないかな?と思って書いてます。
ムサシ姐さんの化粧はケバくとも髪おろすと若くも見えるし…って事でこのssでは34〜5歳位で
30代もまだまだ若いと思いますよ!

あと途中から支援が増えて嬉しいです。
なんとなくノリで書いてたけど、今は大体のオチまで考えてるのでのんびり見守ってて下さいな
272ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 23:33:44.08 ID:6gemJBsEO

ロケット団の言う事は、いまいち信用出来ない。
ハルカの結婚式を台無しにしたくない。
かと言って取引に応じなければぬいぐるみを取り戻す事は困難だ。
そうなるとヒカリが責任を感じて、それがまたハルカの結婚式に響くだろう。
また、タケシとの約束の時間…つまりタイムリミットも迫っていた。

ヒカリもカスミも静かに俺を見詰める。
きっとこの二人は俺の判断に委ねる気なんだろう。
ロケット団も、黙って俺を待っていた。

サトシ「…本当に、約束出来るのか?ハルカの結婚式を台無しにしないと」
コジロウ「ああ、誓える。絶対に邪魔したりなんかしないさ。影で見られるだけでも良いんだ」
サトシ「そうか…じゃあ、こうしよう」

・結婚式が終わるまで、ハルカやシュウ、家族の前に姿を現さずに、もしくは気付かれずに静かにしていて欲しい。
・また、船のチケットは俺達四人分だけしか無い。
カイナまでは気球を使うなり自力で着いて来て欲しい。目立たないように。

サトシ「これでどうだ?」
ムサシ「あたしは構わないわ。目立てないのは不服だけど、ウェディングが見られるなら我慢出来るもの」
コジロウ「俺もだ。よし、その条件で取引成立だな?」
サトシ「…ああ」

コジロウが気球から地面に降り立つ。
俺もピカチュウを下がらせると、ヒカリ、カスミも自分のポケモンを引っ込めた。

カスミ「あんたが決めたなら反対はしないわ…私も信じてみる」
ヒカリ「私も。背に腹はってやつかしら……今回ばかりは信用してみるしか無いわね」

コジロウ「さぁ、これがぬいぐるみだよ。…渡すんだろ?」
ヒカリ「ええ」

ヒカリがぬいぐるみを受け取った。
見たところ、破損は見受けられない。

ムサシ「じゃあこれから暫く宜しく頼むわよ」
サトシ「…絶対、だな。…宜しく」

時計を見ると、既にタケシとの約束の時間になっていた。
カスミが早くと急かす。
ロケット団もついでに着いて来て、俺達はクチバジム前へと急いだ。

273ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/28(水) 23:55:43.61 ID:Tov0ivUL0
しえーん
274ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 00:17:09.77 ID:7HrYtR9YP
wktk
275ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 00:17:16.95 ID:XTuCIXTXO
支援
276ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 00:42:56.19 ID:Ys2uzF/C0
1がんばれー!
277ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 02:29:53.42 ID:LkZoukJrO
支援
278ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 02:55:34.03 ID:7FzkMKb9O
wktkが止まらないw
279ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 09:03:17.20 ID:0RKgPqz4O
ロケット団を集合場所に連れていった時、タケシの反応は大して驚いていない様子だった。

タケシ「サトシが決めたなら、大丈夫だろう」

カスミやヒカリと同じように信じてくれる。
ロケット団はあのコイキングの潜水艦を利用して着いて来るらしい。
船に乗る前に、確認だけとって別れた。



ヒカリ「ひろーい!」
カスミ「やっぱり色んな人が居るわね」

船の中は予想通り広く、また客室から食堂まで多くの部屋が並んでいる。
ここからカイナまで半日程かかるが、客室は一部屋だけとった。

タケシ「明日の明け方にはカイナに着く。そこで、民宿やホテルに一泊して、明後日の朝カイナからトウカに向かおう」
ヒカリ「ロケット団も大変ね…ずっと潜水艦をこぎ続けなきゃ行けないのかしら」
カスミ「ロケット団の事だから、船底にロープでもくっつけて楽して進んでるわよ」

280ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 09:14:33.09 ID:7HrYtR9YP
大規模支援
281ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 10:00:33.29 ID:c1PQhfW5O
支援
282ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 10:23:47.63 ID:dYj3uiU9O
支援
283ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 11:55:54.99 ID:fqm5Gr34O
このSS好きだなぁ
支援
284ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 12:48:08.78 ID:bo546mX90
支援。
285ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 14:05:01.91 ID:c/C8L/eo0
支援!
286ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 17:48:29.92 ID:pIFykGEgO
支援
287ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 19:29:27.95 ID:f9Xp4OXDO
あげ
288ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 20:59:46.82 ID:cKWYQfL80
ポケモンアニメ、もう10年くらい見て無い筈なのに
なぜか風景が目の前に浮かんでくるようだぜ…
289ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 21:37:13.22 ID:UYolWELDO
ロケット団ってWikipediaによると25歳らしいな
290ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 23:27:49.28 ID:I3IThrXVP
支援
291ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 23:34:14.17 ID:0RKgPqz4O
>>289
mjdk
取り敢えず、ロケット団についてはあまり年齢的な描写は入らないと思うので、
お好きな年齢で想像して読んで下さい
292ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 23:47:01.74 ID:0RKgPqz4O

タケシ「ああ…こうしてベッドに横になるのも良いなぁ」
サトシ「二段ベッドだから幅は狭いけどな」

俺達に用意された部屋には、二段ベッドが2つと簡単なシャワールームがある。
タケシが一方の二段ベッドの下段に横になるので、俺ももう一方のベッドの下段に腰かけた。

ヒカリ「ああ、私さっき転んだ時に色々汚れちゃった…」
カスミ「怪我はしていない…ようね。よかった。シャワー浴びてらっしゃいよ」
ヒカリ「カスミも一緒に入ろうよ」
カスミ「残念ながら、此処のシャワールームはそこまで広く無さそうだわ」
ヒカリ「そっかぁ。…じゃあ私入って来るね」

ヒカリが、バスタオルを手に部屋から出ていく。
293ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/29(木) 23:54:35.64 ID:7HrYtR9YP
ヒカリの入浴シーン楽しみすぎる
294ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 00:59:24.62 ID:iPpeKcoe0
紫煙!!
295ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 01:16:09.17 ID:F8FOT6c9O
支援
296ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 09:07:51.29 ID:vD5695oDO
毎朝の支援
297ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 10:14:16.90 ID:QdUG6FygO
これ良いなあ
298ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 11:34:56.53 ID:fO5RABTdO
日本ペイント勤務の大坊サトシさんは関係ないだろ!
299ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 11:53:21.97 ID:qQwN0ZhKO
300ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 13:49:55.45 ID:YOMMKOlIO
301ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 13:54:31.44 ID:YMW06djkO
そして昼の支援
302ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 14:46:01.86 ID:DcyxixdsO
仕事前に支援っと…
303ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 17:04:46.02 ID:g4pCgfPcO
部屋にシャワーの水音が響き、カスミも一息吐いて俺の隣に座った。
先程のロケット団の事件で少し疲労を感じてるようだ。

カスミ「はぁ…」
サトシ「溜め息つくと一気に老け込むんだぜ」
カスミ「うるさいわね」
タケシ「…こうやって二人が並んでる姿を改めて見ると、やっぱりお前ら大きくなったもんだなと思うよ」
サトシ「そりゃ10歳のあのころとは違うんだしさ」
タケシ「だよなぁ」
カスミ「昔は私より身長小さかったのにね。…いつから抜かされたのかしら」
サトシ「15を過ぎたあたりからかな。しょっちゅう会ってた訳じゃないからわからないけど」
タケシ「結構伸びたよな。…殆んど俺と変わらない」
サトシ「実はタケシの身長を超すのがちょっとした目標だったんだけどなぁ」
カスミ「結局身長はタケシに敵わなかったわけね」
サトシ「カスミには勝てたからまあいっか」
カスミ「勝てて当たり前でしょ!」
サトシ「いやぁ、カスミを見下ろせるって気分が良いもんだぜ」
304ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 17:29:45.05 ID:RZyaCpuh0
ほほほ
305ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 17:33:12.07 ID:F8FOT6c9O
支援
306ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 17:44:52.44 ID:ujiJaJskO
いいなぁ穏やかだなぁ
307ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 18:52:27.33 ID:pIXoRkDQO
ほし
308ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 19:39:17.31 ID:1OViuH/fO
309ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 20:54:18.40 ID:1OViuH/fO
ほし
310ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 21:50:26.82 ID:g4pCgfPcO

ヒカリ『らんららーん』

シャワールームからヒカリの鼻歌が聞こえる。
それと同時にせっけんの匂いが部屋にも漂った。

カスミ「私も次はシャワーを浴びようかしら」
タケシ「ああ、そうした方が良い」

カスミは俺の横でゴロンと後ろに倒れる。
オレンジ色の髪が俺の視界に流れた。
何となく、その髪につられて視線を移す。

カスミ「あーもう疲れちゃって…って何見てるのよサトシ」
サトシ「いや…なんでも無い」

何故かその髪から目が離せなかった。
カスミが不振そうな目を向ける。

サトシ「あ…いや…髪伸びたよなって思って」

そう慌てて付け加えると、カスミはそうね、と自身の髪を触った。

カスミ「もうロングって言ってもいいかしら…パーマでもあてようかな?」
タケシ「なんだかサクラさんを思い出すよ」
カスミ「あ、わかった?…サクラ姉さんみたいになりたかったんだけど」
サトシ「ちょっとカスミじゃ程遠いな」
カスミ「悪かったわね!」

上手くごまかせた様で安心する。
それにしても、今カスミから目が離せなかったのは何故だろう。
昼飯に何か変なものが混ざっていたのかと一人でそう納得してみる。



暫くして、ヒカリが湯気をたたせてシャワールームから帰って来た。

311ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/30(金) 22:35:39.33 ID:g4pCgfPcO

カスミ「じゃあ今度は私が行くわ」
ヒカリ「行ってらっしゃーい」

ヒカリと入れ替わりでカスミがシャワールームへ入る。
ヒカリは自身の黒髪をタオルで乾かしながらさっきまでカスミが座っていた俺の隣に座った。

ヒカリ「さっぱりした」
タケシ「はは、気持ち良さそうだな」
ヒカリ「うん。二人も入ると良いよ」
サトシ「おう、あとでな」

ヒカリか部屋に入って来た途端から入浴後独特の温もりや香りが部屋中に漂う。

312ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 00:23:10.21 ID:bww9SEStO
捕手
313ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 01:36:30.49 ID:gYShTYtmO
支援!
314ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 02:28:55.51 ID:NZO0OgKpO
保守支援
315ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 04:12:36.85 ID:bww9SEStO
補習
316ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 06:14:49.54 ID:BpQ4PrDGO
支援です!
317ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 09:23:13.65 ID:TG05tjYp0
ヒカリの香りくんかくんかしたい支援
318ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 10:54:31.73 ID:cC6sodR6O

ヒカリ「ロケット団、今ごろどうしてるかな?」

ふと、ヒカリが思い出したようにそう言う。
ロケット団。

サトシ「あいつらは…まぁ何とかやってるだろうな」
ヒカリ「カスミもさ、そんな事言ってたけど案外必死で潜水艦を漕いで着いてきてるのかも…」
タケシ「ふむ…変なところで律儀だったりする奴等だけどなぁ」
ヒカリ「夕飯とか…だってほぼ半日何も出来ないのよ?ちょっと心配になってきちゃった」

ヒカリは部屋の窓から外を眺める。
見えるのは、海ばかりでロケット団の潜水艦がある気配は無い。
確かに、ヒカリが心配になるのも分からなくはない。
敵同士でも、今は休戦中であり、またハルカの結婚式を祝う気はあるやつらだ。

サトシ「様子…見てくるか?」

俺がそう切り出すと、ヒカリは元気よくうん、と返事をした。

タケシ「じゃあ俺は此処でカスミを待ってるよ」
ヒカリ「うん。じゃあ行ってくるね」

部屋を出てデッキへと向かう。
あまり人に見付かってもまずいが、怪しまれるのもいけない。
それとなく外の空気を求めるようにデッキへの扉を開けた。

幸い、誰も居ない。
319ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 11:03:34.41 ID:cC6sodR6O

ヒカリ「風が…強いね」
サトシ「ああ、海に落ちるなよ」

見渡せる限りの海には、地平線がただただ続く限りで潜水艦らしき影も見られない。
不安に思ったのか、ヒカリはギリギリまで身を乗り出した。

サトシ「おい、危ないだろ」
ヒカリ「だって…ロケット団は何処に居るのかしら」

そう身を乗り出しながら喋るヒカリは危なっかしい。
慌てて肩を掴んで支えた。

サトシ「でも船の後ろを潜水艦で着いてくると言ってたはず何だけどな…」
ヒカリ「ついてこられなくなってはぐれちゃったのかなぁ」
サトシ「……おーい、ムサシ!コジロウ!」

『ロケット団』ともし聞かれたとしたら騒ぎになる。
奴等の名前を呼んで、返事を待った。

320ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 11:17:57.39 ID:cC6sodR6O

サトシ「さすがに返事は返ってこない、よな…」
ヒカリ「……」
サトシ「…なぁ、もう部屋に戻ろう。あいつらは何だかんだ言っても丈夫だからさ。大丈夫だよ」
ヒカリ「私、まだ此処で探してみる」
サトシ「駄目だよ。こんなところに居て風邪でも引いたらどうするんだ?ロケット団は大丈夫だからさ、ほら…」

そう促してもヒカリは少しも動かない。
海をずっと見詰めたままだ。
仕方無しに、俺も他にロケット団が着いてくる可能性を考えた。

サトシ「……潜水艦で着いてくると言う線は低いかも知れない」
ヒカリ「どうして?」
サトシ「ヒカリも言ったろ?ついてこれなくなる、って。だから…あいつらは他の選択肢を選んだと思うんだ」
ヒカリ「他の選択肢…でも、他に方法なんてあるの?」
サトシ「気球じゃ駄目、潜水艦も無理があった…そうなれば…」

俺がそこまで言うと、ヒカリが顔を輝かせた。

ヒカリ「船内、ね!!」
サトシ「ああ、ロケット団の事だから従業員になっているかどこかにひっそりと隠れているか…」
ヒカリ「それじゃあきっと、お腹を空かせたら私達の前に現れるかもしれないわ!!」
サトシ「だから部屋に戻ろう。きっとその内現れる」



そうして、俺はヒカリを連れて船の中へ入る。
そしてその推理は見事に的中していたのだった。

321ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 11:30:26.87 ID:cC6sodR6O


ムサシ「あらボーイ達、おかえりなさい!」
ヒカリ「ロケット団!?」

部屋に戻ると、俺達を出迎えたのはタケシでもカスミでも無いロケット団だった。
二人と一匹は、明らかな変装をしている。

コジロウ「いやぁ、潜水艦だと限界を感じて船内に潜り込んだんだ。ほら、この格好…」
ムサシ「最初は従業員にでもなろうかと思ったんだけどね。堂々とお客の顔をすれば怪しまれないと思ったのよ」

その格好とは。
ムサシはゴージャスなドレスに身を包み、コジロウはスーツに薔薇をさしている。
ニャースは変装、と言うより首輪をはめてムサシの膝の上で横になっていた。

ニャース「これなら何処からどう見てもセレブの船旅行ニャ!」
ヒカリ「はは…ずいぶん派手ね…」
ムサシ「あたし程このドレスが似合う女は居ないわぁ」

ムサシは、煌めくドレスにうっとりとしながらそう話した。
毎回毎回、そう言った衣装は何処から持って来るのだろうか。
ヒカリは脱力してベッドに顔を埋めた。

ヒカリ「安心したけどなんかちがーう」
コジロウ「ガールどうしたんだ?大丈夫か?」
ヒカリ「だいじょばなーい」
サトシ「それより…タケシとカスミは?」

見る限り部屋にはロケット団と俺達しか居ない。

322ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 12:17:27.83 ID:RGKQDXRQO
リアルタイム支援
323ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 12:18:09.23 ID:zD9Eokm+P
超支援
324ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 12:29:09.13 ID:TwjLy+WWO
支援
325ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 12:42:08.71 ID:cC6sodR6O

ニャース「あの二人なら、ニャー達のご飯を取りに食堂まで行ったのニャ」
ムサシ「実はあたし達昨日からなーんにも食べて無かったのよね」
コジロウ「変装したといっても、食堂でご飯を買う金も無いんだ…お世話になってます」

タケシとカスミはロケット団の食事を買いに言ってる訳なのか。
ロケット団は大人しくベッドの隅に座って待っていたいた様だった。

ニャース「ちなみにおみゃーらと入れ違いなのニャ」
サトシ「じゃあ暫くかかるな」

ヒカリが横になっているベッドの隅に座りながら、コジロウはせっせと小さな鞄を漁っている。
どうやら、自分の荷物のようだ。

ヒカリ「…何やってるの?」
コジロウ「いやな、俺達寝る場所も無いもので…じゃーん」

コジロウが取り出したのは、ロケット団の『R』がポイントになった寝袋。
見ると向かい側のベッドに座っていたムサシとニャースも同様の寝袋を手にしていた。

ヒカリ「ね、寝袋?……まさか…」
ムサシ「船がカイナに着く間までの一晩!」
コジロウ「さらにお世話になります!!」
ニャース「お願いしますニャ!!!」
サトシ「はぁ…」

この調子だと、カイナについてからもきっとこうなるだろう。
ある程度予測はしていたがため息は出る。
「仕方無いなぁ」と言うと、ひゃっほうと喜びの声がロケット団からあがった。

326ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 13:41:04.63 ID:3RbA8io8O
支援
327ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 14:33:32.87 ID:NZO0OgKpO
支援
328ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 15:27:17.96 ID:5ZYm033+0
支援保守
329ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 17:08:23.71 ID:bww9SEStO
紫煙
330ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 19:01:35.11 ID:Bttywiv4O
保守
331ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 22:59:13.16 ID:Os9etHeCO
ほしゅ
332ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/10/31(土) 23:57:49.18 ID:BpQ4PrDGO
支援!
続きが楽しみだ…
333ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 00:31:34.71 ID:kR3llZWMO


カスミ「もう、全くあんたたちのせいで私が大食いに見られたじゃないの!」
コジロウ「いやぁ…悪いな、これ、うま、いぞ…がつがつ」
ムサシ「ご苦労様ぁ!もぐもぐ……っぷはー」

帰って来た二人が手にしていたのは、両手では抱えきれないほどの食材だった。
ロケット団は待ってましたとばかりに端から豪快に平らげて行く。
その凄まじい食欲に、昨日から食べて無いと言う事実がありありと出ていて、いくらか同情してきた。

タケシ「うまいか…そうか…よかったなぁ」
ニャース「もう幸せニャ!…がつがつもぐもぐ」
ヒカリ「そうね、幸せならなによりよ…たくさん食べてね!」

タケシとヒカリもロケット団の食べっぷりに同情の色を現す。
結局、数分のうちに食材は全て彼らの腹の中におさまった。

サトシ「さて、これからの事だが…」

ロケット団が満足気に腹をさするのを見て切り出す。
とりあえず、詳しく話し合う時間が俺達には必要だった。

カスミ「そうだわ、あなた達、カイナに着いてからも泊まるお金も宛も無いんでしょう?」
ムサシ「まぁ事実そうね」
コジロウ「でも何とかなるだろうと思うよ」
サトシ「…船にも不正侵入な訳だが、俺達もこうして匿っている時点で同罪だ。これ以上の事を犯してバレたら結婚式どころの騒ぎじゃないだろ?やっぱり、お前らを監視しなきゃいけないと思った」
ムサシ「まぁ…そうね。確かに悪さはしないって約束も破ってるも同然になっちゃったわ……でもあたし達にはこれしか無いのよ」
コジロウ「監視するって言ったって…どうするんだ?」
サトシ「お金も宛もない。だから悪さに繋がる。……ならハルカの結婚式が終わるまで俺が面倒を見る。どうだ?」
ムサシ「……あたし達には申し分の無い話だわ」
コジロウ「…迷惑かけっぱなしだが、これしか無いって事か…」

カスミが、それで良いのかと問い掛ける。
二人と一匹を数日担うだけの予算は、まぁギリギリ俺の財布から出せるだろう。

サトシ「ただし、絶対に最初の約束は守ってくれよ」


こうして、俺達の旅にロケット団が一時的に正式に参加する事になった。

334ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 00:56:12.13 ID:kR3llZWMO



ムサシ「あら、ジョーカーだわ」
コジロウ「ムサシ、言ったら駄目だよ」
ヒカリ「へへ…ジョーカーがそこにあるのは分かったわ!」
コジロウ「ほら…」
ムサシ「ババ抜きって難しいわね」

ゆったりとした船内。
もう日は開け始めたところだ。
太陽が昇りだす、薄暗い光の中で俺達はトランプゲームで暇を潰していた。

カスミ「これで私もあがり!」
ムサシ「キーッ!!何であたしばっかりいつもビリなのよ!」
サトシ「だって手持ちのカードを全部読み上げるからさ…」
コジロウ「筒抜けなんだよムサシ」
ムサシ「もう!!頭にくるわ。…次は神経衰弱しましょう。神経衰弱」

ムサシがやっきになってトランプを掻き回す。
しかし、その時急に船がボゥ、と音をたてた。

タケシ「…合図だ。もうすぐカイナに着くな」
ヒカリ「本当?とうとうホウエン地方に足を踏み入れるのね!!」
サトシ「じゃあ船から降りる準備を始めるぞ」

窓を見ると遠くにいくつも陸が連なっているのが見える。
しかし、その前に俺達はやらなくてはならない事があった。
ロケット団をどうするか。
船を降りる際に、俺達意外にロケット団がいたら確実に怪しまれる。
どうやって船からロケット団を降ろすのか、トランプをする前に皆揃って頭を捻って考え出したのだ。

サトシ「よし、じゃあこの中に入ってくれ」
ムサシ「狭いわね。…仕方無いわ、入るわよ」
カスミ「声は出さないよう注意してね」

それは、ロケット団が俺達の荷物として船から降りる事。
かなりベタだがロケット団そのものが隠れると言うにはかなり都合が良い。
ニャースは、喋らないようヒカリの腕にだかれて、ムサシとコジロウはタケシが持っていた大きめの麻布の袋に詰められた。

タケシ「到着したらすぐ、船の従業員が呼びにやってくる」
カスミ「バレないように荷物として運ばなきゃいけない訳ね…」
サトシ「タケシ、そっち側を…」
タケシ「ああ、こうだな。…よいしょ」

タケシと協力して袋を持ち上げる。
しかし、二人がかりではただ持ち上げるのがやっと。
何せ、大の大人が二人も入って居るのだ。

ヒカリ「駄目だわ、これじゃあ運べなくてすぐにバレちゃう」
カスミ「何か楽な方法は…これよ!」

カスミが、部屋から廊下に出たと思うと、何かをがらがらと引いてやってきた。
台車だ。

カスミ「船に乗る時、台車を利用したでしょ?なら、降りる時使ったって怪しまれないわ!」
タケシ「よし、まず乗せてみよう」

335ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 01:17:37.65 ID:umGhwHoN0
支援
336ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 01:37:54.49 ID:mEZZo3VPO
支援
337ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 03:11:36.38 ID:o7khTUuQO
今までの流れをまとめようかと思ってるんだけど
やる必要あるかな?
338ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 05:23:21.20 ID:1m113bh/O
保守
339ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 07:58:34.13 ID:lDTCNWhLO
保守
340:2009/11/01(日) 08:13:30.99 ID:kR3llZWMO
>>337
やってくれるなら嬉しいです。
341ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 10:17:25.03 ID:LaPcKjP7P
支援
342ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 10:39:49.00 ID:YhzBeQIVO
シエン
343ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 13:22:11.55 ID:p4+UHD73O
シエンタ
344ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 13:36:04.99 ID:ifS2FvH40
>>340
そんなことより早く続きを書く作業に戻るんだ!
支援
345ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 14:37:21.66 ID:kR3llZWMO
二人がかりで、袋を台車にのせる。
周りに、カスミとヒカリの荷物を一緒にのせると、見事に荷物の一部と化した。

サトシ「よし、これで船を出るまで大丈夫だな」
タケシ「問題は船を降りてからだが…仕方無い。取り敢えずこれで行くしかないな」

そして、台車に俺とタケシの荷物をのせた時、部屋のドアをコンコンと叩く音がした。
船の従業員がカイナへの到着を知らせに来たようだ。

従業員「まもなく到着となります。お忘れものの無いように…」

すでに台車に積み上げられた荷物を確認して従業員はそう言う。

346ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 14:50:18.93 ID:kR3llZWMO

従業員「まだ揺れていますので、足元に気をつけて下さい…出口はあちらになります」
タケシ「…よし、じゃあ行くか」
カスミ「そうね」

タケシが先頭を切って台車を押していく。
従業員は、他の部屋にも到着を知らせに行ったのか、俺達とは反対の方向へ行った。

ムサシ「……今の彼かなりイケメンだったわ」
ヒカリ「シッ!…静かにして…」

長い廊下を台車を押して歩く。
静かなだけに、小さな話し声も響き渡った。

やがて、アナウンスが船がカイナに到着した事を知らせる。
出口には、すでに何人か降りる客が集まっていた。

347ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 14:57:57.76 ID:9vNnZAe0O
これはラブコメやシリアス無しのほのぼのオンリーSS?
まあどっちにしろ支援
348ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 15:26:47.97 ID:KMr0NPGeO
わくてか
349ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 17:27:27.33 ID:umGhwHoN0
超支援 
350ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 17:57:27.41 ID:kR3llZWMO

降りる客はどれも台車を利用している。
船が、カイナの港へ着くと「足元にお気をつけ下さい」のアナウンスと共に客はぞろぞろと台車を押して船から降りて行った。
俺達も、それに続いて台車を動かす。
そろりそろりと動かして、地に降り立つと船員らしき人が台車を回収していた。

船員「船旅お疲れ様です。台車はこちらで回収しています」
タケシ「台車…ですね。今荷物を動かします」

ヒカリとカスミが俺とタケシの分の荷物を持つ。
そして問題のロケット団の袋。
これはタケシと二人がかりで何とか持ち上げる事が出来た。

船員「ずいぶん大きな荷物ですね」
カスミ「ええ…色々と買い物をしてしまって」
船員「宿泊場所までお手伝いしましょうか?」
サトシ「いえ、すぐそこまでですので大丈夫です…」
タケシ「そ、それじゃあ行こうか」
ニャース「ニャー」

台車をまだ不思議そうな表情を向ける船員に返して歩き出す。
焦りながら角を曲がり、船からこちらが見えなくなったところで近くの茂みの中へ入った。


サトシ「…っはぁ、よいしょっと!」

ドサ、と柔らかい地面に袋を下ろして声をかける。

サトシ「よし…無事にカイナに上陸したぞ。誰も見ていないうちに早く出てきてくれ」
ムサシ「いたた…もう乱暴ね」
タケシ「重かったから大変だったんだよ。悪く思わないでくれ」
351ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 18:02:21.35 ID:a55y/iaf0
支援
352ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 19:36:14.86 ID:b8axKlxK0
ほしゅっしゅ
353ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 20:46:48.44 ID:YhzBeQIVO
保守
354ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 20:55:44.59 ID:7JJVN5zQO
しえーん
355ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 22:21:07.13 ID:o7khTUuQO
356ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 22:22:40.87 ID:o7khTUuQO
357ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 22:34:37.68 ID:ZMUtjO6uO
>>356
えっ?
358ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 22:51:47.34 ID:7JJVN5zQO
今までの話を全部集めてくれたらしいw
359ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 23:13:42.78 ID:LaPcKjP7P
一瞬埋め立て荒らしが来たかと思ったwwwwww
支援
360ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 23:18:27.39 ID:sR5ZeVYY0
>>355->>356
そういうまとめかよwwwwww
361ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 23:53:00.96 ID:o7khTUuQO
なんかすまん
まとめない方がよかったかな
362ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/01(日) 23:53:56.85 ID:HFjjdrHk0
別に問題ないんじゃね?乙
363ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 00:05:15.29 ID:p3uvNDgZP

でも鯖に負担が・・・
364ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 01:04:02.70 ID:N894IekIO
>>355-356
まとめありがとう。
自分でも書いてて凄い量だと思ったよ…
ダラダラ続けてすいません。
あともうちょいでラストに入れるかと思います。
お付き合いよろしくお願いします。
365ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 01:29:56.64 ID:N894IekIO

ヒカリ「でも…やっとこれたのね!ホウエン地方!!何だか風が暖かいわ」
タケシ「ああ、ホウエンはシンオウと比べると暖かい気候だからな」
カスミ「見て、まだ朝早いのにもう海で泳いでいる人が居るわ」

落ち着いて、辺りを見回すとホウエンの暖かな風が俺達の間を通り抜ける。
遠くには高い山々、緑が茂りこの土地の豊かさを示していた。

コジロウ「此処に来るのも久しぶりだな」
ムサシ「本当、こんなところに住めるなんてガールもやるじゃない」

タケシが、町にたっているマップを見上げる。
今日1日俺達が泊まる宿は、船乗り場にも近い場所にあった。

サトシ「じゃああっちの方向だな…」

荷物を背負って浜辺を歩く。
海沿いに歩けば、宿はすぐに見えた。




女将「ようこそおいでくださいました」
タケシ「朝早くからすみません…二部屋予約していたものですが、少し人数が増えてしまいまして…」

宿では女将が俺達がやって来るのを待っていた。
最初の予約人数と違い、二人も増えてしまったが女将は迷惑そうな顔をするでも無く食事や布団をを二人分追加してくれる。
案内された部屋は二部屋、男女で別室だ。

サトシ「広いな!一晩だけなんて勿体無い位だぜ」
ピカチュウ「ピッカア」
タケシ「船乗り場も近いだけあって海も眺めが良い」
コジロウ「この畳の匂いも和むなぁ」

襖を開けて、部屋と言う部屋を行き来する。
俺のすぐあとをピカチュウが着いてきて一緒に室内探検をした。

サトシ「ちょっとカスミ達の部屋も行ってくる!」
タケシ「女性の部屋はちゃんと中へ入る前に確認しなきゃ駄目だぞ」
サトシ「わかったよ。行こうぜピカチュウ」

部屋を飛び出して隣の部屋の襖の前に立つ。

サトシ「おーい、中へ入っても良いかー?」

と叫ぶと「まだ朝早いんだから静かにしなさい!」と怒った口調のカスミが襖を開けた。

サトシ「だってタケシが確認しろって…」
カスミ「時と場合ってものがあるでしょ!…ほら、中に入っても良いわよ」
サトシ「お邪魔しまーす」
366ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 01:37:55.34 ID:N894IekIO

ヒカリ「あ、サトシだ!いらっしゃーい」
サトシ「おお、造りは俺達の部屋と逆になってるんだな」
ヒカリ「私もあとでサトシ達のお部屋に行っても良い?」
サトシ「おう、何時でも来いよ!」

部屋に入ると、ヒカリとムサシが向き合って座っていた。
目の前にトランプが落ちているあたり、またババ抜きでもしていたのだろう。

カスミ「ムサシがね、ババ抜き苦手だから練習したいって…」
ムサシ「もう、言っちゃ駄目よ!!男連中には内緒であとでメタメタに負かしてやる予定だったのに…」
サトシ「なーんだ、そうだったのか。なら、俺も練習に参加してやるよ」
ムサシ「……コジロウ達には内緒だからね」
サトシ「はいはい」

367ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 01:42:42.27 ID:p3uvNDgZP
ムサシのかわいさにおらの息子がおっきした
368ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 01:49:30.53 ID:QCdoNBctO
いいなあ。
好きだなぁ。
369ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 02:29:11.47 ID:5GFaGJeYO
もうすぐ終わっちゃうんだな・・・
370ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 02:35:43.91 ID:ZtB+GzQx0
支援支援
371ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 02:52:05.22 ID:6OO7oU9q0
俺も支援
372ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 08:01:18.90 ID:TEQyy0H2O
支援
373ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 08:59:46.92 ID:T5dhRyTpO
支援
374ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 09:00:16.54 ID:N894IekIO
結局、午前中いっぱいまでババ抜きの特訓は続いたが、ムサシの実力はあまり上がる事無く、室内の時計は昼時を知らせた。

ムサシ「おかしいわね、絶対に勝てるはずなんだけど…何故かしら…」
カスミ「だから全部口に出てるのよ…」
ムサシ「出てないわよ」
ヒカリ「出てるよ」
ムサシ「ああ…あたしの思った事を隠せない素直な性格が仇になってしまうなんて」
カスミ「本当、良く言うわー」

三人は特に時間を気にするでも無くまったりと話す。
俺は、いい加減にタケシ達の元へ戻ろうと立ち上がる。

ヒカリ「あれ?サトシもう戻っちゃうの?」
サトシ「ああ…ヒカリも来るか?」
ヒカリ「行く行く!」

いつの間にか寝入ってしまっていたピカチュウを起こさない様に、そっとヒカリは抱き上げると俺の後に着いてきた。

ヒカリ「いってきまーす」
カスミ「いってらっしゃい。私達は少し仮眠をとる事にしたわ。昨日からずっとトランプばっかで…ふぁ…」
ムサシ「トランプの練習は内緒にしてよね、ガール」
ヒカリ「はーい」

そう言えば、俺達は昨晩から一睡もして居なかったのだ。
俺は特に気にならないが、ヒカリはどうなのだろうと視線を送る。
ヒカリは「だいじょーぶ」とピカチュウを軽く頬で擦ってみせた。



男部屋は、やけに静かだった。

サトシ「おーいタケシー」

そう呼び掛けて扉を開ける。

ヒカリ「うわ…もしかしてこっちも仮眠中?」
サトシ「みたいだな…」

部屋の電気は消されて昼間なのに暗い。
それと、ある程度敷いた布団が乱れている事から結構な時間寝ていたようだ。

ヒカリ「みーんな寝ちゃったね」

ヒカリは、布団の上で鼾をかいているタケシの頬をつつきながら言った。
『殆んど30歳』の大人二人が寝ていた部屋は何かが隠った臭いがする。
窓を少し開けて換気をした。

サトシ「お、海で泳いでる人達が増えてるぞ。寒いと思ってたけど案外いけるもんだなぁ。皆寝ちゃったし、これから二人で海でも行こうか……ヒカリ?あれ?ヒカリ?」
ヒカリ「むにゃむにゃ…」
コジロウ「う〜ん…寒いよ…寒いよ…」

ヒカリの返事が無いので、振り向けばコジロウの布団の半分以上を占領してヒカリは寝入っていた。
大丈夫、と言っても本当はやっぱり眠かったのだろう。
ピカチュウも一緒に抱いたまま、安心したような寝顔だ。
そしてコジロウがあまりにも可哀想なので、新しく布団を出して上からかけてやる。


海には、一人で出向く事にした。
375ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 09:33:34.25 ID:N894IekIO


サトシ「風は冷たいな…朝は暖かかったのにな…」

薄着で海まで来たことを後悔しながら俺は浜辺を歩く。
浮き輪を持った子供連れや水着姿のカップルがちらほらと見受けられた。
だれも、皆誰かと寄り添って歩いていて、一人寂しく体をさすりながら歩く俺は酷く滑稽に思える。
せめて誰か起きていればなあととぼと海に沿って歩く。

サトシ「そう言えばハルカはどこら辺に住むんだろう」

カスミの話に寄ると、海がよく見える場所に新居を建てたそうだ。
此所から町の方を見ると、いくつかの民家が立ち並ぶ住宅街が見える。
きっと、あの辺りなのだろうと勝手に予測して俺はさらに先へ進んだ。

この海も、きっとハルカはシュウと二人で歩くんだろうな。
あの市場で買い物もするだろうな。
そう言えば、ハルカは料理は出来るようになったのだろうか。
二人ともコンテストで忙しいから家事は分担かもな。
…何だか幸せそうだなぁ…

サトシ「うわぁ、なんでだ。虚しくなってくる」

何故かこの町で幸せに暮らすだろうハルカとシュウを想像すると、
未だ一人で此所を歩く俺がどんどん惨めに感じる。
もう此所で一人で散歩するのは良くないと、俺は足早に宿へ戻る事にした。

376ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 09:35:57.63 ID:kBGuscS7P
支援
377ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 10:09:38.20 ID:2BXM6wwLO
支援!
なんてwktkするんだ!!
378ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 11:14:04.68 ID:T5dhRyTpO
支援〜
379ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 12:35:42.32 ID:FbcasrXNO
紫煙
380ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 14:20:18.25 ID:PMd86o0WO
しえん
381ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 15:46:49.59 ID:SR5l3w1sO
今40レスまで読んだんだけど、これから鬱展開にならないよね?
相棒のピカチュウが死ぬ展開になったら俺発狂する(^q^)
382ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 16:36:04.36 ID:SR5l3w1sO
383ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 18:06:10.02 ID:JYDZwGWCO
支援
384ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 18:10:12.95 ID:gKbYDzaT0
おい携帯厨wwこれww
http://kissho1.xii.jp/7/src/7jyou26954.html
385ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 20:10:37.57 ID:pNGp2YOD0
386ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 22:05:29.48 ID:N894IekIO

サトシ「あー寒かった…」

腕で身体を包むようにして宿に入る。
宿のロビーにある自動販売機の缶で身体を温めようとポケットから小銭を取り出した。

サトシ「えっと…何にしようかな」
カスミ「私は紅茶ね、ホットでよろしく」
サトシ「はいはいミルクな。…俺はじゃあ……ってカスミ!?」

販売機前で何を買うか悩んでいると、
後ろから声がかかった。
思わず返事をしてしまったが、その声の主はカスミ。
確かムサシと仮眠をとっていたんじゃなかったのか。

カスミ「それがさぁ、ムサシの寝相が酷いのよね。…逃げ出して来ちゃった」
サトシ「そうか…」
カスミ「あれ?ヒカリはどうしたの?」
サトシ「何か今俺以外は皆仮眠中なんだよ。ヒカリも俺達の部屋で寝ちゃったし」
カスミ「…あんたは眠くないの?」
サトシ「まあな。カスミもあとで海にまで行ってこいよ。ある意味一辺に目が覚めるぜ」

ガシャン、と自販機は音をたてる。
落ちてきた紅茶をカスミに渡して、俺はもう一度小銭を入れた。

カスミ「ありがと」
サトシ「俺も紅茶にしよっと。…ストレートかな」

ホットの印である赤いボタンを押すと、またガシャンと音をたててストレートの紅茶が出てきた。
ソファーに二人で並んでかけて、缶の蓋をあける。

サトシ「っはー…やっぱりあったかい飲み物がいいよなぁ」

両手のひらで缶を包むと、ジワジワとした暖かさに侵食された。
ロビーには今誰も居ない。

カスミ「海…綺麗ね」
サトシ「ああ、此処からの眺めも綺麗だな。まだ寒いのに、泳いでいる人が居るのは驚きだけど」
カスミ「きっと、水の中は案外暖かいのよ。そう言う事ってあるじゃない」
サトシ「そんなもんかな」
カスミ「そんなもんよ」

海を見詰めながらカスミはミルクティーを一口啜る。
ゆったりと二人並んで海を見ていた。

387ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 22:08:22.67 ID:N894IekIO

カスミ「気持ち良さそうね…」

海で泳ぐ人々を見ながらカスミは言う。
俺の目には、きっと寒くて仕方ないだろうな、位にしか映っていなかったが、カスミは違うのだろうか。
水を司るハナダのジムを一人でも切り盛りできるカスミの事だ。
海には、やはり深い思い入れがあるのかも知れない。

サトシ「これから海まで行かないか?二人で」

水着は持って来ていないから泳げないけど。
そう切り出すと、カスミは目を丸くした。

カスミ「あんたが私を誘うなんてどういう風の吹き回しなのよ」
サトシ「まあまあ、良いじゃん。…それとも嫌だったか?」
カスミ「別に…嫌って事は無いけど…」
サトシ「じゃあ決定な!…そうなれば、早く行こうぜ!」

立ち上がって残った紅茶を一気に飲み干す。
慌ててカスミも立ち上がった。

サトシ「ほらほら早く早く!!あっそうだ、上着忘れるなよ!!」
カスミ「あっ、ちょ……ちょっとは待ちなさいよ!」

出口へ向かっていた足を部屋の方へ向ける。
カスミがもたもたとしてるうちに、さっさと勝手に部屋入ってカスミの上着も持ってきてしまった。

カスミ「かっ、勝手に入らないの!」
サトシ「ええ…今度こそは時と場合を考えたと思ったんだけどな…」
カスミ「ぜんぜん出来て無いわよ、もう」

それでも、カスミは俺から上着を受け取って腕に通す。
カスミの準備が全て完了したのを今度はちゃんと見届けから出口を指す。


サトシ「さあ、海に行こうぜ」

388ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 22:38:09.05 ID:zB90LTRaO
>>355-356
まとめアゲ&支援!!
389ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 22:49:48.39 ID:NHWy6XAWO
wktk
390ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 22:55:42.02 ID:kBGuscS7P
超支援
391ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/02(月) 23:33:19.27 ID:N6V6MrgC0
支援
392ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 00:45:33.28 ID:M9neIXNHO
支援
393ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 01:46:49.95 ID:j9YVSYPNO
394ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 03:11:55.58 ID:JrZF41ndO
395ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 05:11:48.43 ID:9ZY5v6iiO
396ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 05:20:06.42 ID:YutbE72n0
397ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 07:16:17.83 ID:YsbPSRR5O
ぶっちゃけて終わってほしくないんだが…
それとヒカリルートなのかカスミルートなのかwktk
398ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 10:09:46.65 ID:IdmiU+ZNO
一応この話が終わったら、また新しくお話を書きたいと思ってます。
この話の続編みたいなものだけど、今度はあまり出せなかったキャラとか。
すでにちょっとかきはじめてる感じです。

今はとりあえずこのお話に付き合ってやって下さい
399ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 10:16:27.33 ID:GsxwiKtQ0
支援
400ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 10:32:03.41 ID:IdmiU+ZNO

二回目の海。
さっきと変わらず家族連れやカップルがちらほらと歩いていた。
波打ち際を、カスミと歩く。

カスミ「本当に外は冷えるわね…」
サトシ「上着持ってきて正解だろ?」
カスミ「まあね。目が覚めるわ」

両手を互いに上着に突っ込む。
その時、波が少しカスミの履いていたスニーカーに入ってしまった。

サトシ「あーあ…ほらもっとこっちに寄れよ」
カスミ「じゃああんたももっとあっちに寄りなさいよ」
サトシ「だってさ、俺もこっちに行くと……っお!」

何処かの子供がつくったのか、砂山に足を突っ込んでしまう。
側に子供は見えない。
つくったら、つくりっぱなしの砂山は俺のスニーカーに大量の砂を送り込んだ。

サトシ「足が…ざらざらする…」
カスミ「私も水でびちょびちょよ…」
サトシ「だってさ…ってぷッ!本当にびちょびちょでやんの!あははははは!!」
カスミ「こら!笑うなッ!!…あんただって…ふふ、砂まみれ!!あははははっ!」

スニーカーから膝下まで波に濡れてしまったカスミ。
なのに驚いた顔がちょっと間抜けていたので、無性に可笑しく思えてくる。
俺も、片足を砂山に突っ込んで間抜けな姿に見えたのだろうか。

サトシ「だって…カスミの今の顔…ははははは!」
カスミ「だから笑うんじゃないわよー!あはは、砂山から出れないの!?」
サトシ「お前こそどんどん水に濡れてるぞ!はは!早く抜け出さなくていいのか!?」

二人で互いに抜け出そうとすればするほど砂に埋まり、水に濡れる。

401ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 10:57:53.63 ID:ohVIYxzB0
しえーん
402ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 11:05:33.42 ID:2SRYy5VvP
支援
403ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 15:18:57.61 ID:IdmiU+ZNO
馬鹿みたいに、一通り笑うと、冷静に足を砂から引き抜いた。

サトシ「ふぅ…久しぶりだなぁ。こんなに馬鹿みたいに笑うの」
カスミ「冷静になってみると結構私達変に浮いてるわね」

互いの片足を砂や水に突っ込んで笑う男女。
いい年した二人がそんな事をするものだから、周囲から好奇の視線を浴びていた。

カスミ「…寒いわ」
サトシ「そりゃな。もう宿に戻ろうぜ」

カスミの腕を引っ張って砂浜を引き返す。
水が入って重くなった靴が気になるのか、ずっと俯いていた。

カスミ「帰ったら温泉に入ろうっと」
サトシ「あ、いいな。俺も入りたい」
カスミ「もう皆起きてきてるかしら」
サトシ「むしろ、もう起こしても良いんじゃないか?明日は早いし今晩休めなくなる」

俺も、片足が砂で重い。
一度立ち止まって靴を脱ぐ。
靴を逆さまにすれば、どさっと大量の砂が流れ落ちた。
カスミも同じように靴を脱ぐ。

カスミ「もういっその事履かない!」

両足裸足になって、身軽になったのか砂浜をずんずん先に進む。

サトシ「あ、待てよ!」
カスミ「嫌よ、さっきのお返し!!……悔しかったら早くしなさい!」
サトシ「くっそ……待てー!」
カスミ「遅いわよ、ばーか!」

片足の靴も脱いで走る。
身軽にはなったが、途端に目の前のカスミも走り出した。
ロングヘアーが揺れる。


宿に戻るまでの道のりは、二人で競争になった。

404ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 16:29:49.38 ID:YsbPSRR5O
このスレおっさん(20歳〜)ほいほいだな
赤緑をやっててそれっきりの俺にはどストライクだわ
405ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 17:03:13.04 ID:PAXJBRR8O
支援
406ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 20:27:45.12 ID:N2RcFPD9O
紫煙
407ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 20:43:23.78 ID:VZQJPz+U0
>>404
やぁ
408ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 21:21:21.34 ID:2W2l5FSzO
ルビーからやってない俺もwktk
409ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 22:18:18.93 ID:DAkK+Yt1O
金銀からやってないからヒカリとかわからんwww
それでも面白いから読んでる
410ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 23:07:33.53 ID:sJ9/7MxtO
保守
411ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/03(火) 23:41:46.58 ID:N6R8sqt+O
ハルカ結婚って聞いてちょっとショック受けたわw

それにしてもこれは面白いな。
412ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 00:02:30.82 ID:nFZ+IO3p0
赤緑・金銀・リメイク金銀しかやってない俺もwktk支援
413ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 02:33:36.81 ID:omGfySGN0
俺もヒカリ、ハルカは画像で知ってるぐらいで
金銀以来手をつけていないんだよなぁ。
ヒカリ、ハルカってダイヤとかいうやつで出てくるの?買ってみようかしら(22歳♂)
414ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 02:39:33.02 ID:3xz6Ht5N0
>>413
ハルカはクリスタルで登場してなかった?
ヒカリはダイアモンド&パールだったと思うけど。
415ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 05:42:40.77 ID:LxCcArJrO
ほしほし
416ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 08:32:44.92 ID:ZWFZ/cY1O
>>414
ハルカはルビサファ
417ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 08:46:07.59 ID:RuWbbJhPO
ヒカリってハルカの後だよね??
418ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 10:15:46.33 ID:OFbEVg08O
今日も朝の支援


早くも続編に期待。


続編だってわかるスレタイにしてねー

もしくは誘導よろ!
419ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 11:26:11.23 ID:SFxZMbaoO
支援
420ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 16:05:11.51 ID:39ZjIzgIO
紫煙支援
421ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 20:06:53.54 ID:UuRKhFymO
支援
422ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 21:47:45.13 ID:2d0wL43VO
支援
423 【IQ201】 :2009/11/04(水) 21:49:27.12 ID:huqX2s9w0
支援
424ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 22:52:54.26 ID:omGfySGN0
shien
425ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 23:04:49.08 ID:Et37U4hx0
支援ー
426ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/04(水) 23:30:01.31 ID:FO/pUIY30
支援
427ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 01:16:24.30 ID:uP/HBqm8O
続きまだかな
428ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 04:26:59.20 ID:VovWfG7nO
支援
429ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 08:31:51.13 ID:pf2CCh0FO
おはよう支援
430ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 09:43:30.70 ID:SzqMfgDiO
431ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 11:55:12.21 ID:aL09DqVtO
昼飯前の支援
432ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 12:12:16.71 ID:ChFgF/i+O
昼食後の支援
433ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 13:49:39.78 ID:QK2QXBpMO
昼食中の支援
434ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 14:25:22.92 ID:gZUMfxovO
支援
435ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 15:44:43.19 ID:PE5gO6LMO
すごいどうでもいい事だがなんで支援?
436ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 17:17:08.18 ID:VovWfG7nO
保守
437ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 18:52:53.33 ID:DXezZJVJO
438ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 19:43:44.73 ID:gZUMfxovO
支援!
439ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 21:54:18.50 ID:pf2CCh0FO
支援
440ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 22:05:50.06 ID:VG9UYPnx0
>>435
マジレスすると一人で連投すると書き込めなくなるから
441ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 22:23:50.85 ID:PE5gO6LMO
>>440
いや>>1が不在中なのに支援?
保守じゃないの?と思って
まあどうでもいい事だが
442ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/05(木) 23:24:17.15 ID:sHcPfYDXO
早く続きがきになる…
支援
443ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 00:31:03.60 ID:m3gCZpJs0
支援!
444ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 01:43:33.19 ID:4xurn8V9O
>>441

普段ならおまえが正しい
ここはよくわからん

保守
445ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 01:45:38.10 ID:EpRmiWQQO
続きはまだか…
保守
446ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 04:13:26.44 ID:oR0ZjeQiO

保守
447 本日の利用料 10,985円 :2009/11/06(金) 04:17:45.70 ID:5lEB9Yls0
保守
448ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 09:25:06.24 ID:kg/7DgV8O
あえて言おう。

支援
449ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 10:36:55.60 ID:ApZZt5FhO
保守
450ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 12:50:02.30 ID:4xurn8V9O
保守

こねーなぁ……
451ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 13:35:26.95 ID:m3gCZpJs0
保守 
452ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 14:11:28.56 ID:KrrdVQZIO
保守&支援ありがとうございます。
文化祭準備等で此処に来るのが大幅に遅れました…
時間が少し空いたのでまたちまちま書いていきます。
453ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 14:30:41.05 ID:KrrdVQZIO

ヒカリ「サトシ!カスミ!…お帰りなさい!」

宿に戻ると、寝ていたはずのヒカリが玄関口に立って手を振っていた。
淡い白とピンクの浴衣を着ている。

カスミ「ただいま。…その浴衣どうしたの?」
ヒカリ「先にムサシと温泉に入っちゃったんだ。これは此処の浴衣なの」
サトシ「へぇ、似合ってるな」
ヒカリ「えへへ…ありがと。二人は何処に行ってたの?」
カスミ「ちょっと海までお散歩よ。私も温泉に入ろうと思って」

ヒカリが外の肌寒さに身を少し震わせ、中に入ろうと促す。
俺達も身体中についた砂を軽く払い落としてから中に入った。

タケシ「お、お帰り。…凄い汚れてるな」
コジロウ「二人して何やってたんだ?」

ロビーまで上がると、タケシとコジロウがビールを片手にソファーに腰掛けていた。
払い落としたと言っても、汚れた様は一目でわかるほど酷いらしい。

サトシ「いやぁ、ちょっとハメ外しちゃって…追いかけっこを…」
タケシ「一昔前の青春映画じゃあるまいし…」
カスミ「私とサトシじゃそんなムードもへったくれも無いわよ…途中からサトシも本気になるもんだから競争になっちゃったの」
コジロウ「お前ら若いなぁ」

ずっと汚れた姿でロビーにたっているのも、宿の人に申し訳ない。
ヒカリも、カスミを引っ張って温泉に向かってしまったので、俺も一度自室に戻ってから温泉に入る事にした。

タケシ「風呂に入ったら夕飯だからな」
コジロウ「ビールも冷えてるらしいぞ!」
サトシ「わかった。楽しみだぜ」

454ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 14:46:23.34 ID:RjXMU3lAO
きたこれ
もしもしから支援
455ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 16:00:10.78 ID:Kdl50RqKO
支援
456ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 18:16:43.21 ID:ItmSXvL/O
紫煙
457ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 18:58:26.16 ID:fpOQVZgz0
支援
458ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 20:23:05.92 ID:9ViA2l56O
支援
459ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 23:00:08.01 ID:4xurn8V9O
文化祭……懐かしい単語だ


保守
460ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 23:09:01.64 ID:QxzMlNAAi
規制解除きたぞーっ!支援!
461ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 23:38:00.07 ID:Yfpo+TET0
支援
462ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/06(金) 23:52:32.95 ID:zYrMG10gi
支援!
463ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 00:46:05.65 ID:fMVteiAqi
保守
464ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 02:31:14.71 ID:VCUvVkGWO
保守
465ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 05:11:38.16 ID:YJNds0A5O
支援
466ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 05:19:10.11 ID:zaRK3ExZi
それぞれのアルコールの強さが気になる
467ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 07:30:59.57 ID:SzicizMeP
オヤジの会話過ぎて泣いた支援
468ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 12:52:40.75 ID:a5wD6nWi0
保守
469ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 13:11:53.17 ID:idnbkaF80
shienn
470ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 17:37:48.82 ID:WoiRAfPqO
保守☆
471ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 17:56:46.60 ID:r3b8xHcEO
支援
472ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 21:21:37.46 ID:aGB+iE+4O
久々にVIP来たらこんな良スレが。
支援させていただく。
473ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/07(土) 23:05:17.92 ID:ztdd+5T/O
>>472
ここはvipじゃないよ。
474ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 03:35:53.87 ID:EiAlOjrb0
支援

ところで、こういうポケモンSSのまとめサイトとかって無いかな?
475ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 09:37:26.95 ID:T/ijAvuzO
支援
476ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 15:59:30.87 ID:EcHk3RMUO
477ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 16:42:42.61 ID:/EabHbPf0
今日も保守っと
478ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 17:05:41.44 ID:nFqIU6dNO
ほし
479ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 17:56:07.83 ID:35qX4q1k0
ほす
480ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 17:57:45.88 ID:Bd7LurAb0
保守
481ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 18:23:02.72 ID:MWtXrNDGO
支援
482ローカルルール変更議論中@VIP+:2009/11/08(日) 18:37:04.12 ID:j+7tCvF5O BE:1623611467-PLT(28795) 株主優待(sns)
保守禁止
!vip2:stop:
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まほうつかいたんのつよめの攻撃
MP417使ってへっぽこの呪文を唱えた。★ミ (スレのダメージ 0)
このスレは1回目のダメージを受けた (150/770)
こうかは ばつぐんだ!! さらにこのスレは2回目のダメージを受けた (300/770)
ぼうそうがはじまった!! さらにこのスレは3回目のダメージを受けた (450/770)
追加攻撃!! さらにこのスレは4回目のダメージを受けた (460/770)
483なかまるこ
!vip2:stop:
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見習い戦士のふつうの攻撃
MP416使ってへっぽこの呪文を唱えた。★ミ (スレのダメージ 460)
このスレは5回目のダメージを受けた (610/712)
ぼうそうがはじまった!! さらにこのスレは6回目のダメージを受けた (760/712)
このスレは・・・

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